午前十時。サム・マーチンは、急いでタグシーから降りようとし止った。通行人の一人に彼のひじがちょっと触れた。 ていた。いつものように、片方の手でドアを開け、もう一方の手で「失礼」ーチンは、つぶやくようにそう言うと、再び、ドアをめ 書類入れカ・ハンを抱えているのに、残る手で札入れを取り出そうとざして進んだ。 努めていた。′ー レフコヴィッチ ? あのトラックに書かれていたのはそうではな 彼よ、二本の手しかないのだから、そんな芸当のでき るわけがない、と悟ると、これまた、例のごとく、ひざでドアを押かった。あの名前はと書かれていて、ルーコイ し開けた。そして、舗道に立ってからも、なお、札入れを手探りしツッと読むんだ。では、彼はなぜレフコヴィッチと思ったのだろ てみたが、無駄だった。 彼がついこの前までやっていた大学のドイツ語では、は マディスン通りを行交う車は、少しずつ動きながら、通り過ぎに変えて発音するが、たとえそうだとしても、イッチという音はど こからきたんだろう ? た。一台の赤いトラックが、しぶしぶ、速度を落して徐行したが、 レフコヴィッチか ? しかし、彼はその問題をすべて乱暴にかな 信号が青になると、きしるような音をたてて走っていった。車のわ き腹に白く書かれている文字は、そのトラックの持主が服地卸業のぐり捨てた。もし、そんなものにかかわりあっていたら、ヒットパ ・ルーコウッツ・アンド・サンズ社であることを、世の冷淡な人レード番組のリクウ = スト電話が鳴りつばなしでいるようなもの で、おちおち何も出来ないだろう。 人に告げていた。 仕事のことに精神を集中しなくてはいかん。彼がここに来たの レフコウィッチたーーマーチンは、全く何の関係もなしに、そう は、あのネイラーという男と昼食の約東があるためだった。彼は、 思った。それから、やっとのことで、札入れを捜し出した。彼はカ ここで、ある契約を確実にものにして、二十三歳で、順調に昇進を ハンを小脇に抱えながら、料金メーターに眼をやった。 一ドル はじめなければならなかった。彼の計画では、そうすれば、二年で 六五セント、それにチッ。フが二十セントとすれば : ここで一ド エリザベスと結婚し、十年で彼が家長となる家を郊外に建てること ル札を二枚出すと、万一、一ドレし ; 、 ノ本力しる場合に、一枚しか残らな が出来るだろうということだった。 いことになる : : : 五ドル札をくずした方がいし 彼は断固たる厳しさでロビーに入ると、エレベーターが並んでい 「よし、君、これで一ドルと八五セント取ってくれ」 りる方をめざして進んでいったが、居住者表示板を通り過ぎながら、 「すいませんね」運転手は誠意のない機械的な調子で言うと、つ 彼の眼はその白い文字に向けられた。 銭を渡した。 マーチンは一ドル札三枚を札人れに押し込み、それをポケットに歩調をゆるめたり、あるいは、 ( そんなことは断してしないが ) しまった。それから、カ・ハンを手に持ち、歩道の人波を突き進ん完全に立ち止ったりしないで、通り過ぎながら、部屋番号を見つけ で、ビルのガラスドアのところまで行った。 たいというのが、彼の馬鹿げた習慣だった。別に立ち止ったりしな レフコヴィッチだって ? : ーー彼は、ひどく考え込みながら、立ちくても・ーーと彼は自分に言いきかせたーー直感で、どのあたりに自
「嘘じゃない。おれ、この目でみたんだ」 サイモンズが死んだ。とても信じられない。あんな腕利きの男が 「なんだい」 少年の視線が、・ほくのジャンパ ーの脇下に釘づけになっているの 「相手は誰なんだ。教えてくれ」 がわかった。「それ、拳銃だろう。ちがうか」 「よくわかったな」と・ほくは少し驚いて少年を見返した。直観的「 : ・ に、。ヒンとひらめくものがあった。何か知っているらしい。ぼく「どうした。早くこたえろ。こわいのか」 が、少年の返事は意外だった。 は、少年の言葉を待った。 「相手なんていないさ。あのアメリカ人は、気が狂っちまったん 「おれ、 . 