( 万年前 ) は漸新世だ。中新世には、一部の学者が人 小説なんかはいかにもみみっちいし、時計新世代は、第三紀と第四紀にわかれる。 とカレンダーでこまぎれにされた、一見合第三紀は、暁新世 ( 七五〇〇万年 ~ ) 、始類に入れている、身長一三〇センチほどの 理的な生活に、疑問のわく瞬間もある。べ新世 ( 六〇〇〇万年 ) 、漸新世 ( 四〇〇〇オレオビテクス ( 一五〇〇 ~ 五〇〇万年 つに、現実から逃避しようというのではな万年 ~ ) 、中新世 ( 二八〇〇万年 ~ ) 、鮮新前 ) が出てくる。 。むしろ、現在を認識するためには、遠世 ( 一二〇〇万年 ~ ) で、そのあとに、二第四紀になると、猿人・オーストラロビ くから眺めた、長い年月の出来事を考える〇〇万年前からはじまる第四紀がつづくわテクスがあらわれる。故郷はアフリカ、時 必要もあるだろう、というのである。 けだ。これは洪積世と沖積世からなるが、 代は洪積世の早期で、万国博のタンザニア 宇宙的な規模の巨大な時間、地球の誕生人類の発生に関係の深い洪積世は、四つば館に頭蓋骨が出品されていたジンジャント と長い地質学的な過去・ーーライエルによるかりに大別される。 ロ。フス ( 一七〇万年前 ) もこの仲間だ。と 第一紀 ~ 第四紀、フィリツ。フスの古世代 ~ ころでこの猿人、道具を使った形跡がある すなわち、早期 ( ビラフランカ期など ) 、 新世代。それらは、目の粗い過去の時間尺前期 ( ギ = ンツ氷期や第一間氷期 ) 、中期が、菜食主義者のパラントロプスと、なん であり、また叙事詩そのものだ。全部を記 ( ミンデル氷期、第三間氷期、リス氷期なでも食うテラントロ。フスにわかれ、後者に 述していたらきりがないが、せめて、新世ど ) 、後期 ( 第三間氷期やビュルム氷期 ) は。ヒテカントロ。フスへの移行があったらし などである。 代以後だけでも眺めてみよう。 、。。ヒテカントロプスの出現は五〇万年 これらはすべて旧石器文化の時代であ前、火を使った ( 北京の ) シナントロ。フス り、その後に、一万年前からはじも同じ仲間で、現在の学名はホモ・エレク まる沖積世がっ・つく。それらは、 トスだ。これらは原人と呼ばれており、故 一種の時間尺上の目盛りとして使郷はアジアかアフリカだ。 し うことができるし、このあたりま もっと人間くさくなるのは第三間氷期 ま らでくると、文化人類学的な過去との、旧人と呼ばれるネアンデルタール人か のなってくるが、さて・ほくらのご先らである。ソロ人やローデシア人もこの変 祖は、地質時代のあいだに、どこ種とみられ、旧人はサビエンス種のなかに ま 生でどんなに変化していっただろう入れられている。彼らは最後の第四氷期に 世期期期期世世世世世 絶減したと思われていたが、じつはかなり 積 後中前早新新新新新二一人 の多様性をもっており、西アジアでは、」 沖洪積世鮮中漸始暁第第 かなり単純に割りきって、模式部が新人・クロマニョン人や現生人類へと 第四紀 第三紀代代表 的に述べてみると、第三紀の暁新移行したらしい。クロマニョン人が生存し 中 世に最初の霊長類があらわれた。 新生代 ていた洪積世の末期は苛酷な気候の時代だ ヒト科に関係の深い狭鼻類の出現ったが、この頃すでに、白・黒・黄の人種 新人 1 旧人 100 猿人 200 1200 人と猿 2800 の祖先 4000 6000 7500 霊長類
