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検索対象: SFマガジン 1968年8月号
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1. SFマガジン 1968年8月号

アメリカ作家協会選の一九六六年度ネ一てはいられない。恥をしのんで白 ビュラ賞作品を紹介したのは、今年の五月号状すると、『アインスタイン交 だった。情報の入手が遅かったのや、いろい点』みたいなおもしろくない小説 ろあって遅れてしまったのだが、原稿が印刷 ( つまらない、 とはいわない ) が されてひと月もしないうちに、今度はまたはなぜネビ = ラ賞をとるのか、・ほく 集 やばやと六七年度ネビ = ラ賞のニ = ースがとにはさつばりわからないからだ。 品 びこんできた。 作 スペースオペラだけは体質的に受 ごらんの通り。 けつけないというものの、に ュ ・ヘスト・ノヴェル 『アインスタイン交は相当に年季を入れているから、 点』 The Einstein lntersection サミ = エル正統的なサイエンス・フィクショ ・・ディレイニ ( エース・ブックス ) ンであれ、ファンタジイであれ、 ベスト・ノヴェラ 「その男を見よ、最近の〈新しい波〉であれ、それ BehoId the Man マイクル ・ムア「 , ク ( = がなんであろうと石ころのなかにまじる玉のに再録されているのを見て、思ったとおりだ ワルズ 166 所載 ) いくつかは見つけたす目を持っているつもりと = ャリとしたのだが、同し本のなかに、な ベスト・ノヴェレット 「ダイスをころである せ再録されているのかわからない作品がいく がそう」 Gonna ROII the Bones フリツツ・ ところが、今まで読んできたネビ = ラ賞作っも見つかるのだ。ベスト・ノヴ = ラ「かた ライバ ( アンソロジイ『危険なヴィジ = 品に、アメリカの作家たちがこれこそ現ちづくるもの、 He Who Shapes ( ジャ ン』 Dangerous Visions 所載 ) 代の最高傑作だとすすめている作品のな・ゼラズ = イ ) はどうかと思うし、候補作の ベスト・ショ イ、そしてゴモラ : : 」 Aye, and Gomorrah どういう 冫いたっては、 わけだろう。ゴードン・・ディク = イムズ・・シミツツ ) こ : サミ = エル・・ディレイニイ ( 『危険スンの「コンビ、ーターは語らない」、・ 作家たちがどこに感心したのか見当がっ なヴィジョン』所載 ) (..5 ・パラードの「溺れた巨人」 ( いずれも本かない。翌年のベスト・ノヴェラ「最後の 長篇賞は、一昨年に続いてディレイ = イが誌六七年十月増刊号所載 ) 、これらははじめ城、 The LastCastle ( ジャック・ヴァンス ) 獲得。短篇賞とも一人じめにして、いかにこ雑誌にのったときなにけなく読んで感心し、 についても同様だ。特に後者は、ヒューゴ の若い作家がアメリカ界で属目されていその後デーモン・ナイト編の『ネビ = ラ賞作賞作品「竜を駆る種族」 ( 本誌六六年九月号 ) るかがわかる : : などとノン気なことをいっ品集一九六五』 Nebula Award Stories 一 965 の亜流で、その点でもいい点がつけられない ュ ー 07

