ゲートウェイ - みる会図書館


検索対象: UNIX MAGAZINE 1993年2月号
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1. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

連載 UNIX Communication N0tes—O ゲートウェイに障害が発生した場合、そのゲートウェイ を迂回する経路があっても、この経路を使えるようにす るには管理者がいちいち経路情報の設定を変更しなけれ はなりません。ゲートウェイの数が多い大規模ネット ワークでは、ネットワーク内でゲートウェイの障害が 発生する可能生 ( 確率 ) が高くなります。そのため、静 的経路制御では管理者か障害に対応しなければならず、 深刻な間題となります。 ・ループした経路を設定する可能がある 静督路缶剏では、管理者の不注意によりループした経 路か設定されることがあります。これは、経路情報の設 定か管理者に任されていることから生しる寸に避ける ことのできない問題です。さらに静鯵督路制御では、管 理者や利用者が気がっかないかぎり糸登各のループは鮹肖 できません。 設定された経路が最適とはかぎらない ループした経路の問題と同じように経路の選択カ壻理者 に完全に委ねられていることから、設定した経路情報に 問題がなくても、設定糸登等が最直である保証はありませ ん。とくに、ネットワークの規模が大きくなったとき、 ネットワークのトボロジーか変化した場合は最適な経路 窈尺カしくなります。 このような間題は、経路設定、経路選択がす , 、くて管理者 に委ねられるために起こります。そこで、上記の間題を解 決するために、経路設定を自ヒして次のような機能をも つ経路制御欟冓カ発されてきました。 1. ゲートウェイやリンクの障害に対応して経路を変更す る。 2. ループした経路を鮹肖する、あるいは、ループした経路 を設定しない。 3. なんらかの評価尺度に従って最商の経路を設定する。 このような、状況に応して経路を自重加勺に設定する手法 か動白各制御です。 重加勺経路缶剏については次回に詳しく説明します。 こからは IP と表裏一体の ICMP (lnternet さて、 Control Message Protocol) の概念について説明しま ICMP UNIX MAGAZINE 1993.2 す。さらに経路制御に関連するいくつかの機能をみていく ことにします。 IP は、データグラム型の通信を best effort protocol で提供しており、ときには通信途中で IP データグラムが 失われたり、さまざまな理由からゲートウェイで IP デー タグラムか破棄されることがあります。このように IP デ ータグラムを伝送しているあいだに障害が発生した場合、 さきにも述べたように IP 自身には障害を送信ホストや受 信ホストに報告する機能はありません。しかしながら、実 際のネットワークの運用を考えると、障害に対処する処理 をホストやゲートウェイでおこなわなければならないとき もあります。このような理由から、通信途中で障害が発生 したことを報告したり、あるいは、ネットワーク層の機能 の一部を制御するための機能が ICMP として用意されま ICMP は、 RFC では IP とは別に定義されています が、実際には IP とともに実装しなければならない必の 機能となっています。 ICMP の重要な機能の 1 っか障害の報告です。通信中 になんらかの障害が発生すると、障害を検知した経路」 : の ホストから ICMP によって情報が送信ホストに送ワ返 されます。また ICMP では、ホストのネットマスクを 要求するような障害報告以外の機能も提供されています。 ICMP の発信はゲートウェイだけというような制限はな く、どのホストからも発信できます。このことから、各ホ ストで ICMP の機能を使って、ホストやネットワークの さまざまな状態を知ることもできます。 ICMP の伝送は IP の機能をそのまま使っており、 IP データグラムのデータ部分に ICMP にもとづくメッセー ジ ( データ ) が入れられて、通信がおこなわれます。 IP と同しように、 ICMP は通信の信東生を章しておらす、 あくまでも best effort protocol として構成されていま す。ただし輻輳を避けるために、 ICMP の伝送中に発生 した障害に対する ICMP は発生させません。 データフォーマット ICMP のメッセージは、最初の 4 オクテットがヘッダ の彳難リをします。最初の 1 オクテットが ICMP の不頁を 表す TYPE フィールド、続く 1 オクテットが CODE と呼はれるフィールドで、より詳細な情報カ俵されます。 43

2. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

連載 /IJN Ⅸ Communication Notes— リスト 1 IP での制アルゴリズム } else if ( 受信ホストのネットワークへのネットワーク経路がテープルにある ) { 経路情報に従ってゲートウェイに送る ; } else if ( 受信ホストへのホスト経路がテープルにある ) { 直接そのホストに送る ; if ( 受信ホストは直オ妾続されているネットワークのノード ) { 経路情報に従ってゲートウェイに送る ; } else if (default route がテーフ・ルにある ) { 経路清報に従ってゲートウェイに送る ; } else { 到達不能として IP データグラムを破棄する ; UNIX で、経路情報テープルヘデータを追加、削除す るには route コマンドを使用します。経路情報テープル は重要なデータですから、スーパーユーザーがこのコマン ドを用いたときにかぎり経路情報テープルのデータを変更 できます。 経路情報の追加 ネットワーク糸登各情報の追加は、 route コマンドに ような引数を与えることで実行できます。 # route add net destination 9 佖社畑リ metrtc 梦 ( ク ) 靃 s れ 0 。れは目的のネットワーク、四囮は目的の ネットワークとの通信に使用するゲートウェイです。も ちろんゲートウェイは、そのホストと同一のネットワー クに接続されていて、直接通信できなければなりません。 metric は、目的のネットワークに到達するまでのゲート ウェイの数です。直孑妾続されているインターフェイスに 対してはメトリック 0 を設定します。一方、ゲートウェ イを経由して通信される経路に対しては、すくなくとも 1 以を設定しなければなりません。また、 destination と 9 e 佖リには、 /etc/networks や /etc/hosts に登録 してある名前を使うこともできます。 そのホストが直接接続されているネットワークに対す る経路情報を追加する場合には、四にローカルの ネットワーク・インターフェイスのアドレスを指定しま す。たとえは、ローカルに接続されているネットワークが 192.9.200.0 で、ローカルのネットワーク・インター フェイス・アドレスが 192.9.200.1 の場合には、この UNIX MAGAZINE 1993.2 ローカルのネットワークに対する経路情報は次のように追 加します。 # rout e add net 192.9.200.0 192 . 9 .200. 1 0 に、ホスト経路情報の追加も次のようにおこなえま す。 # route add host des れ 0 0 れ 90 e 社 , 0 リ metrtc destination は、目的とするホストを指定します。ホス ト経路を設定するのは、多くの場合ポイント・ツー・ポ イント接続です。この場合、四 tew はローカルのシリ アルネットワーク・インターフェイス・アドレスを指定 し、 dest れにはリモートホストのシリアルネットワ ーク・インターフェイス・アドレスを指定します。 経青報の削除 経路情報の削除は、コマンドの引数の add を delete にします。削除の場合は、 metric は不要です。たとえ ば、ネットワーク backbone への経路としてゲートウェ イ mygatewayl カ甘旨定されている経路情報を削除する場 合は、 # route delete net backbone mygatewayl # route とします。 さらに、すべての経路情報を削除したい場合には、 39

3. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

連載 UNIX Communcation Notes—朝 図 4 出口が 1 つしかないネットワーク net 1 外部のネットワーク 通信に要する時間カ鉄豆くなります。したがって、 netl と かに netl と net3 の通信はホスト G3 を経由したほうが トとネットワークとの接続もまったく同じであれば、明ら いる 3 つのホストがすべて同じものであり、それらのホス する設定がされていました。こでゲートウェイとなって ホスト G3 を使わないで、ホスト GI とホスト G2 を経由 たとえばさきほどの例では、 netl と net3 の通信では すに特定の経路に負荷が集中するのは不経済な通信です。 からも、代替経路か存在するにもかかわらす、それを使わ ているのは不斉な通信そす。またネットワーク運用の面 るにもかかわらす、通信時憫がよけいにかかる経路を使っ ネットワークの利用者からみれば、より高速な経路があ 信 " をおこなっている場合があります。 冗長な糸習各が存在するネットワークでは、不経済な通 不経済な通信 管理者か設定を変更しなければならなくなります。 ます。さらに、ゲートウェイて鱆害が発生した場合にも、 静的経路制御では、設定した経路をつねに使用し 意 4 更する必要が出てくるわけです。 ゲートウェイの拠章などの障害に対して、管理者か設定変 は設定によって使われる経路か決められてしまい、さらに 冗長な経路が存在するネットワークでは、静路制御で ように経路設定を変更しなければなりません。このように だの通信かできなくなります。そこで、ホスト G3 を使う 42 net3 の通信に G3 を使う経路設定をおこなうほうが、経 済的な通信を実現することになります。 静的経路制御では、すべてか経路を設定する管理者の判 断に任されています。冗長な経路カ在するネットワーク で静路制御を用いる場合には、このような不経済な通 信を回避する経路、つまりよい経路の上手な選択が重要で す。しかしこれも、ネットワークの規模が拡大してきた り、ネットワークの構造か複雑になると、設定されている 経路が本当によい経路かどうかの判断か難しくなります。 経路を慎重に判断する必要が出てくるかもしれません。 注意 5 静的経路制御をおこなう場合には、設定する経路 がよい経路かどうかを判断する必喫があります。 Default route の利用 図 4 を見てください。このようなネットワークでは、外 部のネットワークへの通信はすべてゲートウェイであるホ スト G お面茴します。そこで、 netl に接続されるゲート ウェイ以、タ P ) すべてのホストでは、 default route の機能 を使って、はかのネットワークへの経路をすべて default ノート 2 になります。 経路情報テープルの大きさを節約できますし、設定も簡単 トワークへの経路情報を正しく設定します。これにより、 一方、ゲートウェイであるホスト G では、 # route add net default G 1 ンドを使って次のように設定します。 route に代表させることかできます。これは、 ほかのネッ route コ ? 動的経路制御 情報の設定を簡単におこなえる場合があります。 default route の使用で細かな設疋を避け、経路 UNIX MAGAZINE 1993.2 ・障害に対して弱い いくっかの問題点があります。 こまでみてきたように、静白釜路制御には次のような

4. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

整合羅を保ち、かっ IP データグラムがループしてしまう ような、間違った情報を糸剳青報テープルに紛れ込ませな いように管理しなければなりません。ところが、経路情報 テープルの管理ガ去について、インターネット層、つまり IP プロトコルではなんの規定もされていません。 それではいったいどのような管理をしているのか、今回 はこの経路情報テープルの管理ガ去について解説します。 経路情報テープレ 前回も簡単に触れましたが、経路情報テープルはカーネ ル内に用意されたもので、 IP データグラムをどこに送れ はよいかという情報か己してあります。今回はこれをも 連載 UN Ⅸ Communication Notes—⑩ ドレスカ甘旨定されます。ネットワーク・アドレスカ甘旨定 、、送り先 " である、ネットワーク・アドレスかホストア ・送り先 れます。 糸登各 'l 青報テープルの各ェントリは、次の情報から構成さ 経路情報テーカレの構成 うすこし詳しくみていきます。 、、送り先 " に到達させるための通信に使用するインター ・インターフェイス どの清報を表します。 指定するエントリか、動的に生成されたエントリか、な トウェイを指定するエントリか、ホストに対する経路を 登録されている情報について、経路か刳用可能か、ゲー ・フラグ ターフェイス・アドレスカ甘旨定されます。 接続されているネットワークの場合は、ローカルのイン に送るゲートウェイのアドレスです。そのホストに茁妾 IP データグラムを、、送り先 " に到達させるために、次 ・ゲートウェイ イを見つけます。 リをキーとしてテープルを検索し、次に送るゲートウェ と呼ぶことにします。インターネット層は、このエント び、ホストアドレスカ甘旨定されている場合をホスト経路 されている場合、その経路情報をネットワーク経路と呼 UNIX MAGAZINE 1993.2 フェイスの情報です。 糸青報テープルは、首の駅の乗換え案内にたとえる ことができます。各工ントリは、 、、送り先 ~ 方面は、、、インターフェイス " 乗り場の電車で、、ゲー トウェイ " まて行ってください と孑ぐしているわけです。 この糸剳青報テープルは netstat コマンドを用いて参 照できます。オプションてを付けて netstat を実行する と、現在カーネル内の経路↑青報テープルに登録されている 工ントリか表示されます。さらに、オプションⅡを同時 に指定すると、ホストやネットワークを IP アドレスで 表示します。フラグは英字で表示され、以下の未をもち ます。 U 利用可能な経路 G ゲートウェイを指定する経路 H ホストに対する経路を指定するエントリ D 重加勺に生成されたエントリ 各工ントリに付いたフラグから、そのエントリについて の次のような情報を得ることができます。 ・ U だけカ寸いたエントリ ホストが直接接続されているネットワークに対する経路 情報です。このエントリにあるホストには、ゲートウ ェイをいっさい介さすに茁妾通信できることを意味しま す。このことから、 Ethernet や TokenRing といった プロードキャスト型のネットワークに対してこのフラグ カ俵示されるのが一ヨ勺です。 ・ UG が付いたエントリ はかのネットワークに対する経路情報で、同しネット ワーク内にあるゲートウェイに対応するエントリで表示 されます。 ・ UH カゞイ寸いたエントリ そのホストから直接接続されているホストに対する経路 です。このエントリのホストには、ゲートウェイを介 さすに直接通信できることを未します。ーイ殳にポイン ト・ツー・ポイント (point-to-point) 接続によって、 妾続されたホストの経路情報に対してこのフラグが 表示されます。たとえば、 SLIP などのシリアル回線で 茁第妾続されたホストに対する経路情報にはがフラ 37

5. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

連載 /IJN Ⅸ Commurucation Notes 図 3 冗長な糸あるネットワーク 表 1 図 3 のネットワークて考えられる * netl G3 net3 GI netl - → net2 netl ー→ net3 net2 ・→ netl net2 ーみ net3 net3 ー netl net3 —* net2 経路情報の欠落 GI G3 G 1 G2 G3 G2 経路 1 G 3—G 2 G1—G2 G 2 ーー G3 G1—G3 G2—G1 G3—G 1 糸各 2 net2 G2 先月号では説明はしませんでしたが、 IP データグラム のヘッダのなかに、、 TTL " がありました。これは、、 Time To Live" というフィールドで、その意味からも分かるよ うにデータグラムの生存時間を表すフィールドです。デー タグラムの生イ判間は、ゲートウェイを j 面茴できる回数を 表しています。ゲートウェイでは IP データグラムを中継 すると、このフィールドの値を 1 すっ減らしていきます。 そして、フィールド刎直が 0 になると、データグラムはそ れ以 - ヒ中継されなくなり、ゲートウェイて破棄されます。 通常は、 TCP の TTL は 60 、 UDP では 30 が設定され ています。 この TTL の機能によって、ループした IP データグ ラムは最終的に破棄されます。したがって、ネットワー クが IP データグラムで埋め尽くされることはありません が、けっきよく netl と net4 のあいだでは通信できない ことになります。青勺経路制御を用いる場合には、経路が ループするような設定か管理者の不注意から惹き起こされ る可能性があります。十分に注意してください。 意 2 静的経路制御では、経路のループが発生する設定 かできてしまいます。このような設定は管理者の不注意に よるものカ吠半です。経路情報を設定したあとで、かなら すループが発生していないかチェックしましよう。 UNIX MAGAZINE 1993.2 経路情報の設定を忘れてしまうことがあります。 もう 1 度図 2 のネットワークて考えてみましよう。 3 つ あるゲートウェイのうち、ホスト GI とホスト G3 の経路 情報の設定は正しく、中央にあるホスト G2 で、 net4 に 対する経路情報が設定されていなかったとします。その場 合、 netl に接続されたホストから net4 に接続されたホ ストに通信したときは、 IP データグラムはホスト GI を 経由してホスト G2 に到達したところで、そのデータグラ ムは到達不能なものとして破棄されます ( リスト 1 ) 。 意 3 必要な糸剳青報の設定を忘れてしまうことがあり ます。これも管理者の不注意によるものが大半です。必要 な経路情報を設定したか、かならすチェックしましよう。 冗長な糸 図 3 のようなネットワークを考えてみましよう。この ネットワークでの経路缶衂は単純ではありません。ネット ワーク間の経路は、表 1 のようになります。 つまり、どの通信においても 2 つの経路か存在してい ます。このように 2 つのネットワーク間に複数の経路が ある場合、そのネットワーク間には冗長な経路か存在する といいます。 このネットワークで正しく通信カきるように、各ゲー トウェイで経路情報が設定されているとします。 こで、 netl に接続されているホストでは、 net2 、 net3 に対する経路がす , ヾて GI に向けられており、 net3 に接続されているホストでは、 netl 、 net2 に対する経路 がすべて G2 に向けられているとします。 この場合、 netl と net2 のあいだの通信はつねにホス ト GI とホスト G2 を経由しておこなわれ、ホスト G3 は まったく経由しないことになります。さらにこの設定状態 では、仮にホスト G2 か古章すると netl と net3 のあい 41

6. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

連載 UNIX Communication Notes 山口英 経路制御の仕組み ( 2 ) ネットワーク・プロトコルは、さまざまな技術の組合 から構成されています。 TCP/IP プロトコル群は、階層 化された構成になっており、各階層は直下の階層カ醍供す る機能を利用して実現されています。各階層はそれぞれ、 上位からアプリケーション層 (Application Layer) トランスホート層 (Transport Layer) 、インターネッ ト層 (lnternet Layer) 、ネットワーク・インターフェ イス層 (Network lnterface Layer) 、 ハードウェア層 (Hardware Layer) です。 先月号では、 TCP/IP プロトコル群のうち、ネットワ ークにおけるホスト間通信の基本的な機能を提供する、ネ ットワーク・インターフェイス層とインターネット層の機 能について説明しました。 ネットワーク・インターフェイス層では、同一のネット ワークに接続されたホスト間の通信機能を実現しており、 ハードウェアの制御と、そのハードウェアに適合したか たちで IP データグラムを転送します。このため、この層 のプロトコルは各ハードウェアごとに実装されます。さら に、ネットワーク・ハードウェアによっては、 IP アドレ スとネットワーク・ハードウェアが用いているアドレス をマッピングする機能が必要です。その 1 つの例として、 Ethernet で使われている ARP (Address Resolution ProtocoI) を紹介しました。 一方、ネットワーク・インターフェイス層のすぐ上に位 置するインターネット層では、 IP (lnternet ProtocoI) が用いられており、ネットワーク相互接続環境におけるホ スト間の通信機能を提供します。 IP では、 IP データグ 前回の復習 36 ラムと呼はれるデータを単位としてデータグラム型の通信 をおこないます。データグラム型の通信では、送信ホスト と受信ホストのあいだて特別のセットアップはおこないま せん。さらに、通信の途中でデータグラムの喪失などの工 ラーが発生しても、送信ホストにも受信ホストにも基本的 に報告されません。 IP のように通信に関して最大限の努 力はするが失敗したときには何もしないプロトコルを、 般的に best effort protocol ともいいます。 IP カ甘是供する重要な機能として、データのフラグメン テーションの機能と経路制行財冓があります。データグラ ムのフラグメンテーションは、異なるネットワーク・ハー ドウェアを経由して通信するための機能です。ー殳に、各 ネットワーク・ハードウェアの MTU は同しではありませ ん。しかし、 IP データグラムの大きさは MTU には制限 されませんから、実際の伝送では MTU を超えないよう に必要に応して IP データグラムを分割して伝送する必要 があります。このため、 IP のフラグメンテーション機能 では、伝送に用いるネットワーク・ハードウェアの MTU を超えないように IP データグラムを分割します。分割さ れた IP データグラム ( フラグメント : fragment) は、最 終的な受信ホストでもとの IP データグラムに再構成され ます。 一方、 IP の経路制御 (routing) は、経路情報テープ ノレ (routing table) の情報にもとづいて、複数あるネッ トワーク・インターフェイスお尺する欟冓として実現さ れています。つまり、発信ホストから受信ホストに至る経 路上のゲートウェイで、それぞれローカルに管理されてい る経路情報テープルの情報に従って、次にゆくべきゲート ウェイを見つけ、最終的な受信ホストに到達するのです。 したがって、経路情報テープルがネットワーク本として UNIX MAGAZINE 1993.2

7. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

連載 /UN Ⅸ Commurucation Notes— 図 1 Ethernet 2 本からなるネットワーク netl net2 とします。 net2 への IP データグラムはホスト G に送るように経 ・ netl に接続されているホスト うな経路か設定されていると通信かできます。 すべてホスト G を経由しておこないます。これは、次のよ このネットワークでは、 netl と net2 のあいだの通信は 図 1 のようなネットワークの場合を考えてみましよう。 単純なネットワーク接続 ら説明していきます。 実際の糸各↑青報の設定の仕方をいくっかの例を示しなが ケーススタティ マンドの第 2 引数には net を指定します。 fault route はネットワーク経路として扱いますので、コ は、 dest を 0 れに default を指定します。さらに de- default route についての糸剳青報を追加、削除するに DefauIt route の取扱い する場合は注意が必要です。 リモートの計算機にログインして、そこで経路情報を削除 違って削除すると、通信か次然できなくなります。とくに 経路情報の削除は慎重におこなってください。 意 1 きは紐じ、の注意を払わなけれはなりません。 る管理作業をリモートからすることもありますが、そのと ます。管理する計算機の台数か増えると、経路制御に関す と、突然通信かできなくなり、以降のイ乍業か不可能になり 経路情報で通信がおこなわれているときに削除してしまう 機からおこなう際には十分な注意が必要です。もし、その 糸剳青報の削除を、ネットワーク経由でリモートの引算 40 路を設定する。 図 2 Ethernet4 本からなるネットワーク net4 G3 net3 G2 net2 netl UNIX MAGAZINE 1993.2 ります。 ウェイを通過すると IP データグラムを破棄する機能があ してしまいます。そこで IP 層では、一定回リ、 - ト . ゲート ワークを埋め尽くしてしまい、ネットワークを使用不能に スト G2 のあいだをループする IP データグラムがネット IP 層にループに対応する機能がないと、ホスト GI とホ することになります。このような状況が発生したときに は、ホスト GI とホスト G2 のあいだでぐるぐるとループ この場合、 netl から net4 へ送られる IP データグラム net4 への経路としてホスト GI を指定する。 ・ホスト G2 net4 への経路としてホスト G2 を指定する。 ・ホスト GI されているとします。 ゲートウェイ 3 つを通過します。仮に、次のように設定 クを想定します。 netl から net4 への通信では、途中の い膕に Ethernet4 本からなる図 2 のようなネットワー 経路のループ インターフェイスを使うように経路を設定する。 イスを使い、 net2 への IP データグラムは net2 側の netl への IP データグラムは netl 側のインターフェ ・ホスト G 路を設定する。 netl への IP データグラムはホスト G に送るように経 ・ net2 に接続されているホスト

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AUNIX Fair ' 92 : 考日 : 品 「 DEC 3000 / 400 ( 日本 DEC)O 写真に HP9000 シリーズ 700i 「モ 写真Ⅱ無線 LAN シス テム「 WaveLAN 」 ( 日本 デル 747i 」とリアルタイム VME ポー NCR)O 右上の白い箱がア ド・コンヒュータ「モデル 742 rt 」 ・ GW-IS64( 東芝 ) (YHP)O ン一テサ - 。 SBus 拡張スロットで使用する ISDN インター フェ イス・カードを、 SPARC LT に装着して展示していた ル 742rt は同じく PA-RISC7100 を採用した VME ポ ( 写真 10 ) 。ポード上で回線交換による TCP/IP プロト ード・コンピュータで、リアルタイム OS の HP ー RT を コルをサポートしたゲートウェイ機能をもつ。 サポートする ( 写真 12 ) 。 ・ WaveLAN ( 日本 NCR) ・ NetBIazer 40 ( スワイヤトランステック ) LAN ポードとアンテナ部分からなる無線 LAN シス TCP/IP 、 IPX 、 AppleTalk PhaseII をサポートす テム ( 写真 11 ) 。伝送速度 2Mbps で、独自の機密セグメ るダイヤルアップ・マルチプロトコル・ルータ ( 写真 ント ID コードによる相手判別や暗号化などのセキュリ 13 ) 。 IPX 、 AppleTalk には、ソフトウェアのノヾージョ ティ機能をもつ。 WaveLAN どうしで有線 LAN と同 ンアップ ( 1993 年第 1 四半期開始予定 ) で対応する。 様の Peer-to-Peer ネットワークを実現できる ( 参考出 ・デスクトップ UNIX/PC-6881J ( シャープ ) 8.4inch のカラーまたはモノクロ液品 ( 640X 480pixeI) 、 CPU に 80386SL を使用し 80MB の HDD ・ HP9000 モデル 747i / 742rt ( 横河・ヒューレット・ノヾ を内蔵するノート型 PC( 写真 14 ) 。 PCMCIA 仕様の IC カード・インターフェイスを備え、カード型の Ether- モデル 747i は PA-RISC7100 を使用した組込みシ net I / F などか利用できる。今回は SVR4.2 ( 英語版 ) の ステム用の UNIX WSO 拡張用 VME バスを 6 スロッ ト装備し 3 台までのカラーモニターを接続できる。モデ デモをおこなっていた ( 参考出品 ) 。 写真マルチプロトコ ・ - ル対応ルータ「 N et BI- azer40 」 ( スワイヤトラン ステック ) 。 写真 9 「 X Media 」に音 声言哉機能を実装したデモ ( 日本 DEC)O 0 を C3000 OöAXP 写真圓 S B u s 対応 ISDN ポードを搭載した SPARC LT 。奥の白いコー ドが旧 DN ポードに接続 されている ( 東芝 ) 。 ウの操作やビデオ映像の制御をおこなっていた ロロ 0 写真カラーノート型 PC 「 PC ー 688 冂」で動く SVR 4.2 の参考出品 ( シャ A に「 m Ⅱ 0 / 引 ) " 素国アレト社を ■ ・テスクト月 pc-6881J を、れ 0 : 40 ・ 14 UNIX MAGAZINE 1993.2

