荷 - みる会図書館


検索対象: 魔頂チョモランマ
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1. 魔頂チョモランマ

の指示でおさまった。このルート工作用の資材は次の貫田パーティ、その次の大蔵パーテイも独自に 持ち上げなければならないことになり、各キャンプ間で何本持ち上げるかの確認のため電波が飛びか 私は黙っていた。もし次のシェルバの荷上げまで待っと、明日、明後日休んだ彼らがキャンプを一 つ一つ一日ずつ上がって 0 3 に荷を上げるのが五日後になる。それまで待っと、現在 01 、 0 2 に上 がっている隊員の動きはむだ足となるし、日程的にも登山日数がのびてしまう。今の交信内容からル ート工作隊員一人の荷上げ量は一一十キロを越すことになるが、でもお互いに、自主的に話し合ってい る。ここは一つ隊員にガイハッてもらおう。それより、今後こうした荷上げ荷物の内容のミスがおこ らないよう、原因と対策を考えよう。 「ただいま、とりこみ中」 十一月十二日。四時過ぎ、 01 に荷上げに行っていたサーダーが帰って来た。シェルバテントの前 で靴下をぬぎ、日に干しているのを見て、のどの乾きをいやし、汗がひき、一段落したなとみて、昨 夜隊員間で問題になった間違って上がってしまった荷上げの件についてじっくり話をした。 原因は、からへ上げた荷物をでおろし、から登攀具をに上げるよう、で 隊員が指示したのだが、言葉がよく通じずにからそのままに荷が上がってしまったというこ とで、結局お互いの理解がうまくゆかなかったという話になった。そこで、次回からの荷物は途中で 入れかえせず、から直接、次の設営キャン。フ地まで、荷をくずさず、上げてもらうよう頼む。す

2. 魔頂チョモランマ

人だけでなくみなで判断しながら登れるこの雰囲気は、。フラスだと思う。それにしても、ヒマラヤ登 山の隊長をしたこともある福島が、アイゼンでトラ・フルなんて不思議でしかたない。が、それはさて おき、福島の今日の交信、テント場への気配り、さすがべテラン・クライマーというところだ。誰に でも、注意深い面、気づく面と、うつかりする面、気づかない面があるものだ。そこをお互いに気づ かせあい、こうしたフランクな話し合いの出来る雰囲気は、これからも絶対に保持したい。 八時の交信で、貫田から、シェル。、が荷上げの荷が重いと言っていると伝えてきた。本日 on へ荷 上げしたシェレ。、 ; ノ , カ 01 で貫田と話し合ったそうだ。 01 から 0 2 への氷壁は斜度もきつく、彼らも 腕が疲れてしまうらしく、二回荷上げしたら、一日休ませてほしいとか、 o ~ 01 の荷上げを五日 するより、 01 ~ 0 2 の荷上げを二日する方が疲れるとか、前々から聞いていたので、無理はせず一 回十五キロとした。 シェルバの荷上げの話をするうちに問題が発生した。現在 0 2 にいる早川、近藤が明日 0 3 へ行 き、明後日 0 3 からルート工作の予定なのだが、その時使用するロープ ( フィックスドロー。フ ) やス ー等、本日のシェルバの荷上げで上がっているはずだったが、その代わりに食料のはいったカ ートンポックスが三カートン上がってしまったのだ。 ず 急きよ、 0 2 の早川、 01 にいる貫田の交信で、ロープ、 ーケン、ス / ーバー類は、ルート工作け 隊員が持ち上げることにするが、 on からは酸素を使う可能性もあり、早川と貫田の間で酸素を持ち 上げる分を口 1 プに代えろという貫田と、酸素を上げるという早川で、なかなか話がっかなかった が、結局、酸素の代わりにロープの本数をふやし、一。ヒッチでも多くルート工作をするよう貫田から に

