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「デンデンムシは、確かに食える。しかし大音楽家の金支那人が、店を張り、とぐろをまいて、この街の名物に 時屁久磨氏のように、それが美味であると誇称する人物なっていた。が、日系人の方は、戦時中、収容所に入れ られ、戦後は、ほとんどハダカ一貫で出発した人びとば は、男であれ、女であれ、キキきっと、ハハ鼻が、・ハハ かりである。帰ってみれば、かっての住居には、黒人が ・ハッカニチガイナイーと。 住んでいたりした。 このため、復興は、なかなか容易ではなかった。けれ サンフランシスコの年平均気温は、一三・八度であ ども若い日本の女性たちが、軍人花嫁として、どんどん る。夏は涼しく、冬は、比較的温暖だ。 しかし十二月も半ばをすぎると、さすがに冷気が身に移入してきたり、留学生もふえたりして、日本街には、 しみた。坂の多い町には、名物のケーブルカーが、ガタあらゆる品物が、そろうようになったのだ。 ンゴトゴトと、音を上げて走り、年の瀬のせまった歩道実際、ちょっとした店をのそくと、しらたき、こんに やく、とうふ、うめ・ほし、つけもの、まんじゅう、もち には、あわただしげに、人びとが、行き交いした。 そんな、ある日、私は、久しぶりで、日本街へ買い出菓子など、日本人の食い物が、ところ狭しと並んでい しに出かけた。私のふだんの食物は、近くのグローサリ ーで買「てくる = ンソメや、オリーブや、ミルクや ( ム新鮮な魚介類も、豊富であった。 なかでも、私を喜ばせたのは、アラスカやカナダの沿 やソーセージや卵や、コール・スロウというキャベツの サラダ、それに豆や肉のカンヅメ類などが、主たるもの海でとれる「モチ 0 イフである。これは、 = イフの表面 ニシンの卵が、びっしりと付着したものだ。 カズノコとコンブのサンドウィッチみたいなもの、と が、ときどきは、日本街へ行って、親子丼を食ったり もいえよう。これの大きなやつを買ってきて、一時間ほ した。日米タイムスの社長氏は、 「ここにいれば、日本にいるのと、ちっとも変らんですど塩ぬきし、小さくきざんで、ちょっとショウュをたら す。 よ」 そして、カリフォルニヤ産のレモンを垂らして食べる といっていたが、じっさい、そこには、なんでもあっ た。サンフランシスコのチャイナタウンにくらべれば、味が、なんともいえないのである。手ばかりこんだエス 日本街は、とり壊し中のせいもあって、いかにも貧寒たカルゴー料理などよりも、この素朴で、原始的な食いも ののほうが、どれだけ私の舌を満足させてくれたか、知 8 るものだ。 なにしろチャイナタウンには、四万五〇〇〇人からのれないのた。 こ 0
「うん、それが窓を五つ通り越して、つぎの階へ行くまで見てたんったのを利用したものだが、それでも熱と空気を内部に閉じこめる ことができるし、しばらくなら空気の循環もきくから、水や石炭や 3 だよ」 「で、それが、さまよう電気でもうごめく液体でも、成長する結晶食料なんかを取りにいくくらいの時間はじゅうぶん保つ。 ママがまた愚痴をならべはじめた。「わたしはいつだってなにか に星の光が集中したのでもない、あるいはなにかそれに似たもので が外にいることを知ってたわ。わたしたちを待ちかまえているの もないのは確かなんだな ? 」 なにかこの寒さ 。 ( 。 ( は、ただ口から出まかせにこんな考えを並べたてていたわけよ。もう何年も前からわたしはそれを感じてた ではない。 これ以上寒くなりつこないという世界では、奇妙な現象の一部をなすもので、すべての暖かさを憎み、〈巣〉を打ちこわし がいろいろ起こる。物質はみんな凍って死んでしまうと思うかもしたがっているもの。それはいままでずっとわたしたちを見張 0 てい れないが、それがそうじゃない、ふしぎな新しい生命を身に着けるて、いまとうとうここまで追いかけてきたんだわ。