スルコトハデ - キナイ」 翌朝、愛大を埋葬するために、ワーナーは事件のあった場所へも 「つまり、あんたたちのカでは、地球を減・ほせないと言うんだな」ういちどでかけた。黙々と足をはこび、規則ただしくシャベルで土 4 「チガウ。ワレワレノチカラデ破壊スルコト ( 易シイ。ウレワレハ→を掘りおこしたあと、かすかに身震いしながら、携行してきた漂白 強大ナ / ダ。ワレワレ ( ・確カ一一人間ト似ティル。シカシ、キミタチ剤を布に浸してカービン銃を拭く、その一挙手一投足にだけ、かれ 人間ガ考エルョウナ意味デハ・スコシモ似ティナイ。似テモイル は全神経を集中させた。 ガ、似テモイナイ。ワレワレ】ガコノ星へャッテ来テ、地球ノ生物ヲ昨夜ここで別れの言葉を交しあったこと、漂白剤でカービン銃を 殺シ、ソノアトデワい - ワレノ動植物ヲ転送シテ、コ . コヲ支配スルコ拭かなければならないこと、そして、ワーナーがこの邂逅の一部始 トハ易シイ」 終を他言しようとしまいと、あの異星人にはなんらの不都合も生じ ないことーーまったく何の影響も及ばないことを、かれは億えてい いったんこれと狙 「どうも合点がいかない。あんたのロぶりだと、 いを定めたものは、何がなんでもカずくで手に入れられそうじゃな いか。それなのに、どうして地球へ移ってこないんだ ? 」 そうした記億は、異星人の発光が消えてから五分間というもの、 発光する異星人は、長いあいだ身動きひとっせず、ジッとかれをただひとり暗闇の中にすわって、かれの脳裡にはっきりと焼き付け 見つめていた。 られた、光を放つ、悲しみをたたえた顔だけを見つめ続けるかれの 「ワレワレ ( 、ワレ、ワレガ現 = 支配スル星ヲ軽蔑シティル。モシ眼前で起こった、或る別の出来ごとから発生したものだった。 なにもかもが消えてから五分後、あたりにあかあかとした火柱が ワレワレガ地球ニ住ムトニナレ。ハ「地球ハワレワレの一部ニナッ ねかぶ テシマウ 0 ソウチルュ・トヲ好マナイカラダ 0 シカシ、ワレワレハ、 たった。かれは唐突な出来ごとに驚愕し、根株に足をとられて光の ソウ , ナル以外ニ地球オ手【ニ入レル方法ヲ知ラナイ」 みなもとへ身をのめらせた。そして、はばひろい肱あての一方に微 「あんたたちの信念は 0 キれほど強いものなのか」 光を放つ計器類を配し、上方に車蓋そっくりの覆いを取り付けた、 「ソレバ精神イ支柱ダ」と、異星人が言葉を続けた。「基礎デア不恰好な椅子にすわっている異星人を目撃した。異星人の体が歪 み、伸び、ひろがり、そしてーー曲った。球の表面のようにまがっ ・リ、・中核デアリ、胤初デアリ、終局デアリ、理想ナノダ」 ワ・ 1 ナーは肩をすくめてみせた。、「そうだとすれば、あんたたちた。かれの目では追いきれない方角〈向けて、ぐんぐん遠ざかりな がら。 にどこか新しい星を見つけなければならないな」 やがて、その光は輝きを放っ血潮のうずとなり、そのうずが急速 「ソみ前一一ワレワレハ死ヌダロウ」 : スペグティヴ に回転して中心に空洞をつくり出すと、ダリの描く透視画そっく そして、最後の言葉が耳にひびいたとき、話し手の姿はもうそこ りな内表面が、永遠に先尖りしていく内表面が、クッキリとあらわ にはなかった。 れ出た。そして、その内表面の最も遠い輻合点には、あの異星人と ひじ
「チガウ」相手のほうも、おなじようにぶつきら・ほうな口調でこた「ワタシハ、 コノ星ヲ去ルツモリダ」その生命体がこたえた。「仲 えた。「ワレワレガチカラヲ失ッタトキ、ワレワレハ偉大ダッタ。 間ノモトへ戻リ、地球ガ間違イナク存在シティルコトヲ知ラセョ ナゼナラ、ワレワレガチカラヲ得タトキモ、ワレワレハ偉大ダッタウ。ソシテ、コノ星ノ様子ガ、ワレワレノ伝説ャ記録ニ語ラレティ タ通リダッタコトヲ報告ショウ。シカシ、ワレワレハ地球へ帰還デ カラダ。ワレワレハ常ニ同ジナノダ。チカラヲ得ョウト失オウト、 祖先ダロウト子孫ダロウト、ワレワレハムカシモ : : : イマモ偉大ナキナイ。ソノコトヲ仲間ニ告ゲタトキ、ワレワレノ心ヲササエテキ / ムカタ支柱ハ : : : オソラク瓦解シテシマウコトダロウ」 ノダ。