00 」↓」」幻ー 国内プロードバンドユーサー間の 通信トラフィック置の地域別分布 * 1 第をま 0 ・一 0 ま 0 物ー第に 第 & 9 8.5 載 & 9 印′象 1 ー 42.1 る 41.1 雑 4 7 41.9 416 42 、 物 4 4.8 4 る 4 上 5.3 7.2 5.1 4 ( 浦 14 フ 13.4 1 ー 6 1 ー 5 14.9 1 工 4 125 13.1 、 17.5 182 ℃加 0 1 〃 1 & 1 16.9 1 ア 1 43 51 4.4 4.6 45 4.4 0 石 4.5 5.0 加 2.4 2 み 2.1 え 4 区 1 2. 52 5.4 56 5.9 5.5 60 CYS を 1 5 18 18 18 18 18 18 18 normalized to destinaton ■テータ処理方法 計測期間は、 2005 年 7 月 4 日から 7 月 1 0 日まで の 1 週間です。ある国内 ISP の全国のプロードバンドユー ザーを対象に、アクセス網 を収容しているルーター群で SampledNetFIow 機能を使 い、データ収集を行ないまし た。このデータを基に、ソー スおよびテスティネーショ ン IP アドレスと都道府県を、 サイノヾーエリアリサーチ社の 商用データベースを用いて関 連付けることにより、地域別 の通信量をバイト数で求めて います。このデータベース は、国内 ISP の一般ユーザー のアドレスプロックを都道府 県にマッピングしているもの で、専用線やデータセンター は含まれていません。そのた めここに示すトラフィック は、このデータベースで識別 された IP アドレスだけを抽 出した国内一般ユーザー同士 の通信であり、国内の専用線 やデータセンター、海外のア ドレスは含んでいません。 地域間のトラフィック分布 は、縦軸にソース、横軸にデ スティネーションを取ったマ トリックスに表すことができ ます。特定の地域をソースま たはデスティネーションに持 っ通信相手の分布は、マト リックス内の行と列で示され ます。この行と列の分布をそ れそれの総量に対して正規化 し、各地域から見た通信相手 の分布を折れ線で表していま す。図の左上部分は、北海道 東北地域を例に、正規化した マトリックスから折れ線を作 る様子を示しています。 THK CHB KYS SHK CHG D5T400 % 0S148 % THK 22 4.4 1 え 1 132 5 フ 41.0 ー 109 6.0 5 41 9 2 名 4 差 16 を 12 18 23 4.4 1 み 4 ー 3.8 み 8 382 0.4 2 5.0 1 み 3 1 4 5 フ 3 日 3 10P 18 2 、 4 51 2d4 12 タ 5.1 4 、フ 6 ℃ 18 20 5 フリる 141 50 404 望 0 5 る 5 48 11 の 140 4.9 37 当 106 18 1.9 4 第 11 ℃ 13 72 49 40 上 9 第 normalized source ま OOL し 5 HKR 質 ) K し刊 KLJ ⅲ協 a ね 第 THK ishikawa TOHOKU ん kui yamanashi shimane hY090 hiroshima miyagi wakayama a い E39 区 yomaga い 和 kus ん ma KNT CHB KANTO SHK CHUBU ibaraki : 侊 h ゆ SHIKOKU ん gunma ー Ok ma sh に uo 始 aichi Chiba mie ehime KNK 灯 N 灯 CHG KYS KYUSHU nagasaki k 、“ n 都 1150 kagoshima okinawa 9 工 0 工 5 5 こ AVE average Geographic T 「 0 缶 ( Matrix 0 日 apanese Use 0- Use 「→ T 「 0 缶 ( 、 COP 朝 h い C ) Ⅷ DEP 「 0 ct ( 2 ( 96 ). 則心 Res d. 分布を示す折れ線は地域にかかわらずほぼ同じ形 上図は、筆者が代表を務める netviz ワーキンググ ループ (WIDE P 「 oject) で作成しました。これは、 になり、その割合は概ね地域の人口に比例します。 国内のプロードバンドユーザーの、通信トラフィッ このことから、どの地域のユーザーもほぼ同じ割合 ク量の地域別分布を可視化したものです。ここでは、 で、他の地域のユーザーと通信していることがわか トラフィック分布の地域差があまりないことを示す ります。つまりインターネット通信は、近隣への通 信が多い電話網とは違うのです。 ため、通常のソース・デスティネーションのマトリ 矩形の領域は、ソース、デスティネーションとも クスの代わりに、折れ線を用いて表現しています。 測定したのは全国のプロードバンドユーザーのト に同じ地域に属する、いわゆる地域に閉じたトラ フィック量の割合を示しています。各地域における ラフィック量です。各折れ線は、その地域をソース トラフィック分布は大体同じなので、面積比が概ね あるいはデスティネーションとするトラフィックの 各地域のトラフィック総量比を表します。 通信相手の地域割合を示しています。 1 2005 年度 WIDE project 研究報告書より (netviz) 56 UNIX magazine 2006 Summer r k W n g 0 e t V れ G r 0 U P