前でだ ! ーーすでに完成していたということになるー くとも四〇〇〇年以上と見られるガリ フォルニア産のプリスルコーンとセコ 炭素の時代測定値の修正は、さらに波瀾を呼んだ。 これによって、ギリシャがまだ金属器の制作技術をマ ィアの樹を研究した。これらの樹の年 スターする前に、すでにバルカン地方にはーーーそしてお 輪の中の炭素凵を慎重に分析した結 そらくは先史時代のス。ヘインにもーー熟練した鍛冶屋が 果、科学者たちは、数千年におよぶア イソトープの生産に、小さいがきわめ 働きはじめていたかもしれないということが暗示される 教 一に至ったのだ。レンフリュー博士はこれについて、最近 て意味のある変化のあったことを発見 ュ のサイエンティフィック・アメリカン誌につぎのように した。そしてその変化は、宇宙線の爆 撃の変化に比例することも確認され フ書いた。 ン「現代考古学は、先史時代のヨーロツ。 ( の持っていた独 サン・ティエゴのカリフォルニア大 創性と創造性について、全く過小評価していたことを認 る 語めなければならない」 学の地球科学者ハンス・スエスは、数 このニュースは、最近におけるわが国の考古学の傾向 百ケースにおよぶ古代の樹のサンプル にとも相通ずるところがあるように思われる。つまり従来 と取組んで、世界のあらゆる場所での 前はまず先住民族による未発達の繩文式文化が日本列島各 炭素凵の時代測定にもとづく考古学的 時代を計算しなおした。彼の計算結果 物地にあったところへ、大陸や朝鮮半島あるいは沿海州に 拠あった先進民族のもたらした弥生式文化が侵入し、これ は、古代の暦に主としてもとづいた中 を呑みこんで日本が古代史的統一を完成したとするのが 近東付近の遺物や遺跡については、ふ つう受け入れられているものと殆んど 定説だったが、最近の考古学的研究は、こうしたパター ュ / 、刀ヨーロ ンにさまざまの矛盾や混乱のあることをつぎつぎに発見 違いを示さなかった。・こ・、、 して、日本列島の文化も、こうした定型的なかたちでは ハの場合には、紀元前一五〇〇年以前 の炭素凵の時代測定には、さらに七〇 捉えられず、むしろ、同時多発的な文化の発生があり得 た、とみなすことのほうがより現実的ではないかと提案しているのだ。 〇年あまりが加算されなければならないことがわかったのだ。 かくて、レンフリュー博士らが考古学的革命と称したことが実現した。文 もちろん、これらはいまのところ一つのセオリーであって、これが立証さ 明は中近東から拡散したとはかぎらず、ヨーロッパ各地に同時に多発したのれるには、なお多くの事実の裏づけと、科学的立証に基づく論理づけとがな かもしれないという仮説が科学的な裏付けを得たのである。 ければならない。しかしこうしたすべては、ともすれば整合性を持つものを たとえば、イギリスの墳墓は、東地中海の最初のものが建設されるすくな定説として受け入れがちな歴史学、考古学に、また新しい発掘時代が到来し くとも十世紀前にはーー、最初の。ヒラミッドがエジプトに建設される十五世紀つつあるのかもしれないことを暗示しているようである。 こ 0 SCIENCE JOURNAI-J 5
セミラミスの嫗は、さそっている。 は、その石切場のはざまより、大いなる天空へおどり出る前に静止 したのだった。 「もう下におりましよう : : : 」 それが、次に傾き、地響きをたてて転落する前に、世界の一切の からみつく舌のたわむれ・ : 。そして、明白。 意味が変った。 初飛翔の日にふさわしく、天空は晴れていた。予告された時刻を めざして、アルセロナの人々は集まっていた。 大いなる終末の前にあっては、一切が空しい。アフロデを想いっ その群衆の中に、は、アフロデを認めていた。人妻となった彼づけたの愛も、が知ったあの女性の写してくれる快美さも。そ 女は、見覚えのあるあの士官によりそっていた。あでやかな紫色のしてまた、女皇の抱いた征覇の野望も : : : 。