スビリット - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1973年3月号
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1. SFマガジン 1973年3月号

スピリット的な悪女 , バリのプラスター ( 上 ) 「スピリット」の一場面 ( 下 ) なり、もちろん、コミック・ ・フックにもなった。 当時、アイスナーたちが、 作品を提供していたコミック ・ブックは、クオリティ・コ ミックス・グループのもので あった。 ( クオリティ系は、 おとなっ・ほい犯罪コミックス の出版社として、コミック・ ブック史上、独自の地位を占 めている ) そのクオリティ系 を代表する「ポリス・コミッ クス」の一九四一年八月創刊 号には、肉感的な「ファント 、ム・レディ」とコールの「プ ラスチック・マン」を登場さ さ ( つまり週刊誌大 ) のページを印刷し、ひとつのまとませたが、その第十一号に載ったのが「スビリット」なのだ った長さのコミックスを提供しようというのである。「私った。 は、ついに、新しいマーケットをつくった。新聞の日曜版 ( 「スビリット」のコミック・ブックは、クオリティ系で、 に、コミック・・フックをインサートするのだ。これまで、計二二冊、フィクション・ハウスから五冊、そして、ずつ ーヴェイ・コ だれもやったことのない試みだった」と、アイスナーは語と後になって、一九六六ー七年にかけて、 っている。 ミックスから二冊出版されている。ハ ーヴェイ版は、旧作 その七ページに、 「スビリット」を登場させ、それを、 のリプリントに新作を加えたもので、私は、その存在を知 〈スビリット・セクション〉と称することにした。こうしってから、なんとしても入手したくなり、アメリカのコミ て、「スビリット」は、日曜版新聞が運ぶ唯ひとつのコミ ック・ファンに頼んで、探してもらったものである。な ック・・フックとして、主として東部の都会地の新聞に、掲お、コミック工房から、アイスナーが送り出したキャラク 載されることになる。 - この四色刷りのコミックスは、一九ターは、数多い 9 「ザ・レイ」「ザ・ホーク」「ドル・マ 四〇年六月二日から、一九五二年九月二八日まで、毎週描ン」「ザ・・フラック・コンドル」「アンクル・サム」など き続けられ、その間、日曜掲載のみならず、日刊連載にもがあるけれども、いちばん長く続いたのは、「プラックホ かん 98 ~

2. SFマガジン 1973年3月号

「スピリット」の画面 1 ークである。しかし、アイスナーが、その人あり、と知らは、スタイルを確立していなかった。ひとつの方向に、自 れた代表的なキャラクターは、疑いなく、「ザ・ス。ヒリッ 信を持って、まっすぐ進んではいなかった。まだ、迷いが あった 9 ト」なのだった ) 一年後、彼は、徴丘 ( され、陸軍にはいった。ワシントン 「スビリット」を創ったとき、アイスナーは、二十三歳。 初期のスピリットは、さまざまな小道具をつかい、機械装で、—のための教材に、イラストを描いた。そのとき、 置で空をとんだり、ちょっとしたジェイムズ・ポンドであ彼は、「まぬけのジョ ー」というキャラクターを創り出 ・コ・フラのような、エキセントリし、マンガのなかで、つかった。兵隊たちに、武器の保守 った 9 悪人も、ドクター ックな大犯罪者が多かった。まだ、ウイル・アイスナー や、使用法を説明するのに、コミックスのテク一一ックを応 用したのである。そうした目的のためにマンガ をつかうということは、当時としては、例がな かった。アイスナーは、その面でも、先駆者で あった。 彼がいないあいだも、「スビリット 」のコミ ックスは、工房の手によって、続けられてい た。しかし、四年間の兵役期間の後に、帰って きたアイスナーは、「ス。ヒリット 」のコミック スを、ずっと、めりはりの効いたものにするこ とが出来たのだった。彼自身、成長をとげてい た。テクニックはとぎすまされ、いまや、確信 一をもって、彼は、新しいコミックスの実験に、 は うちこむことができた。彼は、夜を徹して、描 きはじめた。ひとつの独自の視点をもった、ス タイルをもったコミックスが、完成されたので ある。 4 都市の夜景 「私は、都会で育った。子どもの頃、街角で、 新聞売りをしたものさ。私の・ハックグラウンド を第 0 0 「 ー 99

