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検索対象: SFマガジン 1970年11月号
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1. SFマガジン 1970年11月号

る。若く、美しく、子供もいず、退屈してる。ご亭主が仕事のほう に忙しくて、かまってやる暇がないんだーーしかも彼女は、おたく の直系の大大大大 : : : 大おばあさんた ! 」 「その部分は、あなたの専門だ。・ほくとは関係ない。ぼくから見れ ば逆に、彼女と会わないほうがいい という理由になるかもしれな い」 「・ハ力をいうな。おれが手筈をとってやる。二日三日待て。ドウカ ス夫妻に紹介し、街にある彼らの宮殿に客として一晩泊り、。フルケ リアの侍女に一言いってーーー」 「いやだ」と、・ほくはいった。 「いやだ ? 」 「いやだ。そんなことに巻きこまれたくない」 「おまえさんってのは、ほんとに扱いにくいやつだな、ジャド。皇第毳 ~ ' 后テオドラと x x x x するのはいやだという、プルケリア・ドウカ スと寝るのもいやだという、今度はーーーそうだ、エウドキアもいや だというだろう」 「べつに構いませんよ、 xxxx の相手があなたの祖先なら」ぼく はそういうと、にやっと笑って、「なんなら、エウドキアに赤んぼ うでも作らせましようか ? ・ほくがあなたの大大大大 : : : 大おじい さんたとわかったら、どうします ? 」 「そうはならないんだ」 「なぜ ? 」 「なぜなら、エウドキアは一一〇九年まで結婚せず、子供も生まな いからさ。その年、彼女は・ハシル・ストラティオクスと結婚して、 続く十五年間に七人の息子と三人の娘をもうける。そのひとりが、 おれの祖先だ。そのころには、彼女はぶくぶくに肥っちまってる 4 ー 02

2. SFマガジン 1970年11月号

「これはまたーーー」 《科学的方法》 . をこじつけたりなさったんです ? しかも、先生は いつでも《科学的方法》についてはたいそうロうるさかったではあ 8 「いやはや、あり得べからざることだ ! 自分の目が信じられんー りませんか。そりやたしかに人間はブタから発生したかも知れませ 「たしかに似ておる ! まちがいないそ ! こんなにすばらしい事んーーーそれがそうとうな可能性をもっていることは分かるんですが ねーーーしかし、そいつを証明するのに、このような方法を用いた先 トーリイくん、こし 実を、なぜいままで発見できなかったんだ ? 生の真意がわかりませんね」 つはすごい」 そのとき、通路のほうから、苦悶のあえぎがあがったかとおもう「そりやきみ、人間の先祖が・フタの仲間だったということは、充分 と、ドサリというにぶい音が聞こえた。こんどは、ホーガン博士がありうることだよ。しかしね、そうだからといって、・ほくが応用し た証明方法が正しかったとは思っちゃいない。そのじつ、あれは何 気絶したのだ。老紳士たちは、そこ、 ー冫したインターンたちがホーガ ンの巨体を担架の上にはこんで、人口呼吸をほどこすあいだ、心配も証明しちゃいないんた。そんなことはよく承知してるさ。ただ そうに右往左往していた。そのあと、トーリイ博士はあらためて五ね、この推論を調査する機会が、ぼくは欲しかったんだ。あのホー 人の理事を、明かるい控え室へ案内した。 ガン大先生と、かれのとんでもない愚作に、もうこれ以上わずらわ 「あの男のは、理論といいましても、べつに確固とした信念ではあされたくなかったんだよ」 、刀 りませんでしたから」と、拇指で背中のほうを差し示しながら、 トーリイ博士は、きらきらとかがやく目をインターンのほうへ向 れはささやいた。「自分のアイデアが論駁されるのに耐えきれなかけた。「とにかくね、・ほくがここでつかった、幹部連中を説きふせ ったのでしよう。しかし理事のみなさん、わたしがいまお目にかける方法は、たしかに人類が誇る最高の頭脳のひとつに、たいへんな ましたことは、調査にあたいする問題だと確信しております」 侮辱をくわえてしまった いわば、科学的方法の創始者ともいえ 五人の老紳士は、ひとわたりおたがい同士で目配せしあってかる大学者にね」 ら、トーリイ博士のほうをふりかえった。突然、かれらのかおに好 ・ハレット博士はすばやく視線を上げた。「というとつまりーーこ 意的な笑みがうかんた。「よろしい、トーリイくん、やってみたま トーリイ博士はもうしわけなさそうに、 こっくりとうなずいた。 「そうさ、ロジャー コンにだよ」と、かれはいっこ。 「どうにも・ほくに納得がいかないことはですね」と、あとになって 、ら・ハレット博士が質問を浴びせかけてきた。ちょうど、トーリイ 博士といっしょに、農業実験局へ二匹の騒々しい・フタを送りかえす 手つだいをしているときだった。「先生はなぜ、こんな冗談ごとに

