クラークまったくその通り、これはのひじように重要な一また今後の宇宙開発計画についても常に聞かれるでしよう。宇宙に 側面だと思います。によってわれわれも、視覚的にまた感覚的投入されたお金というのはみな返ってくるお金です。知識技術、新 に、感情的に、われわれが実際に見ることのできないような将来、しい能力をわれわれがこうした宇宙開発の。フロセスにおいて得たも だれもが見ることのできないような将来すら、ある程度のぞくことのは、全部がひじように巨大な利益になって今後も人類に戻ってく ができるという面がありますね。これによって、いわば今日の欲求るものです。したがって、将来の人たちも、宇宙計画を批判したな 不満をある程度解決するというような役割もありましよう。巨大などということを、きっと後悔するでしよう。全地球的に宇宙衛星を 時間と空間を越えて未来をかいま見ることができるのですから。私使って通信できるということやまた気象予測において、特に台風、 が自分で書いているときは、いつもそのことを考えておりますが、 ハリケーン等の場所を突きとめることができる。こういった技術は クプリックさんと私が『二〇〇一年宇宙への旅』を共作した時も、その産物です。気象衛星からの観測で全地球上の気象図ができるこ そういうものに直面した時、どんなふうな感情的な反応を人が示すとによって台風や突風などによって突然襲われることは避けられる かということも書こうといたしました。人によって、これはひじよ でしよう。これによってお金をいくら使おうとも、何千、何万とい うにさまざまでしよう。人種とか宗教によっても違いましよう。し う人命が救われるわけです。新しい種類の人工衛星によって地球上 かし、どんな人でもこれを読んでひじように喜んでくれたというこのどこに地下資源があるか、また地上ではどこが豊かな土地である とがあります。このはこうした点でいい創造だといえましょ か、海底に何があるか、といったことを知ることができます。また 航空の空路管制や海上の航路管制を効果的にやることも、やはりこ 小松アポロ計画が始まった時に、あんなものは人類文明にとっ うした技術から生まれてくるのです。航空機のさまざまな事故を避 てひじようなむだだ、アポロに金を出すくらいだったら住宅問題をけようと思ったら、やはり人工衛星が必要です。こうしたことをい 解決せよとか、そういう議論を聞いたんですけれども、私はアポロまやっとわれわれは学び始めたところです。したがって宇宙産業と が月の上から取ってきた地球の写真を見たときに、ほんとうに月か いうのは地球をずいぶんかえていくでしよう。これに使う金は全部 ら地球を見たあの写真の美しさにひじように感動してしまって、 もとのとれる金です。しかも、それに加えて、また社会的な利益も ー頭の中では、知識としては知っているのですけれど この時代あります。 に生きている幸福みたいなものを強く感じることができました。同 たとえば、インドの政府が最近アメリカの航空宇宙局と契約いた 時に、それに伴って、こういう時代、こういう人類文明のいわばしまして一九七三年に宇宙衛星を打ち上げて、そこから教育テレビ 「化」段階に生きている私たちが、これから将来に向って一体番組を放送するということになりました。インドという国では、広 全体何を求めていったらいいのか、どの方向へ進んで行ったらいい い地域にちらばった村がうんとたくさんありまして、ラジオも届く のかといったことについて、ひじように深い内省というか、問題意ことができない。したがって、社会をよくするためにひじように大 識を持ったわけですが : 事な情報、たとえば産児制限であるとか、農業技術といった情報 クラークいまあなたのいわれた点、こんなにたくさん宇宙に金を、こうした遠隔の村落に普及させようと思ったら衛星を使ってテ を使うのは、ムダ使いだというような意見はアポロ計画についてもレビで知らせるということより方法がないんですね。したがって、 7 ・ 0