祖先崇拝ハ全ク過去ニカカワルモノダガ、ワレワレ、、 ワーナーが言った。「おれたちだって、楽園や天国といったもの : ミライモ偉大ナノダ。タダ、地球ダケガ、ソノ シモ・ : : ・イマモ : 出発点デアリ、終局ナノダ」そう言いおわると、その不思議な容貌を長いこと信じ、崇拝してきたんだ。だから、そういうところへは なまみ 生身のままじや行けないことをよく知っている。はやく言えば、死 は、ふたたび悲しみをあらわにした。 んだあとにそこへ行くんだ」 ソンナ信仰ヲ持タナイ。地球ハ楽園ニハ違イナイ 「おれたち人間はこれまで、われこそは誰よりも偉大な民族なりと「ワレワレハ 自惚れる連中と、何度も闘争をくりかえしてきた」ワーナーは不快ガ、ソノ楽園ハ、ワレワレノ手ャ足ャ肩ガ触レ得ル場所ナノダ。ソ おもて コヲ歩キマワリ、家ヲ建テ、ワレワレノ領土ノ一部トスルコトガデ 感を表に出しながら言った。 「ダレョリモ偉大ナ ? キミタチハ小 サナコトダケシカ理解シナキル場所ナノダ。ダガ、モシワレワレガソレ実行スレ・ ( 地球 ( イ。ワレワレハ他ノ種族トチカラヲ比べタリシナイ。偉大ナ木トイ滅ビル」 ワーナーのロはすっかり乾ききっていた。「その毒はーー・二通り ウモノハ、本来木デアルコトニョッテ行ナイウルスペテノ行為ヲ アマサズ行ナエルカラソウ呼・ハレルノダ。ダガ、ソウダカラト言ツの効果があるんじゃないのか ? その惑星の植物は、あんたたちを ドコニモナイ。キミ殺したが、今あんたたちの体は変わった。こんどは地球が有毒の星 テ、偉大ナ草ョリモ偉大デアルトイウ保証ハ ・・イ になるんしゃないのか」 : 見エル : : : 聞コエル・ ガ今、ココロニ思ッティルコト、 ヤ、分カル。ワレワレハ同ジ種族同士デ殺シ合イナドシナイ。ソレ 「チガウ。ワレワレノ星ニ生エル植物ハワレワレカラ何ノ害モ蒙 ガ、ワレワレトキミタチトノ違イナノダ」 ラナカッタガ、ワレワレヲ殺シタ。イマ、ワタシハ地球ノ生物ヲ殺 スコトガデキルガ、地球ノ生物ガワタシニ害フ加工ルコトハデキナ ワーナーの心をとらえていた恐怖は、いつの間にか好奇心にとっ てかわられていたが、いままた、新しく驚異の念にかわった。はしイ」 めて、畏敬に似た感情がわきあがった。しばらく続いた沈黙のあと「それじゃあ、あんたたちが地球へ移住できない理由はないじゃな で、かれは尋ねかけた。「あんたは、これからどうするつもりなん いか」 「アル。地球ハアクマデモ地球ダカラダ。ワレワレガソレヲ破壊 だ ? 」 ハラグイス 7 4
トキ、ワレワレは免疫体ヲ持タナカッタ。ソノタメニ、多ク / 仲間持タナカッタ」 ガ死ンダ。草ャ木、コノ地上ト全ク変ワラナカッタガ」ーーー発光す「ある種の宗教と考えてもいいのか ? 」 る手が、ゆ 0 くりと動いて、周囲の植物を差し示したーー「アノ星幽霊は、ーナーの大脳から送られてきた言葉を含味した。 ノ植物ハ毒ダッタノダ。ソノ植物ヲ食べタ動物ハ、体内ニソノ毒フ 「シュウキョウニ近ィモノダ。キミタチモ・ : コレニ似タモノヲ持 貯エテイタ。ワレワレ人類モ殆ドガ死滅シ、生キ残ッタノハホン ッティル直接手デ触レルコトハデキナイガ、ソレデモ、常ニ尊 ノ僅カトナッタ」 ク偉大ナモノヲ何ト言ウノダ ? ソウダ、宗教モソウダ。ダガ、 「適者生存の法則というわけだな」ワーナーが必要もないのに口をマダアル。愛、誇リ、勇気、ソレカラコレ ( ナンダ ? ジソンシ はさんだ。 ント呼プノカ ? ソウダ、ワレワレモソレヲ持ッティル。ダガ、ソ 「イヤ、ホウソクデハナイ」生命体は、白い巻きタ・ハコが入って いレ ( 自分ヒトリノ自尊心デ ( ナイ : : : 民族ゼンタイノ自尊心ナノ るはずの箱から、一本の青いタ・ ( 「を取り出しでもしたように、大ダ。ワレワ」人類ガ獲得シタモノ ( 、 ソノ中核的ナ意味ニヲイテ、 声を上げた。「ソレハ均衡ダ。死ヌモノト生キ残ルモノトノ間ニハ ソレラ全テノモノニョク似テイタ。ダカラ、全テノ人間ガ同ジコト カラレル均 ' 衡ダ。 ヲ感ジ、同・、、ダケノ分ケ前ニアズカルコトガデキタ。地球ハワレワ シッペイ 生キノコッタ者 ( 僅カダッタ。