2. SFマガジン 1968年8月号

を RADAR SJ[TE RADAR SI(TE ミル この五月末、モスクワの〈平和出版 社〉というところから、つぎのような ーーくック 手紙とともに、一冊のペー が送られてきた。 親愛なるグラジダニーン・福島 別便で、最近当方で非常に人気を博 している日本の短篇集『ホクサ イの世界』を、お送りしました。 あなたのご好意で、当方にも、日 本作家の短篇小説を送って下されば 光栄です。 われわれは日本のに非常に興 味を持っています。そして、あなた が、今後も一層、日本作家の作品の 出版に力を注がれることを希望しま す。 またわれわれは、これまでより以 上に、日本作家のの短篇、のみ ならず長篇をわが国に紹介したいと 願っております。 科学空想・通俗科学編集部長 ・デビス 『ホクサイの世界には、五人の日本作 家の手になる、つぎの十三篇の作品が 掲載されていた。 星新一『タ・ハコ』『願望』『危機』 『冬来たりなば』『景品』 『宇宙の男たち』 高橋泰邦『海底の歌』 小松左京『地には平和を』ーま第を、 ~ 当当ををー磯、ー画ー ~ ま第第 『ホクサイの世 界』『髪か紙か』 『新趣向』 光瀬竜『勇者遠る』 北杜夫『タイムマシン』 ソ連には、ストルガッキー はじめ何人かの日本文学研究 家がいて、これまでにも彼ら の手によって安部公房氏の『第四間氷 んらかの企画をたてるべく準備中であ る。 期』はじめ幾つかの作品が翻訳されて いることはご存知の通りだが、同時に ソ連界の、こうした具体性をも 彼らほかの人々が、日本語で日本作家 っ好意は、われわれにとっては非常に の作品を読み、大きな関心を持っ 有難いことといわなければならない。 ていることも、しばしば伝えられてい とくに、ソ連側で、国語の障碍を積極 た。それが今度、デビスの好意によっ 的に乗り越え、自ら日本語で読みかっ て、一層明らかにされたわけである。 翻訳の労をとってくれているのは、好 もしいことで、従来、アメリカ界 早川書房では、早速礼状を出すと同 とのあいだの交流が、まったく同じ問 時に、マガジンの最近号と、星、 題で渋滞しているのとくらべて、考え 小松、光瀬、眉村、筒井、福島の六人 の最近の短篇集を送った。 させられることでもある。 また、最近、ソ連の作家ゲォル ただ、近日中に、翻訳家足立楓氏 ギー・グレーウィッチから、袋一平氏 が、結婚のため渡米、ニューヨークに を通じて、マガジンが積極的にソ 永住の予定なので、彼女を通じて、ア 連を紹介していることに対する感 メリカの有力誌、出版社に、日本 謝の言葉が送られてさた。グレーウィ 界の事情について、なお一層の理 ッチは、日ソ両国の界のためなら 解を要請し、長年の望みである、日・ ば何でもする、という意味のことも書米・ソの界のスムーズな交流を計 いて来た由で、マガジンとして るつもりである。 ( 福島正実 ) も、氏の好意にこたえるため、早速な BPEMEHAJXOHYCAR ー 23

3. SFマガジン 1968年8月号

うな微笑を頬に走らせた。「カードを入れてよ」 「プログラムはまかせてくれるわね ? 」 畳み込むような調子でいうと、彼が返事する間も待たず、笑っ こ 0 「まい、 セットしたわよ」 彼は敗残者だった。 つねに大きな仕事を求め努力をつづけて来たが、運命はいつも 逆に作用した。 ほんのちょっとしたことで、彼はチャンスを逃がした。ようや くつかんだと思ったときは、それが裏目に出る結果になった。 彼はあがいた。 あかいているうちに、、 しっしか諦めができあがって行った。 この世に、もう求めることはない。 彼は、そのころ増えはじめたドリーム・ルームを片つばしから 利用し、その中に耽溺した。 彼にとっては、それが真実なのであった。たったひとつの、抜 け殻となった人生などにしがみつくのはやめて、はなやかな成功 を、何十回、何百回と繰り返すのが、彼の生甲斐となった。 そんな彼を、ずっとひとりの女がみつめていたのだ。 彼女は、彼のすべてなのだった。彼女は、彼にとって本当に必 要なときがくるまで待っていたのだ。 彼は、彼女を愛していた。長いあいだ顔を知らなかったが、そ の心はつねに感じていたのだ。 その彼女が、ついに彼の前に姿をあらわした。 いンョート。、 ! 。、コンテスト ~ セ、ネラ第レ。 . 叮 S F 、 - ショ マガジンでは、ただいま東海放送と共同主催 で、ショートショートの放送作品を募集しており ます。ふるって御応募下さい。 【応募規定】 ☆作品ラジオ放送に適するショートショートで 四〇〇字詰原稿用紙四枚以内 ( 放送使用五 分 ) ただし未発表の作品に限る。 催☆放送番組東海『ゼネラル / / リラック ス』 ( 毎週土曜夜十一時半 ~ 十一一時 ) 提供株 共 式会社ゼネラル。 海 東☆放送要領毎回原則として一篇。月間四 ~ 五篇を選 びモダン・ジャズの間に挿入する。 ☆雑誌掲載一カ月の放送作品中から・ヘスト 1 を選び マガジンに掲載。 ン☆選考作家・星新一氏マガジン編集長・福島 正実氏東海放送部長・山本徴氏 ジ ガ☆作品締切毎月一一〇日 マ☆お願い原稿末尾に住所氏名 ( ペンネーム希望の場 合はその旨 ) を記載して下さい。 ☆謝礼放送使用作品にはゼネラル製品 ( 赤外線へャ ドライヤー ) を贈呈。雑誌掲載作品について はマガジン規定の原稿料を進呈。 ☆版権応募作品の著作権は主催者に所属します。な お応募原稿はいっさい返却しませんからご了 承下さい。 ☆宛先東京芝局区内東海『ゼネラル・ / リラックス』ショートショート係。 3 8