先にも、おじさんみたいな人を案内したことがあるんだ」 ちゃんと掛引きを心得ていて、思わせぶりないい方だ。「近所の人だ。だってさ、真昼間、大通りをわめきながら走り出していって、 トラックに轢かれちまったのだもの」 がいってた・せ。あいつは、ライセンス持ちだったって」 ライセンス持ちとはミ = ータンツ ( ンターのことだ。 . ・ほくは興味「馬鹿な」ぼくはうめいた。「あいつの気が狂うなんて、絶対にあ を覚えた。 りえない」 「ほお、いっ頃のことだ。そのライセンス持ちに逢ったのは , 「嘘だと思うなら、他の人にもきいてみな。このおれは、ときどき あの人の走り使いをしていたから、なおのことわかったんだ。死ぬ 「半年ぐらい前だったかな」 「どんな男だったか、覚えているかい」 ひと月ぐらい前から、急に様子がおかしくなった。おれのことを、 「片っ方の手に、℃ 、つも手袋をはめてたよ」 『おいジョン』だなんて呼んだりしてさ」 「なんだって」心当りがあった。「どっちの手だった」 一体、何がサイモンズの身の上におこったのだ。少年と別れ 「左手。あの人の片手は義手なんだ」 て、ホテルへもどるタクシーの中で、・ほくは、じっと考えこんでい た。「お客さん、中国人か日本人か」と運転手が話しかけてきた ・ほくは、そう聞いたとたん、立ちどまった。あいつも、アルジェ が、相手にならなかった。宿の前まで車をのり入れさせてからおり の獲物を狙ってきたのか。サイモンズだ。間違いない。 た。みあげると、夜空は晴れわたっていた。 「おじさんも、仲間なんだ」 とっくに寝た頃だろうと思っていたのに、あの娘はまだおきてい 「そうだよ」今さら隠したってはじまらなかった。 「消息を知らないか。教えてくれたら、謝礼ははずむぜ。うんとた。ヨーコ・山本。宿帳のサインで知った名前だ。ドアをあけたと きの様子からして、どうもおれを待っていたみたいだった。〈何が な」 「死んだよー 狙いなのだ、お嬢さん〉と腹の中でいいながら、・ほくはジャン・ハ - ー 「本当か . 頭蓋骨をぶちのめされたようなショックを覚えた。 をツインの片方にぬぎ捨てた。 2 ー 2
「それで、妹と愛し合ったの」 明子はそういうと励ますように啓一の手を自分の胸に押しあてて 歩いた。そして根の国の穴を抜け、外の夜風に触れたとき、ほっと「いや、ロに出したこともなかった」 すると明子は急に啓一の手を引いて体を寄せた。 したように柔らかい声で言った。 「私は姉、私は妹」 「あなた、久子を好きだったの : : : 」 そうささやくと、明子はかぐわしい息を啓一の顔のあたりに漂わ 啓一は素直に答えた。 ほといわ せ、じっと瞳をのそきこんだ。月が昇っていて、その光が女陰岩の 「うん」 「あの子が死ぬ時、そばにいてやったの : : : 」 頂きでいだき合う二人の姿をくまなく照しだしていた。 「そうしたいと思ったけれど、間に合わなかったんだ」 冫いだかれたまま赤い帯をとき、体をくねらせて白い 明子は啓一こ くや ・ : 悔しきかも、速くは来で。 肌をあらわにして行った。やがて二人は互いに裸身をさらけだし、 明子はそう言いながらもどんどん手を引いて闇の中を進む。さっ 岩の頂きにゆっくりと横たわった。 ときはかし きあった白光は消えて、ただの谷あいの闇になっている。 「時量師の柱もきっと崩れ落ちた筈だわ。だから : : : あなたと私の 時は : : ここにいるかぎり」 啓一がそれを言うと、明子はさつばりしたというように、 明子はもどかしげに啓一と体を入れかえた。啓一の上で月に照ら 「ここはもう黄泉の国じゃなくなってしまったのよ。ほんとうの秘 いえ、ひ 密というのはとても脆いものなのね。何もかもが純粋でないといけされた白い乳房が揺れて光った。「きっと : : : 何日か : と月も : : : 狂ってしまう筈よ」 ないわけよ。あなたは間違ってここへ入ることを許されてしまった 最初で最後の人間なの。すべてが純粋で、したがって単純でなけれ そう言った明子は、白い喉を啓一にさらし、ああ、と呻いてそり ばいけない世界へ、いろいろなものがからみ合った要素が入ってし かえった。