3. SFマガジン 1970年11月号

つまり、この″顔像第六高等学校″を卒業した生徒たちは、もう 「おじさん、宿題やってぎた ? 」 その上の学校へ行く必要はないのだ。 「いやあ、うつかりして忘れちゃったよ これはある意味ではたいへん良いことだった。とにかく、受験地 「それじゃ、・ほくが教えてあげるよ。先生にはないしょでね 獄がないのだ。受験勉強をする必要がないのだ。 こういうふうに、とてもやさしく、親切なのである。 これも、教育方針が最近 ( といってもこの数十年間に ) また変化 この制度ができたとき、反対意見として、大学や大学院がなくな るのはおかしい、大学や大学院がなくなると、より高級な学問を教 してきたせいなのだろうーーーデ・ンンナ氏はそう考えた。 だいたい、国の教育方針は、時間とともに波をうつように変化しえる機関が失われるーーーとの発言がつよかった。 しかし、政府と教育制度審議会は、高等学校はもともと大学院よ ている。一「三十年ごとに、山がきたり谷がきたりする。これは国 の責任であり、ということはお役人にいわせれば同時に国民全部のりも高等である。だからわざわざ高等学校と名づけられているのだ といって説得し、結局この新制度を成立させてしまった。 責任であるということなのだが、政府はいつも変化とはいわずに、 進歩とか改良とかいうので、たいていの人は、谷がいいのか山がい じっさい、この時代の教育技術は高度の発達をとげており、昔の いのか、それとも中腹がいいのか、わからなくなってしまう。 なまはんかな大学教育などよりも、はるかに複雑で高級な内容が教 とデ・ソンナ でも、いまの教育はそうわるいほうではないな えられていた。 氏は、校庭をあるいて、教室に向かいながら思った。 十五、六から十八、九という年頃も、勉強にはもっとも適してい サイケデリックな芸術を教えるよりも、牧歌的な歌謡曲を習った た。古来、天才といわれた人たちは、たいてい、十代で一流の学者 ト・ウィーナ になってしまっているのだ。ガロアにしろ、ノー・ハ 子のほうが、あっかいやすいような気がする。 礼儀作法もちゃんとしているし、年輩の人をうやまう精神も多少ーにしろ、そうである。 だから、政府が、国の教育制度を高等学校で終了ーーということ は身につけている。デ・ソンナ氏のような風変わりな新入生に対し にしたのも、たしかに理由のあることだった。 ても、じきにうちとけてくれた。 およそ将来役にたたない入試数学や入試英語を勉強し、大学に入 ただ、そういう好ましい教育をうけている彼らにも、悩みはある ったとたんに遊びはじめたり暴力をふるいはじめたりする昔の制度 ようだった。 のほうが、はるかに不合理であるーーとの議論は説得力があった。 その悩みは、やはり、この時代ーーーっまり二十一世紀の中葉ーーー さて、話がここでおしまいになるのならば、問題はない。いいこ のこの国の教育制度からくるもののようだった。 とずくめである。 デ・ソンナ氏には、そこのところが、いちばん興味がもてた。 この時代の教育制度の、昔との最大のちがいは、高等学校が最高だが、世の中、そうは問屋がおろさない。 大学や大学院のように、無駄で危険な存在はなくなり、受験地獄 学府だということだった。 9

