やス。 ( イ物に力を人れて、からは遠ざかってい標がまだきまっていない。やがて、大統領の決定が ここでちょっとお知らせ。 たのです。もっとも、根がファン上がりの作家です通達される。目標は二年後の十一月六日ーー夫統領 あなたはご存じでしようか ? ジョン・カーター がはじめて火星に行った日を ? ・ ( ロウズが亡くなから、界から遠ざかったのではないらしく、去選挙の直後。そう、大統領の目的は、自分が再選さ ト・ファン・ライター ( ! ) れるかどうかを知ることなのだ : った日を ? 緑色火星人が地球に出現した日を ? 年の大会ではベス この作品の新しさは、時間旅行を、しよせん政治 ーゴー賞をもらっています。とにかく、 ディックののように現実と虚構がユニークに交としてヒ、 錯した『ダイアリー』は、七一年のあなたにふ『超能力エージェント』以来のタッカー・ファンで的な道具にしかなりえないビッグ・。フロジェクトと さわしい日記帳です。売切れ近し。くわしくは別頁ある・ほくは、その新作『静かな太陽の年』 "Year して描いたことでしよう。地下のタイム・マシンで 広告を。 。 ( the Quiet sun" の入荷を心待ちにしていたの一人すっ未来に送り出された探測者たちは、外の世 ですが、その期待は裏切られませんでした。この長界へ出る前に、ますいろいろの危険防止手段を経な タッカ , ーはその。フロセスを克明に 昨年のアメリカ界の話題の一つは、『超能力エー篇は、タイム・トラベルという古い革袋に新しい酒ければならない。 ジェント』や『時の支配者』『アメリカ減亡』などを盛ることに成功した、すぐれた未来警告小説でし描くことでサスペンスを盛り上げ、未来を垣間見る ことの畏怖といったものを感じさせるのに成功して でわが国のファンにもおなじみのべテラン作家ウィた ルスン・タッカ 1 が、ひさびさに沈黙を破って、新一九七八年、アメリカの黒人暴動はますます激化います。おなじ時間旅行を扱うでも、過去への 作長篇を発表したことでした。ここ数年はミステリし、ベトナム戦争はますます拡大し、さらに中国に旅と未来への旅とは、本質的にまったく違うジャン 接近をはじめたカナダとの関係が険悪にルではないかーーーそんなことを感じさせるで なって、国境紛争も起こっている。こうす。死海沿岸で発掘された、黙示録の原型らしい宗 ・タッカー作「静かな太陽の年」 した内憂外患の中で、政府は標準局の未教的幻想譚なるものが、物語の中の物語という形で 来探測の一環として、時間転位計画を進紹介されて、この小説に奥行きを与えていることも めていた。シカゴ南方のエルウッドに建つけ加えておきましよう。題名の『静かな太陽の 設された十キロ平方におよぶ巨大な基地年』は、その予言書に描かれた終末のあとに訪れる では、すでにタイム・マシンの無人テス再生の年を意味します。一九八〇年秋の地上に出た トが終わり、選ばれた未来探測者ーーモチェイニーは、打合せ通り用意されていた車で、も レスビー陸軍少佐、サルタス海軍少佐、よりの町ジョリエットに向かいます。 それに民間人の社会統計学者チェイニー彼の任務はそこの図書館で、必要な資料をコビー の三人ーーが実験開始の日を待っていすることだけです。町が静まりかえり、州兵がパト る。実験の最終目標は二〇〇〇年なのだロールしていることを除いて、地上の様子に特に変 が、その前に行なわれる中間テストの目一わったことはありません。彼は無事に任務を終えて ー 0 を・ - つま、第 : を 3 口を F 心月 0 、 SP こ C 9 齦読 7 学 THE YEAR OFTHE QUIET SUN by WILSON TUCKER 0 0 ャ