それはあなたを ようになるのだ。たとえば、変てこなぬるぬるしたものが、熱の出つかまえ、つぎにわたしをつかまえにやってくる。おお、行かない どこをふんふん嗅ぎまわっているけもののように、そっと〈巣〉にで、 ( 。、パはヘルメットのほかはぜんぶ身に着けていた。その姿でパパ 忍びよってくるーーこれの正体は液体へリウムだ。それからまたい パでさえ、 は暖炉のそばに膝をつくと、手をのばして、煙突のなかに立ってい つだったか、・ほくがまだ小さいころ、激しい稲妻 それがどこからきたものか見当がっかなかったー・ーが近くの尖塔にる長い金属棒をゆさぶった。これは、油断しているとすぐ煙突の内 落ち、何週間か経ってやっと消え去るまで、そこを上がったりおり側にくつつく氷を叩き落すためで、一週間に一度、。 ( パが屋上にの ・ほって、棒が支障なく働いているかどうか確かめる。これは・ほくら たりしていたこともある。 : 。、。、よぜったいに・ほくをひ 「いままで見たことのあるどんなものとも違っていたよ」・ほくは答の旅のなかでもいちばん困難なものて , , ー とりでは行かせない。 えた。 ちょっとのあいだ、。 ( パは眉をひそめてそこに立っていたが、や「シス」とパパは静かに言った。「ここへきて火の番をおし。空気 がて、「これからもう一度そこに行ってみよう。とうさんも見てみにも気をつけるんだよ。もしすくなくなって、沸きたちかたが遅く なるようだったら、すぐ毛布の向うからべつの・ハケツを持ってくる たい」と言った。 取り残されると知 0 て、ママは金切り声をあげ、シスもつられてんだ。だが手に注意しなくちゃいけないそ。・ ( ケツを持っときに は、忘れすにぼろ切れを使うんだ」 泣きだしたが、パ。、がなだめて黙らせた。それからぼくらは外出着 シスはママといっしょになって騒ぎたてるのをやめると、こっち ・ほくのは火のそばで暖まっていた。 に身体を押しこみはじめた へきて言われた通りにした 9 ママはおかしなくらい唐突に喚くのを この服はパパのお手製だ。頭には、三面から成るプラスチックのヘ トがついていて、これはむかし大きな透明の食料保存容器だやめ、それでも眼をちょっぴり狂ったみたいに見はって、パ。 ( が〈
彼女はペリ ーの犯した最大の誤りに気がついていなかった。それたら敵の注意をそらせて二人が脱走する間引きつけておくことがで は。〈リーとて同様だった。彼は気嚢に引き裂きナワをつけておかなきるだろうか。と、彼は思い出した。噴火口の入り口の暖い洞穴に かったのだ。それさえあれば、徐々にガスを排出してサリの割り合立っていた時、風が吹き抜けて行ったことを。彼は踵を返して山腹 い近くに着陸することができたものを。ペリーはすべて彼が作ったを下りはじめた。 ものから何かしら重要なものを抜かすくせがある。最初のマスケッ ト銃には引き金がなかった。 老人はしゃべり続けだった。オー・アアすら横合いからロ出しす 美女ダイアンは、これでもう自分は死んだも同然だと察した。彼ることができなか 0 た。だがついにちょ 0 との間しゃべるのを止め 女は泣いた。が、それは死を恐れたためではなく、二度と再びデヴた。たぶん過去に関する記憶を新たにするためだろう。彼は過去に ィッドに会えないがためだった。 生きているのだ。 ホドンはこの瞬間を掴んで、先刻から抱いていた考えをほのめか はるか彼方のデヴィッドは、噴火口の縁にのぼりついて縁越しにした。「なぜあんたは逃げないんだ ? 」 見下した。彼の下、三十メートルあるかないかのところに青々と草「え ? なんじゃと ? 逃げる ? そいつはーーーその , ーーわしの最 木の茂った円形の谷が見えた。小さな湖と、草葺き屋根の小屋と、後の二頭歯が抜けるより前から考えたこともなかったな。