情報化 - みる会図書館


検索対象: 「東京集中」が日本を滅ぼす
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1. 「東京集中」が日本を滅ぼす

る。日本経済の規模を考えれば、大阪あたりにそれなりの規模の国際金融センターがあってもお かしくないし、ポスト香港を沖縄が狙ってもいいではないか。最近、「株先五〇」の新設やアジ ア株の上場問題など、大阪の証券取引所の意欲的な活動が目だつが、東京とは少し違ったタイプ の国際金融センターの形成は可能なはずである。 情報化も東京集中の原因に 「情報」、「情報化」、「情報化社会」といった言葉に対するイメ 1 ジは、なんともあいまいで不明 確なものである。いろいろむずかしい定義もあるようだが、「情報 (information) 」とは、「そ れを通してなんらかの知識が得られるようなもの」と考え、そうした情報の重要性が増大し、ま たより広範な影響を及ぼすようになることが「情報化」であり、その情報化が進んだ社会が「情 報化社会」だといった国語辞典的定義がより理解されやすいであろう。 ねより具体的に、情報化ということのどのような面が地域経済に影響を及ぼすかといえば、四点 のほど指摘できよう。 集 第一は、「情報というものの価値が経済社会で占める比重がモノの価値などとの比較において 高まる」ということであるが、これについては、むしろサービス経済化の一貫としてとらえるべ 章 一きだということは、すでに述べたとおりである。 第二は情報関連産業というものが今後の成長産業のひとつであり、その立地が地域にとって魅

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報化が進むと地方の権限にしてもこなしていけるということがある。しかし、逆にこれまでは民 間企業と中央官庁の直接接触が、時間と費用の両面においてむずかしかったがゆえに地方の権限 とされていたものも、ニ = 1 メディアを活用したコンタクトが容易になってしまうと、中央官庁 の権限にしてもよくなってしまうともいえる。 あるいは、沖縄の南北大東島では、これまで那覇からビデオにして送られてきたテレビ番組を 有線放送で見ていたが、衛星放送の開始で東京からの電波を直接受けることになり、テレビの分 野における那覇の情報発信機能は、この地域に対して失われた。 また、ある電器メーカーは最近、地方における営業所を大幅に集約化した。直接販売店とコン タクトしなくとも、商品の動きを刻々とっかめるようになったからである。 ともかく、これまでの動きを見る限り、情報化による経済社会活動の広域化は地方における利 便性の向上をもたらしてはいるが、ローカルな情報発信機能はむしろ衰退しつつあるといえよ それでは、地方が情報化の進展のなかで、情報発信機能を強化していくためには、どうすれば よいかといえば、従来の圏域にこだわらないより広範な、できれば全国的、さらには国際的な広 がりをもった情報発信機能を獲得していくことしかあるまい。 放置すると東京五 000 万人時代も

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この地域発展のためのもうひとつの方向は、情報化の進展を活用して地域内多極分散化を図る ことである。「情報化が進むと経済社会活動が広域化する」、「そうしたとき元来分散型の国土構 造だと一極集中が進むとは限らないが、東京のようにもともとすべての意味で強力な都市が存在 すると、情報化は一極集中促進要因となる」ということはこれまでに本書でもたびたび書いたと おりである。 そうした観点からすると、中国四国地方に核となる都市がないということは、情報化という流 れのなかで分散型の地域構造を実現しやすいということになる。 だとすれば、私のいう全国首都化構想のミニ版をこの地方でやってみてもいいのだ。行政機関 の情報化というのを徹底的に進め、行政機関相互、民間と役所の接触から、できる限りフェイ ス・トウ ・フェイスの要素を排除しうる体系をつくりあけるということを試みてはどうか。た とえば、四国など各県庁と各省出先機関にテレビ会議実行可能な施設を設置するにはたいへん向 いているので、国が実験的に援助してはどうか。そうすれば、通産省の出先が高松で、郵政省の 出先が松山でも、不便でもなんでもなくなる。 ただ、強調しておきたいのはケチな施設整備でお茶を濁すのならやらない方がいいということ である。設備の質よりも問題は量である。せつかくテレビ会議設備を設けても、使いたいときに 、ソコン、 使えないようでは、仕事の手順のなかに組み込んでいけないからである。ワー。フロ、 ファックスなどなんでもそうだが、役所では自らのオフィスの情報化を進めることがひとつの先 220