4. SFマガジン 1968年8月号

/ ノイトをしながら学校を出て、しばら スカリオテのユダ、またキッド・デッスに対からの抜粋が数カ所これらがどんなふうに小なアレ・、 しては、パット・ギャレット。そして、ロ・説に結びつくかというと、最後のは、たとえくのあいだフォーク・シンガーをしながらョ ロービーが都会でめぐりあうフライザの身代ばこんな具合だ。 ・一年半前・『塔の崩ーロッパをさまよった。だからだろう、日記 トルキーンまり り、ザ ・ドーヴは、トロイのヘレンであり、壊』 The FaII of the Towers の未来小説気篇のなかに書いてあった『塔の崩壊』三部作の 三部作ー マリア・モンテスであり、ジーン・ハ ) を完成したときのことを思いだす。完結編『千の太陽の都』 City oftheThou ロウ訳者注 ・ほくは自分にいった。おまえは二十一、もう sand suns の扉には、「ぼくに言葉を作るこ なのだ。そして、この小説全体が、現代に生 じき二十二だ。神童の名の上にあぐらをかいとを教えてくれたボ・フ・デイランとジョーン きるわれわれの物語だというのだが、そこま ではスト ・ハエズに」という献辞がある。最初の長篇 ーリーに幻惑されてうまく伝わってている年令じゃないそ。おまえが何をなしと こない。 げたかということのほうが、それをなしとげがエース・ブックスから出版されたのは、十 たとき、おまえがいくつだったかということ九才のとき。八冊目の長編『アインスタイン しかしこの点は、ジュ一アイス・メリレ ; 、 再読三読しなければこの小説のよさはわからよりも重用なのだ。それでも天才のイメージ交点』は、二十三から四にかけての作品とい ないなどといっているところをみると、だれが・ほくにとりついてはなれない。チャタートうことになる はじめてのハ ドカ・ハー長篇『ノヴァ』 が読んでも似たりよったりらしい ン、グリーン・ ( ーグ、ラディゲ。 p-« ( イ のほうは、設定にとけこむことができなか 0 点』の頭て字 ) が完成するまでには、それを抹殺 Nova が、近くダ・フルデイから出版されると たために、よけいにそれが目立ってしまった、することができると思う。最後に消えるのいうニ = ースがはいったので、早速注文し わけだ。 は、ビリイ・ザ・キッドだ。彼はこの抽象小た。文句をいいながらも、やつばり読みたく しかもこれは、たいへんに凝った小説で、説のなかに、まるでクレタ島の丘で遊び狂っなる作家である。 各章のはじめに、 いくつかのエビグラフがっていた子供たちの一人のようにはいりこんで短篇の紹介ができなくなってしまったが、 いており、それがその章の内容を象徴していきた。ロービーが明日おまえを仕止めに行くそれは来月、問題のアンソロジイ『危険なヴ イジョン』といっしょに書くことにしよう。 る。と書いてもめずらしくはないが、第一章からな、ビリイ。 が、ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』 ミュコノスにて、一九六五年十二月ー からのわけのわからない引用文 ( だれだか知ディレイニーは、一九四二年四月一日、ニ数カ月前 この欄で紹介した新しい専 らないが、この本を訳す人間は苦労するだろーヨーク市ハーレムの生まれ。物理学者に門誌インターナショナル・サイエンス・フィ う ) ジャン・ジュネ、ポプ・デイラン、サルなるか、数学者になるか、作曲家になるか、 クションが、二号で休刊になったという情報 ペプシ・コーラのコマーシャル、マキさんざん迷ったが、けつきよく作家になっ がはいった。意欲的な編集方針で、世界的な ヤ・ヘリ、そして一ページにおよぶ作者の日記た。家は相当に貧乏だったらしく、さまざま注目を集めていただけに惜しまれる。