4. SFマガジン 1970年11月号

してくれた馬車と、そして御者だ」 が、二人のあいだを流れた。・それが押しよせた瞬間、全身がぶるつ 「すばらしい。じゃ、香料の店で用事をすませたら、メタクサスのと震えた。彼女は左の口元をかすかに動かして微笑んだ。つややか な歯が二本、その隙間からのぞいた。それは、誘いの徴笑、情欲の ところへいっしょに行きましよう」 店のなかは暗く、こうばしい香りがただよっていた。いたるとこ微笑だった。 彼女は、ほとんど感じとれぬくらいかすかに会釈した。 ろに樽や、壺、びん、かごがあり、商品がはいっていた。オリー そして背を向けると、あたりにある容器を指さしてあれやこれや ・フ、一ナツツ、ナツメヤシ、イチジク、干しプドウ、ビスタチオ、チ 1 ズ、その他たくさんの種類がすりつぶしたかたちで、あるいは元注文した。そのあいだも、ぼくは見つめていた。付添いの女が気づ いて、おそろしい眼で・ほくをにらむまで、眼を離さなかった。 のままのかたちで用意されている。メタクサスの料理人頭に頼まれ 「行こう」シュ。ヘールがしびれをきらしていった。「馬車が待って たのだろう、シュペールはいくつか選びだすと、財布をひつばりだ した。そうこうしているとき、飾りたてた馬車が店の前にとまり、 三人の女がおりたった。ひとりは奴隷娘ーーー・買ったものを馬車にの「待たせとけ」 三人の女が買いものをすますまで、ぼくは彼を店から出さなかっ せるのが役目らしい。二番目は、地味なドレスを着た年配の女 付添い、というところ。ショッ。ヒングに来た人妻をエスコートするた。女たちが出ていく。・ほくの眼は釘付けになったように、微妙に にふさわしいおばさんだ。そして三番目が、当の人妻で、市内見物ゆれる彼女の絹につつまれたヒップを追った。つぎの瞬間、ばくは ふりかえり、店の主人の手首をつかむと、つかみかからんばかりの を楽しむ高貴な家柄の女という感じだ。 勢いでどなっていた。「あの女 ! あの女の名前は何だ ? 」 彼女は、この世のものとは思えぬほど美しかった。 十七歳、それ以上でないことは一目見てわかった。嫋やかで、す「旦那、わたしゃーーーあれはーーー」 ぼくはカウンターに金貨をたたきつけた。「女の名前だ ! 」 きとおるような地中海地方特有の美しさ。きらきらと光る黒い大き 「あのかたは、。フルケリア・ドウカス様です」店の主人は、あえぎ な瞳、長いまっげ、明るいオリープ色の肌、ふつくらした唇、かた ちのよい鼻、優雅で貴族的な物腰。白絹のロー・フは、こんもりと盛ながらいった。「有名なレオ・ドウカス様の奥様でいらっしやるー りあがったスストから、くびれたウエスト、 豊満なヒッ。フにかけて の曲線を忠実になぞっている。彼女こそ、・ほくが求めるすべてをか ・ほくはうめき声をあげると、店からとびだした。 ねそなえた理想の女性だった。 彼女の乗った馬車は、金角湾の方向へガタゴトと遠ざかってい ぼくは、恥も外聞も忘れて彼女を見つめた。 彼女も平然と・ほくを見返した。 シュペールが現れた。「きみ、だいじようぶかね、ヘル・クーリ ぼくらの眼が合い、その位置で停止した。そして何か純粋な力ア・エリオット ? たお ⅱ 0