S F でてくたあ 遅ればせながら年度の界回顧をーーー この大半は、 2 年よりも前に雑誌に発表されとくに新しい発見 最大の話題は、なんといっても国際シたものなのだから、実作活動においては不作はないが、初心者 司 向けの常識的な展 ンポジウムの成功だろう。米ソ英加日五カ国の年だったというべきだろう。 リ・ハイバル作品ベスト 5 は、香山滋『海鰻望を得るのには役 の第一線作家が夏の一週間を共にして確かめ ョ 荘奇談』、蘭郁一一郎『地底大陸』、野村胡堂立つ。 あったことは、サイエンス・フィクションか 『二万年前』、海野十三『火星兵団』、新青白井喬一一『怪建 らスベキュレイティヴ・フィクションへ、と ク石 年傑作選第 2 巻『怪奇幻想篇』。 築十二段返し』 いうの変貌を、主体的に受けとめ、 純文学畑の作品では、埴谷雄高『闇の中の ( 桃源社・ 450 本 の手法を娯楽用の″楽器″から文明批判の黒い馬』が圧巻だった。 円 ) は、″時代 当 の古典″という ″武器″として磨きあげていこう、とするお 日一 ことしに入ってから、国産品の収穫は皆無謳い文句でリイ 互いの姿勢たった。「正直いって、日本の バルした短篇集 である。 のレベルがこんなに高いとは思っていなか 昨年暮れに刊行された異色作に、吉村昌光で、江戸の建築師 ったよ。日本以外の国で、この会議が開かれ が行方不明の娘をさがすうち奇怪な屋敷の秘 『海の時間』 ( 東洋経済新報社・ 8 0 0 円 ) てたら、これほど収穫があったかどうか、疑 がある。″構想十余年、科学解説の第一人者密に気がつく表題作をはじめ、日本最初の油 問たね」とプライアン・オールティスは述懐 が科学技術最後のタブー「不老不死」の世界煙使用の木造戦艦の製作者にまつわる秘話 した。たしかに日本のは、問題意識の強にあえてメスを入れた空前のドラマ″という「全土買占の陰謀」、江戸時代の怪忍者の謎を さ、視野の広さ、文学性の追究などの点ではキャッチ・フレーズがついている。物語は、あばく「白雷太郎の館」、日本奇術の元祖の受 世界の最尖端を歩んでいるけれども、歴史の一九七一年に人工冬眠に入った青年科学者を難噺「江戸天舞教の怪殿」の四篇を集めてあ 若さからくる底の浅さは否めず、さらに言葉三〇年後の二〇〇一年に解眠させる手術のシる。いずれも一九二〇年代に『講談雑誌』に ーンから始まる。この第一章は、なかなか迫発表された、『富士に立っ影』の作者の初期 の壁をどう突破するか、という課題がある。 力があり、一読の価値がある。冬眠から醒めの伝奇譚群である。味という点では「白 シンポジウムは、そうした課題を、改めて・ほ 月笠原の海面研究所で活躍する雷太郎の館」を採る。 た主人公は、、 くらに突きつけた。なお会議の具体的な収穫 ことになり、その活躍をとおして、生命開《現代の推理小説》第 3 巻『ロマン派の饗 のひとっとして、フレデリ , ク・ポ ! ルやジ発、大脳管理、公害の未来、海洋開発、総合宴』 ( 立風書房・ 780 円 ) は、戦後の " 変 ュディス・メリルの斡旋でバランタイン・プ科学、時間開発などのテーマが展開される。格″ミステリーの佳作を集めたアンソロジー ックスから日本短篇集が刊行される見通『これらは、夢物語でもなければ、でもだが、香山滋『海鰻荘綺談』三橋一夫『湯河 し ( ・ O ・クラ 1 クやオールディスが序文をない。最新の現代科学を駆使した予測であ原綺遊』妹尾アキ夫『リラの香のする手紙』 り、近い将来に約東されている未来図の一端平井呈一『真夜中の檻』などファンにも 書く予定 ) であることを、報告しておきたい。 である」という惹句どおりのカ作でたしかに楽しめる作品が数点入っている。 作品ベスト 5 は ( ドラマづくりの素人っはさに関する限り、 真鍋博『超発明ーー想像刀への挑戦』 ( 講 沼正三『家畜人ャプー』 談社・ 4 9 0 円 ) は、マニアには見逃せ これはではない ) 、注目に値いする。 公瀬正『マイナス・ゼロ』 なお雑誌『現代の探検』 3 号の特集〈未来ない″イラストによる超未来からの招待状″ 小松左京『継ぐのは誰か ? 』 医学への挑戦〉を、この作品と並行して読むである。四次元階段、双鼻鏡、光線ョット、 星新一『ほら男爵現代の冒険』 と興味深い。渥美和彦「ライフサイエンスの食用書籍、移動眼球、ミニ地球、時間感覚変 筒井康隆『馬は土曜に蒼ざめる』 ( 短篇集 ) 未来」工藤達之「超生人間製造」次田皓「遺更装置、発明機など、百二十九の″夢の発 明″が満載されていて、まことに楽しい。 といったところで、意外に淋しい。しかも伝子改造への挑戦」などが収録されており、