造るよろこびも、共に 絹の衣が、ひときわめたっていた。少し太ったようだ、とはおも知ろうとした真実へのあこがれも、架空庭園の美しさも、この石の 街も 一切が、そこへ還元される。全てが った。幸せなのだろう。 石鐘楼の黒い基石は、そこよりとり外され、機関部に据え付けを砂時計の持ちえた有限の命脈は、最後の一粒の砂の落下と共に尽 きて、仮現の夢はおわった。 終っていた。 「さあ、参りましよう」 この岩々のつらなりがつづく荒野の中に : : : 、幾千年。幻の花の 女皇の瞳は、野心にうるんでいた。愛人の手によって導かれなが岩蔭で、ひっそりと嘆き匂うていたようなアルセロナの街は、失せ ら、桟橋をの・ほりはじめる。群衆のどよめきと、視線をあびなが消えていた。 ら。 街は、岩のつらなりにもどる。はや幻の、人影なきそこに、風が は、その途中で振りむく。アフロデの視線を求めた。それは、笑う。 かの国のには向けられていなかった。アフロデの黒い瞳は、傍ら に立つ、この国の夫の横顔をみつめていた。 わっはつはは : は、視線をさまよわす。街の岩々のむこうにそびえる石鐘楼 は、その日、な・せか黒々としていた。時の命は、尽きんとしてい いまは虚無と化した、の笑い声であろうか。呪いのうめきにも た。なぜ、びとつの世界の終末に、立ちあわねばならないのだろうきこえる。むせびなく切れ切れの悲鳴にもきこえる。吹きわたる風 が、岩々の鋭い刃物によって、切り裂かれるとき。 そしてただ、かすみかけた壁画のように、何かの瘍跡が : そして : とえば、灰色の岩膚に、それが : : : 、大きく不思議な何かが、墜ち その光景をなんといいあらわしたらいいだろうか。 群衆の歓声におくられるように、静かに浮上しはじめた石機械ていくように傾きつつ、やきつけられているのみである。 232
まあ待て、山本 : その必要 ; と申します 、つことでしょ あの娘は すでに牢を でた 不審の儀あっ て、あの娘は 小日向茗荷谷 の切支丹屋敷 に移された 係与力のわた しに断りなし 、こは : : : 一承服 できませぬ それは : いかなる仕儀一 、ーしよ、つか 怒るな あの娘について はその前から 訴人があった のだー そ、つだ 下男の弥平と 訴え出ていた 切支丹の疑い : とな あり・・ 訴人 ?
てられるんだがなーー・スパイダーがはいってからは、連中のやるこ丸くした。他のエージェントたちの及びもっかぬ、弾力的な軽い足 とはメチャメチャだ」 どりで彼女に近づく。 「聞いたことのない名前が多いな」 エージェントのほとんどは、ちんちくりんの事務員と大差ない。 「あたりまえた、あんなとこに引っこんで、おもちやばかり作ってエス。ヒオナージュはハンサムな男にびったりの商売だと、そんな考 えをいったい彼女はどこでは仕入れたのだろう ? きっとニュース るからだ」 スタンドに氾濫する俗悪なスパイ小説だ。ところがミスター男性コ 「今までのうちでは最高のカムフラージュだと思うがね」 オオウミガラス しし、刀 「新聞を読んでないんだったらガタガタいうなってことさ。 ンテストの入賞者にしろ、オーク ( ) そっくりの三枚目 に似た絶滅鳥 にしろ、敵を料理する戦法は同じようなもの。三又神経をつねって ら覚えろ。それが近ごろのラインナツ。フだ」 「そういえば、あの何とかいうあれはどうなったんだ : : : ウイルキのたうちまわらせるとか、す・ほめた掌を相手の両耳にたたきつけて 気絶させるといった手を、ここの連中がちゃんと心得ていると知っ の領選を争「て敗れた。一九一一 ~ 一九四四 ) だ 0 た 0 け ? 」 たときには、彼女は胆をつぶしたにちがいない。またこれは、ロダ 「負けたよ」 「スパイダーか」クリスはくりかえした。