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検索対象: SFマガジン 1970年8月号
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1. SFマガジン 1970年8月号

六月号のこの憫で〈ファンタスティ ック〉のことをちょっと紹介たとえば同誌五八年二月号、画面半分をによっぎりと占領してい したら、ぜひともくわしく知りたいというお便りが殺到した。る脚線美、その向うには、どうやら男性とお・ほしきやつを鞭でひっ ファンの中にも鼻下長族が結構多いわけである。そこで、目下書庫ばたいている金髪美人。よくみると、手前の婦人も右手に鎮とみえ の引越中でごった返しになった中から、ひさしぶりにその〈ファン る鞭をかまえている : : 。はるか彼方にはつめたく輝く口ケット : タスティック〉をひつばり出してみると、実にもうなっかしいので 。ま ( サディズム & マゾヒズム ) の典型的お膳立 ある。〈アメージング〉の姉妹誌として〈ファンタスティック・アてであろう。 ドヴェンチュア〉という雑誌が一九三九年から一九五三年にかけて もうひとつ、五七年の八月号となると、構図はほ・ほおなじなのだ 出ているが、これは、いわゆる安手のファンタジー専門誌で、今か 力によっきりと画面の半分を占領しているのは脚線美ならぬ毛ム ら紹介する〈ファンタスティック〉の方は、ほぼ〈ファンタスティ クジャラの足、そして棒杭にくくりつけられているのは肌もあらわ ック・アドヴ = ンチ、ア〉と入れ代りのように創刊されて今日に至な超ポインのうつくしい婦人たち。毛ムクジャラの手の爪の鋭さが っている。なにしろ、マリリン・モンローだとかジェーン・ラッセ いやが上にもサディスティックで、まことケッコウな風情。 ルなどという、今日いうところのポインポインのはしりみたいな連 こちらは五七年の二月号。花もはじらううら若い婦人の上膊部に 中がスクリーンで ( ・ ( をきかせていた時代のことである。三〇年鎖を縛りつけて、そいつをロケットでひつばるという、車曳きの刑 代、四 0 年代のパル。フ雑誌の表紙に登場する美女達よりもぐっと身版。苦悶に歪む婦人の表情がこれまたケッコウ。 近なたけあって、迫力もひとしお・ーーというわけである。 これらの絵はすべてエドワード・ヴァリガスキーの手になるもの 9 連載Ⅱ (DLL 美術館⑩ LL イラスト 5 & ヴァリガースキイの表紙画 fantasl(ON 9 員材をイ 2 野田昌宏

