稲 - みる会図書館


検索対象: 百姓伝記 上
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1. 百姓伝記 上

154 おけご 、くつごの事、土民は年中五穀其外かり取、野らより家路につけさす一 るものなれば、荷物ををいながら、馬、くらひこぼすものなり。藤にて も、組麻にても、結ひ繩にても拵、また大目なる籠にも組て用べし。田 畑作毛の中をくつごなしに馬をおわせ、ひかせては、他の作をもくらひ、 費あるものとしるべし。 一、また繩の事、ロつよき馬に用るものなり。麻かいちびかあかわたか、 つよきものを三つぐりによりて、くつわ・たづなに結ひ付て、前両足の 間をとをし、腹帯通にて留置。繩には竹のくだをさすか、かろき木をく だ / 、、にしてさしたるがよし。必田畑の道は、往行にちがひてほそみち 五性質があらく、ロとり 多ければ、ロごわなる馬つかひにくし。また女子共もまねぐりをするに ( 制御 ) のむすかしい馬。 大ある作業の継続中に、 あぶなく、荷物を払くづし、くらかへりをなし、人手間多く入事のみに 馬を何回か家まで荷を運ば て費あり。馬には必くせ多し。武家にても用方の馬には、色々様々の仕せること。草刈や稲刈の時、 壮年者は作業を続けるので、 女子供が馬を使うことにな かけある鞍・くつわ・たづなを用ひらるゝなり。 る。 一、馬桶の事、ぬかがゆを飼桶なり。さわら木・ひの木・杉の類を用ふ。七米・小麦の糠や荒糠を 水でこねた馬の餌。 桶子うすくしては、其儘損じ安し。たがをもふとくかけたるがよし。手 を付、繩をとをし、馬屋の処々にも繩をさげてつるして、かゆぬかをく 五 四 = 馬を追わせ、引かせ。 底本に「ひかせ」なし。祭 本による。 三あれ馬を制御するため の繩。 くつわの代りに鼻先・ 口を掩う小籠。 四小さく砕く。

2. 百姓伝記 上

一、鍬かさの事、竹のひごを以組、鍬平より三四寸高く、柄に指て結を = 泥・水よけに鍬の柄の 平近くにつけるもの。 付、其結を以鍬の柄にゆふ付る。はゞ五六寸にして、長さ七八寸に及ぶ一 = 竹を細く割り、肉部を 削ったもの。 べし。水田并こてぎり : ほかすに、農夫の身に水どろかゝるゆへ、鍬笠一 = 結い付ける。祭本も同 にて水とまり、か & らざるやうにするなり。何国も同意なり。ていでい 「こてぎり、・ほかす」と は、土塊をくだき、やわら とも云也。 かにすること。 一、かんじき、なんばとも云、拵ゃうさまみ、あり。ふか田をかへし、 一五泥田に踏入らないよう にはく履物。 また田を植るに、足にはくものなり。ひろき板にて結を付、足にゆい付 一大さしわた てもはく。また竹や木を指渡し一尺二寸ほど丸くまげ、それに小板を渡一 = 直径。 し、なわを付てもはく。寒国の雪の上をはくかんじきも大方同事なり。 いらざる 揃ふか田に足の不 / 入用心にはくものなり。また水田の船をかるにもよき深田で肥料や収穫物を 運ぶ船を押しやる。「かる」 は駆る。 荷なり。 一、こまざらいの事、横手の木を八九寸壱尺斗に、かたぎを以こしらへ、 一へ落葉などを掻き集め、 具 また土を砕きならすに用い 農子を六本も八本も樫の木を以さし、柄の長さ四尺五尺に及ぶべし。横手る道具。 一九堅木。 五 にはあなをあけるものなれば、われ安し。また土をもたゝき、こなすに 巻 ニ 0 よりて、夫丈にしてよし。土民の家にありて徳多き道具なり。 = 0 祭本も同じ。丈夫。 = 一手廻しよし。便利であ 一、こまざらいを用るに、深田の土をかきならして稲を植るに手まはしる。

