チほどの玄武岩繊維の性能は、厚さ一メートルのなりュニ レンガ壁に匹敵するそうだ。 ークな方 軽いということも魅力のひとつ。住宅一部屋ほ法を考え どの大きさで、重量はわずか数十キログラム。そた。大砲 れで鋼より強いというのだから、宇宙船用としてに消火剤 目をつけられるのも、当然といえるかも知れな入りの弾 丸を 0 め、 2 、 いま、この玄武岩繊維を使って、種々の機械や高層ビル も」 - 冶具が開発されつつあるが、変 0 たものとしてはの火点に、 .4 ・ ~ ・家具や良質の強い紙などの製造も考えられてい打ち込ん る。 で消そう 無機質の繊維として有名なのはガラス繊維だというも が、これを作るには精選されたさまざまな原料をのた。 必要とする。ところがこの玄武岩繊維は、地球だ発案し たのは通 けでなく、他の天体にもあるとみられる玄武岩だ 産省の公 けあればよい しかも玄武ぬの埋蔵量は無尽蔵。地殻はほぼこ害資源研 の玄武岩でできているのだ。鉄とかアルミニウム究所第四 などの金属原料も、いずれは尽きるにちがいな部。大砲 。そのあと、地球の文明は、この玄武岩時代をは口径一 迎えるのではなかろうか。 三五ミリ、長さ一メートルの迫撃砲のようなもの ・岩石で作る宇宙船 で、これに消火剤一二キログラム入れ、黒色火薬の 力で発射させる。 未来都市を守る大砲 宇宙船といえばチタンなどの軽くて強い特殊金・ 名古屋市消防局で行なわれた実験は、七〇メー 属で作るもの、というのが常識だが、この宇宙船 トル離れたところにビルの窓ガラスをはめた小屋 「日本沈没」なる co が超ベストセラーになった を岩石で作ろうという研究がソ連で始まった。 岩石で作るといっても、もちろんそれをくり抜り、映画「ソイレント・グリーン」が評判にの火災を消すものだった。三回くり返されたが、 三回ともガラスを破って火点に命中、一発で消し いて作ろうというわけではない。岩石のひとつに なったり、われわれ地球人の未来のイメージはか 玄武岩というのがあるが、それをくだいて繊維をなりくらいが、その一方ではこれを明るいものに止めている。 単純なようだが、この方法の実用価値はきわめ 取り出し、それを宇宙開発機器の材料にしようとしようとの努力が、懸命に続けられている。 いうのだ。 そのひとつが、ここに紹介する大砲。未来都市て大きい。消火剤や推進火薬の量をふやし、適当 キエフの建設資材工業省は玄武岩繊維研究所をがさらに高層化することは、人口の増大ぶりや、な誘導装置をとりつければ、どんな高層ビルの火 災にも、役立たせることができる。 作ったが、そこの実験データによると、この繊維都市化の傾向からみて、まず間違いあるまい いまでさえ災害のさいの火災に手こずっている で作った材料は、マイナス二六〇度からプラス一 このほか地上でも、火災現場に近づくことので 〇〇〇度までの温度変化に耐える。 のに、これ以上多くの人間が、空中に住むようにきない地下街や、狭い坑道、海上の船の火災など 破断に対する強度は、鋼材料を上回っているなれば、手のつけようがないといえる。 に利用できそう。火事といえば、消防署からサイ どうすれば安全を守れるかーー・さまざまなアイレンを鳴らしつつ消防車が飛び出し、原始的なホ が、重さは鋼よりもはるかに軽く、生産コストも きわめて安い。耐熱防音性も抜群で、厚さ五センデアが考えられているが、日本の消防当ー可は、、 ースを伸ばして水をかける、というのがいまの あフこな リ 0 火点めがけねらいを定めた消火砲 6-
最新刊 宇宙囚人船の反舌し / 、ミノレトン SF の初心を伝える 冒険とロマンの ハヤカワ S F 文庫 ノンガーと竜の都 既刊 IOO 点 260 指折りの凶悪犯人を集めた囚人護送合についに反乱発生。フューチャーメン危し一 アンドロイドお雪 平井和正 Y 260 貧乏刑事の野坂カゞ老皀罪者から贈られた時価百万ドノレのアンドロイドの正体とは ? 石少漠の救世主 ボウルが帝位に着き 12 年 恐怖の疫病宇宙船 ト Y 350 彼を恐れる旧勢力の陰謀は物語を意想外の結末へ導く 銀河の駭すを抜けて Y 2 4 0 死にゆく太陽星 Y 2 6 0 マー - ノレ & 夕、一一ノレトン 地球 0 年 矢野徹 六つの月の要 シェーノレ & ダーノレトン 暗黒界の妖精 砂の惑星 2 ムーア ( 仮題 : 平井不ロ正 リオの狼男 〔 9 月刊行作品〕 ノヨーーンをス・ 放浪惑星骸骨の洞窟 / 、ミノレトン 輝く星々のかなたへ . 