カリフォルニア - みる会図書館


検索対象: コメをどうする
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1. コメをどうする

し、カリフォルニアの中粒種はカルローズと呼ばれる品種で、ジャポニカの血が濃く、食 味も日本人向きである。 米国を旅行した日本人がよく「カリフォルニア米のごはんはおいしいーというが ( ただ し、日本国内で食べると政府標準米程度という意見が多い。炊き方の問題もあるかもしれ ない ) 、日本人好みの品種はこのジャポニカ系中粒種である。カリフォルニア州にある国 ウダ 府田農場産の「国宝ローズ」もこの品種である。 したがって、日本人の主食用米に適したコメ ( カリフォルニア産中・短粒種 ) の栽培 は、現在一五万ヘクタール、もみ一二六万トン ( 玄米九六万トン ) であり、短期的にはこ れが対日輸出可能量の上限である ( 米国の国内消費をゼロとして ) 。 大した量ではない。しかし、品種改良と栽培技術の開発により、現在の長粒種地域でも 情ジャポニカ系中粒種の教培は可能とみられているので、長期的には潜在的な対日輸出可能 量は数百万トンあるという見方がある ( 注 3 ) 。 米もちろん、これは物理的な米作可能面積がそれだけあるというだけのことである。それ は、仮に日本が輸人自由化した場合のモノの供給能力であって、日本人が実際に輸人米を 第 好んで食べるかどうかはわからない。エンゲル係数が低下し、家計支出に占めるコメ代金

2. コメをどうする

米国の地域別・品種別コメ生産量 資料 3 ・ 1 収穫面積 単収 生産量 (1000ha) ( もみ、 kg / a ) ( もみい 000 トン ) 円年円 86 年 円田年円 86 年 四田年 円 86 年 Long g 「 aln ( 長粒種 ) カリフォルニア州 ルイジアナ州 ー州 ミシシッヒ ミズーリ州 テキサス州 2 ′ 598 2 ′ 292 69 479 638 655 485 5 803 5 ′ 009 4 ′ 438 593 852 引 3 605 575 706 6 田 497 386 8 4 80 26 738 523 457 493 460 532 499 田 5 ロ 3 27 し 004 計 Medium g 「 ain( 中粒種 ) カリフォルニア州 ルイジアナ州 ミズーリ )IIII テキサス州 206 994 2 503 し 423 750 83 2 ′ 789 606 862 5 田 555 504 726 558 768 454 437 465 599 34 48 90 絽 5 田 5 3 465 4 し 462 3 202 一三ロ Sho 「 t graln ( 短粒種 ) カリフォルニア州 ミズーリ州 56 433 605 874 577 793 448 759 0 22 2 円 5 0 LO 0 LO To ( 合計 ) アーカンソー州 カリフォルニア州 ルイジアナ州 ミシシッヒ。ー州 ミズーリ州 テキサス州 ニ = ロ 円 7 4 引 869 23 2 ′ 5 圓 623 4 幻 507 594 3 57 240 6 773 863 し 856 し 258 270 ロ 2 455 引 0 し 228 879 ロ 6 80 492 605 6 刀 485 27 457 巧 6 574 234 527 7 田 し 236 し 535 963 540 633 8 ′ 289 6 ′ 097 ( 資料 ) USDA, AgriculturaI Statistics 円 84 , および USDA, Annual Crop Summary, Janua 「 y 四 87. 一三ロ 21 2

3. コメをどうする

生産費は日本の九分の一 大規模生産と技術革新の成果で、カリフォルニア米の生産コストは低い。表 3 ・ 3 に示 すように、白米一トン当たり三万九五三六円で、日本の生産者米価の九分の一である。日 本は労働費と農機具費がとくに高い。これは規模の零細性からくるコスト高である。しか し、規模の利益に関係ない肥料費なども高いのは問題である。 カリフォルニア米を日本に輸人したら、価格はいくらになるか。まず、生産地から輸出 港までの米国内の流通経費を含んだ価格は、一九八六年八月現在のカリフォルニア 産中粒種「精米一等級ーで一トン当たり三三〇ドルである。これの日本への推定輸人価格 ( 運賃・保険料込みの価格 ) は三六五ドル、円換算で六万円弱である ( 一ドルⅡ一 六〇円 ) 。日本国内の流通経費を一〇キロ当たり四〇〇円とすると、一〇キロ当たり約一 〇〇〇円で消費者の手元に届くことになる。日本の標準価格米 ( 一〇キロ三八六七円 ) の 四分の一、コシヒカリ、ササニシキの銘柄米 ( 六〇〇〇円 ) の六分の一の安さだ ( 注 5 、 6 ) 。 ただし、これらの価格は、世界的なコメ不況で価格が暴落した水準との比較であ るから、カリフォルニア米の平常時の価格との比較では、格差はもっと縮小しよう。 ( 注 5 ) フレート等を小麦並みの一トン当たり三五ドルと仮定した。小麦は一トン当たりフレート一八ド