3. 百姓伝記 上

136 徳は、雨露をしのぐ斗にあらず。土民農夫は衣類をあっく着ては、骨折一蓑は雨・露をさけるだ けでなく、以下のべるよう わざ成がたし。田畑のかよひにみのを着し、田にも畠にもぬぎ置て、身に薄着で労働するさいの往 復の保温の意味がある。 三みすた = 「新」底本のまま。祭 かろく新耕作をし、田をかへし、畠をうつべし。必水田をかへすには、 本になし。 三湿田。 身に水どろかゝるによりて、みのを着ずしては不 / 叶。 四ささめで作ったみのの 一、さ & めみのと云て、六月土用のうちに、ちがやをかり、日によくほ 意。本来ささめは茅翁が ) し、夜露を取て、其後水につけ、五三日も置、とりあげ、日にほしてしに似た野草の名。しなやか である。ささめとちがやを んを取すて、両わきのうすき所を以みのを作り、かろくして雨露もらず、通じ用いている。 しかもあたゝかにしてつよし。作りゃういろ / \ あり。当時越前の国に て上手ありてつくる。今国々にて作り得たり。骨折するに、布かみにし て作るかっ羽用にたゝざるものなり。土民は年中にみのひとつにしては、 たらざるものなり。大方春田をうつより秋の稲をかるまでは、毎日用る 六夏の土用のうち、立秋 事としるべし。さゝめを取に、土用の内ならざれば用にたゝず。尤まへ ( 陽暦八月八日頃 ) 前日まで の一八日間である。 かたもあしく、をれすたるなり。 セ菅。かやつりぐさ科の 一、土民の常に田畑に着る笠は、骨ふとく、すげふとくぬいたるがよし。 草本で、種類が多い。葉の ほねよはく、すげほそきは風にまけ損じ安し。今国々にてすげ笠の上手広いもので笠を作る。 ありてぬゑども、土民の用るは村々里々にて、大方年ごとにぬいてかぶ 四 五 雨着。 五合羽。桐油紙で作った

4. 百姓伝記 上

ゆず 一木の枝をきらないで、 一、みかんの木、取木・実植になりがたし。柚の木・きこくの木を台に その一部を土で覆うか、水 苔など巻いて水分を保って して、つぎ木にしてよし。雲州橘も同前なり。なり穂をきりてつぐに、 発根を促し、発根した後に 共としよりなるものなり。然ども暖国はよし、寒国はあしきなり。肥後母木から切り離して新個体 を作り出すこと。 いずれ ならびに するが 国・紀伊国并遠州・駿河みかんよし。何も暖国なり。余国にては皮あ = 枳殻。からたち。 四 三底本のまま。うんしゅ うみかん。温州橘。温州蜜 つく、実もこわく、あまみすくなく、ちいさし。みな以、こせみかんと 柑。今日普通に植えられる なる。伝に云、木の根に不浄を置、五月時分稲の苗のかれたるを置、寒蜜柑。 四「こせ」にエ合よく成 中に潮をかけたるがよし。扨また老木にはこけつくものなり。それを雨長せずにひねこびれる意味 がある。生育の悪い蜜柑。 五人糞尿。下糞。 降に洗て取たるがよし。 柑子の木を植る事 悪一、かうじもみかんと同前、暖国はよし、寒国はあしきなり。実植・取 = 柑子蜜柑。果実はみか んより小さく、果皮薄く ゆず 構木なりがたし。柚・きこくを台にしてつぐ。遠州白羽柑子名物なり。み酸味が極めて強い 八くねんぼ九ぶっしゆかん セ白和瓮ら ) 柑子ともい う。遠州白和村の産。 屋かん・柑子 , 雲州橘・きんかん・橘・九年母・仏手柑・柚、惣ての柑る へ果実は秋熟し、大きさ ゆずに似て皮厚く、佳香と 巻いみな / 、みかん同前にこやしてよし。外にかはる伝なし。 廿味をもつ。 九「ふしゆかん」ともい う。実は下端は裂けて、指 をならべた形に似る。 103 一とりき

