星 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1972年2月号
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1. SFマガジン 1972年2月号

とではないが、あまり科学的信憑性などにこだわう。 ( できれば、パクロフスキーの作品でもお見ている : : : 異世界へ出かけていっても、人間は、 らず ( もともとが仮説に信憑性があるはずがなせしたいのだがかれにも宇宙生物を描いた作品が地球的な物の見方で考えるだろう。だから、この い ) 、自由奔放に空想力を働かせて描きまくってない。宇宙生物を描くことはソ連ではタブーなん惑星のことも太陽系の地球の物質である琥珀にな そらえ、同じような概念で人間は扱うことになる くれたらどんなにか楽しい作品が生れるだろうにだろうか ? ) ・ : というわけで、この惑星は、地球の琥珀から と、残念でしかたがない。したがって、ここで地球という惑星で百万年も生き続けてきた人類 は、宇宙生物もしくは地球外生命についての作品は、当然といえば当然かもしれないが、地球的な連想して、その色を基調に一連の作品群に仕上げ は紹介するものがないのはお分りいただけると思範疇で物事を見るという習慣が身についてしまつられている。『琥珀星の空間』、『琥珀星の大洋』、 『琥珀星の波打ち際』、『海狭』、『琥珀星の へファンタジック・プレン〉〈星団を背景にした高度に発達した文明〉ゲ・バクロフてキー 珊瑚』などがそれに当る。特に『珊瑚礁』 は、その色彩の徴妙なことですぐれてい 1- ラック 作品点数としてはわずか二点だが、暗黒 星を題材にした作品がある。科学者は、宇 宿進化の過程で、核エネルギーが使い尽さ れ、スタビリティを失った星が冷却し、急 激に直径十数キロメートルぐらいまでに縮 むことがあり得ると指摘している。そうな カタストロフ れば、その星には破局か、あるいは物理 グラビライツ物ナル・コラ・フス 学者がいうところの「重力虚脱」が やってくる。後者であれば、いわゆる「虚 脱星」と呼ばれる星が生れる。この星は、 重力場があまりにも大きく、光も出なくな る。ということは目に見えない「暗黒」星 である。その種の星の周囲には、極めて大 きな重力場が生じ、この絵 ( 『暗黒星』 ) の ような状態が生れることもないことではな いかもしれない。ということでソコロフの 空想が描き上げたものである。暗黒星を扱 った今ひとつの作品には暗黒星に着陸した 人間を描いているが、あまり成功している ようには思えない。 『空間の爆発』では、『暗黒星』での周