あおむいた明子が見る空には、月が煌々と輝いている。 まったとき、その秘密の世界は純粋さを失って、そのために奇蹟の やがて、かって黄泉の国であった倉戸の谷の片須原に、明子のロ 力も失い、複雑で不純でありきたりのものになってしまうのよ。神からほとばしり出た女の叫びが、月にもとどけと谺した。 の世界で穢れるっていうのはそういうことなの。よごれるというの 「久子の分と私の分、そして黄泉の国に生まれたばかりに死に急い とは別なことなのよ。あなたは決してよごれた人間ではなかったけだ湯津石のすべての娘たちの分 : : : 」 けが いとなみをおえた明子は、裸身のままそう言ってすっくと立ちあ れど、それでも穢れは起ってしまったの。そういうわけ : : : 」 ふたりはいっしか上瀬の瀞と味ばれる深い淵の岸にそそり立っ女がり、「どうもありがとうー といわ とまだ岩に仰臥している啓一に礼を言った。 陰岩の頂上に立っていた 「これからどうする」 「あなた妹を愛していたといったわね」 「あなたは谷を出るのです」 「うん」 かみせとろ こ
いたプラスチック管と金属線の精巧な集塊だけ。 っていれば、いまのは正真の呪いだったのだが」 っこ 0 長い沈黙の果てに、ロ・ハット ・カしー 「わたしが霊魂をもっていないという証拠は」ロポットはつけたし 3 「あなたが知っておいたほうがいい ことです。もちろんあなたひと た。「疑問符」 りだけが」 「おまえがなんであるかは知っている。おまえはまさしく、人間の 「では」とトマスはあえいだ。「では、これまでわたしが探し求め破減を企てて地上をうろっく悪魔だ。闇の中を徘徊する役目だ。お てきた聖者は、おまえたちの夢 : : : 人間のかたちをした完全なロポまえは、わたしを誘惑するために製作され、調節された、純粋に機 ットでしかなかったのか」 能的なロポットであり、おまえのデータ・テー。フは、悪魔スクルー 「彼の創造者は死に秘密は失われました」とロ・ハット。 「それは大テープのテープなのだ ! 」 したことではない。わたしたちはまたその秘密を見いだすでしよう 「あなたを誘惑するためではありません」ロ・ハットはいった。「あ から」 なたを破減させるためでもありません。あなたを導きそして助ける 「この【旅はなんにもならなか「た。いや、それ以下だ。あの『奇ためです。わたしたちの最良の計算機は二十年以内にあなたがつぎ 跡』がテクナーキーの手で作り出されたものだったとは」 の教皇になる確率を五一・五パーセントと予測しています。もしわ 「アクインが死んだのは」とロバットはつづけた。「この死んだは たしがあなたの行動に知恵と実際性を教えこめばその確率が九七・ 引用符つきですそれは彼がなにかの機械的故障を起こしたのに正体二。 ( ーセントないしは確定性に近いところまではねあがるかもしれ の暴露をおそれて修理を受けなかったためです。そのことはあなた ないのです。あなたは自分の希望どおりに教会が運営されることを だけが知って、れ・ま 、、。もちろん報告はあなたがアクインの遣体願わないのですか。もしこの使命の失敗を報告すればあなたは彼が を発見したことそれがまったく損われも腐敗してもいなかったこと ほとんどの場合誤りを犯す可能性のあることをあなたでさえ認めた にするのです。それは真実であり真実以外のなにものでもありませあの友人の信頼を失うのです。あなたはたとえテクナーキーのもと んたとえそれが完全な真実でないにしてもだれがそれをとやかくいでは着用できないにしてもあの枢機卿の赤い帽子につながる地位と うでしよう。誤りを犯さないあなたの友人にその報告を利用させれ愛顧の有利さを失いそしてーー」 ば彼もきっとあなたの労に報いるでしようわたしが保証します」 「やめろ ! 」因子がこれまでその存在を感知できなかったあ 「聖霊よわれに恩寵と知恵を与えたまえ」 トマスはつぶやいた。 るものによって、トマスの顔は輝き、目は燃えている。「わからな いか、事実はその正反対なんだ ! これは勝利だー これは探索の 「あなたの使命は成功しました。わたしたちはこれから帰り教会は 栄えあなたの神はその非実在の耳にむかって讃美を唱える大ぜいの完全な結末なのだ ! 」 新しい崇拝者を手に入れるでしよう」 関節をもった前脚が、砕かれた手にそっと触れた。 「呪われよ、なんじ ! 」トマスは叫んだ。「もしおまえが霊魂をも「これがですか疑問符」
