人類 - みる会図書館


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1. SFマガジン 1968年7月号

ちょっとはなれた安楽椅子で、小さなジャコ 「ですから、科学警察ーーー国際警察の特別科学捜査局で、一警部補か説明している。 ポが、クッションに頬をおつつけたり、でんぐりかえりをしたり、 が注目しているだけです」 一人で退屈そうにあそんでいる。 「それはーー・その程度のことではいかんな」と、ナハティガルはっ ぼくたちの顔を見ると、ミナは立ち上った。青年は、 ぶやいた。「そしてまた、科学警察だけで処理できる問題でもなさ 「じゃ、明日から一つ、本格的なレクチュアにはいりましようか , そうだ。 国際学術会議議長のブルンシュライックに話して : といって、指についた粉をはらいおとし、ぼくたちに黙礼して出 そこまでいうと、ナハティガルは急にだまりこんだ。ーー眼は宙ていった。 ミナは笑いながら手をのばした。 を見つめ、瞑想にしずみこむような様子で、歩きつづけた。 「おひさしぶりです、賢者 : 建物の角をまわってきた、ほっそりした姿の青年が、ナハティガ 「ミナーーあなたには、あまり私の研究室に来ていただけません ね」ナハティガルもにこやかにミナの手をとった。「それにして ルを見て、びつくりしたように眼をみひらいた。 : ・」とクーヤは、ややはなれたも、あなたの専攻は、人類学ではなかったですか ? ーーーそれが情報 「来たんですか ? ナハティガル : 工学にも興味をお持ちとは : 所から声をかけた。「いったいどうしたんです ? 「 HO 一ゴ 0 sum, et nihil humanum mé alienum pütö•• 「ジャコボにあいにきたんだ」とぼくがかわって説明した。「チャ ミナはいって、はにかむように笑った。「古い言葉ですわ、賢者。 というのは、 ーリイの件について、なにかわかるかも知れない アンスロポロジスト でも、この言葉の中の人間を、人類学者におきかえれば、そのまま まったくぼくの臆測だがね」 突然ナハティガル私の信条につながるんです。人類学は、結局人間のうみ出したすべ 「ヴィクトールのいうとおりかも知れん : は、瞑想からさめたように、。ほっりとつぶやいた。「チャーリイはてのものの探求にむかうことになります。文明もすべてふくめて : : ・特に、人類の新しくうみ出した、″電気的情報文明〃の人類集団 しいにくいことだが : : : おそらく助からんだろう」 「じゃ、またあとで , とクーヤは手をふった。「タ食をいっしょにの上におよ・ほしつつある影響は注目しなければなりません。なぜっ てーーーその段階でまた、人類社会のすべての様相がかわってきて、 どうですか ? ナハティガル 冫いった。「だ核エネルギーの解放や宇宙進出、全宇宙認識の変容ということが起 「ありがとう : ナハティガルは上の空のようこ ってくるのですから : : : 」 が、そのひまはないかも知れん」 クーヤは、くるりと背をむけると、足早やに去っていった。 「そういったものを、何の。ハックグラウンドの上において理解しょ 巨大な二十階だての、情報工学研究所へ行くと、入口をはいってうとなさっているのです。ーーー自然ですかな ? 」 すぐ横のラウンジで、ミナは眼鏡をかけた青年と、話しこんでい 「最初はそうでした。でも、いまはちょっとちがいます コスモギッシ た。青年は、黒板の前に立って、複囃な数式を書いて、しきりに何は、ちょっと耳を染めて口ごもった。「宇窟論酌なーー宇宙史とい 円 6

