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検索対象: 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)
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1. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

ヒースの反応から、エステルが顔を引きつらせる。 「キミ、なにも見てないよね ? そうだよね ? 」 「うう、頭が痛い。なにがあったのか思い出せない。どうして俺は倒れてたんだろう ? 」 「じゃあなんで顔赤いのさ」 あまりに白々しい演技に、エステルのざくっとした指摘が突き刺さる。 「それは、その : : : なんていうか、こういうことされたの、初めてだから : : : 」 ひざまくら 裸を見たのだ。殴り倒されても文句は言えない。それを膝枕までして介抱してくれたのが意 外だった。 あわ そむ エステルは、慌てたように顔を背けた。 「だ、だって、その、びつくりしちゃって、手加減できなかったから : 「覚えてないけど、殴ったんなら君の手の方が痛くなかった ? 」 話を逸らすようにそう言うと、エステルは存外に顔を真っ赤にして「 : : : うん」と頷いた あれ ? なんか、可愛い : はつらっ 今まで溌溂と困ったことばかりしていたエステルが、今はこうして少女らしい一面を見せて いる。裸を見られたことに恥じらっているのかもしれないが、こういう姿は意外で心臓がドク ンと大きく鳴ってしまった。まだ瞼には月夜の景色が鮮明に残っている。 それから、エステルは酷く申し訳なさそうにこう言った。 まぶた うなず

2. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

: これって、どういう状況なのかな ? 」 その声は、頭上から聞こえた。 ばんやり顔を上げると、そこに銀色の髪が揺れていた。 どうやら、物干しかなにかに足をかけているらしく、逆さまの少女が宙に浮いていた。 見覚えがある。顔には派手な化粧が塗られていて以前とは雰囲気が違うが、昨夜の少女 エステルだ。 エステルの腕の中に、もうひとり少女の姿があった。 ヒースが恐る恐る声を漏らすと、妹がハッとしたように顔を上げた。 : : : 逆さまでその表現 が適切なのかはわからないが。 女逆さまの少女は「よっ」と声を漏らすと、器用に宙返りをして地面へと着地した。 乙 銀 ヒースはフラフラと立ち上がると、エステルと妹に駆け寄った。 の 刻 「マナ ! 剣 「お兄ちゃん : けしよう

3. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

( まだ式典の最中です、ギャレット兄様 ) 声を落として返しつつも、、つつかり昔の呼び名を口にしてしまった。思わず顔を赤くするル チルに、青年は懐かしそうな笑みと共に小さく肩をすくめる。 ルチルと青年は従兄妹だ。子供のころはよく青年に遊んでもらっており、そのころは互いに 騎士でもなんでもなく、ただ無邪気に兄と呼んで笑い合っていたのだ。 舞台では、ト ク女の詩に続いて、ふたりの騎士が上がっている。互いに剣を抜き、切っ先を重 ね合って、礼を交わす。そうして互いに距離を置くと、剣で打ち合い始める。 みせもの 闘技場であるとはいえ、騎士が見世物で斬り合うことはあり得ない。儀礼の剣舞だ 舞台に目を向けつつ、青年はクックと笑った。 ( まあ、硬いことを一一一一口うな。それにそう思うなら、もう少し楽しそうな顔をしてやれ ) ( 私は生まれつきこのような顔ですゆえに ) ルチルがそう答えると、青年はまたおかしそうに肩を揺らす。 。また不機嫌なものだな ) ( 今も昔も、もっと愛らしい顔ができるだろうに : 女 ( : : : さして上手くもない詩をこのような場で歌わされたのです。良い気分はしません ) 乙 こわね 銀 ( そう邪険にしてくれるな。美しい声音であったぞ ? ) 刻 愉央そうにそう言うと、青年は今度は真摯な声で続けた。 剣 ( ルチル、お前は華だ。我ら十二人の中でもっとも若く、もっとも美しく、そして力もある。 しんし

4. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

「《円卓の剣刻》には、三つのルールがある」 乙 銀 なにをなすべきかではなく、みルールクの説明。少女を始め、その場に集まった騎士と賓客 の は困惑を顔に浮かべた。 いう称号ゆえに、優秀な成績を残す必要があり、招集でもない限りはそうそう王城には顔を出 さない。内部の事情にも明るくなかった。 ( 三か月ほど前か。王を元気づけるために招かれた新しい道化師だ。王も存外に気に入ったら しく、それまでの宮廷道化師を解任して雇い入れたんだよ。おかげでだいぶ表にも顔を出して くださるようになったんだがな、どこに行くにも連れて行きたがるんだ ) ( そ、つですか : ・・ : ) あいきよう 前任の宮廷道化師は小太りで愉快な中年だった。良い意味での不細工で、なんとも愛嬌が あったのだが : 「ーーー剣の賢者は、いっしか蘇るだろう魔神を滅するため、力を残した。余は賢者の末として えんたくけんこく いにしえの力を解き放っことにした この《円卓の剣刻》である」 残念な気持ちで肩を落としていると、王の口上が本題に入っていた。 ルチルと青年もそちらに注目した。

5. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

112 そう言うと、少女はヒースとマナの手を取り、駆けだした。 「うわ、え、どこに行くんだ ? 「お店の前。アンコールが、かかってるんだよねー そう言って少女が飛び出した先には たくさんの、観客が待っていた。 歓声に迎えられ、困惑するヒースをよそにエステルは一礼を返す。 おもむき 「それでは趣を変えまして、盗賊と道化の追いかけっこをご覧あれー そう言うと同時に、大男たちも追いついてきた。 男たちも、観客に迎えられてにわかに困惑を顔に浮かべる。 かれん しよもう 「これにおいでは盗賊とその一味。一味はこの可憐な少女と少年をご所望なり。少女だけでな く少年もご所望です ! 少年もご所望です ! 」 とても大切なことだというようにク少年という単語を三度も繰り返した。 ちょうしよう だんしよくか 観客が色めいた嘲笑を投げかけ、大男も自分が男色家呼ばわりされているのだと気づいた ふんぬ ゆが らしい。貭怒に顔を歪めた。 「キャー怖い顔 ! 果たして道化は逃げ切ることができるのかー

6. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

216 入したのだと。 説明を聞き終えると、ルチルは蒼白な顔で、震える声を絞り出した。 「 : : : もう一度、言ってくれる ? 死んだ騎士の名は、なんと ? 「ギャレット・ドウラス・ペナス : : : 俺の、兄弟子だよ」 そう答えると、ルチルはとうとう顔を覆ってへたり込んでしまった。 「 : : : 嘘よ。一体、どの段階で、死んでいたというの : : : ? 」 答えたものか迷ったが、すでに今一度説明した内容だ。ヒースは怖ず怖ずと声を上げた。 「今朝のことだよ。この学園の、医務室下 そう答えると、マナが服の袖を引っ張ってきた。 「お兄ちゃん、それ、ちょっとおかしいよ。だって、わたしたち、さっきまでペナスさまといっ しょにいたもの 「 : : : は ? いや、そんなはずはないだろう ? 「わたし、ペナスさまの顔を見間違えたりしないよ」 耳を疑っていると、ルチルが首を横に振った。 けんこく いえ、たぶん、本当のことよ。現に《剣刻》は彼の手にあるのだから」 それから、グッと感情を押し殺すようにこう言った。 「心当たりはあるの。ギャレットさんは、初めからそういった相手を追っていたのよ」 そうはく

7. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

けんこく エステルが目を向けたのは、禍々しい色に変色した《剣刻》だ。背中を向ければ、彼女の《剣 刻》も同じような色に染まっている。 耳を澄ませば、街からはまだ悲鳴や怒号、それに破壊の音が続いている。 ルチルたちは、まだ戦っているのだ。 「そうだった。大変なんだ。街で さいか ヒースは街に罪禍のようなクなにかクと、巨大な怪物が現れたことを話した。そしてその迎 撃に、今もルチルたち騎士団が戦っていることを。 それから、エステルの顔色をうかがうように問いかける。 「念のために訊くけど、君は関わってないんだよな ? 「あたしが ? なんで ? 」 「その、君も罪禍なんだろう ? 」 その質問に、エステルはにわかに法んだ顔を見せた。 あれ ? なんでこんな顔をするんだろう : ・ ヒースの知ってるエステルならば「あっははー、実はそうなんだ ! ーと笑い流しているとこ ろだ。それがこんな法えたような顔をされるとは思わず、面食らってしまった。 その表情から、自分がとても遠慮のないことを言ってしまったのだと自覚した。 「ごめん。ちょっと無神経だった」 おび ひる

8. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

ヒースは少し奇妙に感じた。 「なんていうか、さっき竜に接近されたわりには、みんな落ち着いてるんだな」 「そういえばそうだね。もっと派手なことをしないと驚いてもらえないのかな ? 」 「やめよう。ね ? そういうことを考えるのは、今はやめとこうね ? ここに整列する生徒たちは、木剣とはいえ全員武器を持っているのだ。侵入者だとばれれば、 彼ら全員に追われることになる。生きて帰れる気がしない。 「えー、駄目なの ? 」 なにかすつごく厄介なことをやってみたいのになーという顔をするエステルに、ヒースはこ の世の終わりのような顔をして首を横に振った。 「あっははー、面白い顔ー 「笑ってもいいからおとなしくしててー エステルは「ちえ」などと言いながらも、上機嫌に足を進めていく。途中、訓練中の生徒や けげん 教師から怪訝そうな目は向けられたが、呼び止められはしなかった。 しゅうれんじよう 修練場を抜けると、今度は巨大な書架に出た。 いや、書架と呼ぶのは少し違うかもしれない。本棚こそ並んでいるものの、それ以外の ものもたくさん並んでいる。装飾品や防具もたくさんある。 陳列する品々を眺めて、エステルは「ああ , と声を漏らした。

9. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

なにが起こったのか。それを理解する前に、フワリと体が持ち上げられた。横抱きに抱え上 げられたのだと、少し遅れて気づく。 顔を上げると、そこにはルチルをひとりの少女として扱ってくれたー・ーしかし、今まで見た こともないほど鋭い眼光をした少年の顔があった。 「ーー・遅くなってごめん、ルチル」 しようげき その声と姿に、衝撃的なほどの既視感を覚えた。 あのときと、同じ・ : ・ : ? 少年の横顔が、一年前に勇気をくれた兵士の姿が重なって見えた。 ルチルとギャレットーーークラウンと呼ぶべきかーーの間に割って入ったのは、ヒースだった。 その目の前に《シュタインボック》が突き立てられている。 「ギャレット兄ちゃん : むくろ 苦虫をかみつぶしたような顔で、ヒースはその名で呼ばれていた騎士の骸を見つめた。 クラウンが死体を操るという話は聞いていた。それが実際に動く姿も、ヒースは見ている。 それでも、親しいヒトがこんな姿で操られている光景に、腸が煮えくり返る思いがした。 「ヒース : : : 」 腕の中から震える声が聞こえ、ヒースはできるだけそちらを直視しないよう気を付けながら

10. 剣刻の銀乙女 1 (一迅社文庫)

110 こどう ギュッと抱き締めると、確かな鼓動を感じた。 , ーー生きてる : ・ それだけで、涙が出そうだった。 ようやくホッとしたらしく、マナがエステルに振り返った。 「あの、エステルさん、どうしてここに ? 」 「いや、借りたナイフ返そうと思ったら、君がこっちに走っていくのか見えたから : あれ ? 言いなから、ようやくヒースの顔を思い出したのだろう。エステルが目を丸くした。それか ら、険しく眉をひそめた。 「それって : ひとまず、エステルとマナがどういう知り合いなのかは気になったが、彼女が妹を救ってく れたという一点だけは理解できた。 ヒースは困り果てた顔をしている少女に頭を下げた。 「君が助けてくれたのか ? なんというか、本当に 「それより、後ろ後ろ」 エステルに言われて振り返ると : : : そこでは、大男が折れた剣を振り上げていた。 「うわあっ