たもんだから、右手を銃身と作動分部の間にはさんじゃってね カチ カチカチってなぐあいでさ。 親指と手の平の間の柔かいところさ。こいつは痛いよ。ジ = イムズ彼はテイラノザウルスの傍まで行ったんだ。その時畜生はジ = イ はびつくりして、銃を落としてしまった。それであわててそいつを ムズとザ・ラージャの方へかがみこもうとしていた。彼は銃口をテ 拾い、逃げだした。 イラノザウルスの体から二十フィ 1 トのところに据えて、三七五を これ以上タイミングが悪いことはなかったね。ザ・ラージャがガ獣の体にプチ込みはじめた。テイラノザウルスが恐ろしい唸り声を ンを持って小高いところへかけあがり、肩にあてて撃とうとしたそあげて、このチクチクする痛みがどこから来るのか見ようと体をぐ の瞬間、うまくテイラノザウルスの全身がみえた。ところがジェイるりと後向けにした時、彼は三発ほど撃っていました。獣は顎をガ ムズのやつが、いちもくさんにこっちへ逃げてくるのがみえる。そ ッと開き、頭をぐるりとまわして、また下げました。 こで彼は一瞬ひるんだ。ジェイムズを撃ちたくないからね。ジェイ ホルツインガーはもう一発撃ってから、脇へとびのこうとした。 ムズは向うみずに突っこんできて、ザ・ラージャが体をかわすひま彼は棕櫚の茂みと谷間の間の狭いところに立っていたからね。とこ もなく、ぶち当ってしまい、二人とも転がって羊歯の茂みの中へ入ろが、谷へ落っこちてしまった。テイラノザウルスはそのまま突進 ってしまった。テイラノザウルスは、乏しい智恵を絞って、二人をして、彼をつかまえた。落ちる途中でつかまったか、底まで落ちて からっかまったのかはわからないがね。顎がガチンと閉まる音がし たたきつぶそうと突進した。 って、畜生は、悲痛な叫び声をあげたホルツインガーをくわえこみ、 棕櫚のこっち側にいたホルツインガーとあっしはどうしたか て ~ そう、ジェイムズが叫び声をあげ、テイラノザウルスの頭が頭をもちあげた。 ちょうどその時、あっしがそこへ着いてね、畜生の顔に狙いを定 現われたのと同様に、ホルツインガーは脱兎のごとくとび出してい ったね。あっしはテイラノザウルスの頭めがけて撃ちこもうと銃をめた。ところが、やつの顎の中には友達が詰っているということに あげた。少なくとも眠を撃ち抜きたいと思ってね。だがそいつがあ気がついた。撃てば、彼も撃っちまうってわけだ。でかい動力シャ ベルが端までいった時のように頭が上ったところをみすまして、あ っしの照星にはまらないうちに、頭は棕櫚に遮られて見えなくなっ っしは心臓を狙って撃った。ところがテイラノザウルスはすでに向 てしまった。ここだと思った時に撃てばよかったんでしようけど ね、あっしの経験てのは、どうも乱暴な射撃には向かないんでね」きを変えていたので、弾は助骨に沿って外れたんじゃないかと思う ふりかえって前を見ると、ホルツインガーの姿は、すでに棕櫚のね。 もう一発後から見舞った時は、畜生は一一足ほど逃げていたね。そ 茂みの向うに見えなくなっていました。ごらんのとおり、あっしは ひどく太っちょですがね、でも彼の後を追ってフルスビードでかけの次に踏み出した足はよろよろしたが、それでも逃げ続けやがる。 出しましたよ。するとその時、彼のライフルが火を噴くのがきこもう一足で、そいつは木の間にみえなくなってしまいそうになっ 3 え、射撃の合間にポルトが鳴るのがきこえました 、、ハンーーカチた。その時、ザ・ラージャが二発撃った。この勇敢な男はからみあ
