施線部分の中止法は、「こめられて」「切られ東の方かたに住むべき国求めに (= さがすこと形に、この用法がある。さまざまな終止法のう 〈 0 ちで、活用語の終止形によるものが、もっとも のために ) とて行きけり。 て」「恋ふる愁へ」の意になる。 形容詞型活用の連用形、打基本となる終止法である。 主として、形容詞・形容動 順接の仮定条件法 副詞法 ( 連用法 ) 消の助動詞「ず」の連用形マ「われ朝ごとタごとに見る竹の中におはする 詞の連用形が、副詞のよう にて、知りぬ。子となり給ふべき人なめり。」 に用言を修飾する用法をいう。解釈上留意すべに、係助詞「は」の付いた形で、「もしも・ : なら とて、手にうち入れて家へ持ちて来きぬ。妻め ( たら ) 」の意の順接の仮定条件の表現になる。 き副詞法に次の三つの用法がある。 の嫗讐に預けて養はす。うつくしきこと限り ①下にくる「思ふ・見る・聞く・言ふ」などのただし、単なる強調表現の場合もある。 恋しく小 (= 恋しいなら / 恋しくなったら ) 形なし。いと幼ければ、籠こに入れて養ふ。 内容を表す副詞法。 〈圄かぐや姫の生ひ立ち〉 さて、春ごとに咲くとて、桜をよろしう (= 見にせよとわが背子せこが植ゑし秋萩はぎ花咲き 終止形に接続助詞「と・と たいしたことがないと ) 思ふ人やはある。 逆接の仮定条件法 も」の付いた形で、「たと 〈三九〉 マ今日来ずは (= 来なかったら ) 明日は雪とぞ降 ②文頭にあって、以下の部分全体にかかり、そりなまし消えず小ありとも (= たとえ消えないえ : ・ても」の意の逆接の仮定条件の表現にな る。 では〈強調〉あるにしても ) 花と見ましゃ の感想を表す副詞法。 〈團春上〉マ「あひ戦はむとすとも (= たとえ戦いあおうと 「あさましう (= 思いがけないことには ) 、犬 形容詞型活用の連用形、打しても ) 、かの国の人来なば、猛たけき心つかふ など・も、かかる、心あ - るものなりけり。」と 逆接の仮定条件法 ( 一条天皇は ) 笑はせ給ふ。 消の助動詞「ず」の連用形人も、よもあらじ。」〈圄かぐや姫の昇、天〉 に、接続助詞「と・とも」の付いた形で、「たと▽飽かず、惜しと思はば、千年を過ぐすとも ③下にくる動作の結果を表す副詞法。 髪は、扇を広げたるやうにゆらゆらとしえ・ : ても」の意の逆接 (= 逆態接続 ) の仮定条 (= たとえ千年を過ごしても ) 、一夜 2 との夢の心 〈一七〉 地こそせめ。 て、顔は、いと赤く (= 赤くなるように ) すり件の表現になる。 〈一若紫〉マ唐からの物は、薬のほかは、なくとも (= たとえなお、形容詞、打消の助動詞「ず」の場合 なして立てり。 〈一 = 0 〉は、連用形に「と・とも」の付いた形になる。 なくても ) 事欠くまじ。 なお、形容詞の連用形に接続助詞「て」の付 連体形の単独の用法には、 花の色は霞にこめて見せずとも↑たとえ いた形は、ふつうの副詞法と異なり、ようす・ 【連体形の用法】 見せないにしても ) 香かをだに盗め春の山風 連体法・終止法 ( 係り結 状態を表す用法になる。 〈團春下〉び・連体形止め ) ・準体法などがある。また、助 マ三寸ばかりなる人、いとうつくしうて (= か 、詞「が・の・を・に・より・か・かな・ぞ」、助 終止形の単独の用法には わいらしいようすで ) ゐたり (= すわってい 【終止形の用法】 終止法がある。また、助詞動詞「ごとし・なり ( 断定 ) 」に連なる。なお、 る ) 。 〈かぐや姫の生ひ立ち〉 主として、動詞の連用形が、「 : ・こと」「と・とも・や ( 疑問 ) ・な ( 禁止 ) 」、助動詞「らラ変動詞・形容詞カリ活用・形容動詞の連体形 名司法 言冫「・ : もの」などの意で用いられる用法む・めり・らし・べし・まじ・なり ( 伝聞・推定 ) は、助動詞「らむ・めり・らし・べし・まじ・ なり ( 伝聞・推定 ) 」に連なる。 をいう。ふつうは名詞に転じたもの ( 転成名 ( いずれもラ変以外 ) 」に連なる。 連体形が連体修飾語として体言を修飾 単語が文の言い切りに用いられるのが 詞 ) として扱う。 連体法 終止法 する用法をいう。 終止法である。感動詞・終助詞・体 「かかる老おい法師の身には、たとひ憂へ (= 一言、形容詞の語幹、形容動詞の語幹、活用語のマ「阿弥陀仏ものし給ふ堂に、すること侍る 心配すること〈災難〉 ) 侍りとも、何の悔い (= 〈冨若紫〉 悔いること〈後悔〉 ) か侍らむ。」〈一薄雲〉終止形・命令形、係り結びによる連体形・已然頃になむ。」 〔九六九〕 文法要語解説 マ 〈 C*J 九〉 マ
文法要語解説 〔九七〇〕 いとあはれなることも侍りき。さりがたき妻めるかもしれない。そうなるといけない ) 。」 「変化のものにて侍りけむ身とも知らず、 ・をとこ持ちたる者は、その思ひまさりて深き 〈一 0 四〉親とこそ思ひたてまつれ (= 親だとばかり思い 者、必ず先立ちて死ぬ。 〈囮 = 〉よき人は、知りたることとて、さのみ知り顔申しあげているのに ) 。」 なお、「さかし女め」〈記・上〉「頼もし人」〈源にやは言ふ (= それほど物知り顔に言うだろう 〈貴公子たちの求婚〉 氏・玉鬘〉「長々し夜」〈拾遺・恋三〉の「さかし」 か。いや、言いはしない ) 。 〈七九〉 マ「我こそ死なめ (= 死にたい ) 。」 「頼もし」「長々し」などはシク活用の形容詞のマ死なぬ薬も何にかせむ (= 何にしようか。何 〈かぐや姫の昇天〉 終止形とされ、本書でも通説によっているが、 の役にも立たない ) 。 〈圄ふじの山〉解釈上、とくに留意する必要があるのは、次 本来は形容詞の語幹によるもので、終止形の連②詠嘆・余情の表現として連体形で結ぶ終止項の強調逆接法になる場合と、「もこそ」を受 体法ではない。「さかし女」「頼もし人」「長々法。連体形止め けて已然形で結ぶ終止法の場合である。「もこ し夜」で一語の名詞である。 マ「雀の子を犬君 (= 人名 ) が逃がしつる (= そー已然形。」は不安・懸念の表現になることが 連体形の終止法には、係り結びと連体犬君が逃がしてしまったか ) 。」〈冨若紫〉多い 終止法 形止めの二つがある。 