て、翌日その男が訪ねてくる、というような現象を ? われわれとなく虫が好かないのよ。じゃ、わるいけど、もう出番だからー は、それを意識的にやれるわけだ これは機械的な力をかりた夢 中テレバシーなんだ。すぐきてくれないか。もっと実験をやってみ「ねえ、たのむよ : : : 説明させてくれーー」 たい」 「なにを説明すんのさ ? 」 「眠らないと生きてけないやつもいる。いまの・ほくもそうするとこ答につまった。もぐもぐと呟いている私に、相手はガウンの背中 だーーーお機械さまのお助けなしで。じや失敬 , をたつぶり拝ませてくれた。 となれば、もうこれは寝酒である。私は。ハーの止まり木へもどっ私がなぜあやまるのか知らない相手に、どんなあやまりようをす た。思えばあのとき家に帰るべきだった。 ればいいのだ ? 彼女は眠っていなかったという。したがって、れ 、のスカートの一件を夢に見たはずよよ、 。オしかりに見たとしても、 その女は、腰をくねらせながらンドの前のマイクに近づいてきし た。手袋のようにびったりした白いガウン。それに包まれた、一メそれはクラスウエルの夢であって、私のではない。だがなにかの変 ートル七十センチの夢。卵形の顔とみどりの瞳のブルネット。左の調で、ブラキストンの機械から洩れた思考波のしたたりが、彼女の ほっぺには、すてきにかわいいホクロ。ガウンの上のほうはちょっ潜在意識の中に、いわれのない私への反感を植えつけたのだ。そい つをとり除くには、精神病医の手が必要だろう。 いや、待てよ びり開放的だったが、お色気ではクラスウエルのデザインしたコス チュームにとてもおよばない。 私はナイトクラブの事務所からスティーヴに電話した。まだもぐ 楽屋で私を迎えたみどりの瞳は、だがオン・ザ・ロックスのようもぐやっているようだった。私はいった。「じっくり考えてみたい につめたかった。クラスウエル氏 ? ( ええ、すこし存じ上げていまことがあるんだーー・・きみの機械の中でだぜ。いまからすぐ行く , 。いいえ、ゆうべの真夜中は眠っていません。でも、おききし 出がけに。ハンドの横をすりぬけたとき、ちょうどマイクの前を離 たいけれど、それがあなたになんの関係があって ? 超の字のつくれた彼女に出あった。私はじっと相手をみつめ、あらゆるディテー カレッジ・タイプだった。当節は、えてしてこういうのが芸能界にルを心に刻みつけた。 迷いこむ。もっとも、私としては別に文句はない。 「いつも何時ごろ寝るの ? 」私は訊いた。 つれない扱いのわけをたずねると、彼女はこう、つこ。 しナ「つま平手打ちがくるのをみて、私は首をすくめた。 ということじゃないかしら、 り、おっきあいに気がすすまない、 「ぼくはあせらないよ。そのうちに会おう。じゃあ、いい夢を見た ーネルさん」 まえ」 「な・せ ? 」 「なぜといわれても、説明はむずかしいな」そこでなにかを思いだ すように顔をしかめてから、「とにかくーーよくわかんない。なん
あるじは兵隊とか猟人とかが目をさますときのように、頭の位置フリツツ : : : 」 をかえないで目をさました。すぐ状態を評価した。 「英語で話しなさい」イエンが警告した。 「おや、マロリー君か」すこしかすれてるが、元気な声で、かれは フリツツ・カール あと四十秒。ふたりはもうきのう見ていた いった。「えらい ・ : きみはわたしに勝ったよ。いってごらん、ち ッハが受話器をにぎったままうつむけに倒れ、電話機がデスクか ゃんときくから , らかれのうなじにおちるのを : ・ あるじはすばやく自動銃に、ドアに横目をはしらせ、あたりをみ 三十秒。だがどうしたんだろう ? カール・ハッハの脳の血管が破 まわした。ディックは。ヒストルをぬきだして、じゅうたん代りのラれなかったのだろうか ? : ・ : 二十秒 : : : なにかまちがったのだろう イオンの毛皮の上に足をふんばった。 「条件はかんたんだ。あした鉱山を閉鎖しなさい。下部坑道の接合 「そうだよ、フリツツ、ここにマロリー君がきてるんだ。それで : 点を爆破して、ウラン鉱を水びたしにするのだ」 : おい、フリツツ、フリツツー・おい、どうしたんだ ? ・フリツツ あいては目をくるくるさせた。