人類によ ーまだ 望みがあるー 未来があるー 高い徳性を求 めている人類 のよりよい部 分を育てて行 ( きっと . ↓っ力、フー 人類はそんな ・ : 悪鬼じゃ 答えて みろお時リ 狂暴な破壞者は人類 自身ではないのか ? おまえが必死に護ろうと しているものはいったいなに ものだ ? その歴史をとも食 いと流血でぬりたくってきた人 類という悪鬼だー・お時よ 人類はおまえの熱愛に価、 せぬ低劣な怪物よ ー 35
なぜ、そんなにかばいだてしなければ ならないのだ ? ・お時よ、おまえのもう ひとつの地球で、人類はすこしでも自己を キ学文明は 崇高なものに高めていたか ? 人問をますます退廃させ、腐敗させただ けだったではないか。人類に望みなどありは せぬ。おまえはそれを知っている。幻魔でみ ずからをあざむいているにすぎぬ : おれは人類を救済してやる。度しがたい人 類を暗黒から救いだしてやるのだ。人類のよ りよい部分だけをとりだして育て、さらに 高次の段階へ昇らせてやる。はかりしれぬ宏大 な新世界へと導くのだ。そのためにはお時、 おまえの力が必要だ。おれに手を貸せ。 おまえのように優れた超能力者の種子を選 別し、育てあげる。人類は昇華し、新世界の 王者に生れかわるのだ。 おれの子を産むがよい、お時。その子は人 類の救世主となり、新世界を支配するだろう。 : : : おまえこそ、おれの捜していた女だ。 6
ーーーこれが人 問の真の姿た これでも地球 人類は高級な〔 ' 第・代物といえる 極悪非道な悪 鬼は幻魔か、 それとも人類 お時 ! : どうだ
「 : : : あたしは、おまえたち幻魔によって 減亡した地球世界の生き残りよ : あたしは・ : ・ : 幻魔がなんであるか知っ ているわ ! おまえたち幻魔は 宇宙の侵略者で、狂った凶暴な ただ破壊のためだけ 破壊者だわ ! 存在する悪鬼よー おまえの腹の裡はわかっている。おまえの 野望とは、この地球を支配し、人類を幻 魔につくりかえること : : : 人類のすべてを 魔道におとすことだわー・そんなことを させるものですか : ◆レ だから ど、つしたと いうのだー 地球人類はそんな 高等な種族だという のか ? ・狂暴残忍、 野蛮な悪鬼、それは 人類自身のことではない か】それはおまえには わかっているはすだぞ。 お時ーーーおまえはみず からをあざむいている にすぎぬのだ : 13L
っていたが、その言動の中に、自分達がこの大会闘の真最中である。この時ばか をつくっているのだ、という意識が強く見られりは会場の観衆総立ちで《エン た。このような、作家やファンの考え方が、アメター。フライズ》に応援の拍手を リカのファンダムをここまで大きくしてきたので送ったのであったのであった。 ート・プロック審査 結局ロ・ハ はないかと、強く感じた次第である。 委員長以下の審査によって、最 も美しい、最もべミッシュ、等 大会第ニ日 ( 九月一日 ) の賞が選ばれたのだが、右の 一一日目のメインプログラムは『世界の終りを考窒ンタープライズ》が最もフ アンニッシュである、という賞 える』という討論会に始まる。 アメリカにおける人口問題、資源不足のもたらを受けたのは当然として、アイ す危機感にはかなり強いものがあるらしくアジモスキング・オヴ・クリスタルの フによる講演、及びそれに続くフレデリック・ボアイスキングに自ら扮したリン ールやべン・ポーヴァ等の話には、人口問題、資・カーターが、最も作中人物に 似ている、ということで賞をう 源問題に関するものが多かった。 特にアジモフは、「このままでは西暦一一〇〇〇けたのが目をひいた。 年を迎えぬうちに人口問題は解決不能なまでに深 即売はコンペンション・ロビ 刻化するであろう。それを防ぐためには、新しい 1 のハクスターズ・ルームにお 性道徳が必要である。今や人類はセックスのすべ ておこなわれていたが、この ての機能を必要とはしなくなった」と熱弁をふるい 規模もやはり日本とは比較の対 、聴衆の拍手かっさいを浴びていた。 