5. SFマガジン 1970年11月号

これが、氏の教育委員会への直訴文を解説風に要約したもの女生徒のあとを追いかけていたデ・ソンナ氏のまわりに、だんだ である。 んと、他の学生があつまってきた。 みな、同じような格好をしている。デ・ソンナ氏の若い頃より さて、計画はかなり難行した。まず、妻のアンナが反対した。独も、もっと前の時代の高校生の服装と似ている。尚古主義という 立して同世界で働いている息子や、結婚して母親となっている娘か、復古調というか、最近は、だんだん二十世紀の半ば頃と似た現 象がふえているのだ。 も、「おとうさん、そんなすいきような」といって反対した。 それから、受入側の高等学校のほうでも、難色をしめした。若い むろんこれは外観だけのことなのだが、外観というのも、案外と 頃事情があって学校へ行けなかった人ならともかくも、理博とエ博内容を左右することがある。 をとって、税金をおさめすぎているような人物に入学されても、そ校舎についてもそうだった。 の扱いにこまってしまうからである。 この時代の建築は、純機械工学的な機能主義の諸設備と、自然の テ・ソンナ氏が研究したような住宅用とに二 たが、デ・ソンナ氏はがんばった。 おもむきを生かした、・・ そしてついに、めでたく、研究生活の幕をとじると同時に、高校分されていた。 そして、校舎は後者に属していた。 入学に成功したのだった。 もっともそのとき、高校側は、ちいっとした条件をつけた。その外観は、ツタカズラにおおわれた木造建築なのである。 条件はデ・ソンナ氏にとっては少々重荷だったが、高校に通える喜建物がこのように牧歌的たと、そこに通う生徒たちも、牧歌的な びにくらべれば、もののかずではなかった。 気分になる。あるいはそれが、教育委員会の狙いだったのかもしれ このようにして氏は、宿題をやったり ( あるいはやり忘れたり ) 、 なしが、デ・ソンナ氏は、とにかく、自分の研究がこんなところに お弁当をぶらさげたりして、夢にまでみた高校生活に入ったところも生かされているのを見て、わるい気はしなかった。 だったのである。 「この建材はおじさんが発明したんだよ」 ( 氏が高校進学を希望した裏の理由は、もうすこし後でご説明する 彼は校門をくぐりながら、よくクラス・メートたちに説明した。 ことにしたい ) 「ふうん : : : う」 みんな、さも感心したような声をだした。 デ・ソンナ氏は、こういった生徒たちをみるにつけて、いつも、 若い連中は、また変わってきたなーーーと感じていた。 なにか、自分の父親の若い頃の高校生にーーー話だけでしか知らな いのだがーー・似てきているような気がするのだ。 4 「おはよう、おじさん」 「やあ、おはよう」 8 3

6. SFマガジン 1970年11月号

氏が希望どおり、″顔像第六高等学校″へ入学できたのは、このこえた事態に遭遇すると、コンビュータの内部で信号が空転し、一 人物ーー・すなわち、この地区の教育委員長ーー・のとくべつの配慮が種のテンカン症状をおこしてしまいます。フツ。これはわたくしの あったからなのだ。・ テ・ソンナ氏もお礼に、とくべつ上等の建材で研究生活の間に、何度か経験したことです」 できた " ガス所。を提供していたが、なんといっても、先生の先生「フッヒッフツ、それで ? 」 にあたる人物だけに頭があがらない。 「そのような症状に対する療法こよ、 冫。いくつかの段階があります。 「汗びっしよりの様子だが、・ とうかしたのかね 2 フェーズ・ 0 、フェーズ・ 1 、フェーズ・ 2 ・ ・ : などと呼ばれてい 「いえ、その」デ・ソンナ氏はしばらく口ごもった末、こたえた。 ますが、フツ、わたくしは、もっとも高位に属する療法を用いる必 「ーー体操の練習をしておりましたので : : : 」 要があると判断し、ヒッ、それを行ないました、フッ」 「それは熱むなことだ。・こ、・ ナしふ上達したかね ? 」 「フッヒッフツ、それというのは ? 「まあまあというところであります」 「つまり、学校内の 0 、 0 0 > 、 0 、周辺装置群などの、フ 「そうか、それでは、練習のつづきとして、これから用件をお話す 全電源を断にした、ヒッ、 のです。フェーズの処置でありま るのは、″顔像法〃をつかうことにしよう」 す、フッ 「承知いたしました」 「なるほど、そうだったのか、フツ、わたしも″ティーチング・コ それから映像の中の教育委員長は、顔面をめまぐるしく動かしは ン。ヒュータ″に対してなんらかの打撃を与えたものとは、ヒッ、 じめた。それに、ことばを加え、ときおりマンガの一筆書きをまじ っていたが、全電源を切断することまでは、気がっかなかった、フ えた。 ツ、しかし : : : 」教育委員長は腕ぐみをした。「 : : : 再開がたいへ デ・ソンナ氏も、その方式でこたえだした。 んだろうな ? 」 その会話の内容は、概要 ( 活字文明では概要しかお伝えできな 「係員の話では、フェーズ・ 9 の処置に対する再開プログラムは、 い ) つぎのようなものだった。 まだ、デくッグの点で自信がないそうです。なにしろこれまでは、 「学校の係員の話によると、きみの機転によって混乱が、フツ、お学校の中型コン。ヒュータのトラ・フルは、すべてセンターのマンモ さまったということた、ヒッ、 どういう方法をとったの ス・教育コンピュータが適当に処置してくれていましたので、フッ ヒッフ かね、フッ ? 「簡単なことなんですよ、フッ コン。ヒュータというものはーーーと「ふむ、その点については、別途方法を考慮することにしよう、フ くに最近の高級なものはーーー意外にデリケートでして、定められた ツ。ところで、きみ、″ティーチング・コンピュータ″のシステム 範囲内での動作は神のごとくかんべきに行ないますが、ヒッ、そのが、ヒッ、ああいうぶざまな状態におちいった原因について、思い 範囲をこえた現象に対する処理能力は非常に弱く、そういう限界をあたることはないかね、フッ ? 」 3 6