5. SFマガジン 1968年8月号

SF マガジン・東宝株式会社共同主催 SF 映画スト三リイ 3 コンテスト、 米ソをはじめ各国では最近画期的な大型 S F 映画の制作が盛んです。 これに呼応して SF マガジンは , 東宝株式会社と提携し , 従来の常識 を破る SF 超特作のためのストーリイを募集することになりました。 S 映画の飛躍的発展のためふるってご応募下さい ! 第一席十万円←篇 ) 第二席五万円←篇 ) 選外佳作一万円伍篇 ) ☆入選作 2 篇は S F マガジン 1 % 9 年 1 月号に詮衡結果と共に掲載する。 ☆当選作中映画化に適したものを選ん で東宝株式会社が映画化する。当選 作品及び選外佳作作品の映画化権 , 上映放送権は , 全て東宝株式会社に 帰属する。 ( 上の場合映画化決定の 際は別に映画の原作料を支払うもの とする。 ) ☆当選作の雑誌掲載権・及び長篇化権 その長篇の出版権は早川書房が所有 する。 1 資格はいっさい問わない。 2 400 字詰原稿用紙 20 枚前後の未発表のストーリイ であること。別に 1 枚以下の梗概をつけること。 3 テーマは一応問わないが , 宇宙ものの要素が本筋 となること。 4 応募原稿は右肩をとじ , 表紙に題名 , 住所氏名 ( ペンネーム使用の場合は本名を併記 ) 職業 , 年 令を楷書で記入し , 封筒に「 SF 映画ストーリイ ・コンテスト」と朱書すること。 5 応募原稿の返却 , 及び詮衡についての問い合わせ には原則として応じない。 6 締切は 1968 年 9 月末日 ( 当日消印有効 ) 7 送り先は東京都千代田区神田多町 2 ー 2 早川書房 SF マガジン編集部 賞 審査 詮衡はつぎの詮衡委員によって 行なわれる . ( 順不同 ) 小松左京 ( 作家 ) 藤本真澄 ( 東宝専務取締役 ) 円谷英二 ( 特技監督 ) 田中友幸 ( プ。デ = ーサー ) 小尾信弥 ( 東大理学部助教授 ) 雨宮恒是 ( 撮影所長 ) 早川清 ( 早川書房社長 ) 福島正実 ( s 冖ガジン編集長 ) 募集規定

6. SFマガジン 1968年8月号

る人間が少ない。最近のを読むと、それに取り組める才能 く書けていれば、それに越したことはないが。 を持った作家が現われていることがわかりますね。ウォルター◇ェイミス純粋に技術的なのと純粋に空想的なのは、オー・ハーラ 8 ップするんじゃないかな。 ・ミラーの『ライボウィッツ讃歌』 A Canticle for Leibowitz ーラップす ◇オールディスたしかに二つの流れはあるね。オー・ハ は読みましたか。どう思いました。 ることもよくある。たとえばアーサー クラークの作品なん ◇リュイスよくできていると思う。しかし一度しか読んでいない か。みのりの多い融合になる可能性は、うんとあるんた。それ んだ。二回か三回読まないと納得できないたちでね、わたしは からまた別に、神学的ではなくとも、モラルを伝えている作品 もう一度読んでみよう。優れた作品であることは、たしか はある。シェクリイの小説にありますよ。地球が放射能で荒廃 するんです。人類の生き残りは千年も他の天体に行ったままな ◇ェイミスあの作品の宗教的な感覚については、どう思います んだけれども、やがて領土権を主張するために地球に戻ってく カ ゑすると地球には、けばけばしい色の殻をつけた動物や植物 ◇リュイス抵抗なく伝わってきたね。小さな部分で問題になるこ がうじゃうじゃいるんです。隊員の一人は、「これをみんなか とはあるが、想像力も完成度も申し分ない。 たづけて、人間の住みやすいようにしよう」という。だが最後 ◇ェイミスジェイムズ・プリッシュの長篇『悪魔の星』 A Case の決定は、こんなふうになる。「いや、おれたちはここに住ん of Conscience は読んだことありませんか。教会のしきたりと でいて、だいなしにしてしまったんだ。さっさと引きあげて、 か、退屈せんばんな歴史の細部とか、そういったものにかかず この惑星は彼らにまかそう」書かれたのは、四九年ごろ。ほと らうことなしに宗教小説を書こうとするとき、は当然の脱 んどの人間が、こんな問題を考えはじめてもいなかったころで 出口だと思うんですか、どうですか。 すよ。 ◇リュイス宗教を信じるとしたら、それは宇宙的なものでなけれ ばならないんだ。だから不思議に思うんだよ、なぜこのジャン◇リュイスそうだ、初期の小説はほとんどその反対の仮説、われ われ人類は正しく、他のあらゆるものは怪物だという点から出 ルがなかなか生まれなかったのか。 発していたからね。 ◇オールディス昔からあったんですが、批評家の関心を集めなか ったんですね。雑誌だって、一九二六年からあるわけですよ。◇ェイミス最近はまた、おそろしく自己批判的、自嘲的になって きたな。 もっとも、はじめのうちは、技術的な面にしか興味を示さなか ったんだけれども。ェイミスがいっているように、工学的なア◇リュイスこれは相当な収穫だよーー人間にとって。人びとがそ んなふうな考えかたをしはじめたということは。 イデアを考えると同時に、それを小説にすることができる人間 : 、だんだん現われてきていますね。 ◇ェイミス教育があるとされている人びとの、この種の小説に対 ◇リュイスそれはまったく違う種類のだと、はじめにいって する偏見は、とほうもないものですね。雑誌をどれでも一 おくべきだったかな。そちらには、わたしは何もいうことはな つ、特にファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション誌 いんだ。技術的な面に関心のある作家たちだよ。もちろん、よ を手にとってみればわかる。読者に求めている興味の幅や作者 ミ」 0