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情報を得やすくなるので、地方分散の促進が図れるとしている。 ー・キャ。ヒタル ) という構想もあって、これは特定の産業に さらに特定産業首都 ( インダストリ 関する研究所、展示場、行政機関を地方都市に集めるというものである。教育については、地方 大学を特色のあるものにすることや、山紫水明の地に学園都市を建設することもうたわれてい だが、こうした考え方にはいくつか問題がある。一応、列挙だけしておくと、第一は東京の問 題と大阪、名古屋の問題を同一視していることである。第二は、中枢管理機能の地方分散の必要 性を唱えながら、情報化時代、国際化時代の中枢管理機能の集積地としてはもつばら東京や大阪 年が想定されていることである。第三は、「山紫水明の地に学園都市を建設する」という構想に表 8 れているように、第三次産業〈の波及効果に対する配慮の比重が低いことである。第四は情報化 ということを考えるにあたって、地方を主として情報の受け手としてとらえており、地方が情報 本発信機能を備えていくことに対する必要性の認識が低かったことである。 日 AJ 島 三全総と定住構想 日 「三全総」、「定住圏」、「田園都市」、「地域主義」、「地方の時代」、「文化の時代」、「心の時代」。 一一これらの言葉が「列島改造論」が破綻したあと何年かの地域問題を方向づけた。 第 オイル・ショックで高度成長の時代が終わったのが誰の眼にもはっきりしていた。情報化や国

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て、仕事を地方のソフトウェア・ハウスがとることも可能である。実際、沖縄や北海道のような 従来は本土に生産品を売ることがむずかしいと考えられていた超遠隔地域での成功者が出ている ことは、注目すべきである。ただし、その前提としては、かなり人件費が安いことが条件になる ようで、歓迎すべき現象ともいえないところもある。 第三点については、ともかく「コン。ヒュ 1 タもそれ自体はただの箱で、ソフトウェアを伴って 初めて使いものになる」とまでいわれているほどであり、各地方にとってソフトウェア業の育成 というのは大きな課題となっているわけだが、ソフトウ = ア業の都道府県別の分布をみると、東 京だけで三四パーセントとなっているのが現状で ( 通産省調べ ) 、東京集中の促進要因としての性 格が強い。 第四点の、ニュ 1 メディアの発展により経済社会活動が広域化するということについては、二 面性がある。プラスの面としては、地方においても東京や日本の他の地方、さらには海外の情報 ねヘアクセスすること、逆に地域外への情報送信をすること、このいずれもが容易になるので、地 の方における生活や産業活動における利便性が向上し、場合によっては、競争力も向上するという 集 ことがある。 京 しかし、その一方、情報の流れの広域化は、ローカルな情報発信機能を不必要にしていくこと 一になることが多い。たとえば、役所の仕事について考えれば、これまで地方の出先や自治体で は、情報不足で十分な判断ができないだろうというので中央官庁の権限とされていたことも、情