平井和正 狼よ、故郷をは 2 6 0 Y 2 5 0 0 Y 2 4 0 Y 2 4 0 Y 2 3 0 Y 2 5 0 砂の惑星 ト 狩り 平井和正 地球の汚名 豊田有 銀河の果ての惑星 モンスター・マン / ぐロウズ 銀河よ永なれ アンダー・スン 砂 カーター Y 3 3 0 Y 2 3 0 Y 3 2 0 2 7 0 Y 2 4 0 Y 2 3 0 2 6 0 3 3 0 不死なる者 ( 仮題 ) ら′ェーーノレ & - マ - ーノレ A6 判 ( 文庫サイズ ) カラーロ絵・挿絵つき
ートルの荒野に、長さ四一・六キロにわたって、 姿。未来都市では消防署の屋上から誘導装置つき球から一万光年以内に、四〇〇万の恒星系があ の消火弾が飛び出し、それこそあっという間に火る。 字形に電波望遠鏡を並べることを決めた。 はに命中して、火を消し止める、ということにな このなかに一万の文明があり、そのうちの一つ ( べ リ・ラージ・アレイⅱ非常に長いリ 歹 ) と呼 りそうだ。 、かなり発達した文明である、と学者たちは判ばれるこのアンテナの列も、宇宙からの通信を捜 断している。 すためのものだ。 一万光年といえば、ざっと九万五〇〇〇兆キ さらに航空宇宙局 (Z<n<) と米に学教育協 ■早く宇宙の仲間との対話を ロ。そんなに広い範囲から、発達した文明を見つ会は、サイクロプス計画と呼ばれるプランを明ら 「この数年間に、宇宙に生命があることを示すけることが、出来るものだろうか。天文学者たちかにした。一辺およそ三・二キロの正方形に、一 証拠が、いくつも発見された。太陽系以外の惑星は可能だと主張する。まず目をつけたのは、プエ定間隔で電波望遠鏡を並べる。この方法を使え ルトリコのアレシポ近くの山中にある直径三〇〇ば、現在ではよくわかっていない宇宙の奥からの に、生命が存在することは、まず間違いあるま これらの惑星のいくつかに住む生物は、少なメートルの巨大な電波望遠鏡。コーネル大学が管電波も、キャッチできるという。 理し国立天文学・電離層センターに所属する施設 サイクロプスとはギリシャ神話に登場するひと くともわれわれと同じくらい知的であるにちがい だが、これを使えばかなり微弱な電波信号でもキつ目の巨人。正方形に並んだ電波望遠鏡群は、宇 ない」 ャッチできる。 いいたいのだろう。 宙人を発見する地球の目と これは全米科学アカデミーの科学と政策委員会 たカ、いまの観測の能力からみると、このよう が、このほど出した報告書の要旨である。まとめそれでも受信困難な場合は、数キロ離れた他の な努力をしても、宇宙人を発見するのは生やさし たのは二四人の指導的天文学者。一一年間にわたっ電波望遠鏡も動員する。同時に同じ電波をキャッ チして、アパーチャー いことではない。 ・シンセシス ( 口径合成 ) て行なってきた検討の結論たった。 という新技術で電波を分析すれば、まず受信し損アレシボの国立センターの所長は、オズマ計画 宇宙に知的生命があるという推測は、かなり古 の中心人物だったフランク・・ドレイク博上。 くからあった。ォズマ計画のように、大きなパラなうことはないという。 ボラアンテナを宇宙に向け、信号を受信することそれに加えて全米科学財図は、 = 、ーメキシコ宇宙人の発見にもっとも楽観的な判断をしている 日ソコロの西八〇キロにある一万二〇〇〇平方メといわれるが、その彼ですら「他の文明を発見す も試みられた。パイオニア探測機にも、宇宙人に あてた通信が積み込まれた。 地球人は、宇宙の仲間を求め続けてきた。 ( 上目天王星人、下日金星人 ) 十九世紀中頃の想像図 だが、その一方では、知的生命は地球にだけし かいないという考え方も強かった。宗教の影響も あって、地球人の多くは、宇宙人の存在を切実に 考えていなかったといってよかろう。 たが権威ある全米科学アカデミーのこの報告書 は、そうした人びとの考え方を、はつぎりと否定 した。、 しや、それだけではない。 こうもいってい るのである。 「この瞬間にも、まさにこの報告書の用紙を貫い て、遠くの生物の会話を乗せた電波が、飛び込ん でいるものと思われる。受信アンテナを正しい方 向に向け、正しい周波数に合わせさえすれば、そ の会話はキャッチできるはずだ」 いったいどの方角に、このような知的生命がい るのだろうか。天文学者たちの計算によると、地