3. 魔頂チョモランマ

だ、そんな感じもした。 風間チームを見送り、一段落し、早川、近藤がを出発した。 フランクな話しあい 十一月十一日。ここのところ天候はおちついている。冬のチョモランマの無風快晴は望めないが ーティーが 01 入りした。早 晴天であるだけでもうれしい。本日は mc-) から貫田、福島、大矢のパ 近藤は 01 から ro 2 に移動した。また 0 3 建設のための荷上げでシェルバ四名が 0 2 から 0 3 に 向かっている。実は数日前サ】ダーからシェルバたちの荷上げについて 01 から一日で 0 2 を通過 し、 0 3 へ荷を届けるという案が出され、ルート工作ずみのこのルートなら、ザイルにユマールをか け、ただひたすら登ればいいのだし、危険性もなく、かえって急な斜度の尾根の上にはってある 0 2 に宿泊するより、から出かけへ戻って眠る方が彼らにとってもプラスと考え、この方式で荷 上げすることを了解していた。 そしてそれを昨日行う予定だったが、結局までは行けず、昨夜 (-)N に泊った彼らが on へ本日 荷上げし、 01 へ戻ることになった。 ー交信で本日 01 に上がった福島からまず、 01 の除雪について言って 夕方、七時のトランシー 来た。 01 は、前回は広い雪原の上にテントを張り、その周囲に装備を野積みにしていたのだが、こ れが毎日の地ふぶきで、すぐ埋まってしまう。またトイレに行くにも、以上に上ける荷物を背負 い子につける作業をするにも、一歩テントから外に出ると地ふぶきの中で動かなければならない。そ Z34

4. 魔頂チョモランマ

慎重な貫田なら、こう考えるかもしれないとも予想していた。 サーダーと、に荷上げに行ったシ = ルバとの間で、 o«の状況を話し合ってもらい、その結果、 フィンクスドロー。フの最高点の一本が約三十 ~ 四十メートル落下、その先に二個荷物が見え、さらに その下に、離れてプルーの荷物が見えるが、そのほかはないということが判明した。 対策としては、福島パーティに明日地点に上がってもらい、荷の回収を幀む。プルーの荷とはテ ントだろう。ということは、テントを入れた袋はすでにばらばらになってしまっただろうから、それ と一緒にあったアブミ等の登攀具はないと思わなければならない。袋二つの中身はフィックスと生活 道具か等々、推理しながら次の大蔵パーティには 0 2 に残っているフィックス、スノーバー等を荷上 げし、 0 3 を経て 0 4 へ上るよう指示した。この際、明日 0 3 で泊まったら、三つのうちの一つのテ ントをに上げるよう言った。なにをおいてもを作り、さらに OLO へとルート工作を続行する ために。 一方、明日二十五日、 o からサーダーに e o までおりてもらい、 e o にある残りのテント等 を選んでもって来てもらう。次に mo から上る人間が、それを以上に持ち上げよう。各キャンプ にこの話をすると、貫田から、「下降中考えていたのと、隊長の指示とだいたい同じです」ときた。 ショックは大きく、またダメージも大きかった。なにしろ十人分の荷上げの労力と物資を失ったのだけ から。しかし誰もメゲていなかった。むしろフィックスが足りるか、スノ ーくーはどこかと真剣だ 0 盟 た。まだまだ登れる。 「いえ」と一言向こうから返事がきた。

5. 魔頂チョモランマ

昨日今日の二日間 01 ~ 0 2 の荷上げをしただけで、「べース ~ 01 間の五日間の荷上げよりもきっ い。明日もう一日荷上げしたら、べースにおろしてくれ」と言って来た。 ~ 間はかなり斜度 がきつく、 彼らはちょ 六〇度くらいの傾斜があるために、前回も中国人協力員がとてもいやがった。 , っとした落石が腕に当たっただけでも、休ませてくれと言って来たが、今回も ~ 間が荷上げ に大変な場所だけに、ネックになりそうな気配だ。 夜、シェルバのタクティクスについて、サ 1 ダーと相談した。若手四人組に、せひとも今回は o に戻 らず 01 で休養をとったのち、 0 2 へ上がってくれるようにと頼む。九時三十分、バイクチームの関 崎君がメイハ ーズテントに駆け込んで来た。気イクが来ました」。私は何となく今日来るような気が していたので、風間さんにも、今日絶対来ると八時のトランシーバー交信で言ったのだが、日程ぎり ぎりのところでバイクが届いたのだ。 早くも冬が・ 六日、朝。昨日隊員は全員から上の行動となったため、本日はにいるのが私と関崎君だけ だ。モーニング・ティの後、すぐ支度をして外へ出る。本日もサーダーを含めてシェルバ五名分の荷 上げに必要な物資を分けなければならない。朝の仕事が終わり一段落し、食事が終わると、シェル。 ( たちが出発していった。今日は、段取りが早かったためか、十時かっきりにみんな出掛けて行った。 まだ太陽がべースキャンプまで当たってきていない。寒いなあと思いながら、しばらくキッチンに、 るが、石油が足りなくなるといけないので、すぐ火を消してしまった。 れ 9 烈風に負けず