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ない。ここに仮に課と課があって、どちらの課でも政策立案業務と許認可・事務処理的業務 があるとすれば、 << 課も課もそのままでは地方移転させられなくても、これらを・政策課 と << ・業務課に再編成すれば、後者の方は地方移転させやすい あるいは、地方移転したセクションには、東京事務所ないし駐在員を認めるということなら ば、かなりの不便は解消する。地方に本社のある企業や、地方自治体と同じスタイルである。た とえば、本省の局というのはだいたい七 ~ 八の課と一五〇人程度の職員からなっており、局長と 審議官 ( 次長クラス ) がいる。 これを名古屋に移転するとする。この場合、東京には審議官と参事官 ( 課長クラス ) 、それにあ と数人のスタッフを置いておけばよい。国会の答弁は、通常なら局長が行うべきものは審議官が することにすればよい。予算説明など不便だということになろうが、これも大蔵省の担当官が二 す人、名古屋に日帰り出張をすれば、五〇人の人間が名古屋から出張してくる必要はなくなる。 提それに、情報化の進展は、中央官庁の行政組織の地方展開を、より広範に進めて行きうる材料 を ・フェースの結びつ である。情報化時代は情報の重要性が増す時代なのだから、フェース・ツー 都 首きがより重要になってくるので集中が進むという意見がある。牧野昇氏は次のようにいう。 全 モノよりも情報よりもヒュ 1 マン・コネクションが大切な時代なのだ。注文をとるにしても 四電話では駄目で、やはり人間が行って直接会わなくてはならない。単なるコミュニケーション 5 なら電話ですむところだけど、情報化社会が進めば進むほど、人と人との触れあいが大切にな

7. 「東京集中」が日本を滅ぼす

これは情報化というものの一面である「情報の重要性が増す , という状況についてのひとつの 真理を含んだ指摘である。だが、国際化という観点からいっても日本人はこれまでのフェース・ ・フェース過度重視を改めねばならない。「机の上に何枚名刺を置いていったとか、何回訪 ねてきたかで熱意を判断する」、「文書での問い合わせに迅速に返事を出そうとしない」、「一緒に 酒を酌み交わさないと腹を割った話ができない」などというのが国際化が進むなかで許されるも のでないし、そういう悪習を改めることは東京集中排除にも必要なことである。 それに情報化のもうひとつの側面であるニュ 1 メディアの発展は、確実にフェース・ツー = ースの接触の必要性を減らすものである。そのことについての分析は、すでに情報化が地域開 発に対してどのような影響を与えるものであるかということについて論じたときに、詳しく述べ たので一般論を繰り返すことはしないが、ニューメディアを行政機関が本当に使いこなすように なれば、中央官庁の組織の一部が地方にあっても、そう不便なものではなくなると思う。テレビ 会議設備があればヒアリングなどには十分使える。 しかし、現状からすれば役所のニューメディアへの取り組みは、恐ろしいほど遅れている。役 人の名刺には、まずファックス番号が記入してない。役所では、省庁内部の組織間相互くらいし かファックスで書類を送ったり、受け取ったりすることを、予想していないのである。 今すぐこ、 冫たとえ沖縄のような遠隔地でも中央省庁業務の一部を引き受けることも可能だと思 136

8. 「東京集中」が日本を滅ぼす

東京集中がこれ以上進んでいくのかどうかについては、少数ではあるが楽観論も存在する。っ まり、国際化、情報化などによって過渡期的には東京集中は進むかもしれないが、それは国際 化、情報化といった現象の恩恵をまず東京が最初に受けるからであり、それらが徐々に地方まで 浸透してくれば、東京の優位は消えるはずだという考え方である。 それから、日本人の価値観の変化が進んで、「都へ上って一旗揚げる」という考え方が廃れ、 またいくらか東京の方が少し給料が高いとか社会的に名誉がある仕事が多いといっても、生活の 実質的な水準が高い地方の方がいいという人が多くなれば、自然と東京集中傾向は減速するので はないかという意見もある。 これらの指摘は、一面の真理としては間違っていない。しかし、国際化とか情報化があるとこ ろでスロ 1 ダウンするならともかく、次々新しい段階に入り、それが、漫然と東京から進められ ていくことになれば、やはり東京への集中は進まざるをえない。 ねまた価値観が変わるといっても、いつの時代にもどこの国にも「都で一旗」という人はいる。 の最近のように地域間での所得が拡大しつつあるということになれば、「少し」くらいの所得の差 集でもなくなってくるかもしれない。 とくに、新しい産業群では、従来型の全国的企業労働組合が 成立しにくい面があり、これが給与面での地域格差を拡大させるおそれが強い。 一さらに、東京には若年人口が集中しているので、たとえ新たな人口流入がなくても、自然増だ 第 けでも他の地方よりかなり高い人口増加率を覚悟する必要がある。それに最近では、「東京へ行