5. 百姓伝記 上

一防腐性塗料としての渋 よし。小柿ほど渋多し。大柿は渋よはし。渋を取に、土用に入とひとし を、柿の実からとるには。 = 立春・立夏・立秋・立 くとりたるに、渋多く、つよし。土用過ては渋よはし、柿に色々あり。 冬の前十八日間をいう。こ 其名記がたし。渋柿の木の根に、わせわらの灰をひたものをけば、木さこでは立秋の前 + 八日間の 。土用にな 夏の土用をい ると同時にの意。 はしとなる。こねりがき・木さはしみな以なり。穂をつぐべし。 三早生藁。早生稲の藁。 伝に云く、つぎ穂をするに、台の東南のかたにつぎてよし。穂も東南 0 ひたすら。ひとすじに。 五木についたままで柿の のなり穂を切てつぐべし。正二月、木の目ふくらむを待てつぎ、雨の入渋をとりさ。た甘柿。甘柿。 大甘柿。熟柿。 セ木の枝をとって接穂と らぬゃうにすべし。つぐ事色々伝受あり。さりながら、柿は付安きもの して、接木する。 にて有そ。くし柿・じゅくし国々に名物多し。暖国は悪し。寒国はよし。へ接穂をつぐ元の木のこ 渋には塩気・油気・酒気あしく、渋気失るものなり。鉄気入は性へんじ、九串柿。渋柿の実の皮を むき、割竹などにさしつら くろくなる。樽かかめに入て、出泉・しつけの地にいけ置は、青みのまね、乾して甘くしたもの。 一 0 わき水の場所。 ゝあり。重宝なるものなり。 かその木を植る事 = 楮う ) 。幹の真皮を 一、かその木は大木なし。年々にわかぼへをかり取ては、皮をむくり、 和紙の原料とする。 かみをすくなり。実を取て苗にふせ、またわけ木にもする。さしきにし一 = 剥ぎとり。 てもよし。重宝第一の木なり。糸により、ぎよふのあみにもする。野山三漁夫。 九

6. 百姓伝記 上

水草はヘしげり、どろこそりうまり、田畠となしたるは、数年を経て上 々の宝土となり、厚実多し。土地に渋気すくなく、ねばりうすく、水 持・かわきともによくなる事うたがひなし。 一 0 せ 一、大河の瀬ちがひなどありて、一円の小石河原などを田畠に用るに、 やとい土といひて、砂土を持込、高き所は畠になし、く・ほき所をば田に こしらへ、わづか土二寸か三寸有之に、稲を石の間にはさみ植て耕作す 一一一乾燥の害。 るに、真性成事かぎりなし。畠は日やけ・水難多きもの也。 一、京砥と云て、かみそりどのこをしとねたるやうなる、こまやかな土一 = 剃刀砥の粉。剃刀をと ぐための砥の粉末。きわめ 地あり。あまり土こまかにして、万木諸草生付がたし。根さす事ならざて微細な粘土。 一四水を加えてこねた。 るものなり。田は水持能故、稲取付そだつなり。然どもこやし事もきか ず、もてる事もなし。只一本立になる真性地なり。必山田・山畑に多く 論 離有」之土地也。畠は諸作毛生〈出かねる。耕作むづかしき所也。 一五ふかた 一五表土の軽く深い湿田。 田一、深田の土地は、何国の村里にても、みな黒色にみへて、四季ともに 笑ゆらぎ動くこと。 三かはかずして、あぜをふむにぶか / \ として、五間も拾間もさきまで田松の新芽。新葉・新枝 をふくんだ棒状の芽、その すじだち ゆるぎ、水は筋立てみへ、松のみどりを水に出したるごとく、ぎら / 、基部に雄花が総状につく。 樹脂の含量多く、水中に入 とする。往古の池か川か谷に、かろき土ながれ込、みな深田となる。土れると油が水に浮く。 土 = 流 の 他水新 所を川 か新を ら川掘 運につ ん流て だす作 土工り 客。本