「〈自由竸争撲減のためのンの彫刻みたいなのに襲われたときでも、相手が泥のかたまりみた いなのでも同様に有効な戦法なのだ。 特別政治局〉 (Special P01itbu 「 0 lntent on Destroying EverYb0dY's だがクリスだけは Race) かい ? 」 部長は少しうんざりした顔で、ふたたびかぶりをふった。クリス彼はデスクの前に行くと、彼女がドギマギして目をふせるまで無 は腰をあげ、部長の手を握った。「書類を見たかぎりでは、いちば言でじっと見つめた。そして、「やあ、チャン」 彼女は視線を合わせることができない。耐えられそうもないの んとっかかりやすそうなのは、このシカゴのディリ 1 だね」 だ。・ハハマ諸島。あの夜。すべてを見通すように、二人を照らす大 「コンビュータ様のご託宣もそのとおりだ。 部長はうなずいた。 出かける前に〈武器係〉のとこへ寄れ。おもしろいものを二三「おきな月。ほとばしる情熱に合わせて、激しい旋律をかきならす夜の 風。銀色の砂浜に狂ったように打ちよせる波。別れの言葉。再会へ まえさんのために作ってある」 の期待。上の階からもたらされた知らせーー・チベットで行方不明。 「またあのいまいましい赤服で仕事か ? 」 彼女に何ができよう : : : 今の彼女に : : : とっぜん現われた彼を前に 「いちおうスペアに持って行け。赤服にはちょっと早いが」 して : : : その胸にくつきりと残る太い白い傷跡、シャツの下に隠れ 「何時だっけ ? 」 てはいるが、彼女は知っている、ティポール・カスロフのサーベル 「九月半」 がつくった傷跡 : : : 彼の肌で知らない部分はない。彼女は答えるこ セヴ / ・セヴンティーン クリスがドロツ。フシャフトから現われるとミス 0717 は目をとができなかった。「おい、なんとかい「てくれよ、・ ( 力だな ! 」 0 8
「見知らぬ同志では好き合えん。死人同志も好き合えん。生きて知も信長に使を発していた。ふたつはひとっ源から出た動きである。 ・ : それには長い月日が義昭は越前朝倉家の諒承のもとに一乗谷を発し美濃へ向ったので 3 り合うて、ことばを交えずばなるまいが。 ある。七月十六日には近江の浅井長政の館に迎えられ、そこを二十 要るぞ。知り合う前も、知り合うてからも」 「そうじゃ。ずっと生きておらんでは知り合えん。知り合うてもす二日に出た。かつぎあげれば天下の権を握ることさえできる足利義 : ・でも今夜の権爺は面白いことを昭は、これら強剛の間では一種の利権の種でもあった筈なのに、何 ぐ死んだのでは好きになれん。 の問題も出ず順送りに新興の織田へ送り渡されている。 : : : 随風ら 聞かせる。何やら当り前のことばかりじゃ」 ヒの高度な政治的活動があったに違いない。 飛稚は闇の中でクスクス笑った。 「大切なのは作物や家ばかりのことではないということじゃ。作物 も家も人も、みな長い時がかかっておるということじゃ。時ばかり 十 は二度ととり戻せん。戦に勝っても戦に敗けても、時を失う。宝を : ヒのうたにあろうが」 失う。おろかなことよ。 その日、足利義昭は五百余人に警護されて昼すぎ西 / 荘の立政寺 へ入った。勿論権爺も飛稚もその行列を見物しに行った。 権爺は寝たまま低くうたいはじめた。 もものたなつものな 百穀成る 「何じゃ、つまらん男よ」 ひつぐ いえっ 家給ぐ日嗣 権爺は馬に揺られて来る足利義昭をひと目見てそうつぶやいた。 あめのしたたいらぎ 天下太平なむ しかし飛稚のほうは、一行の光頭に騎乗している明智十兵衛という あめのした 「ヒは天下をたいらけくするために働いて来た。