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1. SFマガジン 1968年8月号

校庭を横切っている途中、かれはとっぜんスウイントン夫人の顔その連中がいるのは見え、かれらのたく火の煙からいくつもの集団 を指さした。見まちがうはずもないまっ赤な色が現われていた。すが大学敷地のずっと端のほうに陣取っていることがわかったどい ぐに、ほかの女たちぜんぶが悲鳴を上げ、彼女のそばから走って離つも酔っぱらっているようで、そいつらが下劣な歌をうたい、気が れはじめた。彼女の二人の子供は看護婦と一緒だったが、この連中狂ったように怒鳴っているのがよく聞こえていた。世界じゅうが崩 もほかの女たちと走っていったんだ。だが彼女の良人であるスウィ壊して廃墟になりかかり、空は燃えさかる火事の煙に覆われている ントン博士は彼女のそばに残ったんたよ。かれはわしにこう言ったとき、かれら下劣な動物どもはその野獣性をむき出しにし、戦い んだ。 酔っぱらい、死んだ。だがそれにしても、どうだっていいことだっ ″行ってくれ、スミス : : : 子供たちをみてやってくれ。ぼくは家内た。とにかくだれもかれもが死んでいたんだ。良いやつも悪いやっ のところにいるよ。家内がもう死んだも同じだということはわかつも、元気の良いやつも身体の弱いやつも、生きることに喜びを憶え ているが、・ほくは彼女を捨てていけないんだ。そのあともしぼくが ている者も生きることが厭になっている者もだ。みんな死んでいっ 助かったら、化学教室ビルへ行くから、ぼくに気をつけていて、入たんだ。あらゆるものが死んでいったんだよ。 れてくれないか 二十四時間が過ぎてゆき、伝染病の徴候がまったくないので、わ しらはおたがいに喜びあい、井戸を掘りはじめた。おまえたちは大 妻の身体にかがみこんで最後の時間を慰めているかれを残して、 わしは一行のところへ走ってゆき先導に立った。わしたちが化学教きな鉄のパイプをいくらも見たことがあるだろう。あれはそのこ 室ビルへ入るのを許された最後だったよ。そのあとわしらは自動小ろ、都市に住んでいるすべての人に水を送っていたものなんだ。わ 銃を使ってわしら自身の隔離を守ったんだ。最初の計画では、このしらは町の中に起こった火事がそのパイプを破裂させ、貯水池をか 避難所に六十人の仲間で入るように用意していた。ところが最初にらにしてしまうのではないかと心配した。そこでわしらは化学教室 計画した人員のだれもが親類や友人や全家族を入れてきたので、全ビルの中央ホールのセメントの床をこわして井戸を掘った。わしら 員では四百人もになっていた。だが化学教室ビルは大きくて孤立しと一緒に学部生の若い男がたくさんおり、わしらは夜も昼もかかり て建てられていたから、町じゅういたるところで荒れ狂っていた大きりで井戸を掘った。そしてわしらの心配は的中した。わしらが水 火事で類焼してしまう恐れはなかった。 のあるところまで達する三時間前に水道のパイプは涸れたんだよ。 大量の用意していった物が集められ、その管理は食料委員会がす次の二十四時間が過ぎていったが、まだ伝染病はわしらのあいだ ることになり、多くの家族やグルー。フに毎日割当量を配給し、それに現われなかった。われわれは助かったんだと思ったよ。だがわし ぞれに食事の仕度をすることとした。多くの委員がきめられ、わしらは知らなかったんだ。あとになってわしはそうだったに違いない らは非常に能率的な集団となっていった。わしは防衛委員になったと思ったことだが、人間の身体の中にあってのその伝染病の潜伏期 間は何日もあったんだよ。そいつがひとたび姿を現わすとなったら が、最初の日はひとりの暴徒もやってこなかった。それでも遠くに