3. SFマガジン 1973年3月号

スピリットの登場 コミックスの なりをしていて、それを変えたことがない。 4 —コミックスの世界 ( 一六べージよりつづく ) ヒーローというものは、派手な仮面で、自分を目立たされ 9 カつけてい るものだが、正体をかくすために、ス。ヒリット : が、ザ・スビリットだ。このアウトーの正体が、死んだるものといえば、マスクのうちでも、もっとも単純な、目 ことになっている若い犯罪学者デニイ・コルトであると知のまわりをちょっとおおうだけの、アイ・マスクにすぎな 。その色も、暗い青であり、少しも、エキセントリック っている者は、 ( 生ぎている者では ) ひとりもいない。 サ・スビリット の名のもとに、犯罪者狩りをするこの男ではない。 が、ワイルドウッド墓地に住んでいると知っているのは《 ス。ヒリットは、けばけばしいコスチュームの、はなやか ドーラン署長と、その娘のエレンだけだ」 ( コミック・プなヒーローたちのなかで、そのあたりまえな、ひかえ目な ック「ザ・スビリット」一九四五年十二月号より。ここで姿によって、第一に、異色だった。このヒーローは、その アウト戸ー 注意したいのは、作者は、スビリットのことを、無法者と平凡なスタイルと同様、決して、肩をいからせることは、 しっていることだ ) 誕生のときから、ないのだった。 ス。ヒリットは、当時、隆盛をきわめていたコミックスのヒ そして、活躍の舞台は、セントラル・シティなのだが、 ニューヨークだった。それは、この作 これは、明らかに、 は、まる品の作者と、切っても切れない関係にある都会なのだか でちがつら。 ていた。 まず服装 3 コミック工房をはじめた男 である。 ウィリアム・・アイスナーは、一九一七年三月、マン トは、′」 ハッタンに生まれた。七歳のときに、自分は、絵の道に向 ステージ・デザイナー くあり」 いていると感じた。また、舞台美術家になることも、夢想 たりの、 しては、楽しんでいた。建築と、遠近法には、いつも心を 青いス 1 奪われていたのだった。 ( このことは、彼の画風に、大き ツに、赤な影響を、与えることになる ) いネクタ ニュ 1 ヨークの高校を卒業し、さらに、ニューヨーク美 イという術学生連合で、絵の勉強をはじめる。広告の仕事を手がけ おそろし たり、アイスナーは、絵を描くことで、生計をたてること 彼は、パルプ雑誌の仕事をしたこともあ

4. SFマガジン 1973年3月号

鴃画的画面構成の「スビリット」 「きみは、死んだのじゃなかったのか ? 」「あの化学楽品 っているから、内心では、彼のことを心配している。 コ は、私を、仮死の状態にしたのです。後で、息をふきかえ その夜、コルトは、下水道の地下にある、ドクター ・フラの秘密のねじろにしのびこむ。不思議な薬品が、巨大して、墓場から、出てきたのですよ」「そりや、すてき 。こ。すぐ、きみが生きていたことを、報道させよう」「い なフラスコのなかで、泡だち、湯気をたてている。ゴリラオ ガチや、待ってください。私は、死んだままにしておいたほう のような大男が、コルトにおそいかかる。ドスンー デニイ・コルトは、死んだのです。暗黒街の連中 ・カしし ャン ! ものが破壊され、銃声がひびく。血が流れる。た ( 注は、犯罪学者の死を、喜んでいるでしよう。いまこそ、私 おれる大男。床には、血だまりが、ひろがっていく。 は、自由に行動できます。 意・このマンガの 法律の外側で、私は、犯罪 なかでは、ほんと と戦いましよう」「なるほ に血が流れるのだ ど。だが、おまえが法律を コルトよ、 破ったら、わしは、黙っと 化学薬品を頭から らんそ。捕まえなくちゃな 浴びて、倒れる。 らん」「私を、捕えられる ドーラン そこへ、 ものならね」「う : : : で、 氏を先頭に、警官 どこに住むのだ」「あの、 隊がやってくる。 ワイルドウッド墓地です ・コ・フラ ドクター よ。それでいい」「生活は、 の最後のときがき どうするんだ」「賞金かせ た。だが、倒れた ぎをしましよう。このマス コルトは、動かな クで、顔をかくします」 。泣きくずれる 「で、おまえを、どう呼ん エレン。そして、 だらいいかな」「私は、死 デニイ・コルトの んだ男です。ザ・ス。ヒリッ 死体は、風の吹き こうして、スヒリット ( 霊魂 ) と呼んでください」 ぶワイルドウ , ド墓地に埋葬された。翌朝の新聞は、犯 は姿を消した。 罪学者コルトの死を、大々的に報じるのだった。 その夜、ひとり、コルトの死を悲しんでいるドーラン署こうして、新しいクライム・ファイターが誕生した。「法 長の前の暗闇に、ひとりの男の顔が、・ほうっと浮んだ。律の長い手をのがれて、事をなそうとする多くの犯罪者た ・コルトじゃよ オいか ? 」「しつ、静かにして」ちのまえに、最後にたちはだかるの ( ページにつづく ) 「きみは : 6

