032 童生徒との信頼関係の維持にも悪影響を及ばすおそ 6 ー今後のたたかい れがあり、長くなればなるほど影響も大きくなるこ 2012 年 1 ・ 16 最高裁判決から 2015 年 5 月 28 日東京 とを考えると、本件各処分を受けたことにより、控 高裁須藤判決 = 2016 年 5 月 31 日最高裁判決に至る日 訴人らは精神的な苦痛を受けているものというべき の丸・君が代訴訟は、まだまだ終わりません。私た である。 ちが担当する原告らについても、 2008 年 3 月処分 ( 両 しかも、控訴人らは、本件各処分による停職期間 原告とも停職 6 ヶ月 ) の取消訴訟及び 2009 年 3 月処 経過後に復職しても、児童生徒との間で当然に信頼 分 ( 同上 ) の取消訴訟が東京地裁に係属中です。ほ 関係が回復されるわけではなく、控訴人らにおいて かにも多くの集団訴訟が係属しています。前記のと 児童生徒との信頼関係を再構築して、再び円滑に人 くびき おり、東京高裁須藤判決が、 1 ・ 16 最高裁判決の軛 格的な接触を図ることができるようになるまでには、 の下で苦心のあとを見せたとはいえ、正面から憲法 やはり精神的苦痛をうけ、相応の努力を要するもの 19 条違反とは決して言わないし、教育の自由につい と考えられることなどの事情を総合的に考慮するな ても沈黙のままです。 らば、本件各処分によって控訴人らが被った上記の 最後の 2009 年 3 月処分の取消訴訟が最高裁に行く ような精神的苦痛は、本件各処分が取り消されたこ まであと最低でも 3 年はかかります。その間、私た とによって図られる財産的な損害の回復によって当 ちは原告らと力を合わせ、知恵を振り絞って 1 ・ 16 然に慰謝されて回復することになるものではないと 最高裁判決の軛を打ち破るべく全力でたたかい抜く いうべきである。 2016 年 5 月 31 日最高裁判決は、東京都の上告を棄 つもりです。 ( かやの・かずき ) 却し、この須藤判決が確定しました。意義があるの は、実質的にはこの須藤判決なのです。 憲法判例からみる日本 山本龍彦・清水唯一朗・出口雄一【編著】 法 X 政治 X 歴史 X 文化 山本龍彦ー情水唯一朗 / 出口雄一 - 憲法判例を「読む」ことは、戦後日本のあゆみを「読む」こと。 害法判例 歴史を画した憲法判例を、憲法学者と政治学・歴史学等の 専門家が共に読み直すことで、日本社会の姿がみえてくる。 からみる 判決文に小見出し・側注をつけ、理解が進む判旨も収録。 日本 山田哲史・日比嘉高 / 白水隆・宇野文重 / 徳永貴志・砂原庸介 執水谷瑛嗣郎・清水唯一朗 / 堀ロ悟郎・奥中康人 法 X 政治 x 歴史 x 文化 筆石塚壮太郎・藤本頼生 / 岩切大地・中澤俊輔 / 山本真敬・小石川裕介 者 【朗報】憲法判例が想像以上 中島宏・荒井英治郎 / 武田芳樹・山下慎ー / 山本龍彦・出口雄一 におもしろい件につし、て 吾 . 吉田真吾 植松健一・小堀眞裕 / 奥村公輔・中島信 政治・第史・文化 0 視点とけあわせると、 ・本体 2500 円十税 / A5 判 ・ ISBN 978 ー 4 ー 535 ー 5221 1 ー 4 ー FAX: 03-3987-8590 ( イ ) 日本言平言侖ネ土 〒 170-8474 東京都豊島区南大塚 3-12-4 TEL : 03-3987-8621 こ注文は日本評論社サーヒスセンターへ TEL : 049-274-1780 FAX. 049-274-1788 https://wvvw.nippyo.co ・ jp/