疾病 = 蝕サレ、チカラヲ失ッティレ = トッテ尊イ場所ダ。ワレワレノチカラト、ワレワレガ弱化シ ッタ。生キ残ルタメニ / 、、ハゲシク戦ワネ。ハナラナカッタ。ヒトッ タトキ得タチカラノ源泉ナノダ。イマ、ワレワレハ勢力ヲ盛リ返シ ヒトッ世代ガ進ムウチニ、仲間 ( イヨイヨ少ナクナッティッタ。思タ。ワレワレノ肉体 ( チカラヲ取リ戻シ、地球へノ信念モサラニ強 考ヲ : : : 機械ヲ造ル方法ヤ、機械ヲ造ルタメニ知ラネ・ハナラヌ原理固トナッタワレワレガ努メテヤマナカッタノハ、 モウイチド新シ ヲ、イツノマニカ忘レティッタ。ワレワレガ再ビチカラヲ取リ戻スイ飛行機械ヲ建造デキルョウニナルマデ、知能ヲミガキ直スコトダ ソタ。ワレワレ、 ソレヲャッタ。 , い マデ、ナガイ時間ガカカッタ。ソシテ、チカラガ戻ッタトキ、ワレ ′サナモノガ、一人乗リニ . シテ ワレハ変化シテイタ。 ハ巨大ナ、コノワタシトッテモーー大キスギル大キナ機械ヲ」 自分タチガ変化ヲ遂ゲタコトヲ、ワレワレハ知ッテイタ。自分タ 「おれたちも、それとよく似た文明を持ったことがある」ワーナー チノ生マレタ星ノコトモ : : : 自分タチガカッテ強大ナ種族ダッタコ が思考をめぐらしながらこたえた。「たとえば、政治と宗教が同一 トモ。マタ、ワレワレガチカラヲ望ンディルコトモ。多ク / 世代が視された文明や、慣習と法規が崇拝から発生した文明など、いろい 過ギ行クアイダ、病ガチデ虚弱ダッタワレワレ、、 / アル偉大ナモノろとな」 ノ記憶ヲ子孫ニ伝工続ケタ コノホシ、コノ地球ノ記憶ダ。ココ 「スウ ( ィネコレ ( 崇拝デ ( ナイ」 しんとう ワレワレガ生マレタ星ダ。ココハ ワレワレ / 母ナル故地ダ。 「崇拝しゃないって ? それじゃあ、日本の神道のようなものか」 ナガイ、ナガイアイダ、ワレワレハ コノ信念ョリモ崇高ナモノヲ ワ 1 ナーの調はぶつきら・ほうだった。「祖先崇拝のな」 ヤマイ
械 / 中ニイル人間ハ短イ旅ナドシナイ。タダ、長イ旅ダケヲス レワレニ適シティナカッタカラダ。ソノ星ハ、構造ノウェカラモ : ル。シカシ、長イ旅ニタッテ、モウイチドココへ戻ッテキタノハ : 化学組成ノウェカラモ : : ココト全ク変ワラナカッタ。ドウブッ コノワタシガハジメテナ / ダ。機械ノナカデ行ナウコトハ 、惑星ヲモ大差ガナカッタ , また、言葉をさがすための中断があった。 サガス機機ヲ作動サセ、機械ヲ発進サセルダケニ過ギナイ。ダカ ロイド質ャ含水炭素、ソウイウモノダ。シカシ、ヒトッダケ、チイ ラ、機械ハイツモソコニアル。機械ノソトニイルコトハ、機械ガ : サナ差異ガアッタ : 消エルノヲ見ルコトダ。コ / 機械ガスグニーーーイヤ、ハヤク元ノ コウイウ場合、ドンナコト・ハヲ使エ・ハイイノカ教エテクレ : : : キ 場所ニモドルコトガデキルカ、ソレトモ戻ルコトガデキナイカ、ソ ミタチガ食べルモノ、キミタチガ体内ニ入レルモノ。ソシテ、キミ レ ( 未ダ明ラカデ ( ナイ。機械ガ発進シタト同ジ場所〈、同ジ時代タチヲ楽 = スルモノ。体ニ ( ゲシイ変化ヲ起コサセ、筋肉ヲ動力 へモドレルカモシレナイ。イヤ、モット後 / ・ : ・ : ウントアトノ時代ス、ドクニ似タモノ : : : キミタチヲ眠ラセルモノ」 ニ戻リ着クカモシレナイ」 「薬か ? 」 「ソウダ、クスリダ。ダガ、クスリソノモノデハナイ。ソレニ似タ 「どうしてここへ来る気になったんだ ? 」 モノダ。ソウイウ効果ガアッテ、キミタチノ体内テ作ラレルモノハ 「ワレワレノ種族ハ、コノホシヲ離レテカラ、新シイスミカヲ見ッ何ダ ? 」 ケタ。ココニョク似テイタガ、ソックリ同ジデハナカッタ。太陽ガ 「どうも、よく分からんが : : : そうか ! おまえが言いたいのはホ : モット多クノ ルモンじゃないのか ? 」 「放射線でも出していたか ? 」 「ソウダ、ソレダ。ホルモンダ。植物ハ、動物タチヲ不快ニサセル コ = ロイナオソウ。太陽ハモットチガッタ放射線ヲ出シテイタ。ワレドクヲックル。ダカラ、動物ハソノ植物ヲ食べナイ。ソウイウ植物 ノ内ニ ハ、ツネニドク性ヲ備工ティルモノガアル。動物タチガ、ソ ワレハ変化シタ。