2. SFマガジン 1968年8月号

の上へびとつまみり砂を落とした。そしてそれがジャリヅと老人のまりかれらにとっては何の意味もないことだったからだ。例えば老 粘膜と歯ぐきにくいこむと、笑い声はまたもけたたましく起こつ人は舌を鳴らし唇をなめながら、こんなことを呟いていたのだ。 マヨネーズがあればなあ ! このまえ食べたとき た。かれは自分が悪ふざけをされたことに気づかず、ぶつぶつ文句「マヨネーズー を言って唾をはいていたが、やがて可哀相になったエドウインが水からもう六十年たってるんだ : : : ふた昔も前のことで、ずっと匂い ひょうたん を嗅いでもいないんだからな ! あのころはどこのレストランだっ を入れた瓢を与え、それでロをゆすいだ。 て、蟹にはっきものだったんだ : : : 」 エドウインはうながした。 「おめえのいってた蟹はどこだよ、フー ・フー ? 爺さんはそいつもうそれ以上食べられなくなると、老人は溜息をつき両手をむき だしの両足にこすりつけて海の彼方を見つめた。腹がいつばいにな を楽しみにしてたんだからな」 グランサー った老人は追憶にひたり始めた。 またも爺さんの両眼は、大きな蟹がわたされると喜びに燃えた。 そいつは甲羅も足もぜんぶ揃っていたが、肉はずっと前からなくな「考えてもみろ : : : 天気のいい日曜になると、この浜は男や女や子 っているものだった。指をふるわせ期待の言葉を呟きながら、老人供たちで賑やかになったもんだ。それに危つかしい熊なんて一匹も は足を折り取ったが、その中がからだとわかった。老人は泣き声を いなかった。そしてそこの崖の上には大きなレストランがあって、 あげた。 そこで何でも好きなものを食べられたもんだ。あのころはサンフラ ・フー ? 蟹は ? 」 ンシスコに四百万からの人間が住んでいたんだからな。ところでい 「蟹は、フー シティカウンティ 「おれからかったんだよ、爺さん。蟹なんてねえや。一匹も見つけまは町も郡部もあわせて四十人といないんだ。そしてこの海には船 ゴールデンプリッジ なかったぜ」 がいた。いつだって見られたもんだ、金門橋に向かっていったり 少年たちはよぼよぼの老人ががっかりしたあまりに涙を流すのを出てきたりするたくさんの船がなあ : : : そして空には飛行機がいた ・ : 飛行船や飛行機が。一時間に二百マイルも飛べるやつだ。ニュ ・フーは、気づかれないよ 見て、またひどく喜んだ。それからフー うに、身の入っていない殻を料理され終ったばかりの新しい蟹と取ーヨークとサンフランシスコのあいだで郵便を運ぶ会社には、最小 り替えた。切り離され割れた足の白い肉から、うまそうな湯気の小限それぐらいの速さは必要だったんだなあ。フランス人でひとりい さな煙が立ちのぼった。それが老人の鼻を刺激し、かれは驚いて見たもんだ、そいつの名前は忘れたが、三百マイル出すのに成功した おろした。その気持が喜びに変わったのはすぐだった。老人は匂いんだ。だがその機械は危険だった。保守的な連中にはひどく危つか を嗅ぎ、呟き、もぐもぐ言い、嬉しさに咽喉をごろごろ鳴らさんばしいもんだった。だがあいつは間違っていなかった、あのひどい伝 かりにして食べ始めた。少年たちはまったく注意を払わなかった。染病がなかったらちゃんと実用化していたことだろう。わしが子供 見慣れた光景だったからだ。それにまたかれらは、老人がときどきのころには、最初の飛行機のことを憶えている連中が生きていたも 軟くように言ったり呟いたりする文句にも注意を払わなかった。つんだ。そしてわしはいま、最後の飛行機を見た男になっている。そ グランサー グランサー

3. SFマガジン 1968年8月号

世界最高最大のミステリ・シリーズ ハヤカワミステリ 943 ミ 既刊 発 復讐するサマンサ LLI ・ > ・カニンカム永来重明訳 曜 スキャンダル渦巻く、 リウッド映画界におこった殺人事 木件を追う二世部長刑事の活躍〈六月六日発売〉 三二〇円 毎 悪党パーカー / 犯罪組織 リチャード・スターク片岡義男訳 干 鉄壁の犯罪組織に捨身の戦いを挑む一匹狼ハ ードボイルド小説の最新作〈六月十三日発売〉二七〇円 立卞 の 弱虫チャー 、逃亡中 ドナルド・・ウエストレイク志摩隆訳 月 突然殺人事件にまきこまれた弱虫チャー ーが、逃亡中 にひき起す数々の怪事件ー〈六月ニ十日発売〉二七〇円 青列車は回停る ボワロ、ナルスジャック 北村良三訳 丿ーリオン間超特急列車〈青列車〉が停車する町々で 起る十三の事件を描く〈六月ニ十六日発売〉予三〇〇円 顔と顔飛 エラリイ・クイーン尾坂カ訳 顔 ( フェイス ) と走り書きして殺された美人歌手の謎を 追うクイーン警部の活躍ー〈七月四日発売〉予二八〇円 し

