感覚的時問 生理的時間 つまり人間の 意識の内にある 時間といっても 色いろあるよな まず物理的時問 これは天体の運行を 尺度にして人問が 決めたものだ きみのいう 早まってる時問 レ」い、つのは どれなんだね 0 全部 ひっ / 、る めてさ それは・ それは、それらを 超えた絶対時間 みたいなものが あるんだよ 時計の針も 生物の生と死も 天体の動きも いや、宇宙全体の 盛衰もだ 4 つかーレいレま それじゃ何を 基準にして 早まってると えるんだ おれたちが 近ごろ異常を 感じはじめたのは あまりの 進み方に 感覚が ついてし ( なく なったからだ 急カーフを 描いて ある日突然 終曲を : 今後、時問は ますます 加速度を
かり触るもんじゃないという日頃の教訓身にしみて思いだし、早々た。そんな風だから小才もきき要領もよかった筈なのに、なぜか十 に手をひっこめてしまった。 年ほど前からさつばりお座敷がかからなくなり、この頃ではジャー ナリズムの関係者ですら殆んどその消息を知る者もない、けれども 当時こっちは、。、 / トロン顔するの家にかなりしげしげと出入りし て、私生活の一端も、性格そのままの小狡い女出入りの一つ二つに 犠牲者を選ぶにはオン・ザ・ロック三杯分の時間がかかった。 ついても、べつに好奇心を発揮したわけではないが知っていた。 というのは、こっちの目的からいって、適当な知名度も持たねば つまりはこのプロジェクトに理想的な対象だったからなのた。仕 ならず、それにひきかえ今は少しみじめったらしくなければならな事仲間の一人二人のところへ電話をかけて、忘れていたの家の電 かったし、その上その人物の過去について、世間なみ以上に知って話番号を教えてもらい、さてダイヤルを回してみると : : : 出ない。 いる必要もあったからで、それで最後に白羽の矢を立てたのは、科電話のむこうの端には、じりじりん、じりじりりんとベルが鳴りひび 学にも強い異色の文芸評論家として、相当なこわもてのしかたもき、繰り返し鳴り渡っているというのに、まるで無限の虚空の中に し、それにつけこんでかなりたちの悪い、もちろん体裁だけはいい そのまま拡散してしまうかのよう 稼ぎをした、という人物だっ ・い 1 い
ドン・ジョンスン、スーザン・・ヘントン、 『いっか時間の中で』 Once Upon Time がまたいい。原作では、そこは人工照明の ジェイスン・ロ・、 ーズ。ジャフ・プある明るいいなか町だった。ところが映画は、『少年と大』が映写機の故障で時間を ロ。上映時間八七分。一九七五年 ) では、太陽の光のとどかぬ闇の世界。生きとったため、上映中止になった。シオドア 。スタージョンの『人間以上』をヒントに これは、ナスフィックの会場で見た。小 残った住民は、その中で、百年前のアメリ さな独立プロの作品なので、完成後しばらカ文化を維持しているのだ。そのせいもあした幻想的な映画だという ) 。 く売れ口がなく、そのころようやく十月公るし、多分に実験的な意図もあるのだろ『。ヒーター・プラウドの復活』 The Rein ・ 開が決定したばかり。だからアメリカの鬟まま、 " ( ( ~ carnation 0f Peter Proud ( 製作 フランク・・ローゼンバーグ。 ファンの中でも、見ているものは少 : ~ 、】、 なかった。原作は本誌七一一年八月号にの 監督・リー・トンプスン。原作 た っ 、ーリック。士 ~ り、エリスンの短篇集『世界の中心で愛 ・脚本マックス・エ 使ト を叫んだけもの』に収録されている。ま 演マイクル・サラザン、ジェニフ 真ケアー・オニール。 O プロ。 だお読みでない方のためにちょっとふれ 写ャ 、ルジ—配給。上映時間一〇四分。一 ておくと、核戦争後の荒廃したアメリカ第 " 九七五年 ) に生きる一人の少年とそのテレバシー犬〕物 , →スコ二十年前に殺された男が、別の の奇妙な愛の物語。人間なみの知能を持 ( 「 ~ ・のレ 盤男の肉体によみがえるというオカ つ大の言葉は、映画では吹きかえで行な 当クルト映画。主人公の大学教授は、 われていた。