じゃが、 人間が見え、ホドンとオー・アアが見えた。彼の推測は的中した。 むろん逃げることはできんじゃった」 彼は異様な剣歯人を見た。二百人ばかりいる。これほど圧倒的多「そこがどうもわからないな」ホドンがいった。「われわれが三人 数の敵から、どうやって単身でホドンとオー・アアを救出することして逃けられないとは思えないんだが。あそこの上の、低くなった ができましよう ? ・ 場所が見えないかい ? 奴らの注意を他へ惹きつけておく何らかの デヴィッド・イネスは機略縦横の男だった。が、頭をひねればひ方法が見つかれば、またたくうちにあそこまで駆けのぼることがで ねるほどこの問題の解決は絶望的に思えてくる。噴火口に降りて行きるよ」 っても何もならないだろう。そんなことをしたら彼自身が捕まるだ「フム、フム、フム」老人は考え深げに呟いた。「時に大勢がいっ けだ。そうなったら二人になにもしてやれなくなる。 ペんに眠ることがある。やれるかもしれんが、怪しいもんじゃ。そ 彼は噴火口を丹念にしらべた。内壁は一カ所を除いてどこも垂直れにどっちみち、わしが逃けて何になる ? 先にけものにやられな でよじの・ほることはできない。その一カ所の壁は内側に向けて崩れかったとしても、最初につかまった一族に殺されちまうのがおちじ ており、砕けた荒石が頂上の縁まで続く斜面を形成している。そのやないか」 地点では、噴火口の底から縁までは十五メートルとない。逃げ道は「そんなことはない」ホドンがいった。「あんたをサリに連れて行 あるわけだが、どうやってそこにホドンの注意を引くかだ。どうしってあげる。サリへ行ったら親切にしてもらえるし、昔の友だちに リップコ
壁には厚さ一センチばかりの白いパネルが一枚かかっていた。ど しばらく傍聴したのち、私たちは法廷からふたたび廊下へ出た。 さらに官公庁街を通り、や「と、私のために用意されたという部屋うも何か日くがありそうだと思 0 て、私は立ちあがりパネルに近づ恥 いた。横についていたボタンのひとつを押すと、思ったとおりパネ の前に着いた。 「どうそゆっくり、おくつろぎください」アダムスは部屋の鍵を私ルの表面にカラーの立体画像があらわれた。おどろくほど薄っぺら なテレビだったのである。ス。ヒーカーは天井のどこかに埋め込まれ に渡しながら、もういちどくり返した。「最高級の部屋です」 「ありがとう」 ているらしい。私はふたたびべッドに戻り、寝そべったままでテレ 「では明日、また伺います」 ビを見はじめた。 アダムスをはじめ五人の閣僚は、廊下を引き返していった。 音楽番組だった。ステージが狭いらしく、若い男女が窮屈そうに 踊っている。場所をとらない植物的な踊りである。ほとんどくつつ 私はドアをあけて部屋に入った。 きそうなくらいの距離に立って向きあったまま、指さきを少し動か 眼を丸くした。 したり、舌を出したり、眼球をぐるぐる動かしあったりするダンス こんなせまい部屋は、火星なら三流のホテルにだってない。テー プルとべッドがあるだけだが、三メートル平方の室内はそれだけでだ。ソシアル・ダンスならともかく、ステージ・ダンスがこうなっ てしまっては、もうおしまいだなーーー私はそう思った。 もういつま、ど。 いつの間にか、ぐっすり眠りこんでいたらしい。ドアをどんどん 浴室はついているものの、中を覗くと一メートル平方しかなく 叩く音で眼を醒ました。腕の電子時計を見るとすでに朝である。あ て、壁にシャワーがついているだけである。便器がないのでびつく りした。小便がしたいのだが、まさかこんなところで立ち小便はでわてて起きあがり、下着のままでドアを開けると、だしぬ - けに兵隊 らしい男が三人ばかり部屋へ乱暴に踏み込んできた。 きない。何かあるはずだがと思って見まわすと、壁の下の方からゴ 「この部屋を接収する」と、下士官らしい男がいった。