この章で、一年間おっきあいいただいたこのコラムもおしまいと ・ : 成長が進むにつれて、成長しつつある物体は、遅なる。前章あたりから、内容がすこしかたくるしくなってしまった かれ早かれ、成長にとってますます不適当な条件の下にけれども、ロポット工学としては、どうしても述べておかなけ おかれるようになっていく。もしそうでないとすれば、 ればならないことばかりなので、もうひと辛抱していただきたい。 宇宙のなかには、いっかは、たった一つだけの物体しか この章では、まず、ロポットが未来において、いわゆる″人間ら ありえないということになるだろう。そして少なくともしさ″をほんとうに持ちうるかどうかーーーっまり創造力とか意識と その時点で、もしも宇宙自体が無限に成長していくこと か感情とかいったものを人間にまけずに身につけうるかどうか ができないものとすれば、この物体の成長は終わりを告 について大胆な仮説をのべ、ついで、遠い遠い未来におけるロポッ げざるを得ないであろう : トの存在について、想いをめぐらしてみることにしよう。 ・・ポールディング『経済学を超えて』公文 俊平訳 ) まず、創造の問題からはいることにする。 人間とロポットの差についての議論は、人によってその視点がか ロポットは創造するー けはなれていることが多いので、よほど注意しないと、無意味な論 0 0 0 0 連載科学コラム LL ロポット工学入門 0 0 ハリ【凵 第十二章遠い遠い未来に・ 〈最終回〉 石原藤夫 イラスト緒方健ニ 00000 000000 ーⅡⅢいネ 卩Ⅲ鬮い川ⅢⅢ 8 ・ 6
工業製品を大量生産する自動機械たちに、に、公害の原困とのち、現実の世界〈と顔をのそかせはじめた " 0 ポ ' ト。を、自分一 なって、人間の寿命をちちめることに役立っている。 たちの味方につけようと、必死になっているところなのである。 この十数年間は、ロポットの歴史における″第二の反逆の時代″ ファシとしてロポットの問題を考える場合にも、この現実に と呼ぶことができるだろう。 まったく限をつぶることは危険であろう。たとえ興味の対象が、架 さて、現在はどうであろうか ? 空の異次元世界や遠い未来にあるものとしても・ : ロポットと人間の関係を奉 仕と反逆のふたつに分けると 神への段階 すると、現在はそのどちらに このように現状への認識ができたとして、さいご 属する時代だといえるだろう に、遠い遠い未来におけるロポットについて、すこ し考えてみることにしよう。 ほんとうのことは、もうす これまでに大胆に考察してきたように、原理的に こし時間がたってみないとわ は、人間にでぎてロポットにでぎないことは、あり からないだろう。 えないように思われる。 しかしすくなくとも、人間 そして戸ポットは、人間をこえて、人間よりもは たちがロポットの重要さと恐 やく、進化しつづける能力を球している。しかし ろしさに気づぎ、これを自分 それはまた、はっきりとした限界をもっているはず たちの味方につけようと努力 である。 しつつある時代だ、ーー・という このような認の上にたっロポットの未来像は、 ことだけま、、 をえるような気 これまでにいくたびとなく描かれてきた、人間がっ がする。 くりだしたロポットの人間社会への反逆や、特定の 省力化用の産業ロポットや 行動しかとることのできないロポットをう人間の 海洋ロポットの開発がさかん 悲喜劇とは、まったく異なったパターンをとる可能 になってきたのは、ロポット 性がつよい の有用性を一般の人々が認識 人間に対する反逆や奉仕とは、まったく次元のち しはじめたからである。 がった問題がうかびあがってくるかもしれない。 そして一方、自動システムのデザインの研究が強調されているの筆者のドグマかもしれないが、今後のロポットのひとつの重 は、自動機械は野放しにしておくと何をしでかすかわからない 要な方向は、神の座にせまる、また。はせまりえないはポットたちの と人々が気づきはじめたからである。 宇宙そのものとの葛藤を、時空の根源にある性質に基礎をおいて描 人々はいま、物語の世界から、奉仕と反逆の歴史をくりかえしたぎだすことにあるように思われる。 00 4 7