イクッカノ種類ニ。ダガ、ソノ種類ハ多クナイ。 ・ : イヤ : : : ゲ、解毒物質ヲ体内デックレナイ コレガソウダ , ーー」その声とともに、輝きがふるえるように明減しレニ対抗スルドクヲ : た。「小サナ生キ物 : : : 昆虫ニ似タ : : : ホタルノョウナ、冷光ト呼カラダ。ソウダ、解毒物質ダ。シカシ、ソレハ同時ニ、ソノ動物ヲ ・ハレルヒカリダ。自由ニヒカラセルコトガデキル。ココマデ進化ス毒素ニ対シテ免疫ニスル作用ガアル」 ルノニ、多クノ世代ガッイヤサレタガ。 「おまえが言いたいのは、たぶんこんなことではないのか。その動 アル出来ゴトガ起コッタ。機械ガソノ星ニ着イタトキ、軽着陸ニ物が毒素に対する強い抗体を持ったことによって、毒素と感じなく なったと」 失敗シテ大破シタノダ。ダガ、ソノアト何ガ起コッタノカ理解スル コトハムズカシイ。多クノ仲間ガ死ンダ。生キ残ッタモ / ハ、生キ「ソウダ。植物ハホルモン性ノ毒素ヲ合成スル。動物ハ抗体トシテ 5 ルタメ / 場所ヲ築イタ。サラニ多クノ仲間ガ死ンダ。ソノ星ハワ ノホルモンヲ合成スル。ソウダ。ワレワレガ初メテソノ星へ着イタ アト
タトコロダ・・ : : ココ、コみホシ、コノ : ・・ : キミタチガチキウト法 = シタガッタ。ワレワレ ( アル谷間デクラシテイタ。ソノ営ミ ( 呼プホ〉 , 「トダ。ワ」ワ」 ( = 「デ、急速ナ繁栄ヲ遂ゲ・・・・・・手 = 長ク、オタガイガ兄弟ノ = ウ = 、〉ジ〉タ。ワ」ワ」 ( ツネ = 少数ダッタ。キミタチ人間ノョウニ、世界中ニ歩ヲシルスコトモシ 入レラレルモノヲ全テーー」 ナカッタ。アタタカイ谷底で、文明ヲ築キアゲハシタガ、ソレモ 「つまり、進化したというわけだな ? 」 「トテモ速イソクドデ進化シタ。道具モックリダシタ : ・ : ・機械モダキミタチノ「一ウナ大都市ノ文明デ ( ナカ ' タ。ソ・ンナモノ ( 必要デ : モノヲ造ル人間ノカンガ = 。人間 ( ナ = ヲ造ルベキ力、ソレヲナイカラダ。ワレワレガ築キアゲタノ ( 、精神ノ文明ダッタ 「モチロン、必要ナトキハ、イク 考エルチカラ。ソウダ ! ソウダ、ソレ ( 知性ダ、論理ダ。直観 ? 幽霊は自分の頭に手をやった ッカ / 機械モ造ッタ。ソシテ、ソ / 谷間ガ海ニョッテ破壊サレルコ ソウダ直観モソウダ。ワレワレハ互イニョク理解シアッタ。キミ トヲ知ル日ガ、ヤガテャッテキタ。谷間 ( 海面ョリモ低イトコロニ キミダケノ仕事ヲスル。ヒ タチハ互イニ理解シアワナイ。キミ ヒトダケ / 仕事ヲスル。・モシモ、キミガ - ヒトト一緒 = 仕事ファ ' タカラ、ソレヲ護ル脆弱ナ山脈ガ崩レ去ルト、海水ヲフセグ手 段ガナクナルノダ。 : ィッモキミ スレバ、キミハチカラヲアワセルガ、大事ナノハ・ ヒトジシンノホウダ。シ アル者 ( ソ / 事実 = 耳ヲ貸サナカッタ。マタアルモノ ( サラ ジシンダ。ソウデナケレバ、大事ナノハ = 奥深イ内陸へ移ッティッタ。移ッティッタ者ガソノ後ドウナッ カシ、ワレワレニトッテ大切ナモノハ造ラレルモノ自体ナノダ。 : ワレワレ以タカ、ワレワレ ( 知ラナイ。残ッタ仲間ノナカニ ( 、機械ヲ造ッ 三十世代ニモオョ・フワレワレ / 祖先ガワレワレヲ : : コノチキュウカラ脱出シタ者モイタ」 テ、コノホシカラ : 外ノモ / カラ解放シテクレタ」 「宇宙船か ? 」 「環境からか ? 」 「イヤ、船デ ( ナイ。キミタチガ考エルョウナ機械デハナイ。キミ 「ソウダ、自由ニナッタノダ。ヒトッ / 問題ヲモットイウコトハ : カタイ物 ニ、ワタシノ心ガ読メレ・ハ話ハ早イノダガ。ソレハ・ : ソレニカナウ方法ヲ : : : ソレヲ解決スル手段ヲ発見スルコトダ。 植物 = ( 進化ガアル。動物モ進化ショウトスル。ウマク進化シタモ質ヲ溶解シ、ソレヲマタ、別 / 場所デカタメテ造リアゲタモ / ダ。 ワレワレオトコタチト、ナンニンカノオンナタチガソノ機械ニ乗 ノ、ウマク進化デキナカッタモノ。ソシテ、進化ニ失敗シタモノ リコミ、地上ヲハナレタ。 死ヌ。ワレワレ ( 変ワッタ。