7. SFマガジン 1968年8月号

DE ECTOR でで往ぁ石つにを 日本作家の短篇集が二冊。 なおファンタジー・フアノに、八切上夫『女がゆともに〈宇宙都市〉四部作を構成するハード派のスペ ース・オペラである。渡り鳥都市ニューヨークが大マ 星新一『盗賊会社』 ( 日本経済新聞社・ 390 円 ) く』 ( 徳間書店・ 300 円 ) と寺山修司『絵本千夜一 は、〈日本経済新聞〉の日曜版に発表した三十六篇を夜物語』 ( 天声出版・ 380 円 ) の二冊をご紹介してゼラン星雲の惑星に新地球を建設してから数十年後、 収めた、星の十二冊目のショート・ショート集であおきたい。前者は″奇想小説″と銘打った、作者初め放浪星ヒーガ島宇宙空間の静寂の中で、「創造の絶え る。″ビジネス・イン・という謳い文句でわかての現代小説集で、「空を歩けば」「アラビアの夜せまない囁き : : : 無の空間から新しい水素原子が一つま た一つと誕生してゆく、かすかなビンというひびぎ るように、ビジネス社会を星流に料理してみせたものまる」の二篇が一種のエスパーものである。後者は、 で、期せずして現代文明への痛烈な諷刺の書となって新宿歌舞枝町を舞台に繰り広げられる幻想と魔術の物を」感知し、反宇宙の存在と、それとの衝突による時 、る。コン。ヒューター 間の終未が近づいていることを知り、そして : ・ノイローゼ、産業スパイごっ語で、宇野亜喜良の挿画つき。 こ、ビジネス幻覚剤、感情テレビ、 O つぎ電話 : ・ の〈宇宙都市〉シリーズは、かなり質の高いスペース 明日のサラリーマンを悩ませるだろう問題が、ここに ・オ。ヘラとして、推奨できる。 翻訳が四冊 は軽妙に先取りされているいわゆるサラリーマン小 ウイルスン・タッカー『アメリカ減亡』 (THE ~ 説のみみ 0 ちいオプテイミズムのかわりに、星が提出力ート・ヴ ~ " ネガ , ト・ジ、 = ア『猫のゆりかご』 LONG LOUD S 一 LENCE. ・矢野徹訳・久保 しているのは、悟りに近い透明なペシミズムだ。工業 (CAWS CRADLE. 63 ・伊藤典夫訳・早川書房・書店・ 260 円 ) は、原爆と細菌兵器で汚染され隔離 化社会の生き甲斐について考えさせる効用をもった、 380 円 ) は、破滅テーマの・フラック・ユーモア小説されたアメリカ東部をさまよう陸軍伍長を主人公にし 水準の高い作品といえる「新しい社長」「あすは休である「現代アメリカのもっとも優れた作家の一人た、破減テーマ作品 による、本年度のベスト 3 にはいる傑作」とグレアム 日」「・ほろ家の住人」「仕事の不満」「あるノイロー レスター・デル・リイ『謎の大陸アトランティス』 ゼ」「程度の問題」「時の人」「善意の集積」「なそ・グリーンに評されたこのヴ ~ ~ ネガットの出世作の内 (ATTACKFROM ATLANTIS. 53 ・内田庶訳 の青年」「あるエリートたち」「タぐれの行事」など容を、訳者はこう要約しているーーー「〈世界が終末をむ・角川文庫・ 150 円 ) は、原子力潜水艦が深海に謎 カばくには特に面白かった。 かえた日〉そんな皮肉な標題のついた第一章にはじまの海底都市と海底人を発見する少年向き冒険。 光瀬竜『カナン 510 0 年』 ( 早川書房・ 32 0 円 ) って、舞台はアメリカ東部からカリブ海の孤島サン・ は、光瀬の三冊目の短篇集で、本誌でおなじみの「オロレンソへ。