マ 「まろがもとに (= 私の手元に ) 、いとをかしげ ▽ 「いづかたへかまかりぬる。・ : 烏などもこ ①係助詞「ぞ・なむ・や・か」を受けて連体形なる笙の笛こそあれ。故殿のの得させ給へそ見つくれ ( 人逃げた雀を〉烏などが見つけ で結ぶ終止法。係り結び。 りし↑亡き父君がくださったの ) 。」 るかもしれない。そうなるといけない ) 。」 ぞーー連体形。強調表現 〈国九三〉 〈冨若紫〉 なむー連体形。強調表現 活用語の連体形が、活用 文脈上、係助詞「こそ」を受けた 準体法 ( 準体言法 ) 強調逆接法 ゃーー連体形。疑問・反語表現 語としての意味や性質を 已然形の部分で文が終わらず、 牟ーー連体形。疑問・反語表現 もちながら、同時に体言としての資格で用いら「 ( 確かに ) ・ : けれども」の意の強調逆接の表現 マ水はその山に三所ぞ流れたる (= 三か所も流れる用法をいう。 になって以下に続いていくものをいう。 れている ) 。 〈圈足柄山〉マ犬のもろ声にながながとなきあげたる (= 吠▽中垣こそあれ (= 隔ての垣はあるけれども ) 、 その竹の中に、もと光る竹なむ一筋あり えたてているのは ) 、まがまがしくさへにくし一つ家のやうなれば、 ( 先方から ) 望みて預 〈かぐや姫の生ひ立ち〉 (= 不吉な感じまでしていやだ ) 。 〈 = ◇かれるなり。 マ君やこし (= あなたが来たのか ) 我や行きけむ 「古代の御絵どもの侍る (= ありますのを ) 、春の夜の闇やみはあやなし梅の花色こそ見えね (= 私が行ったのだろうか ) おもほえず夢かう参らせむ (= 差し上げよう ) 。」〈絵合〉 (= 確かに色は見えないが ) 香かやは隠るる (= 香り つつか寝てかさめてか 〈六九〉マまた、ある人の詠め引 (= 詠んだ魯 ) 、 は隠れるか、隠れはしない ) 〈團春上〉 「いづれの山か天に近き (= どの山が天に近い 君恋ひて世をふる宿の梅の花 : ・〈〉 上代には已然形だけで「 : 順接の確定条件法 のだろうか ) 。」 〈圄ふじの山〉 已然形の単独の用法には、 から ( ので ) 」の意の順接の 【已然形の用法】 解釈上、とくに留意する必要があるのは、 終止法 ( 係り結び ) ・条件法確定条件を表す用法があったが、ふつうは已然 「もぞ・やは・かは」を受けて連体形で結ぶ終止がある。また、助詞「ば・ど・ども」、助動詞形に接続助詞「ば」の付いた形で、順接の確定 法である。「もぞー連体形。」は不安・懸念の表「り ( 四段だけ ) 」に連なる。 条件の表現になる。 現に、「やはー連体形。」「かはー連体形。」は反 已然形の終止法は、係助詞「こそ」をマももしきの大宮人は暇あれや (= 暇があるか 終止法 語の表現になることが多い。 受けて結ぶものである。係り結び。こ らか ) 梅を挿頭かざしてここに集っどへる (= 集ま 「日」かど マ よく鎖さしてよ。雨もぞ降る (= 雨が降の形式の終止法は強調表現になる。 っているのは ) 〈一 0 ・一公三〉 マ
尊敬 ^ す〉 反復 継続 主要助動詞活用表 希望 自可受 発能身 断定 比況ごとし〇ごとくごとしごとき〇 ら ら え まほしまほしから たしたから な た ^ ゅ〉え 542 p. 643 たら まほしく まほしかり たく ( たかり ) なり たり ( と ) え しすすせ ひ なりなるなれなれ たりたるたれたれ たし 〇 ゅゆるゆれ〇下二段型 ふ まはしき まほしかる たき ( たかる ) 〇 ふ まほしけれ〇 たけれ〇ク活用型連用形 〇 へ 四段・ナ変・ ラ変の未然形 右のほかの未 然形 四段・サ変の 未然形 〔へ〕四段型未然形 〇ク活用型 〇下二段型 せ四段型 シク活用 型 ナリ活用 型 タリ活用 型 未然形 体言・連体形 ①動作の主体の希望の意を表す。・ : たい。 ②他に対してその状態への希望の意を表す。・ : てほしい。 ①自己の動作の実現を希望する意を表す。・ : たい。 ②他の動作・状態について、話し手自身の希望の意を表す。 てほしい ①断定を表す。・ : である。・ : だ。 ② ( 場所などを表す語を受けて ) 存在を表す。・ : にある。・ : にい 3 ( 親族関係を表す語を受けて ) 資格を表す。・ : である。・ : にあ 0 ( 近世語 ) 人名などを表す語を受けて「・ : という」の意を表す。 断定の意を表す。・ : だ。・ : である。 ① ある事がらが他のある事がらと同じてある意を表す。・ : ( と ) 同じだ。 : ( の ) とおりだ。 連体形、助詞②ある事がらを他の似ている事がらに比べたとえる意を表す。 「の」「が」 まるで : ・ ( の ) ようだ。 ・ ( 平安時代末期以降 ) 多くの中からあるものを例示する意を表 す。たとえば : ・ ( の ) ようだ。 ①受身の意を表す。・ : れる。 可能の意を表す。・ : ことができる。 ② 3 自発の意を表す。自然に・ : れる。 可能の意を表す。・ : られる。・ : ことができる。 体言 軽い尊敬、親愛の意を表す。お・ : になる。・ : なさる。 ①動作の反復の意を表す。何度も : ②動作の継続の意を表す。・ : つづける。 る。 たる。 〔九六三〕
三〇二〕 カーカ 鳴く山辺の秋萩は露霜寒み盛り過ぎ行く」妻をの係り結び形式の、結びの語が省略される場合。下に亠〔一のように文末に用いられ、疑間を表す係助詞を終 恋い慕う鹿の鳴く山辺の秋萩は、 ( 上に置く ) 露霜が冷た「あら↑補助動詞 ) む」などを補うもの。疑問の意を表す。 - 助詞とする説もある。この「か」は形の上ではロの感動を いので盛りが過ぎていく。 ・ : ( であろう ) か。桐壷「いづれの御時にか」どの一表す終助詞と区別できないので、文脈の上から判断しな Ⅷくてはならない。 霳「ゐ ( 猪 ) 」↓「ゐのしし」と同様、「か ( 鹿 ) 」についても帝の御代みよであった ( だろう ) か。支法「御時にか」の「に」 「かのしし」という呼び方がある。 は、断定の助動詞「なり」の連用形。 が【賀】 ( 名 ) 祝い。特に、長寿の祝いをさす。囹賀・詞 * 、【彼】 ( 代 ) 遠称の指示代名詞。人や事物をさす語。 ①文末に用いられる場合。⑦疑問の意を表す。 : ・か。書「仁和の御時、僧正遍昭弉うに七十のーたま * 力あの。あれ。あちら。一古囹恋 = 「思へども人目つつみの ・ : だろうか。一區燕の子安貝「子安の貝とりたるか」ひける時の御歌」光孝天皇の御代に、僧正遍昭の 高ければーはと見ながらえこそ渡らね」恋い慕っても、子安貝をとったか。④ ( 多く、「かは」「かも」「ものか」の七十の賀を催された時の ( 帝の ) 御歌。 人目を憚り慎み、堤が高いので、川だと見ていながら渡形になって ) 反語の意を表す。 : ・ ( だろう ) か ( いや、 : ・ではな長寿の祝いは、古くは四十歳から十年【」とに行わ ることができないように、あの人と見えても近づけないことい ) 。徒然一五六「隔てなく慣れぬる人も、程経〈て見るは、恥れ、これを「四十の賀」「五十の賀」などといった。室町時 だ。 ( 「慎。。み」と「堤」、「川かは」と「彼かは」がそれぞれ掛づかしからぬかは」分け隔てなく慣れ親しんた人も、し代末からは「還暦 ( 六十一歳 ) 」「喜寿 ( 七十七歳 ) 」「米 詞、「渡る」は、近づいて会うことの比喩ひゆ的表現 ) 。ばらくたって会うのは、気がひけないだろうないや、気がひけ寿 ( 八十八歳 ) 」なども祝うようになった。 支法「えこそ渡らね」の「え」は副詞で、下に打消の語 ( こるものだ ) 。↓かは・か良係助 ) ・ものか。◎ ( 「ぬか」「ぬかも」 * 0 ( 格助 ) ①連体修飾語を表す。⑦所有を表す。 こでは「ね ( 「ず」の已然形 ) 」 ) を伴って不可能の意を表す。の形で ) 願望を表す。 : ・ないかなあ。↓ぬか ( 連語 ) ・ぬかも カ・ : の。舌囹雑下「我が庵は都のたつみしかぞ住む ↓かの ( 連語 ) 第体言・活用語・副詞・接続助詞なとが主語・目的世をうち山と人はいふなり」↓わ力し , ー 独立して用いた例は少なく、格助詞「の」とともに 語・連用修飾語などとなっているものに付く。 所属を表す。 : ・の。一養一桐壷「高麗人簽の参れるがな 用い、「かの」となるのがふつう。右の例も代名詞として独 ( 終助 ) 詠嘆・感動を表す。 : ・だなあ。万鬮三・ = 六五かに、かしこき相人ありけるを」高麗の人が来朝し 立した用例とはいいがたい。 「苦しくも降りくる雨か神みわの崎狭野さののわたりに家もていたその中に、すぐれた人相見がいたのを。一 = 0 ・ * 、目 ( 係助 ) ①文中に用いられる場合。文末を活用あらなくに」函困ったことに降ってくる雨だなあ。神の崎四四四九「なでしこが花とり持ちてうつらうつら見まくの欲ほし 語の連体形で結ぶ、係り結びの形式をとる。⑦疑問の佐野の渡し場には ( 雨宿りする ) 家もないことなのに。き君にもあるかも」函なでしこの花を手にとってはっきり の意を表す。・ : か。係り結び 「あらなくに」の「なく」は、打消の助動詞「す」のク語と見たいつに、会いたいあなたでもあるなあ。礬一一「大 ・ : だろうか。一」ふ 〈疑問〉 ( 連体形 ) 法で、「・ : ないこと」の意。↓か良終助 ) ・かな ( 終助 ) きなる柑子の木の、枝もたわわになりたるがまはりを」 体言または活用語の連体形に付く。 じの山「いづれの山かいづれの山が天に近き。 大きなみかんの木で、枝もしなうほどに ( 実が ) なっている 天に近き」どの↑どの山が天に近いか ) 目 ( 副助 ) 《中世語・近世語 ) 不定の意を表す。〔洒・遊木の周囲を。 ( 一説に「なりたるが」の「が」を主格にとり、 山が天に近いか。 〈反語〉 ( 連体形 ) 子方言〕「どなたかお出いでなさったそふな」どなたかい 「・ : 木があり、その周囲を」と補う解釈もある ) 。「木 らっしやったようだ。 七・一皂九「まそ世の中は何常「わなる。 の」の「の」は、いわゆる同格の格助詞で、「・ : で」の意。◎ 体言または活用語の連体形に付く。 鏡照るべき月をしろ ( 。世の中はどうして常であろ 類似を表す。 : ・のような。芭蕉「象潟や雨に西 たへの雲か隠せる天 うか〈いや、常ではない〉 ) 疑問を表す係助詞としては、ほかに「や」がある。「か」施いいがねぶの花」↓きさがたや・ : 。 ( 下にくる っ霧かも」照るは と「や」との違いは、接続の点で、文末用法 ( 終助詞 ) のはすの名詞を略した形で ) 「・ : のもの」の意を表す。一一 すの月を雲が隠したのだろうか。それとも、大空の霧が隠 0 「か」は体言または連体形に、「や」は終止形に付く。ま一 0 「いかなれば、四条大納言のはめでたく、兼久がは悪 したのかなあ。 ( 「まそ鏡」は「照る」に、「しろたへの」は「雲」 I た、意味では、疑問とする点が「か」は直前の語に存在すわろ、・ カるヘきぞ」ついうわけで、四条大納言 (= 藤原公 にかかる枕詞 ) 。④反語の意を表す。 : ・ ( だろう ) か ( いや、 Ⅷる。〔一〔①の「雲か隠せる」の用例でいえば、「隠した」ことは任 ) の ( 歌 ) はりつばで、兼久のもの ( 日歌 ) はよくないことに で ( あリ ) は ( し ) ない ) 。團仮名序「生きとし生けるもの、 いⅢ明らかなのであって、それが「雲」かどうかが疑問なのであなるのだろうか。①体言・連体形の下に付き、「ごとし」「ま づれか歌を詠まざりける」あらゆる生きものは、どれが皿る。それに対して「や」は述語を中心に文全体に対してのにまに」「からに」などに続ける。三・三 = 〈「青丹よし 歌を詠まなかっただろうないや、詠まないものなどありはし問いかけがなされる。 奈良の都は咲く花の薫にほふがごとく今盛りなり」↓ ない ) 。第「生きとし生ける」の「し」は、強意の副助詞。 だから、中古では「か」は必ず「なに」「いつ」「いかに」「い あをによし・ : ②「が」 + 形容詞語幹 ( シク活用は終止形 ) + 接尾語 多く、「にか」の形で文末または句末に用いられるが、①一づこ」「たれ」のような疑問の意を表す語のあとに使われる。 ②