時計をあなたは見る。二本の釘があり、円形にならべられた数字長いジャンプには、昔は薬品を服用したものだが、— 一。田作用が発見 がある。針はうごく。しかしそれが同じ速度でうごいているのか、 されてからは、使用されなくなった。光速に近い宇宙飛行のあいだ 一方がもう一方より早くうごいているのか、あなたにはわからな に、薬を服用したものや病人や怪我人に生じた問題は、むろん解決 。よりとはどういう意味だろう ? 針と数字の輪にはなにか関係されていない。十光年のジャンプも、はしかの患者や銃弾による負 がある。その関係をいいあらわす言葉、口先まで出かかっているの傷者には理論上はなんのちがいもない。肉体は、ほんの数分間、年 にーー・針は : : : とにかく、数字を示すものだ。いや数字だろうかー をとるだけである、しかし、十光年のジャンプののち、はしかの患 ー針を示すのは ? をとは、どういう意味なのか ? あれが数字で者がらい病患者となり負傷者が死者となって船外に運びだされるの あることはわかるーーー語彙がまったく萎縮したわけじゃない むはなぜだろう ? だれも知らない、おそらく肉体のほかには。肉体 ろん数えることだってできる。イチ、ニ、サン、シ : : : しかしかなの論理を維持するものがなにかということや、十年のあいだ、うみ しいことに、どれがどれなのかわからない。イチはイチ、イチそのと血を流して横たわっていたことや、薬によって意識を失っていた もの。どこから数えはじめればいいのだろう ? イチはイチ、つまことを知っているのは肉体たけなのだ。おびただしい痴愚が発生 り、なんといえばいいのだろう、そうだ、なにか状態をあらわす言し、フィッシャー・キング効果が事実であると確証され、薬の使用 葉ーーイチとニをつなぐもの。そのつなぐものがない。ここはこと、病人、負傷者、姙婦の輸送が禁止されたのである。ナアアル飛 こ、これはこれ。あそこはない。マヤはほろびた。すべてよ、、 冫しま行をするためには、健康状態が正常でなければならない。それに守 らねばならないおきてである。 ここに一つとなった。しかしすべてが、いまここに一つとなれば、 おわりはない。はじめがなければ、おわりはないのだ。おお、神しかし、正気でいる必要はない。 地球人が、使い古されたエゴをふるいたたせるために、気の遠く よ、いまここに一つとなるものが、わたしをここから連れだす : わたしはいま、ナアアル飛行時の、平均的人間の感覚を表現しよなるような長へ、薄明のかなた、はるかな星のかなたへと宇宙船 うとしているのである。時間感覚が鋭敏な人間にとっては、こんなをとびたたせたのは、宇宙連合の創成期である。彼らは、ハインの なまやさしいものではないだろう。ある者にとって、それは、麻薬始祖によって建設され、播種された既存の新天地ではない、真の異 のもやが、時間の暴虐から心をときはなつのにも似た、安息のひと境をさがしもとめていた。そうした極地調査隊の隊員はみな異常心 ときである。そしてごく少数の者にとっては、神秘的な体験であ理の持主であった。そうでもなければ、だれが、四世紀、五世紀、 る。彼らを永遠の直観に一途に導くところの時間と関係の喪失。し いや六世紀さきでなければ受けとってもらえない情報を集めに出か かし神秘論者は少数派の変人であり、大部分の人々は、苦悩にみちけるであろうか ? 瞬間伝達装置が発明される以前のことである。 た、不条理な祈りによってパラドキシカルな時間の中で神に近づ彼らは空間的にも時間的にも孤立していた。近くの星へのほんの数 十年の旅で、時間喪失を体験した人間なら、五百年の旅に志願する