2. SFマガジン 1972年2月号

星間パトロールの任務から戻り、しばらくぶらぶらしていたぼく パイロットの資格をもっていると信じこんでいる異星人登録局の役 に、基地司令からの出頭命令がとどいたのは、およそ三月ばかり経人のおかげで、このゴンべは、宇宙船の操縦装置など触ったことも 8 2 ったときだった。 ないのに、副操縦士としての資格で、ぼくのいる基地へ送りこまれ なにごとかと思って出頭してみると、司令は、一人の男といっしてきた。もちろん、同じ宇宙船に塔乗させても、なんの役にもたた よだった。堂々たる体軅の偉丈夫で、この基地では見かけたことのない。ということは、つまり、主操縦士のぼくがなにもかも一人で ない顔だった。 切りまわさなければならない、ということになる。そして、最後の 「タキイ君、こちらは、コンタチ・ハ 間パトロールから帰って以来、母星へ戻るとかいうゴン・ヘとは、 ーヌ星の文化使節、ビレトボリ星 チナ : : : ナントカ氏だ。これまで、副操縦士として、きみとコンビそれつきり会っていなかった。 「コンタチ・ハ を組んでいたから、すでに知っていると思う」 ーヌ星の文化使節として来地するとは、まったく立派 司令は、見知らぬ男を、ぼくに紹介した。コンタチ・ハーヌ星人のになったものだな」 名前は、地球人の舌では、きわめて発音しにくいから、用心ぶかく ぼくは、ゴンべと呼びかけるのをためらい、肩書、外観ともに立 省略してみせた。この司令は、正確に発音しようなどという野心を派になった異星の友人に話しかけた。 もったため、これまで三度も舌を噛んだことがある。 この男が、まえに地球にいたころに、ポンコツ・ロポットを改造 ・ほくは、おもわず、大声をあげるところだった。・ ほくの眠のまえしたカプセルに入っていたから、いかにも風采があがらず、そんな にいる偉丈夫が、何度か相棒をつとめたことのあるコンタチ・ハ ーヌ様子が、ゴン・ヘという通称にうってつけたった。ところが、今・ほく 星人ーー通称ゴンペだという。この異星人は、地球人とはまったくの眼のまえにいる男は、非のうちどころのない堂々たる風采で、ま 異なる臭素生物だから、地球の大気のなかでは生きていけない。しるで別人のようだった。 たがって、臭素化合物のコロイド液をみたした、ロポット・カプセ 「タキイ、あなた、昔と同しように、ゴン・ヘと呼んでくれない。肩 ルのなかに入って、暮らさなければならない。本体は、ヒトデのよ書や外観で他人を判断する、よろしくない」 うな小さな生物で、ちょっとみるとグロテスクなものにみえる。 ゴンべは、敏感にこちらのとまどいを感じとって、以前のように このゴンべというコンタチ。ハーヌ星人は、地球の文化風俗史を専なれなれしく話しかけてきた。こうした話し方の特徴は、以前とお 攻したという変り種で、科学万能の自分の惑星のことを嫌い、地球なじく、この男のものだった。 の文化に憧憬をいだいている。ところが、コンタチ・ハーヌ星人をは ふつう異星人と交際する際には、こちらが星間標準語を学ばなけ じめ、さまざまな星間航行種族のおかげで、ようやく宇宙へ乗りだればならない。多少アクセントのおかしいところがあっても、ゴン すことになった地球人は、そうした劣等感も手伝って、きわめて異べのように地球共通語を使いこなす異星人は、まあほとんどいない 星人に弱、。 異星人はことごとく有能で、当然のことながら、宇宙といっていい。

3. SFマガジン 1972年2月号

銀河宇宙に平和が訪れ、テセウスには英雄としての安楽な ルトンは鉱道に酸素を充たし、相変らずビルの片隅にうずくまって ーテ いた。。フルトン日ミノス会社の社員が、プルトンに他の星への移住日々がやってきた。しかし、テセウスは新しい冒険を求めた。。 ( イや講演会の続く日々の多忙なスケジールの間に、彼は冒険地を を推めると、「おれたちに、かまわないでくれ ! 」と叫んだ。しか し、そう叫んだのは、。フルトンではなく、。フルトンの背にまるでシあさ 0 た。リラ幻星のガス内への突入、アンドロメダ宇宙〈の単 ャム双生児のように突き出たもう一つの首であ 0 たそうだ。そして独飛行、星群の魔獣の捕獲など、いわゆる冒険家向きの話題に その首はミノスのものであ 0 たという。しかし、これは必すしも多はこと欠かないが、彼が本気で、少なくとも地球破壊以上に真剣に こんにち命など決して価値あ くの人々に確認されたことではなく、プルトンⅡミノス会社の社員命を賭けてみたいと思う冒険はない。 がプルトンの背のこぶを見間違えた錯覚たろうといわれている。やるものではなく、宇宙的思考では単に星にへばりついた屑のような がて、。フルトンは姿を消したが、同時に彼の巨大な財産もなくな 0 もので、そんなことは宇宙物理学的に証明されているのだが、テセ ウス個人にとってはそうではなかった。或いはテセウスの精神には ていた。これも確認された事実ではないが、地中深く潜ってしまっ 人間として欠点があったのかも知れない。大宇宙の中で生まれ、そ たのたろうといわれている。 して消え去るという、あたりまえのことが彼には了解できなかった どうやらスペース・オペラにならなかったようだ。もう少しのだ。そして、その結果彼には大英雄となる素質が生まれてい 0 た のである。いわば、彼は他の兵士たちのように戦って死ぬことがで カッコいい若者を登場させて出直しをはかりたいと思う。 きず、自分で何かを行い、そして生き続けたかったのである。 2 ラビリンス星と呼ばれる殆ど無名の旧太陽系連邦の星につい テセウスは冒険好きのカッコいい若者だった。十歳の時に密 4 航して故郷のカペラ星を脱出し、様々な職業を経験しながら多てテセウスが知 0 たのは、終戦から三年経 0 てのちだ 0 た。その星 はかってデモンナイトの産地だったそうだが、数千年前に廃鉱にな くの知識と技術を身につけた。そして、十八歳で星の軍隊に入 っており、一時期にはその穴だらけの奇妙な景観によって大観光地 ったが、太陽系連邦と戦って数々の武勲をたてた。中でもデモンナ となった。大観光地となった理由はもう一つあって、その穴・ほこの イト爆弾で太陽系連邦の聖地とされる地球を岩くすに変えてしまっ たのは有名である。銀河系の〔ーカル地でしかない太陽系連邦の巨中に「プルトンの財宝」と呼ばれる巨万の札たばが埋もれていると いわれたのだ。むろん、今日では太陽系連邦の札たばなど何の値打 大な権力は、正に地球を聖地とする信仰に支えられたものであった ラビリ - からだ。地球の崩壊は銀河宇宙を解放し、新興星の自治権を確立しもなく、テセウスが注目したのはその財宝のためではない。 た。テセウスは巧妙に太陽系連邦に入り込むと、敵の戦闘船を奪いンス星の穴に深く入り込んでいった人々の全てが戻ってこないとい 取り、地球とやらいう星に爆弾を命中させて、驚異的な五十光年ワう神秘的な伝説があったからだ。 テセウスはラビリンス星の資料を集めた。そして、伝説がほ ー。フで脱出した。そしてカペラ系の大英雄となったのである。 338