ら向う側へよじ登ると、道は棕櫚の大きな茂みが立ちはたかって、 「なんてこった、また同じことをやらかさなけれ・よ、 をししが」あっし 二またに分れていました。 は唸りましたよ。その時、シュー ッというどえらい音がきこえた。 カ立てた音じゃないんだね、これが。それ 「あんたがたはあっち側から行けよ。あっしらはこっちをまわる」死にかけたポーンヘッド : とあっしは言って、一同はまた出発しました。時々足を止めてききにジェイムズの叫び声がきこえた。なにかが大きくもちあげられた 耳を立て、匂いを嗅ぎながらね。みんなのポジションは、一日目に かと思うと、茂みの中から、この地域に住む生肉を喰ういちばん大 ジェイムズがポーンヘッドを撃った時と、まったく同じでした。 きい動物、テイラノザウルス・トリオニシスの頭が現われたんでさ 棕櫚の林のまわりを三分の二ほどもいったと思った頃、左手に物あ。 音がきこえました。ホルツインガーもそれを聞き、急いで安全装置学者は、レックスのほうがトリオニシスよりも大きいと言います がね、あっしがみた限りではどんなレックスよりも、トリオニシス を外しました。あっしも安全装置に親指をかけて、場所をあけるた めに片側へ寄りました。 のほうが断じて大きいね。立っている高さは二十フィート、長さは 五十フィ ートはあるに違いない。あっしはね、あのでつかいギラギ 物音は大きくなりました。あっしは銃をあげて、青い葉っぱの間 から姿を現わした時、でかいセロポッドの心臓があると思われる位ラした目と、六インチもある歯と、顎から胸へかけてだぶついてい 置へ狙いをつけました。葉っぱがガサガサと動いたと思ったら、六る喉袋をみましたよ。 フィートほどのポーンヘッドが、姿を現わしました。大きな鳩のよ茂みを切り裂くようにして二つめの谷間が、棕稠の木立ちの曲り うに一足ごとに頭を振りたてながら、あっしらのいる前を左から右角で、あっしたちの道とななめに交差していました。深さはおよそ へ、のつしのつしと歩いていくんでさあ。 ートくらいじゃなかったかな。テイラノザウルスは、腹いっ ホルツインガーが、ホッと息を吐き出すのがきこえてね、あっしばいに食べてから、そこへ横になって寝ていたってわけでさあ。突 は笑い出すのをこらえる始末でさ。ホルツインガーは言いました。 きでた背中が、 - ちょうど地面の高さになっていて、おまけに羊歯が 「あのお 谷間のきわに生えていて、そいつを隠していた。ジ = イムズは二発 「静かに」とあっしは小声で言いましたよ。「セロポッドはまだー ともセロポッドの頭にぶちこんじゃってね。その上、馬鹿の上塗り で、弾も詰めずにとび出しやがった。もう二十フ ィートも突っ走っ とそこまで言った時、あのいまいましいジェイムズの鉄砲が火をたら、テイラノザウルスの背中に踏み込んじゃうところだったよ。 噴いたんだ、く ハン ! とね。ポーンヘッドはひっくりかえ ジェイムズは、目の前にそいつがポッコリおきあがったのをみ から り、尻尾と後脚をパタ・ハタさせていたのが、チラリとみえました。 て、びつくりして立ち止ったね。そこでガンが空だったことを思い 「逃がすな ! 」とジェイムズが叫びました。そしてとび出していく出した。・ サ・ラージャは急いで銃を開いて、ベルトから弾を二つと のがきこえました。 り出し、銃身に詰めた。ところがあんまりあわてて蓋をしようとし っ 4 5
っていたジェイムズから離れ、立ち上って、銧を拾うと、テイラノと追いつけると思ったのです。ところが足跡が消えてしまい、道が ザウルスに喰らわせたって寸だ。 わからなくなった。足跡を探してぐるぐると歩きましたがね、運が 5 なかった。 重なる打撃に、畜生はすさましい音をたててひっくりかえった。 そいつは小びとマグノリアの中へ倒れてね、片つぼうの後脚を、そ何時間もたってから、仕方なくあきらめて、空地に戻ってきまし たがね、いやな気持だったね。 れとはまるで不釣合な、きれいな。ヒンクと白のびらが吹雪のよう に舞っているどまん中でパタバタさせているのがみえたよ。 