種類語 格助詞 主要助詞一覧 カ 〔九六四〕 ◎左表のほかに、上代特有の助詞として、格助詞 : ・つ・な ( 連体修飾語 ) 、ゆ・よ ( 起点・経 由点・手段・比較の基準 ) 係助詞・ : そ ( 「ぞ」の古い形 ) 、なも ( 「なむ」の古い形 ) 副助詞 い ( 強調 ) 終助詞・ : かも ( 「かな」の古い形 ) 、も ( 詠嘆 ) 、な ( 願望・勧誘・他に対する願望 ) 、 なも ( 「なむ」の古い形 ) 、 ・ね ( 他に対する願望 ) 、もが ( 願望 ) 、てしか ( 「てしが」の古い 形 ) 間投助詞・ : やし・ゑ ( 詠嘆 ) がある。 用例 意味・用法冖 ( ) 内は訳語〕 ①我が庵いほは都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり ^ 古今〉 ①連体修飾語 ( の ) と小さく見ゆるはいとをかし。 ^ 枕〉 ②雁かりなどのつらねたるが、い ②、王語 ( が ) ③いとやむごとなき際きはにはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。 ^ 源氏〉 ③いわゆる同格っし ) ④この歌は、ある人のいはく、大伴黒主軆のがなり。 ^ 古今詞書〉 ④準体言 ( 体言の代用 ) ( のもの ) ①いかなる人の御馬ぞ。〈徒然〉 ①連体修飾語 ( の ) ②世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし ^ 古今〉 ( 王語 ( が ) ③都の人のゆゅしげなるは、睡ねぶりて、いとも見ず。 ^ 徒然〉 の③いわゆる同格 ( て ) ④草の花はなてしこ。唐からのはさらなり、大和のもいとめてたし。〈枕〉 ④準体言 ( 体言の代用 ) ( のもの ) ⑤風吹けば峰に分かるる白雲の絶えてつれなき君が心か〈古今〉 ⑤連用修飾語比喩ひゅ ( のように ) の富士の山を見れば、五月竧のつごもりに、雪いと白う降れり。〈伊勢〉 連用修飾語の動作の対象 ( を ) ④体言や連体形 0 神無月なのころ、栗栖野といふ所を過ぎて : ・〈徒然〉 を起点 ( を ) 0 経由点 ( を ) ①強調 ①昼は日一日寝いをのみ寝れくらし : ・ ^ 源氏〉 連用修飾語の時間・場所 ( に ) ④体言や連体形 ( のとののこの人、国にかならすしも言ひ使ふものにもあらざなり。〈上佐〉 帰着点 ( に ) 動作の対象 ( に ) ①の場合には動詞の連用④三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。 ^ 伊勢〉 0 つれづれなるままに、日暮らし硯叮に向かひて : ・ ^ 徒然〉 使役の対象 ( に ) の原因・理由 ( に形 ) ①見苦しとて、人に書かするは、うるさし。〈徒然〉 よって ) の結果 ( に ) ④受身の主 よきほどなる人に成りぬれば : ・ ^ 竹取〉 ( 乞一三月きばかりになるほどに、 体 ( から ) の目的 ( ために ) の強調 の東づの方に住むべき国求めにとて行きけり。〈伊勢〉 からすのねどころへ行くとて : ・〈枕〉 体言 へ連用修飾語方向 ( へ ) 連用修飾語⑦動作の共同者 ( と ) 体言や連体形 ( のの場④何事ぞや。童べと腹だち給へるか。〈源氏〉 ④動作の相手 ( と ) 0 比較の基準合には文の言い切りの 0 かたちなどは、かの、昔のタ顔と劣らじゃ。〈源氏〉 の「いかなる所ぞ」と問へば : ・ ^ 更級〉 ( と比べて ) @結果 ( と ) の引用形、のの場合には動詞 ④笛の音ねのただ秋風と聞こゆるになど荻の葉のそよと答へぬ ^ 更級〉 ( と ) の並列 ( と ) ④比喩ひゅ ( のよの連用形 ) の生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。 ^ 古今仮名序〉 うに ) の強調 に レ J 接続 体言や連体形 体言や連体形など
桜の花よ、私も ( おまえのように潔く ) 散ってしまおう。一度逢わないで長くなってしまった。 ( 奈良の都の家に ) 行ってよび引用の格助詞「と」に付く。〔学習】「な」の識別 盛りの時があったならば、 ( その盛りの後は ) 人にみじめな姿早く逢いたい。 をきっと見られるだろう ( から ) 。〔轢一 = 三四「うららかにいひ②勧誘する意を表す。 ( さあ ) ・ : しようよ。一人「熟 ( 終助 ) 強い禁止の意を表す。 : ・するな。〕竜の 聞かせたらんは、おとなしく聞こえなまし」訳はっきりと田津に船乗りせむと月待てば潮しほもかなひぬ今は漕こ * 頸の玉「竜たつの頸くびの玉取り得ずは、帰り来くな」 言い聞かせたとしたならば、 ( それは ) きっと穏当に聞こえるぎ出いでな」↓にきたつに・ : 一叝一 竜の首の玉を取ることができないならば、帰って来る であろう。 3 他に対する願望・期待を表す。・ : してほしい。防葉一な。 「取り得ずは」の「すは」は、打消の順接の仮定 〔学習〕「な」の識別は 一七・一究三 0 「道の中なか国っ御神は旅ゆきも為し知らぬ君条件を表す。一 0 九「あやまちすな。心して降りよ」 ①動詞 ( ナ変 ) の未然形語尾 を恵み給はな」訳越中の国の神様は旅に出ることも体失敗するな。気をつけて ( 木から ) 降りろ。 「いづちもいづちも、足の向きたらむ↑向いているよう験していないあなた↑大伴家持 ) どうか ) あわれんで ( いた毯動詞・助動詞の終止形に付く。ただし、ラ変型活 わって ) やってくださってほしい。 な ) 方かたへいなむ丈日行こう ) 」〈區竜の頸の玉〉 用の語には連体形に付く。↓〔学習〕「な」の識別 第動詞および動詞型活用の助動詞の未然形に付邑同様な禁止の表現には副詞「な」と終助詞「そ」が ②助動詞「ず」のク語法 「誰たれをかも知る人にせむ高砂の松も昔の友ならく。 呼応した「な・ : そ」があるが、その方がやわらかい言い方で なくに (= 友ではないことだから ) 」〈害囹雑上〉 基本的には、動作の主体に対して、「・ : してほしある。↓な ( 副詞 ) Ⅷい」と話し手の希望を表す語であるが、具体的な場面に 〔学習〕「な」の識別 2 ③助動詞「ぬ」の未然形 「いざ桜我も散りなむ散ってしまおう ) ひとさかりあおいては主語が一人称の場合は①、一人称複数の場合①意志・希望、勧誘、あつらえの終助詞 「梅の花咲きたる園の青柳を蘰にしつつ遊び りなば (= あったならば ) 人にうき目見えなむきっと、は②、一一、三人称の場合は③の意となる。 