2. SFマガジン 1968年7月号

2 ー。。 SW DETECTORV ででくたあ石つ。 , 司 、、ステリー・マニアの集まりである〈 (-DX の会〉がが、時事風俗を扱わない。外国の短編の影響ででもあ る。長年放射能を浴びつづけたため不死身に近くなっ ヒカソ流の 恒例の年度ベストを発表したが、部門はつぎろうか。第三、前衛的な手法を使わない。。 た物理学者が、致命傷で心臓がしばらくとまったのに のとおり。 画も悪くはないが、怪物の写生にはむかないのではな 脳髄は生きつづけ、その結果、生き返ったあと意識が ①プライアン・オールディス『地球の長い午後』②いたろうか。発想で飛躍があるのだから、そのうえ手 他人よりも ( 心臓の停止していた時間だけ ) 先行す ハリイ・ハリスン『宇宙兵プルース』②筒井康隆『・ヘ法でさらに飛躍したら雑然としたものになりかねな る、というアイデアが出てきたりして、読ませる。 。私の外観は・ほそっとしているが、精神的にはスタ トナム観光公社』・・キャンベル『影が行く』 ・Ⅱ・シェール『地球人捕虜収容所』 (KORPS ⑤ジ一一ディス・メリル編『年刊作選 1 』⑥小松ィリストであり、江戸っ子なのである」 DER VERZWEIFELTEN. 64 ・松谷健二訳・創 一に左京『生きている穴』⑦同『神〈の長い道』⑦ ( リイ翻訳が七冊。 元推理文庫・ 16 0 円 ) は、ドイツ界のペテラン ンラノ・ド・ ベルジュラック『月と太陽諸国の滑稽 ハリスン『死の世界 1 』⑨アイザック・アシモフ によるハードなスペース・オペラで、なかなか読みご 『ミクロ潜航作戦』⑨ヴァン・ヴォクト『非の偲譚』 (HISTOIRE COMIQUE DES ETATS たえがある。異星生物との虚々実々のかけひきが巧妙 ET EMPIRES DE LA LUNE ET DU SO ・ 儡』⑨同『武器製造業者』あなたの採点は ? に描かれておりスパイ小説としても出色といえよう。 LEIV 1687 伊東守男訳・早川書房・ 320 円 ) レイ・プラッドベリ『ウは宇宙船のウ』 (R IS FOR は、ごそんし十七世紀のリ・ヘルタンの旗手が残した有 ROCKE"L 62 ・大西尹明訳・同・ 220 円 ) は、お 「一九三五年と今日との間に、小説は、心理的、社会名な古典の完訳版である。史のひとつのマイルス なじみの詩人の自選短篇集で、「霧笛」「太陽の トーンであり、宇宙の森羅万象を解釈してみせる長広 的、倫理的、または形而上的問いかけであったもの 金色のりんご」「亡命した人々」「霜と炎」など十六 が、美的、夢幻的、現象学的問いかけへと移行してし舌の哲学が、なんともいえず楽しい へ節で読者を 編がおさめられており、例のプラッド・リ まった。 : : : この展望に立って、先駆者というものをジョン・・キャンベル『暗黒星通過 ! 』 (THE ヘーの文章の 酔わせてくれる。巻未に訳者がプラッド・丿 BLACK STAR PASSES . 198 ・野田昌宏 考えるとき、ジョイスはジッドよりも重要となり、プ 特色について具体的に指摘しているのが興味深い ルーストはベルナノスよりも面白く、ロレンス・ダレ訳・同・ 300 円 ) は、の「草分け時代の典型的 ジュディス・メリル編『年刊傑作選 4 』 (THE な作品」 ( 作者序文 ) で、《アメージング・ストーリ ルはカミュよりも興味深いのである」 YEAR'S BEST SF. 64 ・宇野利泰訳・同・ 190 フランスの文芸評論家、・・アルべレースのーズ》誌に発表された〈アーコット・モーリー & ウェ 円 ) は、年度のアンソロジーで、テン、ベスター ード〉シリーズの最初のグループとされている三編 『小説の変貌』 ( 紀伊国屋書店・ 620 円 ) は、この ポーモント、マラムッド、プラウン、タ ような見地から現代文学をとらえたユニークな文学論 ( 宇宙海賊株式会社、宇宙船ソラライト号、暗黒星通 プ、 O ・スミスなどの作品が入っている。 で〈アンチ・ロマン〉の役割を要領よく位置づけてい過 ! ) を収録してある。アメリカ育ての親が古き ・マンベル『呪 恐怖小説のファンには、ロジャー る。ダレルの唱える〈次元の小説〉論をを例に良き時代に書いたこのスペース・オペラには、の を売る男』と・メリット『魔女を燃き殺せ』 ( 徳 : : ・この作品がきたる ひいて説明するなど、〃文学としてのんに関心の初心が脈打っており、「読者は・ 書店・ 320 円 ) の二冊をおすすめしておきたい。 べき明日に自分達が築かねばならぬ世界について考え ある向きには、かなり参考になるだろう。 今月随一の好読みものは、星新一のエッセイ集『気てみようと試みた人達の、若々しいイマジネーシ , ン 本誌に連載された小原秀雄『人類動物学』 ( ハ まぐれ星のメモ』 ( 読売新聞社・ 430 円 ) である。そのものであることに気づくことだろう」 ( 序文 ) 。 ルイス・シャーポノー『この地球のどこにも』ャカワ・ライプラリ・ 3 0 0 円 ) が刊行された。内容 「これまでのほば十年間に新聞や雑誌、その他に書い た随筆のたぐいをまとめたもの」で、を書くた ()O PLACE ONEARTH. ・足立楓訳・同・については改めてご紹介するまでもあるまい。生物界 め、死ぬ思いで四苦八苦し、そのアイデアを得てい 280 円 ) は、人口増加と長寿の実現による飢餓の危と人類の未来について、ユニークなアプローチを試 の神様の発想の秘機におびえ独裁政治が行なわれている二十三世紀の地み、大胆な問題提起を行なったもので、著者がさきに る」というこのショート・ショート 密をのそかせてくれる。楽屋裏を垣間見る楽しさでも下運動者を主人公にした、一種のアンチ・ユートビア発表した『幻世紀の人類』の発展である。 ある。「書く題材について、私はわくを一切もうけてものだが、味は薄く、サス。〈ンス小説と呼んた方科学読みものでは、他に、井尻正二『化石』 ( 岩波 新書・ 15 0 円 ) 、フレッド・ホイル『宇宙・と人間』 がふさわしそうだ。 いない。だが、みずから課した制約がいくつかある。 その第一、性行為と殺人シーンの描写をしない。希少チャールズ・・メイン『同位元素人間』 (THE ( 法政大学出版局・ 350 円 ) などが注目される。 ・価値を狙 0 」るたけ、〈 0 = 道徳的な主張ら 0T0 「 EMAN ・斎藤伯好訳・久保書店・ , ・。肩 0 = らな」』 = ろ、菊池誠『ある技術者 0 発 た。第二、なせ気が進まないのか自分でもわからない科学記者が追 0 かける上出来のミステリーであル』 ( カて ( ブックス・ 300 円 ) などがある。 0 間い