4. SFマガジン 1968年8月号

「わかりました : : : 」と警部補の声がいった。 「さてみなさん : : : 」通話をうちきって、サーリネン局長は、手を 。 ( ンとうちあわせた。「むこうのさわぎは、警部補にまかせて、わ れわれは、もう少し話をつづけましよう」 ・「そんなのんきな ! ホアンと、サムと、ミナが、三人同様にさけんだ。 「材料研をおそったのは、犯人かも知れないじゃないですか ! ーホ アンが顎ひけをふるわせていった。「すぐ、みんなで行きましよう。 まだ、犯人がそこらへんをうろうろしているかも知れない」 局長の顔に、ちょっと動揺が起った。 サーリネン局長は、 その時、ぼくは、はじめて気がついた。 なぜか、ナハティガルの顔にあらわれた表情を気にしているらしか っこ。 賢者は、うすく瞑目して、かすかに顔を横にふっている。 「オットーのいう通りだ : : : ナハティガルはポツリといった。「わ れわれは、ここにいて、もう少し話をつづけた方がいし まわって疲れるよりは : : : 」 「局長 ! 」と警部補の声が、サーリネン局長の胸ポケットからし た。「現場につきました : : : 」 「どうした ? 」 「私と電話ではなしていた研究員がなぐられましたーーー大したこと はありません。こぶができたぐらいです。装置類が少しこわされ、 それからサ、ンプルが : : : 」 「盗まれたんですか ? 」デイミトロフが、たまりかねたようにさけ んだ。 「・ハーナーでガスにされちまいました : : : ー警部補の声はうわずつ それを見ると、彼はふと、こんな風に竸走馬がまっしぐらにかけて来たので は、レース・トラック上にいる人たちはどうなるのだろう、と思った。しかし、 彼らは誰もそんなことを気にする様子もなく、駆けて来る馬群に見入っている。 やがて、馬の群れがさらに近づき騎手の姿がはっきり見えるようになったこ ろ、突然馬たちは一頭だけを残して、急に方向を変えると、海の方へかけて行っ てしまった。残った一頭は、黒い紳士服を着た騎手を乗せて、そのままレース・ トラック上に立っている人々の間をたくみに駆けぬけていった。 同時に、今まで静止していた見物人たちはいっせいに動きはじめ、さらにいっ の間にか観客席が現われて、そこにあふれるほどの群衆が昻奮して騒いでいる光 景が現出した。その時観客席の前に、一一本の足に支えられた横長の大きな掲示板 が現われ、その上に、 2020 という四つの数字が、次々に出てきては消えてい った。それはあたかもたった今優勝したばかりの馬をさすかのようだった ! ここで、彼は目が醒めてしまったが、あまりにも鮮明な夢たったので、頭につ とうとうその日の昼ごろ、ある建築会社の社長に会った時話のつ いて離れない。 いでにこの夢のことを打明け、この 2020 という数字はもしかすると竸走馬に 関する統計的な数字か何かではないだろうかとつけ加えた。 一一人はさっそく当日のディリー・テレグラフ紙をひろげ、その日ライセスターで 行なわれるレースの出場馬の中に、この数字に関連のある馬はないか探してみた。 まず、いすれかの馬の最近の着順を表わすのではないか、と考えたが、あいに く最近三回の着順しかのっておらず、その三回の着順を調べてみても、 202 ま たは 020 に該当する馬はなかった。 次に彼は、 2020 の最初の二つは馬の年令を表わし、後の二つは二〇ストー ン ( 英国特有の重量単位。普通一ストーンは六・三五キロに当る。 ) という馬の 体重を表わすのではないか、と提案したが、建築会社の社長は笑って、二〇才と いう高令の馬が出場することはあるかもしれないが、二 0 ストーンもの体重とい うことはあるまい、と言った。 結局なんのことか見当がっかず、その日は仕事に追われて、夕方まですっかり 忘れてしまった。 ところがタ方、帰宅の途中、彼はいつもの習慣でイプニング・一 : ーズ紙を買 、最新ニ , ースの欄を開いてあっと驚いた。その欄のトップに、その日三時四 十五分、ライセスターでのレースで大穴が出たことが報ぜられていた。その優勝 馬の名前が何と「トウエンティ・トウエンティ」っまり 2 0 2 0 だったのだ ! ( 近代宇宙旅行協会提供 ) ・ 」世界みすてり・とびつく 掲 9