られていた。・フェノスアイレス通りに面した高台インデアン区の彼 「じかに逢ったことはあるか」と・ほくはきいた。 のアパートは、投げこまれた手投爆弾でめちゃくちゃになってお 「いや、ない」とセレストはこたえた。「人の噂た」 り、まだ現場は野次馬や消防車、パトカーでごったがえしていた。 「本当だな」 「そうだ」 余燼のまだくすぶる部屋にかけんだ・ほくは、惨状のすごさに眉を 「お前はそのを誰からきいたのだ」 ひそめた。だが、奴は一体どこから入りこんだのだろう。連絡員の 部屋は、二重の鋼鉄製の扉で防禦されていた。二つの窓は、表通り 「みんながいっている」 に面して高いビルの壁にあったのだ。ばくは、すべすべしたタイル 「わかった。おれが来たことは黙っていてくれ」 「わたしもだ」とセレストはいった。「わたしからきいたとはいわばりの外壁の面をみながら考えた。 ないでくれ , ミュータンツの中には、身体疇型を併発している者もおり、やも りみたいな吸着板をもったやつもいた。連絡員が、それを知らぬは 店を出て・ほくはあちこち歩きまわった。情報は似たりよったりな ものだった。一様にそのサイコミ ュータントの話をするカス・ハの住ずはなかった。事実、彼は二つの窓に警戒装置と共に、イベリッ 民たちはおびえていた。中にはいくら・ハクシーンを払うからといつをぬいつけて防禦していたのだ。 ても、いやだという者もいた。いずれにしても、ぼくの来たことは たが、こうした念入りな防禦装置そのものが、逆に彼の命取りと なったのだろう。装置に対する安心感が、人間の生来的な防衛本能 噂になるだろう。やがて口からロに伝えられるうちに太って広が る。カス・ハの奥にも、それはとどくだろう。「サイモンズの仲間がをかえって麻痺させるからだった。・ほくはこの事実を教訓として、 来ている」と : : : 。敵の正体のわからぬうちに、・ほくの方から姿を見えざる敵を待った。 現わすのは、冒険だったが、手早く相手をみつけるには、これ以外 敵はポリビャ鉱山へいく高原のハイウェイの途中で、・ほくを襲撃 に手はなかった。つまり・ほく自身を、罠の餌にしたのだ。 した。目前で橋が爆破されて、・ほくの車は、渓谷へおちていった。 こいつは、前にも使ったことのある手だった。一度はケープタウもし脱出装置がついていなかったら、爆発して炎上した車と共に里 ンで、もう一度は、・ホリビアのラバスだ。ケー。フタウンのときはう焦げの屍体となっていただろう。墜ちる車から、シートごと、・ほく まくいったが、ラバスでは危うく殺られるところだった。 は空中にとびだして、運よく谷の急斜面の灌木にひっかかった。奴 奴は、あそこの銀鉱山にもぐりこんでいた。あとから判ったことが現われたとき、・ほくはまだ、ヨウョウみたいに、そこにぶらさが だが、インカ王家の血を引いた狂暴なミ、ータントだったのだ。そっていた。 力あんな強力な妄想タイ敵の黒影は、こうもりのように空中を滑走してきた。そして腰だ いつは典型的な脅迫型の一分種だった。 : 、 。フは類例がなかった。ぼくの到達を予知していて、事前に行動を開めの姿勢で、銃を乱射しながら近づいてきた。灌木がしなやかで、 始していた。到達してみると、一足ちがいで、ラバスの連絡員が殺ひっかかったぼくの身体が、まだ揺れていたので助かったのだ。ぼ 幻 9
