チューリング・マシン - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1971年3月号
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1. SFマガジン 1971年3月号

ができる″ということにほ、よ ができるのである。 らない ( チャーチのテーゼと呼現在の電子計算機は、いずれもチ、ーリング・マシンの一種と考 ばれる ) 。 えることができるから、その巨大な計算能力は、すべてこの簡単な そして実際、たいていの問題万能チ、ーリング・マシンにおきかえられるーーーということにな に対して、このチューリング・ る。 ( むろん、能率、計算時間、実現性などは別問題とした理論上 マシンをつくりうることが知らの話である ) ンれている。 さて、万能チ = ーリング・マシンとロポットの万能性との関係 ( むろんチ、ーリング・マシンは、つぎのように述べることができるだろう。 も神様ではないから、計算不能 ンの問題もある ) ここにひとつの巨大な人工頭脳があったとする。この人工頭脳 は、宇宙人のもので、人知の遠くおよばない複雑多岐にわたる論理 ュ 万能チューリ ング・マシンとロ機能を有している。 チ ポット そして、地球にいるロポットたちが、この巨大な人工頭脳の挑戦 チューリング・マシンに関しをうけたものとしよう。 て、さらに重要な事実がある。 ロポット工学者 ( 人間でもロポットでもよい ) は、その挑戦に応 それは、万能チューリング・ じるため、それよりもさらに高度の論理機能をもったロポットの頭 マシンの存在である。 脳を設計する。巨大といってもあくまでも有限の世界での話である チーリングによれば、どんから、いくらでもそれより巨大なものをつくることはできる。 なチューリング・マシンをもってきても、それと等しい仕事をなし しかし、そのロポット用頭脳はおそらく、あまりにも複雑であま うるチューリング・マシンをつくることができるのである。そしてりにも巨大で、とうていロポットの頭に収めて活動させることはで きないようなしろものになってしまうだろう。 そのような機械のことを、万能チ、ーリング・マシンと称する。 この万能チ、ーリング・マシンの存在は、ロポットの万能性 そこでロポット工学者は、万能チーリング・マシンを登場させ る。 すなわち進化の無限性ーー・の重要な根拠になるものと考えられる。 万能ーーというと、非常に複雑な構造を想像するが、理論的な検どんな複雑な人工頭脳も、有限であるかぎりチ、ーリング・マシ 討の結果、意外に簡単なものが万能機能を発揮することが証明されンの一種と考えられるから、それとそっくり同じ動作をする万能チ ている。 、ーリング・マシンによって代用可能である。しかもその万能チ、 チ = ーリング・マシンの複雑さは、使用する記号の数と内部状態 ーリング・マシンは、たった三十かそこらの要素積数をもった簡単 の数の積で表現されるが、この積が七十二とか三十とか二十七とかな機械である。 いった、おどろくほどわずかな数ですむ万能チ、ーリング・マシン そこで、そのようなマシンをつくってロポット の頭に収めること 内部状態 円 2

2. SFマガジン 1971年3月号

の宿主の組織と液から自分に似せて他のウイルス分子を作る機構それはつぎのような特徴をそなえたものである。 と、今までに述べてきたこととは思想的にひじようにかけはなれた ことであろうか。私は、これらの過程がその細部にいたるまで同し①かぎりなく大きなテー。フをもっている。 であるとはけっして思わないが、思想的にはひじように類似の現象②有限個のことば ( 記号 ) を使用する。 ③各時点で有限個の記号を読みとる。 であると考えるのである」 ④内部の状態が有限個あって、各瞬間にはどれかひとつの状態 にある。 ロポットは全知全能か ? ⑤ある瞬間に読みとっているものが何であり、 自動機械としてのロポットが、自己組 内部の状態がどうなっているかによって、つぎ 織し、そのままの形で増殖すること の瞬間に何を消し何を書き加えどこを読むかが すなわち自分自身のカで進化すること きまり、さらに内部状態がどうなるかもきまっ は、どうやら以上の考察によって肯 てしまう。 定してよいように思われる。 ( たとえば『図説科学大系』参照 ) さて、では、その能力はどこまで到達 なんのことやらよくわからないかもしれない。め しうるだろうか 現在のコンビュ んどうくさいかたは、図を眺めておいてだけ、いた ータていどなのか、人間どまりなのか、 だきたい。 それとも人間をこえて神に近づくのだろ 四角で囲まれた部分が本体ーーすなわち有限の自 であり、その上部 動機械 ( つまりはロポット ) この問題に関してよくひきあいにださ が限りなく大きなテープである。 れる思考実験的機械がある。 チューリング・マシンとは、この四角が、テープ チューリング・マシンと呼ばれるもの である。 を左右にずらしながら、テー。フの記号を読んだり書 きかえたりし、それによって自分の内部の様子 ( 記 チューリングはイギリスの学者である 憶 ) を変化させてゆくものである。 が、まだ電子計算機が実用化されなかっ た時代に″計算できる″とか″アルゴリズム ( 計算方式 ) ″とかい 四角の部分は有限な自動機械であるから、この機械にどのような う概念を数学的に明確にするために、のちにチューリング・マ / ン能力があるかによって、同じ有限自動機械の一種であるロポットの と呼ばれるようになった有名な仮想的な機械を考えた。 可能性を推測することができる。 本誌のの中にも登場したことがある。 さて、チューリングによれば、″計算できるということの数学 的な定義は、″その仕事をするチューリング・マシンをつくること 0 00 090 0 山Ⅲ以 ll 0 Ⅲ川い川ⅢⅢしⅣ