2. SFマガジン 1970年8月号

在で、最近筆者の手許に第八巻がとどいた。しかしロッテンシタイ ナが出版中止と誤解したには、それなりの理由がある。それは第七 巻が一九六七年に出版されて以後、今回の第八巻が一九七〇年に出 版されるまで、なんらかの理由で中断されていたことである。 第八巻は表紙の装幀こそ今までのものとまったく同じであるが、 文 外国作家の作品を一点も載せていないことと、今までになく巻頭論 文ともいうべき「科学とファンタジイ」と題したエス・ガンソフス 、ー ( ~ を物代 キーの論文を載せていることである。その上、版型を少し大きくし たとはいえ、べージ数を大幅に減らしている ( 今までは、二七〇 ~ 三七〇ページであったものが、一七〇ページになっている ) 。ハイン れ ライン、ベスタ ー、ラッセルなどの作品を積極的にソ連に紹介しょ うとしたアンソロジストであるイエ・プランジス、ヴ = ・ドミトレ、 フスキー、そして。ハルノフなどが排され、堅実派と目されているエ ス・ワルシャフスキーが編者に登用されるまでの経緯については詳 しいことは分らない。しかし、青少年を対象とする出版物が大きな因はさておくとしても、実際に出版が中断されているのであれば、 比重を占めている〈知識〉出版社は、ソ連の出版界でも独自の体当然読者に知らせるのが義務であるわけだが、マガジンにも比 制と流通機構を持ち、影響力も大きいことから考えると、このアン較的よく紹介され知られているユニークなアンソロジイ ( 年鑑 ) ソロジイについても相当深刻な論議があったのではないだろうか ? 『ファンタスチカ』も、その″焚書リスト″に載せなければならな 〈世界情報〉では触れられていないが、ロッテンシタイナがい いのかといささかゆううつだったが、この原稿を書いているところ ここに紹介した うようにベトナム戦争に対するアメリカの作家の態度が、ソ連へ最新刊がとどいた。出版部数も減ってはいない。 でロシア語に翻訳する場合に、雑誌の編集者が作品を選考するとき最新刊の写真を見て読者は一九六八年度版がどうして最新なのかと のある種の基準になっていたかもしれないし、おそらくは今でもそ不審に思われるかもしれないので、ソ連の出版事情を若干説明し うであることは考えられないことではない。しかし、今でも、〈世て、理解していただきたいと思う。六月号の雑誌が四月に店頭に並 界〉出版社が意欲的に「外国の」シリーズ ( これまでに日本ぶ日本などと違って、ソ連では、その月に雑誌は当月号が出る。ま 短篇集二点を含む四十点以上が出版されている ) が出ていることた年鑑類はすべて、出版年の前年度版が出る習慣になっている。日 や、「現代文庫、のことを考えれば、ベトナム戦争に対する作本的にいえば一九六九年度版となるところである。そのため、『フ 家の態度云々ということも原因としてあげるには少し無理があるよアンタスチカー一九六八年版』は一九六九年末に出版され、国外で 入手できるのは郵送上の問題もあって翌年即ち今年の四月になった 6 うに思える。 0 ' テンシタイナがいう出版中止の憂目をみた刊行物として、原わけである。したが「て、『フ , ンタスチカ、一九六八年版』は最一

3. SFマガジン 1970年8月号

一九一七年 ( ロシア革命の年 ) 以降、ロシア語で出版されたソビ エト作家の作品は一六二四点 ( 再版を含まず ) 、そのうち、一 〇〇〇点は過去十年間で出版された。外国のについては、ジュ ール・ヴェルヌとウエルズは除いて一二〇〇点。毎年出版される点 年 数は、ソビエト作家の作品が一〇〇点を越え、外国のでおよそ 五〇点。だけの総出版部数はロシア語のものだけで三〇〇万部 にの・ほる。これに、ロシア語以外のソ連領内の諸民族語で出版され 一チているものまで加えるとおびただしい部数に跳ね上ることは間違い タない。しかも読者の大部分が青少年である。これは放置しておくべ ンき状態ではない。したがって文学批評の側面からをマークする 第 ア 価値は充分にある。いったいの思想的、美的、道徳的背景とな っているものはなにか ? とその論文の筆者ワレンチン・スヴィン 一一コフは論文を始めている。 ますます尖鋭化している一一つの世界観 ( あっさり二つなんて して権威のある専門誌「外国文学」 ( 編集責任ソ連作家同盟 ) が発 表した「なぜあなたは作家になったのか ? 」というアンケート に対する、主として外国作家の回答に端を発している。回答を寄せ た作家は次の通りである。アイザック・アシモフ、ポール・アンダ スン、ジェイムズ・プリッシュ、フリツツ・ライバ ン・ナイト、フレデリック・ポール、レイ・ブラッドベリ ( アメリ カ ) 、・フライアン・オールディス ( イギリス ) 、ビエール・・フール ( フ ・クルプ ヘルベルト・ ランス ) 、 ・フランケ ( 西独 ) 、ギュンター カット、ハインツ・フィヴェグ ( 東独 ) 、クシュシトフ・ポルン ( ポ ーランド ) 、ヤン・ヴェイス、イヨゼフ・ネスヴァードバ、・べ ゴウネク ( チェコスロヴァキア ) 、ラドウ・ノール、イオン・ハく ナ ( ルーマニア ) 、ヨルダン・ヴィルチ = フ C フルガリア ) 、以上外 ( : 国作家の他にソ連の作家として、ストルガッキー ( 兄 ) とゲン ナージイ・ゴ 1 ールの二人がアンケートに答えている。 第い ィををを第こ三を第 矼気 第 0 くタト S 第シリース 2 ハリ 4 ・ハリ人ン祖扁集