091 12 債権法講義 [ 各論 ] た報酬 ] 、③委任契約において、委任者の責めに帰す ることができない事由によって [ 委任事務の履行をす ることができなくなったときについては改正法案 648 条 3 項 1 号 [ 受任者の報酬 ] 等の特則がある。 また、雇用契約において、使用者の責めに帰すべき 事由により労働者が就労できなかった場合、現行 536 条 2 項前段によって、労働者の具体的報酬請求権が発 生するものと解されていたが、単なる履行拒絶権だけ で具体的報酬請求権が発生するかは、やや問題となろ う。しかし、立案担当者は、法案 536 条 2 項からも、 具体的報酬請求権の発生を根拠づけることができると の考えのようである ( 部会資料 [ 83 ー 2 ] 49 頁。潮見・概 要 224 頁は「無理があるようにみえる」という ) 。 ( かわかみ・しようじ ) * 本来であれば、契約の効力についてもう少し書き進める予 定であったが、風邪のため、すっかりダウンしてしまい、執 筆債務の履行が困難になってしまった。危険負担の債務者主 義である ( ? ) 。宥恕を乞う。 法セミ LAW CLASS シリーズ 担保物権法講義 ! 新元二物 担保物権法講義 担保法の世界を」基礎から丁寧に学「人間や社会に対する 『物権法講義』に続く、担保物権法の本格的教科書。変動する ラ可上正ニ著・東京大学大学院法学政治学研究科教授 深い洞察力」に基づく、著者の体系を示す。・ A5 判上製・ 472 頁・本体 3 , 700 円 + 税ー ・旧 BN コード 978 ー 4-535-51 g80-0 第 1 章 第 1 節 第 2 節 第 2 章 第 1 節 第 2 節 第 3 節 第 4 節 第 3 章 第 1 節 第 2 節 第 3 節 目次 担保物権法総説第 4 章 ~ 質権 担保物権とは何か 担保物権法の概要 留置権 序説 留置権の成立 留置権の効力 留置権の消滅 先取特権 先取特権の意義 第 1 節 第 2 節 第 3 節 第 4 節 第 5 章 第 1 節 第 2 節 第 3 節 第 4 節 第 5 節 各種の先取特権の内容第 6 節 先取特権の効力 第 7 節 序説 動産質 不動産質 権利質 抵当権 抵当権の意義 抵当権の設定と公示 抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲 抵当権侵害に対する効力 物上代位制度 抵当権の優先的効力とその実現 抵当権と目的不動産の利用権 第 8 節 第 9 節 第 10 節 第 1 1 節 第 1 2 節 第 13 節 第 6 章 第 1 節 第 2 節 第 3 節 第 4 節 第 5 節 第 7 章 抵当権と目的不動産の第三取得者 抵当権の処分 抵当権の消滅 特殊の抵当 ( 1 ) : 共同抵当 特殊の抵当② : 根抵当 特殊の抵当③ : 特別法上の抵当権 非典型担保 権利移転型担保 仮登記担保 譲渡担保 その他の権利帰属操作による非典型担保 担保的機能を果たすその他の諸制度 担保の多齠比担保法の展開 〒 170-8474 東京都豊島区南大塚 3-12-4 こ注文は日本評論社サーヒスセンターへ TEL : 03-3987-8621 /FAX : 03-3987-8590 ( 当 ) 日本言平言侖ネ土 TEL : 049-274-1780/FAX . 049-274-1788 https://www.nippyo ・ co.jp/
プラスアルフアにつし、て考える基本民法 081 も妥当しそうに思える。事例 Pa 1 では、債権回 収における自由競争を考慮してもなお、実質的な利 益衡量において D を C に優先させて保護すべき合理 的理由に乏しいように見受けられる。それでは、 D は 467 条の第三者から排除すべきなのか。不動産物 権変動であれば C は D に対して自己への移転登記手 続請求をすることができるであろうが、債権譲渡に おいては次の点に留意が必要である。 第一に、理論的にみれば、債権譲渡においては譲 受人のみならず債務者の存在が不可欠であり、第三 者に対する対抗すなわち債権帰属の優劣決定は債務 者に対する権利行使の可否に結びつく。そしてその 対抗要件制度は、昭和 49 年判決が示した通り、債務 者の認識付与を基軸とするシステムによって成り立 っている。