ヒの者は人を殺め人物を見て、天地が逆さになる程びつくりしていた。 る術を用いんのじゃ。争いには逃げるのみよ。よいか飛稚、くれぐ 秀でた額。整った眉目。ゆたかな耳朶 : : : 随風と瓜ふたつであっ れも争うではないそ。このたびのように、一度ヒが働きにかかった 「権爺、権爺」 からには、必ず戦をおさめさせねばならぬ : : : 飛稚、睡ったのか」 飛稚は低声で呼んだ。 闇の中に軽やかな寝息が聞えていた。明日は二十二日。細川藤孝「何じゃ、血相を変えて」 「あれは随風さまか」 と明智十兵衛が、足利義昭と共にこの西ノ荘へやって来るという前 の晩のことであった。 すると権爺はニャリとした。 信長が美濃を平定した時、京の御所の方針はきまったようであっ 「里者なみに言えば随風さまの兄者じゃ」 た。正親町帝は直ちに勅書を発し、美濃・尾張の御領地回復と幕府「随風さまの : : : 」 たね の再興を命じている。同時に越前一乗谷にあった前将軍の弗、義昭「ヒの長はひとっ胤の者のうち、いちばん下が継ぐきまりじゃ。明 しひと あや おさ
の中を走っていた。城に近づいて見たかったからである。 すると相手はのそのそと飛稚の所へやって来て、何か白いものを くれた。見ると握り飯であった。しかもどういうわけかまだあたた 秋雨のけむる中に銃声が轟いていた。寄手はひっきりなしに城門 へ駆け寄っている。一「三十人ずつ、寄せては返し、寄せては返しかい。飛稚は黙って受取ると、ひとロ頬ばりながらまた攻められて ている。彼らの足もとがひどくぬかるんでいるのが、はっきりと見いる城を見た。 えた。飛稚は細い松の幹に手をかけ、ひととびに上の枝へ乗った。 「戦はおもしろいな」 寄せ手の一人が城門の前でゆらりと膝をついた。それに二人ばかり子供はロをもぐもぐ動かして言った。 が駆け寄り、肩をかして退いて行く。 「うん」 「俺の名は犬走りの六じゃ。おぬしは : : : 」 「案外死なぬものじゃ」 昻奮して思わず一人ごとを言った。すると背後の草の中で声がし「飛稚」 た。子供の声だった。 彼はそう答え、しばらくして握り飯を食い終ってから、「大走り か、妙な名じゃ」 「おぬし、随分合戦ずれしているな」 と言った。 飛稚は愕いてふり向きざま枝からとび降り、咄嗟に身を翻して小 「夜には陥ちょうな」 さな岩に身をひそめた。 犬走りの六はそう予言した。城の中で火を焚いているらしく、 「それに素早い」 草の間から顔をあげたのは、四角い顔の男の子だった。年齢は飛時々城内の一部が明るくなった。 「誰と一緒じゃ」 稚と同じくらいだ。 飛稚はこの少年に興味が湧いた。それだけ落着いて来たとも言え 「誰じゃ」 よう。 飛稚は言った。 「安心せい。織田方じゃ。俺はおぬしを見知っているそ。明智の殿「俺か。俺は父なしの母なしじゃ。ず 0 と以前戦で村が焼かれた。 母はその時死んだ。父はその前から戦に駆り出されていてな。どう の腰巾着をしておろうが。な、そうじやろうが」 なったかは知らん」 「おぬしは : : : 」 あるじ 「俺はおぬしと違い大将なしよ。今の所は和田さまの手勢の用をし「主もないのによう陣へ置いてもらえるな」 「俺は働いている。雑兵でも下人でも、人は誰も面倒がりじゃ。面 ている。どうじゃ、仲ようせぬか」 奇妙な子供だった。飛稚は相手のほうが自分よりずっと戦場すれ倒なことを気安くかわってやる者がいれば便利じやろうが」 「しかし危くはないか」 しているのを、その落ちつきようで覚った。 「なんの。危いのは大将の采配どおり陣におる者らよ。離れてさえ 「よし、仲間になろう」 てて 9