3. SFマガジン 1968年7月号

た。まるで手荒に扱えば砕けてしまいかねない。ひどく脆ないものこだ問題は。 「彼らはここへやってくる。そして、最初の接触のショックで、わ 胸に抱えてでもいるように。 れわれの欲しがるあの金色のねばねばを垂らしはじめる。だが、最 「ジェーン叔母さん ! 」彼はかすれた声でいった。 後のひと月かそこらになると、苦痛はしだいにおさまってゆく。な 返事ともとれる呟きが返った。 「叔母さん、や 0 とわかったそ ! なにもかもが ! きいてくれぜか ? それは、二つの心、人間と異生物の心が、戦いをやめるか まあ、きいてくれよ ! 」考えをまとめるあいだ、言葉を切っらだ。なにかが抵抗をあきらめ、なにかの壁が崩れ、そして融合が た。「二つの異質の文化が出会うとき、かならず強者のほうが、愛起きる。この作業で人間側に事故が発生するのはそのときさーー・人 の言葉さえなくなって、ここから運び出されてゆく痴呆たち。そ か憎しみで弱者を変化させる。お・ほえているかい ? あのとき、あ尸 う、たぶん彼らはしあわせなんだーーーすくなくとも、このおれより なたは意味がよくわからないといった。いまからそれを説明しょ なぜなら、連中は心の中に、大きいすてきななにかを持って 百年前、タイタンで。ヒジョン中佐に出会ったときから、この : いるからだ。あなたもおれも、とうてい理解できないなにかを。だ ・ : この怪物たちは二つの種族がいずれは再会する運命にあることを が、もし連中を集め、そしてここで暮らしたことのある異生物たち 見ぬいたんだ。彼らは宇宙へ植民を進出させているところだった。 っ そして、われわれも。人類はまだ恒星間飛行の段階には達していなとっき合わせてやれば、けっこううまく暮らしていくだろう かったが、あと百年もすればそれをものにするだろうことは、彼らまり、連中は順応させられたのさ。 の目にも見えていた。遅かれ早かれ、人類は彼らの領域へ手を伸ば「やつらの狙いはそれなんだ ! 」彼はコンソールをなぐりつけた。 いまから百年、二百年さきのことを、 すだろう。そして、彼らにはそれを止めるすべがない。なぜだかわ「目さきの狙いじゃない いっか人類が恒星への進出にーー宇宙 やつらは見越してるんだ ! かるかい、叔母さん ? それは彼らが殺し屋じゃないからなんだ。 とりかかったとしても、そのとき、すでにわれわれは 彼らはそんなふうに生れついていない。人類よりもっとやさしい生の征服に 物なんだ。つまり、彼らは宣教師、われわれは南洋諸島の土人さ。征服されているだろう。それも、武器を使ってじゃないんだ、叔母 彼らは敵を殺したりはしないーーー考えただけでもあなおそろしやとさん。憎悪によってじゃなくーー・愛によってなんだ。そう、愛だ たち よ ! うすぎたない、卑劣な、猫つかむりの愛に征服されるんだ う性質だ」 ジェーン叔母さんはなにか言いたそうだったが、彼は委細かまわ ジェーン叔母さんは、かん高い、心配そうな声で、くだくだとな ず先をつづけた。「いいから聞くんだ ! れいの長寿血清ーーーあれ にかをしゃべった。 はラッキーな偶然だったのさ。しかし、彼らはとことんまでそいっ を利用した。巧妙に、如才なく。彼らはわざわざ足を運び、ただで「なんだって ? 」ウェッスンは苛ら立たしげにききかえした。一言 5 そいつを置いていくーーー なにひとっ代償を求めずに。なぜか ? そもわからなかったのである。