最近の「ネーチュア』誌上でコーネル大学の が存在すると主張するための根拠が、ますます増えること カール・サガン博士と、カリフォルニア工科大 になり、宇宙人を登場させやすくなる。 学のアンドリュー・ヤング博士とは、そうした しかし、特に破減テーマのにとっては、より好都合 である。 趣旨の仮説を発表している。彼らは、もし太陽 のエネルギー放射が波動するものとすれば、ア 従来の破減の限界状況のパターンーーー太陽の爆発と メリカの火星探測器マリナー 9 号が撮影した火 か、温度の異常上昇あるいは低下によって起こる悲劇など チャンネル いかに強弁しても、天文学的、天体物理学的にいっ 星表面の河床状の水路のような謎も、解釈がっ て、いかにも無理がめだった。そうした状況が従来の定説 くかもしれない、という。つまり、現在は、両 によっては、そうかんたんには起きそうもなかったからで 極にかたく結氷しあるいは地中に閉じこめられ ある。 ている火星の水も、より高温だった時期には、 しかし、もしこのエネルギー波動説をとるならば、それ 自由に地表上を流れていたのかもしれない は従来よりずっと容易で、しかも信憑性に富んだ設定とな というわけである。 りうる。太陽の爆発は、太陽が、・図の主系列を離れ サガン、ヤング両博士はさらに推論をおしす るまでーーっまりあと少なくとも四、五〇億年ーー待たな すめる。 ければならないから、暫く措くとしても、地球上の生物の 彼らは、われわれの太陽のこうした行動が、 運命にかかわる程度の温度の異常上昇や降下は、数百万年 必ずしも特別のものではなく宇宙により一般的 太の温度が突然上昇する ? 単位で、何度でも起こる可能性が出てきたわけだから、比 なものではないかという想定のもとに、太陽の 比較的近くにある他の恒星をチェックしてみた。その結果、彼らは、われわ較的かんたんに設定でき、しかもそれがおかしくない、ということになるわ れから五二〇光年の距離にある。フレセ。へ星団のなかに、普通考えられるよりけだ。 もはるか大幅にエネルギー放射が変化する恒星を多数発見した。 それにしても : : : 大幅な気候変化が期待できるというので、地球以外の他 ということは、これらの恒星に属する惑星上に、大きな、長期にわたる気の恒星の惑星に、生命の発生と進化をーーさらには宇宙人や異星文明の存在 の可能性をより十分仮定することのできるエネルギー波動説が、逆にわが 候の変化をもたらすということになりーーしたがって、地球の場合のような 生命の発生と、そして進化とを促すチャンスが、それらの惑星にも従来考え地球と人類との災厄をより十分に仮定する材料にもなるというのは、皮肉な ことである。けつきよくは、それが、この宇宙を支配する物理法則というも られていた以上にある、ということになるーー・・彼らは、同論文の中で、この のの厳しさなのかもしれないが : ・ ように主張している。 この太陽のエネルギー放射の波動サイクル説は、とくに宇宙小説や破 減にとっても、非常に便利なセオリーであるはずである。 宇宙小説にとっては、もちろん、他の恒星の惑星系に、さまざまの宇宙人 囀、。一、 ( sCIENCE UR L を 第ーを驪豊ト , 3 7
・・・ここ十年あまり世界的に幻想小説や伝奇小同じ状態に置き、心身ともに過去と同化した『恐怖の疫病宇宙船』 "Plague Ship" ・ 65 ◆ 9 説が復活し、でもファンタスティ〉クな瞬間にその過去に移行できるという理に基 ( 小隅黎訳・二六〇円 ) は超空間飛行中、疫 0 いた研究で、彼はその性格資質から最も相応病に冒されて死の隔離処置を受けた宇宙船乗 ・・・要素を持つものが多く書かれる傾向にある ・・が、それは十九世紀以来の科学的合理主義がしいとされた十九世紀末のニ = ーヨークに派組員の冒険を描く。ポール・アンダースンの ・・限界に達し、公害や人口過剰などさまざまの遣されることになる。 『銀河よ永遠なれ』 "Star 「 a ・ : 56 ( 三 こう書けば、フィニイが、これまでもしば田村裕訳・二三〇円 ) は宇宙の放浪者〈ノー ・イ矛盾を生みだして苦い幻減を味わせたことか 〉が、未知の領域で全く異質の古い文 ・・ら来 0 脱現代、脱合理主義的、と無関係」ば書」き ~ 」過去〈 0 回帰を、 , , と」「〉【 - ・・ではないようだ。 たタイムトラベルものに似ていることがわか明世界を発見する。リン・カーターの『ゾン = その意味で、「リ一・ウ→ ~ 〉一の浩澣なるだろうが、実際この作品は、それらの総決ガーと竜の都』 = T = 。品。「 ( = 。 Dragon フィニイは C 一 ( をこ 66 ~ 70 ( 多田雄二訳、一一六〇円 ) は、 : ◆・◆・労作『オカルト』 "The ()ccult ) 70 こ ( 中村算を試みたものと考えてもいい。 - ・ . 