筋立ては、原作にかなり忠 6 éラ悪夢の中で見る土地が実在してい 実だったが、そのためかえって興味がそ 、野ドることを知り、調査の旅に出る。 がれた感もしないではない。原作を訳し ン そして自分の中に別人の記憶があ たため、自分なりのイメージが完全にで 画ウ 映サることに気づき、死んだ男の妻に きあがっていたからだ。それこ、く 冫ノイオ E 出会い、二人のあいだにできた娘 」トな作家 = リ = の小説を、そのま一 に恋をする : : : 。謎がしだいに解 まスクリーに再現できるわけがないで】 ( . ( 一【【 ~ 。・ " = ~ - ー 0 ・ : 、 う。おかげで一時間半の映画の四分の三はき明されてゆくプロセスは、定石どおりだ しかしロウ・ = ストの独立プロ作品とし暗がりのシーン。見づらい映画であることが退屈しない。ただし結末はインチキ。原 ーリックは、邦訳のある co ショッキングな結末は原作を書いたエ ~ ては、けっこう気張って作られているようは否定できない。 『巨眼』 ( 早川書房 ) の作者でもある。 だった。地下世界へ通じる昇降路のシーン作どおりである。本公開されたときには、 ⅶは、米軍基地の立入禁止区域にもぐりこん開映後の入場おことわりという方式をとる『第四段階』 Phase IV ( 製作ポール・・ ′ス。脚本メイ レイディン。監督ソ 1 ル・・、 で撮影したというし、そのあとの地下世界劇場もあった ( 会場で併映の予定だった 0 3 9
いるうちにわかったのだが、・ハスの利用者・ほくが行こうとしたのは、ア・チ」エンジ そういったこともあって、・ほくは昼間は ・オプ・ホビット (A Change 0f H0bbit) なるべくアッカーマン邸にはいないように は、貧乏人と老人、それにたまたまその 例のとおり例のごとく、専門書店 浦していた。といって、別に大したところへ日、自分の車が何かの事情で使えなかった ア・チェンジ・オプ・ホピイ ⅶ行ったわけではない。たとえば、・フラッド人びとに限られているらしく、・ハスの行先だった。店名は「趣味の変化」と・ べリの小説などを訳すと、ウイルシャー を運転手にたずねる人間が何人もいるの・・トールキンのホビットをかけあわせ ・フーレく / 1 ドという通りの名前が頻繁に出だ。自家用車なら三十分で着くのに、一時たもの。場所は、 1371 Westwood Boule- てくる。これは、どんな感じの通りなのだ間半もかかる場合があるけれど、車の運転 vard0 写真は、この店で発行している宣伝 ろう ? 車では何回か通っているが、人のができないぼくはこういう場合に強い。そ用の絵葉書である。ショウ・ウインドウの 運転だとこちらが気を抜いてしまうので、れに滞米中、すくなくとも一つぐらい、目中で、銀色のドレスを着ているのはマネキ それが他の大通りとどういう位置関係にあをつむっても動けるような都市をつくってンではなく、どうやら店主のシェリイ・ゴ ットリープらしい ( まだ若い女の子で、ナ ⅶるのかわからない。で、映画を見たり本をおきたかった。 スフィックのときには、アンソロジストの そうだ、思いだした。鏡明を横田順彌に 買ったりするついでに、そこを歩くわけで ある。 テリイ・カーといちゃっいていた ) 。電話 お詫びしなければならない。二人がサンフ つまり、ダ アメリカには、ロサンジェルス伝説とでランシスコ経由でロサンジェルスにもどっ番号が傑作で "Great SF" ⅷも名付けたいものがある。それは、自家用てきた九月八日 ( 荒俣宏は、都合で一足先ィアルのアルファベットのある穴に、この い車がないとロサンジェルスでは、人間は生に帰国していた ) 、ぼくは彼らをこのめち順に指を入れ、回していけばいいのだ。フォ ・。フレートと同じでん リイの車のナンパ きてはいけないという伝説だ。だが単独行や歩きに巻きこんで、貴重な時間を何時間 ⅶ動に慣れるにつれ、それが大して根拠のあか無駄づかいさせてしまったのだ。ごめんである ) 。ところが、この店が、バスで行く と意外に遠いのだった。