4. SFマガジン 1968年7月号

ハヤカワ S F シリース 最新刊・近刊 シラノ・ト・ ベルジュラック伊東守挈 = 月と太陽諸国の滑稽譚 十七世紀の奇人シラノの諷刺と諧謔に満ちた宇宙冒険物語。の礎石を置く歴史的作品。完訳なる ! 定価三二〇円 アイサック・アシモフ中上守訳 銀河帝国衰亡史 無辺の大銀河に展開される、壮大な宇宙未来叙事詩。人類は如何にして破滅の危機に対処もカ ? 定価三三〇円 角笛の音の響くときサー〈 : 井諟 瞬後、彼は第一一次世界大戦に勝ったナチスによって支配される暗黒の未界ら、、た ! 定価一三〇円 万国博がやってくる眉村卓 社会派の第一人者が、いかんなく面目を発揮した未来社会テーマの数々。価三三〇円 ジョン・・キャンヘル ) 野田昌宏駅 暗黒星通過 / スース・オ〈ラの新しい変り種子として歴史的に一価、れるき良き時代の傑作 ! 定価 = 一〇〇円 カナン五一〇〇年光瀬育 無辺際の宇宙に生きる人々の夢と脳を、独自の筆で " 川いた近作ト篇を収録ー・定価三二〇円 ッシュ 久志訳 ジェイムズ・プリ 時の凱歌 ークは如何なる運命を辿ったか ? 定価一一六〇円 宇宙消滅の日が刻一刻と迫っていた飛行都市ニュ 一 ) の地球のどこにも ~ イ = ・、てー奓ー畢 ド宙船を建造して地球脱出を企てた地下運動者達彼らを裏切「たのは誰か ? スパイの傑作 ! 定価八 二一〇円

5. SFマガジン 1968年7月号

「ジャコボを賢者にあわせたら ? 」 レ J ・まノ、ま、つこ。 「それが何かの役に立っと思って ? ミナは、ジャコボをかばうように、その小さな痩せた肩を抱きょ せた。 前号のあらすじ ぼくの名はタッヤ。ヴァージニア大 学のサ / くティカル・クラスに学ぶ日本 第 人学生だ。最近ぼくたちの間で流行し ている議論のテーマは人類は完全じ ゃなし、ということだった。現実に は , 人類は今その絶頂期を迎えつつあ 生 った。戦争はとっくの昔になくなり , 世界情勢はあらゆる面にわたって好転 た しつつあるように見えた。たが , 長い 間抱かれてきた人類の目標がいざ達成 ま されてしまったら、そのあと何が待ち るはモ うけているのか。限界をのりこえるだ の けの力が , 人類にはあるのか。そこが 死 邪いク 悪ずワ 問題だった。 なれ 折も折 , ぼくたちは突然 , 得体の知 姿も京 れぬ何者かから , 不気味な殺人予告の な新 : 都 挑戦を受けた。級友の一人チャーリ イを一週間以内に殺すというのだ。最 初の予告は仲間ぜんぶの潜在意識に植 挑百ル えつけられ , 二度目はヴィジフォーン 戦七ボ のスクリーン上に黒い影として現われ 者 0 ン た。悪戯にしては手がこみすぎてい 以ヌ る。ぼくたちはいやな予感を覚えた。 の上 正の 体天世 ち くでに かか、なてひ乱 ーー 1 は才界 さ おでジわて見さ 、ぼま しぼ ののらいよこ し ぼ あ もヤか 、たあ問くず ? ばの 影そ、るつのてく か コん悪 にみ何かと際、は か有 いは し . てマ てマ君ポないおジか おはかもし、ど そり名 さ いのははいやそャけおち びなひ知てあう葉 のだ大 あ なお つろコたびが えいきれ、らにを シ・ 真っ学 い友き白 。えい しポ た と出なジゆもき ヤ のたに だのい たな の 思せいヤるおっ コ 目 / あ ジ ちう眼 同やも よ うる コ可さた ポ 。は 的い ののを じつう 。わか ポ能ま ヤ 誰午し に思 ひ は第つ か も は性り コ か後て ポ いは度 フ知ぼ、をが も よ 何四い を が 、ウれくそ追っ動 つ ? ので 殺そ首 昼し ナね そ ならの究か顯 と 獲お も すのを 間て しなし の し 巨物こ う 君く っ″ふ 影 カ : は悪てかた た ヤ て強っ がれ に ン わいみつ気 ら が選た 度 いくた ほな 、るた分 か か 放ば謎 って えし、 く ら強必 は 話 た悪 てか れ つれの ない要 ま し んい や ? いやが よ だ 白た予 て だや う がつあ 熱チ告 く よっ た と り のヤ殺 れ 戦 ナをそ 野一人 が 黒う る 心リの そ 子 テ当だ 君 シ・ 大イ犠 の 考 て かは ヤ 作に牲 く ガ知 ど が コ 大 / 迫者 た 強屋 うイ可、 混 ノレつ 一 1 ロ 3