したがって、債務者への通知・承諾以外 に譲受人の主観的態様を優劣決定基準に取り込むこ とは、上記のような対抗要件の構造に抵触するとと もに、債務者の認識外の要素によって弁済すべき相 手方が左右されかねず、その地位を不安定にするお それがある。そのため、債権の二重譲渡に背信的悪 意者排除論を取り入れるためには、債権準占有者へ の弁済 ( 478 条 ) さらには、対抗要件具備において 優先する譲受人の背信的悪意を主張する劣後譲受人 による債務者の支払差止あるいは供託請求などの法 的手段を手当てすることなどが考えられるが、対抗 要件手続に現れない譲受人相互間の事情に債務者を 巻き込むことの当否が問題となろう。そうすると、 通知・承諾において先んじた譲受人に対する弁済に よる債務者の免責がまずもって確保されるべきであ ろうが、債務者に対する権利行使に影響しないとす れば、背信的悪意者排除構成の実効性が問われよう。 第二に、実務上の観点からみると、金銭債権の二 重譲渡は、資産状況が悪化した譲渡人が同一債権に っき代物弁済としての譲渡および担保設定を重ね、 ここにさらに差押えが競合するなど、多数の利害関 係人が債権の優先的帰属を争う形で具現化すること が多い。このような紛争類型において各譲受人相互 の主観的態様を個別具体的に問うことは、通知の同 時到達または先後不明の場合 2 ) に加えて権利関係の 確定をより一層困難ならしめるであろう。 こうした留意点にかんがみれば、債務者と通謀し て債権譲渡が行われたような特段の事情がある場合 を除き、対抗要件において優先する譲受人に対する 弁済により債務者を免責した上で、弁済を受けた同 譲受人の債権侵害を理由とする不法行為責任を認め ることによって事後的に調整するほかないであろ う。債権帰属の優劣に関する対抗関係は債務者に対 する権利行使と密接不可分であるため、原則として 通知・承諾の先後によって決定しつつ、優先譲受人 の背信的悪意に対する法的評価は、債務者を巻き込 ますに譲受人相互間の責任追及に反映させればよ い。 467 条 2 項と 709 条との評価矛盾を回避するため には、 467 条 2 項における「対抗」の意味を対債務 者間と譲受人相互間とで分けて、債務者に対する権 利行使に関する優劣については確定日付ある通知・ 承諾の先後によって決しつつ、背信的悪意ある譲受 人はその給付の保持を他の譲受人に対抗することが できない、と構成することになろうか。 2 債務者の抗弁事由と対抗の可否・その 1 〔事例で考えよう Part. 2 〕 ( 1 ) 甲土地を所有する A は、 B から信用を得 るために資産を所有しているように見せかけ る必要があるとして協力を求められ、甲につ き B と通謀して仮装売買を行ったが、事情を 知らない C に売買代金債権を譲渡し、その旨 が B に通知された。 B は C の代金支払請求を 拒むことができるか。 ( 2 ) 贋作である乙絵画を所有する D は、 E を 欺もうして乙を売却した上、事情を知らない F に売買代金債権を譲渡し、その旨が E に通 知された。その後詐欺に気づいた E は F の代 金支払請求を拒むことができるか。 ( 3 ) 丙建物を所有する G は、 H に対して丙を 売却した上、売買代金債権を一に譲渡し、そ の旨が H に通知された。ところが、丙には構 造上の欠陥が存することが後に判明したた め、 H が丙の売買契約を解除した場合、 H は ーの代金支払請求を拒むことができるか。 [ 1 ] 問題の所在 次に、債務者との関係における譲受人の取引安全 について検討しよう。債権譲渡においては、債権は その同一性を保ったまま譲受人に移転するため、原 則として債務者は、通知を受けるまでに「譲渡人に