「お前は出 ムホースの先端が二本突き出ていた。太い方のゴムホースの先端に は、尻の恰好をした金具がついている。これが大便用の便器で、こて行け。この部屋は将校用に使う」 いつを尻に押しあて、立ったまま用を足せということらしい。私は「君たちは何者だ」私はわめいた。「私はアダムス政府に招かれた 細い方のゴムホースを引っぱり出し、先端の金具に生殖器を突っこ賓客だそ。無礼は許さん」 そう思うと「昨夜クーデターが起って、アダムス政権は崩壊した」と、下士官 んで用を足した。もし抜けなくなったらどうしよう はいった。「服を着る間だけ待ってやるから、すぐ出て行け」 気が気でなく、小便は途中で止ってしまった。 シャワーを浴びてから部屋に戻り、べッドに横になったが、なか「くそ。いい部屋に泊りやがって」兵隊のひとりが、部屋を見まわ なか眠れない。天井が低いので、上から圧し潰されそうな感じであしながら腹立たしげにいった。 「私は火星連合から派遣された大使だ」私は顔じゅうを口にして叫 る。窓がないから見るものもない。
ジョン・ヴェネックスは、ホテルの部屋のドアに鍵をさしこんようがない。ジョンがそれを読みはじめるのを待ってたように、天 だ。大きい部屋、できればホテルいちばんの大きい部屋をとたのん井灯が。 ( ッと消えた。 で、フロントに割増しを払ってある。あとは、どうかごまかされて午後十時。ロポットのおねんねの時間だ。明りの消えたなかで、 ませんように、と祈るだけ。文句をいうだの、金を返させるだのつ これから朝の六時まで外へは一歩も出られない。数すくない深夜労 て芸当は、さかだちしてもできっこない。 働者を除いたみんなが、退屈でまっ暗な八時間をすごすわけだ。し ドアが開いたとたん、ジョンは胸をなでおろした。思ってたより かし、法律の条文には可視光線の定義がはっきりさせてないから、 ずっと広いーー幅はまる一メートル、奥行は二メートルちかく。中その気になれば裏をかくのはなんでもない。内臓した原子力発電機 で仕事するゆとりは、ありあまるほどだ。はやいとこ、足をはずしのまわりの遮蔽板をちょっとずらして、ジョンは出力を増した。そ てしまおう。そしたら、あしたの朝からはもうびつこを引かずにすれが熱くなってくるのにつれて、熱波が溢れ出すーー・ジョンの目に む。 はそれが赤外線として見えるのだった。腹の中から洩れるこうこう 奥の壁には備えっきの自在フックがついていた。それを首すじのたる明りで、ジョンは新聞を読みおえた。 うしろの隠しリングにはめ、足が宙ぶらりんになるまでビョンビョ左手の第二指の先についた熱電対で、足の温度を測ってみた。こ ン床をけった。そこで下半身への動力を切断すると、ガチャッと音れだけさめてればだいじようぶだ。防水性の被覆は簡単にはがれ、 がして足がゆるんだ。 動力線と、神経回路と、弱りのきた膝関節がむき出しになった。回 仕事をはじめるまえに、疲れすぎた足のモーターをさましてやら路を切ったジョンは、関節のすぐ上にあるネジをゆるめて膝から下 なくちゃいけない。新聞にざっと目を通すひまはじゅうぶんある。をはずし、それを正面の棚へそっと置いた。それから、尻ポケット ジョンは失業者の慢性不安を絵にした手つきで案内広告のページをの交換部品をだいじそうにとりだす。ジャーシー州の養豚場で三カ ひろけ、〈求むーーロポット〉欄を見わたした。特殊技能者の見出月働いた給金をはたいた、労苦の結晶だ。 しの下はあいかわらず縁がないし、不熟練労働のリストもやけにガ片足で立って、新しい膝関節のぐあいをテストしているとき、天 ランとしてる。ことしのニューヨークは、ロポットには住みにく、 井の螢光灯がウインクしてともった。いつのまにか五時三十分。ち 町だ。 ようどまにあったわけだ。新しいべアリングへ注油して、仕事は終 募集広告はいつもとおんなじでパッとしないけど、そんなときはった。ジョンは工具類をポケットにしまいこみ、ドアの鍵をはずし マンガでも読むにかぎる。おおきな声ではいえないが、ジョンは おはらい箱になったエレベーターのシャフトが、ダストシュート 〈がたびしロポット〉という連載マンガの愛読者なのだ。主人公は とんまな機械で、しよっちゅう、そそっかしいへまばかりやってい の代りをつとめている。ジョンは通りがけに、読みふるした新聞を る。しやくにさわるカリカチュアだけれど、おもしろいのだからしドアのスロットにつつこんだ。壁にできるたけ寄りそいながら、油 2