4. SFマガジン 1970年8月号

国際 rn シンポジウム趣意書 委員会事務局 いまや三分の一にさしかかった二十世紀は、すでにこれまで そしてまた、ここ一世紀余の私たちの科学は、広大な宇宙の の経過をふりかえってみただけでも、人類史にとって、かって構造から、物質、生命の構造にまで光をあて、人間という存在 ないほど巨大な、「転換の世紀」であったといえましよう。 を宇宙、物質、そして四十数億年の地球史の関連において考え この世紀の前半、人類はその誕生以来初めて、全世界的規模ることを可能にしました。 で二つの大戦争を闘いました。そしてその後半は、ヒロシマの ☆ サイエンス・フィクション 悲劇という象徴的な事件によって幕があき、アポロ宇宙船によ ( 科学小説 ) は、すでに二十世紀の初頭から、近代科 る人類初の月到着という画期的なできごとによって、一つの区学と、技術文明の切り開いた新しい認識の地平を、対象としてき 切りをあたえられました。 ました。それは、一方において、古代神話以来の時間と空間の ☆ 冒険、雄大な想像力の冒険の文学の伝統を受け継ぎながら、そ 核ミサイル体制とアポロ月到着ーーー皮肉にも、同じ原理の技れを開け始めたばかりの、新しい「科学の時代」にむかって、 術体系によってつくり出されたこの事態は、私たちの文明が、 投げかけました。近代の鼻祖であるⅡ日ウエルズ以来、 今やすべての面にわたって、まったく新しい思考の次元を採用は、数千年にわたって文学の伝統的主題であった「人間」 する必要にせまられていることを、端的に示していると思いまの概念にかえて、「人類」という概念をその中心にすえてきま す。 した。そして、その概念を中心にすることによって、初めて現 数千年におよぶ農業文明時代の「人間」という概念にかわっわれてくる新しい問題ーーー進化、未来社会、文明の危機、物質 と人間、機械と人間、宇宙と人間等々を取り上げてきました。 て、「生物としての人類」という概念を、「国」や「世界」にか わって「地球という名の惑星」という概念を、すべてのものご それは、何千年も続いた農業文明時代の「人間Ⅱ世界認識」 との判断の基礎にくみこまざるをえないほど、私たちの科学技にもとづく「伝統的文学」の巨大な蓄積にくらべて、あまりに 術文明は巨大化してしまいました。交通、通信、産業、経済、も歴史が浅く、あまりにも理解され、評価されるところがすく 政治、文化、戦争や公害、あらゆる面において、「地球大」のなかったことはたしかです。 スケールが問題になりつつあります。 しかし、一方、が、きわめて徐々にではあっても、着実 本誌三月号の〈世界情報〉欄で、このたので、ここにその全文を掲載します。 夏、世界の一流作家を一堂に集めておこの普及と発展に徴力を尽している早川書一 なう″国際シンポジウム″計画が、日本集部も、このきわめて意義ある計画をぜひと 作家クラ・フと日本ファングルー。フ連も成功させるため、読者のみなさんの積極的 合会議の手で、着々すすめられていることをなご協力ご支援を願ってやみません。なおシ お知らせしましたが、このほど名誉実行委員ンポジウムへの参加希望者は、本号の〈てれ 長小松左京氏の起草になる趣意書が発表され。ほーと〉欄をご参照くたさい。