においてどのような変革を起こしたのかを、 ピュータをそのままネットワークにつなぐた 簡単に振り返ってみましよう。 めに作られた技術ではなかったのです。 図 2 は、インターネットがもたらした変 に挙げた変革は、すべて一気に進んだもので 革を、電話網を流れるトラフィックの主流が はありませんが、おおよそ 2000 年を境に起 音声通話だった頃と、データトラフィックが こったということは今さら説明するまでもな 主流となった以降を対比したものです。 いでしよう。 これらの変革と主流トラフィックの交替の さて、これらの変革の中でもっとも重要な 時期が同期しているのは、偶然ではありませ ものは、網制御の部分ではないかと思います。 電話の時代においては、端末である電話機は ん。主流トラフィックの都合に合わせインフ ラやサービスを組み上げるほうが効率はよ 音声で通話するという点に関しては簡単な機 く、主流ではないものは主流なものの都合に 能しか持つ必要がなく、端末間を AtoZ で 1 つずつつないで、すべての制御を網側で行な 合わせるべきなのです。むしろこの主流の交 替こそが、インフラを作るうえでの発想の転 うインテリジェントネットワークでありまし 換を引き起こし、これらの変革を引き起こし た。一方、インターネットの時代になると、 たと考えられるのです。 網は必要最小限の制御機能のみを持ち、複雑 そのように考えると、電話主流の時代はイ な制御はすべて端末側のコンピュータが工 ンターネットが見事に電話網の都合に合わせ ンドッーエンドで行なう、いわゆるステュー ていました。電話回線でインターネットに接 ピッドネットワークとなりました。このオー プンな思想が、さまざまな新しい利用形態の 続するためには、適合認定を受けたモデムを 購入し、パソコンをつなげなければなりま 発見や、それを実現するために必要となるソ せんでした。 ISDN とて同様で、ターミナル フトウェア技術の発展をもたらし、今日のイ アダブタを購入しないとインターネットに接 ンターネットが形成されたのです。 続できませんでした。ユーザーがネットワー このようにフェーズ 1 では、インターネッ ク側の都合に合わせていたのです。帯域も同 トは電話網に合わせる形で始まりはしたもの の、次第に電話網では窮屈になり、ついには 様であり、当時としては高速だった ISDN で 電話網の常識を打ち壊さなければならない規 さえ、 64kbps や 128kbps という半端な帯 模にまで成長しました。このフェーズ 1 の 域しか出せませんでした。 ISDN は音声をデ 変革をもたらすトリガーとなったのは、電話 ジタル化して送るための技術であり、コン データ主流 電話主流 コンピュータ向き 電話向き ィーサネット・ WiFi アナログインターフェイス 高速でバースタブル 低速で定速多様 1 OM ・ 1 OOM ・ 1 G ・ 1 OG 64k ・ 128k ・ 1 .5M ・ 6M xDSL ・ GEPON 45 / 50M ・ 150M ・ 600M 複数地点を面で結ぶ 点と点を結ぶ 常時接続 電話・専用線 FR ・ ATM 使った帯域や使用量に依存 距離と時間に依存 時間に応じた従量制 月額固定 トラフィックに応じた従量制 インテリジェントネットワーク ステュービッドネットワーク 工ンドッーエンド A to Z 1 一 P 《 6 化一回Ø一 7 インターフェイス 帯域 サービス形態 ■ 料金体系 ■ 網制御 図 2 インターネットの成長が起こした変革 46 UNIX magazine 2006 Summer
開発に加え、川軒に 1 軒の電話線を引き込 むために必要となる、大規模なインフラ構築 を行なうための 76 年間であったという点で す。インターネットの 5 年間は、 PPP の開 発や Windows 95 の登場、また当時として はおそらく予想外の規模の ISDN の設備増設 工事などが必要でした。しかし、それ以外は すでに電話のために存在していた通信ネット ワークを、ほぼそのままの形で利用して普及 できたための 5 年間なのです。 つまり、インターネットは電話に比べて 15 倍のスピードで世の中に受け入れられた ということではありません。電話が 76 年間 で培ってきたものがあって、初めてインター ネットというものがこれだけ急速に普及し得 たということなのです。さらに逆の見方をす ると、基盤となる技術開発やインフラ構築を 行ないながらサービスを広めるためには、そ れらが揃っている環境に比べると 15 倍の時 間がかかる、というのが正しいのです。 インターネットは当初、電話網の中に小さ く生まれました。