敢じ対なあも殉作な関 行てしった恐教つつし逆 し強てたえれをたたて説 た姦公かるな賛とのの的 のさ衆ら拷か美もはみに だせので問っしい、拷い 、面あをた、え信問う み、前るみた死る徒がと 。せ、で。ずめ刑の自類 、のだ身を特 いな、公か め、ら、儀ら死威。が絶に とす、は選以嚇なそし切 す者、ぶ上をぜのて支 るに女結にすな原苛丹 , 命性果苦こら因酷信 信と痛し彼をに徒 ま徒を は でに わたくしは 切支丹では ありませぬ当 / / おめえもなる べく早く転宗 んだほうが身 のためだぞ その綺麗な身 体が生き腐れ 、にならん、っち 何度申しあげ たらわかって いただけるの です・ お取調べくだ さればただち にわかること 9
る高位の僧といえども、許可なくして立ち入ることの許されぬ治外 法権をもっていた。五十をくだらぬ侍女や奴婢、そして取締りの女 官たちをおく、文字通りの別天地ということができた。そして中央 の池から不思議な方法で湧き出す豊富な水を利用して、なつめをは じめとする果実、珍らしい野菜、薬草などが栽培されているばかり か、女たちは、様々な、生活に必要な物資さえ自給していた。たと えば、いまがあたえられ、体にまとっている美しい光沢をもった 布も、ここで紡まれ織られたものであった。 ある意味で、ここは女皇の専属研究所ともいえるところで、彼女 の思いつくまま新しい技術によってつくられる生活に必要な品々 が、こうして実験的に試作されているのであった。事実ここには、 僧院には似ているが明らかにそれとは違った、ある静けさと秩序が あり、は命ぜられた飛行機械の研究に専念することができたのだ に与えられた房は、ひとつだけ離れた北側の一角にあった。そ こは、小さな連続アーチが、二段に重なっている部屋で、下の部屋 は大きな書庫となっていた。居室となっている上の部屋の前には チラス 露台があり、オレンジの実のついた灌木が日陰をつくっていた。ま た房の屋根は、あつい切石と幾層もの防水層でつくられ、土が盛ら れ、暑気をふせいでいた。 そうした物静かな環境の中で、は仕事をつづけていたが、はじ めの数週間あまりは、ほとんど、女皇の計画を理解できずに悩まさ れていたのだった。たが書庫にある測量学、水力学、建築学その他 の実用科学、数学、化学、力学等の基礎科学等の知識の集積は、す ばらしいもので、は、その石版書の山の中にこもって、あきるこ とがなかった。多くの時間を、はそうした種々の知識の分類に費 宇宙の大。ハズルーーークエーザー三ニ七九の謎 このクエーザーのスペクトルの赤色 何ものも光の速度より早く飛ぶこ はずである。とこ とはできない 偏移から割り出してみると、なんと この二つの部分は、光速度の十倍も ろが一年ばかり前、光速の十倍位の 速度をもって互いに飛びはなれて行の快速で遠ざかりつつあったのだ。 だが、理論上からいっても、とて く一一つの天体が発見されて、天文学 もそんなことはあり得ないから、シ 者の間に一大センセーションをまき おこした。 ャビロ博士を中心とする前記の研究 この天体は、その少し前、マサチ者たちは、懸命に頭をひねってこの 一見奇々怪々な事実をうまく説明で ューセッツ工科大学のアーウイン・ きる理論を考えつづけてきた。 シャビロ博士とその同僚、ゴッダー ド宇宙飛行センター、カリフォルニ そしてここにきわめて卓抜な説明 を提出した三人の学者が現われた。 アのジェット推進研究所、メリーラ ンド大学の科学者たち、によって発 同じマサチューセッツ工科大学のフ ィリップ・モリスン教授と・サル 見された新らしいクエーザー三 O ニ 七九である。その後の追跡観測の結 同地のアメリカン・サイエン ス・アンド・エンジニアリング社の 果、それがお互いに光速の十倍前後 という途方もない速度で離れ去りつ ・カバリアの三人だが、その新理 つある二つの部分からなっているこ 論とは、まず第一に、何か観測不能 とがわかったのだ。 