6. 魔頂チョモランマ

食事が出来るまでの間に、からへ荷上げする荷を選ぶ。まだ太陽光線の届かない山間の o は、実に寒い。手袋をしているのに、荷物に触れるだけで指先が凍傷になりそうになる。前回はこ んなことはなかった。日、一日と寒さが増すのを隊員はみんな察知していた。もう、から上の行 動では、デサントの協力を得て、私たちが極寒用に開発した、歩くシュラーフといわれる上下っなぎ のワンピース、通称″宇宙服が必要だ。今日の荷上げの荷の中にもこれを四着入れた。食後、荷上 げに行くシェルバたちを送り出した。大蔵は、昨晩ほとんど徹夜に近く、電気機材の配線の仕事をし、 ファクシミリを調節して、インドからの気象をとつつかまえた。日本語放送もキャッチした。 水汲みを終え、ヤカンを持って帰って来た私に、福島が、「巨人が勝ったってさあ」と言う。私は、 藤木氏からダルマさんをいただいており、「阪神が優勝したので片目は入れてありますねん」といわ れていたので、なにを今ごろ、冗談をと思って、「へエー、今。フロ野球やってんの」ととぼけて言っ た。すると、「アレ、隊長は知っていたの ? 」と話が噛み合わない。「当然 ! 」と言ったら、意外なこ とに彼らは今日の日本語放送で、日本シリーズでの阪神優勝を知って一喜一憂していたらしかった。 十時頃、左手の山合いから大きな雪崩があった。落石がきっかけと思われる。このテント場は、モ レーンの中の山になった部分を一つ越えた、さらに氷河の内側なので、モレーンの右岸の小山たちに 守られていて安全な場所だ。それでも、私たちは爆風のような細かい雪の霧を浴びながら雪崩の行方 を見守り立ちすくんでいた。大蔵がちょっといらついている。ビデオを回す人がいないとぼやきっ つ、自分でやっている。ビデオの件については、休養日に装備、食料等の整備で忙しい隊員に負担を かけるのはかわいそうだとなると、べース周りのところは、もう少し落ち着いたら、私が回しておく

7. 魔頂チョモランマ

でに 01 に上がっている次回の荷のチェックについては、明日私が 01 に上がって調べることにし 七時の交信で、早川 ( ーティは相変わらず速く、すでに入りしているといってきた。貫田パ ティのからは連絡がない。まだルート上を登っているようだ。早川、近藤は荷が重く、かなり体 力を消耗したと言ってきた。 次回から荷上げミスがないよう、一気に運ぶ話をつけたことを早川に伝える。明日、ルート工作終 了後、 01 におりてどの荷を 0 4 に上げるかのチェックを、いっしょにやってくれるようにと頼む。 ここまでは、いつも通りの連絡だった。 八時の交信、の貫田から「ただいまとりこみ中、交信九時に願います」と入って、、、 ともしたが、その後、シェルバ同士の交信や、 on から明日のルート工作の話、そして各キ ャン。フの不足物の連絡等々、九時三十分ごろまで各キャンプの話が続いたが、からの交信は来な かった。「とりこみ中って、いったい何がおこったのかな ? 」と私。 0 3 の近藤から「ラーメンでも ひっくりかえしたんでしよ」「でも、ラーメンだったら十五分くらいで片づくと思うよ」と答えると、 電波の向こうで近藤が笑っていた。 ず その直後、貫田、大矢はに到着しているが、福島がまだルート上との報告あり。もう九時三十け 分を回っている。 01 の大蔵に、福島の使用しているであろうへッドラン。フの光を、ルート上にさが してもらう。からは真正面が北壁だから、日中でも、登っている人間がどのあたりにいるかはす ぐ確認できる。

8. 魔頂チョモランマ

にもロープをつけていなければならない場所だ。ここは誰でもなるべくなら泊まりたくない。しかし 彼は今日のルート工作をなんとか達成しようとしていた。 の方では、昼近くまで寝ていたが、私の作った雑炊を食べ、二時ごろに下りはじめた。私 はに残り、次の荷上げを見とどけようと思ったが、から荷上げして来たサーダーに次の荷上 げの荷を説明したら、シェルバたちもよく分かったと言うし、今夜は大蔵パーティがまで下りて 泊まる予定だ。へ下りて来なければ一人でいても仕方がないとも思った。私がを離れている うちに、連絡官の張さんがに戻り、私におみやげと手紙をことづけているという。とりあえず に戻ろう。 帰りの道は快適だった。風がなく、写真を撮りまくりながらに向かった。 mo の見える所まで 来たら黒い影がキャン。フ地を走り回っていた。犬だ。 nc-) に戻ってすぐサーダーに、ヤク工作員が上 ってくる時について来たのかと聞いたら、朝、上って来たのだと言う。近藤がもう名前をつけてい ーズテント て、ラッキーと呼んでいた。真っ黒で毛足の長い犬だ。チベット大だという。夜はメン・、 の東側の雪の上で丸くなってねむっている。 に戻って今日は早めに寝られるかと思ったが、あまかった。十時頃、関根から交信が入り、 「今 ro 1 です、あとの二人は分かりません」という。 01 のトランシー ーの・ハッテリーが切れて、 向こうからの話が聞きとれなくなった。大蔵はヘッドラン。フを持っていないとか、そんな話も出た。 私は、朝、大蔵が 0 2 に泊まるつもりと言っていたのを聞いているから、きっと 0 2 たろうと思って はいたが、それにしても六時、七時、八時と一度も交信して来ないから心配だった。