電話網という「籠の中」に いる間は、すでにあるしくみやインフラを利 用するかを考えさえすれば、すくすくと成長 できました。しかし、やがてある大きさを超 えたあたり、おそらく 2000 年前後の、いわ ゆる通話のトラフィック量をデータ通信のト ラフィック量が超えたあたりで変化が生じま した。電話網が電話という特定のアプリケー ションを前提として組み上げられているがゆ えに持っさまざまな特長が、インターネット のさらなる成長にとっては障壁となったので す。それらの壁を打ち壊すため、さまざまな 変革が起こりました。 こまでの時代をインターネット発展の フェーズ 1 と仮に呼ぶことにしましよう。 ひと言でいうならば、このフェーズは電話網 のすねをかじりながら発展できた時代です。 インターネット自身のアーキテクチャに大き な変更を必要とせず、既存のインフラや技術 6 とは何なのか ! ? にうまく助けられながら、順調に成長できた フェーズでありました。 ところが、残念なことにフェーズ I は終 わりに近づいています。ひょっとしたらすで に終わっているかもしれません。その時点に 我々がさしかかっているということにお気づ きでしようか。 では次のフェーズはどうなるのでしよう。 電話網を凌駕する大きさになってしまった以 上、成長するために必要な技術開発やインフ ラ構築を、自らがやりながら成長するという フェーズになるはずです。もちろん電話網の 資産があるので、ゼロからの出発ということ にはなりませんが、今までのようにおねだり をすれば出てくるのとは違うのです。これか らは、電話が 76 年かけて普及したときと同 じような苦しみを味わわないと先に進めなく なるのです。場合によっては、ネットワーク のアーキテクチャ自体を変えなければならな いようなケースも出てくるのではないかと思 います。とはいえ、フェーズの交替はある日 突然起こるわけではなく、何年もかけて移り 変わっていくものであります。ちょうど今が その過渡期なのだと思うのですが、そうする とインターネットはまさに「疾風怒涛の時代」 にいるのではないでしようか。 この話を始めると話がそれてしまうので、 詳しくはまた別の機会にしたいと思います。 このように、思春期にさしかかり将来につい て思い悩んでいるのですが、それでも自らの 成長のゴールが NGN * 1 にあるとは思えな いのです。それは親が決めた進路には進みた くない、というのと同じことなのでしようか。 フェーズ 1 が電話網に もたらした変革 前項では、ある時点を境として、インター ネットは電話網の持っ特徴を自らの成長の壁 ととらえて壊し始めたと述べましたが、 ではインターネットがその成長のフェーズ 1 N e x t G e n e 「 a t i 0 n N etwo 「 k UNIX magazine 2006 Summer 45
ネットワーククライアント コントロ ール装置 A I-P ネットワーククライアント コントロ ール装置 B I-Q ネットワーククライアント コントロール装置 A 1 -P ネットワ - ククライアント コントロール装置 B 1 -Q ディスプレイ / キーポード′ マウス X512 回線 開発用クライアント IOOBÆE-TX 装置 2-H 周辺機器 100 E - TX 開発用クライアント 装置 2-H IOOBASE-TXx512 回・ IOOBASE-TX IOOB E-TX ・ X22 回線 開発用クライアント LAN スイッチ 装置 2-H い N スイッチ装置 P LAN スイッチ装置 G 装置 D 4-B 4-C 1 -T 1 OOOBASE-SX x5 回線 RS -232CX51 2 回線 ターミナルサーノヾ ・ . IOBASE-T 装置 ・・ X86 回線 1 OOBASE-TX X22 回線 共用研究室 ータ研究設備 ンミュレ ネットワーク設備 1 OOOBASE-SX x4 回線 100B. SE - TX 共用クライアント 装置 A 3-A 100 E - TX 共用クライアント 装置 A 3-A 1 OOB E-TX 共用クライアント 装置 B 3-B 1 OOB. ASE-TX 共用クライアント 1 OOBASE-TX 装置 B 3-B x4 回線 N スイッチ装置 G ATM(155M UTP) X304 回線 ATM ネットワーク スイッチ装置 A クライアント 1 -F 装置 A 1 -A x 5 ATM ネットワーク スイッチ装置 A クライアント 装置 A 1 -A ネットワーク ATM スイッチ装置 B クライアント 1 -G 装置 B 1 -B ネットワーク クライアント 装置 B 1 -B ネットワーク クライアント 装置 C 1 -C ネットワーク クライアント 装置 C 1 -C ネットワーク クライアント 装置 D 1 -D ネットワーク クライアント LAN スイッチ 装置 D 1 -D 装置 A I-H ネットワーク クライアント LAN スイッチ 装置 E 1 -E 装置 B 17 ネットワーク LAN