5. SFマガジン 1968年8月号

ぐおれたちに話すんだ。坐れよ、兎唇。さあ話してくれ、爺さ葉を世界じゅうに知らさせないようにしていたということだ、そう いうことが明らかになったんだ。 ん」 それは大変なことのようだったが、わしらのようにカリフォルニ アにいた者は、そのほかのどことも同じで、心配しなかった。わし らは細菌学者たちがこの新しい細菌をやつつける方法を見つけてく 老人は汚れた掌で涙をぬぐうと、泣き出しそうに震える声で話にれるだろうと確信していたんだ。連中が過去に他の細菌をやつつけ たようにだ。だが困ったことは、この細菌が人間を殺すときのびつ 戻ったが、やがて物語に熱中しはじめるとしつかりした声になっ こ 0 くりするほどの速さと、そいつが身体の中に入るとどんな人間であ 「あの伝染病がや 0 てきたのは二〇一三年の夏のことだ 0 た。わしろうと必ず殺してしまうという事実だ「たんだよ。だれひとり回復 アジア は、はっきり憶えている、二十七歳だったんだからな。無線電報がしたものはいなかったんだ。ず 0 と昔に真性 = レラというのがあっ た。これはだよ、夕方ひとりの元気な男と一緒におまえたちが飯を 兎唇は腹を立てたように大きな音を立てて唾を吐き、グランサ食うとするだろう。するとあくる朝になって早く目を覚ましてみる と、そいつが窓ぎわにきている死体運搬車に運ばれていくところを ーは急いで説明した。 「そのころのわしらは空中をとおして話をしたんだよ。何千何万見ることになるという具合だ 0 た。ところがこの新しい伝染病はそ れより速かった : : : ずっと速かったんだ。それにかかった最初のし イルも離れたところとな。その方法で、奇妙な病気がニューヨーク るしが現われたときから、そいつは一時間のうちに死んじまうんだ に発生したという知らせがやってきた。そのころアメリカで一番の よ。中には何時間か生きている者もあった。だが多くの者は、最初 立派な都市だったそこには千七百万の人々が住んでいた。そのニュ のしるしが現われて十分か十五分のうちに死んでしまったんだ。 ーズのことを色々と考えてみた者はひとりもいなかった。ほんの小 心臓はそれまでより速く打ちはじめ、身体の熱は上がりはじめ さなことに過ぎなかったんだ。それにそうたくさんの死人じゃあな か 0 たからだ。ところがどうも、その連中の死にかたは非常に早る。それからま 0 赤な色の発疹がや 0 てきて、野火のように顔と身 く、その病気の最初のしるしは顔と身体の全部が赤に変ることらし体じゅうにひろが 0 てゆくんだ。ほとんどの人は熱と心臓の鼓動が いんだ。それから二十四時間のうちには、シカゴでも最初の患者がふえてきたことにま 0 たく気づかず、最初に知るのはま 0 赤な色が 現われたという知らせが入った。そして同じ日に発表されたことは、急に現われてきたときなんだ。たいていの場合、発疹が現われたと けいれん シカゴの次に世界でいちばん大きな都市ロンドンが二週間のあいだきに痙攣がある。だがこの痙攣はそう長く続かず、そうひどくもな 、。もしそれがあっても生きておれば、その人はまったく静かにな その伝染病と秘密のうちに戦っており、ニューズの発表を押さえて ってしまい、カが抜けたような感じが急速に足から全身へはい上が いた : : : つまりだな、ロンドンにその病気が起こっているという言 3 ヘア・リップ グランサー ー 43