3. SFマガジン 1971年3月号

によって、宇宙人のマンモス人工頭脳の挑戦に見事うち勝っことが的証明なのたといいうるだろう。 できるーーーというハッビーエンドになる。 誤解されるといけないので、念をおすことにするけれども、この そしてこのようなことを互いにどこまでもくりかえせば、いくら章でのべた万能性とは、あくまでもある限定された範囲内での話で でも能力の高いロポットをつくってゆくことができるであろう。 あって、神のごとき万能性を意味しているのではない。 ロポットの進化にカべはないことになる。 たとえば、簡単な万能チューリング・マシンを実際につくって、 万能た万能だと叫んでみたとしても、コンビュータ業界からはほと 道具をつかうロポット んど相手にされないだろう。テー。フが大変だし、計算ス。ヒードの点 でまったくかなわないからである。 以上はちょっとふしぎな結論のように 思われるかもしれないが、チューリング ロポットの進化に関する結論も、拡大解釈をしす ・マシンが簡単な要素で万能性を発揮で ぎないようにお願いしておきたい。 きるのは、外部のテープをうまく利用し 筆者が主張したかったのは、ロポットにも人間に ているからであるということができる。 まけない発展力が内在しているーーーということであ って、超人的ロポットが簡単にできるだろうという 図にあるテー。フは、人間でいえば、ノ ことではない。 トや書物やフィルムや録音録画装置 物理学の法則は、前章でもふれたように、ロポッ や、その他もろもろの記憶装置に相当し トに対して、それほ・ど甘くはできていないのであ ている。 る。 人間は個人をハダカにしてとりだして それだけを眺めれば、きわめて限られた 能力しかもっていない。しかし、からだ の外側にある道具を利用することによっ て、非常に多くの仕事をすることができ る。 チューリング・マシンは、人間のこのようなゆきかたが、無限の 可能性を秘めていることを、ある角度から数学的に明らかにしてみ せたものだーー・ということもできるだろう。 そして口十 : ットについても、まったく同じことで、それ自身は比 較的簡単でも、外部の道具をうまくつかう能力をもっていれば、ど んな巨大な怪物にも敗れることはないのだーーという、これは数学 0 0 0 0 00 0 円 3

4. SFマガジン 1971年3月号

金星とデートも・ 火星旅行も・・ 頭脳移植も・ スペース・レストランも・ CREDIT CARD 1 ~ 3 - 5 ト 1-8901 実に 75 万メいちばんたくさんのお店で使え、いちばんたくさんのひとカ吏って ' ばたいていのことはできるのですから。現在 JCB 加盟店は 6 万 5 千店。会員 といってもこれは夢のお話ではありません。いまでさえ JCB カードが一枚あれ JCB カードでて OK ! ! ? 永久生命維持薬い レンタ・ロケットも・・ タイム・マシンも・ 月の別荘も・ ~ そトイチ 0 ク いるカードです。現金にかわる JCB カード、 SF ファンこそ持っていただきたいものです。 みなさまのお役に立っ 三和行