ワレワレ ( タダ善ィモ / 、造ルべ : コノホシ / ョウナ惑星ヲ捜スタメニ設計サレタモノダ 機械ハ キモノダケヲ造ロウト努メタ。ワカルカ ? 」 ッタ。オモク、アタタカイ、コノ大気ガ存在スル惑星ヲ求メテ、機 「わかるような気もする」ワ 1 ナーはこたえた。「おれたちだっ しままで三千年かけて造った以上の械 ( 遙カ彼方マデ飛行シタ」 て、過去三世紀たらずの間に、、 「長い旅だったのか ? 」 ものを造り上げたんだからな」 、・ノメ ( ソノ方「機械ノ中デ ( 長イ旅ナドナイ。時間 / 感覚ガナクナルカラダ。機 「ソウダ。ソレガ進化ノ方法ダッタ。ワレワレモノ、、
とが、かれにもよく分かった。とっぜんかれは、相手の生物がどん「キミノイヌ ( 死ンダ」発光人間は言葉を続けた。「ワタシ ( 、イ な過程をふんで答えを求めているのか理解することができた。かれヌヲ死ナセルコトヲ : ・イヌフコロス」コトヲ望マナカッタ。キミ 4 が、自分の言葉なり考えなりを明確な心象にかえればかえるほど、 ココデハジメテメグリ会ッタニンゲンダ。ダカラ、キミガ : 相手もそれだけ容易に答えをかえすことができるのだ。そこで、か ワタシノコト・ハヲ聞キーーーイヤ、又ケトルコトガデキ : : : 受ケトル れは可能なかぎり明確に天体図を想いうかべることにした。幽霊が コトガデキナカッタコトヲ、知ラナカッタノダ。 落ち着かなげに声をあげた。ワーナーはくちびるをゆがめた。記憶ワタシ ( キミノ声ヲ聞イタ。ワタシ ( 「コロノ中デキミ = 話 力の悪さは、なにも今にはじまったことではない。かれは夜の空をシカケタ。ワタシト言葉ヲ交スョウ = 告ゲタ。ワタシ = サワラナイ 想いうかべた。 ョウニトモ止ロゲタノダ。ダガ、キミノイヌハワタシヲ襲ッタ。ワ 「ソウダ」発光人間が口をきった。 タシハキミノイヌガコノ体ニ触レルコトヲ好マナカッタ。イヌ ワーナーはいろいろな星座を想いうかべはじめたーーー南十字星、 ハ、ワタシニ触レタカラ死ンダノダ。キミモ、ワタシニ触レレバ死 たて座、さそり座 ( シリウス、ヒアデス星団。そして、かれの想像ヌ。イヌガ死ンダコト ( 詫ビル。キミマデコロシタクナイ。モシキ が北斗七星とス。ハル星に及んだとき、幽霊は声を上げた。ワーナー ミガ死ネパ、ワタシハサラニ深イ悲シミフ味ワワネパナラナクナ の記憶力からすれば、北斗七星の正確な位置をおもい出すことは至ル。キミガワタシノ呼ビカケニ応エラレヌコトフ知ッタト弋ワ 難のわざだったが、その星座を形成する五つの巨星が肉眼でかんた タシハ声トイウモノヲ使イ、闇ノナカへ姿ヲカクシテ、キミノ銧ヲ んに見分けられること、そして六番目の星が比較的うすぐらく、七ウ ' ( ッタノダ。武器ヲモッタニンゲン ( 、 ケッシテ考工ョウトシナ 番目になると、よほど視力のある目でなければ見分けられないこと クナルカラナ」 ぐらいなら、すぐにおもい出せた。 「シカシ、 「ソウダ。ソ / ウスグライホシダ」と、幽霊がいった このへんで、ひとっ社会学的な事実を問い正す必要がありそうだ よ ソレハヒトッダケノ星カラデキティルノデ ( ナイ。タクサンノホシ ワーナーはあいかわらずニャリとしながら考えた。「おれが ガ集マッティルノダ。シカモ、ソレゾレノ星ハ、タガイニ遠クへダおまえの体にさわったからといって、な・せそれだけの理由で殺され タリアッティル。ホシポシノ間ヲトオシテ、直線ニチカイ線ヲムスなきゃならないんだ ? 」 ブコトモデキルホドダ。ワタシノスム星ハ、光ョワイスパル七星ニ 「コロス」相手はかれの顔をみつめながら言った。「コロス、死 アルノデハナイ。ソコカラ遠クへダタッタホシポシノ、サラニ向コ ヌ、ヒトヲコロス、シケイニスル、ギャクサッスル。イヤ、キミカ ウガワニアルノダ。キミ マタカービン銃ノコトヲカンガエティ ワタシ / 体ニ触レタカラトイッテ、ワタシハコロシナドシナイ。コ ルナ。ソレニサワルナ」 ロストイウコト、 ヒトガソウ望ンデ行ナウ行為ダ・ ・ソウ望ン ワーナーが毒づいた。 デ、ソレニ間違イハナイ。シカシ、ワタシガ一 = ロッティルノハ、モッ