しかしそれもほんの瞬間であっ た。なにしろ、煮ても焼いても食えぬ曲者である。いかにも親しけラスタースは受話器をすこし耳からはなして、おびえた目でディ に二人を見て、にこりとさえした。 ックを見た。お前の勇気はどこへいった、立派な猟人のくせに ? 「一万ポンドでどうだね、マロリー君。どこの銀行でも いい。なん「わたしたちの仕事にまやかしはないんだよ、ラスタースさん」イ なら、現金でも」 エンはいっこ。 時間はもうのこっていなかった。だからディックは時計の針に目 まちがいはなかった。 をやって、すぐ第二の処方策をラスタースにわたした。 「フリーツツ ! 」ラスタースはのどをつまらせた。受話器になにか 「つまらぬことをいうもんじゃない、 ラスタースさん。鉱山を爆破が音をたてた。「奥さん : : : どうしたんです ? かれは : : : もちろ すればいいんです。あしたの夜半までに鉱山を爆破しなければ、あん : : : 医者をはやく : : : はやく、はやく呼ぶんです」 なたの命はない。首相官邸に逃げこんだって、なんにもなりません「患者は目をとじた」イエンは冷やかに引導をわたした。 よ。うそだとおもうなら ? 」イエンに向ってさりげなく、「カール「医者は脳溢血と診断するだろう」すぐディックがつづけた。 くッハに電話しなさい。 よし。受話器をとるんだ、ラスタースさ「でもね、解剖すると、左半球に : ん。わたしたちの仕事にまやかしはないんだからね」 「あしたすぐ解剖してもらいなさい。なにがあなたを待ってるか、 ラスタースはすぐ受話器をとった。こうなれば、じたばたしてもよくわかるでしよう」 しようがないー くらかの これでよし。するとディックはまた憎しみどころか、い 「奥さんですね。そうです、わたしです : : : モルゲン、リー。、 あわれみをさえ感じた。第二の悪人の死がじぶんのせいであるよう 一 0
「材料だって、昔の人工頭脳みたいな結晶体のよせあつめじゃあな「年寄りのことなんか忘れてもいいけど、もっと大事なことを旧い いんでしよう ? 自然とほとんどかわらない有機的な細胞を集めて脳に置き忘れてきてしまったら大変ね、ちょっと心配になってきた 8 いるんですもの、とても健康的だわ」 「いまは法律で禁じられているけど、はやく認められるようになる「まだ技術が完全ではないんだろうからね、少しぐらいはしようが ないよ」 といいね , 「もうじきじゃないかしら ? 」女は、はだかの腰から脚にかけての「時間がたてば、こんなことなくなるかしら ? 」 「そりやもちろんさ。科学技術がもう少し進めばね : 官能的な、つくりものの肉の工芸品に、男の愛撫を求めながらいっ 「それならいいわ」女は急に優しい声になった。「あの人もそのう た。「最近とりしまりが急にゆるくなってきたらしいのよ。解除に ち頭をかえるといいわね : ・ なるまえぶれじゃないかってーー・お友だちがいってたわ」 その時、ドアがあいて、老人が顔をだした。話をきいてもらえる はずの時間がきたからなのだ。だが、ふたりは、チラと視線をはしその頃リアディーじいさんは、旧くなりすぎた義足をきしらせ、 誰もいない歩道を歩いていた。その疲れた背中に秋の陽が斜めにさ らせただけで、愛撫をやめようとはしなかった。 していた。若い二人を理解することができないじいさんにとって、 老人は二度、三度、せきばらいをした。しかしそれも効果のない 、まはもう、古い歩道を歩くぐらいしかすることがないのだ。ほか のを知ると、あきらめたように、重い足どりでドアの外へ姿を消しし に気をまぎらす方法がなかったのだ。 た。その後姿には、淋しさと傲慢さとがいりまじってみえた。 方程式は完全だし、その内容はリアディーじいさんにもよくわか ドアの動く気配に、男はちょっと眉をしかめた。そして女にいっ っていた。ただ、方程式がいくら完全でも、答は得られない。 こ 0 ディーじいさんにとって、それは、ないのと同じ解けない方程式な 「おやじさん、どうしたんだろうな ? 」 のだ。なにしろ、境界条件がわからないのだから。 女は少々興ざめの表情でこたえた。 「しらないわ。なにかぶつぶついってたようだけど : : : 」 「そうなんだ。ぼくら、あのうすぎたないおやじさんから、ずいぶ んいろんなお説教をきかされたような気がするんだが、どうも覚え ていない。頭をとりかえたせいかな ? 」 「わたしも忘れちゃったみたいよ。火ぶくれがどうとかいわれたみ たいな気もするけど。転写がよくなかったのかしら ? 」 「そんなこともないだろう ? 」