コートニイ・ジェイムズは木の幹にもたれ、ホルツインガーのラ イフルを持って坐ってましたよ。右手がはれあがり、鉄砲にはさん 猛禽の脚をぐっと大きくし、ぶ厚くして、ちょうど象の脚くらい だところが青くなっていましたが、使うことはできたようだ。 に丸くふくらませたのを想像できますかい ? やつの最初の言葉ときたら、こうだ。「いったいぜんたい、どこ ところが、テイラノザウルスはまた立ち上り、生贄をおっことし へ行ってたんだ ? おれ一人を置きっ放しにして遠くへ行っちゃこ もせずに、よたよたと行っちまった。最後に見たのは、ホルツイン ガーの両脚が、獣の顎の片はしからダラリと突き出ていて、 ( もうまるそ。またあんなことがあったらどうする。貴様のヘマのおかげ 叫び声はきこえなくなっていました ) 大きな尻尾がビンビンとで、一人にはまったく危険な目にあわせず、もう一人のハンターを 見殺しにするとは、ひどすぎやしないか ? 」 左右にゆれて、木の幹にぶつかるところでさあ。 ザ・ラージャとあっしはまた弾を詰めて、必死になって畜生の後ジェイムズに対しては思いっきり叱ってやろうと思っていたの が、この攻撃にあってびつくりしたもんだから、やっと小声でこう を追いかけたね。一度躓いてころんだけど、またはね起きました よ。後になるまで肘をすりむいたのに気がっかなかった。茂みからいっただけでさあ。「見殺しにするって 抜け出た時「テイラノザウルスはもう空地の向うへ行ってしまいま「そうさ。貴様はおれたちを前にした。だから食われるとしたら、 した。あっしは急いで一発撃ったけれどね、恐らく当たらなかったおれたちだ。しかもあの獣をやつつけるために、鉄砲が火を噴く中 ろうね。もう一発撃っ間もなく、やつは姿を消しちまいましたよ。 を、人をやった。貴様はーー」 それでもあっしらは、点々と血のしたたった足跡を追って走った「くされ豚めが ! 」あっしはおつばじめましたよ、えんえんと怒鳴 が、しまいにはとうとうぐったりしてストツ。フしちまいましたよ。 ってやった。後で知ったこってすが、ジェイムズのやっ、一人でい やつらの動きはいかにもゆっくりと重々しくみえるけどね。あのど た間じゅう、こんどの災難はみんなあっしらーーーっまりホルツイン でかい脚じゃ、そんなに急いで歩かなくても、相当のスビ 1 ド が出ガーとザ・ラージャ、それにあっしのせいだとする理屈を考え出し まさあ。 ていたんでさ。ジェイムズが番狂わせな発砲をしたり、おびえた はあはあいうのがおさまって、額の汗を拭ってから、またテイラり、ホルツインガーがやつの助けるに足りぬ命を救ったことなど、 ノザウルスを追いかけました。死にかかっていたようだから、きつまるでおかまいなしでね。いやそうじゃない。あれはザ・ラージャ
に出かけ、四カ所か五カ所、ハンティングのためのキャンプを張 そこで、あっしは怒鳴ってやりました。 、ハーが現われる予定より二、三日前にべースへ戻っ り、転送チェイ 「馬鹿者ー・ことわりもなく撃っとは思わなかったそ ! 」 てくるというわけでさ。 「自分の鉄砲で撃つのに、いちいちことわるやつがどこにいる ~ 」 さっきも話したとおり、ホルツインガーはケラト。フスの頭を欲し やっこさんは譲ろうとしない。 あっしらはまためずらしく口げんかをおつばじめましたがね。ホがっていました。種類はなんでもかまわないってんで。ジ = イムズ ルツインガーとザ・ラージャが止めに入「て、おさま「た 0 て次第はた「た一つ、テイラノザウルスの頭が欲しいと言ってきかない。 だから、誰もが、やつはいつでもいちばん危険な獲物を狙うに違い でさ。 ジないと思った。 あっしは言いきかせてやりましたよ。「いいかね、ミスタ 1 ・ = イムズ、あっしの言うことにや道理があるんだ。この旒行が済ま本当のところ、テイラノザウルスは見かけだおしでね。