6. SFマガジン 1968年8月号

イクション〃と題してワイン・ ( ウム、・ 0 ・スローン、エアン ド・ビンダーなどのさまざまな逸話を紹介したところで第三部は終 了。そこでおたのしみのオークションが始まった。 この企てに対する各誌の協力たるや絶大なもので、アスタウンデ イングをはじめとする誌は表紙や挿絵の原画から有名作家の原 稿の大部分を放出したといわれる。しかも、表紙の原画で最高八ド ル。ヴァージル・フィンレイのもので二ドル、・メリットの原稿 で一枚二五セントという泣けてくるようなお値段でおちて行ったと いう。しかしそれでも、売りに出されたものがあまりにも大量であ ったことや、ファンのふところ具合の関係で大会最終日になってや っと売りきれたといわれる。この時に放出された原画などは今もフ アンの間を転々としており、十ールの原画のなかでは軽く一〇〇ド ルを越えているものがいくらもある 明けて七月三日、コンヴェンション第二日は、テーマが科学にし 第二回コンヴンシ , ンの予告。左より推進役の ぼられたため、参加者は一〇〇人以下だったが、あたらしい顔も多 タッカー、インズ・ハーグ、コルシャック かった。午後二時に開会、まずモスコウィッツは科学の進歩が未来 のファンダムに及・ほす影響について論じ、また、ファン相手の交流 い挨拶があったところでいったん休憩。第二部は映画『メトロポリ ス』の上映。 = ンヴ = ンシ , ンのムードはいやが上にも高まり、今も交通機関の進歩発達につれて大いに活発になるだろうと述べた。 つづいてシコラの″サイエンス・フィクションと科学″と題する講 やフ、ーチ、リアン騒ぎもなにも吹き飛んでしまった。 第三部の最初に登壇したのは・・キャンベル。彼は″変貌す演。そして次に、当時、天文解説家の第一人者とされていたルロイ ・サイ・フリーが映画を使って、最新の天文学のアウトラインを紹介 るサイエンス・フィクションという題で、『メトロポリス』を例 にひきながらサイエンス・フィクションがどんな風に変ってきたかした。 夜は、ファンダムとしては始めての正式の晩餐会が開かれ 初期のアスタウデ , ング誌上で ) のキ を説いた。そしてホーク・カース ( 爆 ャラクターが、その後のいろいろな作品の中にどんな形で生きた。なにしろ大部分は親のスネかじり、しかもオークションで小遣 いの大半を使いはたしてしまった後のこととて、会費一ドルを払っ ー共に絶え ているかを論じ、これからもはプロット、ストーリ 間ない進歩をつづけねばならず、アスタウンディングはその先頭にて参加したファンは僅か三二人にすぎなか 0 たが、とてもなごやか レイの話がずばぬけて ですすめられ、なかでもウィリー・ 立ち、時代と共にフレッシ = な作品を提供して行くであろうと結んなムード ・こ。 面白く、結局、お開きとなったのは午前一時をすぎていた。 ( 一二四べージにつづく ) ・ワイジンガーが″人間とサイエンス・フ つづいてモーティマー / 9 4 0 WotId Scienee 円 io C 0 N V 第 N 一 0 308 了Ⅲー第 ☆ 日 E 第′”社い、ⅵ , : 3 ・一ト ( 、 - 確に ! れ w は第村ィ朝、 : い区 0 トを朝 0 月 ・メ : 、れ、いな : トド d ー ( ユ以 , を : : い - レいれ 11 ! 洋・ h い第ⅲい第ロいいぐい。しか : 、 0 ! はい沁れ朝ドいⅸ、工一、れ b じト、 , 、い R 4 , はー 01 町ロ [ にト ト , : : 0 知第社 K 】 . n い、盟、淑な日国 mm . 心 い 3 : S い「 0 豫寶第 : リ、第′噌、、「、ⅱドⅱーを ) ス N 々、 k 材 ! るド朝 . 物当を : ト 強ⅵり蘒れ寳に : ! 1 い奮、 1 ) ) ( 当みをに 】、も 5 いん川の物 t ! ! ト、 . トⅲトⅨイ 0 ーーれ k R 、ド日い ー : 侭をド«n ま第いに ( いし第・ 0 「をを一、・を内 ! ー 0 を : 、 : 0 ご一 3E0 3 び 0 イイ、設ド 当第い , ド . 臨新 4 ! 0 を 0 は ( 「、 3 璽ス「 0 ′第 ! ! 適ー : 、 1 液を : ~ コー【 ~ 。 - ぐ卩 ( 第 ~ 日 00- PLA(X 了おてト靄 川を町 : 一 d ・ 00 S 0 引 てト・ Ma3 ーを 0 第みー、 0 、新 D ・ 0 ま、 ) rHE WA 0 ハマ 030 Come asd 一′ Y 。““ーを Y 止 0 わ新議ー陬“をを背・、 0 “ N ~ 0 を 10 第ま 3 - ィーー 4 、第 C 40 、 N ー u を 物国第・・、・ 0 ! 蠶・・の月 4 「”・第 0 ! 物 0 ・す・“な 0 第ねツを ( こ 0 0