しかも何の収穫も " る説ではないことがわかってきた。パスをなさい、鏡さん、横田さん。 ”使えばよいのだ。 - ・ハス停に名前がないと 。か、長く待たされるとか、ちょっと遠くへ 告 : 行こうとすると何台もバスを乗りつがねば ならないという不便はある。だがパスに ( は、時間表と ~ ートを印刷した紙が用意さ員 ~ 00 れているし、これまで動きまわった範囲を と 年 : 頭にたたきこんで、そこから足をのばせば ー 9 少 亜大した面倒はない。おりるところがわから なかったら、運転手にたずねればよい。運 4 転手に気がねをする必要はない 0 観察して
ただ、従来の技術を総決算したような装置を作ってしまうことで、 ぎみの決断だけだ。参加を承諾さえしてくれれば、恒星系開発計画 ・ : やってみるか 新たな技術的展望が聞けないかという期待はかけられていた。 は新たな段階へ直ちに進みはじめることになる。・ もっとも期待したような展開はなかったがね」″社長″は葉巻を揉ね」 み消した。灰皿も映像なのだろうか : 「ただ、結論として、つ その声は遠い未知の世界からの呼び声のような、不思議な魅力を ぎの方向ははっきりした。ご承知のとおり太陽系内の開発は無人探持っていた。迷うことはなかった。 査が主流だった。が、現行の方式では外惑星開発が限度で、とても開発・販売・開発と循環するループ、疲労ばかりが無限に堆積し 恒星系への進出は望めない。探査・情報分析・開発の検討というサてゆく迷路に、とっ・せん脱出口が開かれたのだ。その出現のしかた イクルの時間のオーダーが長すぎるためだ。現有の宇宙開発技術とが唐突だっただけで、いっかこんな事態に遭遇することは、遙か以 それとも今の会 いうのは、原理的には人間が初めて月に降り立った時から進歩して前から潜在的に自覚していたような気がした。 そういえば、あの時の月着陸船も″宇宙蜘蛛″と呼ば話のうちに洗脳されたからそう感じるのだろうか。それでもいい。 れていたな。ーーー恒星系への進出は、昔の月着陸に相当する、まっ不愉快なだまされ方ではない。 たく新しい段階だとわれわれは考えている。われわれの結論は、有「むろん、やります」語気は自分でも驚くほど決然としていた。 それから、事態は信じられぬほど急速に進んだ。 人飛行の再評価ということだ」 五時間後には、地表から一千キロ上空の待機就道の発着場で、さ われわれというのは人間と機械の混成系を示す呼称らしかった。 シンク・ 「つまり、それがコンビ = ータ複合体とそれに参加している″頭脳らに高軌道にある衛星基地に向う機械船を待っていた。そこで、恒 ダンク 集団″の結論ですね。となると、当社が有人探査艇の開発に進出す星系へ飛ぶための″ある手術″を施される予定だった。内容はまだ 知らない。ただ、「人間であることを超える」手術という。恒星系 るということですか」 「いや、もはや企業レベルの話をする必要はない」″社長″の口調開発計画への全面的な参加に同意した以上、いかなる処置にも耐え は熱つ。ほくなった。「方針は前から決まっていた。問題はどのようる覚悟はできていた。 。地球儀のような な形で有人飛行を行なうかの検討たった。″宇宙蜘蛛″の開発と販もうこの星へ帰ることはないかもしれない : 地球を見て、無感動にそう思った。眠下を巨大なエイのような衛星 売という作業も、人間の特性を調べる一過程だったといっていい。 それに探査ということの意味を理解してもらう必要もあった : : : 」発電所がゆっくりと移動してきて、故国のあたりを隠していった。 この部屋に呼ばれた理由がお・ほろげながらわかってきた。 「だいたい察してくれたような顔つきだな」″社長″はいった。お 人間解体 それいったパターン認識力だ。「きみに関してはずいぶん調べさせ てもらった。きみに最も高い可能性があると判断したのだ。あとは皮膚と肉の間に冷水が流れ込んで薄い層を成してゆくような感覚 245