ついに解放されたロケット ( 上 ) マーニイを襲う怪戦士 ( 下 ) を、じっと見た。これだけのお金があったら、ゼフもあたイが、 しも、今までみたいな苦労はしなくてすんだんだわ : ・ その意 「わかりました」 識をと りもど 消えいるような声で、彼女は答えた。 やがて、地平線に、青い光が、妖しく燃え、風の吹き荒すとす ぶ魔の荒野に、伝説の大王アマリクスと、マーニイは、並でにヘ ルメッ んで横たわった。・ハルザモが、あの不思議なヘルメット を、彼女の頭にかぶせ、腕と手首にクリップをはめたとトは取 りはず き、彼女は、一瞬、身ぶるいをした。ふるえる手で、・ハル ザモが、スイッチをいれる。ガラスのコイルが、明るく輝されて おり、 、ルザ なにか、とてつもなく大きな、霧のような光が、自分の・ / モが、 心のなかに、どんどんひろがっていくような気がして、マ 1 ニイは、うめいた。回転しながら、すべてを巻きこんで王の乗 いく星雲のなかに、とびこんでいくようだった。ひとつの馬に、 顔が、あらわれた。それは、彼女が娘時代に夢みた、たく手を貸 ましく、 しているところだった。荒野のどこかで、大勢の戦闘馬の 美しい王ひびきが、かすかにきこえる。・ハルザモが、顔をくもらせ 子のようた。 でもあつ「追っ手どもだ。王を殺そうとしている。この王の研究こ た , ーーそそ、彼らを、この地獄の荒廃から救うものだというのに して、感 覚も、記かナ ら・こじゅうを、死が、駆けまわりはじめるのを、懸命 憶もない にこらえながら、歯をくいしばり、アマリクスは、馬上か 忘却のなら、マーニイにささやいた。 かに、沈「いっしょにいるところを見つかったら、おまえも殺され んでいつる。そうっては、困る。おまえは、生きなくてはならな い」王は、不思議な、雄々しい笑顔を向けた。「さあ、子 9 マーニどもは、おまえのものだそ、マ 1 ニイ。運命の子どもなの く受ラ ) 、
せ S か ナこ つ れ を て ー 1 ー -1 - ー 1 ー 1 れ窟 フ 。も 遺 P い E を ロ そか ら ぶた あ 0 ) なそ ロ た 日 。骸 い S ノく持洞 因 を オ た しれ け のや の 0 ず ポ し か 力、 々 ク ) 人中 の子捧み ぇ P っ窟 い列いそ わ は る つに ツ ク ) ツ ム 間 。聖た が け 因 体 たあ 、冫こ く 理 し ほ ト ト た の たは の出 う 彼た う と 検 。て と 子 も 中 は しな 0 そ 蹄 は 由 の フ は 。め ・むナ がただ事手 の れを関 あ滴 へ ロ で ト の に き く ロ近微そ は 検 の続 か打節 あノくそ カ ; . イ っ る の コ ろ石 づ笑れ な 、事 た 務 の あ ト ちを オよ は で の血 ら フ ノ、 ツ カ : ッ き が 鞍 る 遺た ま イ匕 、お備 ト め は の か は も コ た な 中 か あ か体 ト ら ら り 。で さ と と 役 、砕 は ろ ん に 、教 カ ; そ 「つ を す ず 防 た ら よ に っ の で か し ら憐彼 た粗 滑 れす 証会 り て柩 た腐 れ し 力、 た せ 月リ り 。末 ばね も 、憫 拠は へ た 。脚 い台 ず液 イ ぐよ る る か の列多 お な と ひ むに ロ 手 たも ト を し か ま の フ ざ 上聖ー しわ勝 / 化 り な ね マ に流 マ も と せそ ま 、を , た 種 調 : ・ に か利 ッ ま し 破れ ろ ま ス ち は ん ス ず 考査一 ト 自 に を ト は あ の ら じ て で よ へ て ア ト 感 に き - ん審 : ト 。近 の と 分 げ き れお ク ま ス 柩 マ 知ほ よ 存 司 じ た ら る ま マ 冫こ一 の イ ほ 感 0 ょ ノ、 れ検ト ス す す窟 / 表ず と 冒 と ン ス 七、 ぇ謝 る 事 皮 、見濱 カ : は配ナ いは る る の ツ き疑こ みを突 よ 疑 ト す 上 と 行遺 : 徴な と つ き いと 0 め為 体 イ 笑 か く 力、 つ へ し、 け め刺 て う にを ・し . な せ そ フ て いた に の る 眉 てす の も ね た 。