うしスクリーンは直径四〇メートルのドームの内側。撮 ◇大西洋に赤い氷山出現 ( 米 ) 影面積は一万平方メートル、ちょっとした沖動場の広さ である。 最近、北大西洋に赤い氷山が現われ、船乗りたちの話 お客はこのドームの中に坐る。映像が立体音響ととも題となっている。氷山といえば白いのが常識。それなの に撮し出されると、観客は上方、四周がすべて映像であにどうして赤いのか。次のなかから答えを見つけていた るため、スクリーンの世界に引き込まれてしまう。 だきたい。 映像の変化とともに観客は、前進、後退、上昇、下①微生物が繁殖して、赤潮のように赤くなった。 降、さか立ちなどの感覚を味わい、観客自体が巨大化し ②だれかが赤い色を塗りたくった。 ③ソ連圏からの流 たり、極徴化したりする 氷なので、赤い色を ような印象を持っとい している。 ④日光と寒冷、温 だがフィルムは幅七 0 ミリ。これを特殊レンズ 暖空気のいたずらで 0 で大ドームの内側に撮し 赤く見える。 ⑤氷河から海に流 出すのはそう簡単なこと ではない。何しろフィル れ出るとぎ、赤い土 市 ムの像拡大率は一〇〇万 をなすりつけて来た。 都 倍に達するので、スクリ 底さあ、いかがです 海 ーン上でのゆがみを一セ か。正解は 2 番目。 ンチ以内にするには、フ 定ぬりたくったのは米 T2 イルムの像や、レンズの を一予海軍哨戒機だが、決 誤差を一〇万分の一、、 をれしていたずらではな さ 以下に押える必要があ 出 ◇ェクスポにアストロラマ ( 日 ) る 0 タイタニック号以 し このような精密工作を 一九七〇年に日本で開かれる万国博覧会をめざして、 撮来、氷山は船の大敵 政府はじめ産業界は準備に懸命あれこれと趣向に知恵するには、とても普通の レーダーが普及し ム をしぼっているが、そのひとっとして世界初のマンモスゲージではだめ。そこで 一て、夜でも発見でき 全周立体映像「アストロラマ」が出展されることになっ機械工作にはすべてクリ るようになったとは こ 0 プトンの橙色の光りの いえ、氷山から船を 円 マストロラマとはいったいどんなものか ? それを説波長を基準にした〃光り 守る最良の方法は、 明する前に、万国博と映像文化との関係をふりかえってのものさしんが使われる 乗組員の目による発 ことになっている。 みよう。一九 0 〇年のパリ万国博には、映画史上初のト 見だ。 そこで米海軍は、 ーキーフィルムが登場し、一九二五年の。ハリ博には、多総工費は二 0 億円、製 作するのは機械、フィル スクリーン映画がお目見得した。 できるたけ早く氷山 ム、建設会社など三十二 こうした伝統をこんどの日本万国博でも生かそうと、 を見つけることがで 考えられた新機軸の映像ディス。フレイがこのアストロラ社。「成功すれば、単に万国博の呼びものというだけできるように、ガラスびんに一ガロンのローダミン赤色染 マ ( 天体のドラマの略 ) た。 なく、世界に映像革命をもたらし、教育情報活動にはか料を詰めた〃爆弾″を、哨戒機から投下させる作戦を開 これまでの映画との違いは、観客の全周をスクリーン り知れないほど貢献することになろう」と、関係者は張始した。 哨戒機の高度は二五〇メートル。氷山は大小さまざま がとりまき、そこに映像が撮し出されるということだろり切っている さ手ぐす を , 6 9