6. SFマガジン 1968年7月号

「雲をつかむような話だな」とホアンはいった。「どんな生物が出はじめた。ついにそれは、一つの複雑なリンク機構に似た波うちく ねるごく大まかなパターンの中に収歛しはじめた。 てくる可能性があるか、という予測はなりたたないのか ? 」 「今、ここで大雑把に固定しているパターンが、ホモ・サ。ヒエンス 「それも、おそろしくびろい範囲ではなりたつよーチャーリイは、 グラフィック・パネルの方をふりかえっていった。「ただ、外挿条だ。ーー・何度もいうけど、おそろしくあらっぽいパターンだよ」と 件の変化の幅が、きわめてひろいので、生物一般論としてなりたたチャ 1 リイはいった。「時間系をちちめてみる , ステージ せるのはむずかしい。 基礎的進化の〃次の新しい段階〃を予測図形の動きはめまぐるしいほど早くなり、そのうち、その数カ所 することはできるが、これはほとんど千万年単位から億年単位だ」がアメしハの根足のようにのびはじめた。 「のびているのが、可能的進化の方向だ。与件をかえれば、ある突 「霊長類 , ーーあるいは人類にしぼって考えたらどうだ ? 」とデイミ トロフ。「現在、高等哺乳類の中で、大脳進化の方向で最先端をき起はちちみ、ある突起はのびるーーこれが、氷河期型 : : : ほら、か っているものとして、その諸条件をおさえ、進化の方向を延長してわったろう。これが温暖期型 : : : 」 みたら・ : : ・」 チャーリイのいうとおり、ある根足はのび、ある根足はちちん ◆ - 」 0 「それも、今のところは雲をつかむような話になっちまうんだ」と チャーリイは苦笑した。「ただ、こういうことはできる。つまり、 「さてここで、いまいった電波情報型という仮定を挿入してみる。 ハターンがどうなるかみたまえ」 最初の方でしゃべったように、次の段階で、電流Ⅱ電磁波類を、直 うねる無数 チャーリイは、スイッチの一つをポンといれた。 接情報伝達に利用するような人類を仮定する。そしてその仮定をみ たし得るような条件が、現在の高等哺乳類の進化の方向の中にあるの曲線が描き出していた不規則で流動的な。 ( ターンは、みるみるう かどうか、ということを、検討してみることはできる。 これかちにくずれはじめ、とりとめのない、もつれた糸のような光の線の ら見せるのは、その実験だ。生体電波情報をつかう、架空の人類のうねりに拡散しはじめた。 。 ( ターンは、もう電子脳の方にいれてある。そこで、現在の霊長類「ごらんの通り、今のわれわれの進化の方向から、そういう生物が 生命系の基礎パターンを動かさす、そのくみあわせの変化の中で進うまれてくる可能性はきわめてすくないといえる , とチャーリイは 化がおこなわれるとして、その変化の範囲内にそのような人類がう いった。「人間が、その知能のパターンから、第二次環境ーーっま まれてくる可能性があるかどうかー・・・そいつを一度やって見ようー り体外情報蓄積による文明的環境の中から、電波を情報につかうこ チャーリイはスイッチをいれた。地下にある大電子脳と直結されとを発見した、そういった可能性の方が、まだつよいわけだな。そ ているグラフィック・パネルの上に、赤、青、黄、緑、紫など色とれにしても、まだこれだけでは不充分なことはいうまでもない。生 りどりの光のいくつもの曲線が動いて行き、それが相互に干渉した命系の基礎的要素が、変化した形でーーたとえば、エネルギー代謝 り、もつれあったりしながら、虹のように不思議な光の模様を描き効率が、嫌気性従属栄養型から、好気性にかわった場合のように、 掲 8