の小さな天体のまわりに、何光年も こんなことがあるのだろうか ? の単位で測れるような大規模な輝光 もっと詳しく説明すると、この天体の殻が突然出現し、ほんのしばらく は一九六八年にはじめて観測された 輝いただけでまた見えなくなってし 時には一つの明るい星だったように まうとする。すると、遠方の観察者 思われたのだが、その後の観測で、 には、その殻の彼に一番近い点から ほば同じ明るさをもっ二つの天体か の光だけがまず観測され、その他の ら成るらしいことがわかり、しかも部分からの光は少しずつ遅れながら その間が、一九七〇年十月と一九 到着し、それ以前の光は少しずつ見 七一年二月、ゴールドストン・ヘイ えなくなっていくため、実際には光 スタック電波干渉計を使っての測定自身が移動するわけではないのだ によると、すさまじい速度で広がり が、まるで、外へ外へと移動しそ行 つつあることがわかった。そこで、 くように観測される。といっても、 2 め
ストに感謝を捧げた。伝説はそこに聖ペテロを加えた。ラファェロ のものも、比較的歪曲を蒙らずに古代から生き残った、いくつかの 事実の脚色なのだ。当時、レオのそばには使徒の亡霊はおろか、枢はそこに聖パウロを加えた。 ジャム・カレットーー脈打ちっ 一万年が二度経過するあいだ 機卿さえいなかった。レオは三人の代表団の一員で、ほかの二人は 教会と縁のないローマ帝国の高官だった。会談はーー・伝説のいうよづけてきたカ場が、数瞬、数年、あるいは数千年であったかもしれ ぬつかのま、断ちきられたのだ。 うに、ーーローマの城門のすぐ外で行なわれたのではなく、北イタリ アの今日ベスキエラと呼ばれる土地からさほど遠くない場所で行な伝説は真実を語っていない。より正確にいえば、すべての真実を 語っていない。アッテイラがイタリアへ侵入するより四十年も前、 われたのだ。 こもかかすでにローマはゴート王アラリクスによって劫掠されていた。ジャ この会談について、それ以上のことは知られていない。冫 ム・カレット。アッテイラの退却から三年後、ローマはふたたびヴ わらず、それまで一度として阻止されたことのないアッテイラが、 アンダル王ゲイセリクスによって劫掠されることになった。 ロ 1 マの破壊をやめた。軍をひきかえしたのだ。 クロスホエン , ララックス・センター交叉時点から吐き出七頭の竜の心から排出された狂気の汚物が、あらゆる空間、あら ジャム・カレット。。、 されたカ線の場。一万年が二度経過するあいだ、時空間と人びとのゆる時間へ流れこむのをやめたのには、一つの理由がある・ : 心を貫いて脈動してきた場。それが突如として不可解にも中断さ 種族への反逆者センフは、代表委員たちの前にうかんでいた。こ れ、フン王アッテイラは思わず両手で頭をかかえた。頭蓋の中で、 の公聴会の代訴官をつとめているのは、センフの友人であり、いま 心が繩のようによじれる。目にもやがかかり、それが晴れたとき、 彼は胸の奥底からほ 0 と吐息をもらした。アッテイラは自軍に後退や彼の最終流動を要求しようとしているライナだ 0 た。ライナは物 を命じた。大教皇レオは、神とそして今なお記憶に残る救世主キリ柔らかに、だが雄弁に、この大科学者がなにをしたかを物語 0 た。 房 早 《新刊》 来たるべき生物学時代への提言 第ニ創世記 アーサー・・クラーク激賞 ! 実に魅惑的な本だ。本書に記ざれた革命的な生物学上 の諸発見が、一般の人に理解されることが早ければ早 いほど、人類が生き残るチャンスも多くなる。 アルバート・ローゼンフェルト / 巻正平訳 / 予価 650 円 3 7