見られるだろう ) 」 〈團春下〉Ⅷ図同類の表現に、「に」「ね」があり、打消の助動詞との 暮らさな ( Ⅱ遊び暮らそう ) 」 〈五・〈 = 五〉 いずれも、すぐ上か下を見て、語形で見分ける。①一関連も考えられるが、は「きりしたことはわからない。なお、②感動・詠嘆の終助詞 「花といはば、かくこそ匂はまほしけれな ( Ⅱ匂ってほし は、すぐ上が「い」か「し」に限られる。ナ変動詞は「往」 = に」「ね」の用例は限られていて、右の③だけに用いられて ぬ」「死ぬ」の一一語しかない。②は、すぐ下が「く」に限ら いものだなあ ) 」 〈些若菜上〉 れる。なお、助動詞「す」と関連があるとされ、「ずに」の 「ひさかたの天路は遠しなほなほに家に帰りて業なりを③禁止の終助詞 意にあたる「なな」が上代の東国方言に見られるが、用Ⅷしまさに ( 日家業に励んでくださってほしい ) 」 「名にめでて折れるばかりぞをみなへしわれ落ちにきと 〈万葉・五・〈 0 一〉 例は少ない。③は、連用形に付き、すぐ下に、助動詞 人に語るな語るな ) 」 〈團秋上〉 「あしひきの山飛び越ゆる雁かりがねは都に行かば妹に 「む」「まし」、助詞「ば」「なむ」がくる。 ①は上代語で、未然形接続。②は、終止形、係り 結びによる連体形・已然形、終助詞など、文の言いき 一逢あひて来こね (= 逢って来てほしい ) 」 〈万葉・一五・三六 0 〉 りの形に付く。終止形で言いきる文に付いた場合が、 * な ( 格助 ) 《上代語》連体修飾語をつくる。 : ・の。一 ( 終助 ) ①感動や詠嘆の意を表す。 : ・なあ。・ : たこ終止形接続の③と、形のうえで紛れがちだが、動詞の 五人 0 = 「いづくより来きたりしものそ目まな交かひにもとなかか * な とだなあ。團春下「花の色は移りにけりないたづら終止形で文を言いきることはほとんどなく、多くは過去 りて安眠し寝なさぬ」訳↓うりはめば : ・一 当上代においてすでに限られた語の結合にしか使用さに我が身世にふるながめせし間に」訳↓はなのいろは : や完了の助動詞が付く。したがって、動詞や受身・使 れなかった。それらのうち「水みな門と ( 日港 ) 」「水みな元もと和毯 役の助動詞に付くのは③、過去や完了の助動詞に付 ↑源 ) 」「目まな子こ↑眼 ) 」「手たな心こ↑掌 ) 」など、現在②念を押す意を表す。 : ・ ( だ ) ね。・ : ぞ。火鼠の皮くのは②レ J 見て、意味上の吟味をする。 では一語化して用いられている語の中にわすかに残ってい衣「あべの大臣、火ねすみの皮衣もていまして、かぐや姫に るのが認められる。 すみ給ふとな」あべの大臣は、 ( 結婚の条件である ) 火ない〔地震〕↓なゐ ( 終助 ) 《上代語 ) ①自己の意志・希望を表す。・ ねすみの皮衣をもっておいでになって、かぐや姫のところにない・えん【内宴】 ( 名 ) 平安時代、陰暦正月一一十日こ * しよう。・ : したい。四・契〈「今しらす久邇くにの夫として通っていらっしやるというのだね。 ろの子ねの日に、宮中の仁寿殿に文章博士ら 都に妹いもに逢あはず久しくなりぬ行きてはや見な」訳新活用語の終止形や命令形、また係り結びの結びで文人などを召して行われた内々の宴会。管弦の楽を奏 たに天皇がお治めになっている久邇の都に ( いるので ) 、妻にある連体形や已然形、終助詞など文の言いきりの形、おし、参会者は題を与えられて詩文を作った。圈 なーないえ 〔六一五〕 文法 な
三四八〕 かめーかもの ば、「うしろには」という冠に対して、「逃け道のなき磯いその已然形に付く。 く〕今の京都市東部を南北に流れ、桂川に注ぐ川 陣」を付ける類。「笠かさ付け」とも。↓雑俳 目 ( 係助 ) 〔係助詞「か」に係助詞「も」の付いたもの〕 ( 文がも・な↓もが ( 終助 ) ・も ( 終助 ) ・な ( 終助 ) ・がも ( 終助 ) かめ【瓶・甕】 ( 名 ) ①水・酒・塩などを入れる底の深い中にあって係り結びとなり、文末の活用語は連体形にな かも・の・くらべうま【賀茂の競べ馬】 ( 名 ) 陰暦五 容器。②花瓶。「凵四「おもしろく咲きたる桜を長くる ) 疑問の意を表す。 : ・か。 : ・だろうか。万一五人四四「妹月五日 ( 現在は六月五日 ) に京都上賀茂神社の境内で いもが家、に雪かも降ると見るまでにここだもまがふ梅の花行われる競馬。騎手二十人を左右に分け、左は赤袍 折りて、大きなるーにさしたるこそをかしけれ」訳きれいに 咲いている桜を長く折って、大きな花瓶にさしてあるのは の、右は黒袍のを着て、競走する。夏 かも」妻の家に雪が降るのだろうかと見るほどにこうも 趣がある。 3 とっくり。瓶子いい たくさん散り乱れる梅の花であることよ。支法「梅の花か 亀山 ( ) 一地名一①今の三重県亀山市。東海道五十も」の「かも」は、日の用法。 三次の一つ。②今の京都市右京区嵯峨さがにある山。体言または活用語の連体形に付く。上代では「妹 大堰 2 お川に臨み、嵐山に対する。 いももわれも一つなれかも↑一体であるからか ) 三河なる一一 かも【鴨】 ( 名 ) 水鳥の一種。かも。雁かりが秋の訪れにか見の道ゅ別れかねつる」〈万葉三・毛六〉のように、已然形 競事 かわりをもつのに対し、鴨は冬のものとされる。冬 に付くことがある。 茂行 「かも」の用法は複雑であるが、基本は「か ( 終助詞・ 賀茂 ( かも ) ( 名 ) 上賀茂神社・下鴨神社の総称。 賀中 目 ( 終助 ) 〔終助詞「か」に終助詞「も」の付い睡係助詞 ) 」 + 「も ( 終助詞・係助詞 ) 」なので、「か」の用法に * か・も たもの〕詠嘆・感動の意を表す。 : ・であること亠準じて判断すればよい。文末に用いられている場合は、疑 よ。一古囹羇旅「天あまの原ふりさけ見れば春日響なる三 問か詠嘆か、全体の文意で判断する。 ↓「 4 競祭 おもに上代に用いられた助詞で、日は中古以降「かな」 笠の山に出いでし月かも」訳↓あまのはら : 亠和毯 をのの 寝体一 = 口または活用語の連体形に付く。 茂茂 皿にとってかわられ、その他の用法は衰えていった。