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検索対象: 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)
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1. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

付けるように一度アルコ・ホールをグルリと見回すと、馬車のステップへと足を掛けた。 「モルト、しばしの別れだ。達者で」 「そっちこそ。どこぞの街で女に間違われて襲われるなよ」 しゅんかんとつぶう 悪い冗談だ、とサシャが苦笑するのだが、その瞬間に突風が辺りを襲った。 片足を馬車に掛けていたサシャは瞼を閉じるも、バランスを崩してしまう。彼は慌てて あや てんとう 持ち直そうとするが、腰に佩いた刀が車体に触れ、危うく転倒しかけるのだが・ 「 : : : 結局、お客を不安にさせてるんじゃねえかー かんしよく 人を小馬鹿にするような太い声。背中に太い腕の感触。瞼を開けば : : : モルト。 思わず、ハッとした。 なぜ 何故ハッとしたのか、わからないまま、サシャは彼の腕の中でその瞳を見上げ続けた。 「大丈知ですか、サシャさん ? 心配げな老婦人の声で、仕事を思い出し、サシャはモルトの腕から逃げるようにして馬 車に飛び乗った。 おそ ひとみ あわ

2. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

きようがく アカがプレンデッドとの押し合いをやめ、驚愕しながら後ろに下がる。 ふあふあから : ヾ、バカな」 かたまり 「おかしなことはない。この地で作られる長柄刀はただの鉄の塊ではない。お前達のナイ わざもの フがグリコウ国でしか造れないように、 : それに ここでしか造れない特級の業物だ。 我々の腕が加われば、斬れぬものなどない 「その通りよリ」 ブレンデッド コーンが相棒の言葉にドャ顔を見せつつ構えるが : : : 今のは腕というより、もはや単な するどすば る力業だ。確かに長柄刀は鋭い素晴らしい品ではある。だが、それで斬れるなら、刃部分 は同じ素材でできている木製柄の長柄刀でも同じことができたはずだ。 ライの攻撃では二人を斬ることができなかった。つまり : : : コーンは木製柄では為い得 ない程のクカツでもって、ロゼの装甲を腕ごと叩っ斬ったのだ。 たぐい 物は、硬ければ硬いほど、割れやすい。もしかすると石鎧もその類なのかもしれない。 だから刃の鋭さで斬ろうとしてもまず斬れない、しかし、長柄刀で放っとてつもない衝撃 ざんげき を伴う斬撃であれば : : : 切断できるのかもしれない。 いくど きおく 石鎧と幾度も相まみえた記憶を持っモルトはようやくその可能性に気付いたが、コーン とプレンデッドがそれを事前に察知していたとは思えなかった。 かた

3. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

252 ライは少年のような顔で、やってやるさ、と笑った。 あや 「おやまあ、何やら怪しいご様子だねえ、お二人さん。 : おいしよっと ! 」 うで そんな声と共に何かに飛びつかれ、モルトの頭に腕が巻き付けられる。 ヘッドロックだ。腕は細く、そして体重もリツツ程度しかない。その重量と共にモルト かんしよく が頭に感じる小ぶりながら張りのある感触は : : : そう、おつばいである。 モルトの頭から腕を解いて、ライとの間に下り立ったのは、見るも鮮やかな赤毛を揺ら ひとみ し、燃えるような瞳をした小柄な女性。ガーナである。 みりよく 身長はリツッと同じ程度だが、 体のラインは大人の女性、それも頭に『魅力的な』と付 はたち けたくなるほどのもの。モルト達とは違う種族らしく、彼女のように二十歳そこそこでも 身長はモルトの胸ぐらいまでしかいかないのだ。 赤が印象的な彼女だったが、今日はいつにも増して赤い。 顔が赤らみ、手には赤ワインのポトルがあるのだ。 「モルト、アタシに会えたことを喜びな。今日は赤、白、ロゼに発泡のまで、ワインが全 部飲み放題だ。そうだよな」 ふ ガーナが振り返ると、そこには酒屋の店主が木箱を手にして額に汗を流していた。 ほか 「飲み放題じゃないよ ! 詰め合わせセットが今持ってるコレの他は四ダースの、合計五 こがら はっぽう あせ

4. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

226 しようげき ひび 石鎧、そして長柄刀同士を打ち付けた衝撃は、モルトの腕はおろか全身に至るまで響い ていた。木製柄ならばその素材の柔らかさが衝撃を吸収してくれただろうが、鋼鉄製の柄 では、打ち付けた衝撃がそのまま手に伝わってくるのだ。 骨が、自ら放った一撃の衝撃に震えている。折れてこそいないが、腕の数カ所にヒビが おそ 入ったのをモルトは感じた。恐らくライも一緒だろう。 だか、二人は口元に浮かべた笑みを消しはしなかった。躊躇いなど、どこにもなかった。 けっさく 「ありえん ! 我がグリコウ国の傑作歩兵装備を、この装甲を : : : 斬ったというのか±: 」 巨人が完全に転倒し、地を激しく揺らす たお ライとモルトが今一度咆哮を上げ、地を蹴る。倒れる巨人の上へ飛ぶ。 腕など、折れるなら折れてしまえばいい。 痛みなどとうに忘れた。 となり 感じるのは隣にいる相棒と、握り締めた重く長い長柄刀 : : : そして、己の内に湧き起こ あっとうてき るク俺達に斬れぬものなどないクという圧倒的な自信。 ただ、それだけだった。 そして、それで十分だった。 「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおリ」」 モルトが先んじる。巨人の胸に一撃。その後ろへ追っかけのライの一撃。 やわ ふる いっしょ おのれ

5. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

194 ぐれん ライの足が地を蹴る。長柄刀の刃はその身を紅蓮に染めながら、川の流れを遡る魚のよ うに、赤い光を散らしながらアカの手元へと奔った。 ふあふあはら ハ力な」 よこなぐ ライは横殴りの一撃で、アカの手にした魔導球を彼の腕共々斬り飛ばす。 「その手を放すんじゃねえぞ、モルトリ こっちは任せろリ」 予定通り、打ち合わせ通り : : : 約束通りに、ライが来た。来てくれた。ほほ垂直の崖の ためら 上、十数メートル。一艇人なら飛び来るだけで命を落とす、そんな場所から彼は何ら躊躇 おそ いなく。恐らくあの話も聞こえていたはずなのに、それでも、ライは モルトは感謝と申し訳なさを噛み締めつつ、つかんだリツツの手を引き寄せ、突き刺し たよ た長柄刀を頼りに己の体もまた見晴らし台の上へ戻す。 ちからいつばいだ 二人で地面を転がる。リツツはモルトの首に腕を回し、カ一杯に抱きついた。 ・ : ギュッと、震える腕で。 「もう、た丈ただ : ごめんな、リツツ」 ふさ リツツが首を振る。三房あった三つ編みが、今は左サイドの一本だけ。それが揺れた。 カキンツと、金属の音がする。 モルトは立ち上がり、リツツを下ろして、長柄刀を構えた。その視線の先にいたのは、 おのれ ふる いつまん か うで き 0 さかのぼ

6. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

そんなことを考えていると、ふと、どこかから聞き慣れた声が聞こえてきた。 「クソ盗つ人、返せえリ待てこらあああああああああああああああああああああリ」 その声に、そして盗つ人という一一一一口葉に、モルトとライは互いの顔を見やった。 まさか。そう互いに声を出そうとした時、二人の間を小男かクスルリッと抜けていこ、つ とした。 の ライは素早く後ろに飛び退くものの、モルトは立ったまま、空いていた腕を動かす。モ ルトの懐から引き抜かれようとしていた小男の手首をガッチリとっかむ。 「おっと」 鼠のような顔をした小男が驚きの声を上げつつも、モルトから飛び退いた。やられたの さと はばびろうでわ をモルトはった。モルトの手にあったのは、幅広の腕輪である。万が一手首をつかまれ ても逃げられるようにするアイテムだ。小男の手首はモルトから羂れ、そして今日の稼ぎ が丸ごと収まっている財布もまたーーやられた。 ・つでさば わざ 「にいさん、随分いい目と腕捌きだ。アッシの技を押さえるとはタダもんじゃないねー 「昔取った杵柄ってやっさ : : : クソが ! 」 「貴様、シュウズウジオか」 うなず ライの声に、ト男は満面の笑みで頷いた。 ) 0 きねづか おどろ な かせ

7. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

じごく なみだめ りにやって来た酔っ払いの自警団員達にもみくちゃにされた時は地獄だった。涙目でオリ ービーにライ共々抱き締められたのは天国だったが : : : やはり現状の体で抱き締められる と涙が出る程に痛かった。そして、リツツの両親からは涙ながらに感謝され、リツツにい つものようにタックルされてから抱き締められ : へんかん とにかく、ありがたいことの大半が全て痛みに変換されるという天国なんだか地獄なん だかよくわからない時間が : : : 今はもう、遠い かんじゃ ライ、そして病室の他の患者達もいびきを立てて眠っているのを気配と耳で感じると、 モルトはそっと上半身を起こそうとする。 だが、重くてなかなかうまくいかない。仕方なくモルトは横になったままで、自分の首 うで に絡みつく細い腕をそっと解くことにした。 リツツだった。他の人がいる間は全然お話できなかったから、と涙目になりながら一人 泊まっていくと喚いたのだ。結局、両親はモルト達と一緒なら丈ただとして許可したの だが : : : その騒ぎのせいでリツツ本人が疲れて早々に寝てしまったのが、子供ならではの 切なさだった。 きづか そっとそっと : : 。モルトは起こさぬよう、最大限の気遣いをしつつリツツの腕を解い て彼女を横へと転がして、寝かせる。 から つか ねむ

8. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

ぐわあああリ」 「マジかコイツ シュウズウジオが硬貨を喰らって、転倒。そこにピーちゃんが飛びかかった。 ひざだ すばや シュウズウジオには体術の心得があるのか、膝立ちで素早く立っと共に迫り来たピーち うで ゃんの回し蹴りを腕で受けるのだが : : ピーちゃんが全身にまとったぬるりとした脂のせ わきばら いで、蹴りはクぬるりんちょっクという具合に受けた腕を滑り、シュウズウジオの脇腹に きようれつ 強烈な一撃が 「何とぐほあリ」 入る。小柄な男が地面の上を走るようにしてぶっ飛び、通りに面していた家の壁に たた ふんじんうめ 激しく叩き付けられ、粉塵と呻きが上がった。 「どうだ、これがこのリキュールが誇る変態 : : : ピーちゃんだリ」 ーも ど「フギュッリ」 おおまた モルトの声に合わせ、ピーちゃんが大股を開きつつもかわいらしく腰に手を当て、誇ら の 都しげに決めポーズを取った。 しようかんじゅう 英「モルト : : : お前、オレの知らない間に、なかなかの召喚獣を手に入れてたんだな」 きようがく けいべっ ライが驚愕の目で見てきたが、そこに軽蔑のそれが混じっていなかったのは、モルトに とって救いだった。 こがら 0

9. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

210 の を を を れ が 鎧装言 す 形 だ だ相つま な コ ロ 戦 る 成 か棒 が 甲号 がと り ゼ法 カゞ い る 砕 の大も ら と を に そ し 冫 / 存 ん 続 と。 振ぶに け が と ア変 て ヒ な激 そ在 始 ビ け り 戦 、長 を っ ら カ る 考 く 、だ ん す柄極望 し ら に 入 と く そ も ぐ刀端え失 て ん っ な ば れ の い り を 動 る 数 れ ど た にんつ は て に の て る 、考 相 も き 。た 撃 ま 峰発嫌こた は か か 回 当 冫肖 し ム で っ腕宅ら そ ぇ ロ め で た に 耗 、ケ 新 し ゼ 地 たの て れ 力、 コ 限 が と 複 い ば魔 し面 。先面 リ っ て 界動 た動力 激 ン 数 を い と 遠えを 倒 ア た く 時 き の距石臭 を の ノ、 つ 鞭 し カ 達度 、回 Ⅱ食くし、 も カ 間離りの 傍を け を し、 の らわ相 ら 生 し の 理 . に か鞭相 しこ コ る っ つ 粉 は解 に 手 や 挟らに手 差 ほ は れ っ 塵 ン どず み削し し は は る し に に あ だ 彼 自 て り が は そ て 歴 プす た な 舞 気 る い 然 の ら る 信 そ し レ っ付消 る と ン 際 は ま そ る 人 の の ク ) て れ方 だ い 耗 に あ っ 動 し よ て デ の し、 た も だ 故 の き い に っ 男 た ッ は て る ま 加 ド隙ー だ を る い に は ろ に 。敵 がが長 。止 た る し ん つ の 大 で柄 ト め て い て コ き 腕 て仕し 片 あ る き のしケ 刀 カ 害Ⅱ い と れ消リ み 挂トか 、や は ゲ ン ほ 耗粤が恐す は 血 せ け と れ そ の 尻て 、ず を ど 単 の つ て い 。大尾ぼも 肘 。失 る ま け く に レ ま で な ら も そ き の る い ン よ 彼 ば っ れ の さ で しこ の 自 強 は 隙 は る か っ ら 力、 て ツ 腕 分 の何 を は り 固 ら だ ド い も 埋う技 ら な に っ即を。 が る の た座ざ あ の 石 つ な めの の る 相 のよだ しナ い る 男 手鎧費。 のっ 更 ら

10. 英雄都市のバカども3 ~アルコ・ホール三番街の何でも屋~ (富士見ファンタジア文庫)

だが、彼らはやってのけた。 ほこ 運が良かったから ? 違う。彼らには自信があったのだ。街の誇りである長柄刀を担ぎ ・まばろし おのれ 続けた時間と、そして己の内に流れる、幻などという曖昧なものではなく、全てが現実の えいけっ うた それとして世界にその名を轟かせし、最強と謳われた一〇〇〇年前の英傑達の子孫である みじん 自負 : : : だからこそ、彼らは斬れないとは微塵も思わなかったのだ。 きようじん じんじよ・つ あっとうてき 圧倒的な力、長柄刀の尋常ならざる強靭さ : : : そして何より、彼らのその自信こそが、 石鎧を叩っ斬ったのだ。 ロゼが身を転がしながら、コーン達と距離を取る。衝撃で気を失わない辺り、それなり の腕はあるようだ。失った腕の代わりに背骨のような、至るところに刃のあるゴッゴッと けん むち 3 した鞭状の武器を生み出したロゼと、彼と同じ得物に剣を変化させたアカが覇気を放ち、 ながえと・つ にぎ どコーンとプレンデッドを抉むように構える。長柄刀を握る二人もまた背を合わせ、構えた。 「ライちゃん、モルト、早く行きなさい。ここからは子供に見せるものじゃなくなるわ 。しと、そして身分をっていたことを謝りたくて息を吸 都コーンはニャリと笑って言、つネ 英う。だが、声を出す前に、先に応じられた。 「後者は同意だが、前者はできんな」 もど その声、シロ。意識を取り戻したのか。そう思い、見晴らし台の隅に吹っ飛ばしたはず すみふ