スイッチ クライアント 装置 B 17 装置 E 1 -E 1 OOOBASE-SX 100BASE-TXx592 回線 x8 回線 1000BASE-SXx4 回線 ATM スイッチ 監視装置 1 -0 ネットワーク 監視装置 A ATM(155M MMF) x2 回線 ATM ( 622M MMF) x5 回線 1 OOBASE-TX X12 回線 LAN スイッチ装置 解析研究設備 コントロー丿レ 装置 A ト」 仮想スイツ コントローノレ ネットワーク 監視装置 B コントロー ) レ 置 1 55MMM 仮想トラフィック 生成装置 B 四 仮想トラフィック 生成装置 C 2- 」 SAN 共有ストし一ジ装置 2-F ファイバチャネル x5 回線 1 55MMM ( 622M MMF) 1 OOBASE-TX 1 OBASE-TX IOOBA E-TX x2 回 仮想トラフィック 生成装置 A 2-D 100B E-TX x2 回 仮想トラフィック 生成装置 A 2-D 1 OOOBASE-SX ・ x5 回線 ロードバランサ装置 ・ 1 OOOBASE-SX . x2 回線 LAN スイッチ装置 B 2-G 1 OOOBASE-SX ー NAS 共有ストレージ装置 2-E テストデータ 解析装置 2-A テストデータ 解析装置 2-A ギガビット 100 日 ASE-TX スイッチ装置 LAN スイッチ装置 0 I-S 2-B サービス品質 制御装置 2-C ザービス品質 制御装置 2-C サービス品質 制御装置 2-C 1 OOOBASE-SX x3 回線 VPN 100BASE-TXx2 回線 ファイアウォール 装置 4-D ・・ 1 OOOBASE-LX メ - ルサーバ装置 外部接続用スイッチー ・・装置 4- E (jaist) .. 1 OOOBASE-SX l_ ′研究開発用ギガビット、・・′ - ′・′ - - 、外部機関設備 インターネット 、、ネットワーク . ′ 図 2 StarBED の構成 構成できないため、ネットワークスイッチな ぐためのネットワーク機器も、 StarBED 内 どのネットワーク機器も構成要素となり、実 に用意されています。 際にはさらに大規模に展開されているのです テストによっては、製品の負荷やスケー フ ( 図 1 、 2 ) 。 ビリティなどを測定したい場合もあります。 そのようなときに備え、利用者が外から持ち そこで、これほど巨大な施設でありながら、 なぜ柔軟な利用が可能であるのかを検証する 込んだ機器を StarBED に組み込むためのス ため、 StarBED の構成について紹介してい ペースも確保されています。利用者は、持ち 込んだ機器を指定のラックに設置し、ケープ きます。 ■ハードウェアの構成 ルを接続するだけで StarBED のネットワー こまで StarBED が 680 台の PC で構成 クに組み込むことができます。 されていることを述べましたが、実際にユー ー StarBED のオペレーティングシステム ザーが使える台数はさらに多く、 4000 台に PC には、 2 つ以上のネットワークイン も上ります。これは 1 台の PC を仮想化する ターフェイスがインストールされています。 1 つは実験を管理・測定する管理用ネット ことで、複数の PC のように使っているため です。 StarBED ではこの仮想化技術を、プ ワークにつなぐもので、もう 1 つは実験用 ネットワークにつなぐものです。このため、 ロジェクトの当初から取り人れていました。 StarBED では実験用ネットワークのトボロ また当然のことながら、これらの PC をつな 1 OOOBASE-TXx3 回線 ATM(155M SMF)x2 回線 93 UNIX magazine 2006 Summer
6 とは何なのか ! ? * 10 [ 1 ] Y. K. DalaI, R. M. Metcalfe, Reve 「 se Path Forwarding of Broadcast Packets, 旧 : Communications Of the ACM, 2 1 ( 1 2 ) : 1 040-1 048 , 1978. 最大参加者 : 30 m a t s u 「 i 1 参加者数 つつ・つ一 すっ・つ一 つつ・つ つ一・つ の寸・ 7 ナ 7 ・つ 7 のつ・の一 寸っ・つ一 す・つ 7 つ一・つ 7 っ 0 ・つ一 、つ・つ一 一す・つ * 1 1 Lorenzo Aguilar, M U 凵刊 C A S T V ー R T U A L C 旧 CUIT SERVICES FOR PACKET SWITCHING, Ph. D dissertation, The OhiO State University, 1 992 時刻 最大トラフィック : 3.5Mbps 3600 ℃ k c 2700. O k 8 1800.0 k の 900.0 k 0.0 k 8 1 0 1 2 14 1 6 18 20 22 0 2 図 5 参加者とトラフィックの様子 事情が変わってきたのです。