5. SFマガジン 1970年8月号

まを , れたが、そのときラベル船長は、この原作を底意地のわるい観察も、浅倉久志も解説で書代作家の作品を幅ひろく数多く ( 二七篇 ) あ もとにつくられた同名の映画をみたことを、 いているように、宇宙飛行に対する反対意見つめてあるが、これらのなかには、とポ ありありと思いだした、と語っている。僥倖から来ているのかもしれない。 】ダーラインにある作品もかなりある。しか ( ? ) とはいえ、現実に裏づけられたその迫真 三〇年代ソ連の亡命作家エウゲーニー・ザ しストーリーより何より、プラック・ユーモ 力は、十分に読みごたえがある。 ミャーチンの『われら』 ( 川端香男里訳・講談 アの持っデモ 1 ニッシュな底意地のわるさー ハヤカワ・・シリーズの海外ものは、 社・六五〇円 ) も、読者にとって、見逃 今月は・フライアン・オールディスの『暗い光すことのできない本である。自由を未開人のー伊東守男のいわゆる。フラクティカル・ジョ をを年』 THE DARK LIGHT ・ YEARS ( 一思想とみ、全国民が制服を着、家も労働も思 ーク性は、の精神構造に一脈通ずるとこ 九六四年・中桐雅夫訳・三〇〇円 ) が出た。想もセックスもすべて画一化され、〈恩人〉と ろが確かにある。 二〇三五年、トランスポーネンシャル推進 いう名の独裁者に支配された未来社会を描く の完成によって恒星空間に進出した人類は、 この作品はハックスリイの『すばらしい新世 ◇ はじめて他の知性体とのファースト・コンタ界』やオーウエルの『一九八四年』に重大な 最後に、児童文学の世界でのの普及ぶ クトを成就する。それは、三つの太陽の周囲影響を与えたといわれる幻の名作で、今日ま りについて、一言言及しておこう。はこ を複雑な軌道を描いて公転する惑星ダブトロで名のみ高く、まだ邦訳されていなかった。 フにすむ、サイに似た巨大な知的生物ュ ートこの機会に、ぜひ一読をお奨めする。 こ数年来、児童図書出版においてもかなりな ッドだ 0 た。だが一見知性とほど遠い彼らのプラック・ = ーモア選集第六巻外国篇 ( 早分野を占めてきたが、特に一昨年あたりか 、姿を見た地球探検家は、糞尿にまみれながら川書房編集部編・六九〇円 ) も、先月の日本 ら、質量ともかなり充実してきている。現在 物泥沼にゆあみしていた彼らにライフルを乱射篇と同じように、非常におもしろい。・フラッ , 3 一してその何頭かを殺してしま 0 た。だが実はク・ = ーモアの代表選手と目されるローラン児童ものを積極的に出版しているところ は、岩崎書店〈アポロ・シリー ・トボール、ポリス・ヴィアン、ャック ズ >< エスエフ ュートッドたちは、数億年の歴史と地球のそ れとは全く異質の高い文明を持っ古い種族だステルンベルグほかジェームズ・パーディ、 世界の名作〉〈エスエフえどうわ〉偕成社〈工 ヴォネガット・ジュニア、ロアルド った。彼らは文明を「排泄物との接近の度合カート・ スエフ名作シリーズ >< 世界のこども ><oo ・ダール、その他イタリア、オーストリア、 いの多さ」と考えていたのである。 えどうわ〉集英社〈ジュニア版世界の〉 スト・コンタクト・テーマのはスエーデン、オランダ、チェコ等の国々の現 金の星社〈少年少女幻世紀の〉国土社〈創 数多いが、オールディスの 作こども全集〉朝日ソノラマ〈ャング・ この作品は、地球人類と全 く正反対の思想・文明を持 シリーズ〉盛光社〈創作えほん〉〈創作 第一 洋を . ったーーそれゆえ、人類か どうわ〉毎日新聞〈少年少女全集〉など : 蜷 . らは理解不可能な種族との で、これらのなかで見られる特徴は、海外も コンタクトを描いて、コン 光のに、現代作家の問題作のすぐれた再話が非 叭タクトそのものへの疑念を 表明している点が特色だ。 常に増えてきたことと、日本作家のジュヴ 暗 そういえば、宇宙糞尿譚を ナイル、童話の創作がめだってきた 意図したのかと思えるほど ことである。この傾向は、各社の企画がほ・ほ の糞尿描写のハンランも、 出揃う今年半ばを境に、また一段と発展的に い一当二つの種族の反応に対する 辛辣なーーというより妙に 変化するものと考えられる。 , 暗い光年、・言毎 . プライアン・ , A HAYAKAWA SCIENCE 声ー CT ー ON SER ーこ 5

6. SFマガジン 1970年8月号

を亠っ一第 一イ第ら 天ラッ 当第ら当を い 1 ・ れ " ャ亠 3 をしこ ( 平ぐ ! ー 当ミ気ン 一を第 1 上一 よっと たか、 , よえ 知生 カ知性 年一見知 .