056 たものというべきである。 地方自治法 204 条の 2 は、普通地方公共団体は法 律又はこれに基づく条例に基づかずにはいかなる給 与その他の給付も職員に支給することができない旨 を定め、地方公営企業法 38 条 4 項は、企業職員の給 与の種類及び基準を条例で定めるべきものとしてい るところ、本件補助金の交付当時、臨時従事員に対 して離職せん別金乂は退職手当を支給する旨を定め た条例の規定はなく、賃金規程においても臨時従事 員の賃金の種類に退職手当は含まれていなかった。 また、臨時従事員は、採用通知書により指定された 個々の就業日ごとに日々雇用されてその身分を有す る者にすぎず、給与条例の定める退職手当の支給要 件を満たすものであったということもできない。 そうすると、臨時従事員に対する離職せん別金に 充てるためにされた本件補助金の交付は、地方自治 法 204 条の 2 及び地方公営企業法 38 条 4 項の定める 給与条例主義を潜脱するものといわざるを得ない。 以上によれば、地方自治法 232 条の 2 の定める公 益上の必要性があるとしてされた本件補助金の交付 は、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したも のであって、同条に違反する違法なものというべき である。 ( 2 ) 本件条例 ( 前記退職金を遡及して支払う条例 ) は、在籍期間が 1 年を超える臨時従事員が退職した 場合に退職手当を支給する旨を定め ( 3 条、 12 条 ) 、 「この条例の施行の際現に企業局長が定めた規程に 基づき臨時従事員に支給された給与については、 の条例の規定に基づき支給された給与とみなす。」 との経過規定 ( 附則 2 項 ) を定めている。しかし、 共済会の規約に基づき臨時従事員に支給された離職 せん別金は、企業局長が定めた規程に基づいて臨時 従事員に支給された給与に当たるものでないことは 明らかであるから、上記経過規定が定められたとし ても、その文言に照らし、本件条例の制定により臨 時従事員に対する離職せん別金の支給につき遡って 条例上の根拠が与えられたということはできない。 このことは、本件補助金を原資としてされた離職せ ん別金の支給が実質的な退職手当の支給というべき ものであり、また、本件条例の制定の趣旨が離職せ ん別金の支給につき条例上の根拠を明確にする点に あったとしても、左右されるものではない。 以上によれば、本件条例の制定により臨時従事員 に対する離職せん別金の支給につき遡って条例の定 めがあったことになるとして、本件補助金の交付が 適法なものとなるとした原審の判断には、本件条例 の解釈適用を誤った違法があるというべきである」 ( 全員一致で破棄差戻し ) 。 9 ー弁護士の愚痴 最高裁はさすが「最高」。やっとわかってくれた。 普通は、高裁判事のやり放題でも、上告棄却・却下 になるのである ( 阿部『最高裁上告受理時事件の諸相 Ⅱ』〔信山社、 2011 年〕最高裁で逆転するのは 1 % くら いか。筆者ははじめてである。 ) から、最高裁判事あ るいはその黒子である調査官には感謝する。しかし、 それにしても 2 年以上もかかった。こんな簡単な事 件でなぜこんなに手間取るのか。 地裁、高裁の判事は何をしていたのか。普通の組 織では、こんないい加減な判断をしていたら、懲戒 処分か分限処分を受けるはずであるが、出世には何 の影響もないらしい。裁判官は、憲法で保障された 独立のもとに独断・独善になっている。それに、裁 判官は行政法に疎いかも知れないが、自分で調べる 必要はない。筆者の主張を見た上でも、実質解釈だ などというのは、独善以上である。行政法の授業で は確実に不可だし、司法試験も通らないはずである。 筆者は、この事件は、事実認定の問題はなく、単 に明白な法治主義違反なので、楽勝だと思って引き 受けたのである。裁判官への尊敬の念は消滅した。 現実との落差に驚き悲しむばかりである ( 阿部『行 政の組織的腐敗と行政訴訟最貧国』〔現代人文社、 2016 年〕参照 ) 。 しかも、本件は、原告勝訴ではなく、支出の違法 は確認されたが、公営企業管理者等の損害賠償責任 の有無並びに共済会の不当利得返還債務の有無につ き審理を尽くさせるため、高松高裁に差し戻された 〔判決要旨参照〕。「喜びもまだ半端なり、裁判所」。 差戻し審高裁では、企業局長などの過失、補助金の 無効 ( 単なる違法では不当利得返還請求権は生じない ) が争われている。ああ面倒 ! ! この苦労は前の地裁 高裁の明白な誤りによるから、国家賠償訴訟を提起 したいことろだが、裁判所は自己防衛するだろう ( 最 判昭和 57 ・ 3 ・ 12 民集 44 巻 5 号 938 頁参照 ) から、また また無駄な努力 ! ! さらに、共済会は解散したとい うので、手が出ない。これで、原告が勝訴すれば、 鳴門市議会は、権利放棄議決して、違法行為を抹殺 するつもりであろう。権利放棄議決を有効とした最