また、已 賀賀 ( 終助 ) 〔係助詞「か」に終助詞「も」の付いたもの〕 Ⅷ然形に接続するのも上代特有の用法である。 疑問の意を表す。 : ・か。 : ・だろうか。万葉一卆一七天「率 * が・も ( 終助 ) ( 係助詞「も」に付いて「もがも」の形で ) 願望 ひて漕こぎ行く船は高島の阿渡あどの水門いなに泊はてにを表す。 : ・てほしい。 ・ : たらいいがなあ。一万五・会 0 「雪 けむかも」訳声をかけ合って漕いで行く舟は、高島のの色を奪ひて咲ける梅の花今盛りなり見む人もがも」 阿渡の港に停泊してしまったのだろうか。 訳雪の色を奪ってまっ白に咲いている梅の花は今満開鴨長明 ( 鋕 ) 『人名ズ = ? ) 鎌倉前期の歌 ② ( 助動詞「む」の已然形を受けた「めかも」の形、および、だ。 ( 共に ) 見るような人がいたらいいがなあ。 人・随筆家。法号蓮胤。賀茂御祖神社の神官の 形式名詞「もの」に付いた「ものかも」の形で ) 反語の意を「もがも」は、終助詞「もが」に終助詞「も」が付いた子。歌を俊恵に学び、管弦の道にも長じていた。後鳥 表す。・ : ( だろう ) か ( いや、 : ・ではない ) 。一喫一仮名序「古ものと考えるのが一般的で、「がも」という終助詞を認める羽上皇に召されて和歌所寄人ゆとなったが、のち出家 ことは少ない。「がもな」「がもや」「がもよ」も同じ。↓もが して大原山に隠世、また日野の外山に方丈の庵おを 肄を仰ぎて、今を恋ひざらめかも」医過去を仰ぎ見て、 現代を恋しがらないだろうないや、きっと恋しがるだろう ) 。が・もう【鵝毛】 ( 名 ) 鵝鳥の羽毛。白いもの、非常に結んで住んだ。著書に随筆「方丈記」、説話集「発心 一万葉一一 0 ・ = 0 〈七「渡り守舟出し出いでむ今夜ひのみ相軽いもののたとえに用いる。然一九三「一日の命、万金集」、歌学書「無名抄」、家集「鴨長明集」など。 見て後は逢あはじものかも」医渡し守よ、さあ舟出しょよりも重し。牛の値、ーよりも軽し」 ( 人の ) 一日の かも・の・まつり【賀茂の祭り】 ( 名 ) 京都上賀茂神 う。今夜だけ逢って、今後は逢わないようにしようというも命は、万金よりも重い。 ( それに比べ ) 牛の値段は、がちょう社・下鴨神社の祭り。陰暦四月の中第一 l) の酉とりの のであろう交いや、そうではないだろう ) 。 の羽よりも軽い 日 ( 現在は五月十五日 ) に行われる。かざりに葵 2 おを用い ① ( 「ぬかも」の形で ) 願望の意を表す。 : ・てほしいなあ。 : ・かも・かくも ( 副 ) どのようにでも。とにもかくにも。一たので「葵祭り」ともいう。また、石清水八幡宮れ辞うの ないかなあ。一一一『・三六五一「ぬばたまの夜渡る月は早一一一・三究「妹いもが家に咲きたる花の梅の花実みにしなりなば「南祭り」に対して「北祭り」ともいう。夏。↓葵祭り も出いでぬかも」夜空を渡る月は早く出ないかなあ。 ーせむ」訳あなたの家に咲いた花、その梅の花が実にさ古文で単に「祭り」といえば、多く葵祭りをいう。ま ( 「ぬばたまの」は「夜」にかかる枕詞 ) 。↓ぬかも えなったならば、当っと良思うままに ) しよう。 た祭りの翌日、斎王が紫野の斎院に帰るのを「祭りのか 毯体言または活用語の連体形に付く。ただし、②は賀茂川 ( ) 飃一地名歌枕一〔「加茂川」「鴨川」とも書へさ」といった。 ① 文法
〔六四四〕 なりーなりい 訳またうわさによると、侍従の大納言の姫君がお亡くな - 意味とを対照させた話として有名である。一時信濃 ら判別しなければならないが、②には、次のような傾向が りにな「たということだ。一徒然一〈九「『奥山に猫またといふも一に流されていた資賢が、許されて帰京した際、後白河法ある。 は鳴く」「衣打つ」など、音に関係のある動詞に付 のありて、人をくらふなる①』と人のいひけるに」「奥一皇の前で信濃に縁のある今様を歌ったときのことである。 山に猫またというものがいて、人を食うそうたよ」とある人 くことが多い。 「大納言拍子取って、『信濃にあんなる木曾路川』と が言ったところ。文法この「なる」は感動をこめた連体形 いふ今様を、これは見給ひたりしあひだ① J らんになっ ラ変型の活用語の連体形撥音便「あん・ざん・た 止め。 ていたので ) 、『信濃にありし木曾路川』と歌はれける ん・なん」、撥音便の撥音「ん」が表記されない ① ( 周囲の状況などから判断して ) 推定する意を表す。・ ぞ、時に取っての高名なる」 〈平家・六・嗄声〉 「あ・ざ・た・な」に付く。 ようだ。 : ・らしい。〔凵一六一「明けはてぬなり⑩」訳夜亠実際に自分が木曾川を見ていたので、伝聞の「あんな が明けてしまったようだ。 る」を経験の回想の「ありし ( 「し」は「き」の連体形 ) 」に変なり助動詞「なり」 ( 断定 ) の連用形。一新固羇旅「年たけ 寝毯ラ行変格活用を除く用言および助動詞の終止形皿えたというのである。 てまた越ゅべしと思ひきや命なりけりさ夜やの中山」訳 に付く。平安時代以降、ラ行変格活用をする語には連 〔学習〕「なり」の識別 ↓としたけて・ : 一和歌一 体形に付くが、上代には終止形に付いた。 ①断定の助動詞「なり」 なり助動詞「なり」 ( 伝聞・推定 ) の連用形。〔〔い〕一一 「男もすなる伝聞の「なる」、書くという ) 日記にきと「暁に、『花盗人あり』といふなりつるを、なほ枝など少 用未然連用終止連体已然命令 いふものを、女もしてみむとてするなり ( 日書くのであし取るにやとこそ聞きつれ」訳明け方に、「花盗人がい ( ケリ ) ( 0 ) ( コト ) ( ドモ ) る ) 」 〈田佐一〉る」という声がしたようだったが、それでも枝などを少し取る 活〇なりなりなるなれ〇 「艮 ( Ⅱ北東 ) の方より ( 風が ) 吹き侍れば、この ( 南の ) のであろうと思って聞いた。 田ラ行変格活用の語「あり」に接続した上代の用 御前ま、は、のとけきなり ( ⅱ穏やかなのだ ) 」 なり・あが・る【成り上がる】 ( 自ラ四 ) 勗〉身分の I 例には、次のようなものがあり、終止形に接続している。 △源氏〕野分〉低い者が高い地位にのほる。貧乏だった者が金持ちにな 「葦原の中つ国はいたくさやぎてありなり ( 日ひどく騒②伝聞・推定の助動詞「なり」 る。