7. SFマガジン 1968年7月号

うか、宇宙変化をつらぬいて流れる一つの流れの、太陽系近傍的なこころみ、そのうちの何人かは、飛躍に成功したかも知れません。 展開、といったものの上におかなくては、と思い出しています。そ彼らが、われわれから見て、一種の狂人になったのか、それとも人 のくらいにしないと、地球的生物である人類の、宇宙進出とか、地間一般の知性の領域のむこう側の不可知の領域が、彼らにとって可 私には何ともいえないが、しかし、その限界を 球上の文明の展開、またその文明の中核から提出されている生物と知になったのか 認識できる、ということは、その限界を越えた″超知性〃を想定す してまったく新しいタイ。フの問題、といったものが、視野にはいっ てこないような気がします。ですがまた、その・ハックグラウンドにることもできる、ということです。そういうものが実際に存在する なっている宇宙史展開の流れの把握が、それ自体また一つの時代しないは別としてーーっまり、自然的空間の中にその断面が、実際 観測され得るような形で現出してくる、四次元的空間がーーそう 的、文明的制約をもっているものですから・ : 「普遍学は当今の流行ですな」ナハティガルはほほえんだ。「あなう空間がどこかに実在するかどうか、という問題と同じでね , 〃超知性が存在するとしたら、それはわ たの宇宙的視野に映じた人類の姿は、いかなるものになりそうです「でも、もし、そういう か ? 」 れわれ人間の能力を超えるような能力を前提としなければなりませ 「ええ、あの : : : 人類って、生物としては、まことに奇妙な生物でんねーーーちがいますかしら ? 」 「ところでーーあの坊やが、ジャコボですかな」 すね。霊長類をふくめた人間以前の生物の概念でわりきれるでしょ ナハティガルは、椅子のうしろにかくれようとする小児にむかっ ナハティガル、あなたは賢者だから、答えを知っておい てほほえみかけた。「おいで、ジャコボ」ーー・私に、話をきかせてく でかも知れません。人間の知性ってなんでしよう ? ーー科学におい ては、その認識範囲にー・・・・・・その限界はどんどん突破しつつありますれないかね ? 」 ・ほくはジャコボがきっと逃げ出して、さんざん手こずらせるだろ けど , ーー・、限界がいつもはっきりとあって、わかっていることと、ま だわかっていないことの境界ははっきりしています。ですけど、人うと思っていた。この野生の小動物のような子供は、ひどく警戒心 間の〃知性〃ってものにも、どうしようもないそれ自体の限界があ がつよく、人見知りがはげしかったからだ。 るのでしようか ? 」 ところが、椅子の後ろから大きな白い眼だけ出して、ナハティガ ルを見ていたジャコボは、声をかけられると、おずおずと前へ進み ・ほくとナハティガルは顔を見あわせた。 そして耳をふせて足もとへすりよる大のように、体を低 「いま、タッヤと、ちょっとそのことについて話していたところで出た。 す」とナ ( ティガルはいった。「私はーーあると思いますね。科学くして、おずおずとナ ( ティガルの傍へ進んできた。 ジャコボ ナハティガルは、安楽椅子の一つに腰をおろした ~ の方にはひょっとしたら限界はないかも知れないが知性にはある。 そしてその限界を見るのは非常にむずかしい。またその限界をこえは、その前に近よると、突然ひざまずいて、ぶるっと身をふるわ ることはさらにむずかしい。歴史上の何人かが、その限界の突破をし、その頭をそうっとナ ( ティガルの膝にこすりつけた。 ー 97