7. SFマガジン 1968年8月号

なかったんだからな。 ていった。 わしらが歩きはじめて二日目の夜、わしらは初めて田舎の風景が わしらのうち何人かは個人の家の車庫を偵察して自動車とガソリ ンを探した。だがそれには成功しなか 0 た。都市から最初に行われひろがりだしたところにある〈イワードの向こうで野宿した。そし た大脱走で、そうい 0 た道具はぜんぶ一掃されてしま 0 たのだ。カてあくる朝にな「てみると、生き残「ているのは十一人にな 0 てい ルガンという良い若い男はこの仕事で命を落とした。かれは芝生をた。それに、夜のうちに足を怪我していたワットホープ教授は自動 横切 0 ていたとき、浮浪者どもに射たれたんだ。一度だけ泥酔した車に乗「てわしらから逃げ出してしま「ていた。やつは妹と母親を つれ、わしらの缶詰食料品をほとんど持っていってしまったんだ。 無法者が自暴自棄によってわれわれ全員めがけて射ってはきたが、 その日の午後になって道ばたで休んでいるとき、わしは飛行船を カルガンだけがただひとりの儀牲者だった。そいつは狂ったように 射ってきたが、 幸いなことにわしらはだれもやられんうちに、そい見た。それがわしの見た最後の飛行船になったんだ。田舎では煙は つを射殺してしまったんだよ。 ずっと薄くなっており、初めて見たときその飛行船は二千フィート だがまだあの町の素晴しい住宅地区の中心地フルーツベイルを通ほどの高さのところを漂って、何とか方向を変えようとしていた。 何事が起こったのかわしには推察できなかったが、わしらが見てい っていたとき、伝染病はまたもわしらを襲ってきた。フェアミ】ド 教授が犠牲者だ 0 た。かれは母親に知らせないようにとわしらに合るうちにその飛行船は船首を下に低く低く降りはじめた。それから いくつものガス気嚢の隔壁が爆発したのだろうか、その飛行船はま 図をして、美しい大邸宅の庭へとそれていった。かれは正面べラン ダの石段に淋しそうに腰をおろし、わしはなかなか立ち去れなくて「逆さまになり、隕石のように地面に落ちてい「た。その日からわ しは、一隻もほかの飛行船を見ていないんだよ。それからの数年 かれに手をふり最後の別れをした。 その晩、フルーツベイルから何イルか離れたところ、といって間、わしは何度も何度も空を見つめては飛行船が見えぬかと探した もまだあの町の中で、わしらは野宿した。そしてその夜、わしらはよ。世界のどこかに文明が生き残 0 ていないかという虚しい願いを 死人から離れるために二度場所を変えた。朝にな 0 てみると、われ抱きながらな。だが駄目だ 0 た。わしたちカリフォル = アにいる者 に起こったことは、あらゆるところのあらゆる人々に起こったに違 われは三十人になっていた。学部長のことは永久に忘れられない いないんだ。 な。その朝の行進中、歩いていたかれの奥さんに致命的なしるしが 現われた。そして彼女が列から離れてわしらに進んでいかせようとそしてあくる日、ナイルズでわしらは三人になっていた。ナイル ズを通り越してから国道のまん中でわしらはワットホー。フを見つけ したとき、学部長は自動車からおりて彼女のところに留まるといっ てきかないんだ。これにはだいぶ議論がおこったが、最後にはわれた。自動車はこわされ、かれらが地面にひろげた毛布の上に、かれ われもあきらめたよ。それにだよ、助かる者があるとしても、わしの妹と母とかれ自身の死体が横たわっていた。 らのうちのだれが最後まで逃げおおせられるのか、だれにもわから休みなく歩き続けるという初めての経験にわしは疲れはてて、そ 4

8. SFマガジン 1968年8月号

にしていた。ネイ。 ( 市に住んでいた全人口と、地味ゆたかに肥えて こうしてわしはサンタ・ローザ族の十九人目のメイハーになっ よそもの いたあの谷にあるすべての町や村の人々のうち、彼女がただひとり た。わしのあとから加わった他所者は二人だけたった。そのひとり の生存者だったんだ。 は大資本家の家に生まれたマンガーソンで、八年のあいだたったひ 次に、若い男が三人いた : : : カーディフとヘイル、どちらも農夫とりで北カリフォルニアの荒野をさまよったあと、南に進んでわし で、ウェインライトは日傭労働者だった。この三人はみな妻を見つらと一緒になったんだ。かれはそれからもう十二年まってから、わ けていた。 : しの娘メリーと結婚したんだ。もうひとりはジョンソンで、ユタ族 力さつで文盲の農夫ヘイルにはイサドアが与えられてい た。あの伝染病を生き抜いた女のうちではベスタの次に素晴しい女を作った男だ。ュタというのはかれがやってきたところでね、ここ から東のほうへずいぶん遠くに離れたところにある国なんだ。大き 性だったよ。彼女は世界で最も有名な歌手のひとりで、サンフラン シスコにいたとき伝染病が発生したんだ。彼女はわしと何時間も話な砂漠を越えてずっと東さ。伝染病のあと二十七年たってジョンソ ンはカリフォルニアへやってきたんだよ。ュタ地方全部で、かれを をし、その冒険について物語ったよ。そうしたある日とうとうメン ドシーノ保護森林でヘイルに救けられたこと、かれの妻になるほか含めて三人しか生き残らず、それがみな男だったとかれは報告し なかったことをね。しかしへイルは無学だったがいい男だった。正た。何年ものあいだその三人は一緒に暮らし猟をし、最後に、かれ ショウファー 義とまともに生きていくことを知っており、彼女は運転手と一緒にらだけではこの惑星から人類は全減してしまうのではないかという 恐怖にかられ、カリフォルニアに生き残っている女を見つけられな いるベスタに比べると遙かに幸せだったよ。 、ものかと必死になって西へ向かったんだ。大砂漠を通り抜けられ カーディフとウェインライトの妻は普通の女たちで、がっしりしし たのはジョンソンだけで、二人の仲間はそこで死んじまったんだ。 : かれらが生きてい た身体つきをしており、労働には慣れていた・ : わしらに加わったときのかれは四十六歳で、イサドアとヘイルの かなければいけなくなった新しい辛い生活に適したタイプだったん だ。そのほかにエルドレッジにあった精神薄弱者の施設からきた大四番目の娘と結婚し、かれの最初の息子はおまえの伯母と結婚した ヘア・リップ 人の馬鹿が二人と、サンタ・ローザ族ができてから生まれた小さなんだよ、兎唇。ベスタと運転手の三番目の娘とね。ジョンソンは 彼女はいい女強い男で、かたい意志の持主だった。そのために、かれはサンタ・ 子供や赤ん坊が五、六人いた。それにパーサがいた。 / だったよ、兎唇。おまえの父親はけなしていたがね。彼女をわしローザ族から離れて、サン・ホセでユタ族を作ったんだ。あれは小 さな種族だ : : : 九人しかいない。だが、かれは死んだが、その影響 は妻にしたんだ。彼女はおまえの父さんの母親だよ、エドウイン。 それからフー ・フー、おまえの父さんのな。そしてわしらの娘のべと血を引く連中の強さのため、かれらは強力な種族に育ってゆき、 ヘア・リップ ラが、おまえの父さんと結婚したんだ、兎唇 : : : おまえの父さんこの惑星の文明で指導的な役割を果たすことになるだろう。 3 : ロスアンゼル のサンドウは、・ へスタ・ヴァン・ウォーデンと運転手のあいだに生そのほかわしらの知っている種族は二つだけだ : ・ ス族とカーメル族だ。後者はひとりの男とひとりの女から始まった まれたいぢばん上の息子だったんだ。 ヘア・リップ ショウファー ショウファー