た。「みんな一緒に錯覚をおこすことはないでしよう」 〇七秒であることを確認した。はっきり一時間である。そして最初 「まだあるんだよ。なにがなんだかわからないけどとにかく、カメのフィルムと今回のフィルムを剣尺することによって、この異変が ラを回しつづけていたら、もうすぐだよ : : うつってるかな : : ほびたりとおなじ時間に発生していることも確認できた。 「ね工宮ちゃん」と古矢が言った。「あの、人間が消えたり現われ 「あッ ! 」又もや一斉にみんなが声をあげた。 たりする瞬間を高速度カメラで回したらどうだろう ? なにかっか さきほどの九人の姿が又もや、だしぬけに現われたのである。 めるんじゃないのか ? 」 「面白いね、只、光量がないからなあ : : : 」宮崎が首をかしげた。 姿をあらわした九人は一団となってそそくさと歩いていってしま「ほんとに一瞬で消えてるからね = 。五〇〇〇コマ位は使わないと っこ 0 なあ、なんにもわからね工だろうし、五〇〇〇だと、日中でも絞り やがて東の空がみるみる白みはじめ、水銀灯がばっと消え、夜が開放の三倍増感でやっとだからね = : 明けて、定期便のトラックなどがめまぐるしく走りはじめた。 私は、自動車の安全ガラスをハンマーでぶち破ったときのことを 「計算してみると、約一時間後にあらわれたことになるね」 思いだした。 ミリケンだったか、フォトソニックだったかの高速度 フィルムがおわり、明るくなった室内で宮崎がぐるりとみんなをカメラで一秒五〇〇〇コマ、つまり肉眼の一秒間を二〇八秒に延ば 見回した。 して見たわけだが、ゆっくりと落ちてきたハンマーが表面に触れる 「よし」古矢が決断をくだした。「とにかく、この一件を追ってみと同時に、そのガラスはまるで膜状の流体を思わすような徴妙な動 ようじゃないか。面白いぜ、これは、毎週出るってんだろ ? 今度きを見せながら粉々に砕け散るのである。しかしその画は、直射日 の土曜日にもういっぺんやってみよう。夜が明けたら日曜日、オレ光の下でやったにもかかわらす、かなり暗かった。となれば : はそのまま中山へ競馬に行く」 「よし、赤外ストロポを使おうじゃないか。赤外ストロポなら相手 みんながどッと笑った。 に勘付かれない」と私は言った。「発生する時間はわかってるん だ。強力な赤外ストロポを十台ばかり、タイムラグ一〇ミリセコン ド位で連続発光させたら、なんかうつるんじゃないか ? 」 次の土曜日 「うまく行くかなあ ? 」宮崎が考えこんた。 もちろん私も同行した。 そしてたしかに目撃した。 どうということもない。宮崎が撮影した通りのものを、肉眼でも ところが案ずるよりは生むがやすし、次の土曜日の撮影は見事に う一度ちゃんと見ただけの】ことである。私は録音マンの関口に頼成功したのである。そしてとンでもないことが判明した。 み、カメラと連動でナグラ録音機を回して貰い、それに電々公社の あの瞬間、毎秒五〇〇〇コマ ( 通常のテレビ映画は毎秒一一四。「。従「て一 にな 時報サービスを同時録音して貰った。そのテープを現像から上って る ) のス。ヒードで撮影されたフィルムを見ると、闇の中にとっぜん きたフィルムと連動で再生することによって、九人の男女が消えた銀色のバスが現われ、あの九人の男女はさっとその中へ乗りこむの のは午前一時三分〇八秒、そして、再び現われたのが午前二時三分だ。そしてパスは見えなくなってしまう。
ち満ちているんでね」 可能性というんじゃ、誰一人相手になる者がいなくて当然だった。 「いい加減に本題に入ったらどうだ」野口はついに耐えかねたようそのエドワールが去年アフリカに出掛け、そしてとっぜん姿をく 3 らました。アフリカの新興国で国、その首都のホテルで姿を消し 「いいだろう」べィリ 1 の眸が昏い光を放った。 たんだ。国の名はきみたちも聞いたことがあるんじゃないか」 「アルチュール・ランポーが生きている」 「ごく最近に共産主義者たちがクーデターを起こした国だ」私が答 えた。 「いや、正確にはランポーは未だかって死んだことがないというべ 「クーデター以前から中国の援助が入っていて、アフリカ共産主義 きかな。きみたちが見たランポーの詩が未発表なのもふしぎはない の優等生と呼ばれている国だ」 さ。