7. SFマガジン 1970年8月号

Ⅷ分ものがあり五千円と七千円。月面地表のンドがはじめて開発したジェット機で一五 国内企業の日立グループ館ではプラウン Ⅷ立体写真も十種類ほど売っている。 〇機ほど量産されている。技術のほとんど管を使った飛行ッミュレーターを売りもの 宇宙関係のスライドはソ連館の売店でもはイギリスにおんぶした一種のイックダウ にしているが、説明だけはやたら大げさで 「イカルスから宇宙まで」という題の珍らン ( 現地組立 ) 方式。ヒンダスタン機はイ内容に乏しく、本物のシミュレーターには ーしいソ連の宇宙イラストスライドがある。 ンド館の裏側、オンタリオ州館寄り ( 白い ほど遠い 一組十一一枚で六百円。 虎のいる出口とは反対側になる ) の空地に未来交通関係では日本館に国鉄技研が開 トラクターといっしょに置いてある。最近発中のリニアモーター列車の模型が走って 開発された 2 5 0 0 のジェットエン いるが、あまりに小さすぎて仕組みがよく 囘航空交通関係の展示 ジンは館内一階に展示されていて美しい インド人ホステスが「これは純国産で おかしなことに米ンとも航空に関する展すーと誇らしげに説明する。 咀示がない。わずかにソ連館の三階に気球か 歴史的な飛行機ではアメリカン・ らまで式の図解。ハネルがあるだけで ク館のリンド・ハーグが日本訪問 ( 一九三 全力を宇宙展示に投入した感がある。 一年 ) のとき乗ってきた水上飛行機シリ そのかわり宇宙展示にふれなかった英仏ウス号と、イタリア館の中庭にあるロー - はを派手に売り出す作戦。 マ・大阪間航空路を初飛行した ( 一九二 英国館はコンコルド用のロールスロイス〇年 ) > 9 双発機が貴重である。 エンジンや自動離着陸装置、フランス 三菱未来館の未来都市 ー館の二階にはコンコルドの十分の一模 Ⅷ型のほか試験飛行の記録を映画で見せ る。同じフロアにフランス国産のジェ ト機 ( ミラージュ型の各機種 ) のコ ーナーもある。面白いのはパリ空港の 矚保安設備のフィルムで霧を消す装置や 回自動離着陸、滑走路の照明灯を清掃す る特殊車の活動などの短い映画が見ら れる。 インド館は国産のヒンダスタン 聞 e をはるばる運んできた。六四年にイ リニアモーター列車の模型