刑事訴訟法の思考プロセス 115 な裁判例 ( 東京高判平成 22 ・ 11 ・ 1 判タ 1367 号 251 頁、 大阪高判平成 21 ・ 10 ・ 8 刑集 65 巻 9 号 1635 頁 ) も近年登 場しています。同裁判例の評価については、石田倫識「自 白の証拠能力」法教 435 号 ( 2016 年 ) 27 頁以下など参昭 黙秘権告知の重要性については、川崎英明「黙秘権保障 における黙秘権告知の意義」『浅田和茂先生古稀祝賀論 文集 ( 下 ) 』 ( 成文堂、 2016 年 ) 101 頁以下など。 5 ) 斎藤司「強制処分概念と任意捜査の限界に関する再 検討」川崎英明ほか編著『刑事訴訟法理論の探究』 ( 日 本評論社、 2015 年 ) 19 頁以下、渕野貴生「黙秘権保障と 自白法則」同書 184 頁以下など。 6 ) 松田岳士「被疑者取調べのための同行と『実質逮捕論』 について」『三井誠先生古稀祝賀論文集』 ( 有斐閣、 2012 年 ) 537 頁以下なども参昭 7 ) 取調べ受忍義務について詳細に検討するものとして、 酒巻匡「逮捕・勾留中の被疑者の取調べ受忍義務」刑事 訴訟法の争点〔新版〕 56 頁以下、高田昭正「基礎から学 ぶ刑事訴訟法演習』 ( 現代人文社、 2015 年 ) 91 頁以下など。 なお、最大判平成 11 ・ 3 ・ 24 民集 53 巻 3 号 514 頁が、「身 体の拘東を受けている被疑者に取調べのために出頭し、 滞留する義務があると解することが、直ちに被疑者から その意思に反して供述することを拒否する自由を奪うこ とを意味するものでないことは明らか」としていること から、最高裁判例も取調べ受忍義務を認めているとの見 解も存在しますが、同判示は、仮に出頭・滞留義務が認 められたとしても、憲法 38 条 1 項に違反することはない という仮定の判断であって、取調べ受忍義務の存在を肯 定する意味は含まれないと理解することも十分可能です ( 大澤裕 = 岡慎ー「逮捕直後の初回の接見と接見指定」 法教 320 号 ( 2007 年 ) 124 頁 [ 大澤裕〕 ) 。 8 ) 團藤重光『條解刑事訴訟法 ( 上 ) 』 ( 弘文堂、 1950 年 ) 365 頁、河上和雄ほか『大コンメンタール刑事訴訟法 第 4 巻〔第 2 版〕』 ( 青林書院、 2012 年 ) 169 頁以下 [ 河 村博執筆部分 ] 、松尾浩也監修『条解刑事訴訟法〔第 4 版増補版〕』 ( 弘文堂、 2016 年 ) 378 頁など。 9 ) 佐々木正輝ほか著『捜査法演習』 ( 立花書房、 2008 年 ) 377 頁以下など。 10 ) 酒巻・前掲注 7 ) 59 頁など。 (I) 松尾浩也『刑事訴訟法上〔新版〕』 ( 弘文堂、 1999 年 ) 67 頁、酒巻・前掲書注 1 ) 94 頁など。近年、起訴前にお ける身体拘東期間の趣旨を「被疑者の逃亡および罪証湮 滅を阻止した状態で、身柄拘東の理由とされた被疑事実 につき、起訴・不起訴の決定に向けた捜査を行うための 期間」と捉えたうえで、「被疑者の身柄拘東期間には厳 格な制限があり、捜査機関は、その限られた期間内に捜 査を尽くして起訴・不起訴を決定しなければならないた め、捜査の便宜を考慮して、身柄が拘束されている場合 には、法律で特別に取調べのための出頭・滞留義務を認 めた」との見解も主張されています ( 特別部会第 1 作業 分科会第 8 回会議議事録 19 頁 [ 川出敏裕幹事発言 ] 、大 澤裕「被疑者・被告人の身柄拘束のあり方一一 - いわゆる 中間処分を中心に」論究ジュリ 12 号〔 2015 年〕 94 頁 ) 。 