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検索対象: 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)
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1. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

りつかれたようになっていたので、クリミオが仕方なく代わりに応対する。 メモを差し出された。今し方再び光通信があったようだ。 みな 「皆さん、盛り上がっている最中になんなのですが、その夢、叶いそうにありませんよ。 : 一座は街に入れず、東一〇キロのポイントにて夜営中。残りの食料から、翌々日の昼 まで待機しても封鎖が解けぬ場合はオードビー国へ引き返し、遠回りになるも別ルートを 通ってロテ国へ向かう : : : とのこと」 なつ ヾ、ヾ力な 無理だ、二日で解決はできんリ では何か、 我々は街の誇りも信用も何もかもを投げ捨てたあげく、一座を見ることもできないという のか : このままでは全てを失うぞリ な、何とかせねばリ はだか 女の裸と誇りと信用しかないのか、この街は。 」いよ、 なが どクリミオは退廃的なものを見る目で議員達を眺めた。 の 市 都 雄 英 ふうさ かな

2. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

しかく ていこく になる以上、バクター家支配下の帝国は必ずこの街に刺客を放ってくることだろう。 そうでなくとも、国を取り返さんとする母の臣下達がエンガディナ・ヌストルテを担ぐ ために現れるのは間違いなかった。 そんなゴタゴタにまた街を、そしてモルトを巻き込みたくはなかった。 だって、大好きだから。大切だから。だから 国取りが成功しても失敗しても、自分はここでは暮らしてはいけないのだ。 失敗すれば刺客が来る、成功すれば女帝として責務を負う。 だから、無理。 だから : : : 今夜だけ。 そんなディナのしたいこと。 ど女の子の精一杯の我が儘だった。 肩を抱くモルトの手に少しだけ、カが入る。 すべ 都見つめ合えば、彼は全てを察してくれているのだとわかった。 英「いつだって帰ってくればいい。俺は、そしてこの街は : : : 必ず君を受け入れる」 優しい言葉。 帰れる場所がある。 やさ せいいつばい

3. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

「とうつーーじゃないリ」 ほと、はし 飛び上がったモルトのケツに強烈な衝撃が迸る。 エネルギー その衝撃はモルトの体を吹っ飛ばすに十分だった。 まどわく モルトの体は乱れたべッドを通り越し、空中で回転しつつ窓枠へ。 ふんさい ケツでガラスを粉砕し、そして : : : モルトは地上七メートルにて全身に朝日を浴びた。 「フツ、今日も快晴だぜ」 雲一つない、見事な晴れ。リキュールにはあまりない三階建ての窓から飛び出したとな へきく - つじゃま れば、見上げる碧空を邪魔するものは何もなかった。 あお ひとじ 視界いつばいの碧。この大きな空を独り占め。 ああ、俺は今、空を抱いている。 ど全身に太陽を浴び、風を感じ、空を抱いている。 世界を丸ごと自分の物にしたかのよう。 の 都そんな詩的な感想を胸に抱き : : : モルトは浮遊感に包まれ、落ちていった。 英全裸で。

4. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

たことにしよう、と約束し合う時の笑顔ではないのか ? とすると : : : やはり : 「どうしたモルト、まだ痛むのか ? まだ痛む ? とい、つことは、痛いことをしたとい、つことか ? つまりそれは・ おのれ モルトは恐る恐る己のケツに手をやった。 よりにもよって自分が受け入れたのか : いや、きっと鼻血のことだ。きっと顔面に一撃 確かに痛くはない、痛くはないが : 放ったからそれをサシャは気にしたに違いない。 : 違いない : : はず : : : である。 ながえとう モルトは震える指先で長柄刀を引き寄せると、それを支えにして立ち上がった。 「 : : : ちょっ、ちょっと外の風を浴びてくる」 どモルトはアパートを飛び出し、街へと逃げ出した。 い、いや、そんなわけが : そうだ。そんなわけあるか ! 本当に 「この俺が : 都何もなかったんだ、そうに違いない ! だから気にするのはやめ : : : あっ、すまん」 かた 雄 英人と肩がぶつかった。気が付くとアルコ・ホールに入っていたようだ。 「 : : : 何だか今朝はやけに人が多いな」 朝方、アルコ・ホールに人が多いのは日常的な光景ではあったが、それは旅支度のため ふる じたく

5. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

あるリツツはパジャマワンピースを揺らしつつ綺麗に床へ着地する。 よるおそ 「夜遅くまで帰って来ないと思ったら : : : 何女連れ込んでるわけ誰仕事は家 賃は正気」 ・ : これは仕事で、その、護衛をだな : : : 」 「ち、違う、リツツ、違、つんだ : 「だったら余計にアンタが手を出してどうすんのリふつざけんなあリ」 ひんし 瀕死のモルトにリツツはさらに蹴りを放つが、その彼女をディナがおろおろとしつつも 止めようとする。 「だから、誰なのアンタはそもそもこんな野良大みたいなのに手を出されたんだった らすぐに悲鳴の一つもあげなきやダメでしょ」 「ああ、そ、その、ご、ごめんなさい、作法がわからなくて : = ・初めてで = ・・・・」 なおさら ど「初めてって : : : だっ、だったら尚更声上げないとダメでしょ」 「ご、ごめんなさい、世間では声を上げるものなのですね。あ、あの、失礼を承知で尋ね の 都るのですが、参考にどんな声がいいのか聞かせて欲しいのです」 雄 とか、助け・てえ ! とか : 英「ど、どんなって : : : そりや、嫌あ ! とか、ダメえ ! 「な、なるほど ! それが初夜の礼儀作法なのですね ! 」 「マナーじゃないから " " 」 のら ゆか だれ

6. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

「ご、ごめんなさいなのです ! あまりお酒に慣れておらず、ついうつらうつらして : : 。モルト殿の寝室とい、つことは、その : : : つまり : : : そ、 お、お恥ずかしいところを : そういうことなのです : : : よね ? ごめんなさいです、心得ているつもりでしたのに : ・ : ただ、経験が : : : ごめんなさい、まだ先の だ、廴たなのです。勤めは果たせるかと : ことと田じ : 。モルト殿にお任せしてしまうことに 、い、ほとんど学んでいなかったのです : なるかと思うのですが : : : それでも構わないと仰っていただけるのなら : : : 」 「あ、あのな、ディナ。別に無理してすることじゃないし : : : 何より、俺が欲しいのはあ の指輪なわけで、だから : ぼうじ 「は、はい。存じているのです。ですから、その : : : 事前に房事が行われるのは世間一般 ちが では普通のことだと、物の本にあったような : : : ち、違うのです ? 」 ーも ど いいか悪いかで言えばもちろんいいのだが、モルトにはこの流れが理解できなかった。 カ 「あ、あの、脱いだ方が : : : よ、よろしいのです : : : よね : 都上ずった声を口にしながらディナはモルトに背を向け、胸元の革紐を解こうとしていた 雄 英が、震えてうまく解けないようだ。 モルトは革コートを脱ぎ捨て、ネクタイを緩めつつ、べッドへ近づいた。 ディナの背を抱き締めるように、彼女の腕にモルトは己の腕を沿わせる。 ふる しんしつ おっしゃ ほど

7. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

眩しさに、モルトは床の上から目を細める。 じんそくたんたん クラツツはいつものことながら迅速に淡々と仕事をこなしていくのは慣れを感じさせ、 むだ すばや 身のこなしに無駄はなく、美しい。けれど、ディナはその逆。素早く応じようとしても体 がついていかない。でもそれを笑顔と元気で補おうとするので動きが大きくなって余計に あわ 無駄が多くなり、気持ちが先走りすぎて慌てる場面も多々ある : : : けれど、その顔、いや、 その全身から楽しさが溢れ出ていて、見ているだけで誰もが笑顔になっていた。 こうしていると彼女が今命を狙われていることも、一国の王女であることも忘れてしま おだ いそうである。ただただ楽しく : : : 興奮というには穏やかで、忙しいとしてしまうには華 やかな、そんな景だ 0 た。 「 : : : しつかしリツツはどこに行ったんだ」 ど「ここにいるけど : 声は、床に寝ているモルトの腹の上から聞こえた。 の うなだ 都見やれば、グッタリとしたリツツが項垂れて座っている。 雄 英「元々体力ないんだから、無理すんなよ。また寝込んじゃうぞ」 : エンガディナ様、なんであんなに働きたがるんだろ : ふだん 「普段できないことだから、楽しいんだろ」 まぶ あふ えがお いそが はな

8. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

確かに部屋が少し変わっているのはわかっていた。 ただ、気になるのは、ディナはモルトが朝方掃除したとは思わなかったのだろうか そんな疑問をぶつけてみると、彼女は耳元に手を当てた。 「その、言いにくいのですが : : : ちょっとだけ、痛かったので」 「えまだ何もしてないぞ」 あご ぶしようひげ ディナの指先が次に向かったのはモルト。頬と顎だ。ジョリっと無精髭が音を立てた。 ひげ 「お髭なのです。お髭を剃らないのにお部屋だけ掃除するのは、少しおかしいかと」 言われてみるとその通りだ。さすがにぐうの音も出なかった。 「きっと褒めたり、喜んだりして欲しかったのです。ありがとうって。それなのにモルト 殿はわたしと : もしかしてこれまでも似たような事があったのではないのですか ? ちが のぞ ど「そりや何でも屋は取っ払いだから、仕事が終われば金があるに違いないって部屋を覗き ノに来たり、部屋にいたりは : 都その時、部屋が掃除されていたりしたかどうか : : : 正直、モルトの記憶にはない。 雄 せんたく 英ただ、ろくに洗濯も掃除もしないモルトでありながら部屋に不快感を持ったことはない。 自分の部屋というのはそういうものだと思っていたのだが : 8 「だから : : : モルト殿、お願い : : いって : : : 欲しいのです , きおく

9. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

その声に跳ね起きたアセトは、暗い幕舎の中で胸を掻きむしるようにして、床の上を転 がっている従者を見つけた。 まさか、愚かにも毒を盛ってきたか。酒ではなくケーキの方が本命だったのか 「丈たか ! おい、気を確かに持てリクソ、あのケーキに何か入 0 ていたのだな。誰 かこの者を : : : お ? 」 だ うるひとみ 抱き起こした時、従者の潤む瞳がアセトを見つめているのに気が付いた。 「そ、そうか、ようやく、わかった。この胸の苦しみは間違いない きれい 大隊長、本当はこんなに綺麗だったんですね。知らなかったな」 「 : : : は ? お、おい、よせ、何だ、貴様、な、何を : ・・・・何をする」 いっしょ 「今までずっと一緒だったんです。 : : : もっと一緒になっても : : いいじゃないですか」 ど「よ、よせ、あっ、お、お前 : ・・ : お前そういう趣味で : ・・ : あつああ、ああ しよ、つげ・き の 今までに感じたことのない衝撃と恐布に、アセトは腹の底から叫びを上げた。 そうらん 都周囲の幕舎でもくぐもったわめき声や騒乱の気配もあったが、今のアセトにはそれらを みじん 英気にしている余裕など、微塵もなかった。 よゅう しゆみ : これはク恋 - だ。

10. 英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (富士見ファンタジア文庫)

ど カ の 市 都 雄 英頭がもげるのではないかという程見事なドロップキックを女性陣より喰らったマドラー 1 から、頭痛がするような解放作戦案を聞かされて、すでに一刻ほどが経過していた。 もど 一度サシャの部屋に戻り、ディナに手を出されていないのを確認すると、しばらく家を 「探し物をしております、お兄タンの : : : 。何年か前、この街にあったという噂を : 「 : : : ほう、その若さで、アレを追ってきたか。なかなかだな」 かなた やつばりあった。はるか彼方の武器オタク達にまで届いていた噂は、本当だったのだ。 みよう 「妙なお嬢ちゃん、時間はあるかい ? : 話せば長い。というか俺の話は長い」 ーし、いくらでも、もう仕事なんて : : : 構わない、 もうどうでもいい、このために世界 わた 中を渡って来たんだから : : : 」 おそ 恐らくこの話が終わるまでの間に、誰かしらが動き出すに違いない じようきよう 決着がつくまではいかなくとも、状況は大きく変わることだろう。 だが、それでもいい。どうでもいい。ここでの話が期待したものであるのなら。 彼が、生きていると確信できるのなら。そして、もし、居場所がわかるのなら じよう うわさ