保男訳・新潮社・上下各一三〇〇円 ) が翻訳八年の年月をかけて完成したこの小説の中で超古代のレムリア大陸を舞台にくりひろげら : ◆・◆・◆・出版されたことにはタイムリーな意義があ存分に過去へのノスタルジアを展開してみせれる剣士ゾンガーの冒険。このほか、フラン : ◆・◆・◆・る。〈オカルト〉とは神秘的なもの、超自然るが、それは同時に、過去がどのようにしてク・ ートの『デューン砂の惑星 4 』 , ・◆・◆・◆、的なものの意味で、近代科学が迷信として追現代まで来たのか、という問いでもあり、そ "Dune" ) 65 ( 矢野徹訳・三三〇円 ) はこの : ◆・◆・◆・放してしまった秘教的なものーー占星術からして、現代をどう扱うか、という決意につな大作の四冊めで、第一部の完結編。 : ◆・◆・◆・魔術、予感、テレバシーなどを指すが、本書がる心象風景でもある。フィニイ作品のモニ 創一兀はジョン・ジェイクスのヒロイツ : ◆・◆・◆・はこうしたものを再評価することによって、 ュメント的な作品といっていいだろう。 ク・ファンタジー『戦士プラク対謎の神殿』 : ◆・◆・◆・現代にとってすでに桎梏と化してしまった女性ではじめてヒ、 ーゴー賞、ネビ = ラ賞 "Brak the Barbarian" ) 68 ( 一ノ瀬直二訳 一九〇円 ) は、新しいコナン・シリーズと 9 9 蜘かに見える近代的合理主義からの突破口を見をさら 0 たアン・「キャフリイの『ドラゴン いわれる魔法と剣と恋の物語。 ・・・出そうというウイルソンの主張を述べたものの戦士』 (I)ragonfIight"'68 ( 船戸牧子訳・ ・・・である。彼はすでにその意図をこめた小説早川シリーズ・五六〇円 ) は、メルヘン なおではないが〈ハヤカワ Z> 文庫〉 ・・「賢者の石』を書いているが、本書ではそれ的の傑作として、アメリカで非常な好評から出たリチャー ド・マシスンの中 ・・がより明確に打出されている。超能力現象にを博していた作品である。射手座セクターの ・・ - 興味ある読者にとっても興味ぶかいはずルク・ ( ット星の第一二惑星パーンに住みついた篇集『激突 ! 』 実 である。 (l)uel ・・ 人類は伝説的な怪物 , ーー銀糸状の胞子生物の ・ 71 ( 小 正 ョ ・・ - ジャ〉ク・フィ = イの久々の新作長編『ふ侵略を受けて危殆に瀕する。そして人類は、鷹信光訳・二四〇 了◆・◆・◆・りたしに戻る』 "Timeand Again"'70 ( 福いまは伝説と化していた、翼を持ちテレポー円 ) は、現実の中 ク一 0 田 島正実訳・角川書店・一五〇〇円 ) が出た。 テーションで飛翔する竜にうちまたがってこにある異常な恐怖 了◆・◆・ ? 広告代理店につとめるコマーシャル・デザイれを撃退するーー新鮮なイメージを持っさわを描く傑作そろい マ・◆・◆・◆・ナーの青年が、政府の秘密プロジェクトからやかな冒険ファンタジーである。 で読者も十分 旦 》・◆・◆・◆・協力を要請される。秘密プロジェクトとは一早川文庫からは四冊。アンドレ・ノー楽しめる。 ′◆◆種のタイムトラベルで、人間を特定の過去とトンの〈太陽の女王号〉シリ ーズの 2 冊め
れた資材を猜疑深く外部から守りながら、とりかえすすべもない昔 移民が、一方通行のテレポート機で送られている。このテレポート トレールス・オプ・ホフマ / 会社〈ホフマンの通路〉の出現で、父親の経営する宇宙連送事業をの日を懐しんでいる。ウ = スト・マリンの田舎町は、その中では運 倒産させられたラフメール・べン・アップル・ハウムは、たった一隻のいいほうで、二台のラジオ、ウイスキーと葉巻を作る工場、それ ハリントンという神秘的なほど腕のいい便利屋をかか 残った宇宙船オンパロス ( 臍 ) 号に乗りこみ、〈くじらのロ〉で事にホッビー 実なにが起こっているかを調べようと、往復三十六年の旅に出発すえている。 る。〈くじらのロ〉での生活については、無線通信でラ色の報告 ウエスト・マリンには、秘密をもった人びとが何人かいる。・フル が送られてくるのだが、アップル・ハウムは、最悪の状況ーーードイツ ートゲルト博士 ( 題名の″プラッドマネーしは、戦前の核実験で の言いなりになった国連による、世界の人口問題の究極的解決法ー大災厄をもたらした罪悪感から気の狂った物理学者で、戦争の責任 ーがそこにあるのではないかと疑ったのである。 