アドレスリス lnternet Research Group で提案していまし ト方式による同報は、 1984 年には AguiIar た。この lnternet Research Group につい 氏が、さらに遡ると 1978 年の段階で Y. K. ての詳細は不明ですが、どうやら IETF がま * 10 、、 DaIaI 氏と R. M. MetcaIfe 氏か発案し だ存在しなかった時代に、インターネットの ていたのです。 Aguilar 氏はこのテーマで プロトコルについて議論する会合だったよ Ohio state University の博士学位 * 1 1 を取 うです。筆者は、 ISOC と IANA と IETF と 得し、 IEEE SIGCOMM に論文が採録されて IRTF を混ぜこぜにした、ご先祖様みたいな ものだと考えています。 いました。 つまり、現在インターネットの標準となっ しかし、彼の提案は会合において完全な賛 ているグループアドレス方式が現れる前に 同を得ることはできませんでした。宛先リ Multicast という言葉はすでにこれらの論文 ストを IPv4 オプションとして埋め込もうと で使用されていたのです。 XCAST のアイデ したため、同報できる宛先が少なすぎると アが特徴的なのは、 1978 年および 1984 年 されたのです。とはいえ、インターネット に、同時に複数の人間によって発見されたと 上での遠隔会議に MuIticast が必要であると いうだけでなく、約 20 年後に同じアイデア いうコンセンサスは形成されました。これが が、まったく独立して再発見されたという点 元となり、有名な 1985 年の "Host groups: にあります。 A multicast extension tO the lnternet ProtocoI" (RFC 966 ) が生まれました。 lnformational RFC への投稿により、 その後、 Multicast 技術の標準化および実 RFC-editorial board による査読が行なわれ、 考えてもみなかった大変興味深い昔話が明ら 装の成熟は、多くの優秀な研究者によって 争うように進められてきました。インター かになりました。 Agu ⅱ ar 氏は学位を取得し た後、 Stanford Research lnstitute に移り、 ネット 2 では多くの大学がマルチキャスト 初期のインターネットコミュニティに深く 網に接続され、 AccessGrid の成功の重要な 鍵となりました。一方で、いまだ商用マル 関与していました。そして自身の MuIticast チキャストの普及には至っていません。この を、多地点会議のためのプロトコルとして 8 1 0 1 2 14 1 6 6 4 UNIX magazine 2006 Summer
2000 年末 2000 年末時点での 2005 年の予測 旧の主流なノヾックボーン回線速度は ? 典型的アクセス速度 64kbps 1 OMbps 2000 年末の約 1 56 倍 6 とは何なのか ! ? ユーザー数 4708 万人 8720 万人 2000 年末の約 1 .9 倍 実際は 2005 年 1 2 月現在 東京 - 大阪 . 1 OGbps x 4 がもっとも広帯域な区間 ( 平成 13 年度版通信白書より ) 44.5Gbps 150Mbps x 1 56 x 1 .9 もはや既存のインフラでは支えきれない ! 図 3 アクセスのプロードバンド化がもたらす需要 ( 5 年前 ) のためのインフラからデータのためのインフ ラへという発想の転換だったのです。 増加し続けるトラフィック 図 3 は、 5 年程前にプロードバンドをテー マにしたあるフォーラムで話をした時に使っ たスライドです。ちょうど電話からデータ通 信への主役交替が起こり始めた頃です。 2000 年末時点では 64kbps が典型的なア クセス速度で、ユーザー数は 4708 万人、ま た IIJ バックポーンは 150Mbps でした。当 時の通信白書によると、 2005 年には典型的 アクセス速度が lOMbps になり、ユーザー 数が 8720 万人になると予測されていまし た。この条件から、大雑把かっ単純な計算 で 2005 年時点でのバックポーンの必要帯域 を予測した結果、 44.5Gbps となりました。 44.5Gbps などという回線は、当時の通信イ ンフラ上には存在し得ないほど高速であり、 実際、今もまだ商用では存在していません。 そうすると、必然的にこのプロードバンド化 の需要を既存のインフラでは捌くことができ ないということになります。つまりインフラ の作り方や、バックポーンを構築する際の考 え方を変えないとならなくなるのです。実際 は 2005 年末現在、東京ー大阪間に 9.6Gbps の回線を 4 本引いて使っているため、この 予測はまったく当たらなかったわけではない と、いえなくもありませんが いずれにせよ、現状でもトラフィックの増 加は続いており、既存のインフラではもはや インターネットの成長を支えきれません。