7. 百姓伝記 上

はかどることなし。然ども田は真性にして米の性よく、味ひも能也。黄 一田植のさいに苗の折れ ること。 色・赤色・白色三色の土地につくる米は多年蔵に置に、虫指事なく、ほ = うり んほちにならず。青色・黒色二色の土地に作る米は虫さし、ほんほちと 四金属類の塩分の多く交 一さしおれ なる事はやし。稲をも虫喰折・指折するそ。畑作毛にも青・黒真土の所、じ。ていることをいう。 五鑪粉。金属を鑪で削っ たさいに出る粉末。 やまひ付事多し。また黄色・赤色の真土畠につくるごぼう・大こん・か 大底本・祭本のまま。 ぶら・ふり・なすび・木ふり・タがほ・かも瓜・にんじん、にがくして「て」は「たる」であろう。 セ梨子地。蒔絵の一種。 くらはれず。共土地には渋多く、かわける所をみるに、銅かしんちうの下に塗りこんだ金銀粉が漆 をとおして斑にみえるのが、 やすりこを合してごとく、またさびたるなし地を見るやうなり。かやう梨の肌に似ていることから へ山の尾根通りの先端部。 なる田畠、多くは何国にも山の尾崎・山間にあり。打ひらきたる宝土に 九あしく 九その土地で取った種子 が悪い はすくなし。また色々種悪敷、やしなひ悪敷して、上地にうへてもにが 一 0 「作る米 : : : たがはざ るものなり」は、それそれ くなる物多し。 の色の土地に作った米の質 右五色の宝土に作る米、土地の色あひにたがはざるものなり。ためしは、土の色合に応した性質 をもつものであるの意。 知べし。田畠共に農圃・古農の伝を学び、田をかへし畠をうち、作毛を = 畑のことである。以下 は畑や熟練した農民に聞け ととってもよいが、著者は 仕付、耕作こやしをせば、万物わくがごとくしげり、厚味を得べし。 この語を熟練した農民の一 表現とみているとも考えら れる。 青・黄・赤・白・黒の小砂地の事 一 = 小砂まじりの土。 五 四 あじわ

8. 百姓伝記 上

ゝあからみ、民家に蠅多くいづる。土用に入、秋ちかし。タだちしげく、 六月の終り也。 一二十四気の一。陽暦八 一、七月立秋となる。きり山に見へ、いなづまひかり、露しげし。萩・ 月八日頃。 かるかや穂にいづる。あわ・きび・ひゑ・わせまめ・小豆・かつもりあ = 空中電気の放電する時 にまたたく火花。特に陽暦 四 八月に入って、山ぎわに、 からみて、土民の家に入。何国にも早稲をかる。七月の終りなり。 雷鳴なく広く光るものをい 古歌こゝろなき身にもあはれはしられけり 三緑豆、ぶんどう。 四農民の家に取り入れら きりたちのぼる秋のゆふぐれ れる。 五七月より九月を秋とし、 伝日、山より海辺へ引霧は雨となり、海辺より山へ引霧は晴天と その中の意。また八月十五 夜の満月をよぶ。 なる。 六二十四気の一。陽暦九 一、八月中秋、白露の秋となる。諸鳥山を出て、里におもむく。大小の月八日頃。白露が多く草木 におく季節の意。 ちどり 鷹も諸鳥につれて里にいづる。はやぶさは海辺・水辺へ出る鵆をとらん七底本のまま。祭本も同 じ。二月の項に「北東より わたる」とあるのに照応す と心懸る。大鴻・小雁はじめて北より南にわたる。つばめ北にかへる。 る。 ちゅう へ二十四気の一。秋分を 八月中よりかみなりならずと云。諸虫穴に入て、ロをとち、水をふせぐ。 。陽暦九月二十三日頃 朝がほ・むくげの花最中とさく。ひがん花さく。もず出てなくこゑやまにあたる。底本に中ウとあ るがウをのそく 九 九この本では、主として ず。猶早稲をかる。里々にそばの花さく。な・大こんの耕作をいそぐ 中耕・除草をあらわす。こ こも同し。 八月のおはり、せきれい渡る〈麦まき鳥、また稲あふせ鳥と云〉。 八 なお に びく