からなくなるでしよう。したがって、心理的、精神的に意味合いと為的な倒限ということで、ひじようにつつましく生きることは可能 しての宇宙旅行、宇宙探険は、いわば新しい地平線をわれわれに与だと思います。地球をもう少し美しい星として管理する、人口の方 えてくれるもので、この小さな混み合った地球に東縛されることがは産児制限すゑもし、それに失敗すれば逆に自然の制限がでてき なく出ていくことができるということの精神的な重要性が大きいとて人間の地球での住み方というものはもう少しレベルの低いものに 恵います。宇宙の探険は根本的には人間が実際に必要としている生なってしまうかもしれませんが、そういうふうにひじようにつつま 存のための戦争を置きかえるものだと思います。すると、ほんとうしくこの地球の上で楽しく暮すという方向での選択が一つあると思 います。しかしながら、たとえそうなっても人間の精神というもの の問題は宇宙の探険は、この地球を探険するということだけでな は、なお宇宙の奥へ向って突き進んでいって宇宙を く、この海から生命が現われて、地上にーに′ 探ってみたいとか、宇宙を単に観測機械で観測する 生命が進出したということにも匹敵する、の だけでなく、自分自身が行ってみたいというような 大きな新しい発展ですね。海の中では生 衝動を、おそらく抑えることができないという気が 命も生活も限定されております。海の中 するのですが、そのことについてはどうお思いでし では火を燃すこともできないし、高度の一み ( 供よ一つ . 、か 0 技術を発達させることもできない。しか クラーク一つ、人間の特性というのは動物と違 し、地上では、地球表面を人間が征服し たわけです。その次に宇宙ということに うところは好奇心があるところです。われわれ、人 類の文明において発生してきたことすべてがわれわ なりますと、無重力状態というものがあ れの持っ宇宙に対する好奇心、この世界に対する好 ります。そこは真空というものが無限に 松奇心の産物です。この宇宙の力をどのように活用し 続いている、そして不思議な放射線も発 ようかという好奇心からです。したがって、この学 見されるといったところに実は海を離れ ぶ意思がなくなったときには、もはや、われわれは た大きな意義があるでしよう。 し・ほんでしまうわけです。私が、ひじように懸念を 小松いま、海の話が出ましたが、ク ラークさんはご自身スキュー・ハダイビン 持っていることは、特に若い人たちの間における最 近の科学に対する反感です。たた単に科学だけでは グをなさいますし、海洋問題にもひじよ うにお詳しいのですが、その問題はちょっとあとの嶽うで伺うことなくて、理性そのものに対する反感というものに私はひじような不 にいたしまして、いまおっしやったお話をもう少し発展させてみた信感を持っております。たとえば、星占いといったナンセンスと いと思います。たとえば、これは未来にかけて大きな問題になってか、心を破壊するような麻薬、そうしたものにひかれることは、ひ くることだと思いますが、未来の選択の中に地球の上で人口がむやじように深刻な、われわれの時代の病いであると思います。それは みにふえてしまう。それから、いろいろな公害がどんどんふえてし一時的な徴候かもしれません。この時期を早く通過したいものだと まう。そういうことに対して、われわれは自然の制限、あるいは人思います。過去におけるように、われわれの頭脳を使「ていかなけ一一 6
こうした怪奇な事件が世界中に発生し、事態極秘の地下基地をもっている。 モシカをおもわせる。さらにマツ、 0 ノ 2 の迎用 を重視した各国の政府は、地球外の宇宙生命の 本部はロンドン郊外にあってあまりはやらな インターセ。フタ 1 機 ( ムーンペースにある ) と 存在を確認し、その侵略をくいとめるため共同 い撮影所の地下にある ( これが幻世紀。フロの特か、前部がジェット戦闘機 ( スカイ 1 ) 後部が の防衛組織を組織する。 supreme 撮スタジオ ) 。警備基地は月の上 ( ムーンペ 1 特殊潜水艇に分離するスカイダイ・ハ 1 とか、親 I ・ leadquarters. 、 Alien Defence Organization ス ) をはじめ大西洋深海 ( スカイダイ・ハーベー 子二組で飛行する月連絡機ス。ヘースシャトルな すなわち地球防衛司令機構を指揮するのはエド ス ) 宇宙ステーション ( シャデアー・べース ) ど例によって幻世紀プロおとくいの秘密兵器が ワード・ストレイカー ( エドワード・ビショッ などいたるところにある。さらにの侵人続々と登場する。 。