出世する。一今間一五・四「その後、ー・り⑩て僧都鴛ま いでいるということだ ) 」 〈古事記・中〉 「ねぶたきを念じて↑我慢して ) 候ふに、「丑うし四つ』 で成りて」訳その後、出世して僧都にまでなって。 「酔ひて、皆臥ふしてありなり (= 寝ているそうだ ) 」 はひ ~ こ①でき と奏すなり (= 奏上する声がする ) 。『明け侍りぬななり・あ・ふ引成り合ふ】 ( 自ハ四ニふ 〈正倉院仮名文書〉 り ( Ⅱ夜が明けたようです ) 』とひとりこつを」 上がる。完成する。氏一東屋「まだー・は①ぬ仏の御飾 平安時代以降、ラ行変格活用の語の連体形に接続 〈〔」三一三〉りなど」まだでき上がっていない仏前の御装飾など。 するが、「あんなり・たんなり・なんなり」のように撥音便にな 「朝廷諸にかしこまり聞こゆる人は・ : 安らかに身を ②十分成長する。一人前になる。些東屋「親なしと 皿り、「あなり・たなり・ななり」と書かれることが多い。 ふるまふことも、いと罪重かなり ( 日罪が重いというこ 聞き侮豊りて、まだ幼く、ー・は④ぬ人を、さし越えて、か 「唐人の目つくろふがあなるに↑目を治療する者がい とだ ) 」 〈籐氏須磨〉くは言ひ馴なるべしや」 ( 左近の少将は浮舟が ) 父親が るという、その者に ) 見せむ」 〈大鏡・道隆〉 上代には、活用語に付いた①の用例はないので、活ないと聞いて軽蔑して、まだ幼く、十分に成長していな - 「なり」は、「めり」が視覚で推定する意を持つのと対用語に付いた「なり」は、すべて②と見てよいのだが、中 い人に対して、 ( 年上の浮舟を ) さしおいて、こうして言い寄 照的に、聴覚で推定する意を表す。「なり」の付く動詞古になると、紛れがちである。右の例のように、活用語 ってよいものだろうか ( いや、言い寄ってはいけない ) 。 3 ひと 皿は、上代では、音に関連しているものがほとんとなので、「な のうち、ラ変を除く動詞型の活用のものは、連体形に つになる。いっしょになる。〔太平記〕一一七「平、い一揆の者ど り」の語源は、「音ね」または「鳴る」の「な」に「あり」が付い 付くのが①、終止形に付くのが②であり、形容詞型の も畠山とー・島⑩て、夜打ちに寄せたりと騒ぎ」平一 たものではないかと推定されている。この音を手掛かりに活用のものは、連体形「ーき・ーしき」に付くのが①、揆の者ともが畠山といっしょになって、夜襲をかけたと騒 Ⅷ推定する①のような意がもとになって、②の伝聞を表す意連体形「ーかる・ーしかる」の撥音便「ーかん・ーしかきたて。 Ⅷが生じ、「なり」の付く動詞も音に関連のないものが現れた ん」、撥音便の撥音「ん」が表記されない「ーか・ーし * なり・い・づ爿【生り出づ・成り出づ】 ( 自ダ下一 l) と考えられる。 か」に付くのが②であると見られる。 〈づい・れ・でよ 〉①生まれ出る。生まれつく。また、成長する。 「平家物語」〈巻六〉にある今様の名手大納言資賢 四段活用など、終止形と連体形の区別がっかない一源氏一匂宮「何の契ちぎりにて、かくやすからぬ思ひ添ひたる の逸話は、この「なり」の伝聞的意味と「き」の経験的場合や、とちらも連体形に付くラ変の場合は、文脈か身にしも、ー・で⑩けむ」訳いったいどんな宿命で、このよ 文法
いないなあ。「女の」の「の」は、いわゆる同格の格助 I らない。「めり」「なり」に接続して「まじかんめり」「まじかんを ) 拝見しただろうに。 一なり」と音便化し、撥音が表記されす「まじかめり」「まじか〕反実仮想の助動詞「まし」の未然形「ましか」 + 詞で、「・ : で」の意。「これはしもと」の「しも」は、強意の副 接続助詞「ば」・ : 反実仮想の助動詞「まし」 皿なり」となることが多い 助詞。 : ・ないつもリだ。一一一④「まじ」の連用形「まじく」はウ音便に、連体形「まじまじから助動詞「まじ」の未然形。「れ〔〕 = 六〈「およぶま ①打消の意志を表す。 : ・まい 御門の求婚「なほ仕。かうまつるまじき⑩ことを参りて申一き」はイ音便になることがある。「まじう」 ( 連用形の音便じからむ際きはをだに、めでたしと思はむを、死ぬばかりも さむ」やはり宮仕えするつもりはないことを参上して申一形 ) は中古に、「まじい」 ( 連体形の音便形 ) は中世以降に思ひかかれかし」手が届きそうもないような身分の女 性であっても、すばらしいと思うような女性を、死ぬほどに し上げよう二一一・先帝身投「わが身は女なりと亠現れる。 も、敵 2 たの手にはかかるまじ⑩」わが身は女であって - 6 次の例で明らかなように、「まじ」は「べし」の打消にあも恋いこがれるのがよいのだよ。「思ひかかれ」は命令 形の放任法。 亠たる語である。 も、敵の手にはかからないつもりだ。 「夢をも仏をも用ゐるべしや用ゐるまじゃ、定めよとなまじかり助動詞「まじ」の連用形。一大道隆「この入 寝活用語の終止形に付く。ただし、ラ変型に活用す 〈蜻蛉・中〉道殿の御栄えの分けらるまじかりけるにこそは」こ る語には連体形に付く。 なお、次の用例は副詞の「え」があるので、⑤ではなく、の入道殿 ( 日道長 ) のこ栄華が ( 他に ) 分けられそうになかっ 未然連用終止連体已然命令 たのであろう。 用 ①の類例と見るべきものである。 ( コト ) ( シテ ) 「えとどむまじければ ( Ⅱ止めることができそうもないのまじかる助動詞「まじ」の連体形。多く撥音便「まじか ( ドモ ) ( 0 ) まじき ( ム ) まじく ん」の撥音が表記されない「まじか」の形で用いる。氏一 活まじからまじかりまじまじかるまじけれ〇一で ) 、たださし仰きて泣きをり」 ( メリ ) 〈竹取・かぐや姫の昇天〉若紫「仏の御しるべは、暗きに入りても、さらにたがふまじ Ⅷ⑥「まじ」は平安時代以降に用いられ、上代には「ましかなるものを」医仏の【」案内は、暗い所に入っても、決 未然形に「まじく」を認める説がある。 「かの左衛門の督かみまかりなるまじくは (= 昇任しそう亠じ」が用いられた。中世以降連体形の音便形「まじい」がして違うはすがないというのに。〔夜の寝覚〕「御前の御手 に劣らせ給ふまじかめり」あなたのこ筆跡にお劣りに もないなら ) 、よしなし。