◆◆◆最新刊 点親殺し , 井聖 ア、ロイド・テーマを書いては右に出る者ない日本界のホープ平井和正の最新集 ! 予価一一一八〇円 6 2 ロ ート・ンルウアーヾ ーグ佐藤高子訳 夜の翼 とファンタジイの中間の新しい領域を開拓した、一九六九年度のヒ = ーゴー賞受賞作 ! 定価 = 一八〇円 ・アンダースン船戸牧子訳 たそがれの地球 人類が未来に希望を求めて過酷な運命と闘う姿を、雄大に、シリアスに謳い上げたカ作 ! 定価一一一八〇円 —l ・スプレイグ・ディ・キャンプ岡部宏之訳 。、、闇よ落ちるなかれ 現代のローマから古代ローマに飛びこんだ時間旅行者の波乱万丈の冒険 , 古典名作、待望の初邦訳 ! 定価三八〇円 最新の科学知識を駆使して、未来に生きる人類の姿をリアリスティックに描いた珠玉の短篇集 ! 定価 = 一九〇円 ビアズ・アンソニイ峯岸久訳 チい」第繩の戦士 核戦争後の人類は荒廃の中から復活し、奇妙な文化を創り上げた : : : 五千ドル長篇賞受賞作 ! 定価三六〇円 〕カ 近刊 ( 仮題 ) 松谷健一一訳 クルト・ラスウィッン 両惑星物語 マイケル・ムアコック編浅倉久志・伊藤典夫共訳 ニューワールズ傑作選 フィリップ・・ディック 小尾芙佐訳 逆まわりの世界
「『時間を遡った男がいると考えてみたまえ。哲学一に宇宙植民を開始し、一部の人間に超能力が発見さこう書いてくると、まるで山田風太郎の集団忍者 的には、全世界の未来が彼にとって既知のものだれた時代だと思ってください。その少数の超能力者小説そっくりですが、この超能力者の中にプレコ といえる。 いったい、彼はどう行動すればよいのたちは、、 ℃くつかの代理店に所属して、それそれのグ、つまり予知能力者が含まれているのが見逃せま しつ雨が降るかも、どのように国々が才能を生かした仕事に貸し出されている。ちょっとせん。。フレコグは、ディックが執拗に追いつづけて 争うかも、細君がどんなタ食をこしらえるかも知っ考えると、これらの超能力者が普通人の世界を乗取いる偶然性と決定論の衝突というテーマには欠かせ ている。もしきみが自由意志の信奉者なら、そんなってしまいそうなものですが、そこは生態学的パラない小道具で、ほかの作品にもしばしば登場してお 男に人生がありうると思うかね ? 』」 ンスとでもいうのか、中和者ーーっまりの場り、この長篇でもふしぎなム 1 ドを生み出していま ーー・・・コン。フトン『時間量子』を中和する反超能力とでもいうべきものを備えた人す。 が、それと同数ぐらい存在して、彼らに対抗さて、プレコグがいる以上、それに対抗する中和 今月とりあげる最初の作品は、フィリツ。フ・・している。こうして、三者三すくみの徴妙な均衡が者ももちろん存在するーー・だが彼らには一つの弱点 があります。。フレコグは、たくさんの未来の中から ディックの『ュービック』 Ub 一 k ・ご 969 ( デル・・フ保たれているわけです。 ックス ) です。ディックについては、いまさら説ニ、ーヨークのランシター協会は、この中和者をもっとも確実度の高い未来を選ぶ能力を持った人間 明の必要はないでしよう。最近では「日々の現実の提供する大手代理店ですが、最近急に仕事が不況にですが、いったん選択が終われば反プレコグにはな 移ろいやすい表面に隠れた、不変な不可視の宇宙へなった。いわば敵対関係にあるホリス才能集団所属にもできない。その選択の場に居合わせて、すべて のより深い認識を得るため「幻覚剤を体験しつつあのテレバスたちが、ごっそりと地球上から姿を消しの未来がおなじような確実度に見えるよう妨害する る」この作家の書いたものの中でも、もっともサイたので、すっかり需要が減ったからです。そこへ、しかない。だがそうしたとたん、相手のプレコグに キデリックといわれる新作です。 月にいる大企業家スタントン・ミックからの依頼が彼の存在を気づかれてしまう。 ディックの長篇を読むときにいつも障碍になるの持ちこまれます。彼の研究所ではいま革命的な宇宙だが幸い、出発の直前に、ランシターのスカウト は、最初の二、三章のとつつきにくさ。設定が奇抜船推進装置を開発しているのだが、その所員の中にがすばらしいタレントを発掘してきました。・ ( ット なところへ、なんの予備説明もなく物語がはじまる何人かのテレバスが産業スパイとしてまぎれこんで・コンリーというその娘は、過去を変える能力を持 ので、しばらくは五里霧中です。だが、そこは辛抱いることがわかった。ついては機密保持のため、そっているのです。幼い頃、彼女は両親のだいじにし で、いったん彼の奇怪な世界へはいりこんでしまえれに対抗できるだけの中和者を、すぐに月へ派遣していた陶器を割ったことがある。