久しぶりにかなりのんびりした正月を過した。原稿に意義を積極的に認めないような人間は、過去の亡霊あっ生に平均八万五〇〇〇時間以上働いている勘定になる も見切りをつけて一切手を触れず、飲みすぎもせず、比かいにされかねない。い ゃなかには、遊ぶことこそ人間が、それを、半分の四万時間前後におさえる必要がある 較的よく眠り、昨年から積みあけておいた本の二、三冊本米のあり方であって、それゆえ人間はホモ・ルーデンわけだ。これは、一日六時間労働で週五日、一年の実働 も読み、昨年中のカナダ、アメリカ旅行の頃からの写真スと規定される、そうした自由な人間を認めないというを年四〇週、一生の労働期間を三十五年とみた場合、出 を整理し、スクラップをつくりーーー子供とも、少しは遊のは、古い意識、古い社会秩序、古いモラルに縛られててくる計算である。 んだ。 いるからにほかならないと、したり顔でいう連中までい これをみただけでは、現実とはほど遠いという印象は いなめないが、最近の各種の未来予測によれば、二〇年 そんなこんなで、数日をとりとめもなく過してしまつる始末だ。 だがぼくは、なにも、遊ふことを罪悪視し働くことをを出ずして日本がこの状況に達するだろうという点で たのだが、ふと気がつくとぼくは、このほんの僅かな は、おおむね意見が一致している。確かに、国民総生産 日向の溜り水みたいな休暇の時間を、すでに持てあ神聖視するような偏屈な考えを持っているのではない。 まして、結局はあまり効率の高いレジャーの使い方をし遊ぶことにより創造的なというより、より大きな満足をや個人所得の急テンポな向上などに現われるわが国の高 見出すことができるならば、もちろんばくは遊ぶことを度成長ぶりをみると、このような予測も、現実感をおび てはいなかったようである。 もちろん、もう少し計画的になれば、正月休み中、南選ぶにちがいない。要するに、社会参加をするにあたってくる。そのときは、当然、生活水準もたかまるし、住 宅、交通といった問題も、まず不快を感じない程度には 国の海を見たり雪山へ行ったり、いわゆる・ハカンス旅行て、どちらがより大きな満足をもたらしてくれるか 改善されているはずだ。 なども楽しめたかもしれないが、かりにそんなことをし レジャーが、ほんとうに問題になるのはこの頃のはず たところで、ふと襲ってくるレジャーの退屈を、有効に ーー 1 月 X 日 である。安定した生活、十分な余暇、困難な問題のすく 避けることはできそうもない。 要するに、遊び下手なの ない日常は、かえってその時代の人々を困惑させるだろ だろうか。 確かに、そのようである。たぶん気障なものいいに聞 つまり人々は、何か自ら創造的な仕事を求めないかぎ こえるだろうが、ぼくは働くことが好きである。そし り、目標をうしない、張りを失なって、毎日、退屈の魔 て、その逆に、遊ぶことは、嫌いではないにしても、ひ に襲われるようになりかねないのである。事実、多くの どく苦手だ。 周囲のみんなが、ごく当り前に楽しんでいる気晴しの 福島正実未来予測では、この時代に、ノイローゼや精神分裂症な どが激増し、大きな社会問題になるのではないか、とみ 類いーーマージャン、碁、将棋、ポーリングにゴルフ、 スキーにスケート、その他もろもろの娯楽やスポーツなそれが、ぼくの行動基準になっているにすぎない。つまている。 こうした落し穴から身を守る方法は、結局のところ、 ど、何ひとつやらないしできないし第一興味もない。そりは、気質の問題なのだ。 んなことをする余裕やスタミナがひねりだせれば、読ま その上、現在は、必ずしもレジャー時代ではない。山レジャーをいかに自分の人生にとって有意義な、充実し なければならないと思いながら積んでおいた本の一冊もや海に人が出、アミ = ーズメントに人が蝟集するからと た時間とするか、ということに帰するだろう。