9. SFマガジン 1968年8月号

し、シンジケート段階から強力な連携トラストの形をとりつつあっ剤には性格改造剤を : : : 予算規模は、決して大きくなかったが、す た国際犯罪組織のさそいの手がのびた。 でに全世界に存在する組織と研究機関をたくみにつかい、犯罪トラ 二十世紀末から、二十一世紀初頭にかけて、莫大な資本力と、精スト対科学警察の闘いは、かっての、世界核戦略体制のように、エ スカレートして行きそうな形成だった。 密で巨大なコンビューター網をもちい、全世界にーーーテラ・デル・ この闘いを、とにかく、科学警察側の一方的勝利にもちこんだの フェゴからアラスカまで、シベリアのヤクート共和国から、南極大 ーグ初代局長にかわっ 陸、そして最後にはとうとう宇宙空間から月にまでーーはりめぐらが、局昇格のあと、すぐ暗殺されたロード された、水ももらさぬ組織と、最新の科学技術を駆使して、「昼のて、二代局長となった、弱冠四十二才のフィンランドの 0 ・サー 六ル・クライム ヘルシンキ大学で文化人類学と気象生理学を 世界」に挑戦してきたーー・地球的犯罪トラストは、全世界のネン博士だった。 大問題となった。 : : : 大規模な窃盗や強盗、刺激のつよい、それだおさめ、大学院時代に、京都大学人類学研究所の梅沢竜哉教授のも けに危険な麻薬類の販売、殺人委託、重要人物の誘拐、脅迫、恐とで、文化解析に、はじめてコンビ = ーターを導入して大きな業績 喝、戦争の煽動 : : : そういったますます大規模化、国際化して行くをあけた博士は、その後、パトヴァ大で犯罪学、ソル飛ンヌ大で哲 トヴァ大学時代の師であるロー 犯罪は、時にある国に革命さわぎを起し、一国の経済を破綻に瀕せ学、ロンドン大で法学をおさめ、パ ーグ博士の懇望で、の嘱託になり、のち科学警察の顧 しめ、世界連邦の成立そのものを、危うくさえしたのである。 、そして博士の遺志と、幹部の要請により、局長の座に 事実、世界連邦の成立と、国際紛争の終焉は、犯罪トラストにとっ尸 ついた。 て、まことに具合のわるい状態であったにちがいない。 これに対して、反組織を、科学特捜部につ サーリネン博士が、最初にやったことは、まず自然文化・社会人 くったのは、初代局長で、はじめて理論科学畠から、警察機構の長類学、それに生物学畠の学者を起用したブレーン・トラストの結成 「警察を大学のサロンにしてしまった」というかげロ となった、・ロード。ハーグ博士だった。 (..5 0 e という、核酸情だった。 報をつたえるヌクレオチド記号のような略称は、分子遺伝学専攻は、就任当時有名だった。博士は、実際に、〃犯罪・闘争生物学〃 で、核酸異常と、異常性格との研究で名を知られた博士の、ちょっとでもいうべきあたらしい学問の分野を開いたのである。進化論、 とした洒落だったにちがいない。 生態学、動物社会学、自然人類学、社会人類学、社会心理学ーー・あ この時期から、科学特捜局は、あらゆる科学技術を駆使した、科らゆる分野から、生物社会における闘争のパタンを抽出し、人間社 学的組織による犯罪に、ありとあらゆる科学的解析手段、科学的調会における犯罪の発生から、歴史上における犯罪・宗教的秘密結社 査技術、科学兵器をつかって対抗する組織としての性格を、はっきの成立と、それがいかにして解散消減させられ、またいかにして再 。し力にから りもち出したのである。 コンピューターにはコンビ = ーター構成されて行ったか、そういった犯罪組織と政治とよ、、、 を、ロポットにはロポットを、ミサイルにはミサイルを、性格改造みあっていたか、という歴史を、徹底的にしらべあげた。それか 掲 3