5. SFマガジン 1971年3月号

世界 SF 全集 世界で初めての画期的企画 / ロバート・・ハインライン 人形つかい福島正実訳 人間に寄生して血液を吸収し、人間を奴隸化しようと企らむナメクジそっくりの高等宇宙生物。 において最も伝統ある侵略テーマを、まったく新鮮な迫真力をもって使いきった現代の最高作ー 夏への扉福島正実訳 恋人に裏切られ、友人に背かれ、何もかも失って、冷凍睡眠によって幻世紀の未来に送りこまれた発 明家ダニイは、真相をつきとめるためタイムマシンで過去に戻ったーー時間テーマの最高傑作 , ◆次回配本〈 2 月日〉 バルジャベル荒廃 フランケ思考の網 * 第回配本 / 1 月日発売 竹田宏訳 松谷健二訳 松谷健二訳 九七〇円

6. SFマガジン 1971年3月号

彼女は一度、常緑樹の力を見てから、つぶやくように言いまして老けこんだという印象をうけるのです。膚はかさかさと音を出し た。「とすれば、悲しいですわ。彼はスラップステックス映画の観そうな程乾きはて、瞳だけが昔と同じに寂しそうな輝きを放ってい 7 客で、私達がそれを演じてみせている。そんなことでしよう。いやました。 「アキは : : : やはり私を忘れたのではないでしようか。頭の中は航 だわ。声は、どうなんでしよう。聞こえているでしようか」 時機の理論や、詰めこまれた情報ばかりが渦まいていて : : : 」 「きっとかん高い音がするのではないでしようか。周波密度が高く なっていますからね。いや、音は全然聴く事はできませんよ。彼が私は、又始まったのかと思い、難聴をいい事に新聞を読み続けま 外部の音を聞かないですむように航時機の周囲で吸収してしまってした。 いるのです。でないと危険ですからね。彼にとって」 「あなたは、昔、科学的探究心だけで航時機へ乗るのは偽善だとお っしゃいましたね。私もそうだと思います。アキは、本来の意味で 何故、危険なのかという事を説明しようとしたのですが、彼女の 「そうですか」という落胆した返事に遮られると、それでもう何ものタイムマシンが発明される遠未来迄、この航時機に乗っている積 りでしようか」 言えなくなり、又、会話は中断されてしまいました。 私は相変らず黙ったままでした。美亜は、暫く考えこみ、 「真珠かあ」 「やはりタイムマシンなそ発明されませんわね。もし発明されるの 私が思わず呟くと、美亜は、ふふっと悪戯つぼく笑い、テー・フル なら、彼はそれに乗って帰ってきます。私のいる今へ : : : 私を愛し の上の真珠をとりあげて見つめました。 「私も本当にアキを愛していたと言えるのかしら。捨てたのは、私てくれていたならの話ですけど。でも、今まで帰ってこないのは、 私を愛していなかったからではないでしようか。 の方だったかもしれない : : どうしたら、アキが 「もし、そうなら、私は、惨めですわ。 私を愛してくれていたか確かめられるでしようか」 こう書いてくると、とても、数十年前の事とは思えません。まる「さあねえ」 で、二、三年前の出来事だった様な気がするのです。あれから正確 やっと、私は返事をしたのですが複雑な気持でした。他に言いよ うもなく、もう一度「さあねえ」と繰返して考え込む振りをしまし に、どの位の時が流れたものでしようか。 ファイ・フ・オクロック・シャドウと言う表現があります。アキのた。美亜は何時ものようにテー・フルから頬杖を外すと真珠をとり出 ほおにその髭が、うっすらと影を持っ程です。かなり経つのでしよしました。 「私にアキが残したのは、この真珠だけです。もう、私にとって今 う。私も耳が遠くなり、時々、自分ながらふと年令を感じてしまい の望みは、彼の本当の心を知りたいという事だけですわ。私が何を ます。 美亜からは、年令の為老けこむというより、精神的な疲労によっやってもアキには解らないと思うと情なくなります」