9. 百姓伝記 上

をひらきまひて、なく事あり。みゝず土の上に横り出てあそぶ。いも生一 = 里芋。 じ葉をひらく。いもり水中に生る。もずの子巣を出てなく事多し。山中 の鹿角をおとし、たらのほゑをくらい、新角の生る事をねがふ。山里に 小せみなきて、日長し。四月のおはりなり。早田の稲を植る。 いまだおぼえす 一四はんげ 一四からすびしやく。さと 一、五月小暑おのづから来れども未 / 覚、あたゝかなる風ふき半夏生る。 いも科の多年生草本。 早苗を取事をいそぐ。野辺や四壁にきりみ \ すなく。鷹初て巣をはなれ、 さみだれ まひあそぶ。五月雨と云て、雨ひたものふる。栗の花・ざくろの花さく。一 = ひたすら。しきりに。 ひとすじに。 わか竹に葉出る。風にふかれては、した / 、とする。此比勧納の最中な一六勧農。ここでは田植を 中心とする一連の農作業の こと。 水辺にはくいなたゝく。ほたる・蚊出る。水鳥巣を出てあそぶ。 一七 づら・つばめの子うぶたつ。かいこまゆをつくる。くちなし・てまり・ 一七産立つ。うまれること。 ゆり・せきしゃう・ひし・あちさへ・しもつけ・てっせんの花ひらく。 集 びわあからむ。五月おはりなり。 一へ二十四気の一。陽暦七 月二十三日頃。六月の中と 四一、六月大暑となる。大火西にながれてあっし。また冷風はじめて吹。もいう。 むぎぜみ 一九大火は蝎座の首星アン 一白露はじめて草木に置。なすび・さゝげのさかりとなる。先麦蝉といひタウルスの中国名。盛夏の すこし 夕、南の地平に赤く輝く。 これがやや西に傾いて、暑 て、とっとちいさきせみなき初め、次にまめぜみといひて、又少大きな さはきびしいという意味。 るせみなき、米ぜみといひて大せみ山里におほくなく。やまも & ・すも = 0 非常に。ま。たく。 0 ニ 0 一九たいか ころ一六 孵化。 一三木の若芽・若枝。

10. 百姓伝記 上

142 一繩製の運搬具。 一、いちこの事、なわにてあみ、ふくろのごとくにして、田畑にをくこ = 稲〉田。苗取・苗運び・ 三うえた ニさっきなえ やしをいれはこび、五月苗を取、植田にはこぶ。青草のなわにかゝらざ田値の一連の仕事をさっき 又はさっき仕事とよぶこと がある。そのさっきの苗で るをかりて入る。夏秋は五穀穂切の品々を入、牛馬にもをゝせ、家路に ある。 三田植をする田。苗代に 帰る。また人がせをいて自由能ものなり。なわほそく、つよく、小目に 対して本田。直播をする田 に対していうこともある。 あみて徳有。 直播田はつみ田・かき田と 一、すがり袋、なわをほそくつよくしてすくあみ袋なり。いちこのごと 四穂首刈にする作物の類。 くに遣ふもの也。土民は野山に五穀をほし、また葉をとり品々、根を取栗・稗・とうもろこしなど。 五負わせ。 六網ふくろの一種。 品々多ければ、いちこ・すがり袋・あちか・大籠・むしろだて、かやう 七底本・祭本とも同し。 なる物に入、皆家路にはこぶなり。雨けなどには繩にてゆいからげ、手「葉をとる」であろう。 ^ 筵を真二つに折り、両 側を繩でとじ合せた袋であ 廻しあしきゅへ也。 ろう。 一、たれはたご、牛馬につけるものなり。長さ四尺程、横一尺五六寸程九結び合せる。この句、 底本・祭本ともに「からげ に、はしごのごとく雑木を以さし、横木を四本とをす也。牛馬の鞍つぼ手廻し : : : 」と続けている が、意味からは、「からけ たものは便利がよくないか にこゝろ安く居るやうにこしらへるなり。其両方になわにてあみたる袋 らである」の意である。 のしりを結ぶやうにして取っけ、則田畠のこやしとなるものを入はこぶ。一 0 垂旅籠。旅籠は旅の時 馬の飼料を入れた籠。ここ 牛馬にををせながらごみ・あくたを入、また袋のしりをときて、荷物をでは馬の背につけ繩袋を結 びつける木製の道具。 = 鞍の前輪と後輪瓮す ) 処々にをろすものなり。一段手まはし能、はか取事多し。 もって 四 九 五