たとえ 消化したり、いつまでたっても整理のメドのつかないスし 、って、レジャー時代だとは限らない。勤労者のほとんば、いまからも推測されるものだけでいえば、各種のア クラップ類に、それでも少しでもアタックを試みたり、 どが、週四十五時間前後も働き、停年退職後もなお働かマチュア・スポーツ、音楽、芸術、日本的ないけ花、茶 この次か、あるいはいつの日かに書くだろう小説や、エなければならない現在の日本ーー輸送機関も住宅も、レ の湯の類いが、より一層重要な生活の部分を占めるよう ッセイや、コメントのための・ノートに手を入れてみたりベル以下の状態にある現在の日本には、ほんとうのレジになるだろう、ということだ。それらは、より一層大衆 するほうが、遙かに娯しいし : : : 第一、あの、ふと訪れャーなどない。あるのは、消費ムードに踊らされる擬似化することによって、今とはちがったものとなり、人類 るニヒルな「退屈」感から、退避していられるだけでもレジャーにすぎない。 文明のなかで新らしい意味をもちはじめるだろう。だ 儲けものだと思う。 ほんとうのレジャーは、やはり、労働の経済的な必要が、それだけで果して足りるかどうか : : : 何か、全く新 こうした性向は、たぶん、この世をあげてのレジャー度が、最低限いまの半分以下になったときでなければこらしいものが出てこないかぎり、レジャーは人を喰い荒 時代には、相応しからぬものであるのみか、遊ぶことのないだろう。少し具体的にいえば、いまの日本人は、一すおそれがあるのだ。 一三ロ 0 9
だした。なんと、この爺さんは、デビイ・クロケットである。最近かの間違いじゃないか。だいたい、予言者なんてものは、白髮をポ リ。 ( イルで封切りした、ジョン・ウェイン主演のアラモの砦、あウ、ボウ生やして、曲がった杖でもついているものと、相場がきまっ ている。 の映画にもでてくる。 ーゴーも好きだし、 ・ほくは、そんな年齢じゃない。まだ若い。ゴ 盟主ゲルセンとザルム教導師は、妙ちきりんな質問に目を白黒さ ス。ハイダースやタイガースだって知ってるし、それに、スビードに せている。 も興味がある。もっとも、平井和正に言わせれば、それは、もうす 「クマ ? すると、絶減した哺乳類ウルスのことか」 ぐ三十になるので、必死になって若いようなふりをしているだけ 「たぶん、そうでしよう」 ・ほくは、ふきだしたくなった。ウルスというのは、クマの学名でで、空しいあがきだというのだが : それとも、マクルーハンかなにかと間違われたのかも知れない。 ある。この三十一世紀人たちは、僅か三つでクマ退治、というデビ イ・クロケットの歌を知らないのだ。この爺さんは、宇宙人と言わ「あの偉大な予言の書について、お話をおききしたいので、まず れても、。ヒンとこないらしい。ゾンダール星人の科学力がどうのこは、こちらへ」 二人の未来人は、先にたって歩きだした。キツネにつままれたよ うのといっても、さつばり判らない。もっと身近な例で、クマとく うな気持だったが、とにかく、ぼくは二人のあとから、ついて行っ らべてどっちが強いかのほうが、すっと重要なデータなのである。 「たしかに、肉体的な能力は、クマのほうが、ゾンダール星人より 大広間をでると、そこからスライド・ベルトがつづいていた。べ 優れている , ろいろなに、よく やっと、盟主ゲルセンが答えてやると、爺さんは、ヒゲだらけのルトウェイ、自走路、動路などと呼ばれ、い 登場する例のやつだ。どんな材料でできているのか、さつばり判ら 顔をクシャクシャにして笑った。 「そうかい、そんじや問題はねえ。おら、やつらと戦うだ。な、みないが、とにかくここにあるべルトウェイは、新宿地下街と 0 デ。ハ なの衆、力を貸してくんろ。