生きた動 ないうちに、あんたの弾薬がなくなってしまったら、イザというと物より死肉を喰う習性がある。もちろん、場合によっては、人間に 、 / しか、それにその口径の鉄砲は、それ一噛みつくことだってありますがね。だが、ほかのセロポッドほど危 きに鉄砲が使えないじゃよ、 たとえば、ジ = ラ紀のザウロフアガスとか、あっし 丁きりだ。それから、くだらないものを撃って銃身を両方とも空に険じゃない してしまった時、弾を詰めないうちにでつかいやつが向ってきたらどもが行った時代の、少し小さめのゴルゴザウルスよりこわくはな ところが誰でもこの大トカゲについては本を読んでいるから どうなる ? 最後に、目についたやつを片つばしから撃つのは、ス ーのためか、じゃなね。なるほど、セロポッドの中では、いちばんでかい頭を持ってい ポーツじゃない。食物を得るためか、トロフィ まさあ。 ければ身を護るために撃つ。だけど、ただ鉄砲の音をきくために、 撃つもんじゃない。人間がもっと殺すことを控えるように訓練を積あっしらの時代のやつは、レックスとは違う。レックスはもっと んでいたら、今の時代でも立派なスポーツがあったはすだ。わかっ後に現われたやつで、あっしらの時代のやつより少し大きく、もっ たかね ? 」 と分化したやつでさ。あっしらの行った時代のやつはこんなに小さ な足跡を残すほど小さくはないが、そのトリオニシスの前肢ときた 「ああ、わかった」とは言ったがね。軽薄なやつでさ。 残った連中がマシンでやってきたので、着陸した場所からみて安ら貧弱でね。せい・せい物を食った後、自分の歯をほじることくらい 全圏の中に、キャンプを張りました。最初の仕事は、新鮮な肉を手しか役に立たないしろものでさ。 キャン。フができあがったのは、まだ昼過ぎでした。そこでザ・ラ に入れることだ。この時みたいに二十一日間ものサファリには、必 1 ジャとあっしは、、旦那がたを連れて、ハンティングの第一歩を踏 要な食料をきっちりと計算して、必要ならば罐詰めとか濃縮食品を 調達しておかなければなりませんがね、少なくとも肉の一きれくらみ出したってわけだ。この前の旅行の時から、このあたりの地図を いは、射撃をあてにしていまさあ。それが手に入ったら、小さな旅持っていたからね。 4
旦那万は、象より二倍も三倍も目方があって、ずっと強鞠な生命力すがね、はじめのうちなん回かは、一緒に出かけたもんでさあ。 を持った爬虫類を撃とうというおつもりだ。だから組合では、六〇最初はね、とにかくセントルイスへ行く次の飛行便をつかまえた 〇を使える人でなければ、恐龍狩りにはお連れしないことになってんだが、口惜しかったね。あっしどもが一番乗りじゃなかったんで いるんで。あっしどもは、旦那がたアメリカ人のおっしやるようさ。 に、強硬な方針をとっているんでさ。いくつか不幸な事故があって まったく、一番乗りじゃなかった。ほかにもハンティングのガイ ね : ド : いたし、学者ときたら数えきれないほどいる。みんなマシンを お話しましよう、セリーグマンの旦那。もう五時すぎだ ( ) 事務所使用する正当な理由はわれにありとばかり、もっともらしい理屈を は閉めちゃったからね。帰りがてらスーへでも寄りませんか。そこ用意してるんでさ。 でお話しましよう。 あっしどもは、しよっぱなから、歴史家だの人類学者なんそは、 牙にもかけなかった。 あれは、ザ・ラージャ ( イ , ド、「レーなゼの ) とあ「しの五度目の狩あのすてきなシンは、十万年以後の時代に行くことはできない 猟旅行の時でした。・ サ・ラージャですか 2 ・ええ、彼はリ・ハーズ んですよ。十万年昔から十億年昔までの時代へ行くんです。 アンド・ ェイヤーのエイヤーの方で。