4. コメをどうする

米国の稲作地帯 偏在するコメ地帯 川沿いを中心とした南部 ( 五州 ) 米国の稲作地帯は偏在している。一つはミシシッピー であり、もう一つはカリフォルニア州であるが、両地域のコメづくりは大きく異なってい 南部は高温多湿で、日本の夏に似ている。水資源は河川水の利用もあるが、ポンプアッ プした井戸水の利用が多い。品種は長粒種が主体である。農家規模は一〇〇 ( クタール程 度だ。 これに対してカリフォルニア州では、サンフランシスコの北東一五〇キロメートルのサ クラメント・バレーが稲作の中心地であるが、ここは乾燥地帯なので、水はすべてイリゲ かんかい ーション ( 灌漑 ) に依存している。また、乾燥地帯で病虫害の発生が少ないため、農薬消 費量が少なくてすみ、その分、低コストになっている。農家規模は平均一七〇ヘクタール で、南部の二倍ぐらいある。品種は中・短粒種が多い。 ①

5. コメをどうする

もちろん、先に表 3 ・ 4 に示したように、米国国内の市場価格も、従来のトン当たり二 〇〇ドル水準から、八五年度には一四四ドル、八 , ハ年度には一〇〇ドル未満に下がった。 このように、いま世界のコメ産業は深刻な不況にあえいでい。 タイ米の強さの背景 コメの国際的プ一フィス・リーダーはタイ米である。また、世界最大のコメ輸出国もタイ である。表 4 ・ 2 に示すように、一九七〇年代の最大の輸出国は米国であったが、八〇年 代にはいるとタイが米国を抜き去り、八六年現在では米国の二倍近くに達している。タイ の輸出量は世界輸出一二八六万トンのうち四三四万トンを占める。 タイ米は強い競争力をもっている。しかし、生産性は高くない。一〇アール当たり単収 開はカリフォルニアの六九〇キロ ( 玄米 ) 、日本の五〇〇キロに比べ、タイはわずか一六三 市 キロと低い。また小規模営農であるため規模の利益もない。 の 「それにもかかわらず、カリフォルニア米より生産コストが低いのはなぜか。第一には、 章 二〇分の一の低賃金である。第二に、先の表 3 ・ 3 にみるように、農薬・肥料などの近代 第 的資材を使わないために資材コストが安い。つまり、タイ米はコストをかけない粗放救培 129

6. コメをどうする

も二 % 程度と低いので、消費者は価格は高くても良質米を選好する傾向にあるからだ。 また、長期でみたとしても、米作面積拡大余地の大きい南部で「国宝ローズ」級のコメ がどのくらい生産可能かはまったくわからない ( カリフォルニア州では米作面積拡大の余 地は小さい ) 。米国からコメがどのくらい輸人されるかについては、情報不足というのが 実態だ ( 注 4 ) 。 カリフォルニア米の生産費は、玄米六〇キログラム当たり約二二〇〇円である ( 一ドル Ⅱ一六〇円換算。なお、一トンで約二三〇ドルⅡ約三万六八〇〇円 ) 。ただし、不足払い を含めて農家が受け取る所得補償的な価格 ( ターゲット・プライス ) はもみ六〇キロ当た り二五一九円である。日本の生産者米価 ( 一万八 , ハ六八円 ) の七分の一だ ( 南部のコメ生 産費はもっと高く、玄米六〇キロ当たり二九〇〇円程度 ) 。米国のコメは補助金づけだと いわれるが、それでも価格は日本の七分の一と安い。 ( 注 3 ) 宮川淳「なぜ米国は日本をうかがうか , ( 『エコノミスト』八七年一月二〇日号 ) は、米国の米作適 地面積は四〇七万 ( クタール、輪作等を考慮した作付け可能面積は二〇一万 ( クタールまで拡大可能とし、 増産分がそっくり輸出にまわされた場合、米国のコメ輸出は玄米で最大五〇〇万トンは可能とみる。逆にい えば、米国が日本のコメ生産 ( 約一一〇〇万トン ) 全部にとってかわることはありえないということにな