あれはつい二週間ほど前に書かれたものなんだからね , 「そうだ」と、べィリーは頁、こ。 「ついに狂ったらしい・せ、私は野口に向かって片眼をつぶって見せ 「ほとんど注目されてもいなかった物理学者た。普通だったら、た とえ失踪したところで誰も気にもとめなかったろう。家族も友人も いない男だったし、な。 「ランポーは十九世紀の人間だ・せ。生きてるはずがないじゃない か。しかも、その死には妹がちゃんと立ちあっているんだ」 だが、そんな男でも国で失踪したとなると話は別だ。中国への 亡命という可能性があるからな。アフリカ在住の情報プローカーた 「死んだのはエドワールという物理学者だ」 ちが幾人も ()5 国に潜りこむことになった。そして、彼らのひとりが 「エドワール ? 」 サイエンティスト 「フランス人で、一種の気違い科学者だ。ランポーに傾倒し、時間実に奇妙なをききつけた。 エドワールが失踪した日、彼の部屋に入れ替わりのように一人の : 一八九一年、妹に見守られて死 を越えられると確信していた。 んだのは、ランポーではなく、ライホーと入れ替わった一九四五年男が出現したというんだ。その男の年齢は二十代なかば、フランス 人らしくて、自分はアルチュール・ランポーであると名のった。彼 生まれのエドワールなんだよ」 は一八八〇年、ハラールの地でエドワールと会い、時間旅行を約東 「何をいってるんだ : : : 」野口が混乱したような表情になった。 された。エドワールと意気投合し、 ・ハーで酒を飲みあっているうち 「俺にはさつばり分らない」 に識がとぎれ、気がついてみると百年ちかくを飛び越えていたと 「誰にも分らない」べィリーが苦笑した。 いうんだー 「エドワールという物理学者は、学界では誰にも相手にされていな 問「一八八〇年 : : : 」野口が呆然と呟いた。 かった。天才肌の男であるということは誰もが認めていたが、学 的な業績はほとんど残していなかったんだ。なにしろのべっ・フツ・フ「そんなことが : : : そんな莫迦なことが : : : 」 ッとランポーの詩を口すさんでいて、しかもその研究が時間旅行の「莫迦なことでもないだろう」ペイリーが嗤った。 マツに・ め
透明化効果は穴の中に物体が入っている時間の長さに正比例すること思うと、 と、穴が成長をつづけていること・ーー・などでした。 「キャーツ、誰か来てエ ! 」 透明人間 ! という悲鳴が下宿中に響き渡りました。 ~ しつか二日酔いを忘れ、さまざまな空想にふけり始めま透明効果が薄れかけていたのに、気がっかなかったのです。ぼく した。 は浴室を飛び出すと、一目散に廊下を走って、自分の部屋へ飛び込 〈丸ノ内オフィス街に姿なき痴漢。白昼、勤務中にヌードになったみました。 美人タイビスト〉 つぎの瞬間 ・ほくは、何もない空間に向かって、足を踏み出していることを知 〈国会の怪事件。首相、施政方針演説中に突如昏倒。目の上に大き なタンコプ。原因不明〉 りました。例の穴が、すでに部屋中を呑みつくしていたのです。 ・ほくは、もんどり打って、穴の中に落ち込みました。 〈四次元の怪 ? 空中散歩を楽しむシャム猫〉 〈マスコミ各社、奇妙な連鎖爆発で情報中枢マヒ〉 穴の底が無限に深いと思っていたぼくよ、、 をしつまでも落下しつづ : ・ほくはアクロバットよろしく穴の縁にぶらさがったり、頭をけるものと予想していたのですが、意外にも、落ち込んだかと思う 突っこんだりして、透明人間になることに成功しました。そして、 と、もう底に着いていました。 まず手始めに、下宿先の一人娘、美代ちゃんを対象に選び、若い女腰をさすりながら四囲を見回すと、なんとそこは、先刻のぼくの 性の⑩をのそく実験に取り組みました。 部屋ではありませんか。むさ苦しく万年床が敷かれていて、穴など 最初は、トイレでした。先回りして忍びこんでおいて、じっくり はどこにも見当たりません。 観察しようと試みましたが、電灯が暗すぎるのと、空間が狭すぎる「夜中に大きな音を立てないで下さいねツ」 のとで、見事に失敗。 部屋の外で、美代ちゃんの声がします。 