ジャンパー王国の後継ぎたか なぜって ? そりや、あっしは四次元の思想家じゃありませんか らザ・ラージャと呼ぶんですがね。もちろん、当節、なんの意味もらね、だが、あっしはこう思っとりますよ。もしみんなが、もっと ョ ありませんや。インドで知り合ってから、後で、彼が、ニュー 近くの時代へ行くとなると、そこでおこした行動が、人間の歴史に クでインド旅行の代理店をやっているところへかけこんだってわけなんらかの影響を与えるんじゃないか、とね。そうすれば、歴史上 で。事務所の壁に貼ってある写真の、色の黒い男がそうですよ。死の事実に矛盾がでたり、 ハラドックスが生じたりする。宇宙がこの んた剣歯虎に片足をのせているやつです。 まま、さしさわりなく運行していくことの妨げになる。でもね、紀 ところで、ザ・ラージャは、タージ・マ ハールの紹介パンフレッ 元前十万年以前とくれば、探検隊の行為など多少のことは、人間の トをばらまくのにあきあきしてね、またちょっくら ( ンティングを歴史が始まる以前の時の流れの中に埋没してしまいまさあ。この点 やりたくなっていた時でした。あっしは、ワシントン大学のプロチについては、一度ある過去の時代が使用されると、例えば、紀元前 ャスカ教授のタイム・マシンの話を聞いた時、ちょうど職がなくて百万年の一月としましようか、もう二度と、この同じ時へ、別のパ ブラブラしていたんですよ。 ーティを送ることはできないんですよ。そんなことをすれば、また ハラドックスが生じますからね。 ザ・ラージャはどこにいるかって ? テイラノザウルスを追っ て、漸新生時代初期へサファリに出かけましたよ。その間、あっし だが、教授は心配していませんよ。十億年昔を探検する場合、そ がこうして事務所をやってるんでさ「今じゃ代りばんこにやってまうかんたんに時代が品切れになることはないでしようからね。 3
「あの中には、かけがえのない物が入っているんです。それだけの調査の過程とか、大騒ぎのほどなどはとばして、かいつまんで話 事をする値打ちがあるかどうか考えてみろって言われるんですね」しますとね。つまりこういうことなんですよ。二十四日にあっしど 「なるほど」。フロチャスカは考えていたが、やがてこう言いましもが着いた時、誰も撃ったりはしなかった。もちろん、この事実を た。、「今日の午前中に出発する予定だったパーティが、電話でおく変えることはできません。ところで、事実は、紀元前八千五百万年 れるといってきたから、なんとかその間へ割り込ませることはでき前の世界で、ジェイムズがはっきりそれとわかるような変化をもた ラド るだろう。わしはかねがね同一人物が、同じ時間を二度共有するこらすなにごとかを始めようとしたその瞬間、時空のカ場が、パ とになったら、どんなことになるだろうと思っとったよ」 ックスを予防するために、彼を現在の時点まではじき返してしまっ たわけでさ。 そこでジェイムズは小切手を書き、。フロチャスカは彼を転送チェ ーへ入れて送り出してやった。ジェイムズのこんたんは、おそ こういう事実がわかった今は、教授は、旅行者がすでに行ったこ らく転送チェイ 、ハーが現われる場所から数ャードくらい離れた茂みとがある時代から五百年前後の時代へは、誰も送りこまないことに に隠れていて、ザ・ラージャとあっしが現われたら撃ってやろうっしてるんでさ。木を切り倒すとか、持ちのいい品物をなくすような てんだったと思いますよ。 ことはありがちだし、それが後の世界に影響を与えるってことも考 何時間かたって、街着に着かえ、かみさんに電話して迎えに来るえられますからね。だが、長い長い時間がたてば、そういう変化 フォーシイス・プルーく ように一一一一口い ノードに立って、かみさんを待も、時の流れの中に埋もれてしまうだろうと教授は言ってました っていたら、突然大きな音がしてね。