時 間の問題なのです。そしてこれが、フェーズ 2 の始まりであります。 旧自身の変革 いまさら触れる必要もありませんが、物理 的なインフラだけではなく、 IP 自体もスケー ラビリティの間題に直面しています。それが 1991 年に間題提起された、 IP アドレスの枯 渇とルーティングテープル爆発の予測です。 IP アドレスが枯渇すれば新規にユーザーを つなげられなくなります。一方、ルーティン グテープルが爆発してルータの動作に間題が 発生すれば、インターネット自体が動かなく なります。これは非常に衝撃的な予測でした。 そこで短期解と長期解の 2 つの対策が考 えられました。短期解は、現在の CIDR に基 づく階層的なアドレス割振りと経路集約の しくみです。それはプライベートアドレス十 NAT を用い、インターネットに直接アクセ スしないデバイスにはアドレスを消費させな いという施策です。既存の IP を利用しなが ら、アドレスの利用を節約し、かっ経路制御 のオーバーヘッドを抑えるという付加的なも のでした。 UNIX magazine 2006 Summer 47
フトウェア科学会インターネットテクノロ ジー研究会 (ITECH) 、情報処理学会高品質 インターネット研究会 (QAI) 、情報処理学 会八イノヾフォーマンスコンピューテング研究 会 (HPCO 予定 ) 、日本 UNIX ユーザ会 (jus) 、 WIDE プロジェクト (WIDE) 協賛 ( 五十音順 ) IEEE Communications Society Japan Chapten 九州ギガポッププロジェクト (QGPOP) 、グリッド協議会、サイバー関西 プロジェクト (CKP) 、情報処理学会システ ムソフトウェアとオペレーティング・シス テム研究会 (OSO 予定 ) 、情報処理学会分散 システム / インターネット運用技術研究会 (DSM) 、情報処理学会マルチメディア通信 と分散処理研究会 (DPSO 予定 ) 、情報処理 学会モバイルコンピューティングとユビキタ ス通信研究会 (MBL0 予定 ) 、情報処理学会 ュビキタスコンピューティングシステム研究 (UBI) 、電子情報通信学会インターネッ トアーキテクチャ研究会 (IA) 、電子情報通 信学会情報ネットワーク研究会 (IN) 、電子 情報通信学会ネットワークシステム研究会 (NSO 予定 ) ■開催にあたって DSL 技術、 FTTH 技術、さらに高速無線 LAN 技術を用いた常時接続を前提としたプ ロードバンドネットワークの環境が一般家庭 に急速に普及し、インターネットは、 Web 技術以来の大きな変革を経験しようとして います。プロードバンドユビキタス環境と IPv6 技術の確立と普及は、 Peer-to-Peer 型 のアプリケーションの展開をいよいよ本格化 しようとしており、さまざまな革新的なアプ リケーションが研究開発されています。当然 のように このプロードノヾンドのネットワー ク環境を支える大容量高機能ネットワーク基 盤技術に関する研究開発もますます加速して います。こうしたなかで、インターネット技 術で接続されたノードを効果的に利用してハ イパフォーマンスコンピューティングが実現 されてきていることも、 I つの成果でしよう。 一方で、 DoS 攻撃などに対する日々のセキュ リティ対応は、ネットワーク運用者のみなら ず、一般社会的にも非常に重要な課題として 認識されるようになっています。 1996 年に始まった本コンファレンスでは、 驚くべき速度で進化を続けていくインター ネット技術に関する、最先端の課題に取り組 んだ論文が毎年発表されております。 本年もインターネットコンファレンス 2006 を上記 7 組織の主催により開催する運 びとなりました。本年は昨年までのコンファ レンス以上に、質が高くかっ幅の広い課題を 扱っていきたいと思っております。奮って論 文の投稿をお願い申し上げます。 ・コンファレンスのテーマ インターネットコンファレンス 2006 で は、インターネットテクノロジに関する論文 を幅広く募集します。プログラム委員会は以 下に示すようなテーマを例として考えました が、これに限るものではありません。 インターネットアプリケーション、グリッド コンピューティング、ネットワークアーキ テクチャ、プロトコルデザイン、経路制御、 QoS 保証、マルチキャスト、モビリティ、ホー ムインターネット、インターネットアプライ アンス、トラフィック解析、トラフィック 制御、セキュリティ、認証、アクセス制御、 WWW 技術、情報検索、モバイルエージェ UNIX magazine 2006 Summer 121