ある日の午後、私は遠歩きに出た。アテネから十マイルほど来たとその点については、私はほとんど心配しなかった。人びとをあま ころで、ごっそりと持ちだすのに成功した送信機のスイッチを入れり動揺させないというのが、海から脱出する主な理由であったから た。アテネへ帰って、モーガンが私の送信を楽にキャッチしていた だ。彼らが下手な行動をとれば、かえって状況は不利になる。私た ことを知った。もちろん、十マイルの距離で送信をキャッチするのちとしては、外世界が来るまでーー・・ーもし来るものならーー・待ってい と、一千マイル以上離れた局からの信号をキャッチするのとでは、ればいいわけである。もし外世界が存在しないなら、船出する理由 問題はまったく違う。だが本国の送信機は、こちらの小型送信機よは何もない。 りはるかに強力なのだ。受信機の感度が落ちたといえば、すべて説日がたつにつれ、私の内部で憤懣が欝積していった。それを長い 明はつく。しかしそれとは、まったく違う原困もあり得るのだっ激しい。ヒアノのセッションで、全身から吹きとばそうとした。私た ちの家はあまり大きくない。猛烈なセッションは、たちまち友人た ほかのものたちは、八月から九月にかけての私ほど奇妙な経験をちから敬遠されてしまった。どこか一人になれるところへ移りた 、聴衆のためばかりでなく、たまには自分のために弾けるような していない。だから、この状況に人一倍敏感になるだろう。また大 きな変動が起ったのではないかと私は恐れていた。異なる世界、異場所へ行きたい、そんな思いがますますつのった。もう一つには、 なる時代の並置は、完了したものと考えていたのだ。これら異なる私がいつも除けもの扱いされていたこともある。モーガンとアナで 世界はごく短いあいだ集まっていただけで、ふたたび分離したのか一組、アレックスとそのガール・フレンドで一組、私だけ一人。な もしれない。二十世紀から紀元前五世紀へと運ばれてしまった可能にか割りにあわない感じだった。 性もある。 そうなれば、簡単な退却の道はない。 クレタ島の沖に海軍船は現 貶ラルゴ・アパッショナート われないかもしれない。少くとも、この世界では。そうとでも考え なければ、外世界と長いあいだ接触が絶えている説明はっきそうもすこし作曲をしたいので二、三週間留守にするかもしれないと話 なかった。 を持ちだすと、三人はおもてむきは熱心にすすめてくれた。だが、 私の心は、そんな考えでいつばいになった。逗留期間が終るころどこへ行ったらいいのか ? スペースが必要である。一日の大半を には、私はふさぎの虫にとりつかれていた。ちょうどそのころにな戸外で暮すことができた夏のあいだは、この小さな家でもけっこう って、天気が荒れ模様になり、波が高くなったので、小さなョット用は足りた。冬では、どうにも狭すぎるのだ。だが、どこへ行った 、いたるところ人で で海に出る可能性はとうとうなかったといえる。ョットの話をそのらスペースがあるだろう ? 都市は見たとおり 後聞いていないところからすると、まだそれは造船技師の手中にあ混みあっている。私たちはあちこちへ照会をはじめた。解決は、ひ よんなところからやってきた。 るらしかった。 掲 9