この見解を検討したものとして、石田倫識「接見交通権 と被疑者取調べ」刑弁 85 号 ( 2016 年 ) 115 頁以下、斎藤 司「取調べのための出頭・滞留義務と取調べ適正化論」 「浅田和茂先生古稀祝賀論文集』 ( 成文堂、 2016 年 ) 107 12 ) 酒巻・前掲書注 1 ) 94 頁以下。 13 ) 平野龍ー『刑事訴訟法』 ( 有斐閣、 1958 年 ) 106 頁以下。 さらに、田宮裕『刑事訴訟法〔新版〕』 ( 有斐閣、 1996 年 ) 132 頁以下、鈴木茂嗣『刑事訴訟法の基本問題』 ( 成文堂、 1988 年 ) 68 頁以下なども参照。 頁以下。 ( さいとう・つかさ ) ( 2013 年 ) 751 頁以下などを参昭 ティティを求めて : 中間報告」法学協会雑誌 130 巻 4 号 251 頁以下、井上正仁「講演・刑事訴訟法学のアイデン 追』 ( 有斐閣、 1998 年 ) 362 頁以下、後藤・前掲書注 14 ) 所論集 85 号 ( 1991 年 ) 93 頁以下、田宮裕「日本の刑事訴 67 頁以下、井上正仁「刑事裁判に対する提言」司法研修 23 ) この点、平野龍ー『捜査と人権』 ( 有斐閣、 1981 年 ) 参昭 録音・録画制度」論究ジュリ 12 号 ( 2015 年 ) 55 頁以下も 2016 年 ) 153 頁以下など。さらに、堀江慎司「取調べの 葛野尋之『刑事司法改革と刑事弁護』 ( 現代人文社、 調べの録音・録画制度」刑弁 82 号 ( 2015 年 ) 70 頁以下、 22 ) 川﨑ほか編・前掲書注 2 ) 19 頁以下、関口和徳「取 再論」法時 83 巻 2 号 ( 2011 年 ) 34 頁以下。 したものとして、中島宏「自白法則における違法排除説 21 ) この点、取調べ録音・録画と自白法則の関係を検討 20 ) この点、石田・前掲注 4 ) 28 頁など。 19 ) 特別部会第 26 回会議議事録 20 頁 [ 保坂和人幹事発言 ] 。 18 ) 後藤・前掲注 16 ) 12 頁以下。 音・録画義務が発生すると解することも可能でしよう。 余罪について「被疑者」として取り調べている以上、録 法務委員会議事録 9 号 5 頁 [ 林政府参考人発言 ] ) が、 録画義務は発生しないとされます ( 第 189 回国会参議院 取り調べる場合、法 301 条 4 項に該当しないため、録音・ 告人に対し、録音・録画対象事件に当たる余罪について 府参考人発言 ] など。なお、起訴後、勾留されている被 17 ) 第 189 回国会衆議院法務委員会議事録 18 号 8 頁 [ 林政 2016 年 ) など。 同『被疑者取調べ録画制度の最前線』 ( 法律文化社、 宿信『被疑者取調べと録画制度』 ( 商事法務、 2010 年 ) 、 同『取調べ可視化論の展開』 ( 現代人文社、 2013 年 ) 、指 小坂井久『取調べ可視化論の現在』 ( 現代人文社、 2009 年 ) 、 本評論社、 2017 年公刊予定 ) 。取調べの可視化については、 編『 2016 年改正刑事訴訟法・通信傍受法条文解析』 ( 日 掲書注 8 ) 1321 頁以下など参照。さらに、川崎英明ほか と正義 67 巻 9 号 ( 2016 年 ) 22 頁以下、松尾ほか監修・前 田茂「取調べの録音・録画制度の要点と弁護実践」自由 録音・録画制度」法時 88 巻 1 号 ( 2016 年 ) 12 頁以下、吉 16 ) 改正法については、後藤昭「刑訴法改正と取調べの 15 ) 斎藤・前掲注 (1) 107 頁以下。 として、渕野・前掲注 5 ) 184 頁以下。 取調べの適法性や自白排除の基準について検討したもの 以下など参照。なお、黙秘権の理解を捉え直したうえで、 14 ) 後藤昭『捜査法の論理』 ( 岩波書店、 2001 年 ) 154 頁