気ユ当 画面 5 Max Connection ChaIIenge の様子 画面 4 航空機内からの XCAST6 通信 ず、 SoftEther ( 現、 PacketiX VPN) を利用 に絞って紹介しましよう。 し W ⅲ dows から地上の IPv6 セグメントへ ■ Mid-night XCAST meeting XCAST を使い、自宅や宴会場からの中 VPN 接続を行なっての接続となりました。 継を楽しむという会です。すでに 17 回以 ・ XCAST MATSURI の開催 上開催されており、このミーティングから 2005 年 IO 月 8 日 ~ 10 日の間、 XCAST さまざまな成果物が生まれています。例え 6 の普及とサポートのため「 XCAST MATSU RI 」を開催しました。 XCAST6 ではこれま ば NBUG の大島靖氏によって開発された で、オンラインミーティングは散発的に開催 "Fukidashi-kun" などがあります。スモー されても、組織的な大規模ミーティングは開 ルグループのオンラインコミュニケーショ 催されていませんでした。実際の XCAST6 ンにおいては、互いの顔が見えてはいても、 上のⅥ C や RAT では、同時にどれだけ参加 同時に発言できるのはせいぜい 1 ~ 2 人で できるのか (Max Connection ChaIIenge) す。しかし Fukidashi-kun では、画像上に テロップや吹き出しを付けたり、いたずら も含めて、チャレンジングな催しとなりまし た。その結果か画面 5 のような同時接続です。 書きをすることなどが簡単にできるため、 コミュニケーションが活性化します。また そして図 5 が参加人数やトラフィックの状 NBUG のメンバーと名古屋大学の協力によ 況です。結果として、同時接続 30 人、最大 り、 XCAST6 上で世界初のオンライン披露 トラフィック 3.5Mbps となりました。 2006 年も開催しようとしておりますので、 宴挨拶も実施されました。 ■航空機からの XCAST6 ぜひご参加ください。 WIDE XCAST WG の web サイト * 8 上で開催案内をする予定です。 最近では、航空機上でインターネット サービスが提供されるようになりつつあり XCAST6 の歴史と周辺事情 ます。 "Connexion by Boeing" は、機内で 無線 LAN を利用して提供されるサービスで す。そこで、 XCAST チームも早速利用して XCAST6 の歴史的な経緯や関係者の状況 をみてみましよう。 みました。 2005 年 5 月 14 日、ルフトハン XCAST に関するアイデアは、 1998 年前 ザ航空 736 便から XCAST6 通信を試み、画 後に今井祐二、 Rick Boivie 氏 (IBM) 、 Dirk 4 に示すような良好な結果が得られまし Ooms 氏 (Alcatel) らが独立して「宛先ア た。この時 ( 深夜 I 時頃 ) はシベリア上空 ドレスリストによる同報」を思いっき、 を飛行中であり、日本にいるメンバーとの れらを融合した仕様を IETF にて共同で執筆 ビデオチャットが行なわれたのです。さすが しました。ところが、 IETF での標準化の議 に音声チャットは他の方の迷惑になるため、 論を行なっている際、 B0ivie 氏が Lorenzo 日本からの音声を聞くだけでした。なお航 Agu ⅱ ar 氏の論文 * 9 を発掘してきたことで、 空機内には IPv6 サービスは提供されておら 0 0 レー : 1 鉢ツ・みえまう ? 3 = % ( ・朝わ - 見え当す 訌第 0 をは第あ、第らた 5156 ( 刹、レ、ア 1 ましたね 、あ . 復店し一した ーだヨーロンパの上 % のてすか . ろしあて 1 かね . あと第問てすか * 8 http://www.xcast.jp/ * 9 L. Aguilar, Datag 「 am Routing fO 「 lnternet Multicasting. 旧 ACM SIGCOMM 84 C 0 m m u n i C a t i 0 n S A 「 c h i t e c t u 「 e s a n d Protocols, pages 58-63. ACM, June, 1984. 1 一 P 《 6 化回Ø一 7 XCAST6 ぐ 5 70 UNIX magazine 2006 Summe 「
旧 6 とは何なのか ! ? ないところもあります。残念ながらインター だように、フェーズ 2 でも同じような変革 ネットの発展は悪意を持ったユーザーにもカ が起こる可能性があるのです。 を与えたということを真摯に受け止め、性善 今回取りあげた 3 つの課題を解決するだ けでも、フェーズ 2 では大きな変革が求め 説に則った発想の転換が必要です。そして、 インターネットの自由を守りながら、悪意を られます。すなわち、インターネットがプロー 持ったユーザーから自らを守るという考え方 ドバンド・ユビキタスネットワークを安心・ の醸成と、必要なしくみ作りをしていかなく 安全に使うためのインフラとなるには、今の てはなりません。 インターネットの延長線上にあってはならな いのです。