二日目夜のお楽しみは、何といってもコスチュ称にならない。大きさもさる事 ームショーであろう。アメリカ各地のファンが趣ながら、そこで売られている ファンジン、古 向を疑らしての扮装には、思わず拍手も飛び出そ関係の品 書、・ハッジ、シャッ ( もちろん うというものだ。 最近のコスチュームショーでは、的なもの記念の ) 等の種類は数え切れな に代わってファンタシー的なものが主流を占めてい程だ。 ここでも知らされたのがスタ いるということだったが、なる程、出てくるもの ー・トレックの人気のすごさ はほとんどがヒロイックファンタシーの主人公達 で、ファンジンだけで 4 種類、 である。 あまりの素晴らしさに写真を撮るのも忘れて見その他、スポック・シャツやエ とれていると、突然会場の角から拍手に混って笑ンタープライズのバッジ等まで い声が起った。首を伸ばしてそちらを見れば、頭あり、そして、それがまた飛ぶ に大きな円盤をつけ、宇宙大作戦 ( スタートレッように売れているのだ。 ク ) に出てくる宇宙船《エンタープライズ》号の このスター・トレックのファ 扮装をした人と、こちらは《エンタープライズ》 【ンクラブの他、ルナ・マンスリ 号の宿敵、クリンゴン宇宙船の扮装をした人が格 、ア 1 プダム等の一流どころ グのファンジンもこのハクスタ 一ーズ・ルームの一コーナーに →陣取って売られていた。 ヴ ルアート・・ショウの行なわれ シ たのはメインのプログラムの 行なわれている会場の半分ほ どの広さを持っ会場でおこな ( を鑁 ( 作ルわれた。 . うデ アート・ショウよビ・ンヨー・ り一トリン・フルが全ての責任を持 語タって取り行っており、一ガード まレマンが入り口に立って警備す る程、慎重に行なわれてい あク のツた。というのも、このアート ムロ ・ショウにはファンの作ロに ラブ グり混じって、ケリー ディ・フ ス、ショーンハ プ右 ⑤ェイトといったプロの画家の 作品も数多く含まれているか らである。そして、そのそれ ぞれの作品は入札で竸う事が 出来るよう小さな紙がはって あり、底値が書いてある。フ アンの作品でも良作には五千 ドルの底価がついたりして、 戛シ観る人々を驚かせていた。し かし、ここで大変な事件が持 スち上がった。九月二日十一一時 を一し、、」イ半、会場内より「ビーンスタ ーク・習作 4 」 ( フリース ル画 ) が盗まれたのだ。ビジョ ーは早速ビラをつくり訴え た。「もし絵がアート・ショウ 会場またはいずれかのコンヴ エンション・ルームに返され たなら不問に伏せる。が返さ 8
地割れの両側岩壁の不吉な佇いから、岩が両側からびたりと閉じたつに切られた底深い純青の空から彼らを照りつけていた。彼らか て、二人の生命を押しつぶしてしまいはせぬかという不安にかられら九「イル以上下方には、深い咽喉が口を開け、その中に抱かれた ることがあったからだ。彼らは飛行船に乗らずに、ピク = ックがて彼らの小さな家はまるで人形の家のよう。その上方に大きな銀色の らに行くことに決めた。また別なオアシスが見つかるかもしれない船が輝いていた。湖は、物憂い岩の表面にこびりついた銀色のし という常に変らぬ希望を抱きながら進むのだ。 手に手をと 0 て二人は空中に舞い上った。死の前哨地点の並ぶ上や合間やらのこの広大な王国の中で、生命を象徴する唯一の場所だ 方で、にたにた笑う頭蓋骨のように和を開けた、黒すんだ大洞窟ったからだ。と、突然、黒いしみが湖面に現われた。ォメガは気づ かわしげにサルマの顔を見やった。そのしみが何を意味するかを彼 や、しかめつ面の絶壁やを越してマイルも上昇に上昇を重ねた。 彼らの飛行には、いささかの気張りも見られなか「た。彼らは人類はよく承知していたからだ。彼女の顔は青ざめ、引きゅがんでい た。そして彼らが水面に望遠鏡をかざす間彼女はオメガにしがみつ がとうの昔に理解した自然法則を利用していたに過ぎない。ついに いていた。 最高の峰に達して彼らは埃におおわれた岩の上で一休みするために 怪獣はまたしても遊び戯れているのではないか。奴はその長いく 停止した。 赤い太陽が陰鬱な地平線上にの・ほ 0 て、紫と黄金の横線にま 0 ぶねくねした胴体で水をばんばんたたいて泡を巻き起し、打ち興じて 2 に