7. SFマガジン 1971年3月号

ほんとうは、そんなに簡単なものではない 「瞬時的な実在というものがありうるかし ( 宇野利泰・訳 ) が、少くとも、そのような表現のできそうら ? 」「物体が実在だといい うるには、一 な時間もある・ーーということはいえそう定の時間存続することが条件なんだぜ」 時間が四次元という考えは、いまにして だ。暦についても、まったく同じことがい 「この世界は四次元から成り立っている。 思えばいささか俗つぼいが、いっ読んでも ダイム えそうである。カレンダー付きの時計を眺三次までは空間の範疇に属し、四次が時間面白いところだ。そして、時間は空間から めてみれば、きっと実感が湧くだろう。 なんだ」「たとえば、ここにひとりの男がひき離すことのできない不思議なもので、 じっさいこの両者は、同じところから出 いるとする。この男の生涯を八歳のとき、 ヒトをはじめとしてすべての生物は、空間 発している。つまり、天文学的な外の世界十五歳のとき、十七歳のとき、二十三歳のと同じように時間のなかにも住んでいるー を基準にしてつくられたのだ。星座によるとき等々と、それそれに切断してみるとすーということは確からしい 季節のうつり変り、地球の公転による一年る。これはあきらかに、かれの長い一生の時間のなかに・ : : ・ ? さあ、この表現は や一日、一秒は一九〇〇年一月一日の正午断面なのだ。四次元的存在を、三次元に定正しいか、あるいは、充分だろうか ? ・映 から数えた一執道年の三一五五六九二五・着して表現したものといえるじゃないか」画のフィルムと見くらべながら考えてみよ 九七四七分の一・ : 一説によると、時間を 測る最初の手段となったのは月だという。 ある生体を撮影することになった 月が変化をくりかえすうちに、人間は年な とする。もしが、ほんとうに瞬間的にし 知ってきた。それからヒトは生まれヒトは か存在しなかったとすると、 いくら高感度 死に、一〇年、二〇年とカレンダーの上に のフィルムを使っても写らないだろう。そ 歴史がきざまれていく。 者の場合、は存在しないのと同じだ。 また、ヒトの上には、一歳、二歳と年齢 の もしが一定期間存在すれば、その長さ ・ほくら がつけられていく。だがいったい、 影に比例して、いくコマかのフィルムを撮る からみたとき時間とはなになのか ? それ 撮ことができる。映画自体は二次元のものだ は内部の問題なのか、それとも、あくまで一一〕・ 映が、陰影によってぼくらは一一一次元のものの も外の世界の出来事なのだろうか ? ように知覚するだろう。そして、映写され ・・ウエルズの『タイム・マシン』 顕た画面のなかでの動きによって、時間が経 といえば、大多数のファンがもうお読 過しているのを感じるにちがいない。 みだろうが、そのなかにこんな会話があ < があまり動かないなら、一日に一コ る。少し長くなるから、必要な部分だけを マ、一年に一コマ、というように間隔をあ 書きぬいてみよう。 けてコマ落しで撮影すれば、かならずなに 9 か変化がみられるはずだ。動きがはやすぎ