戦手 イヒ の て が オ目 懐 よ 敗 特カ 下肉 慄を の よ を さ し、 疑を っ 手 う く の う を に も め の に も の なな を 立 ま の現 叫カ た な なた 、ら 。 E し 、肋 投 そわ 0 び け て か 囚気Ⅱがヴングー 1971 年 8 月号分集計結果 作 順位 ロ ロロ 1 少年と犬 2 九つのいのち 3 ああ荒野 4 正当防衛 憑きもの 5 農閉期大作戦 6 7 脱走と追跡のサンバ 今月は各作品とも甲乙つけがたく , 全作品が 3 点台をマークし , 時 に久しぶりに 4 点の大台にネビュラ賞受賞作の「少年と犬」ハーラン ・エリスンが乗って気をはく一方 , 日本作家もそれそれ個性ある作品 で好評をはくしました。 今月 7 篇に対し , 規定の方式 ( 秀作 5 , 佳作 4 , 水準作 3 , それ以 下に 2 . 1 ) に従って葉書にてご投票ください。同評価の作品が何 篇あってもかまいません。住所・氏名・年齢は必ず明記のこと。 締切は 11 月末日。抽選で 5 名の方にハヤカワ S F シリーズ最近刊を進 呈。今月は下記の方に「銀河は砂柆のごとく』プライアン・ W ・オー ルディスをお贈りします。 神奈川県横須賀市久里浜 4 の 16 の 8 中島恵美子様 , 滋賀県愛知 郡泰准町安孫子 1 村西正志様 , 鹿児島県鹿児島市宇宿町 2655 の 75 井口桂子様 , 茨城県稲敷郡新利根村柴崎 3 の 1 富山正美様 , 神奈川県横浜市神奈川区子安通 1 の 169 石川治夫様 ト 評点 作者 ノ、一ラン・ユ . リスン アーシュラ・ K ・ル・グイン 荒巻義雄 小松左京 ロバート・シルヴァバーグ 半村良 筒井康隆 4.15 3.71 3.69 3.42 3.36 3.32 3.21 0 ・ 0 0 0 ・ 0 一 0 を 0 ・ 000 、 - )
「かれにタ・ ( 「をやってくれ、ジョンソン」博士はおれの右足の方も、こっちの方がずっとましです。感謝します。ほかの連中も、き っとそうだと思います」 に立っている男の看護夫に命した。 「もちろんだよ、きみ。もちろんだ」かれは万年筆をとって、おれ ジョンソンがタバコを渡した。おれは火をつけた。 「きみはすばらしく快調た」サントリ博士は言 0 た。この男は、このカルテにメモを記入した。おれにはその内容は見えなか 0 たが、 かれは喜んでいるようだった。「もうきみは、自分に立ち戻ったも うたと言えばそうなる、と思いこんでしまう例の心理学者のひとり ハイロン」かれは言った。「・ほくは実験を成功に導く人 「週末前に、きみを一時同じだよ、 ・こった。そんな人種を知っているかい ? 間だけ横にしてみよう。こいつは驚くべき前進だ。つぎには意識レ間になれるのが嬉しいよ」 「この実験 ベルでやれるからな ! 自分ではわからないかもしれないが、きみ博士は陰謀者のように、男の看護夫たちをながめた。 が・ほくにとってどんなに重要かはわかるだろう。こいつは新しい手 いや、八カ月かかっても遅くはな はきわめて快調だ。六カ月 かれはおれにまばたきした段の勝利だ、心理療法に通じる。宇宙旅行のわが英雄たちだって、 い。・ほくは保守好みの方たからね」 地球に帰ったら自由になる権利がある、そうじゃないかね ? 」 「きみをここから出してみせよう ! きみは乗員の中では、い 「たしかに」おれは顔の汗を袖でふきとった。 ちばんさきに退院できるだろう、いいかね ? 」 「われわれは地域指定という便法にけりをつけねばならない。なる 「それはありがたい」とおれは言った。「ほかの連中は不調なんで ほど、宇宙旅行にともなう緊張は避けられまい。だがもし二、三度 すか ? 」 「そう。ほとんどの者がまるきりだめた。とくにジルヴ = イ博士の回想治療によ 0 て、危 0 かしい緊張をとり除くことができれば、 は。一巡を何度やっても、結果はひどい状態だ。あの男には困ってたいして高価な代償とも言えないだろう ? 」 「ちっとも」 いると言っても差しつかえなかろう」 かれはきおいこんで言った。