「それはなんだい ? 」 親戚をもてなすようなものだったーーーもう十年も会ったことのない 親戚を。いったい全体、スーパ ーチャイルドを相手に人はどうふる まったらいいというのか。 「いや ? 」 アレグザンダーにミルクをあてがったあと、彼は台所に引きかえ 「・ほくにはわかってるんだ」アレグザンダーは言った。「それでじ した。まもなく、マイラの鍵が表のドアでまわる音がした。彼女の ゅうぶんじゃないか」 「なるほどーコールドロンはかすかな懸念をもってわが天才児をな叫び声が、コールドロンを居間に急がせた。 がめた。「わたしには話したくないというわけだ」 アレグザンダーは嘔吐していた。あるきわめて興味ある現象に心 を奪われている研究者、といった態度で。 「アレグザンダー ! 」マイラが叫んだ。「おまえ、どこか加減でも 「そうか、まあいいよ」 「飲みものをおくれ , アレグザンダーが言った。一瞬コールドロン悪いの ? 」 は、息子がハイボールを要求しているのかという気ちがいじみた妄「いや」アレグザンダーは答えた。「ただ食物を吐きもどす作用を 想をいだいた。それから、溜息をつくと、立ちあがって壜を持ってテストしているだけさ。ぼくは消化器官を統御するすべを学ばなけ きた。 りゃならないからね」 「ミルク」アレグザンダーはその飲料を拒否して言った。 コールドロンは意地わるくニャニヤしながら、ドアに寄りかかっ 「飲みものと言ったろう。水は飲みものじゃないのか ? 」ーーーく た。「なあるほど。そういうことなら、、 しますぐ始めたほうがよさ そ、なんてこった、コールドロンは思った。おれは子供に議論をふそうだな」 つかけている。まるで : : : まるで彼をおとなみたいに扱っているん「もうやっちゃったよーアレグザンダーは言った。「ここをきれい ・こ。だが彼はぜったいにおとなではない。ただ絨毯の上にべたりとにしておくれ」 坐りこんで、奇妙な玩具をひねくりまわしている肥った赤児にすぎ三日後、子供は自分の肺が発達を要求していると判断した。彼は ないのだ。 叫んだ。彼は一分の休みもなく叫びつづけた。それも興味ある変化 その玩具が、か・ほそい声でなにか言った。アレグザンダーが、 をつけてだーー喚き、ぎゃあと叫び、号泣し、せいいつばいの声で 「もう一度」とつぶやいた。玩具はそれをくりかえした。 怒号する。そして満足するまでぜったいやめようとしない。隣近所 コールドロンは言った。「それはなんだい ? 」 からは苦情がひきもきらず、マイラはおろおろして言った。「おま え、どこかに。ヒンでも刺さってるんじゃない ? どれ、見てあげよ 「勝手にしろ , コールドロンは台所へ行って、ミルクを取りだす と、自分にももう一杯注いだこれはまさに、とつ。せん立ち寄った「あっちへ行け」アレグザンダーは言った。「あんたは暖たかすぎ 5
、 0 矛の巨大な四足獣がいた。それは、今しも、もう一度攻撃をかけよ 森の中にこんな空地があるのはかなり不自然だと思わないか うかやめようかを決めようとしているらしかった。 い ? 通路ともとれるじゃないか」 「それなら , スリンダーが素早くいった。「道をたどって行って、 ゆっくりと、ロポットは立ち上った。それにつれて、巨大な獣はどうなるか見てみよう。木の間を動きまわるのは倦き倦きしちまっ 身をかがめてとびかかる態勢に入った。微笑がスリンダーの顔を横たんだ。だがもう二度と後ろからとびかかられないように願いた、 切ったーー彼はこういう事態をどう処置したらいいか知っていた。 ね、神経に悪いんでね , 彼の親指はめ 0 たに使われない「サイレン」と書かれたキイをさが「君のいう通りだ、アルトマン」。 ートランドがしばらくしてから いった。「これは確かに道だよ。しかし、それは知的生命の存在を 森は、ロポットのかくされたス。ヒーカーから出るおどおどしい波意味することにはならない。結局のところ、動物が のような悲鳴にこだました、そして機械は腕を前でふりまわしなが彼は話の途中で言葉を切った、それと同時に、スリンダーは前進 ら敵に向って進んで行った。驚愕した獣は向きをかえようとして危していたロポットを停止させた。小道の行く手に突然広い平地が開 くひっくり返りそうになり、それからあっという間に視界から消えけ、掘っ立て小屋の村落がほとんどすきまなく立ち並んでいた。木 て行った。 の柵がはりめぐらしてあったが、それは明らかに、目下のところは 「こうなった以上、みんながもう一度隠れているところからはい出何の恐怖も与えていない害敵に対する防衛としてつくられたものら ハートランしかった。なぜなら、門が広くあけはなたれていて、その向うに してくるまで、二時間位は待たなくちゃならんだろう」。 