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連載 /UNIX Commurucation Notes リスト 3 traceroute コマンドの実彳」 traceroute tO tansei. cc. u—tokyo ・ ac ・ jp ( 130.69.240.3 ) , 30 hops max, 40 byte packets % traceroute tansei. cc. u—tokyo. ac ・ JP 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 図 5 ecip—proteon ( 133.1.84.2 ) 2 ms 2 ms es-proteon. center. osaka—u ・ ac ・ jp ( 133.1.4.27 ) 4 ms 3 ms 3 ms osakau—proteon ・ gw ・ osaka—u ・ ac ・ jp ( 133.1.192.1 ) 6 ms 5 ms 5 ms wnoc—osaka-proteon. wide. ad. JP ( 133.4.9.2 ) 35 ms 538 ms 211 ms wnoc—kyoto-proteon. wide. ad. jp ( 133.4.9.1 ) 92 ms 66 ms 66 ms wnoc—kyo. wide. ad. jp ( 133.4.8.3 ) 66 ms Jp-gate. wide . ad ・ jp ( 133.4.7.1 ) 92 ms 93 ms 93 ms 66 ms 67 ms 2 ms tansei . tansei. cc . u—tokyo ・ ac . jp ( 130.69.240.3 ) 408 ms 136 ms 118 ms 130.69.127.4 ( 130.69.127.4 ) 137 ms 113 ms 131 ms ncgv. nc . u—tokyo ・ ac ・ jp ( 130.69.254.1 ) 362 ms 138 ms 135 ms utnet . nc . u-tokyo ・ ac. jp ( 192.41.197.3 ) 127 ms 112 ms 126 ms ut-wide . nc. u—tokyo ・ ac . jp ( 192.41.197.1 ) 113 ms 110 ms 110 ms 104 ms 393 ms 100 ms wnoc—tyo. wide. ad. jp ( 133.4.2.2 ) ICN(P Redirect の 1 2 外部のネットワークへ 3 大学の内部のネットワークをます経由し、途中は WIDE lnternet を通過して、東京大学に到達することが分かり ます。 traceroute コマンドはフリー・ソフトウェアなので、 ソースが多くのネットワーク・アーカイプに蓄積されてい ます。またインストールも BSD 系の UNIX では簡単に できます。ネットワーク管理者にはたい / 、、ん便利なツール ですから、ぜひ手に入れておきましよう。 経路変更要求 ICMP 経路変更要求 (Redirect) は、ゲートウェイが、 あるホストのおこなった通信が最直でないことを発見した 場合、そのホストに対して糸各情報を変更するように依頼 するメッセージです。これによって生成された経路情報 は、 netstat コマンドで経路清報ー -- 一覧を参照するとフラグ に D カ甘旨定されています。 図 5 を見てください。このようなネットワーク構成で、 ホスト A が default route を使ってホスト B にすべての 46 データグラムを送るようになっていたとします。 1. ホスト A がホスト B にデータグラムを送る。 2. 経路は明らかに冗長なので、ホスト A が送ったデー たホスト A は指示のあった経路情報を経路情報テープルに そして、この ICMP Redirect のメッセージを受け取っ スト G に転送される。 3. 同時に、 IP データグラムは破棄されずホスト B からホ メッセージをホスト A に送り返す。 ェイとして G に変更せよという ICMP Redirect タグラムの目的地に対する経路情報について、ゲートウ UNIX MAGAZINE 1993.2 ( やまぐち・すぐる奈良先端科物支術大完大学 ) 重加く督路制御について解説します。 係のある ICMP について解説しました。次回はいよいよ 今回は経路情報テープル、青勺経路制御、経路制御に関 おわりに 追加します。