8. SFマガジン 1968年7月号

精いつばいの努力で、ウェッスンは寝がえりをうち、片肱をつい 彼は知っているーーあそこはいま春だ。そして、暗黒の緑がしだ めのう いに退いていくあたりには、朝が訪れている。瑪瑙の中に捕えられ 5 てソファーに上体を起こした。頭蓋にかぶさる、切れめのない冷え た海の色のように、うるうると青い朝。煙ともやに包まれた朝、静 びえした圧迫感。部屋は彼のまわりでゆっくりと、眩暈のするよう けさと希望にみちた朝。眼下のあそこ、失なわれた歳月と里程のむ な円を描きながら、傾き、揺れているようだった。 あごの筋肉が緊張でひきゅがむのを感じながら、ウェッスンはう こうで、小さな点でしかない娘が顕微鏡的なドアをひらき、原子の ずくまり、そして立ち上った。背中と足がひきつった。口が苦痛でさえずりに耳をすます。失なわれた、そして標本スライドのように ひらいた。一歩あるき、床がまっすぐにおちつく頃あいをはかっ綿花のあいだへしまいこまれた朝。地球のある春の朝。 て、もう一歩踏み出した。 その頭上の暗黒のなか、六十個の地球を一列に並べねば届かぬ高 コンソールの右側面、これまで真暗だったほうにも、いまでは明みの止まり木で、ウェッスンは円の中の無限の円を描いている。し りがついている。そのダイヤルによると、第二区の内圧は一・二気かし、彼の足もとに広がる深淵がいかに大きかろうと、このすべて 圧だった。ェア・ロックの指示計は、それよりもやや高い酸素とア 地球、月、宇宙ステーション : : : そう、そして太陽とその全惑 ルゴンの圧力を示していた。これは異星人用の大気が第一区に侵入星さえ、全宇宙から見れば、二本の指でつまめるほど微小なものに するのを防ぐためなのだが、同時に、もうェア・ロックがどちら側すぎない。 からも開かないという意味でもあった。それはウェッスンに、奇妙空の果てーーーそこにはほんとうの深淵がある。その闇のとばりの な安堵を与えた。 奥には、幾つともしれぬ島宇宙が横たわり、意味のない数字でしか 「地球を見たい」 表わせぬ距離、 0 、 0 、 0 、という絶望の叫びでしか表現できぬ距 彼はあえぐようにいっこ。 離をつらぬいて、輝きを送りこんでくる : のそきこんだ目のまえで、スクリーンがつく。「ずいぶん下だ」 人類はそのありあまるエネルギーのおもむくまま、悪戦苦闘のす と彼はいった。深い深い井戸の底 : : : この単調な十年を、彼は〈ホえ、ようやく木星にまで到達したのだった。しかし、 かりに人類 ーム〉ステーションの自動制御技術者としてすごしたのだった。そが、その横たわった足を太陽で温め、その頭を冥王星で冷やすほど のまえはパイロットを志望したこともあるが、一年目で落伍した丈高い生物であったとしても、このとほうもない空虚の広がりに比 数学についていけなかったのだしかし、地球へ帰りたいとべれば一片のけし粒でしかない。そして、人類の外壁は、冥王星で はなく、ここなのだ。〈外界〉はここで砂時計の腰のようにくびれ は、その間いちども考えたことがなかった。 ここだけで、三つの世界は いま、とっぜん、まったく十数年ぶりに、その小さな青い円盤て、その壁と , 対面している。ここ が、彼にはたとえようもなく愛おしいものに思えてきたのだった。接触をたもっているのだ。われわれの世界と、そして彼らの世界 「叔母さん、叔母さん、なんて美しいんだろうな」そう収いた。 ヾ、 0

9. SFマガジン 1968年7月号

と考えるわけには行きませんが : 一連のものとして見る見方をとったのは、私がはじめてでしよう。 「ちょっと待ってください」とぼくはロを挿んだ。「モスクワと。 ( 今まで、異常ではあるがそれそれの地方的事件として、この三つな リと京都とー・ーそれだけはなれていながら三件とも、やはり同一人いし四つを、関連させて考える立場を、どこもとっていなかったの 物の犯行だという確証はあるんですか ? ー です。ーー最初の、モスクワの場合は当然気がっかなかったでしょ 「いずれも、Ⅱで三時間以内の距離です。位置はあまり問題に う。京都の場合も、前例はあまり気にとめなかったでしようねー ならんでしよう」と警部補はいった。「まわりの人物に挑戦し、予「あきれたものだ ! ーヤング博士は椅子の肱掛を。ハンとたたいて叫 告し、優秀な学徒を殺すーー パターンは同じです。同一人物か、あんだ。「これだけ、警察の国際的情報化がすすんでいるのに : るいは : : : 」 「しかし博士、全世界の犯罪は、一応 ( 国際警察機構 ) の 「あるいは ? 」 中央情報機構にプ】ルされるたてまえにはなっていますが、一例や 「同一組織の人物のやったことでしようね。 そんな組織が、仮二例では、同一手口と判断するところまで行きません。ーーそれに、 にあるとして : はたしてこれが犯罪なのか、偶然の事故死、あるいは自然死なの か、判断がっきかねる場合、。フーリングがおくれることもありま 「これまでの三件について、くわしい情報ははいっていますか ? とアドルフがきいた。 「モスクワ大学の場合をのそいて : : : それから、ソルポンヌ大学の 「ソルポンヌの場合は ? 」 事件を担当した、ラクロという警部が、今日午後、こちらへつくは 「これは、予告されてから、犯行がおこなわれるまでの時間が、三 ずです」 日しかありませんでした。 この場合、友人連中が、事件が起る 「殺された学生の専攻は ? 」とヤング博士。 まで、警察に殺人予告のことを告げていなかったのです」 「ソルポンヌの場合、哲学専攻の大学院学生です。モスクワ大は、 「三つの事件のデータは、わかりますか ? 」 人類学の助教授でした。京大は、動物学です・ : 「簡単なものなら、ここにメモがあります。ーーーおききになります 「それでーーー三つの場合とも、ふせげなかったんですね」とデイミ か ? 」 トロフはいっこ。 警部補は、ポケットから、個人電話を出してテーブルにおいた。 ひやりとする沈黙が一座の上を流れた。 いままで、窓から明 毛のように細いワイヤーをつかったレコーダーがついて、警部 るくさしこんでいた陽ざしが、突然かけったせいもあったろうが : ・補がコードボタンをおすと、その項目のはいったところまで早送り され、プレイ・ハックしはじめる。 「実をいうとーー , 警部補は、帽子の縁を骨ばった指先でもみしご ☆モスクワ大学ーー本年二月四日 きながらつぶやくようこ、つこ。 冫しナ「この三件を、そして今度の件を 被害者、、・リュー コフ、才、自然人類学科助教授、教室の ・フリル