8. SFマガジン 1971年3月号

ました。『兄さん。兄さん』と叫びながら : ・ : ・思いっきに過ぎない 「こちら側からの連絡法がないからなあ。・ のだけれど、それ程アキの事を思 0 ていたのなら航時機をもう一台「老人が子供の頃、その児は突然行方不明になったのです。老人の 兄は氷河の割目に落込んで氷詰めになり、肉体も腐敗する事なく凍 作って乗ってったらどうだったのだろう」 「それは、私も昔、考えた事があるのです。でも、何となく彼は、結してしまい、数十年後の思わぬ再会となったのです。丁度私の場 合もそうでしようか」 タイムマシンで帰って来るような気がしましたし、私がそのアイデ 美亜がそんな話を、自嘲的に語るものですから、私も皮肉な気分 ィアを思いついた時はもう私の方が年上になっていたのです」 になり、ロ笛でサンディ・デニイの『 WHO KNOWS WHERE 「それでは仕方ないねえ」 「彼が好きだ 0 たアポリネールの詩の一節を時々ふと思い出したり THE TIMEGOES? 』なそを吹き、アキの方を横目でちらりと見 たりするわけです。アキといったら例の虚ろな眼差しで凍りついた するのです。 ままなのですけれど。 『日も暮れよ鐘も鳴れ、 ですが、本心、彼を見ていて考えてしまうのです。時の流れとい 月日は流れ私は残る : ・・ : 』という : うものは総てを変えるものだなあと。実際、この部屋にしろ、変っ 『ミラボ 1 橋』だったかしら」 私は美亜の話を聞くともなしに頷き、新聞を読み返し始めましていないの彼、アキだけなのです。航時機の周囲の外壁にあたる金 属の部分さえも、最初の頃の光沢が消え去っていました。ワックス 「彼は、もう私の事を忘れているかもしれません。肉体的時間、新を使えばある程度の光沢は戻るのでしようが、手入れする者などい 陳体謝だけが遅くな 0 て、精神的、感覚的な時間経過は外部の私達る筈がありません。今、この航時機計画を記憶している人が、果し とそう変らないとしたら、もう私の事等、忘れてしまっているのでて何人いるでしようか。 もっとも、興味本位で、ふらありとここへ訪れる人が全然いない はないでしようか」 \ 2 3 0 彼女も老衰したなと感じました。何故って、肉体的時間が遅くな っているのですから、当然、脳も肉体の一部である以上、思考時間 ' 気楼の戦士 もそれに比例するではありませんか。馬鹿げていると思いました 気楼の中の古代世界に飛びこんだ探険家の運命は ? : 、私はその考えを口にしませんでした。その時、彼女はかなり饒 舌になっていたようです。 \ 2 0 0 マレイ・ラインスター 「北欧の話です。昔、氷河の間から男の子の死体が発見されたんで 」の「・青い世界の怪物 す。身許を調べても、行方不明の子供なそ心当りがなく、皆が調べ 紺碧の大海淵に果くうの生物を求めてョットは進む ていたのですが、一人の老人が、死体を見た途端、わっと泣き伏し

9. SFマガジン 1971年3月号

売れゆきが落ちているという点では、 からぬけたすと、床に並んだ・ ( ケツの一つからの請求書、金三千。ホンド也。弁護士か を新しい甬漏り個所の真下にすらし、ネコらの手紙。電話会社からの最後通牒。大しファンタスティックも同じたが、テッ ホワイトの一日はこれに比べれば、また天 のごはんをつくるため、お・ほっかない足でたものはない。 電話が鳴る。執筆者の一人だ。原稿料を国だ ) 階下へとおりる。 やがて二階へ戻り、彼の借りている部屋よこせという。編集者は、こう答える。直編集室へと引きかえす途中、ビルのむか いに停まっている・ハンに気がつく。先月号 の隣りにある″編集室にはいる。コーン接こちらへ来ればわたすが、来ないと、金 ・ワールズの売れ残りを積んでい フレークを食べながら、きのう、自分でやは届かないかもしれない。なにしろ担当者のニ、ー ンの連転手に手を借し る。編集者は、・ハ が、忘れつ。ほい人間なので。 った活字組みに目を通す。それに使った— て、雑誌を廊下に運びこむ。廊下は倉庫の ヌード雑誌の仕事がかたづく。これで、 肥植 ~ 子機は、二週間前に借りてきたも ・ワールズの山 マシンの借り賃が払える。さて、つ代用で、売れ残ったニュー のた。 ・ワールズの仕事。植 ル・フレンドが雨漏ぎはニュ 寝室では、彼のガー りの音も耳にはいらないらしく、まだ眠り字をこっちでやってしまえば、そ こけている。編集者は舌打ちし、植字機にれだけ経費も安くあがる。そんな ことを考えながら、六千語の原稿 なかい、その日の仕事をはじめる。 ″ロレイン・ド・ラ・ルーは、テニスの名を打ちはしめる。 手。きようも彼女はラケットを持ち、四角そのころには、編集者のガール ・フレンドもべッドから出て、編 しコートをとびまわる。このかわい子ちゃ ・ドレスの下に、どんな集室の下の部屋で仕事をはじめて んのミニ・テニス いる。定期購読の受付けと宣伝 が隠れているか : 曲線をえがくコート が、彼女の仕事だ。 これは、テニス・ドレスを脱いだヌード 美人の写真に添える説明で、あるスード雑昼休み。編集者は、二軒隣りの 誌から引受けてや「ている彼のアル・ ( イトカフ = におもむく。。クな食い物、、 " ′を攀 ・ワールズの力は出ないが、とにかく近くて便利 の一つだ。写真は、ニュー ト用写真のゲラ刷りといっしょに、床になのだ。彼はファンタスティック ちらばっている。うつかりまちがえそうにの最新号を読みだす。テッド・ホ ワイトが、編集者の一日をエディ なることも、ときたまある。 トリアルのページに書いている。 二時間後、彼はその日の郵使をとりに階 下へおりる。印刷会社からの請求書、金二編集者は笑いすぎて、ロに入れた 百三十ポンド也。倒産した、前の印刷会社ものをふきだしそうになる。 ( 注 舞台上であぐらをかく星氏とメリル女史 93