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かなりよくできたものであり、なによりもダイナミズムがそこにあった。いまなお、なにか あると「もう一度あの構想を」という声が出るのにもそれだけの理由がある。 この構想は土地の値上がりに加え、オイル・ショックとの遭遇で構想の基礎となる経済成長が 見込めなくなって挫折したが、それでもこの時期に工業再配置政策の確立、土地対策の充実、国 土庁の設立などが行われて、それそれ一定の効果を上げた。 しゅうえん さて、いまの時点でこの『日本列島改造論』を読み返してみると、高度成長の終焉に伴い妥当 性を喪失した部分を別にすれば、最も気になるのは中枢管理機能の地方分散、第三次産業の役 割、情報化への対応に関する考え方である。 つまり、ここでは中枢管理機能こそ「現代の都市の中心的な機能」だといい、現実の地方都市 は「工場や商店があっても中枢管理機能や文化、学問の場がとぼしい」ので「地域活動の完結性 も低くなり」、こうして「経済、社会、文化の機能は、ますます大都市に集中する」。 そして、「東京、大阪などの大都市が情報化時代、国際化時代の中枢管理機能の集積地として 十分な役割を果たすためには、現在のような錯綜した機能を整理し、機能の純化をはかることが 必要である。そのためには、必ずしも大都市に立地する必要のなくなった工場、大学、研究機関 などを地方に分散すべきである。また、行政機関についても地方自治体に許認可権を大幅に移譲 する」としている。 また、情報化社会については、それが「中央集権的な社会だと考えるのは誤り . で、地方でも

10. 「東京集中」が日本を滅ぼす

よる注目のレポ 1 ト。 六十一年 ) ー・ー地方の時代のスター群像。平易で要領のよ 『地域振興と情報化戦略』地域情報化研究会 ( 通商産業調 い好著。 『地域づくりと企業家精神』清成忠男・高寄昇三・田村明査会昭和六十一年 ) ーー情報化と地域経済について通産 ( ぎようせい昭和六十一年 ) ーーむらおこし運動の提唱省でまとめたもの。 『東と西の語る日本の歴史』網野善彦 ( そしえて昭和五 者である清成氏らが参加して開かれたシイホジウムの記 十七年 ) ーー東日本と西日本の歴史的な成り立ちを興味深 録。適切な視点に基づく好企画。 く解説。 『甦るか、地域経済』山崎充 ( ぎようせい昭和六十一一 『岩波・現代ふるさと情報』 ( 岩波書店昭和六十一一年 ) 年 ) ーー現在、地域経済が直面している問題をよく整理し ー・ー都道府県別の現状と問題点を一冊の本で概観できる。 て解説。 読み物として面白い。 『地域活性化の発想』五十嵐富英 ( 学陽選書昭和六十一一 『日本早わかり県別テータブック』研究所昭和 年 ) ーー高い自立意識に支えられた地域活性化への方向を 豊富な実例とともに紹介。 六十一一年 ) ーーー経済、文化、社会風土など広範な分野のデ ータを集め、実用性が高い。 『一村一品のすすめ』平松彦 ( ぎようせい昭和五十七 『各県別・路地裏の経済学』竹内宏 ( 中央公論社昭和六 年 ) ーー・著者は大分県知事で一村一品運動の提唱者。 『これから一 0 年驚くべき東京新図式』尾原重男 ( 青春十一年よりシリーズで刊行 ) ーー月刊誌『 Will 』連載記 出版社昭和六十一一年 ) ーー東京が果たしている役割、こ事をまとめたもの。 れから予想される変化について、信頼性が高く豊富なデー タを駆使して解説。 なお、四全総に関する新聞記事としては、昭和六十一年 『ザ・ジャパン・コリドール・プランニ一世紀の日本列十二月一一日、六十一一年五月一一十九日、六月一一十七日の各紙 文島を設計する』研究所昭和六十一一年 ) ーー世界面。雑誌記事では、『中央公論』 ( 六十一一年八月号 ) の特集 が重要。 を考える京都座会の石井威望車只大学教授らのグル 1 。フに 283