10. SFマガジン 1968年7月号

計器盤の最下部では、 いくつかのダイヤルがぼうっと金色に光で、頭蓋が割れそうだった。「ジェーン叔母さん」 り、針がかすかに、かすかにふるえている。 やさしく、安らぎにみちた声。苦痛な治療のあいだ、べットのそ 液槽ーーー階上に備えられた液槽の底に、金色の液体がすこしずつ 滴り落ちているのだ。『小生は悪感をこらえて、ようやくその分泌ばで付添ってくれる看護婦のような声。能率的で、訓練をつんだ思 物のサンプルを採集することを得た。のちに分析に回した結果 : ・ 「ジ = ーン叔母さん、なぜやつらがきまっ第ここへやってくるか その宇宙空間のように冷たい液体。チ = ーブの内壁をじわじわとを、あなたは知っているのか ? 」 、え」声ははっきりといった。「それはまだ謎ですわ」 伝いおりては、暗黒の盃の底に小さな池を形づくってゆく液体。な エリキサー ウェッスンはうなずいた。「ほくは〈ホーム〉からここへくるま かば生きもののように金色に輝く液体。黄金の霊薬。その濃縮物の カウアーを知ってる ? 外宇宙局の長官 一滴には、二十年間にわたって老化を防ぐ効力ーーー血管を柔らかえに、。 カウアーと会った。・ に、筋肉をしなやかに、目を曇りなく、髮をつややかに、脳をいきだ。それがわざわざ・ほくに会いにきた」 「それで ? 」ジェーン叔母さんは先をうながすようにいった。 いきと、保ちつづける効力が秘められている。 それを明らかにしたのは、。ヒジョン中佐のサンプルのテストだつ「彼はこういったよ。『ウェッスン、ぜひともきみに探ってもらわ た。、そして、そこからこの気ちがいじみた『異星人交易所』の歴史なきゃならんことが一つある。つまり、彼らの補給がこれからもあ が始まったーー・最初はタイタンに設けられた仮小屋から。そして、 てにできるかどうかだ。わかるかな ? きみが生まれた頃より、人 ストレソジャー 人びとがさらにその問題を理解した - ことによって、異邦人ステーシロはまた五千万も増えているのだ』とね。それからつづけて、『っ ョンが誕生した。 まり、いままでよりいっそう多くのそれが必要だし、あてにできる 二十年に一度、ひとりの異星人が『どこか』からやってくる。そかどうかも知る必要がある。どうしてなら、もし供給を止められて して、人類が彼のためにこしらえた小さな檻の中におさまり、夢をみたまえ、なにが起こるかわかるだろう ? 』といった。なにが起こ 超えた富ーーー生命の贈物を人類に与えて去ってゆく。いまだにそのると思う、ジェーン叔母さん ? 」 「たぶん破減でしようかー 理由は不可解だった。 階上で超こっていることを、ウェッスンは想像した。極寒の闇の 「そうなんだーウェッスンは敬服をお・ほえたようにいった。「そう 『かりにネフュド地区 なかにうごめく体が、ステーションの回転に身をまかせながら、チなんだよ、ガウアーもおなじことをいった。 いうまでもない、 ューブのロに冷たい金色の粘液を滴らせている。ポトボト、ポトボが、ジョルダン峡合当局から切り離されたら ? 7 トと。 一週間何百万人飢え死 = す 0 。また、り = 月基地 = 補給船が 5 ウェッスンは頭をかかえた。考えることもむずかしいほどの圧力こなくなったら ? 何千人が餓死と窒息死をとけるだろう』と。