両親はプレコグだ ば、小刻みに明かされていく設定のディテールが逆てくれないだろうか、というのです。地球から姿をつたので、もちろんその陶器が割れる一週間前にそ に興味をそそるのですが、紹介ではそんな悠長なこ消したホリス社のテレバスたちの行先はこれだったれを予知して、先に彼女にお仕置きを加えた。くや ともやっておられない。手早く種を割ってしまうこのかと気づいたランシターは、さっそく手すきの中しくてならない彼女はその陶器が元通りになるよう とにします。 和者からよりぬきの十人を集めて、月へ行くことを念じつづけ、そしてある日ついに成功した。しかも 両親は、時間線が変わったことにまったく気づかな この物語の舞台である一九九一一年は、人類がすでひきうけます。 冫倉久 5 2
「そういったことも充分考えられます。な・せならその男にとって、 「そうれ見ろ」と、おれは叫んだ。「すでにあちこちにがたのきて このわたしはひとつの幻であり、わたしにとってその男が幻であっ いるおれよりも、さらに数十年ながく生きたと称する老人が、そん たかもしれないからです。また、・ とちらも幻ではなくて正子が両者なに早く起きあがれるものか」 を幻的存在に変える媒体的幻であったのかもしれません」 「では、あんたは」彼はおれと同じ服の汚れを手ではらいながらい 「いったいあなたは、何がいいたいのですか」 った。「ここがタイム・マシンもしくは過去や未来へ行くことので 「何も言いたくないのです。ただ、三人とも幻ではなく、じつは時きる場所であることも否定するのか」 間というものが幻なのかもしれないと思っているだけです」 「それは否定しない。なぜならあんたは、おれだからだ」 「もう、やめろ」おれは老人を睨みつけ、凄んでみせた。「あんたそういうなりおれは彼にとびかかり、白髪をむしりと 0 た。鬘と はムード的、お涙頂戴的、メランコリイ的、ノスタルジア大河ゴム製の仮面の下からは、おれの顔があらわれた。彼は癇癪持ちの 4 説的センチメンタリズムでもって、おれを胡麻化そうとしているおれと同一人物でありながら、不思議に抵抗せず、されるままにな のだ。おれはそういう話には飽きあきしているのだ。時間というと ってじっとおれの顔を、哀れみのこもった表情で見つめていた。 すぐに感傷的にな 0 て怨念とか郷愁とか輪廻とかに結びつける老人「よく、わか 0 たね」やがて彼はい「た。「たしかにおれは、あん 趣味少女趣味アンダー・グランド趣味には、おれはもう食傷してい たを否定したよ。だって、同し人間が同一の現在に存在することは るのだ。それに第一、あんたは正子と共に数十年もいっしょに暮し許されないんだからね」 たりはしなかった。この時計店の内部をかくの如く荒廃させ、いか なるほど、と、おれは思い、ではやはりここは、タイム・マシン にも数十年の年月の経過があったかの如くおれに信じこませようともしくは過去や未来へ行くことのできる場所であったのかと思い しても無駄で、そんなトリックはとうの昔におれは見破っている。 ではもしかすると、おれは存在を許されぬ存在であり、したがって あの眼玉の看板の古ぼけかたにしたって、せいぜい数年程度の古・ほすぐにでも存在することをやめなければならぬ存在であるのかもし けかたで、ほんとに数十年経過しているのだとしたら形の見分けもれないな、つまり、消えなければいけないのかもしれないと思っ つかぬ程度に古ぼけ何の看板かわからぬ程度に変色している筈なのた。 だ。あんたは老人ではない。老人のふりをし、おれを絶望させ、自そして、そう思うと同時におれは消えた。 分の生命力の強さと、正子と共通の体験をおれよりも多くしてきた ( 以下次号 ) ことを誇示し、そしてとどのつまりはおれの存在を否定し、おれに付記・電子指輪のくだりは筒井康隆編『星新一言行録』によるもの もそれを認めさせようとしているだけなのだ。その証拠に です。 ( 作者 ) おれは彼を突きとばした。彼は床の上に転がったが、すぐに老人 とは思えない身軽さで起きあがった。