フ ) 将軍で、これをアレック・フリー「ン大佐をいち早くキャッチするため探知衛星シドを飛 ある夜、レーダーが正体不明の物体をとらえ ( ジョ 1 ージ・シーウエル ) や妹をさらわれたビ ばし、ムーンべースではパトロール用のムーン た。すぐに海底基地からスカイ 1 機が出動し、 ーター・カーリン大尉 ( ビーター ・ゴルデノ ) モビールがはねまわっている。この。ハトカーが大西洋上でを撃破するが、爆破と同時に など宇宙科学の・ヘテランが助けることになる。 ロケット噴射で時速一六〇キロのス。ヒードで月ひん死の重傷を負った一人の宇宙人が放り出さ は侵略者をあざむくために面から月面へと移動するさまは、どことなくカれる。緑色の液体をたらした宇宙人は奇妙なア ストレイカー司令官 ( 右 ) とポール・フォスター ( 左 ) 捜索にでかけるポール・フォスターたち イカバーをつけているが、これをむりやりはす してみると、今まで若々しかった宇宙人の顔が 急にシワだらけになって、死んでしまう。 実はこの宇宙人のからだは誘拐した地球人 で、数百万光年も離れた惑星の生物が絶の危 機から逃れるため地球人の肉体を利用している ことがわかる。死んだ宇宙人の心臓も移殖され た地球人の心臓だが、その特長から数年前に行 方不明となったレイナ・カーリンの心臓と判明 する。 ( 第一話 ldentified あばかれた秘密 ) かくて地球人の心臓をねらう侵略宇宙人と 0 の戦いがはじまる。 「、やの存在は人心に不安を与 えないようあくまでも極秘にしているところが ミソで、円盤目撃者や円盤写真はの 手で記憶を消したり、回収したりしている。っ まり、あと十年もすれば南山宏は円盤評論家の 名を捨てるか、一切の記憶を消されるか、いず 7 れにせよ重要な収入源を断たれることは明白 8 で、まことにお気の毒といわざるをえない。
観測機械でわかるかもしれませんし、また、ここ〈くるかもしれまていると思いますけれども、クラークさん自身としては、われわれ一一 せん。また、われわれのほうが他の星へ行「て、そういう生命に接がそれにいどんでいく価値があるとお思いですか。また、いどんで いくべきだとお思いですか。 触するかもしれません。そんなわけで、こうした人類以外の代物と しま人類の歴史の新し クラーク私が思いますのに、ちょうど、、 の接触ーーーある場合には人間よりすぐれていることもあるでしよう い章に入っているところたと思います。過去の数千年の間に、人類 もはや単なる空想ではなくて、現実になりつつあると考えてい 文明がたとえばアフリカか中国かどこかからか始まって、初めはゆ いと思います。 つくりであったでしようが、次第に加速しはしめて、ついにこの天 ト松いま、単なる空想ではないとおっしゃいましたが、ほんと うに、つい二十年くらい前までは、人間が宇宙へ出ていくというこ体を占拠するようになった。そしていま占領の最終段階にあるわけ とが一つのフィクションのテ ! マでありましたし、それからそこでです。しかし、この占領の最終段階というのが最近の数十年程度の 何か人類を越える存在にあうという可能性は、サイエンスフィクシわけですね。 そしてやがて海底以外に住むところがなくなって ョンの荒唐無稽な夢物語として ま ) しまうわけです。土地の上というのはすでに限定さ 扱われたと思います。ところ 供 提れているのです。間もなく人類が地上には = ばいに が、その後、私たちの文明の科第”ートーをーをー。 日なってしまうでしよう。したがって、歴史的に考え 学的認識というものがひじようーまー薯物 ( ても宇宙に行くというのは不可避なことだと思いま に発達してまいりまして、地球ー、 ( 第・第 ( 歩《 クす。しかし、植民地を天体につくることは簡単には の正確な大きさ、宇宙の正確な一 ( ~ ぐし力ないのて いきません。地球上のようなわけこよ、 大きさ、また宇宙の中における一 ~ 、社 ( 「、を ) クす。完全な環境の保護もなく人類が住むことのでき われわれの位置とか、地球史、 ( 一 ( … . あるいは宇宙史の中におけるわ。を , 物 ~ る天体というのはやはり限定されているでしよう。 ・また地球の上では北極や南極をいかに開拓したとし れわれの状況とか、そういった サても、まだ十分問題の解決にはならないわけです。 