8. SFマガジン 1970年8月号

て座は白けきった。″御承知のように、エイキン氏は気の毒にも死 刑の宣告をうけましたが、その執行の日時は公表されないことにな っております。しかし、信ずべき筋から私が入手した情報によりま すと、エイキン氏の処刑は七月六日午前零時、すなわち、今から数 分後に執行されるのであります″一座はしーんとなって顔を見合わ せるばかり。その中に、どういうわけか、ひどく勝ち誇った表情を うかべる ックナムのス。ヒーチがつづく。″さよう、ただいまか ら、二分四五秒後には、ジョン・エイキン氏の着席した電気椅子に 高圧電流が流れることになるのであります : : : そこで諸君、ここに つどう一同、よき友ェイキン氏へのお別れの心をこめて、午前零時 きっかりに一分間の黙をささげようではありませんかー あまりといえばあまりの悪ふざけに、激怒した刑事のコリアは席 を立ち、婚約者も置きつばなしのまま自分のアパートに引き揚げた。 それから数時間後のことである。彼は上司からの電話でたたき起 0 0 、ツ される クナムのスビーチ通り、午前零時にジョン・エイキンきほどのス。ヒーチの主・ハックナムである。びどいけがをしているら しく、半死半生のかぼそい声。とるものとりあえずパックナムの邸 の死刑はたしかに執行されたのだが、どういうわけか、彼はケロリ として高宅にかけつけてみると、客が帰ったあとのがらんとした広間のどま 圧電流にん中で、・ ( ックナムが血まみれになってのたうちまわっており、 号 ″早く殺してくれ″と嘆願の声をあげている。彼の体は鋭利な刃物 耐えたと 8 いうのでで ( チャ ( チャに切り刻まれており、死んでいないのがおかしいく 年 らいである。彼が大急ぎで救急車を呼ぶ間も。ハックナムは″殺して ある。狐 くれ″とわめきつづけ、″俺は死ねないんだ。なんとか死ぬ方法を につまま ッれた思い考え出してくれ、我慢ができないんだ、すべてあの宝石のせいだ″ イで受話機とロ走る。 テ この日以来、婚約者のレオナがぶつつりと消息を絶った。と同時 ス タとたんに に、得体の知れぬ殺人事件や暴力事件がまるで伝染病のように町中 ン また電話で続発しはじめる。大部分のケースの場合、犯人はすぐわかる。そ ア フのベル、 こでそいつを逮捕して調べてみると、実になんとも下らない動機で 今度はさ平然と大それたことをやってのけているのだ。その一人、″女房が ffth 厩叩年よ朝 0 3 第 AUGUST 3 5 'CALL M ZOM 前日“自 W ーんⅶト鳴「 M 。れ・い ) 第背 A 0 - MAD に K ー乢 E 5 “ A ( ト川 0 る P00 : 1 ー WO 0 0 ド WOM 一面 Wos な、 信 n tasllc ファンタスティック ' 57 年 2 月号

9. SFマガジン 1970年8月号

マッケヴォイは思案投げ首といったかっこうで、目覚しの表面を「こういう種類の出来ごとは、おれの神経をやたらにとがらせるん トントンと叩いた。「メリー、 おまえが最初に転送させた電流計をだ。とくに、何年か前に起きた、『次元閾』事件と関連がある出来 ごとならなおさらだ どうだ、おぼえてるかあの事件を ? 」 調べてみたか ? 」 ひきだし メリーが首を左右に振った。 マッケヴォイのことばを待つまでもなく、メリーは抽出のなかを 「まったく妙な出来ごとだったよ」と、マッケヴォイは言葉を続け ごそごそかきまわしはじめていた。やがて電流計をみつけると、壁 のところまで歩いていって、そこにある実験用回路の中へはめこんた。「おかげで、あれからというもの、おれたちはその実験をすっ だ。スイッチがはいったとき、二人の男はダイアルに注目した。瞬かり諦めなければならなくなった。 おれたちが四次元宇宙へ通ずるある種の《門》を偶然に発見した 針が狂ったように震えたかとおもうと、装置から青い煙がの・ほ って、針の動揺が。ヒタリと止んだ。 のは、一一七番実験室で低温装置の実験をしていたときのことだっ 「焼け切れたか」メリーがつぶやいた。かれはスクリーン・ドライた。いや、すくなくともおれたちは、異次元への扉をみつけたと信 ーをつかって、装置の内部を開き、配線状態をつぶさに観察しじたんだ。どっちみち、確かなところはわからんさ。なにしろ、お なかの配線はめちやめちゃだぞ ! 」 た。「マックー れたちスタッフでもいちばん頭の利く技術者が六人、そろいもそろ って功をあせったものだから、かわいそうにみんな死んでしまっ 「ぜんぶ逆に配線し直されているのか ? 」マッケヴォイが言葉じり た。まったく、妙な出来ごとだった : : : 」 。、、返しこ。 をつかんて「し、 メリーが渋面をつくりながら、顔をあげた。 「いいやートー逆になってるだけじゃない。あらゆる方向に混線して 「それはたしか、十五年ほど昔の出来ごとじゃなかったかな ? あ いる。ワイヤーどうしが咬みあって、数個所以上でショートしてい る。こんな配線は人間にやできない ! 」かれはなにかおそろしいもれは一九七二年ごろだと記憶しているが ? ・ほくはちょうど高校生 だった。女性がひとり、その出来ごとに巻きこまれたという話を聞 のでも見たように、蒼白な顔をあげた。 マッケヴォイが毒づきはじめた。「まったく妙な装置だ」と、か マッケヴォイの顔も、苦虫をかみつぶしたみたいで冴えなかっ れはあとからいいたした。「おれはこういうものに出くわすと、た まらなくイライラしてくるんだ。どうにも好きになれん機械だよ」た。「その通りだ。その調査は結局生理的な順応性の問題にまで進 んでいった。そこでおれたちは、みんなに代って異次元の内部を調 かれは暗い表情で物質移送機をにらみつけた。 しろもの 「こういう代物はどうも物理学研究所にふさわしいものではなさそ査できるだけの、もっと完全な順応性をそなえた女性にすべてを託 うだ。物理的な法則が物質を支配する世界で、おれたちはいま、研すかたちになった」かれは、嫌悪の情を露骨にあらわしながら、啖 究所の総力をあげてその法則を研究している最中じゃないか」そう壷の中へつばを吐き入れた。「彼女は大仕事をやってくれた。こち 8 らの世界へもどってからも、硬直状況からの回復は順調に進んだ。 言ってから、かれは荒っぽく両手をポケットの中へ突っ込んだ。