4. SFマガジン 1972年2月号

コンべのほうは、・ほくの婚約者ミ ーへの対策にあけくれして 無責任なことをいいはじめた。この男の故郷では、なにごとにつけだ、・ にロツ・ファウト 科学万能だからゴンべはいわば落伍者として疎外され地球へ流れていた。くりかえして母星に連絡をとり、コンタチ・ハーヌ星の政府首 きた。そのせいか、こと科学に関しては、必要以上に拒否反応を示脳からミリーにむかって、婚約者ーーっまり、・ほくに協力を要請し た事情を釈明させることに、とうとう成功した。つまり、コンタチ す。 すみつき ・ハーヌ星の政府のお声がかりという、けっこうなお墨付をとりつけ ・ほくは、しかたなくコンビュータの記憶・ハンクから、必要な情報 ミリーから、・ほくのところへ祝電がとどいたの を引きださねばならなかった。この異星人とコンビを組んでーーとたわけだ。そして、 いうより正副パイロットの役目を一人でやってのけ、さんざん苦労は空間の歪みからくる時差をさしひけば、それからものの三十分も たたないうちだった。昔から、女が外国人ーー異星人に弱いのは、 させられているから、今度だけ怒る気にもなれなかった。 問題の惑星は、地球とほぼ同しような大気組成をもち、表面温度あたりまえのことだ 0 たのだろう。 も温暖なほうで、生物の発生には適していた。事実、この惑星の原そんなわけで、・ほくは、後顧の憂いなく、惑星チースリクに到着 住生物は、地球でいえば、ネアンデルタール段階くらいまで到達しし、さっそく問題の調査にとりかかった。 中継基地のコンタチ・ハーヌ星人は、原住民とはできるだけ没交渉 ている。従って、この惑星のうえに中継基地を設けた、コンタチ・ハ にすごす方針をもっていた。いずれにしても、基地をかまえるから ーヌ星人と交渉をもつようになったが、もともと別の系態の生命だ 、よ、。したがって、原住民の言語解 には、交渉しないわけこよ、 から、特に深く干渉しあうことはなかった。星間航行種族のほう も、この原住生物の生態的均衡には気をくばり、人為的に棲息環境読をおこない、その言語を用いて基地に近づかないように警告を発 し、もし近づく者があれば弱い電流で撃退しているという。こうし を破壊したりしないようっとめている。 たことが重なるにつれ中継基地そのものが、原住民の禁断の聖域と ところが、この知的な原住生物の数が、しだいに減少しはじめ、 どうやら絶減の様相を呈しはじめた。そこで、コンタチ・ ( ース星人なり、近よる者もいなくなったという。 「もちろん、もうすこし友好的な方法もあるでしよう。しかし、わ っこうに原因がっかめな も、大あわてで対策を考えはじめたが、い 。そこで、ゴンべの提案が採用になり、かくいうぼくが招かれるれわれは、基地として使用する土地だけを、かれらの手の触れられ ないものにするたけに、とどめておくべきなのです」 ことになったのだ。 コンタチ・ハ ーヌ星人の司令は、なかなかもののわかった人物らし ともかく、科学的テータや、宇宙航法に関しては、はじめからゴ ンべをあてにしていないから、・ほくだけでなく、当のゴンべも気楽く、現状をかくさずに話してくれた。 たしかに、ヒューマニズムをふりまわせば文句をつけたくなるや なようだった。 5 この惑星チースリクへ着くまで、・ほくは、さまざまなことを勉強りかたにはちがいない。だが、臭素生物であるコンタチ・ハーヌ星人 8 と、【炭化水素系の哺乳類である原住民とでは、形態がまったく違 しておいたが、はたして役にたっかどうか疑問だった。そのあい