10. SFマガジン 1971年3月号

は、〈フでは八フィート の高さになってい集者は四軒隣りの友人の家に行き、乳母車に気がつく。上着を着ると、八プロックは る。ただしこのビルを訪れる人びとのためを借りると、封筒に入れた五百部あまりのなれたところに住んでいる友人を訪れる。 に、十八インチほどの隙間はあけられてい ・ワールズを積んで、半マイルほど貧乏写真家で、いつも金にこまっているの る。 離れた郵便局へむかう。 で、スズメの涙ほどの稿料でもよろこんで 二階に戻ると、デザイン・テープルにむ そのころには、あたりは暗くなってい やってくれるのだ。編集者と写真家は、午 、刀し ・ワールズのレイアウト用紙る。彼は煮豆とチーズとサーディンを買前一時まで写真をひねくりまわす。 をどかし、アル・ハイトをはじめる。ある実 い、編集室でそれを食べながらゲラ刷りを オートぶイをとばして帰ってくると、ガ 用書のジャケット・デザインだ。 校正する。 1 ル・フレンドも、友人の家の留守番子も ほどなく階下におり、オ ートバイに乗っ ある研究所での昼間の勤めを終え、デザりをして帰ってきたところ。「いっ寝るの て、できあがったジャケット・デザインをイナーがやってくる。編集者は活字組みを ? 」と彼女がきく。「寝ないよ」と彼は答 出版社に届けにいく。 続け、デザイナーはデザインをはじめる。 える。 戻ると、電話が鳴っている。下にいるガ が、そこで来月号の目次を記した貴重な紙 マシンにむかうが、カーポン・リ ール・フレンドからだ。今は何時なのか ? が見あたらないのに気づく。三十分かけてポンが切れていることに気がつく。これで 彼は時間を教えてやる。 捜しまわった末、煮豆の罐の下に落ちてい はどうしようもない。 トイレの水がまたあふれそうになってい た問題の紙を発見する。 ・ワールズの表紙デザインをやる る。彼は便器を蹴とばす。 イラストがまだ半分もできていない、とことにする。四時にようやくかたづき、べ プレーヤーに、新しいレコードをかけデザイナーが指摘する。では、自分でやっ ッドにはいる。 てみないか、と編集者は提案する。デザイ だが雨漏りの音が耳について、どうして 電話が鳴る。下にいるガール・フレンドナーは、そうだ、そうしようと いい、イラも眠れない : ・ : こ からで、その曲は嫌いだからやめてまし、 ~ しストをかきはじめる。 という話。ス。ヒーカーが、下の部屋まで通三十二ページの雑誌なのに、三十五ペー ・ワールズ復刊の動きは、今でも じているのだ。 ジ分の原稿があるぞ、とデザイナーがしし あるようだが、少なくともイギリスではも ドアベルが鳴る。窓の外を見る。会いただす。編集者は、考えたくないので答えな う絶望らしい くない客なので、居留守をきめこむ。だ イギリスでは、とことわったのは、廃刊 が、その招かれざる客が、雨に漏れたドアデザイナーが帰宅する。編集者はネコに 直前プラット が、編集長の地位をラングド ベルから二四〇ポルトの電気ショックを受 ごはんをやり、目次のページの活字組みをン・ジョーンズに譲りわたしてアメリカに ける情景はあやまたず見届ける。 終え、表紙のデザインをはじめる。表紙はわたり、ニュー ・ワールズ身売りの交渉を 電話が鳴る。今月号の定期購読分を郵便いつも彼の担当だ。やがて彼は、表紙の写はじめたからだ。昨年九月の情報では、 , 局へ運んでくれ、とガール・フレンド。編真がこのままでは使いものにならないこと ークリイ・・フックスから、マイクル・ムー べイピイシティング