なしたぶべきなり↑私を中納言一終止形・連体形として用いられ、やがて「まい」に転じて、 〈大鏡・為光〉亠現代語の「まい」につながる。「まい」の用例は中世末期かなられそうもないようだ。 に任命なさるべきだ ) 」 まじき助動詞「まじ」の連体形。一竹幽仏の御石の鉢 一「など祇王は返事はせぬぞ。参るまじいか。参るまじら見られる。 〈平家・一・祇王〉ましか助動詞「まし」の未然形。〔一「もし海辺にて詠「なほこの女を見では世にあるまじき心地のしければ」 皿くはそのやうを申せ」 - のような「まじくは」は仮定条件の表現であるから、未然まましかば、「波立ちさへて入れすもあらなむ』とも詠みて訳やはりこの女と結婚しなくてはこの世に生きていられそ 一形の「まじく」に接続助詞の「は」が付いた形と見る立場ましや」もしも海辺で詠んだとしたならば「波が立「てうもない気がしたので。 朏である。しかし、一般には、連用形の「まじく」に係助詞のじゃまをして ( 月を海に ) 入れないでおいてほしいものだ」とでまじく助動詞「まじ」の連用形。〔凵〈 = 「司召さに 少々の司得て侍らむは、何ともおばゅまじくなむ」訳 も詠んでいただろうか。 Ⅲ「は」の付いたものとする。 一「世の有り様など、思おぼし分くまじくは見奉らぬを ( 日ましか助動詞「まし」の已然形。氏若菜上「故入道司召に少しばかりの官職を得たにしましても、 ( うれしくも ) 一」分別なさることができそうもないとは拝見しないのに ) 」の宮おはせましかば、かかる御賀など、われこそすすみ仕。か何とも思われそうにないのです。 〈源氏・総角〉うまつらましか」函亡き入道の宮 ( 日薄雲の女院 ) が生まじけれ助動詞「まじ」の已然形。一竹幽かぐや姫の昇 一とある「まじくは」は、明らかに連用形に係助詞「は」の付きていら「し 0 0 たとしたら、このような ( 四十歳の ) お祝いな天「えとどむまじければ、たださし仰ぎて泣きをり」訳 いたものである。ウ音便になった「まじうは」の形は、すべてど、私↑光源氏 ) がすすんでしてさしあけただろうのに。 ( 「お ( 姫を ) 止めることができそうもないので、ただ仰ぎ見て泣い ている。一「物語するさまこそ・ : 尽きすまじけ Ⅷ仮定条件にはならない。「まじくは」の形には、意味上一一はせましかば」の「ましか」は、未然形 ) ましか・は・ : まし反実仮想を表す。事実に反することれ」話をするようすは・ : 終わりそうもない。 一種類あることに留意したい。 一和歌では「じ」が多く用いられ「まじ」はあまり用いられや、実現しそうにないことを仮に想定し、その仮定の上にましじ ( 助動特殊型 ) 〔助動詞「まじ」の古形〕 ( 上代 ない。また、漢文調の文章では「まじ」のかわりに「べから立って推量、想像する意を表す。もし : ・ ( た ) なら、 : ・ ( た ) だ語 ) : ・まい。 : ・ないだろう。 : ・はずがない。一 = 0 ・四四〈 = ろう ( に ) 。一養一帚木「昼ならましかば、覗のぞきて見奉り「堀江越え遠き里まで送り来ける君が心は忘らゆましじ Ⅲす」がよく用いられた。 0 ③「まじ」の連体形「まじかる」の用例はほとんど見当たてまし@」日中だ「たなら、 ( 私も ) のぞいて ( 光源氏⑩」訳堀江を越えて遠い里まで送ってきたあなたの心は 〔七七九〕 ましかーましし 文法
主要助動詞活用表 ( 基本形 ) ( 未然形 ) ( 連用形 ) ( 終止形 ) ( 連体形 ) ( 已然形 ) ( 命令形 ) ( 活用型 ) ( 接続 ) 推量 ら p. 911 し め べしべから 8 譱り p. 777 p. 755 ましか 〔ませ〕 〇 〇めりめりめるめれ〇ラ変型 ( べかり ) 〇ましましましか〇特殊型未然形 〇 〇らし けむけむ ( けん ) ( けん ) 〔らしき〕 べき ( べかる ) けめ〇四段型連用形 らし〇特殊型 べけれ〇ク活用型 終止形、ラ変 には連体形 ( 意味・用法 ) 過去のある動作・状態を推量する意を表す。・ : ただろう。 ① ていただろう。 ② ( 疑間語とともに用いて ) 過去の事実について、時・所・原因・ 理由などを推量する意を表す。・ : たのだろう。・ : ていたのだろ 3 過去の事実を人づてに聞き知ったように婉曲最くに表す。・ : た レ J し、つ ・たとかい、つ 目前の事実について推量する意を表す。・ : ように見える ① よ、つだ。 ②断定を避けて婉曲最くにいう意を表す。・ : ようだ。 ①ある根拠・理由に基づき、確信をもって推定する意を表す。 ・にちがいない。きっと・ : だろう 終止形、ラ変②明らかな事実・状態を表す語に付いて、その原因・理由を推 には連体形定する意を表す。・ : ( と ) いうので : ・らしい 3 根拠・理由は示さないが、確信をもって推定する意を表す。 ・にち力いないきっと・ : だろう ① 推量の意を表す。のある事の起こることを予想する。・ : そう ・にち力いない ④確実な推測を表す。きっと・ : だろう。 ② 予定の意を表す。 : ・ことになっている 終止形、ラ変・当然の意を表す。・ : はずだ。 ・にちかいない 適当の意を表す。・ : がよい 0 : が適当だ。 には連体形 0 義務の意を表す。 : ・なければならない 0 可能、または可能性を推定する意を表す。・ : ことができそう ・ことかできよ、つ ( 終止形を用いて ) 意志を表す。・ : う。・ : よう。・ : つもりだ。 ①の ( 「ませば・ : まし」「ましかば・ : まし」の形て ) 事実に反するこ とを仮に想像し、仮想する意を表す。もし : ・ ( た ) なら : ・ ( こ ろう ( に ) 。イ ( 「未然形 + ば」など仮定条件句を受けて ) 仮定の上 に立って仮想する意を表す。・ : ( た ) だろう ( に ) 。 ② ( 単独て用いて ) 仮定の条件を含んての仮想の意を表す。・ : た ら ( よかった ) 。 3 ( 「いかに」「なに」「や」などの疑問の意を表す語とともに用い て ) 決断しかねる意を表す。・ : たらよいだろう。・ : オ こものだろう : だろ、つ。 ④ ( 中世語 ) 単なる推量の意を表す。 : ・う。 : ・よう。 〔九六〇〕