ミハウケトラナイ」 「ソウカモシレナイ。ソウデナイカモシレナイ」 「どうしてだ ? 」 「おそらく、と言いたいんじゃないのか ? 」 : オトコカ ? ソウダ、キミハオトコダ。ワタシ 「キミ、キミ 「オソラク : : : オソラク、キミタチノホウガトッゼンヘンイ種ダロ : ワタシハ : : ワタシハオトコデハナイ」 尽きることが知らぬワーナーの機智が、ここでもひょいと言葉の 「どうも要領を得ないな」 その生物は、枝わかれのある部分へ指をおしあてた。 端にあらわれ出た。 ・カ イヤ、センゴヒヤクセダイマエ・ 「おれをかつぐっもりかい」と、かれはいった。だが、おどろいた「ジュウゴ ことに、目の前の生き物は朗々とした笑い声をたてた。 「オトコヲ総称スルコト・ハヲ教エテクレ」 「つまり、おまえたち種族は、一五〇〇世代まえに霊長類の系統樹 から枝わかれしたと言うのか ? 」 「総称する : : : ああ、人間のことか」 「ソウダ。ワレワレノセダイ交替ハ遅イ。ワレワレノソレヒトッ 「ソウダ。キミハニンゲンダ。ワタシハニンゲンデハナイ」 ト、キミタチノソレミツツダ」 「それじゃ、おまえはいったい何だ ? 」 ふたたび、かれの表情をうかがう目がひかった。「チガウ」よう ワーナーは、この言葉をわかりやすく組みなおしてから、返事を した。「おれたち人間の世代計算でいけば、四五〇〇世代まえ やく相手が口をひらいた。 つまり、それだけ昔に、人類はおれたち人間とおまえたち人間に種 チガウ : : : シュルイノ 「ワタシハニンゲンダガ、キミタチトハ 族分裂したんだな。これでいいか ? 」 ニンゲンダ」 「ソノトオリダ」 その生物は唐突に向きをかえ、一本の灌木を地面からひきぬく 「では、おまえはいったい、いまのいままで地上のどこで暮してき と、枝わかれのあるこすえを一本折り取って、余分な横枝をきれい これたんだ ? 」 に剥ぎとった。それからもういちどかれの顔を覗きこむと 「チジョウデハナイ」 ら一連の行動は、フ 1 ナーにはさつばり合点がい力なかったが 「こりやおどろきだ ! 火星からやってきた人間か ! 」 そのこずえを指さしながら、言葉をついだ。 「コノタイヨウケ 「コレガレイチョウルイダ」その声とともに、光を放っ長い指「カセイデハナイ」幽霊は真剣な声でこたえた。 「コレガ、キミタチニンゲンダ」イニアル星デハナイ。コ / タイヨウケイデ ( 、チキュウノホカニ人 が一本の横枝をたどっていった。 「コレ 間ガスメルホシハナイ」 幽霊はそう言い続けて、最後に別の横枝へ指をのばした。 「それじゃあ、いったいどこから来た ? 」 ガ、ワレワレニンゲンダ」 その生物は、質問に答えようとした。答えようと努力しているこ 「そうか、おまえは突然変異種だったのか」 ・ムカシ・ 4
ていたカービン銃に目を向けると、かれの問いかけた意味内容が了「ああ、それは冠詞というものだ。おまえの言うことはだいたい察 解できたらしかった。 「イヤ、射タナイ。キミ ( 死ナナイ。キミプしがつく。それにしても、英語には不慣れなようだが ? 」 その生物は、もういちど奇妙なふうにかれの顔を見つめた。 ・射チ : : : コロシハ・ : シナイ」 「ソレハ一部分ニスギナイ」とっぜん、言葉が継がれた。「モット そいつはありがたい ワーナーは皮肉つぼくひとりごとを言っ た。ついでにその銃を棄ててくれれば、もっとありがたいんたが。総体的ナ意味デダ。ヒトッノ、ソノ、イヌ、ジ = ウコウイウモノ 「ソウ力」幽霊はそうこたえると、向きをかえ、注意ぶかくカービヲ何ト呼・フノダ ? 」 「言葉というものだ」しばらく首をひねっていたワーナーが、やっ ン銃を幹に立てかけてから、さらに一歩二歩あとずさりした。「サ ア、ココへ 」その言葉とともに、指が伸びて、ワーナーの隠れと口をひらいた。 「コド・ 「ソウ力、コト・ハ力。ロッテクレ : ハ」と、幽霊は言った。 ている樹木の前面を指し示した。 : ワタシニ・ : : ・話シテクレ : ・コト・ハヲ知リタイ」 「でてこいといのか ? 」 ワーナーはほんの一瞬だけ、幹に立てかけられてあるカービン銃 「出テキテホシイ」 ・ : これならひと飛びで手 ワーナーは熟慮した。