「帯を解けお時、おれはおまえとまぐわい、 新生人類の種子を蒔いてやろう : ・ ・諸に・た土 6 されるものか 退れ、幻魔 " ー 37
こともできなかった。あえぎつつ、幾千もの死を死につづ、彼は塵そ ! と。 埃の中にはいづくばっていた。しかしついに彼は起きなおり、その 眼から塵埃を打ち払い、あらためて天空をあおぎ見た。彼は自然の 船の化学実験室内には、人類に知られた創造的な力と生命の、あ 残酷な命令を甘受するのだ。彼は生き続け、すべてをーー死すらもらゆる構成分子がたくわえられていた。地球の全域からそれは採取 シスダーイラネウッツ 征服するよう試みるのだ。 され、その中には、太陽系内他惑星から採られた物もあった。ここ 彼は湖岸沿いに視線を走らせた。そしそそこには、星明りで、死に創造のための原料があった。ここ、幾千年もの間、人は様々な形 んだ怪獣の姿がほの白く浮んで見えた。この怪獣は、サルマの狙い態の生命を創造して来ることができた。人類は数多くの、伸縮しの 誤またぬ腕をもづてしなかったなら、地球上の最後の動物になった たくり動く生物を進化させて来た。いや、それどころか人類は服従 のかもしれなかった。ォメガは吐息をつくと、愛する死者たちのも 本能をそなえた、人に似た猿さえ創ったのだ。これは召使いに使用 とへともどって行った。 された。また動物性食品の多くも、この方法によって創られて来 しかし、彼の生きる決心にもかかわらず、孤独がオメガの気力をこ。 吸い取っていった。それからの、絶望と向う見ずな気分に満ちた数 生物学と化学のすべての分野に精通していたオメガは、死を待っ 週間の間に、彼は雲幕を湖面上から解消してしまった。またもや太 長い時間をともにするための仲間を創造しようと考えた。それで ケミカル 陽の、熱した光線がさえぎられることなく降りそそぎ、湖は急速に 仕事にかかり、骨折りが彼の心の痛みを緩和した。彼は化学物質を 退いて行った。 試験管に入れ、生じた細胞が進北して生命の鼓動を打ち始めるのを 時の経過とともに、オ・メガはいよいよ落ち着きを失い始めた。幾見守 0 た。脆弱な胚を注意深く養づてから、他の原形質をそれに加 度も世界一周旅行をしてまわることによ 0 てだけ、彼は、そづとすえ、しかる後、その全体を、温めた精虫溶液を加えて受精させ、そ るような静寂を堪え忍べたのだ 0 た。彼は古代の人類の商業中心地れを孵卵器に移し、それに放射性紫色光線を投射した。 を訪れた最後の旅行者だ 0 た。彼は人生に希望を持ち、人生に絶望若い生命は急速に発育し、間もなくガラス壁の内部で、ある形態 した最後の人間たった。時折り彼は独り言を言 0 た。しかしその言が形づくられ始めた。一カ月後にはそれは孵卵器の半容積を満たし 葉は底深い静寂の中で、うつろに幽霊じみて響いた。それは彼のみた。そして六週間めの終りに、彼はそれを解放したが、なおも驚く じめさをいっそう堪えがたいものにするばかりだった。 ほどの速さで成長を続けた。 そしてある日、自暴自棄の念が発作的に高まって、彼は反抗的な 最初、彼は自分が創造した物のあまりの怪奇さに胆を冷した。そ 気分にかられた。人間界の最後の苦汁を呑む人間に彼を選んだ運命れは見るもあさましい、嫌悪を催させる生物だったからだ。その頭 を彼は呪づた。この自棄的な気分のなかで、彼はある向う見ずな計 部は平たく広く、その傾斜した肩の上、頸部を経ず、直接のってい た。その脚は短いが腕は長く、直立すると、その巨大な胴体の前方 画を発展させた。彼はこの苦汁をただ一人だけで呑んではやらない 227