ドがいまいまし気にいった。 は、住民たちが平和そうに行き交っていたからである。 「僕は動物の心理学についてはあまり知らないが」アルトマンが不長い間、三人の探検家はだまったままスクリーンをみつめてい 意に口を入れた。「奴らが一度も見たことのないものを攻撃すると た。それから、スリンダーがかすかに身震いして口を開いた いうのはよくあることなのかい ? 」 「なんだか薄気味がわるいな。ここは何万年も前の、われわれ自身 「ある種の動物は動くものは何でも攻撃する、しかしそういう奴はの星かもしれない。 まるで時間をさかのぼってきたような感じだ」 「ちっとも不思議なことなんかないさ」と実際家のアルトマンがい 珍しい。普通は、餌を求めている時とか、または前におどかされた ことがある場合などに攻撃するものだ。君はいったい何をいおうとった。「結局のところ、今までにわれわれと同じ生命系体を持って いる惑星が百個近くも発見されているんだー しているんだい ? この星にまだ他のロポットがいるとでもいうつ もりなのかい ? 」 「そう」スリンダーがいいかえした。「銀河系宇宙の中に百個も 「もちろんちがうさ。しかし、われわれの乱暴な友だちは、僕らのだ ! それでも僕はまだこんなことが僕たちに起る運命にあったこ 機械をもっと餌になる二足動物の一つにまちがえたのかもしれなとを不思議に思うよ , 8
叮 7 に SCIENCE ′き . 日 C て一 ON LEAGUE E€:VTIVF. い一Ⅱド ( : T い R ヨークの 一九三五年の夏にはシカゴ支部がその代表をニュー ビン 壮挙〃を敢行、ダロウ、オットー »-ä本部に派遣するという″ ダー、・ディレン・ハックの三人がやってくることになった。 r-n »-a 本部のホーニグは鳴物入りの派手な歓迎陣を用意したのだが、ど うしたわけか到着が丸一日遅れ、せつかくの計画もアテが外れはし たものの、大いに歓待され、〈ワンダー・ストーリーズ〉上にも派 手に紹介されている。 さて、こののニューヨーク市支部長にウィリアム・シコラ というファン ・、、た。彼は前号に紹介した〈サイエンシアーズ〉の 末期頃ファンダムに現われた男だが、この男がのちに全界を揺 さぶる騒ぎをひきおこすことになるのである。彼はガーンズ・ハック 流の考え方の熱烈な信奉者であったらしい。かってガーンズ・ハック が全ファンに対して要望した通り、自分の家の地下室にたいへ ワンダー・ストーリー ズ巻末の会員胸。左段中央 にウ + ルハイム等有力会員三人の除名記事が見える ん立派な実験室を持っていたといわれる。この彼が当時、いたくそ の趣旨に賛同して参加を申しこんだファン・クラブがあった。 メージング〉のお便りで知りあったファンが三人で結成した〈エジ 、ミルトン、 ( ③ ) ウィリ 0 『メタル・マン』は①ラインスター、② いってみれば最初 ソン・サイエンス・クラ・フ〉というグループで、 アムスン、④メリットの処女作であるーー・あたりになってくるとい いかげんなファンではおいそれと答えにくい。それに二五〇語以内につくられたファン・クラブ〈サイエンス・コレスポンデンス・ク で「私はなぜを読むか」の作文と、さらに二五〇語以内で自分ラブ〉 ( 前号参照 ) と同じようなものである。一九三二年のこと ・こ。しかし実際にやってみると、お便りを中心とする活動には、 の一番好きなのシノブシス、それに一〇〇語以内での論文が三オ コ というわけでかなり大掛りなテストであり、これに合格したろいろな障害があるためすぐに解消を余儀なくされ、あたらしく 〈インターナショナル・コズモス・サイエンス・クラブ〉 O 者は「学位」を与えられ、その名が麗々しく同誌上に発表され、フ 0 O) を組織した。プレティンの題名は〈エジオグラム〉。シコラは アンダム内でいい顔になれる : たちまちこのクラブの主導権を握り、研究発表誌である〈インター 地方支部も続々と結成された。 ー )> の編集も・一手にひきうけた。そして、 会員番号一番を獲得した c.5 ・ (-.5 ・クラークの・フルックリン支部をナショナル・オブザー・ハ 皮切りにして全米に、モスコウィッツの表現を借りると″野火のよ彼はこのクラ・フの活動状況や会員募集のを〈ワンダー・ストー リーズ〉に掲載してもらおうと、のホーニグのもとに話を持 うな勢いでひろがっていった。各地の″支部長″をつとめたファ ンの中にはボ・フ・タッカー ーマーなどの名も見える ( 一六八ページにつづく ) 11 は詩 : 、当一行をに、「、一叮 1 トい おい : 、一トーーれ・、をリヨを 0 コレみ卍ンテンス 0