このおそるべき生物の能力について、何ひへ目くばせした。一五から一六フィート : が届くかも知れない。しかし、よしんば手が届いたにしても、わず とつ見当がっかないとは言え、そいつがどうやら人間らしいことー ーすくなくとも、そいつの隙をつくことぐらいならできそうな、人か一秒以内に銃を握る必要がある。 「銃ニサワルナ」と、幽霊がいった。 間らしい弱点を備えていることには確信があった。だから、もしか ワーナーは、思わずニャリとした。「なんてことだーーおまえ ( しつかは相手のう れが長ながと会話をかわしつづけていられれ・よ、、 は、人の心が読めるんだな」 しろへまわって、あのカービン銃を奪い返す機会がめぐってこない とも限らない。そうなれば、二つにひとつの道ではあるが、とにか「ヨメル。ワタシハ聞キーー・見・ーー・読ム。ココロヲ、ソウダ。ワ 」か くこの悪夢に決着をつけることができるだろう。かれは立ちあがっタシハココロヲ読ム。キミノココロヲ。キミハ・ れはワーナーの顔を見つめた。「キミガカンガ工、ワタシガ読ム。 ソウダ」 : デキナイ・ : : ・銃フトルコト : ・ 「キミニハデキナイ。キミニハ・ 「テレバシーか ? 」ワーナーは相手に教えこむような口調で問い正 : ソノ銃ヲトルコトハデキナイ。ヒトッノ、ソノ、イクッカ / コウイウモノヲイヤ、コウイウモ / ハ」と、幽霊がいった 「ソウダ、テレ。ハシーダ。キミガ送リ、ワタシ : : ワタシガ 411 」 ウイウモ / ハ何ナノダ ? ナニヲ意味スルノダ ? 」 「受けとると言いたいのか ? 」 「何だって ? 」 「ソウダ。キミガオクリ、ワタシガウケトル。ワタシガオクリ、キ 「ヒトッノトカソノトカ言ウモノダ」 9
と同じように : 「ワタシハ ココロノコリダ」 頭上から、背後から、光が射していた。かれは喘ぎながら身をす「心残り ? 」ワーナーの脳裡から、まるで馬鹿げた、およそ場ちが くませ、かすかに見える樹幹の暗がりをもとめ、て、その中へもぐり いな連想が浮かんできた。『わたしは去年のクリスマスの幽霊だ』 こんだ。闇の中に姿を隠すまで、光の方へは目を向けずに。 その言葉は、かれが学んだ単科大学の講堂にある前舞台に描か 幽霊は、そこから二十フィートはなれたあたりに立っていた。カれた、喜劇と悲劇の仮面をさす文句だった。その仮面の名はコーヒ ービン銃をかるがるともてあそびながら、かれをジッと見すえてい ー嫌い氏と言う。それにしても、いまここでおこなわれようとして いる出来ごとよ、、 ーしったいどのような無言劇なのだろうか ? かれはいそいで頭をさげた。あたりは物音ひとっせず、何事も起亡霊はふたたび口を動かしはじめた。どうにかして正確な意志伝 こる気配がなかった。 達を果たそうと努力している相手の気持が、ワーナーにはよく分か っこ 0 もういちど、かれは頭をあげた。幽霊は、悲しみと叡智を秘めた コレガ 「イヤ、ココロノコリデハナカッタ。モウシワケナイ 目で、まだこちらを見つめながらたたすんでいた。腰の辺でカービ ン銃を構えているが、かれを直接狙うでもなく、かと言って狙いを正シイ。キミノイヌヲ死ナセテモウシワケナイ」 まったく外しているわけでもない。幽霊がかれを見つめていること「おまえは誰なんだ ? 」ワーナーが吠え声をあげた。 「ワタシハ は分かるのだが、どうしたわけか体をピクリとも動かさない。奇怪亡霊はもういちどかれの顔色をうかがった だが、悲しみにうちひしがれたその人物を見ているうちに、ワーナダ」そう言ってから、しばらく静寂が流れた。 ーはふと次のような予感をいだいた。こいつめ、このまま放ってお「チガウ」ふたたび、自答するような声がひびき出た。「ワタシ、 「ソレ いたら一晩中 いやヘたをすると一週間以上もそこを動かないかキミ、カレ、ソレ」その人影はジッとワーナーを見つめた。 ろうにやく も知れないそ、と。老若といったものをいっさい受けつけず、無限ガワタシダ」そう言い終ってから、カービン銃の銃身を自分の胸に に表情を変えないその顔には、「時」というものも全くなす術がな押しあてた。 いようだった。 