入口に差込まれたタ刊の日付は、ぼくが奇妙な古本を拾った日か つぎは、浴室でした。これも時間を見はからって直前に潜入、こ ちらはかなりうまくゆきました。美代ちゃんが可愛いおへソをしてら一日経過していることを、示していました。 いること、意外に毛深いこと、などを、たっぷり鑑賞することがで これは一体どうなっているんでしよう ? ぼくは夢を見たのでし き、ぼくは大感激でした。 よ、つ、刀 ? ・ しかし、 いいことが、そんな長続きするはすはありません。″わ考えれば考えるほど訳が分らなくなって、こうやって飲みに出た が生涯最良の時は、意外にあっけなく終熄を迎えることになったんですがーー・あなた、こんな話、とても信じちゃくれないでしよう のです。 ね。 立て膝をして体を洗っていた美代ちゃんの目が大きく見開かれた でも、本当なんですよ。 235
氏る 村の 眉を る辞 語謝 をて 出し 思代氏 のを昇 人族田 故遺宮 右左 ( なかった一人の男の生命が、かかる終り方をするというおられたのですね。愛する家族を残し、親しい友人たち ことは、なんとも悲惨であり、悲しみに満ちているからと別れ、ただ一人この世を去ってゆかなければならない ・です。人に天命というものがあり、一生の間になすべき苦悩と哀しみは、それに直面していない者にとってはお 仕事の量はきまっているとも云います。ほんとうにそうしはかることさえ困難です。心の底にささやかれる死の 〔でしようか。もしそうだとしたら、福島さん。あなたは宣告は、どんなにあなたを苦しめ、生命への欲望の火を 実に大きな仕事をし残していった。界だけにかぎつ狂おしくかき立てられたことでしようか。病置とのその てみても、あなたがこれから成すべき仕事は、これまで果絶望的な戦いも、今すべて終りました。 してきたことよりもはるかに多いはずだった。それも、 人生は虚しいと思うか ? すべてあなたでなければできない仕事ばかりだ。四十七福島さん 年の人生は、あなたにとっては短か過ぎた。あなたは七今はこう言えるような気がします。あなたにとって人 十歳までも八十歳までも、生きなければならない人でし生は虚しいものではなかった。と、あなたは、四十七歳 た。それでもなお、あなたが考えていることの半分も、 でこの世を去ったけれども、あなたは実際には、一時間 三分の一も成し得なかったかもしれない。 を二時間にも三時間にも、一日を二日分にも三日分にも 福島さん 生きた。あなたはその瞬間瞬間を、精いつばい生きた。 今、あなたが去って、そして私はここであなたの魂をあなたが切り拓いた道はなかまたちによって受け継が 悼み鎮めるための言葉をのべています。しかし、あなたれ、あとから来る人達には未来へのひとすじ道として、 の無念の思いをなぐさめ鎮める力は私にはない。それを かがやかしい希望につらなっています。 思うとき私の胸は傷む。 福島さん 福島さん 今日はあなたとのお別れの日です。 もう何年も前のことだが、あなたと人生について語りみんな集っています。 合ったことがありました。それは何かの酒宴のあとでああなたのことは、これから長く長く忘れないでしょ り、あなたはなぜかひどく疲れた様子で、私を喫茶店にう。 、 ~ 誘いました。あなたは私に、人生は虚しいと思うか ? 折にふれては、あなたのことを思い出し、語らい合っ ・とたずねられた。私がどう答えたかはお・ほえていないけては酒を汲むでしよう。 れども、あなたはつづけて、たとえ、どんなに仕事に情さようなら、福島さん。 熱をそそいだとしても、あるいは未踏の領域に挑んで大花も終りやがて若葉の季節がこようというのに、四月 きな成果をかち得たとしても、人間死んでしまえば万事は哀しい月になってしまいました。 、。 ( 、 ( , 終りで、その努力の跡も、一朝の夢として消え去るのでさようなら、福島さん。 をなしか、と言われた。私はその時、あまり実のこもっ 昭和五十一年四月十五日 - 冪た返事をしなかったような気がする。だが、今思うに、 すでにその時、あなたは発病しておられたのだ。あなた は、あの時自分の命運を予知し、人生の深淵にのそんで 光瀬龍 2 2 ー