状況が思わしくないので、通常の報告時間に先立って、さしあた なっている。壁の長さがわかってしまうと、こんどは高さを調べ始 り現況をお知らせすることにしたわけだ。 めた。そして、しまいには屋根の上を動きまわるものも現われるし さっきここにきていた生物が、同じような加工品をたくさん引きまつだ。 連れて戻ってきたのだ。その後も、続々集ってきている。現に今、 連中の大部分は、心の入っているらしい、てつべんの球状の突起 この報告をしている間にも、ますます大勢やってくるのが見える。 を、上肢で摩擦しては刺激を与えている。かれらはいくつかの金属 砦の中に捕えてある生物は、これより前から、大儀そうな様子に製の器具を試しているが、あんなものは柔らかすぎて、ボルティッ クに傷がつくわけはない。 こちらが連中を扱いかねていると同様 なっている。ポダスの意見では、何か栄養物を必要としているとい に、かれらもわれわれをもてあましているらしい うことだ。エプタスが珪酸塩をいくらか前に置いてやったが、まっ しかし連中は全部が全部、同じことをしているわけではない。と たく関心を示さない。。、 ホダスはこいつの化学的な基本構造を思い出 これくに加工品のそばに一匹残っているやつがいて、そいつは自分の裂 して、付近の生育物を取ってきて、炭化させてさし出した け目に、小さな物体を当てがって、周波を吹きこんでいる。そいっ もだめだった。 の心を読めば、はっきりわかるが、そいつは今行われていることを われわれもこの生物を、不必要に苦しめるつもりはないのだが、 だが、誰に向って、それとも何に向って、な どうすればよいのか、さつばりわからなくて困っている。この生物描写しているのだ の体に、いくつもある開口部のうち、どれが同化作用に使われるのぜそんなことをしているのかまでは感じとれない。 かわかりさえすれば、その中に炭素を注入してみてもよいのだが。 しかし、さっきの生物が戻ってくると、そいつはそれに刺激され フのす て、いくらか元気になり、また体を垂直に起した。 製つま円 ~ 特ずき 今ここに集っている生物は、ほとんど全部、二股に分れた外被を な冊で 牢 6 が 持っているタイプだ・ーーそして、大部分はおそろいの金属の付属物 堅でと料 作こ がついた、濃紺色の外被をつけている。捕まっている標本を見た時 - 麗操る送 美なす の単に の連中の反応は、最初のやつのとだいたい同じだった。この連中 用簡本円 ン . 合 が、自分らの放っ周波数に一向に無頓着であることは、この時にわ ジすな ガでト かったのだ。しかし、すべて危険なレベル以下だったのは幸いだっ イマ価 アス この連中も、最初のやっと同じように、まず最初に砦の壁を探り 始めた。それからずっと今まで、連中の心の中は驚きでいつばいに 3 2
になっていく私をどうすることもできなかなるよりあまりの馬鹿さかげんに腹が立っ 拝啓、 2 月号読了。日本作家特集という った。その空想の見事さにジーンとしたのてくるもしかすると悪意を持っ宇宙人が である。こんなわけでファンになりつ地球を減ぼそうと、人間を″殺すことみにことでは、往年の同様の企画と比して、進 2 つある私、ただ喜こんでいいのか、それと金やカをそそぎ″生かすこと″には見て見歩の跡がみられるものの、反面、オールキ 2 ャストを出しているので玉石混交であるこ も悲しむべきことなのだろうか ? このこぬふりをしているのではないだろうか ? とも確かである。私の好みであるが、 とを夫に話したらいったいどんな顔をする ( 新潟県新潟市北葉町六 / 十一 だろうか、おやおやもう彼の足音の聞こえ はやはり本格物でないとエンタティンメン 坂井茂十七才 ) る時間だ。 ( 北海道北見市北斗町二七四 トとしての満足すべき面白味もないと思う 宮本良子 ) 暦の上ではもう春。まだ寒さが厳しい昨のだ。ファンタジイ、・ ( ロディ、シ - ート 今ですが、春もかけ足でやってくるでしょ ・ショートの類はよほどのものでないと、 今年の冬はインフル = ンザの大流行とう。さて、感ずるままに三月号の短評を述心が動かされない。小松氏、光瀬氏、豊田 か、我が新潟市でも休校になったところがべてみます。 1 「人口九千九百億」首氏あたりは、ご自分の一連の作品に、硬固 かなりあります。そんなことで読みなおす位にしたのは大西洋が足の下にあったかたる未来史、もしくはテーマパターンをあ 気にな 0 たのが小松左京の「復活の日』こら。もう一つ人間がクモのように平べったてはめて書いておられるのは、一つの強み の作品を最初に読んだときは破局テーマとくなっていてま 0 たく笑えない現実があつであろう。特に豊田氏の最近の筆勢は、 結婚八カ月、ある夜すごい喧嘩をした。して兵器による破減のアイデア ( 特にイたから。筒井氏の茶化した作品とそうでな『モンゴルの残光』以後、みるべきものが 給料袋の六百円の不足分についてである。 ンフルエンザをたくみに使ったあたり ) 、 い作品の交替する周期は何カ月位だろうかある。「アステカに火く嵐」もタイムパラ まったく始めてのこと、たったの六百円でスケールの大きさ、結末の鮮かさに感激しなどと愚にもっかないことを考えている。 ドックスの新しい処理の仕方に、氏のタイ はあるが、彼はØキチのマンガキチ、こ たことを思いだす。で、今回再読してみて 2 「十月一日では遅すぎる」確かに一位 ム・ハト戸ール論に、新味が出ていた。石原 れらは何はさておいてまっさきに読む。で気のせいか寒さを覚えた。それは話の中にになるべき作品だと思う。でも今のところ 氏のものも良いのだが、読んでいま一つ物 も結婚してから自由な小遣いは無理なのでも「ーー・だがいっかは " 現実。が " 報道。は、まだ序章という感じ、この後でドカン足りない。つまり、氏の学問的裏付けは充 ほどほどにしてもらっている。それが を追いこして、インクの香りのする新聞紙と来るのか静かに流れていくのか興味津々分なのであるが、それらの行間の技法 である。今月はとうとう給料に手をつけてやラジオ、テレビの受信器の背後から、こ 3 「ベルシダーに還る」 4 「気は優 もうちょっと叙情的描写を入れるとかー しまったらしいのである。「あなたが悟りちら側へせまってくる時がくるーー ) ての時しくてカ持ち」まったく土産物屋に並んで に工夫の余地もあろうかと思うのだが。以 を開いてくれるまで二日でも三日でも寝ま惨劇はもはや人ごとではなく、あなた自身もち 0 ともおかしくないようなものだ 0 た上のほかは、特にこれという作品もない。 せん」「あー困 0 たなあ、い 0 たい僕はどのものになるのだ」とあるように、現実にけどーー楽しい作品で四位。 5 「ばくの空想科学小説である以上、ある程度の現代 うしたらいいのだ」といいながら少しも改風邪をひいているせいかその恐ろしさが迫スペースオ・〈ラ」豊田有恒氏ちょ 0 とスラ科学の基盤にた 0 て、ある程度のごまかし 心した様子はみえない。「今月はの増 0 てくるような感じさえする。ベトナム戦ンプ気味か ? 『モンゴルの残光』でみせのない作品を期待したい。ホイルの「加月 大号が出たのと漫画の特集を買いすぎたよ争ーー誰もが関心を持っているであろう。たあの力量感、「タイム・ケンネル」の巧 1 日では遅すぎる」は連載であるから全部 うなんだ」ああや 0 ばりくだらない本の買しかしこと病気に関しては健康であるかぎ妙さはどこ〈行 0 たのだろうか。い 0 たい終 0 てからでないとなんとも言えないが、 いすぎだ。私は無性に泣けてきた。私はØり、人はほとんど無関心である。そしてたこの作品はなにを意図しているのかよくわ いかにもイギリスの風土から生れた一種の を知らなかった。