「わが身を少しも抑えず気楽に、ロ 「そいつはありがたい」おれは言った。こんどは本気だった。 かれは考えこむようにおれをながめたが、男の看護夫たちに、こケットに同乗した旧友たちと交われる日を、楽しみに待っことがで 「かれはもうだいじようぶだ。手をかしてテきるわけだ。こいつは待っ甲斐がある、そうじゃないかね ? 」 う言っただけだった。 「ほくはその日を待ちわびていま 「そうです」とおれは言った。 1 プルからおろしてくれ」 立つのは困難だった。しばらくは、テープルをとり巻く手すりにす。それに、自分がはじめて会ったとき、何をするかもずばりわか つかまらねばならなかった。おれは型にはまったことを、ことば少っていますーーーおっしやる通り、少しも自分を抑えずに」こいつは なに伝えた。「サントリ博士、・ほくがこの実験にどれだけ感謝して嘘ではなかった。おれはやる気だった。ただ、おれが使う道具は、 砕いたビールビンなんかじゃない。 いるかを、お伝えします。・ほくもこれまでの乗組員と同じように、 おれはそれよりずっと手のこんた考えを抱いていたのだ。 これから先を一地域に閉じこもって暮すよう説得されました。で 2 4
たしはそこへは行きません。山のほうへ行くところです。では、向 この流行の機能目的には気づいていないのた。 。ザリオを繰りながら ) は、彼の冒険がもたらすかもしきを変えますから」 栄えの玄義 ( 黙 れぬ輝かしい結果にふさわしく思えた。しかし、彼の黙想は玄義の大男が鼻を鳴らして彼に背を向けかけたとき、道ばたの粗末な小 中にじっと浸りきっておれなかった。聖母への祈りを唱えながら、屋から声が呼ばわった。 ロ・ハットのことを忘れたのか ! 」 トマスはいっしかこんな考えを追っていた ジョーは向きなおった。「おう、そうだったな。ロ・ハットが何頭 〈もし、予言者・ハラムが驢馬と話をしたのならば、わたしもロ・ハッ ハラムのことは、かねがねふし か、キリスト教徒の手にはいったという導だ」埃つ。ほい道路へべっ トと話をしてもかまわないだろう。 ぎでならなかった。彼はイスラエル人ではない。・ハアルを崇拝しイと唾を吐いて、「所有証明書を見せてもらおうか」 さまざまの懐疑に加えて、いまやトマスは教皇のいう匿名のニコ スラエルと戦っていた、モア・フの人だ。しかも、彼は主の予言者で もあった。彼はイスラエル人をのろえと命じられたのに、彼らを祝デモの動機にも、あるきびしい疑惑を向けはじめた。その男は、彼 福した。そしてその報酬に、彼はイスラエル人がモアブ人との戦ににそうした証明書を交付してくれなかったのである。しかし、トマ 勝ったとき、イスラエル人によって殺された。この物語ぜんたいに スはそれをとりだすふりを装いながら、まずどこへ入れたか思い出 は、なんのまとまりも教訓もない。まるでそれは、神のご計画にはすように右手をひたいに触れ、その手で胸の下をごそごそさぐって わたしたちのうかがい知ることのできぬ部分がある、と言っている から、つぎに左の肩、右の肩へと手を動かした。 ようだ : : : 〉 このひそやかな十字のしるしを見ても、歩峭の目は無表情たっ フォームラ・ハーの座席の上で彼が首をうなずかせているとき、ロ たが、やがて視線を足もとに落とした。トマスもその視線を追っ ・ハットは不意に停止した。これまで計算に組みこまれていなかったて、道路に目をやった。歩峭の大きな右足が、子供の描く魚の絵の カタコンプ 外的データに、すばやく自分を順応させたのである。目をばちくり ような二つの弧を土の上になそっていたーーそれは地下墓地に隠 させて、トマスは彼をにらみすえている大男を見上げた。 れた大昔のキリスト教徒が、その信仰の語呂合わせ的なシンポル 「居住地域はこの一「イル先だ」大男は吠えるようにい 0 た。「も ( 魚のギリ〉 " 語 lchthus は、神の子、救主イ H) として使 0 たものだ。長靴 しそこへ行くんなら、出入許可証を見せろ。もし行かんのなら、うの先で魚の絵を消しながら、大男は姿の見えない仲間にむかってど よっこ 0 ろうろこの道路へ顔を出すな」 ! 」そしてつけ加えた。「さあ、 トマスは、たしかに自分たちがほ・ほ道路と呼・ヘるものの上にいる「こいつはオーケイだ、フレッド こと、そしてすでにロ・ハットが側車輪を下におろし、脚を上に引き通っていい」 ロ・ハットは声のきこえない距離へくるまで待ってから、批評をさ 上げていることを知った。 「わたし、こらよ ・と言いかけてから、彼は言いなおした。「わしはさんだ。 2