5. SFマガジン 1973年3月号

「スピリット」の女性 ( ローレライ ) そんなことを考えてしまう。 そして、都市の夜景は、同時に、ちょっと手をのばし ここまで書いてきて、私は、エド・マクベインの八七分 て、光のビーズ玉をひきちぎってしまえば、文明など、一 瞬にして壊減してしまうのではないかと思わせるような、署シリーズの第一冊目、「警官嫌い」の、出だしの文章 し力にも通俗的な、き に、思いがとんでしまう。それよ、、、 はかなさがある。つまり、夜景は、文明のオモチャのよう いたふうな美文調なのだが、その一種の・ハタくさい ( あた な面を、象徴しているような気がしてくるのた。暗闇のな かの、光のオモチャ。そのイルミネーションの、ひとつひりまえだ ! ) 安つばさを、私は気にいっているのである。 とつの下に、人間のくらしがあって、そのために、このオ「市はきらめく宝石のケースのようだった。キラキラと脈 モチャのような夜景を見ていると、涙が出そうになってく打つように光を変えながら、幾重にも重なって輝いてい るのだが、結局、人間たちが、あくせくはたらいているのる。 / そそり立っビルは、舞台のセットのようなものだっ は、夜景の美のために、ほんのひとつの光の点をつくるた た / ビルは河に向い、人工の華麗さを見せて輝いている めなのかもしれない。 し、人はそれを見て畏怖を覚え、息をこらすだろう。 / だ だが、遠くはなれた高みから、都市の夜景をながめてい が、そのビルの背後、輝く明りのかげには街がある。 / 街 ると、そこではたらく人びとのなまぐささは消えてしまっ にはごみもあるのだった。」 ( 井上一夫訳 ) て、ファ ンタジイ 「スビ そして、兵役から帰ったウイル・アイスナーは、 のなかに リット」のなかに、街のごみを描いたのだった。もはや、 いるとい スビリットは、初期の作品のように、重装備の超悪役を相 う感傷に手にすることは、ひかえるようになった。彼は、華やかな とらわれイルミネーションの影にうごめいている、ケチな、現実味 てくる。 ワリー ( 安酒場 のある悪党どもと、戦うようになった。・ハ あの光地や下級旅館がならび、アル中が、血を吐いて倒れ、夜明け 図を、そには冷たくなっているような地区 ) にすくうスリ。淫売、チ つくりとンビラ、ペテン師、しま模様のスーツで流しているヒモ、 ってきてポンびきーー要するに、なにをやってもダメな連中、しか ポケットし、都市の裏には不可欠なお寒い連中、街のごみたち。 にいれて真実らしいシテュエイションのなかの、真実味のあるタ もち歩いイ。フの人たちが、アイスナーの描く都会をうろっくことに たらどう なる。そして、内容は、そうした都会に固有の人間たちが 9 4 ) わ、つ、刀 いりくむ、荒唐無稽な、しかし、不思議にリアルなドキュ