世界計全集 世界で初めての画期的企画 / . バルジャベル 荒廃 マルティン・フリック ーティナ ヘルベルト・フランケ 五一一一隻からなる大宇宙船団が水の豊富な惑 星で未知の知性体ーー海綿のようにゆれ動く : ドイツ cn 界の 脳の標本ーーーを発見した : 思考の網 第一人者フランケの本格 c-n ー松谷健ニ訳 ◆次回配本〈 3 月日〉 ポール & コーンプルース / アンダースン / ファーマー * 第四回配本 / 第巻 / 2 月日発売九七〇円 西暦二〇五二年のフランスが、南米黒人国家 のミサイル攻撃によって無残に破壊され、荒 廃していく姿を淡々たる筆致で描き切った、 現代フランスの最高傑作ー竹田宏訳 ある異星人の作略によって未来の銀河系字宙 に送りこまれた美少女フィアメッタの奇妙き てれつな宇宙冒険旅行ーー濃密なロマンの香 高い現代ドイツ c-n の異色作 ! 松谷健ニ訳
「せめて土産に運動中の電子をひとっ貰ったらどうです。ぐるぐるるうちには、必ずやどこかに破れめ、綻びが発見でき、おれはそこ 飛びまわっているから、女の子にやれば指輪の代りになります」 から脱出することができる筈なのだ。 「そんなものは、し 、りません」 少し眼の前が明かるくなり、おれの足ば軽くなり、心が浮きうき 正確な時間というものがどこにも存在しないとわかった以上、時しはじめた。おれは歩き続けた。行く先はもちろん、自我町六丁目 間による束縛も、時間流の秩序の乱れもあり得ないし、そこからのの井戸時計店である。 脱出口もあるわけがなかった。おれは肩を落して『捕縛大学』を出秩序ある時間流というものがないことは、すでにはっきりしたわ けだから、残すところはあの井戸時計店という巨大なるタイム・マ 深夜の町をさまよいながら、おれは考え続けた。どうやらおれのシンがおれを過去だか未来・だかへ吹っとばしたという可能性だけで 誤りは、自然科学上の時間だけを追い求めたことにあるらしい。人ある。それともうひとつ、量子力学と原子構造理論が証明したとか 間の作り出した時間だけを追い求めたことにあるらしい。そんなも称している多元宇宙理論が正しいものとすれば、タイム・マシンを のが不完全であることは最初からわかったことではなかっただろう いじりまわしたために別の宇宙へ吹きとばされてきたという可能性 か。もし自然科学的に確立された時間というものが存在すれば、そも残るのである。むろん、タイム・マシンといったところで必ずし の歪みは深く穿鑿しなくてもすぐ発見できた筈だ。自然科学上の時も時間旅行機械のことではない。ある意味でおれは、時計だってタ 間がもともと不完全であったればこそ、いつまで穿鑿しても乱れがイム・マシンだと思っている。 発見できなかったのである。 大通りから横道へ入れば自我町六丁目、そこは以前おれが、誘拐 しかし、自然科学上の時間が探求されはじめる以前にも、時間とされた正子の身代金を払うためにやってきた時と同様、不可思議極 いうものはあった筈である。だいいち、こうしておれがネオンとシまりない反動形成的静寂空間の中にあった。しかしそれは、周囲が ・ウインドウの照明を浴びながら深夜の町をさまよい歩いてい そもそも深夜であるために以前ほど都会の騒音は響いてこず、した る現在というものがあり、その現実こそが時間のもとに立つものでがってそこから隔絶されたという感じは以前ほど強くなかった。だ ある以上、やはり時間というものはある筈ではないか。現在があれがあくまでおれにとってのその場所は、非現実的に見える他の場所 ば過去もあり未来もあり、生減流転があり、主観的にはおれの生きとはやや異っていて、ほんの幾分かはなまなましさを感じることの できる場所だったのである。 てきた時間の体験があり、さらには超時間的な永遠の観念もある。 そうだ。時間を量的に測定できないからといって、時間がないわけでかい眼の形をした突出し看板が、古びて変色し、両端の鎖の片 、つ、時間はあるの方がちぎれ、落ちかけていた。おれが置時計をぶつけて叩き割った ではないのだ。自然科学上の時間以外に、しーし だ。この世の中にはさまざまな種類の時間がいつばいなのだ。そうガラス・・ドアは今もそのまま、粉微塵になって入口のあたりに散乱 し、街燈の明りを反射させて暗い路上に、・暗い店内の床の上に、き いった各種の時間をいじりまわし、こねまわし、ほじくり返してい
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