ものがひじようには「きりして一 くるにつれ、単なる夢物語とは ア人口の問題を解決する方法として宇宙に植民地をつ くるということは、それ自体ではナンセンスかもし いえなくなってきたと思いま〔第ー【 す。しかしながらここでやはり私の考えますのは人間が一つの大きれません。しかし、宇宙探険の重要性、いつの日か、そこに行っ な問題にぶつかっているような気がします。つまり科学の認識の発て、家族も持ち植民するということの重要性はそれによってひじよ 達というものは、私たちが宇宙において、まことに小さな存在であうに新しいカ、新しい知識、そしてまたいつの日にかは新しい原 る事をはっきりさせた。そして、その次にはその小ささの中で、わ料、資源というものをわれわれに与えてくれるかも知れない、とい うところが重要たと思うのです。たしかに、そこにいくのはひじよ れわれはつましく暮すべきか、小さいけれども、なお巨大なものに 向って進んでいくべきか、そういう選択がわれわれの前にあらわれうに金がかかるけれども「 , ものを持って帰ってくるのはそんなにか
のぞいてみよう。 いったん炭酸ガス比率が高まると、温室効果に 地球と比べて金星は太陽に近い。このためそのよって気温はますます上昇する。もちろん地球に 熱で炭酸化合物がつぎつぎに珪酸化合物に変わは炭酸ガスを溶解する大量の海水があり、植物も り、含まれていた炭酸塩が炭酸ガスとなって大気繁茂しているので、簡単にはそうなるまい。しか 中に放出された。 し限度以上に炭酸ガスがふえ気温が上がると、急 この炭酸ガスは熱を吸収する温室効果を発揮速に水分は蒸発し、植物も死減するだろう。そう し、金星の地表温度はさらに上昇、それにともな なると地球が金星のような乾いた熱い惑星となる ってますます多量の炭酸ガスが、金星の大気に含のに、そう長い時間はかかるまい。 ) まれるようにな 0 た。 金星の周囲をすつぼり包んでいる雲が、こうし こうして金星は熱い惑星となった。いまでは南て蒸発した水分であって、地球のような緑の惑星 北極と赤道の気温が、それほどちがわないほど。 氷原上を走る特殊車ツイスター 大気圏の上層にまで広がったガスは、冷却固化し て直径が数ミクロン以下という微細な氷の雲を作 っこ 0 高度六万メートル、厚さ五〇〇〇メートルから 八〇〇〇メートルに及ぶ厚い氷の雲は、太陽熱を 封じ込め、金星の表面温度をさらに高めているー ーというのである。 興味深いのは、地球より太陽から遠い火星も、 炭酸ガスがかなり多量、大気中に含まれており、 金星と同じように乾いた惑星であることだ。 ■金星はあすの地球 ? とすると太陽に近かったから、太陽熱を地球よ ソ連が打ち上げた宇宙探査機金星 7 号は、順調り多量に浴びたから、炭酸ガスに包まれた惑星に に金星への道を飛び続け、近く到着する見込み。なったというビノグラードフ説だけで割り切るわ 今年末か来年早々には、これまでの探査方式からけにもいくまい。 心配なのは地球も炭酸ガスに満ちた熱い惑星に 見て、軟着陸することはまず間違いないだろう。 金星は地球の隣りの惑星だが、まだまだわからなる恐れがあるということだ。地球の動物やさま ないことが多い。すでにソ連の金星 4 、 5 、 6 号ざまな機械類は休みなく大量の炭酸ガスを吐き出 が到達し、米国のマリナー 2 、 5 号が接近して、している。 表面温度が数百度、気圧が数十から数百気圧にのしかし炭酸ガスがふえるにつれて、植物が繁茂 してそれを吸収するとともに、海水への溶解量も ・ほることが確かめられている。 しかしな・せ地球が生命に満ちた惑星となったのふえて、大気中の炭酸・ガス比率を亠定に保ってき に、金星がこのような激しい環境を作ってしまっ たかなどはナゾのままなのである。 だが米国の物理学者で作家のアシモフはこ だがこのほどソ連の科学アカデミー会員・ビのランスは極めて徴妙に保たれており、ちょっ ノグラードフ博士が明らかにしたところによるとしたきっかけで崩れ、炭酸ガスが増加し気温が と、炭酸ガスのせいだという。まずはその推理を上昇する心配があると主張している。 あんてな 0 6
コンビューターは更に進化し , ついに自か らの意志をもち全地球を完全にその支配下に おいてしまった。そして巨大な地球コンビ、 ーターからはいま , 魔の触手が月にまでのび ていく。