が自分にあり、秘密機関員が自分を探しまわっている、と信じてい 早くいえば、〈くじらのロ〉は一種の死者の国で、そこへは片道る。彼は偽名のもとに羊を飼い、そして発見されはしないかと毎日 旅行しかない。アップル・ハウムはいったん″死に久死後の生を調びくびくもので暮らしている。エディ・ケラーという女の子は、子 査したあと、地球へ帰ることによって蘇えらねばならない。しか供によくあるように、目に見えない遊び友だち ( ビルという名の ) し、彼はほかの方法で、この植民惑星が、実は〈ホフマンの通路〉をもっているが、それがまだ彼女の体の中に囚えられたままでいる の企図する地球侵略のための、強制労働と、地下工場 ( 『準究極的双生児の弟であることは、だれも気がっかない。機械工のホッ。ヒー 真実』風な ) と、軍事訓練の地獄であることを知る。彼はまた、テは、巧妙な設計の義手を備えた車イスで動きまわる戦前のサリドマ レポート機が実は両方に作動できる以上、移民たちを″生き返らせイド児 ( あざらし肢症体またはフォースと呼ばれている ) だが、そ る″のが可能であることをも見出す。この状況をそれまで知らなかの熟練の秘密は彼の念動能力にある。 った国連も、〈ホフマンの通路〉軍と戦うため、自己の軍隊を送り この奇妙な町の唯一の過去との接触は、地球の周回軌道に乗った 出す。 宇宙飛行士ウォルト・デンジャフィールドをつうじたものである。 ディックの最高作が、三冊とも彼のトレードマークであるテンボデンジャフィールドは火星への旅をあきらめ、全世界へのディスク の早いアクションとミステリ風の筋立てを捨てて、性格描写と設定 ・ジョッキーと情報センターの役をつとめている。音楽をかけ、 に重きをおいた作品であることは、意味深い。深みと説得力の面で説を朗読し、天気予報を知らせ、孤独な村落をおたがいに接触させ 得たものが、表面な動きの点で失ったものよりも、はるかに大き、 しることで、彼は真下にある荒廃の世界へなにがしかの正気と結合カ のである。『プラッドマネー博士、あるいはわれわれはいかにしてをもたらしているのだ ・ストレンジラブ 水爆と仲よくするようになったか』 ( 『博士の異常な愛情、あるい は私はいかにして心配するのをやめて、水爆を愛するようになった 眼下の世界は、夜の側を彼のほうに向けて、闇に包まれてい た。しかし、すでにその端には昼の緑が現われているのが見え、 か』の明らかな盗用 ) には、またもやからつぼの世界が現われる が、それは『準究極的真実』の″みどりの楽園″ではない。核戦争まもなく彼はふたたびその中を通ることになるのだった。あちこ ちに見える明りは、惑星の表面をつついた穴のように輝いてい 後の社会はほとんど部族レベルにまで退化し、孤立した小村が限ら
を理解しようとするときも、彼にさわらなければなりませんでし・ほくがそう言ってるんだからということで、信じてもらうよりほか た 9 ・ほくはあなたがたの言葉を覚えるまで待たなければならなかつありませんね。ぼくはただ、ここに水があるということ、よそへ行 2 2 ってはいけないということを知ってほしいだけなんですから。 たのです。それは・ほくにとって新しい言葉でしたから」 「ねえきみ、きみはどこからきたの ? 」いままで押えつけていた好ぼくの生まれ故郷はよその惑星です。いえ、よその惑星でした。 奇心がついに爆発して、・ほくはせきこんでたずねた。「どうしてあもうそれは宇宙空間で大爆発を起こし、ばらばらになって飛び散っ んな牧草地にいたの ? あの箱のなかにあるのはーー」あやういとてしまったんです」彼の盲いた顔に沈痛な表情が浮かび、くちびる が引き結ばれた。・ほくはうなじの毛がさかだつのを覚えた。彼が・ほ ころで・ほくは、あの黒焦げの箱のことを知っているのは・ほくだけだ くの手首に触れているかぎり、・ほくにもそれが見えたのだ ! その ということを思いだした。 「ぼくのカヒラ ! 」ティ は叫んだーーそれから、・ほくにかぶりとき見たものをここでお伝えするわけにはいかない。なぜならその を振ってみせると、またおとうさんに向きなおった。「どういうふ大半には、・ほくがそれを表現できるような言葉がなかったから。だ うに話したら信じていただけるのかわかりません。