爆発か、近くへ雷が落ちたよよ。その事件のあとはひどいめにあったね。世間にさんざん悪くい ィートと離れてないところでビカッ うな音でしたね。それに五十フ われてね。だが、ジェイムズの財産から料金をとりたてることがで と光った。そのショッ クであっしらはよろよろとしたし、ビルの窓きましたよ。あいつをみて、これは人間的に駄目な、不安定なタイ がずいぶん割れましたよ。 プのやつだと思った時、連れていかなければよかったんだ。それ すぐ事故のあった方へ走っていった。行ってみるとお巡りと野次に、ホルツインガーが重い銃を使えたら、テイラノザウルスをノッ 馬がいく人か集っていましたよ。通りのちょうど曲り角の後あたり クダウンさせることができただろうに。たとえ殺すまではいかなく に、人間の体がころがっている。少なくともそうみえました。だがても、あとはあっしらがかたづけるチャンスはあったろうに。 その骨は、一本一本が粉々になり、血管という血管はみんな破裂した ま、こんなわけだから、あの時代の ( ンティングには旦那をお連 ようにみえましたね。着ていた服はポロポロになっていたけれど、 れできないんですよ。ほかにいくらでも時代はありまさあ。よくご ・ & ・五〇〇の二連ェクスプレス・ライフルは確認できました検討いただければ、旦那はきっと よ。木の部分は焦げ、金属の部分は凹んでいましたが、あれはコー おっと、いけない。もうこんな時間た ! 走っていかなきや、旦 5 トニイ・ジ = イムズの銃ですよ。絶対まちがいっこありませんや。那。かみさんにギ、ーの目にあわされちまう。ごめんなさいよー
けど、でも、危険は危険だ。あっしらは、ジェイムズをひつばって口をきかずに出て行きました。腕いつばい荷物をもってね。その時 キャン。フへ戻り、一部始終みんなに話してやりました。ジェイムズホルツインガーの女クレア・ローシュが声をはりあげてとびこんで 5 は、一人一人に向って片っ・はしから悪態をつき、あっしらがやつをきました。「彼はどこ ? オ 1 ガストはどこにいるの ~ 」 殺そうとしたとぬかす始末でさ。 あのつらい場面をもう一度くりかえすにはしのびないね。ただ、 「気をつけろよ、野郎ども。いっかきっとぶち殺してくれるからそういうことについては抜かりのないザ・ラージャの腕をもってし な。しいカ ? このことが人に知られずにすむと思ったら、大違いても、いかんともしがたかったとだけ言っておきましよう。 ・こそ。え ? そうだろう ? 」 あっしらは雇人と動物を、ワシントン大学が過去へ探検に出かけ それから後のサファリは散々でした。三日間というもの、あたりる者のために宿舎としてあてがった古い研究室のビルへ連れていき ました。みんなに支払いをすませたら、なんとあっしどもは破産寸 一帯をあのテイラノザウルスを探しまわったけど、だめたったね。 前でさ。ホルツインガーとジェイムズの前払いだけじゃ、とても出 どっかの谷底にひっくりかえっているに違いないんだけど、死んだ か、生きかえりかけたかはわからないが、とにかく、その背中に躓費をカバーできず、といってジ = イムズやホルツインガーの財産か きでもしないことにや、こんりんざい、みつかりつこありませんら残りの分をとりたてるチャンスはまずないときてる。 ゃ。だけど、たとえホルツインガーの体が残っていても、こいつを ところでジェイムズですがね、この野郎、それからどうしたとお 生きかえらせようと手をつくすのは無駄だと思いましたね。 思いです ? 家へとってかえすと、もっと弾をもって大学へひっ返 メインキャン。フへ帰ってくると、雨になりました。雨が降ってい して来てね。。フロチャスカ教授のところへ行って頼んだんでさ。 