地球はごくわずかだがきまった周期で収縮 をしている。だが , ある日その ? ンスはく ずれ地球は一気に縮まりはじめた。人間も物 質も高圧のために結晶化し強大な精電気のた めに激しい放電が生じた。
S F ファンタジア 地球終末 り、ん / / び月 K / S / / 兀 0 時間旅行のあらゆる危険を予測計 , す べてり家全が確認されたのち , 、いマ類の 英知を結集した巨大なタイムマ寸のスイツ チが押されたその瞬間 , 全人類に激しいシ = , , がおそ。た。なえとン , 。 , 地 球ごと未来へ運んで : しまったのた。そして地 球は目前に迫った未来の地球と
S F でてくたあ 1 ・ハックス好調の波に乗ったか、ある。恋人を失った失意の画家、テレビ女の眼に曝される「不減」カニ星雲の中の小惑 0 〈ハヤカワ文庫〉はその後ますます順調優、広告マン、若いの四人が、異様に光星に不着陸した宇宙測量船隊員たちの葛藤を 2 を伝えられる。今月はさらに二点が戦列に参る水晶体を見たとたん意識を失い、気がつい描く「ありえざる星」など一連の未来が 加した。・・・ハロウズの『月人の地球征たときには得体の知れぬーーしかし設備のと面白いがほかにも前衛的な「彼の時間の男」 「哀れちいさき戦士」など異色作もあり、こ 服』 THE MOON MEN ( 1925 ) ( 関口とのった金属製の部屋にとじこめられてい 幸男訳・一三〇円 ) とレイ・カミングスのた。部屋は自動タイ。フライタ 1 を通じて彼られ一作でオ 1 ルディスの作風をかなり知るこ 『宇宙の果てを超えて』 BEYOND THE に質問しテストし指示を与えた。そして四十とができる。 STARS ( 1928 ) ( 斎藤伯好訳・一九〇円 ) 八時間後、四人は見も知らぬ海岸に横たわっ〈世界全集〉今月の配本は第回第 9 巻 である。 ていた。そこは七十光年かなたの恒星アケルエレン・フルグ / チャベック編『トラスト・ ( ロウズ作品は先月紹介した『月の地底王ナルの地球型惑星だったのだ ! 四人はこの / 山椒魚戦争』いずれも、現代文明・現代 国』と同系列の〈月〉シリー ズの一冊。『地異郷で協力して生きぬいていくが、やがて黄史の問題点を鋭く抉った大作でこれを読まず 底』の悪役ォルチス少佐により二十五年後、金色の肌を持っ不思議な種族に襲われる。どに世紀文学としてのを語る資格はあるま 月人の大軍となその超破壊兵器〈電子銃〉のうやら彼らは、何者かの手で、何かの〈テスい。 このほか白水社から『現代フランス幻想小 前に平和に酔いしれていた地球はたちまち征ト〉を受けるため、局限状況での生活を強い 服され、・一世紀後には、残虐な月人の統治下られているらしい。だがその何者かとは誰説』・シ、ネデール編窪田般弥他訳・ 七五〇円 ) 『現代ドイツ幻想小説』 ( 種村季 に、文明を失い希望をなくした地球は、中世か。そしてなんのテストなのか ? 〈創元推理文庫〉からは・・・ハラ 1 ドと弘編・七八〇円 ) が出た。いずれも、それそ さながらの陰惨な世界と化していた。ジュリ れの国における独特で異色のファンタジイ小 アン五世の子孫ジ、リアン九世は月人から地・オールディスの短篇集が一冊ずつ。 ・ハラ 1 ドの『時間の墓標』 TERMINAL 説の系譜を辿り、十八世紀から現代までの幻 球を解放しようと立ちあがる : ・ カミングスの作品は〈ハヤカワ・・シ BEACH ( 1964 ) ( 伊藤哲訳・一一〇〇円 ) は想小説が広く取り入れられて、その要を得た 丿ーズ〉で時間もののクラシック『時の塔』内的指向をめざすバラ 1 ドの思考実験的解説と共にファンにも興味ぶかく読め、 が紹介されているが、本書は無限大宇宙の謎な短篇を集めた ( イ・フラウな作品集で、幻想の多様性を楽しめよう。 とくに数億年前の海を現実に見てしまう「甦また、かだり前から待たれていた・ を扱った記念塔的なクラシックである。 宇宙は、無限小から無限大にいたる無限数のる海」うち棄てられた水爆実験場ェニウェトフラ 1 の未来論 渦動粒子であって、地球も恒星も相対的にはク環礁を舞台とする「終着の浜辺」など・ハラ『未来の衝撃』 ード独特の結晶した時間と空間の詩を感 FUTURE SHO- 電子や陽子などと同じものだという宇宙構造 実 理論を組みたてた天才科学者が、折からはるじさせる。