あなたがたの知けどぼくは見たのだー 識がどの程度のものかーー」 「・ほくらは宇宙を飛ぶ船を持っていました」そう彼が言うと、ぼく はそれを見た。針のようにとがって、びかびか光った船、それがそ 「おとうさんは、この准州のだれよりも頭がいいんだそ ! 」・ほくは 叫んた。 の先端を、空へ、そして赤い光に照らされた厚い雲に向けている。 「准州・・・ーー」ティ は″准州″の意味を推し測ろうとしてか、ち「その船で・ほくらは宇宙に乗りだしました。《故郷》が爆発する前 《故郷ご声が割れ、ちょ よっと黙りこんだ。「・ほくの考えていたのは、この世界ーーきみたに。・ほくらの《故郷》 ! ・ほくらの っとのあいだ彼は、本の山に頬をもたせかけた。それからまた身を ちの世界のことなんだけどーー」 「宇宙にはほかにも惑星があるーーー」・ほくはふと思いだして、いっ起こして話しだした。「・ほくらはあなたがたの世界にきました。く るまでここのことはなにも知りませんでした。・ほくらは遠い、遠い かのおとうさんの謎めいた言葉をくりかえした。 「すると、ほかにも惑星があるということを知っているんだね ? 」距離を飛んできました。最後に・ほくらの速度は、あまりにはやくな ティ ーは言った。「じゃあきみたちはーーー」彼は言葉を捜した。 りすぎました。ぼくらはもともと宇宙旅行家じゃないんです。あな 「きみたちはーー人間や物を空に送ることを知っているかい ? 」 たがたの世界を見つけた大きな船は、その速度のためにすごく熱く おとうさんが身をのりだした。「飛行機械を持っているかという なりました。ぼくらはめいめい一人乗りの救命艇で脱出せねばなり のかねフ ませんでした。その救命艇もすごく熱くなりました。・ほくは焼け死 いや、まだだ。気球ならあるがーー」 にそうでした ! それで救命艇の操縦もできなくなりました。・ほく の指がまた・ほくの手首にかかった。彼は溜息をついた。 は落ちましたーーー」彼は顏の包帯に手をあてた。「もし助けていた 「じゃあ・ほくはただ話すしかありません。もし理解できなくても、
ものはいないだろう。この旅を志願した隊員たちはそれそれ、現実「彼にはがまんがならない」と重科学者 ( 化学プラス物理学、天文 学、地質学もろもろ ) のポーロックがいった。ロひげに唾が点々と 逃避者であり、環境不適応者であり、痴愚であった。 へスムのスメミン港でフェリイに乗船し、母船グムとびちる。「あの男は狂人だよ。くにのチームの資格審査にパスし 彼ら十名は、。 に運ばれるまでの三日間、おたがいを知ろうというおろかしい努力たものた。政府企画の、不適応性の実験として、モルモットがわり をした。グムはロウ・セチアンの愛称で、ベビイとかべットというに乗せたというなら話は別だが」 「われわれは、モルモットではなく、ハムスターやハインのゴォル ような意味がある。チームの構成人員は、ロウ・セチアン一名、ヘ アリ・セチアン一名、ハイン人二名、ベルディン人一名、そしてテを使いますが」と軽科学者 ( 心理学プラス精神医学、人類学、生態 ラ人五名である。母船はセチアン製だが、テラ政府がチャーターし学を含む ) のマノンが折目正しくいった。 ( イン人である。「オス たものだ。混成チームの隊員たちは、宇宙に繁殖する敏捷な精虫のデン氏は、きわめてまれな例です。レンダー症候群の最初の治癒例 ように、母船の連結チ = ー・フをくぐって乗船した。フェリーが去ですーー・治癒不能とされていた小児自閉症の一種ですが。地球のか 、パイロットはグムを発進させた。グ、ムは、。 へスムから数億マイの有名な精神分析学者である ( マーゲルドは、ああした自閉症状 は、超人的なエンパシイ能力のあらわれであるとして、しかるべき ルの宇宙の辺境を数時間ただよったのち、とっ・せん消失した。 十時間二十九分後、または二百五十六年後、グムがふたたび正常治療法を開発しました。オスデン氏はその治療を受けた患者の第一 空間にあらわれるときは、・・九六六五一星の近辺にいるは号で、十八の年までハマーゲルド博士と起居を共にしていたんです ずであった。たしかに針ほどの金色の星が、かがやいていた。直径よ。しかもその療法は、完全に成功したわけです」 四億キロの球のなかのどこかに、緑色の惑星四四七〇があるはずだ「成功 ? 」 った。その昔、セチアンの宇宙図作成者によって記入された星であ「ええ、そうですとも、彼はもはや自閉症患者ではありません」 「しかし、おれはがまんがならん ! 