ワーナーはくちびるをなめた。この発光物体がいったい何ものな ワーナーは両方のくちびるをつよく噛みしめ、息を呑みこんだ。 のか、かれには見当もっかなかったが、どうもこの相手が精神錯乱 「おまえは誰た ? 」かれは嗄れ声で尋ねかけた。 におちいっているらしいということは理解できた。かれは重ねて尋 亡霊がこたえた。 問した。「おまえは、おれを射つつもりか ? 」 「ワタシハ 」ワーナーの顔色をうかがいながら、相手は躊躇し 「ワタシヲ射ツ」だが、ふいに手に握っ て言葉を止めた。相手を理解させる適切な言葉を模索するかのよう「射ツ」幽霊がこたえた。 こ 0 マスク 9 3
ファイヤーア / ト て、フェローの姿がはっきりと見えた。犬は火蟻にたかられこ ナっ聞きのがすまいとカービン銃のひき金に手をかけた。胸がいたみ 芋虫のように身を折りまげ、ロ泡のこびりついた牙で自分のわき腹だすまで、かれは呼吸を継ぐことすら忘れていた。沈黙と暗闇、恐 3 を噛みながら暗闇の中に逃げこんで行き、そこで、激痛に耐えかね怖と怒り。そして、左手のおや指に触れるあたたかい銃身と、三本 た幼な子そっくりの声をあげて泣きさけんだ。 の右手指がシッカリと押える台尻のにぎり。かれはゆっくりと頭を 「フェロー ! 」暗闇のどこかで声が聞こえた。ワーナーは、その声めぐらし、その次に腰をまわし、最後にくるぶしをまわしてうしろ を頼りに愛犬のそばへ近づこうとしたが、樹木の根張に足をとられを向き、身をこわばらせて物音が聞こえてくるのを待った。 て、土の上にドウと横転してしまった。しかも、運のわるいこと だが、暗闇はあまりに深く、また身うごきも許さぬほど切迫して に、倒れたひょうしに右手が下になり、みそおちのあたりをつよく いた。かれは両目を上げ、頭上のはむらに照りはえる弱よわしい月 突く結果となったから、一瞬は呼吸がとまった。数秒間というもあかりが見えてくるまで、視線を上げつづけた。弱い、お・ほろな光 の、かれはなすすべもなくその場に横たわり、恐怖と怒りに身をまというものは、心なごむものだった。 のど・ほとけ かさねばならなかった。結喉を動かすたびに、そこを通して「ウ右がわから、かすかな物音が伝わってきた。とっさに、かれはカ ッ ウッ ! 」という喘ぎがほとばしりでた。 ービン銃を頬へ擦りつけた。沈黙。 やがて、視界に明かるさがもどってきた。幽霊が、かれと犬のあ かれは小鼻を動かして、罵声をはいた。 いだに移動してきたからだった。フェローはあおむけになって、弱「動け、ちくしようめ ! 」 よわしく四肢を痙攣させていた。そして、もういちどわき腹に首を何かが動いた。下生えの中で、何かが前後左右にうごめいた。ワ まわし、そこに噛みつこうとしたが、カ尽きたのか、とっ・せん動か ーナーは三度銃を発射した。一発射つごとに、銃身をいよいよ強く なくなった。目は飛び出るほどにみひらかれ、なかば噛み砕かれた肩と頬にすりつけながら。 血だらけの舌が、口先からダラリと垂れさがっていた。 ふたたび沈黙が流れた。かれは、視線をめぐらす自由を回復する ワーナーはひざまずいた。 ために、銃をおろした。だが、そうしたとたん、その銃は、カがこ 「ソレニサワルナ」幽霊はとがめるような口調で言った。 もったかれの指先からひきはがされた。それを奪い返すために再度 ワーナーがそっと顔をあげて、相手を見つめかえした。「おまえ指先に力をこめたとき、銃はもう手の届くところにはなかった。空 が殺したんだそ」そうささやいて、かれは即座にカ】ビンを肩からをつかむ勢いがあまって、かれは一、二歩よろけた。かれは体をひ 外すと、銃口を発光物体に向けた。 ねり、もう一度ひねった。一瞬、閃光がひらめき出たかと思うと、 すると、幽霊はかき消すようにいなくなった。 かれの射ち放った弾丸が狙いたがわず自分の体にぶち当たってくる なんてことだ。急に目がくらんじまったのか、とワーナーは自問 ような感覚に襲われた。それから、かれはドッとくずれ落ち、動か した。かれは立ちあがって、膝をゆるめ、頭を低くして、物音ひと ) でそうな 0 た なくな 0 た。かってッラギ一次大戦中アメリカ軍が上陸した