5. SFマガジン 1972年2月号

ミノスは相変らずのらりくらりとした生活を送っていた。彼は二度しく、また、広いというこで感激することもない。 ばかり、その土地をゲリラ戦場にしようと提案した。しかし、常識 ある開発途上星では巨大なマシンロポットが岩石を切り拓い に順応しようとしていたプルトンは全く相手にしなかった。ミノスていた。ある小星では人々が無関心に彼等の宇宙船の到着を見守っ は退屈した。 ていた。ある交戦星では、星をとりまいて核爆発の閃光が輝き、迎 巧プルトンは現実を受け入れた時、自分のせむしとしてのコン撃ミ・サイルから逃れた数機が地上に突入し破壊していた。ある都市 。フレックスをも知った。それは当初は大したこととも思えなかった星では厳しい管理の中で人々は規則的な生活を送っており、プルト が、社交的な舞台に出る回数が多くなると、絶望的なものに変ってンたちもその星にいる間は次々と書類を提出しなければならなかっ いった。そしてまた、自分の行おうとしていることが、決して過去た。ある地方星ではのんびりした田園風景を楽しむことができ、 の自分の世界を取り戻すためのものでないことも判ってきた。実人々は遠い地球からきた彼等を暖かくもてなしてくれた。確かにこ 際、彼がいかに財産をふやしても何も得るものはなかったし、社交うした異星の風物は珍しかったが、一時的な気安めの以外のものを 界は嫌でしかたがなかった。 ミノスが彼に宇宙へ出ようといった彼等に与えなかった。それら異星の持つ新鮮な魅力はすぐに色あせ 時、彼が簡単に受け入れたのも当然だろう。どこかに、自分の求めていった。旅は日常化し、旅行地は空疎な外景を呈していった。外 景は多様に展開し、大宇宙に広がる巨大な人間文明のパノラマをみ る世界があるかも知れない。二人ともそう考えた。プルトンには、 ノラマの原色の せ、更に彼等の求める世界とかけはなれていく。。ハ 過去の自分の世界に代えられるものであり、ミノスにとってはフリ ー・ランドと呼ばれる青春の世界であった・一一人は二十三歳であっ光景が拡がれば拡がるほど、その外景に対応した彼等の意識世界の 空白も拡大されていった。二人は宇宙文明の膨大な知識を吸収し 炻そして二人は宇宙へ飛び立った・。フルトンの財産は整理さ た。それらは否応なく彼等の中に入り込んでくるだけだった。二人 れ、大型宇宙船が買われた。宇宙船は太陽系重力圏を出て、・ は馬鹿になって、ただ入ってくるものを無雑作に受け入れる以外 座標を重心にワー。フした。 に、何もできなかったのだ。 そして、宇宙には、彼等の求めたものは全くなかった。 これで納得していただけるだろうか ? どうにかスペース・ オペラらしくなってきたようだ。さあ冒険のはじまりだー こんなことではだめだ。宇宙には何かあるべきなのだ。未開 星ならどうだろう。宇宙怪獣でも出てくるかも知れない 宇宙はどうということはなかった。ひと眠りすれば、思い切 り遠くへきてしまっている。ただそれだけのことだった。実際、 ある未開星で、二人は巨大な宇宙怪獣に出合った。それはみ かに宇宙が広くても、宇宙船に乗っていてそれを実感することは難るも恐ろしけに巨大なキ・ ( をむき出して二人に襲いかかったが、光 こ 0