ない時に、友達の学者のために小さな爬虫類やその他の生き物を集「教授、白堊紀までひとつばしりやってくれませんか。たった今、 めましたよ。転送チェイ 、 ( ーがやってくると、みんな一・人一人、重先生のスケジ = ールに割り込ませていただけたら、お礼はお望みど なるようにしてその中へ崩れこみました。 おりにいたしますよ。手はじめに五千ドルさしあげましよう。紀元 ザ・ラージャとあっしは、コートニイ・ジェイムズについて、法前八千五百万年の四月二十三日に行きたいんですが , 的にどんな措置をとったものかと検討しましたが、結局、八千五百 プロチャスカは、こう言いました。「そんなに急いでまた同じと こ達しました 万年昔におきた犯罪を罰する方法はないという結論冫、 ころへ行って、どうしようっていうんだね ? 」 ね。おそらく法律できめられている条文の範囲からはみ出てしまう「白堊紀に財布を落としちゃったんです。こんどの旅行であの時代 内容でしようからな。そ・こであっしら二人以外がみんな行ってしまへ行く前に、一足先に行っていれば、旅行して到着した僕自身を見 ってから、紐を解き、転送チェン・ハーへ押しこんでやりました。 張っていることができるでしよう。そうして、僕が財布をなくすま 現在の時点に戻った時、ガンを返してやりましたよーーー空つぼにで、僕自身を追っていけばいい」 してねーーーそのほかの持ちものもね。予想どおり、あいつは一言も「財市一つに五千ドルとは高すぎやしないかね」
ザ・ラージャは自分の銃を捨て、ジェイムズの銃の銃身を招ん がとび出していったからいけないんだ、ってなぐあいでさ。 なに、あっしは荒つぼい生活をしてますから、存分に言いたいこで、グイとやつの手から捻りとったね。やっこさん、すんでのとこ とは言えますがね。ザ・ラージャはあっしといっしょになってポンろで親指を折っぺしよるとこだった。彼はジ = イムズを床尾でなぐ ポン言おうとしたけど、英語じゃとても追いっかない。そこでヒンろうとしたんだが、あっしは自分の銃で頭に一発くらわせ、それか らやつを投げとばして、思いきりパンチをかませ身につけているも ズー語でジェイムズのことを罵りだす始末でさあ。一 ジ = イムズの顔が紫色になるのがわか 0 たね。 ( ッとしたよ。頭のをはぎとってやったよ。ずいぶんいい体をしたやつだが、あ「し を冷やして考えたら、鉄砲を持っている男をこきおろすってことの十六ストーンにや勝ち日はなかった。 は、ちと考えなきゃならんことだくらいはわかったろうに。その時やつの顔から血の気がひいてあたりまえの顔色になったころ、手 ジ = イムズはホルツインガーの鉄砲を置いて、自分のをとりあげてを止めてね。やつをひっくりかえしにして、ナツ。フザックから紐を・ 言った。「そんなことを言って、ただですなと思ったら大ちがいだ出し、後手に縛りあげたんでさ。一とにかく、もとの時代に帰ってく ぞ。テイラノザウルスが、貴様たちも食っちまったと言うことにしるまでは、一秒たりとも目を離しちゃ危険だと思いましてね。一一度 自分を殺そうとしたやつに、一一度とチ - ャンスを与えてはいけないか よう」 らね。もちろん、やつは一一度とふたたびそんなことはしないだろう ザ・ラージャとあっしは、鉄砲を脇にかかえて持っていたので、 構えて撃つには、ちょっと手間がかかる。その上、六〇〇をいいか 号 げんな持ち方をして撃つわけにはいかない自分のためを考えたら ンフ年下す所 月 リイ立 1 み琺行 5 5 ′立ロ 1 ね。ところがジェイムズは五〇〇の床尾を肩にあて、あっしの顔に 込 0 発建京 年品共ネスゴッレ ・ヒタリと銃口を向けていやがる。トンネルがポッカリ口をあけてい 3 東・ 作 まデ庫町 るようにえたね。 < > / ト > しの在日・戸替 篇 / / ト ザ・ラージャは、あっしより早く事の次第をのみこんでね。