10. UNIX MAGAZINE 1993年2月号

連載 /UNIX Communication N0tes—O 表 3 ICMP 到達不能メッセージの CODE フィールド直 CODE : 御未 Network unreachab le Host unreachable Protocol unreachable Port unreachable Fragmentation needed and DF set Source route failed Dest ination net 、 MOrk unknown Destination host unknown Source host isolated Communication with destination network administratively prohibited Communication with destination host administratively prohibited Network UnreachabIe for type of service Host unre achable for type 0f service unreachable" というメッセージとともに、送ってきたゲ ートウェイを表示します。また、大阪大学内に存在しない 133.1.85 というネットワーク ( サプネット ) 上のホスト 133.1.85.1 に対して ping を実行すると、 % /usr/etc/ping —s —v 133.1.85.1 PING 133.1.85.1 : 56 data bytes ICMP Net Unreachab1e from gateway ecip—proteon ( 133.1.84.2 ) for icmp from raicho ( 133.1.84.1 ) to 133. 1 .85 . 1 0 1 2 11 11 1 亠 リスト 2 traceroute て硬われているアルゴリズム ネ月設定 ; for ( i = 1 ; i < 30 ; i 十十 ) { TTL に i をセットしたバケットを最終目的地に送る ; ICMP が区ってくるのを監視する ; if (ICMP Time exceeded カ区ってきた ) { ICMP を送ってきたホストを表示 ; if (ICMP Unreach が戻ってきた ) { 到達不能であること ( ! ) を表示する ; break; というように、ゲートウェイがコードに Net unreach- able を指定した ICMP 到達不能メッセージを送ってき たことを表示します。 ICMP の生存芋間経過済みメッセージと、 IP の TTL 生存時間糸腿済み の機構をうまく使ったのが traceroute コマンドです。 traceroute コマンドは、 IP データグラムが受信ホストに ICMP 生存時間経過済み (Time Exceeded for a 到達するまでに経由するホストを調べるためのコマンドで Datagram) は、次のいすれかの状況で発生し、 IP デー す。このコマンドはよくできていて、リスト 2 のアルゴリ タグラムの送信ホストに対して送り返されます。 ズムによって実現されています。つまり、 TTL を 1 すっ ・中継中の IP データグラムの TTL が 0 になってしまっ 増加させていき、送り返されてくる ICMP 生存時間経過 て IP データグラムか破棄されたとき 済みのメッセージを送ったホストを表示するのです。同時 ・伝送中にフラグメンテーションが発生し、受信ホストで に ICMP 生存時間経過済みが送り返されてくる時間を計 [ 明冓成タイマー (reassembly timer) で設定した時間 測していて、そのホストとの往復の通イ訓間も同時に表示 内にすべてのフラグメントが到着せす、 IP データグラ します。 ムか破棄されたとき traceroute コマンドを使用すると、私の利用するワ この ICMP メッセージの TYPE フィールドは 11 ークステーション nozomi . rd. ecip. osaka—u. ac ・ JP から東京大学大型言 t 算機センターの計算機 tansei . cc. に設定され、初めのはうの原因で破棄された場合には u-tokyo ・ ac ・ jp までの糸各を簡単に調べることができ、 CODE フィールドに 0 が設定され、 2 番目の原因で破 リスト 3 のような結果カ碍られます。これによると、大阪 棄された場合には 1 がセットされます。 45 UNIX MAGAZINE 1993.2