ほか表題作「時間の墓標」「ヴィ CK ( 徳山二郎訳・ 正 ョ 一九〇〇円 ) が出 か宇宙の果から伝わってきた、救けを呼ぶ謎ナスの狩人」など計九篇が収録されている。 の思考波に答え、数人の若い男女とともに地オールディスの『ありえざる星』 WHO た。綜合的な未来 ク言 ロマンチックなロマン CAN REPLACE A MAN ( 1965 ) ( 井上ビジョンとスベキ 球を飛びたっ ュレーティヴな視 の典型として、若い読者からべテラン読者ま一夫訳・一三〇円 ) は、二十年間のキャ リアからベストを選んだオ 1 ディスの自選短点が豊富かっ多角外 でが等しく楽しめる作品だろう。 当 海 〈ハヤカワ・・シリーズ〉は今月は一冊篇集。人間が死に絶えロポヅトだけが生き残的に盛られた充実 日一 にとどまった。エドマンド・クー 1 の『転った未来世界を描く「だれが人間にかわれした未来論であ 位』 TRANSIT ( 中尾明訳・三四〇円 ) でる ? 」二十世紀の生活が一一十六世紀人の好奇る。
宇宙船が慎重に計算された軌道をそれて、とんでもないところをちゃくちゃな円軌道を、尖筆でスケッチした就道グラフである。 「これがあんたの燃料供給回路網がわれわれにしている仕打ちだ 3 ふらふらまわりはじめたとき、わたしは、スビカⅣ星でのオー ホールの機会を断わるべきでなかった、と後悔のほそを噛んだ。乗よ。そしてこいつを修理しないかぎり、永遠にわれわれはこれをつ 組員もわたしも、そのときは早く地球に帰りたい一心だったし、ざづけることになるってわけだ」 ー》号は上々のコンデ彼のわたしへの苛立ちをわたしは感じた。ウイレンドルフはいし っと調べたところでは、わが《アーロン・ イションにあるようだったから、最低一カ月はかかるオー 男だが、心理測定表によると、管理職にたいする潜在的欲望を持っ ているという。心の奥底では、自分だってすくなくともわたしとお ルの申し出を拒絶して、一路地球をめざしたのである。 じっさい、急がばまわれとはよく言ったものだ。今回の調査旅行なじくらいには、いや、ことによるともっとずっと有能に、船を動 はすでに相当長くなっていて、帰心矢のごとき一同がもうじき地球かしてゆけると思っているのは間違いない。 へ帰還できるという見通しに勇みたっている最中に、船が横とんぼ 「上級航宙士のヘイリーを呼んでくれ」わたしはびしりと言った。 「どこか近くに手ごろな惑星を見つけて、修理のために緊急着陸す 返りをはじめたのだから。 るんだ」 船が軌道をはずれているのにわたしが気がついて二、三分して、 調べてみた結果、数億マイル離れたところに、一個の白色矮星 一級コン。ヒ = ータ士のウイレンドルフがおずおずと顔を見せた。 と、たった一個の地球ぐらいの大きさの未踏査の惑星から成ゑち カス ? 」わたしは問いかけた。 「いったいどうなってるんだ、・ 「燃料補給回路網ががたついているんですよ、船長 , 彼はもじゃもつぼけな星系があるのがわかった。〈ィリーと二人で、そこを最寄 じゃの赤茶色のロ髭をひつばりながら答えた。「どうしても振動がりの避難港と決めたあと、わたしは全員集合を命じた。 簡潔に、かっきつばりと、現在の状況の概略を述べ、なにをせね 止まらんのです」 ばならぬかを説明してやると、たちまち全員の失望が伝わってき 「ケタリッジはどうした、彼に見せたのかね ? 」 「いま呼んだところです、ウイレンドルフが言った。鈍感そうな顔た。だが、さいわい、その反応はすぐに全体的な諦めの感情、諦め に当惑がありありとあらわれていた。電子頭脳のどれかひとつがおて仕事にとりかかろうという感情にとって代わった。みんなで力を かしくなると、ウイレンドルフはきまって自分のことのようにそれ合わせれば、いずれは地球に帰還できる。だがもしそうしなけれ を受け取る。まるでそれが自分自身の落度ででもあるように。「こば、この先百年でも、こうしてとん・ほ返りを打ちながら宇宙をさま れがこのままつづけばどういうことになるか、ご存じでしようなよい歩かねばならないのだ。 ーティングが終わると、われわれは船のコントロールを回復 わたしはにやりとした。「まあこれを見ろよ、ウイレンドルフ」し、修理のために着陸させる作業にとりかかった。さいわい、約一 そう言って彼の鼻先に突きつけたのは、午前中船がたどってきため時間半後に、燃料補給回路網はおだぶつになった。これはすなわ