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/ ノイトをしながら学校を出て、しばら スカリオテのユダ、またキッド・デッスに対からの抜粋が数カ所これらがどんなふうに小なアレ・、 しては、パット・ギャレット。そして、ロ・説に結びつくかというと、最後のは、たとえくのあいだフォーク・シンガーをしながらョ ロービーが都会でめぐりあうフライザの身代ばこんな具合だ。 ・一年半前・『塔の崩ーロッパをさまよった。だからだろう、日記 トルキーンまり り、ザ ・ドーヴは、トロイのヘレンであり、壊』 The FaII of the Towers の未来小説気篇のなかに書いてあった『塔の崩壊』三部作の 三部作ー マリア・モンテスであり、ジーン・ハ ) を完成したときのことを思いだす。完結編『千の太陽の都』 City oftheThou ロウ訳者注 ・ほくは自分にいった。おまえは二十一、もう sand suns の扉には、「ぼくに言葉を作るこ なのだ。そして、この小説全体が、現代に生 じき二十二だ。神童の名の上にあぐらをかいとを教えてくれたボ・フ・デイランとジョーン きるわれわれの物語だというのだが、そこま ではスト ・ハエズに」という献辞がある。最初の長篇 ーリーに幻惑されてうまく伝わってている年令じゃないそ。おまえが何をなしと こない。 げたかということのほうが、それをなしとげがエース・ブックスから出版されたのは、十 たとき、おまえがいくつだったかということ九才のとき。八冊目の長編『アインスタイン しかしこの点は、ジュ一アイス・メリレ ; 、 再読三読しなければこの小説のよさはわからよりも重用なのだ。それでも天才のイメージ交点』は、二十三から四にかけての作品とい ないなどといっているところをみると、だれが・ほくにとりついてはなれない。チャタートうことになる はじめてのハ ドカ・ハー長篇『ノヴァ』 が読んでも似たりよったりらしい ン、グリーン・ ( ーグ、ラディゲ。 p-« ( イ のほうは、設定にとけこむことができなか 0 点』の頭て字 ) が完成するまでには、それを抹殺 Nova が、近くダ・フルデイから出版されると たために、よけいにそれが目立ってしまった、することができると思う。最後に消えるのいうニ = ースがはいったので、早速注文し わけだ。 は、ビリイ・ザ・キッドだ。彼はこの抽象小た。文句をいいながらも、やつばり読みたく しかもこれは、たいへんに凝った小説で、説のなかに、まるでクレタ島の丘で遊び狂っなる作家である。 各章のはじめに、 いくつかのエビグラフがっていた子供たちの一人のようにはいりこんで短篇の紹介ができなくなってしまったが、 いており、それがその章の内容を象徴していきた。ロービーが明日おまえを仕止めに行くそれは来月、問題のアンソロジイ『危険なヴ イジョン』といっしょに書くことにしよう。 る。と書いてもめずらしくはないが、第一章からな、ビリイ。 が、ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』 ミュコノスにて、一九六五年十二月ー からのわけのわからない引用文 ( だれだか知ディレイニーは、一九四二年四月一日、ニ数カ月前 この欄で紹介した新しい専 らないが、この本を訳す人間は苦労するだろーヨーク市ハーレムの生まれ。物理学者に門誌インターナショナル・サイエンス・フィ う ) ジャン・ジュネ、ポプ・デイラン、サルなるか、数学者になるか、作曲家になるか、 クションが、二号で休刊になったという情報 ペプシ・コーラのコマーシャル、マキさんざん迷ったが、けつきよく作家になっ がはいった。意欲的な編集方針で、世界的な ヤ・ヘリ、そして一ページにおよぶ作者の日記た。家は相当に貧乏だったらしく、さまざま注目を集めていただけに惜しまれる。