6. SFマガジン 1972年2月号

ようになっていた。炎の中に輝く宝石、 それらが飛び散って青 その時、彼の視界に一瞬の閃光が生まれ、数秒で消えた。ミ 空に浮かぶ白い雲となり、雲は急速に落下して虹色の霧を生む。 ノスは急いで・ハルプを開き、起き上がって光の方角をみた。青白い 3 霧の中から人魚たちの姿が見え隠れし、巨大なメリー・ゴーラウン弱、 し残光が近くの岩丘の頂上にあった。 トが地球上空に回転した。「これが世界だよ」母親の声。母親の姿 それは、この星の到るところに転がっている岩石の一つで、 はどこにもない。プルトンは母親など知らない。或いはコンビュ 岩石のおよそ一ミリ平方の部分がエメラルドのような光を発してい クレーンが動く。 ターの声かも知れない。巨大なメカニズム、 たのである。彼はそれをキャン。フに持って帰った。部屋の隅には、 クレーンには白い氷がつるされている。氷の中から現われるのは白相変らず。フルトンが黙って両足を抱くようにして坐っている。「プ い顔。「プルトン」顔が喋る。 ルトン」ミノスは話しかけたが、プルトンは視線を動かそうとすら ミノスは、せめてプルトンが話をしてくれれば、と考えた。 しなかった。ミノスは通信機の前に坐り、星間開発事業ュニオンの ワ 1 そして何度も呼びかけてみるのだが、プルトンは答えない。立ち研究室を呼び出した。 上がって窓の外を観る。いつも同じことのくり返した。そしてやが 岩石はテモンナイトという鉱石であることが判った。デモン て耐えかねて大声で叫ぶのだ。 「たれか助けてくれ ! 」星空の彼方ナイトは極めて不安定な複合金属で、僅かな放射線の照射で爆発を に、流れる小さな光がある。或いは宇宙船かも知れない。 ミノスは起こすのだ。それは核融合とともに使われると驚くべき破壊力を示 急いで通信機に飛びつくが、ワープ船の一瞬の空間への出現に間にし、簡単に小さな星を粉々にできる。むろん宇宙船エネルギーとし 合うはずはない。彼は坐り込み、いらたたしくプルトンの肩をゆさても素晴しい原料であった。小さな粒子にきざんで使える点で制卸 ぶりながら呼びかける。「プルトン ! プルトン ! 」しかし、。フレ / も容易である。このデモンナイトは太陽のない星にしか存在し得な トンは何もいわない。 恒星の放射線はたちまちデモンナイトを破壊してしまうから ミノスは今度こそ本当に死のうと考えてテントを出た。何度で、そのためにノヴァ化した恒星もかなりある。いまプルトンとミ ワ 1 そう思って岩礁を昇り降りしたことだろう。彼はいつも歩きながら / スのいる星のように、最も近い星から十光年も離れていても、時 にはミノスがみたような爆発を起こすほどである。ミノスはすぐ 様々なことを考えた。特に自分の一生をくやんでいることが多かっ この星の開発権を申請し、採石ロポットとその組み立て工場、 リー・ランドなど夢物語でしかない。今の時代に個人的な解に、 放などありはしない。空間も時間も、全て宇宙的に支配され、理解そして輸送船、その他様々な資材を呼び寄せた。更に星間開発事業 され、定められてしまっているのだ。誰もが自分自身などであり得ュニオンの出資で、最も近いー犯星にプルトン日ミノス会社を設 ない。誰でも単に全宇宙の中の一人の人間でしかないのだ。死ねば立し、そこに放射線よけのナマリ倉庫を建築させた。 。自分など死ねばいいのだ。彼はそう考えて小高い岩山の頂き 芻二十時間後にはユニオンの調査船が到着した。そして、その ・ハル・フを閉ざした。 星の全域にデモンナイト〇・〇〇一ミリグラムから〇・一ミリグラ に横になった。そして、気密服のエアー