」 る。グムはいま、この惑星をさがさねばならない。直径四億キロの 「それはですね」マノンは唾のとびちったポーロックのひげをおだ 干し草の山をさがすのだからなまやさしい仕事ではない。その上、 冫ーしかない。もしそんなやかな目で見つめながら、「初対面同士のあいだに生じるノーマル 惑星間宇宙を光速に近い速度でとぶわけこよ、 たとえばあなたとオスデン氏の場合ですね 速度でとんだら、グムも・九六六五一星も四四七〇星もみんな防禦ー攻撃反応は なふっとんでしまうだろう。ロケット推進に切りかえて時速十万マ ご自分ではほとんど気づかれないものなんです。習慣や無関心 イルでそろそろ飛ばねばならない。数学者兼パイロットのアスナニなどが、あなたにそれを看過させるのです。つまりあなたは、それ フォイルは、惑星の位置をかなり正確に知っていたので、十三日以を無視することを体得されている、その存在を否定するところまで。 内には発見できる自信があ 0 た。その間、隊員は、も 0 とたがいにしかしオスデン氏は、 = ン。 ( スですから、それを感じます。自分の 知りあう必要があった。 感情とあなたの感情を同時に感じるのです、どれがだれのかわから
さ。ここはまだ中世的世界だし、・こ、、 オししち、ジョーカンジーが言う「まさか食用じゃあるまいな」 革命というのは、ここの王制に対するものじゃないからね」 吉永は真顔で言った。 「そうか。そうだったな。この世界を不当に支配しているのは、亜「違うね。僕もそれは考えてみたが、それだったら手間ひまかけて 空間を作り、維持している宇宙人だったつけ」 生かしとくわけがない。亜空間の技術があるくらいなら、生かさな 「だから、内輪もめをやめさせて、挙国一致体制ができればそれでくても保存できるだろう」 。さしずめワイナンのドロシー女王を中心にするわけさ」 「じゃあ何だ」 「でも、ドロシー女王というのは、まるでロスポの傀儡だって言う「もうひとっ考えられるのは、ここで全く異質な文明を育てあげ、 しゃないか。そんなのにまかせて大丈夫かな」 やがて我々のいた世界へ連れだして : : : つまり彼らの都合のいいよ 「まだ会ったこともないし、やってみなければ判らないさ」 うな人間を作りだして、地球を侵略するって考え方だ」 「それにしてもおかしいね」 「円盤ゃあの緑の光線、それにこの亜空間世界 : : : いますぐやった 「何が」 って、連中の科学力に不足はないだろう」 「この世界さ。自然のありかたがどうもおかしい。鉄を利用できる「だが、コストの問題もあるよ。ことに、円盤はさかんに目撃され まで行っているのに、なぜ車がなかったんだ。あらゆる刀剣類に粋ても、宇宙人そのものは減多に報告例がない。考えてみれば、円盤 をこらすのに、なぜ弓矢がない。そんな文明ってあるかな」 だってリモコンかもしれないしね。地球を支配する時は相当数の人 「それは供も感じてる。弓矢がないのは、多分けものがいないせい員がいる」 だろう。ひょっとすると、狩猟生活をここの連中は知らないんじゃ 「アンドロイドを使えばいい」 なしかと思う」 「そういうわけだな。しかし、それでは地球人が反感を持つのはは 「牛はいても馬がいない。鶏はいるがその他のけものはいない。な つきりしている。人類というのは、蛇は嫌悪するだけだが、機械と んかおかしいな」 なると軽蔑が入って来る。それに支配されればもの凄い憎しみに変 「大まかに言うと、人間がいるだけさ。その他のものは必要最低限るだろうね」 におさえてあるらしいな。騎乗をさせるにはそれほど広くない。む「結局、人間を支配するのに最適任なのは人間ってわけか」 しろ馬なんか要らない。牛さえあてがっておけば、うさぎも鴨も要「そうたよ。人間は人間を支配するようにできてる。同時に人間は りはしない。当然犬も要らないし、ペットの猫も不必要 : : : 」 人間に支配されるようにできてる」 「つまり、ここで宇宙人は人間を飼育してるってことか」 「天は人の上に人を作り、人の下にも人を作るだね」 「そうだな。だが、いくら考えてもそれ以上は判らない。何の為に 「だいだい、以前から僕はデモクラシーというのを信じていないん 亜空間を作り、何の為に人間を飼育しているか」 だ。自由、博愛、平等 : : : そんなもの、 いつあったね。完全な自由 ー 02