そして、さまざまな紆余曲折を経て、第 ホーック一一〇一七年」「流砂二二一〇年」「シンシア遊百二十七章で、世界は本当に破減してしまう。登場人戦後における翻訳出版の変遷史をリテラリ・エイジ 水池二四五〇年」「流星二五〇五年」「星の人びと」物は : : : 天才科学者とその三人の子供 ( 一人は六フィントの目を通して語った宮田昇『東は東、西は西』 「星と砂」「ひき潮」など十篇を収録してある。いず ートゆたかな大女、一人はサン・ロレンソ共和国陸軍 ( 早川書房・ 480 円 ) の中に、石泉社銀河書房と講 れも光瀬節をちりばめた壮大な宇宙叙事詩のひとコマ小将、一人は四フィートのこびと ) 、醜いアメリカ人、談社の少年シリ 1 ズ出版の内幕話が出てくるが、 で、人類が涯しない星々に進出していった歴史の足跡独裁者、セックスにまるで興味のない絶世の混血美この筆者がさきの『謎のアトランティス』の訳者と同 一人物であることをご存知の読者も多いたろう。 を、印象的なエビソードを通して点描したものであ女、・ : ・ : その背景では、嘘をもって最高とするとほう る。第二短篇集の巻未につけた光瀬竜論でばくは「光もない宗教と、〃原爆の父〃が作りだした新たな破減科学読みものでは、小堀憲『大数学者』 ( 新潮社・ 瀬の作品の主人公は、人間ではない。時間なのであの種子〈アイス・ナイン〉が、奇怪な音楽を響かせて 340 円 ) 、井尻正二『人体の矛盾』 ( 築地書館・ 6 る。悠久の時の流れなのである作者は、たとえばギいる」。主人公は、広島に原爆が投下されたときアメ 80 円ズなどが食欲をそそる。なお青少年向きでは ポンがローマ帝国の興亡を物語ったように、過去のエ リカの重要人物たちは何をしていたか、を扱った本をない、アキムシキン『伝説のなそを解く』 ( 副題「歴 ビソードを回想する歴史学者の手つきで、壮大な未来書こうとして、この奇妙なトラジ・コメディに巻きこ史への科学的探検」、日高敏隆、羽田節子訳・理論社 叙事詩をうたいあげる」と書いたが、単に未来を予想まれることになるのである。作品を支配する愉快なボ・ 520 円 ) が面白い するのではなく、秣来の歴史をより遠い未来からふりコノン教の教えは、日本のファンの間にも流行す今東光『今昔物語入門』 ( 光文社・ 350 円 ) は、 かえって記述する。こうした光瀬の手法は、さらに磨ることだろう。現代という不毛の砂漠で途方にくれて原典からお色気中心にセレクトしているが、中にはフ とう アンタジ 1 味豊かなものもまじっており、息ぬき用。 きがかかってきたようだ。しかしその一方で、禅的韜いる誠実な心が紡いだ不毛の夢、声のない歌である。 同人誌ではーー〈てんたくるす〉〈宇宙気流〉〈カ ジェイムズ・プリッシュ『時の凱歌』 (THE 晦趣味が高じてきたきらいもある。「ベトナムとハル コの間」「レイ子、クレオ。 ( トラね」の二篇の擬似イ TRIU PHOFT 一 ME. 58 ・浅倉久志訳・ 260 オス〉などのパロディ路線が快調た。〈ルーナティッ べント・コメディを、従来の光瀬ファンはどう評価す円 ) は、さきに出た『宇宙零年』『地球人よ、故郷にク〉号で杉山裕次郎が福沢論吉のショート・ショート るだろうか 還れ』未訳の A LIFE FOR THE STARS と『かたわ娘』を紹介しているのが面白かった。