7. SFマガジン 1972年2月号

この画集に納められた作品全体から受ける印象 囲の重力場の歪みを表現するために使ったと同じしたもので、科学的空想画である。この星の異常 方法で重力波が起ったときの空間の「爆発」を描なスペクトルとその光彩の周期的変化は長い間学は、重厚な感じである。どちらかといえば前の いている。アインシ、タインの重力理論でも、重者たちの間でも謎であった。この変光星である・ヘ『星がわれわれを待っている』が明るい感じを与 カ波や空間の歪みや時間の流れの変化について触 1 ター星は、二個の星から成る二重星で、主星とえる色彩が使われている作品が比較的多かったせ れている。それを宇宙空間の中でソコロフは絵にそのまわりをめぐる併星から成っていることがそいかもしれない。特に、この画集にはめだって黄 してみようとしている。『重力嵐』を効果的に表の研究で明らかになった。この絵は、その星の複色が少なくなっているのもその一大であるかもし れない。 現するために画面にダブリを入れたり、『岩石波』雑な連行状態を描いたものである。 この画集にも相変らず固い解説がついているの この画集の巻未を飾るにふさわしい壮大な宇宙 や『惑星の破減』などでは、絵筆の筆跡を巧みに は前と変らない。たたし顔ぶれが多少変ってて、 利用してなかなか苦心しているのが分る。したが図は、『宇宙の深淵』を描いた大作である。 アルメニア共和国アカデミー総裁のヴェ・ア・ア ってこの画集の中でも、これらの作品は異色の存中央に描かれている黒帯をした巨大な星系は、 ム。ハルツミャーンと、前回同様個々の作品のコメ 天文学的知識をふまえたケンタウリー < である。 在である。 ラジオギャ 惑星間、銀河系間などの空間を克服して航行す可視光線だけでなく、ラジオ波も出している電波ントを書いているルッキー以外は新顔。ソ連英雄 ラジオギャラクシイ スペース・シッ・フ るには、光速に近いスピードを出せる宇宙船が星雲は、画の恰好のテ】マである。電波星雲の称号を二度にわたってもらったレオーノフの同 必要である。その目的に適った宇宙船といえばさが形成されるには、最新のデ 1 タによると 1060 工僚である宇宙飛行士ア・エス・エリセーエフが現 しづめ光子ロケットということになる。光子工ンルグという空想的といえる巨大なエネルギーが消在のソ連の宇宙開発について触れた解説『軌道ス ジンからは、分子や原子ではなく、光の量子つま費される。知的文明 ( 地球 ) が己の存在をケンタテーションから宇宙都市へ』を、ヴェ・エム・べ フォトン り、物質が消減する結果生じる光子ーー・粒子と反ウリに存在するかもしれない文明に伝える方法はスコフーーかれはレーニン勲章を受けたジャーナ リストであるーーが、ガガーリンを偲んで『永遠 粒子の相互作用・ーーーが噴出される。だが、空間をないものだろうかっ・ソコロフはその問題をこの 「突破する」方法はそれだけではない。空間の歪絵で解決した。はるか達い未来には、人類はただに残る名前』と題した記事でその功績を讃え、ア みを利用したスペース・ワープ航法などそのよい地球だけでなくその惑星系全体を手中に納め、そカデミシャンのペ・エヌ・ベトロフが宇宙航行学 例である。ここではこれらの仮説上の航法で空間れを、強力なエネルギー場ですつ。ほりと「つつみについて触れた『通り過ぎてきた道、越えていく を克服する「超 ( 于宙船」の発進の様子が描かれて込み」、そのまま齧文明が存在すると思われるケ道』を解説に書いている。ソコロフは現在また新 いるが、船体の姿は見られず、航跡 ( ? ) とでもンタウリへそっくり移動させることにした。絵のしい宇宙画集の出版準備にとりかかっているとい うから恐らく来年あたり第三冊目の画集にお目に 呼んだらいいのか、空間の歪みによって生じた状中で左上にみえるアンモナイトみたいなものが、 態を、輪切りにされた天体によって表現し、成功エネルギー場でおおわれたわれわれの未来の太陽かかれることと思う。できればその画集で、宇宙 生物を、独創的で、ファンを堪能させてくれ している。『時間に逆らって』でも、空間と時間系である。 パクロフスキー博士も、異文明には興味があるるような宇宙生物を登場させ、世界の界をあ をつらぬいて ( 多分、、・「われわれの」時間に逆ら っといわせてほしいものだ。 って ) 、宇宙船が未知の世界へ向って航行しているとみえて、はるか未来に人類が宇宙船で到達した この画集を手に入れたいと思われる読者には誠 様子を描いているが、いずれも難しい科学的根拠異文明を船窓から見たという仮定で、作品を制作 は別として、絵としてみているだけで結構楽しめしている。『星団を背景にした高度に発達したに気の毒たが、『星が : : : 』にくらべてたいへん る作品になっていることは間違いない。 文明』がそれ。ソコロフの作品とくらべてみるの値段が高く ( 三四六〇円 ) なっていることだ。前 と同様東京のナウカ書店で扱っている。 『琴座のべーター星』は、珍しい天体現象を絵には面白いと思ってここで紹介しておく。 フォトン タッチ 6