ことができるのだった。すべては、オメガがほとんど努力を要せず所へと乗りつけたのは巨大な飛行船たった。その内部には人類の天 才と有能さの最新の結晶たる驚異の品々がすべてそろっていた・こ に操作できた。 ギリシア語のアルフア・ヘットやその他すべての古代の古典的文献れら、ほとんど超自然的な力をそなえた器具類はただ過去へと手を、 が、この時代まで生き残ったことは、ある程度、奇異に思われるだのばすのみならず、未来をも見透した。またコントロールの対象た ろう。だが人類の最新の発明がそのことすべての説明になった。とる気候があるかぎり、気候をつくり出しそれをコントロールするた いうのは、人類はその機械装置によって、影深きはるか過去へと探知めに使用される大きな原子力電気の動力機があった。電磁波を送り の手をのばし、あらゆる思想と行動の不減性を立証したからだ。歴出して、気圧を調整し、こちらに熱波をあちらに冷波をというよう 史のすべての記録、すべての勝利と敗北、人間性の歓喜と苦悩と憧に按配して、思いのままに旱魃や降雨をつくり出すのだ。しかし今 憬とは過去から出て、歴史記録装置のスクリーン上を横ぎって展開や、その他のほとんどの機械の場合と同様、オメガはもはやそれを した。そもそもいかなるものも決して失われないのだから、天地創必要としなかった。彼がそれを持ち続けているのは . 、それが彼を、 造の黎明期にこの地球上で起ったすべての音響と光景とはすでに、過去の喜びと結びつけているか . らだった。その . 他には、心をコン トロールする装置があった。その助けによって人は他世界を訪問す 感受性ある可塑物資や、あらゆるところに瀰漫するエーテルなどに 刻印されており、それは写真がフィルムや原板などにうつるのと同ることができるのだ。それは下意識を発達させ、意志力を訓練する 様で、人はこういった刻印を再生し、世界歴史を意のままに眼前に再ことによってなされた。しかしォメガはそういう巡礼にはあきあき 現させる機械装置を発明したのだった。古代の様々な生活形態すらしていた。自分の肉体がそういう遠隔飛行をおこなうことができな つみびと も過去から明るみに出された。聖人と罪人、奴隷と主人これらが混いからだ。時の経過とともに彼は地球こそ彼の当然の故郷であるこ 淆して現われた。孔子が彼の面前にヘり下って坐った。釈迦が弟子とを実感するようになった・地球の隣人たちすら、・死んだり死にか たちに謙虚たれと教えていた。キリストが十字架上で死んだ。武人けたりしており、彼の安息所たりえなかった。 なるほどォメガとサルマは、この最後の旅に出る以前にこの世の と政治家が勝利を叫び、敗北を嘆き悲しんでいた。哲学者は自己の 分別を説き、ソクラテスは毒にんじんを飲んでいた。ハ . ンニ、・ハルと宝物の中の目・ほしい物を所蔵していた。黄金や宝石の類は彼らにと シーザ 1 とアレクサンダー大王がそれそれの . 戦いを戦い、ナポレオってはありきたりなものだった。人がそういった物を意のままに作 ンが血に餓え、恐れを知らずに、オースタリツツからワ 1 テルロー り出せるようになってから、幾世紀を経たか数えられないくらいだ へと行進していた。すべてはオメガの科学の呼び、かけに応じてもどったからだ。だが、そういった品々といっしょに、彼らは、先立っ って来るのたった。 て行った愛する者たちの尊い記憶をふんだんに連んで来た。船内の 化学実験室にある生物学的機械ーーー大自然のふんだんな供給をあお 前にも述べたようにオメガとサルマとが人類のこの最後の避難場いで生命をつくり出す機械ーーーは「大気と湿気とがともに去ってし 9 2
なを・ー 4 ・ クラシック・リバイバル OMEGA, THE MAN 人間オメガ ロウェノレ・ H ・モロウ 訳 = 石川智嗣画 = 岩淵慶造 生命の死に絶えた母の星地球ーーー やっと帰りついたニ人の男女は 第イ第人類の未来への希望を子供にたくして ) 新しい出発を互いに誓いあったが / こ