8. SFマガジン 1968年8月号

間のなかに放り出されて固着しない。そして男の自殺の映像化したもので、アラン・レネにとっては念願の本格 原因が、数カ月前に外国で死んだかっての恋人 ( ォル的な映画ということで、タイム・テーマのとし ガ・ジョルジュ・ビコ ) にあることが明らかになる。恋てスチル・アニメーション手法を使ったクリス・マルケ 人は男の手で殺害されたのだった。 ルの『ラ・ジェテ』 ( 一部で公開されているフランス映 だが、さらに激しい情念の葛藤にもまれて、男の告白画 ) と比較して論議されるだろう。 も偽りであり、ただ殺害の意思をもっていたことだけが スタ 製作はß-* O フィルム。ィーストマンカラー 判明する。再び男の自殺の原因は謎に閉ざされる。 ンダード。提供二十世紀フォックス。 男は自分の意思のカで、現実時間に戻る努力を重ね このアラン・レネは、同じ二十世紀フ + ックスで 大伴昌司 る。そしてくり弡しくり返し自殺に至るまでの体験を意未来映画『 ハリー・ディクソンの冒険』 ( 間ミリ ) の撮 識のなかで再現するが、球体に戻り、そこから外界 ( 現影に入っている。 実 ) に出ることはできない。つまり時間に捕われ脱出で 今年はフランス製の映画が、既報の『・ハル・ハレ きない ラ』のほかにもう二本封切られることになりそうだ。 ところが突然、男は自殺した直後の時間に立っことが もう一本のフランス映画は、一昨年のフランス映 まずアラン・レネ監督の『ジュ・テーム、ジュ・テー できる。ここで男は、時間の流れの漂流から脱れて、は 画祭で上映され反響をよんだ『アルファヴィル』 ()L ・ ム』 ()e Tåime. 」 e Tåime, 愛する愛する ) 。 じめて固着することができたのだ。しかし、球体には、 一作ごとに話題をま phavi11e)0 白黒、スタンダード。 一人の男 ( クロード・リッシュ ) が自殺に失敗し、病 いせんとして戻れない くゴダールの 19 6 3 年作品。 院にかつぎこまれ、やがて全快する。ところが退院の 24 時間がすぎ、エンジニアたちは絶望的となった。 時代は 1984 年。地球の犯罪捜査官レミー ( エディ 日、男を待ちうけていたのは見知らぬ二人組の男たち実験は百分の一秒の誤差によって失敗に帰したのだ。工 ・コンスタンチーヌ ) は星雲都市アルファヴィルに、 で、ある実験のために力を借りたいという。 ンジニアの一人は病院に電話する。 かって地球から姿を消して行方不明だった同僚の捜査官 その実験とは、初めて完成したタイムマシンに乗って 返事は明白だった。男は 1966 年 8 月 1 日の朝、自 と、彼がさがしていたフォンプラウン博士一家の捜索の 現実時間の一分だけ過去に旅行するという試みだった。 殺の日の朝、手術室で死亡しているのだ。 ためにやってくる。 すでにタイムマシンを作った男たち ( 郊外にある一軒 アラン・レネは「去年マリエノ・、ード 、′で」「戦争は終 アルファヴィルは完全なコンビューター社会で、市民 家の研究所には数人のエンジニアがいる ) は、ネズミをつた」などで 使って数百回も実験を行い、成功している。自殺未遂の過去と現実と ム 男は、人間実験の第一号に選ばれたのだ。 の錯綜のなか イ供 タ提 こうして 1966 年 9 月 15 日午後 4 時、巨大な球型に人間の真実 の装置のなかに入れられ、その前年の 1965 年 9 月 1 を描いた特異 レ 5 日の午後 4 時に逆行し、場所もコート・ダジュールの ム な映画作家で、 フ 海岸に移行している。 アウシュビッ テ やがて実験予定時間一分間が過ぎた。男は現実の時間 ス に戻るはずだったが、ここで徴妙な事故が起る。百分の 0 0 体験を結ー・ ( 、 ジラ 一秒ほど狂って現実時間に帰れなくなったのだ。 びつけた「二 フ 男は 1965 年 9 月 15 日午後 4 時にとらわれて、は ュ てしなく時間の流れのなかを漂流することになる。男は 事」が処女作。 、 : 0 第第テ体 ( 一瞬から一瞬へ、一年から一年へ、一つの地点から一つ 『ジュ・テー ュン内 の地点へ、錯乱した時間と空間のなかを落下し、時間の ム、ジュ・テ 峠をこえることができない。そして男の記憶がかくされ ーム』はジャ た妄執や真実、情念や衝動や恐怖をえぐり出してゆく。 ック・ステル 技師たちも男を現実 ( すなわち球体の内部 ) に戻そう ンペールの異 として必死に操作するが、球体に戻った瞬間男は再び時色短篇を トータル・スコープ 8 9

9. SFマガジン 1968年8月号

栗田博文 ~ 。 気セ・ マガジン * 東海共催 突然、太陽が消え失せた。正確には、輝くのをやめた と言うべきだろう。というのは、星空に、太陽のリンカ クだけが、黒く浮いていたからである。 言うまでもなく、世界は混乱状態におちいった。交通 は乱れ、人々は騒ぎ出し、気温は徐々に低下していっ 天文台では、明るい恒星も消えたことが観測された。 ケンタウルス座のとか、シリウスとか、そういった ものだ。 この恒星消失について、学者たちは討論した。その中 ・・で、暗黒星雲が現われたとか、太陽光線が目に見えぬ光 になったとか、いろいろな意見が出たが、満足できるも のはなかった。 二、三日過ぎても、混乱は治まらず、むしろひどくな るばかりだった。気温はますます低下し、やがて人類は 凍死して減亡をするだろう、というが広まり、暴動が いたるところで発生した。 ところが、消えた恒星がまた現われたのである。まず 最初に、シリウスが発見され、そのほかの近距離の恒星 も現われた。 月間、ヘスト作品 6