8. SFマガジン 1972年2月号

子銃で簡単にくたばった。 おわってはならない。まだ冒険も活劇も始っていないのだ。 3 また、ある未開星は粗野な金属質の岩石以外に何もない不毛 何か事件を起こせ。誰かを殺すのだー の土地だった。二人は一応そこでもキャンプを張った。彼等は宇宙 に過大の期待をかけていたことを知って、あきらめを感しはじめて その星を出発する前に、航宙士たちは給料を請求した。しか いた。全く異なった育ちかたをした二人だが、ともに旅をしてまわ る間に、何かを求め、裏切られていく自分たちに共通したものを感じし、二人には金がなかった。太陽系へ戻れば宇宙船を売り払うこと ができるので、その時に支払うとプルトンはいったが、航宙士たちは ていた。相変らずミノスは楽天的で、プルトンは神経質であったが、 二人の間には友情が生まれていた。異星では必ずせむしの。フルトン納得しなかった。彼らは宇宙船を乗っ取るつもりだったのだ。二人 は、五人の航宙士たちに殴られ、蹴られ、気絶寸前になった時に、 が軽んじられ、ミ / スが主人のように扱われたが、そんな時、ミノ スは必要以上にプルトンに敬意を払い、ドアの開閉や荷物持ちにま給料の代りに宇宙船を手渡すという証書にサインさせられてしまっ た。航宙士たちは、酸素、水、食糧、通信機など、殺人罪とならな わった。そうだ。二人の宇宙旅行の収穫はこうした友情たけだった だろう。プルトンにとって、かっての自分だけの世界は幻影でしかい最少限の物資を残して宇宙船で飛び立った。二人は辺境の小さな ・ランドも単なる青春星にとり残され、途方に暮れながら足腰の痛みをこらえなければな なくなってしまい ミノスにとってのフリー の幻惑でしかなくなっていた。多くの宇宙冒険者たちは、こうしてらなかったのだ。 通信機で救助を求めることはできるが、救助費を払うことは 逆につつましい平和な生活を知るものなのだ。プルトンの気持も、 彼自身の精神的疲労が安らげていた。そしてミノスにはガニメデでできない。ともかく、生きのびることができる間だけでもここにい の生活がなっかしく思えるようになっていた。プルトンの財産も底て、万が一こんな僻地にやってくる船があれば助けてもらう以外に をついて、彼に残されたものは宇宙船だけになってしまった。乗り ない。もし船がやってこなければ、のたれ死ぬか、それともどこか 組み員の数も減り、現在の僅かな航宙士たちに払う給料すらなかの星に身を売って救助してもらうかである。身を売れば、二人とも った。二人は黒い不毛の岩石たけの小さな星の、気密テントの窓か兵役に入って、およそ二、三年生きのびて戦死することだろう。 幻毎日、毎日夜が続いた。この星には太陽などない。エネルギ ら闇の空を眺め、地球へ戻ろうと話し合った。名もないその星の光 ーの節約のために殆どランプや通信機も使えない。気密テントの外 景は二人がかって過した不毛の地球と似ており、二人の心を暖かく 包んでいた。おそらく、ようやくプルトンは現実を受け入れたのだへ出るのも酸素の無駄で、できるだけテント内でじっとしていなけ ・ランドを理解することればならない。プルトンには過去に似た経験があった。地下室で、 ろう。そしてミノスにも自分なりのフリー ができたように思えた。二人は何もかも失って、全ての希望から見殆ど毎日変化ない生活を続けていたのである。従って、こうした状 態にがまんすることはでき戀。しかしミノスにはそれが不可能たっ 離されて、本当の自分をとり戻したのである。おわり。