彼はこんなに人間を夢かがインフルエンザぐらいということになからないし、かといって面白くもない 重厚さを感じさせる。つまり手でもってみ 中にさせる本はニ冊とないと言う。そしてる。私は認識されている危険より、そうで「やさしい文が高い内容を持 0 てないと見て、ズシリと手応えのある、あの感じであ の意図するものを淡々と話してくれない危険のほうがより恐ろしい。前者は危えるのは悪い癖だ云々」「さあ、さあ・ハラ る。ソ連の近況並びにソ連ベスト た。その結果、″毎月愛読″とどさくさの険とわかれば、人は敏感に反応してなんとドックスのたたき売りでござい。これでは セラーは、好企画。一部復しているが、 中で大変な約東をさせられてしま 0 た。こか回避することもできようが、後者は手遅まるで負け犬の遠吠えではないか。なにか世界の動向を知るには、機会と能力と金の んな事があ 0 て、私は内心はどうせくだられになるまで見過されている可能性が多い自分だけ悦に入 0 てるという感じで、読むない一般読者には、ありがたい。その他の ないものなんだと自分に言い聞かせて、傍からであるーー・・もちろんべトナム問題など者にとってはそれが少しも響いてこない。 ェッセイもおしなべて、良かった。 の手垢のついたなるものを読みつづはどうでもいいと言うのではないが・ : ( 東京都北多摩郡清瀬町 ( 広島県呉市広町中新開 けた。だが読んでいくにしたがって、夢中実際人間同士争っているのを見ると悲しく 上瀬戸一ノ一六ノ一三宮本宗明 ) 九七四五村野浩史 )
「若い、アメリガに渡った父が、どうしても柿がほしンジの中は、ほかほかと暖い。 「そろそろ、お別れだね」 くて、わざわざ日本から船に積んで故郷の柿の木を持っ てきたものです」 と私はいった。サンフランシスコへ上陸してから、早 と井上氏はいう。その木が異郷に、しつかりと根をおくも一カ月が過ぎようとしていた。 ろして、親、子、孫と、すでに、三代の歴史を見守って「もう、仕事が終ったの」 いる。アイリーンは、もはや移民の子ではなく、この大「あとは、原稿を書いて送るだけさ 陸が生み、育てたアメリカ人なのだ。 「じゃあ、ロサンゼルスへたつのね。私も、行こうかし そのことが一本の柿の木を見ながら、痛切な実感となら」 って、私の胸に追ってきた。 「お兄さんがいるとかいってたね」 「そうなの。ロサンゼルスには、もう長いこと行かない やがて日が落ちる頃、アイリーンは、ホテルまで車でわ。だから、父だって、 しいというと思うの」 送ってきてくれた。私は、なんとなく離れ難く思い 彼女は、頬杖をついて、遠くの灯を見詰めるようにし 「フェアモントへ昇ってみないかい」 ていった。仄暗い照明のなかで、白い肌に赤いスーツ と誘ってみた。 が、よく似あっている。 「いいわ。私も、どこかへ寄ってみたいと思っていたと「ふーん、じゃあ、遊びに来るさ。ぼくは、ヒルトンに ころよ」 泊っているよ」 彼女は、どことなく華やいだ声で、そう応じだ。フェ 「どのくらい ? 」 アモント・ホテルは、ノップ・ヒルというるし 、高、丘の上「さあ、それが船次第でね。とにかくパナマまわりでニ に建ち、サンフランシスコでも、もっとも美しいホテル ューヨークへ入ろうというのだから、厄介さ。それに仕 の一つとされている。 事の都合では、船に乗る前に、飛行機でワシントンへ行 なかでも、二九階建の最上階にある塔状の展望台が有くことになるかもしれない , 名である。塔までは、直通のエレベータで昇ってゆくの 「船って、楽しかったわね」 だが「これがガラス張りで、居ながらにして眺望を楽し「ああ。でも、こんどは貨物船だよ。船会社の人の話で めるようになっている。 は、いまどき乗るお客さんは、せいぜい、二、三人だろ 私たちは、やはり総ガラス張りのカクテル・ラウンジうといってたよ」 にはいり、窓際の席に着いた。眼下に無数のビルが、ホ「そんな船に、私も乗ってみたいわ . 」タル籠のように輝いている。 「でも、ニューヨークに着いてから、どうする ? ・ 彼女は、カクテルを、私はウイスキーのストレートを「当てもないわ。ア。 ( ートでも借りて、就職しようかし 注文した。外には、頬を切る寒風が吹いているが、ラウら」 8