その意味でロポットは、現代における人間の情念を仮託されたもものです。人為的、あるいは必然的な物理化学的原因で自然の秩 のでこそあれ、現代機械工学者たちがいじっている不細工な省力化序の失われた状況をーーたとえば地球が高温多湿となり、その結果 マシンとは、むしろ無縁のものなのです。 水球となってしまった世界や、さらにはすべてのものが結晶化して もちろん、現代が科学・技術の時代である以上、そこには水準以いく 世界などを執拗に追求すゑ ( ラードの手法は、そうした異常な 上の洗練された authenticity がなければならないが、それは、ウ状況を設定することによって、そのなかに動く人間たちの行動や心 エルズの言葉を借りれば、 good, gripping dream であればいいの理をはっきりと浮き彫りにしますが、そのみごとな にと、く です。繰り返します。われわれにとって必要なのは、テクノロジー に欠けている情景描写は、同時に作者の心象風景でもあり、現代に ではない。むしろテクノロジーの発展とともに人間が不可避的に疎生きる繊細で敏感な人間の内的世界を定着させることにかなりな程 ラ 1 ー長ー 外されていかざるをえないこの時代を主体的に生きるために必要な度成功しているのです。そしてそれは、。ハ ・のいう「外宇宙」 スベキュレーションなのです。こうした傾向は、最近の co ーーー・と についての科学的認識と、そこから生まれる芸術的直感によっては ・ウェープの名で知られる作家群の作品において、いつじめて可能たった ぼくはそう信じたいのです。それこそが、 そう顕著になりつつあるようです。 をしてたらしめるもっとも大切な要因だと。 「外なる現実と、内なる精神とが、出会い融け合う場所」としての いくらいってもいい足りません。これはぼくが最近思っているこ 「内宇宙」こそがのめざす新領域でなければならないと説くパ との一端にすぎません。 ラードなどはそうした傾向を代表する作家として大いに着目したい また、時と場所とを改めて、語り継ぎたいものだと思います。 ~ 福島の処女短篇集『ハイライト』 ( 三一書 一房 ) の表紙カバーに、・ほくはつぎのような提灯持。 " ミスタ。の道・抄 - ちの文章を書いた。 「福島さんはオニである。泣く子も黙るのオ ~ 石川喬司 一ニである。いつだったか星新一と小松左京が酒の " 〔短篇集『ロマンチスト』 ( ハヤカワ 席で〈にもそろそろ飽きてきたから、別の儲一 ・・シリーズ ) あとがきより〕 け口を考えようや〉と冗談口をたたいたことがあ った。そのとき福島さんは実に悲しそうな目をし ~ 佐野洋のに『氏の時計』というのがあ数多くの見えない時計を所持しており、敢然と時た。その目を・ほくは一生忘れることがないだろ一 ~ る。美術雑誌の編集長氏が、別々な時刻を示す間に挑戦している。ひとつの時計は少年雑誌の連う。福島さんがいなかったら、日本の読書界は、 ( 十数個の時計を身につけ、時間のトランスフォル載小説の締切り時間を告げ、ひとつの時計は >< テという″夢の文学″の楽しさを知らないまま - - マシオンを企てて、奇矯な言動をする話である。 レビの座談会への出席をうながし、ひとつの時計ですごしたかもしれない。 ( 中略 ) ~ われらの氏こと福島正実《マガジン》編集は早川書房の重役会の開始を知らせ、ひとつの時星新一や矢野徹がルートを拓き、小松左京が万 ~ ・長に会うたびに、・ほくはこの話を思い出す。目が計は : 能プルドーザーで地ならしをし、光瀬龍がヘリコ一 - 澄んでいて女の子にもて、はなはだ多忙である、 それほどの″お忙が氏″でありながら、氏の身。フターで測量し、眉村卓が貨物列車で資材を運 ということ以外に、二人の氏にはそれほど共通辺には常にある静けさがただよっている。その静び、筒井康隆がロ笛を吹きながらスポーッカーを一 - 点はないのだがーーともかくわれらの氏もまたけさは一体どこから来るのか ? 飛ばし : : : という例の・ほくのランド案内記ふ ・を第す第ま寥 幻 6