7. コメをどうする

序章食管自由化こそ農業を活性化する 図 1 コメの土地生産性の推移 ( 日米比較 ) 700 690k9 カリフォルニア州 600 田アール当たり単収 ( 玄米 ) 日 508k9 ( 平年作 ) 400 は第 3 章で述べる 各ように、品種改良 と、レーザー光線 な の利用で水管理が よくなった成果 われわれ日本人 8 産 は「コメづくりは 水 。日本が一番」と思 8 年 害 っている。しか はポ 6 省し、米国のほうが 林技術水準が高い。 本農 しかも、米国農業 は輸出を前提にし ている。昨年 ( 一

8. コメをどうする

米国コメ事情 第 3 章 米国の稲作地帯 図 3 ・ 1 太平洋 アーカンソーや テキサス 大西洋 シシッヒーー ルイジアナ ア カリフォルニ 米国のコメ生産量 ( 1986 年 ) 表 3 ・ 1 ( もみ l, 000 トン , % ) 中粒種 短粒種 計 長粒種 994 206 4 ( 20 . 6 ) し 258 ( 4 にの 2 ′ 500 ( 2.6 ) 6 ( 8 . 0 ) 485 879 い 4.4 ) い 3.4 ) 8 円 6.097 い 00. 0 ) ( 刪 . の カリフォルニア州 69 アーカンソー州 2 ′ 292 ズ ー州 ミンシッヒ 485 ルイジアナ州 638 サス 州 テキ 803 計 4 ′ 438 し 462 ( 72.8 ) ( 24 . の AgricuIturaI Statistics Board, NASS USDA, ( 資料 ) 月〃〃リッ Crop Summary, January 円 87. 四 5 2 2 ( 3.2 ) 9 ラ

9. コメをどうする

第 5 章食管改革論 表 5 ・ 3 コメの保護費用 ( 参考 ) 消費者負担の推計基礎 消費者 合計 食糧負担 国内生産量国内生産者 管理費 輸入価格 価格 ( 億円 ) ( 億円 ) ( 億円 ) ( 万トン ) ( 千円トン ) ( 千円トン ) 昭和 45 年度 4.8 田 5 ′ 390 ′ 2 刀 し 269 ロ 7 . 9 95 . 4 50 ロ′ 3 22 ′ 532 259 . 5 8 . 2 55 田′引 4 給′ 7 引 27 ′ 245 975 294 . 6 に 3 . 0 60 6 ′ 952 26 ′ 270 33 ′ 222 85.8 6 38 35 ′ 968 29 , 830 ( 55 . 0 ) ( 注 ) 匚 ( 定義 ) 消費者負担の農業保護費用 = 国内生産量 x 内外価格差。 2. 輸入価格はカリフォルニア米の想定輸入価格。カリフォルニア産白米 (FOB 、 Mills) 価格に運賃・保険料 ( トン当たり 50 ドルと仮定 ) を加えて推定。価格比較 は同一品質について比較することが望ましいが、統計上の制約からそれは不可能 能である。したがって、本表の試算値は傾向値として理解すへきである 3. 輸入価格をコメの国際指標であるタイ米にもとめると、引年度の消費者負担は 3 兆し 870 億円になる。 4. コメ以外の他作物の消費者負担については、拙著「農業・先進国型産業論」 70 頁及び「日本よ農業国家たれ』丐 3 頁を参照。 財政負担 五年から五八年にかけての凶作で過剰 米が減ったためである。 ところで、一般に農業保護費用は財 政賃担 ( 納税者負担 ) よりも消費者負 担のほうが大きい。消費者負担という のは、消費者が自由貿易の場合に比べ て余分に負担した金額である。 表 5 ・ 3 に示すように ( 仮にカリフ ォルニア米が自由に輸入された場合と の比較 ) 、コメの消費者負担は膨張を つづけ、昭和六一年度には三・〇兆円 に達した。これは外国との生産性格差 の拡大と円高の影響である ( ただし、 日本のコメ輸入が国際価格を高騰させ ないという仮定での「価格差 . を前提 7

10. コメをどうする

米国三〇一条提訴 一九八六年九月一〇日、米国の精米業者協会 (The Rice Millers' Association 】 RN'IA) が七四年米国通商法三〇一条にもとづき、日本のコメ市場開放を要求して米国通商代表部 (Dcoecz) に提訴した。近年、これほど日本に衝撃を与えた事件も少ない。「コメの輸 開人自由化」問題は、究極の日米貿易摩擦だ。 市 カリフォルニア州、ルイジアナ州などを拠点と 全米精米業者協会は、アーカンソー の する精米業者一一七社で構成する農政活動団体 ( 本部ワシントン (O) であり、傘下の農協 章 によるコメ生産は米国全体の六五 % を占める。また、二三社のコメ輸出業者が準加盟員と 第 して加盟している。 工 121