10. SFマガジン 1968年8月号

イクション〃と題してワイン・ ( ウム、・ 0 ・スローン、エアン ド・ビンダーなどのさまざまな逸話を紹介したところで第三部は終 了。そこでおたのしみのオークションが始まった。 この企てに対する各誌の協力たるや絶大なもので、アスタウンデ イングをはじめとする誌は表紙や挿絵の原画から有名作家の原 稿の大部分を放出したといわれる。しかも、表紙の原画で最高八ド ル。ヴァージル・フィンレイのもので二ドル、・メリットの原稿 で一枚二五セントという泣けてくるようなお値段でおちて行ったと いう。しかしそれでも、売りに出されたものがあまりにも大量であ ったことや、ファンのふところ具合の関係で大会最終日になってや っと売りきれたといわれる。この時に放出された原画などは今もフ アンの間を転々としており、十ールの原画のなかでは軽く一〇〇ド ルを越えているものがいくらもある 明けて七月三日、コンヴェンション第二日は、テーマが科学にし 第二回コンヴンシ , ンの予告。左より推進役の ぼられたため、参加者は一〇〇人以下だったが、あたらしい顔も多 タッカー、インズ・ハーグ、コルシャック かった。午後二時に開会、まずモスコウィッツは科学の進歩が未来 のファンダムに及・ほす影響について論じ、また、ファン相手の交流 い挨拶があったところでいったん休憩。第二部は映画『メトロポリ ス』の上映。 = ンヴ = ンシ , ンのムードはいやが上にも高まり、今も交通機関の進歩発達につれて大いに活発になるだろうと述べた。 つづいてシコラの″サイエンス・フィクションと科学″と題する講 やフ、ーチ、リアン騒ぎもなにも吹き飛んでしまった。 第三部の最初に登壇したのは・・キャンベル。彼は″変貌す演。そして次に、当時、天文解説家の第一人者とされていたルロイ ・サイ・フリーが映画を使って、最新の天文学のアウトラインを紹介 るサイエンス・フィクションという題で、『メトロポリス』を例 にひきながらサイエンス・フィクションがどんな風に変ってきたかした。 夜は、ファンダムとしては始めての正式の晩餐会が開かれ 初期のアスタウデ , ング誌上で ) のキ を説いた。そしてホーク・カース ( 爆 ャラクターが、その後のいろいろな作品の中にどんな形で生きた。なにしろ大部分は親のスネかじり、しかもオークションで小遣 いの大半を使いはたしてしまった後のこととて、会費一ドルを払っ ー共に絶え ているかを論じ、これからもはプロット、ストーリ 間ない進歩をつづけねばならず、アスタウンディングはその先頭にて参加したファンは僅か三二人にすぎなか 0 たが、とてもなごやか レイの話がずばぬけて ですすめられ、なかでもウィリー・ 立ち、時代と共にフレッシ = な作品を提供して行くであろうと結んなムード ・こ。 面白く、結局、お開きとなったのは午前一時をすぎていた。 ( 一二四べージにつづく ) ・ワイジンガーが″人間とサイエンス・フ つづいてモーティマー / 9 4 0 WotId Scienee 円 io C 0 N V 第 N 一 0 308 了Ⅲー第 ☆ 日 E 第′”社い、ⅵ , : 3 ・一ト ( 、 - 確に ! れ w は第村ィ朝、 : い区 0 トを朝 0 月 ・メ : 、れ、いな : トド d ー ( ユ以 , を : : い - レいれ 11 ! 洋・ h い第ⅲい第ロいいぐい。しか : 、 0 ! はい沁れ朝ドいⅸ、工一、れ b じト、 , 、い R 4 , はー 01 町ロ [ にト ト , : : 0 知第社 K 】 . n い、盟、淑な日国 mm . 心 い 3 : S い「 0 豫寶第 : リ、第′噌、、「、ⅱドⅱーを ) ス N 々、 k 材 ! るド朝 . 物当を : ト 強ⅵり蘒れ寳に : ! 1 い奮、 1 ) ) ( 当みをに 】、も 5 いん川の物 t ! ! ト、 . トⅲトⅨイ 0 ーーれ k R 、ド日い ー : 侭をド«n ま第いに ( いし第・ 0 「をを一、・を内 ! ー 0 を : 、 : 0 ご一 3E0 3 び 0 イイ、設ド 当第い , ド . 臨新 4 ! 0 を 0 は ( 「、 3 璽ス「 0 ′第 ! ! 適ー : 、 1 液を : ~ コー【 ~ 。 - ぐ卩 ( 第 ~ 日 00- PLA(X 了おてト靄 川を町 : 一 d ・ 00 S 0 引 てト・ Ma3 ーを 0 第みー、 0 、新 D ・ 0 ま、 ) rHE WA 0 ハマ 030 Come asd 一′ Y 。““ーを Y 止 0 わ新議ー陬“をを背・、 0 “ N ~ 0 を 10 第ま 3 - ィーー 4 、第 C 40 、 N ー u を 物国第・・、・ 0 ! 蠶・・の月 4 「”・第 0 ! 物 0 ・す・“な 0 第ねツを ( こ 0 0