7. SFマガジン 1970年11月号

0 am Makers 0 第社り ( お とつだけ犯した失敗は、私が彼等の希望をおしぎってでもやってい大ぎな古本屋を経営している彼は、とても信じられぬほど若いので ある。 けると考えたことだ。以来、私は筋を変えようとしたこともない し、これはウォルターやペギ 1 などもおなじだよ。 「フランクリンさんは、一度、筋を変えようとして失敗されたこ とがあるそうですがーーー」 私達はトーキー映画を作ることだってできたし、そんな機械がい くらもあった。たくさんあったよ。でも、私達はもう止めるべきと そのとたん、ウォルターははっと息を呑み顔面が蒼白になった。 きがきたと判断したのさ。止めるべきだと考えずにトーキー映画をタバコの煙にむせたらしい つくったり、ト ーキー映画に出演した連中のことを考えてごらん。 私はひきつづき、やはりレギュラーだった俳優たちを訪問するの とくに、ローラン だが、いずれもびつくりするほど若い。そして、私の取材に対して ) ド・プレードとかあたりさわりのない話しかしようとしないのである。 ンフェイ・テリス、 それにしても往年の大監督や名優たちが信じられぬほど若々しい ム ・ライアままで、こうして悠々と生きているーー彼はそこでハッとひらめ 工 ンなどをーーね」き、取材をそっちのけにして一本の映画台本を書きあげ、それを代 理店へ持ちこんだ。もちろん、フランクリンを始めとするオールド 私はわけのわか カ ・タイマーを使ったリバイバルの伝記映画である。 ルらぬ恐怖におそわ イれた。フランクリ 話はとんとん拍子に運んで映画化が実現し、いままでどういうわ タンの言うその人々けか人目をさけるようにして生きてきたフランクリンを始めとする はいすれもトー 連中に出演を OE する。ところがその折も折、彼は、やはりオール キー時代の初期に ド・タイマーのひとり、今はおちぶれ果てたコリンズという喜劇役 悲惨な事故死を遂者とパーで一緒になって意外な話を聞くのである。 けた連中ばかりで 「ねえ、あのあんたの古い仲間達はどうしてあんなに人目をはばか って生きているんだい ? 」 フランクリンの 「その質問は、俺が自分に二十年間もくりかえしてきたよ。なぜな ところを辞した私んだろうってね。だけど、なんかみんなであつまってきめたらしい Ⅱは、さっそく、昔ぜ。カムパックするとかってーーー」 フランクリンの映「それは俺も知ってるよ。でもその理由についちや考えがあるんだ ク画のレギュラーだろ」 ったウォルター 「あるとも。つまりな、連中は死んでるのさ」 ロ 5 プ ( ーランドを訪問 「死んでる引」 「そう。連中はな、あのとき、トー してみた。若い キー映画に出ようとしたとたん - い , 物第、外、い 蕊新設ぐ“、け 1 ・当第′、 d い、、にぐ物朝 0 長 . P 朝当いれ、、らミにい 0 にヨ第 , 朝、了を↓、対、まし、 イ・ロ″ト フロヅト