うんだば、そんな化物野郎なんそ、び ートのあいだに申しわけ程度にこしらえてあるやつより、文句なし とひねりだ」 に立派だった。 デビイ・クロケット爺さんは、ラッパ銃をたたいて、うけあっ ベルトウェイの終点にある一室に入ると、盟主ゲルセンとザルム 盟主ゲルセンとザルム教導師は、あっけにとられて、目を白黒さ教導師は、うやうやしく椅子をすすめてくれた。ソフアにくつろぐ と、テーブルの真ん中がひらいて、マジックハンド : せていたが、やがて、ツカッカと・ほくのまえに歩みよった。 似た香りのいい飲物を、・ほくたちのまえにおいた。ちょっと子供だ 「二十世紀の偉大な予言者よ , 呼びかけられて、ぼくは、びつくりした。予言者だって ! なにましだが、こんな便利なことはない。 女房とケンカをして、いつも こ 0 4 6
そこへ侵人してきたのが、強敵ゾングール星人だった。この節足 「おお、やめてくれ、もうたくさんだ、やめてくれ」 ずいぶん頼りない指導者だ。盟主ゲルセンは、頭をかかえたま動物の化物たちは、肥沃な植民星をたくさん持っている、この地球 に目をつけ、大挙して押しよせてきたのだった。 ま、泣きだした。 そのとき、もう一人の鎧武者が現われ、騎士と王子のあいだに分地球では、宇宙航空士階級が、一致協力して敵にあたることにな り、あらゆる宇宙船を総動員して、一大決戦をいどんだ。だが、ゾ けいった。 「待たれい、ご両所。いましばらく、盟主ゲルセン殿とやらの言葉ンダール星人にもかなりの打撃をあたえたものの、地球の宇宙戦隊 は、あえなく壊減してしまった。 を、聞いてみようではないか ? 」 鎧武者は、小柄だが、威風堂々として、二人の騎士を圧倒する気この三十一世紀では、宇宙をまたにかけて活躍する宇宙航空士階 品をもっていた。調べてみると、この男は、源義経だった。しまっ級と、地球のドーム都市で安全を保証されている一般市民階級と こ、・ほくは、この義経の悪口も、マガジンに書いたことがあは、まったくかけはなれたものになっている。 る。こんなに立派な男だとは知らなかった。悪いことをしてしまっ いまや、地球に残されたのは、ひとかけらの闘争本能も持たな い、温順な市民階級ばかりになった。この羊のような人たちには、 どうやら、義経の説得が効を奏して、二人の騎士は、しぶしぶ過強敵ゾンダール人と戦う気力はなかった。自動生産機構が、壊減し 去人の列にもどった。 た宇宙戦隊を再建し、たくさんの宇宙船が出発を待っていたが、そ やっと胸をなでおろした盟主は、数百人の過去人を前にして、説れに乗りこむ搭乗員が、もはや見あたらなかったのである。 明をはじめた。 盟主ゲルセンは、説明をつづけた。 催眠教育でうけた知識と重複している部分があるので、・ほくに ここは、三十一世紀の地球連盟の首都テラボリス。緑地化された かってのタクラマカン砂漠のまんなかにあるドーム都市のなかであも、よく判った。 る。 その時、一人の男が、三十一世紀人のまえにとびたした。背のた 科学文明の進歩によって、地球人類は、巨大な自動供給機構をもかい初老の男で、鹿皮の服をきて、頭に洗い熊の毛皮の帽子をかぶ って、銃身のながいラッパ銃をもっている。 っドームのなかで、なに不自由なく暮らしていけるようになった。 その男は、片手をあけて挨拶した。 宇宙旅行の技術もぐっと進歩して、アルフア・ケンタウリ、シリウ 「ハオ ! おら、むかしインディアン・スカウトをやってた時分の ス、プロキオン、タウ・ケチなど、 ()n でおなじみの比較的ちかい 恒星系は、地球人の支配下におかれた。 癖でな、こうやって挨拶しねえと、気がすまねえだよ。ところで、 もう二百年ちかくも、天下泰平がつづいていて、地球人類は、すあんた、ゾンダール人ちゅうのは、熊より強えだか ? 」 つかり平和に慣れきっていた。 ぼくは、その爺さんを見つめながら、与えられた記憶をひつばり こ 0 3 6