9. 魔頂チョモランマ

確実に赤い点がホーン・ハイン・クーロワールを登って行く。今日も福島い近藤はルート工作に出た。 o では行け ! 行け ! この好天のうちにアタックまでもって行け、という思いだった。二時間く らい遅れて二つの影が雪壁を左斜上している。等間隔で登って行ったシェルバど。 ー交信をしていた時、ニマ・テンバが この二人については朝の交信時に、サーダーとトランシー 「シャク・ハ ( おかゆ ) アリカテ ( 少し ) 」と言うのが聞こえた。昨日、サーダーが説得し、逃げ帰っ たシェルバの三人分の荷を、本日もこの二人が荷上げするため、昨夜は帰らずにに残ったのだ。 昨夜、雪洞に泊まった二人は睡眠中に酸素を吸ってすっかり元気。食べものはおかゆが少ししかな とサーダーにうったえているのだと私は思った。ところがサーダーは苦笑いをし、シャクバと、 うのはポキシスのことだと言う。彼らは本日荷上げし、テントを立てる作業もするから、ポキシスを 少々値上げしてくれというのだ。 私はラッキーセプンで七十にしようといった。すると彼らは数が悪い、七十五にしてくれという。 した。彼らは昨日の荷上げで場所を選定し、本日行く気になったらしい。さすが。フロ、大蔵もび つくりだった。その二人が先頭の赤い点を追い上げて行った。もしかしたら近藤と福島、それに二人 のシェル。 ( をこのまま本日張るテントに泊めて明日アタックさせようか。そんな話が出た。その話に から帰って来た貫田を含めサーダーものってきた。 ところが双眼鏡で見ていたら二時過ぎ、 0 4 のテントからポッと人影が出て、その点がどんどん登 「てい 0 た。あれ ! て 0 きり福島、近藤がルート工作をしているものと思 0 たていたが、一人は今魔 まで、 ro 4 のテントの中にいたのか。今ごろ出て行くとすれば、それは寝ぼうの近藤に決まってい 2

10. 魔頂チョモランマ

素状態だと頭の回転もにぶり、もうろう状態、今自分が何をしようとしていたか、何をしているのか 忘れてしまうこともしばしば。せまいテントもなかなかかたづかないものだ。 とんより曇った空の奥、チョモラ 「近藤を先行させてありますから大丈夫です」こう言ってきたが : ンマの北壁を望遠鏡で見ると、きちっと等間隔をあけて確実に登っているシェルバの一群の後に、か なり下の方から一名が登って行くのが見える。まずいなあ。地点にシェルバが先に着いたら、彼 らは荷を置くが早いか、すぐに下ってしまうに違いない。彼らにはサーダーを通して、テントサイト の雪をけずっておくように言ってはあるが、隊員が見ていないと申しわけ程度ですましてしまうの だ。氷壁の斜面に水平の二 >< 三平方メートル四方程度のスペースを作ることは一仕事なのだ。まして 薄い空気の中、二、三回ピッケルをふるうとゼーゼーする。大変なことはわかっているのだから、近 藤君早く登れえ。そしてシェルバをつかまえろお。 三時、早川が交信を受けて、キッチンテントで食料整理していた私の所へ報告に来た。「 0 3 の貫 田さんから交信が入りました」「 0 3 ! 」貫田はまた 0 3 を出ていないのか。「前回上げた 0 4 の荷 、。、ール語でない ) だそうです。上にいても意味がな 物、サッパイ ( ネノ 。、ール語で全部 ) ツアイナ ( 、イ / いので、全員に下るよう指示しました」 ず えい私はガーンと体全体を打たれた気がした。心臓だけカ : ドッドッと打っている。ぬけがらの体け になってしまったようなショッ クを受けた。荷物がない 。どうしたんだ。前回上げた後、大風でおっ 烈 こちてしまったのだろうか。十八日の大風の時は、二回目の荷上げで約七十五キロの荷が上がった。 ーも、食料も、ガ その前にやはり七十五キロ上がっている。テントもフィックスドロープもスノーパ に