しい光があふれていた。二匹のモンクマ・ハチが、窓の焼絵ガラスに ら、・ほくは「そうですーといっこ。 ぶつかって、うなっていた。それから、この門衛と大いに喋り、通 養老院は村から」二キロのところにある。・ほくはその道を歩い た。すぐママンに会いたいと思ったが、門衛は院長に会わなけれ夜にきたママンの友達たちとコーヒーをのんで、夜をあかし、あく ばならない、 彼の手がふさがっていたので、しばらくる朝、中庭のすずかけの木の下で、待ちながら、さわやかな大地の 待った。その間しゅう門衛が話しかげてきた。それから院長にあ匂いをかいでいた。・ほくは、ママンの許嫁だったという老人に逢 柩車と共に行列をつくって墓地へむかった。ひどく暑かった。 った。その事務室で彼はぼくを迎えた。小柄な老人だ、レジオン いとすぎ ・ : 。たえがたい空 ・ドヌールを着けていた。明るい眼で、ぼくを見た。それから・ほ丘々まで連なる糸杉の並木、こげ茶の緑の大地 : くの手を握り、どうして手を引き込ませようかと困ったほど長く、のきらめき。太陽、車についた皮や馬糞の匂い、ニスの匂い、香の 離さずにいた。彼は書類の頁をめくって、「マダム・ムルソーは匂い、お通夜の疲労 : ・ それからあとは、すべて、ごく迅速に、確実に、自然に事が運ん 三年前にここへこられた。あなたはそのたった一人の御身寄りで だので、もう何も覚えていない。 したね」といった。 そして、・ハスがアルジェの光の巣に入ったときの、・ほくの喜び。 ・ほくは、何か・ほくがとがめられているのだと思い、事情を話した が、彼は・ほくをさえぎって、「弁解なさることはありません。あそのとき、・ほくはこれで横になれる、十二時間眠ろうと考えた。 なたのお母さんの書類を拝見しました。あなたにはお母さんの要 求をみたすことができなかったわけですね。あの方は護婦をつ事実、・ほくは十二時間たつぶりと眠った。きようは土曜日だ。ひ ける必要があったのに、あなたの給料はわずかでしたから。でもげを刷って海水浴場へいき、水のなかで、マリイ・カルドナに逢う 結局のところ、ここにおられた方が、お母さんにも御幸せでしたのだ。 ・ほくを ろう」「その通りです、院長さん」「ここには同じ年配の方、お友・ほくは電車に乗って港の海水浴場へ行った。潮の香りが、 だちもあ 0 たし。そういう方たちと、古い昔の思い出ばなしをか麻痺させた。それから浜辺の大勢の若者たちの群にまじった。・ほく は水の中に身を投じ、沖へむかった。 わすこともできたし。あなたはお若いから、あなたと一緒では、 ぼくはマリイに再会した。水着姿のマリイは綺麗だった。・フイへ お母さんはお困りになったでしよう」と院長はつけ加えた。 それから、・ほくは院長につれられて中庭を横切って小さな建物の登るのを手伝ってやりながら、今夜この女を抱くのだと思った。部 中へ入り、そのひとにあ 0 た。大層明るい部屋で、石灰が白く塗ら屋を出る前に、あの小説を読みかえしてきたので、何をしたらいい ひつぎ かわかっていた。ぼくは、ふざけるような振りをして、マリイの腹 、 - 彼女は棺の中に入っており、 れ、一枚の焼絵ガラスが入ってした。 , 5 ふたがしてあ 0 た。アラビヤ人の看護婦がいた。門衛が入ってきの上へ頭をのせた。マリイは何もいわなか 0 た。眼の中に、空の全盟 ・ : 。・ほくはものうさの中に埋没し た。入れかわりに看護婦がでていった。部屋には午後の終わりの美体が映った。すべてがものうい :