9. SFマガジン 1972年2月号

な考えで連用するかという、その精神が重要なんだ。ゅうずう性のくべつの資源でもあれば、コンサルタント社か、山師かが、開発権 ある運用をすれば、どんなに規則でしばられたシステムでも、活気を取獲しているはずだった。 それがどちらもないというのは、平几な星系だということを意味 をていしてくる : : : 」 し、そして、そういう平凡な星系には、しばしば、このふたりの調 「わかった、わかった : : : 」 しい骨休めになる惑星が存在してい 査員のような若者にとっては、 ヒノはパイロット席に坐りなおした。 ートるものなのだ。 そして、眼前に並ぶ計器をチェックし、操縦装置をセミ・オ 「やつばり、あったな ! 」 にきりかえ、恒星の座標にむけてコースをセットした。 星系の引力圏に入り、外側から順に、惑星群を調べていったふた それから、おもむろにシオダにむきなおり、もっともらしい声を りの調査艇が、内側から四番めの惑星に近づいたとき、ヒノが歓声 出した。 「シオダ、エンジンの調子がどうもおかしい。近くに見えるあの星をあげた。 「・ほくも、このていどの惑星なら、ありそうだと思っていたよ」 とうだろう ? 」 に不時着して、修理したいんだが、・ シオダもにつこりした。 「それはいい考えだ。不調のエンジンをかかえて、ここから地球ま 地球にたいへんよく似た、住み心地のよさそうな、それは惑星だ で飛ぶのは危険だからね。ぜひ、そうしてくれ」 ったのだ。 シオダは、はじめて笑いをうかべ、ヒ / にウインクしてみせた。 「中央の太陽が、地球のそれにそっくりだからね。地球によく似た 「よしきた ! 」 ヒノは、オ ー・ハーな身ぶりでパネルのスイッチをたおし、機首を惑星があってもおかしくはない。どれ、ひとっ衛星軌道をとって、 上空から観測してみるか : : : 」 旋回させた。 いいながら、艇を、惑星に近づけた。そして、 ヒノは大声でこう 衛星就道に入り、その戦道半径をしだいに小さくしていった。 シオダは、測定装置を操作して、惑星の諸定数を測定した。どの その星は、やはり同じ球状星団〇〇九に属しており、カタロ定数も、ほどほどに地球的であるといえた。 グ・ナイ ( ーを、〇〇 >< ー八一ー三ー二五四ー一五五一といっ離心率は〇・〇一八四一「就道半長径は一・六二億キロメート ル、赤道半径七一七〇キロメートル、重力は一・二、反射能は〇 まだ誰も探検したことはないが、宇宙のどこにでもあゑごく平・三五、赤道の傾斜十六度二十七分、自転周期は約三十時間 : : : と いったところである。 凡な未開の星系と思われた 9 文明が発達していれば、当然、その証 拠が地球人側のファイルに記されているはずだし、また、なにかと海もあり、山もあり、雲も一のり、両極の積雪も認められた。 347

10. SFマガジン 1972年2月号

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