10. SFマガジン 1970年8月号

もう一つ同じ。ハークの売店ではアポロ関 アメリカ各州に均当に配給されたニク ソンのおすそわけ。日本館の四号館に、係の珍らしい資料を売っている。たとえば もおすそわけの月の石 ( の粉 ) がかざアポロワッペン。Ⅱ号のイーグル ( わし ) ってある。 のデザインだけが有名だが、ここでは 7 号 宇宙ファン必見の貴重な展示はアメから号まで揃って一枚二百円。 Z<Ø< ーグのシ提供のカラースライドファイルはⅡ号関係 リカン・バー ク館。リンドく リウス号展示館の片隅に、ロケットのの写真がほとんど収録されて一冊九千円。 父ゴダードの実験用ロケットの実物が上下二冊そろえると完全になる。»-äつき スライド集もあるし、一枚二百円のアポロ 陳列してある。リンド・ハーグはゴダー Ⅱ号ポスターもある℃月面活動を撮影した ~ ードの研究の将来性に注目して五万ドル の援助金を出し、方向を自動修正でき 8 ミリのカラーフィルムは七分ものと十五 カナダが計画中の通信衛星 るロケットを完成させたが、このとき いの音楽が流れていささか東宝特撮映画のム の特許がのちにアメリカの宇宙計画に大き ・ト : 10 な力となった。ゴダードは熱狂的なフ 三菱の向いにある館の「図形で語 アンでアメージング誌の愛読者だったが、 ろう , コーナーでは電算機と直結したプラ・・ウエルズの夢を実現させるために コッコッと自費でロケットの研究をつづ ーウン管を使って月面軟着陸のシミュレーシ ⅷョンができる。ハンドルとボタンを操作しけ、一九二六年世界で最初の液体燃料ロケ ながら、・フラウン管にうつる船の図形ットを打上げたが、当時はロケットの偉大 を月面に無事着陸させるゲーム。電算機がな価値に気づく人は皆無にひとしく、一九 計算する軌道をはずれると警報が鳴り、減四五年失意のうちに死んでいった。ゴダー 価点になる。 ドはもっと再評価されていい宇宙開発の功 いささか珍奇な展示はカナダのケベック労者であり、このロケットはむしろアメリ 州館でアポロ船の足の部分だけを展示カ館に展示すべきだった。 いして「月に一番乗りしたケベック。着陸船 アメリカン・。、 ークに出品されたゴダー ド・ロケットは一九三八年打上げたジャイ ーの脚はケベック製です」と説明をつけてい ロスコー。フつきの長さ約三メートルのロケ る。アメリカのワシントン州館には「月の ットで、パラシュートを使って回収、これ 石片」と称する耳かき一杯にも足らない月 の石の粉が展示してあるが、この月の粉は一つだけが保存されていたものだ。 物ー・ ~ 一洋ごをド 動く歩道に乗って見る三菱未来館の海底開発 8