野郎 豆・ろりッ符働学畝 / みこよポャ切す文 が銃を上げたとたんにおどりでて、思いきり蹴っとばした。ちょう ど若いもんがフットボールをやる要領でさ。五〇〇を蹴あげたとた んに発砲したんで、弾はあっしの頭をほんの一インチほど外れたけ ウ学 : 単、鵞 ど、その音のすさまじさに、あやうく鼓膜が破けるところだった。 特母の学人ア年喟ソ 発砲した時に銃の床尾はジェイムズの肩からはね上ったんで、そ 盟酵河科老フ少第川 いつが戻ってきた時、その反動は、ちょうど馬に蹴っとばされたの と同じでね、やつはくるりと半回転しちまいましたよ。 5-
いや、そいつは駄目でさあ、セリーグマンの旦那。中生代後期の ートボンド (# 事量の単位。一フィートボ , ドは一 ) もあるんですぜ。千四 恐龍狩りにお連れするわけにはいきませんや。 百五十ドルでさあ。ガンにしちゃ、いい値じゃありませんか、なん 3 な・せって ? 旦那、目方はどのくらいおありで ? 百三十ポンですって ? そうですな、するってえと十ス 旦那がたにお貸しするガンはいくつかありますよ。象を倒すやっ トーン ( + ポ ) にも満たない。 こいつは、あっしがきめた最低限度の目方でね。 がね。傷を負わせるだけじゃない、完全にノックダウンさせてしま 新生代なら、お望みの時代にお連れしましよう。エンテロドンやうんでさ。だからアメリカじゃ、こういう鉄砲は造らないんです テイタノザウルス、ユインタザウルスなどが撃てますよ。みんな立よ。でもね、狩猟。 ( ーティが、プロチャスカのタイム - ・マシンで、 派な頭を持ってますぜ。 どんどん時をさかの・ほっていき続けるようになれば、造るんじゃな もうちょっとおまけして、洪積世までお連れしてもよござんすいですかれ。 よ。マンモスかマストドンにおめにかかれまさあ。 あっしはここ二十年というもの、狩猟パーティのガイドをしてい 三畳紀までさかの・ほれば、もっと小さい恐龍の先祖が撃てまするんでさあ。禁猟区以外のところで、動物が少なくなるまでは、ア フリカでガイドをやっていたんでさ。あれが、この世のほんとうに でもね、ジ、ラ紀や白堊紀は駄目でさあーー金輪際、駄目でさでかい動物狩りの終りでしたね。 あ。旦那じや小さすぎてね。 つまりね、あっしの言いたいのは、旦那くらいの背恰好 0 男で、 もちろん、違法ってわけじゃありません。 六〇〇を使える人にはお目にかかったためしがないってことでさ でもあなたの目方じゃ、なにができます ? あ。六〇〇には、たたきのめされますぜ。ちゃんと両足をふんばっ しいですか、旦那、いったいなんで、奴らを撃つおつもりなんて立っていても、一「三発撃ってみると、ガンの威力のすごさにこ わくなり、すくんでしまいますよ。至近距離にいる象は撃てないし ね。中生代の荒野で、六〇〇をひきずってまわるには、ちと目方が 考えてみたこともないんでしようが、え ? ありすぎる。くたくたになっちゃうからね。 五 0 〇とか四七五、四六五ダブルスなど、もっと軽いガンで象を ま、ちょっとお掛けなすって : ほら、こいつあ、やつら向きのあっしの鉄砲、コンチネンタル六倒した人は、たくさんいますぜ。本当ですよ、旦那。マグナム三七 〇〇ですがね。ショット・ガンにみえるでしよう、ね ? ところ五連発銃で仕止めた人さえいるんですからね。ただ、この場合は、 が、ライフルなんでさあ。ほら、銃身をのそいてみればわかります致命的な一撃でなければならない、心臓を撃っことですな。じゃな ければ、たった一発の打撃ではききません。 よ。。ハナナくらいある六〇〇口径のニトロ・エクス。フレス・カート リッジ二個をぶつばなし、重さは十四ポンド半、貫通力は七千フィ 象の目方はーー・そうですねーーー四トンから六トンてところだな。