8. SFマガジン 1970年11月号

志第、〔受切・ ~ ( を寧をタ ール魵一第、曳過族が第 ご ( 種種、や、 イ 4 レ訳す劣物さ : 第鵞 小さなつむじ風が、ひっそりと した公園のべンチのそばで戯れて いた。思いついたように、読み捨 てられた新聞をつかまえ、ひとし きりそれをはためかせてから、何 枚かを剥ぎとっていった。残った ページのおもては、けばけばしい 色のマンガだった。ダニーは日ざ しの中へと歩き出しながら、地上 にさらされた子どものページに目 をやった。だが、しよせんはむだ だ。新聞を拾い上げる気もおこら なかった。子どものマンガでさえ 説明の要るこの時代には、ホモ・ サビエンス最後の生き残りーーー世 界最後の普通人ーーが、興味を持 てるようなものなど、あるわけは ない。彼の靴は、その新聞をベン チの下へ蹴こんでいた。自分の欠 陥を思い出させるようなものは、 見たくもなかったのだ。一時は彼 も、こうしたものの裏にある論理 の省略をじっくりと考えて、その 意味を見いだそうと試みたことが》 ある。成功もしたが、そうでない 5 ことのほうが多かった。そして、

9. SFマガジン 1970年11月号

の育児室へ通している階段をのぼるあいだ中、ホレイス・ホーガンきた。 の博士のほうへ非難のまなざしを投げかけていた。ホーガン博士 インターンは顔をあげると、トーリイ博士の袖を神経質そうに引 つ。まっこ。 は、五人の先頭にたち、生来の不精がたたってみにくく肥ったメス ・フタのように、しきりにぶつぶつ繰りごとをむしかえしていた。む「先生、あれはーー理事会のおえらがたじゃありませんか ! 幹部 くんだ顔はジットリと汗ばみ、階段をの・ほる最中も、小きざみに手みすからがのりこんでの勤務評定というわけですか ! 先生は今朝 をふるわせていた。ひとことふたことグチをこぼすために、よく足や「てくるのはみんな年寄りばかりだとだけおっしやって、幹部だ を停める。 とはおしえてくださらなかったではないですかーーー」 「プタですと ! フン、 しいですかな幹部のみなさん、この男のい トーリイ博士はカづよくうなづいた。「準備のほうはどうかね ? 」 ってることときたらーー」 インターンは不安そうにあたりを見まわした。「ととのってるこ 「わかった、わかったよホーガンくん。しかしね、かれがいうこととはととのってますがね、しかし、まさか本気でやるおつもりじゃ に、もし一理も二理もあったらどうするね ? 」 「ばかげてます ! わたしの研究は、、 しやしくも科学を標榜したも「とんでもないよ、きみ。・ほくはやるとも ! そのために、わざわ のですそ。こんな言いがかりをつけられるいわれはありません。ど ナざあの有用なおかたたちの頭へちょっとばかりタネを植えつけてお しいち、重要な証拠はどれもこれも、わたしの・ーーー」 いたんだからね。幹部連中はきっと、期待してたとおりのものを見 老紳士のなかのひとりが、かぎ鼻ごしにホーガン博士をじろりとるだろうさ。とりわけ、ホレイス・ホーガンの泣きつつらをねー みつめた。「しかしね、きみぐらい科学的方法に通じている人間だ ー」かれはインターンの二の腕をトントンとたたいてから、控え室 っこら、こうしう冫を 題こよますまっ先に、耳を貸してやるのが本筋に大急ぎでもどっていった。 じゃないのかねー 「さあ、理事のみなさん。これからひとつ、わたしといっしょにお いでいただけますかな」 トーリイ博士がかれらを抜いて、さっさと上へあがっていった。 かれはゆっくりとドアをくぐり、薄暗い通路へ出て、いくつもの 顔色はすぐれす、ひたいの辺にたくさんの皺が寄っていた。階段を の・ほりきったところで、かれは紳士たちを控え室に案内して、椅子覗き窓を過ぎながら、いちばんはじの部屋まですすんだ。五人の理 をすすめた。 「ここでしばらくお坐りいただけませんか。ただいま事とホーガン博士は、その部屋の覗き窓を一斉にのそきこんた。そ のとたん、一座のあいだに沈黙がながれた。 育児室へ連絡して、授乳時間とかちあわないかどうか確かめてまい りますので」 部屋のなかでは、やっと発作がおさまったミス・ヘンダースン そういって、かれは白塗りのドアの外へ消えた。ちょうど通路へが、精力的に育児籠のあいだを往来して、やさしい手つきで。ヒンク 9 出たところへ、インターンのパレット博士がいきおいこんで飛んでと・フルーの毛布をかけなおしているところだった