異なる発想やニーズから生まれ、 おわりに 今までとは異なるロジックで成長し、ついに は今のインターネット自体を飲み込んでしま インターネットの発展は、次のフェーズに うようなものだと思われます。 人ります。フェーズ 2 では、フェーズ I を フェーズ 2 の発展をドライプするのに 作りあげるうえで前提になっていた多くの制 IPv6 の何が利用でき、何が足りないでしょ 約や、そこで作りあげた常識を突き破ってこ うか。また不足分はどのように補うのでしよ そ、本質的な進化を起こします。 うか。場合によっては次の IP を作るくらい これは、フェーズ 1 においてインターネッ の勢いで考えていく必要があると考えていま トが電話網の中に生まれ、電話網とは異なる す。ユニマガ読者であれば、早速新しいプロ ロジックで急成長し、ついには主役であった トコルスタックのデザインに入られることで 電話というアプリケーション自体を取り込ん しよう。期待しています。 6 Ⅸ経由であればⅨの帯域を浪費 ① 狙われたサーバの負担が増大 普通のユーザーのアクセスを阻害 6 に一に〉ロ一ユ サーバのある LAN の トラフィック増大 3 プロバイダーのバックボーン回線浪費 プロードバンド アクセス網 プロードバンド ′ ~ アクセス網 【 DDoS 攻撃の例】 ④ アクセス事業者のネットワーク負荷増大 認証技術・暗号技術 追跡性・フォレンジック ユーサー教育・インシテント対応 スバム・ウイルス・フィッシング対策 DDoS ・ボットネット 情報改ざん・情報漏えい対策 図 7 脅かされる安心・安全 UNIX magazine 2006 Summer
1 プロードバンド化への対応 ■成長限界を打破し、ユーザーの利便性を維持・向上させ ながらインターネットをスケールアップ 〇基幹網 100Gbps 〇アクセス網 - 無線 : 1 OOM - 固定 : 1 G-v 1 OG 提供可能な リンクスピード 必要な帯域 バラレル化、オンデマンドリンク トボロジ複雑化、アーキテクチャへの影響 > > 固定ユーサー モバイルユーサー 2 ュビキタスネットワークの具現化 ■今まで想定していなかった新たな「利用者」、利用形態 のための環境構築 〇家電・センサー・車・ロボット・携帯端末 〇 FMC 、放送と通信の融合、 M2M 3 安心・安全にインターネットを利用できる仕組み提供 インフラとサービスの分離 アドホック化、自律分散化 1 ■より多様なユーザー層・利用形態に対する「安心・安全」レベルの提供 ・自由なインターネットは、悪意あるユーサーにもプロードバンド・ユビキタス環境を与えてしまう 図 4 フェーズ 2 の要件 ( インフラよりの視点 ) 一方、アドレス空間自体を大幅に広げ、将 こでインフラ寄りの視点に立っとする 来必要になると思われる機能を盛り込み、ま 図 4 にまとめたように 3 つの課題があ るように思います。 た後からでも拡張できるよう設計されたの 1 つは、現ユーザーの利便性を維持・向上 が、長期解である IPv6 です。 インフラと同様に、フェーズ 1 の間は IP させながらインターネットをスケールアップ も既存の技術をベースにしていました。すな させることです。今でも年間でトラフィック が倍増していく以上、引続きプロードバンド わち短期解であった CIDR とプライベートア 化への対応を続けなければなりません。 ドレス十 NAT を利用することで、発展して もう 1 つは、今まで想定していなかった きたのです。振り返れば、このフェーズの符 利用者や利用形態のための環境を作り、これ 合は偶然ではないようにも思えます。 結果的にフェーズ 1 の間には、 IPv6 が本 ら「ユーザー」を取り込みつつ、インターネッ トをスケールアップさせるという視点です。 当に必要な状況にはなりませんでしたが、か ュビキタスネットワークの具現化は、取り組 といってこのまま IPv4 で進められるという むべき重要な課題であり、国策でもあります。 のは、短絡的すぎると思うのです。 さらに上記 2 つを進めるにあたっては、 前述のように、インターネットの発展が 現在問題となっているウイルス / スバムや フェーズ 2 を迎えました。インフラの観点 DDoS の脅威、また個人情報漏えいなどを解 からは、これまでとは異なるレベルの進化を 決し、安心・安全に利用できるしくみを作ら 経験しなければなりません。そして IP のレ なければなりません。そうしなければ、イン イヤでも、従来とは異なる発想での問題解決 ターネットの利用は広がらないのです。 が必要であり、 IPv6 は現時点において、唯 このプロードバンド、ユビキタス、安心、・ 一利用可能な重要なツールだと思うのです。 安全の 3 つの課題をきちんと解決するため 次のフェーズの方向性 には、フェーズ 1 で作りあげたインターネッ トの常識を打ち壊さないと先に進めません。 こうしてフェーズ I からの脱皮をはかるこ ではフェーズ 2 では、いったいどのよう とが、フェーズ 2 への移行のために必要な な変革が必要なのでしよう。 〒《 6 化回一 7 48 UNIX magazine 2006 Summer