10. SFマガジン 1970年11月号

どうたい、一 = 調子は ? 」 の祖先たちがその黄金時代に征服した惑星を見せて、気晴らしをさ 外見だけなら、ジャック・ソープの身体は、ダニーの筋骨たくませようと考えているのだろう。しかし、ダニ 1 は、新人類の忙しく しいそれと、瓜二つといえた。その上にくつついた笑顔にも、べっ活動する、いまのそれらの世界を見る気はなかった。かってのそれ らの姿を想像しているほうが、現実と顔つき合わせるよりは、よっ だん特色があるわけではない。人類を超人類に変えた突然変異は、 それに、あの宇宙船はここにある。ほかの惑星へ行け 表面にはなんのしるしも見せない内部のそれであり、脳細胞と脳細ぽどいい。 ば、もう脱出の機会はなくなるのだ。 胞のあいだの、よりすばやい、より複雑な連結だったのだ。ダニー ジャックは、彼の種族に特有な、テレバシーに近い理解の早さ はジャックにうなずいてから、この幼友達、二人の差があまり問題 にならなかった子どものころの遊び友だちに、しぶしぶながらべンで、こっくりとうなずいた。「わかるとも。むりにとはいわない よ、ダニ ハイツへ行かないかい ? ミス・ラーセンが、きみに チの席をあけた。 渡すものがあるそうだ」 司書のミス・ラーセンが彼の居場所を知っていた理由を、ダニ】 「あとにするよ、ジャック。博物館へちょっとそのーーちょっと寄 はきこうとはしなかった。彼の知るかぎりにおいて、自分がここに はた目にはなに っていきたいもんだから」 くることに特別なパターンはないと思えるのだが、 かがわかるのにちがいない。それでもダニーは、自分の動きを予測「そうーソープはゆっくりと立ち上がり、のんびりと服の埃りをは らった。「ダニー」 できる彼らの能力に、まだ微笑をうかべるゆとりがあった。 「うん、元気だよ、ジャック。きみは火星じゃなかったのかい ? 」 ソー。フは、隣りにすわった青年が特種な人物なのを忘れないため 「・ほくはたぶん、だれよりもきみのことをよく知ってると思うん には努力がいるといったように、ひたいにしわを寄せた。彼の言葉だ。だからーーー」ソープは言いよどむと、肩をすくめて、先をつづ は、ダニーに話しかけるだれもがそうするように、注意深い言い回けた。「・ほくの早合点なら、かんべんしてくれ。このことは、だれ しだった。「あれはすんだんだよ、ここ当分はね。つぎはどうやらにもいわない。 とにかく、成功を祈るよーーじゃあ、さようなら、 金星行きらしい。あそこで、男と女のパランスをとるのに苦労してダニー」 いるのは、知ってるだろう ? だから、きみも誘ってみようと思っ あっというまに彼は去ってしまい、ダニーはのどもとに心臓のつ てね。きみはこれまで一度も『外』へ出ていないし、それに、むか かえた感じでとり残された。ほんのちょっとした言葉、顔面表情、 しは宇宙小説ってやつの大ファンだったのを、思い出してね」 それとおそらくは子どもの頃の記憶ーーこれだけで、相手にとって 「いまでもそうだよ、ジャック。しかしーーー」ダニーも、それがど は、ダニーが胸の奥底に秘めた願いを洗いざらいぶちまけたのと、 ういう意味かは、むろんわかっていた。舞台裏から彼を見まもっておなじだったのだ ! 彼が博物館の旧式宇宙船に抱いている関心、 いる連中が、彼のつのりゆく不満に気づき、そしてこの機会に、彼温かい思いやりでいつばいな地獄から脱出しようと慎重に練り上げ