6. SFマガジン 1973年3月号

↑ E 第 IOR 石羲 OF 、 . S 00 llcs : 、 メント、 いわば、人間中心の、ニューズ・ストーリイなの一・ち〉に、慣れてしまうことなのだ。同時に、都会には、ど ・こっこ。だら、「ス。ヒリット」は、アイスナーによる、 う考えても、うさんくさいところがある。な・せなら、ここ 0 一種の〈都市の研究〉になっている。 に生きる多くの人たちは、都会のなかを、通りすぎている こうして、アイスナーは、コミックスに、新しいリアリ のである。ここは、生活の重みを示すことが、はなはだ不 ズムをもちこんだのだった。この態度は、もはや、子ども粋に思われる場所なのだ。だれもが、軽くあろうとする。 マンガを描く姿勢ではない。その頃、通り相場となってい そのことが、都会というものを、楽しいと同時に、あやう た、色彩あざやかな、やたらに派手なヒーローとはまったげな、つまりは、虚しいものにしている。ここにあるの く対照的に、おそろしく平凡ななりをした人物を主人公に は、華麗なる〈虚〉なのである。そして、そのことを、ウ したことだけでも、それは、明らかだった。ス。ヒリット自イル・アイスナーは、十分承知していたのだった。 身、都会の喧騒のなかにはいれば、群集のひとりとして、 彼は、「ス。ヒリット」を、あるリアリズムをもって描い 溶解してしまう存在なのである。群衆の上に立つ、ひとり たが、同時に、都会なんて、ハリポテのセットにしかすぎ 抜きんでた存在という、常識的なヒーロー像とは、まった ないんですよーーーということを、作品のなかで、絶えず主 く違っていたのである。 張していたのだった。その意識こそが、このコミックス そのことは、群衆の側の描写にも示されていた。スビリ に、独自の味わいを、香りを与えることになったのだ。そ ットのマスクは、帽子とスーツと同色であり、しかも、アのことは、たとえば、「スビリット」コミックスの、タイ イ・マスクという、最小のものだったけれど、それでも、 トル文字を見るだけで、あきらかとなる。 ( 以下次号 ) マスクは、マスクである。異様な風ていであることに、変 ( 補足。 ーマン・ウォ】クは、新作「戦争の風」がずつ りはない。ところが、街の人たちは、マスク姿のスビリッ と・ヘスト ・セラーをつづけている。なお、コミック・ブッ トに、なんの関心も示さないのである。たとえば、スビリ ク界の最近の話題は、なんといっても、 o が、あのオリ トが、満員のスに乗っても、だれも不思議がらない。 ジナルの「キャプテン・マーベル」を、復刊させたことで いや、むしろ、ふとったおばさん連中に押され、意地悪なあろう。私が、を訪れたとき、発行者のインファンテ きょず 目つきでにらまれ、小さくなっていなくてはならない。 ー / は、復刊第一号「 N << 」の表紙絵の清刷り これこそ、都会というものではないのか。 をくれた。「キャプテゾ・マ ーベル」は、 O の「スーパ こうした、小さな残酷によって都会は成り立っている。 ーマン」の模倣として ZO から訴えられ、姿を消したのだ 意地悪な、もしくは、そっけない視線。人のすきを狙うか が、昨年六月に、当の O が、「キャプテン・マー・ヘル」 つばらい。与太者。そうしたものは、地球征服を狙う大悪の権利を買いとってしまったのである ! クリスマスに発 漢よりも、現実的な感覚からいえば、もっと残酷であり、 行された「 N 」第一号は、あっというまに、 弱い故に、存在そのものが残酷といえるかもしれない。都売り切れてしまったという。ついにスー。 ( ーマンとキャプ 会に生きるということは、そうした、ささやかな〈残告こ 酉オテン・マ 、和解の握手をかわしたのである ! )

7. SFマガジン 1973年3月号

スビリット ( イタリー 語版 ) ( 上 ) 「スビリット」のとび らべージ ( 下 ) R に ERCATO PÉ.R OM にの一 0 こを三にば一 0 、こ A-TE.ZZA- 1.86 ら 0 - 86 . こぐ工ト第一ご uR に一 ハッタンのビルの群れをながめながらこういったという 「ぼくは、ここが好きだ。ひどいところだが、好きだ。・ほ くは、シティ・ポ 1 イなんだよ」 都会へ対する私の想いを、長く書いてきたのには、わけ がある。都会に生まれ育ったマンガ家が、ひたすら都会を 舞台にした作品を 描き、アメリカの コミック史上実に ュニークな、都会 的なマンガとし て、不減の栄光を 荷っている例があ るのだ。その作品 の名を「ザ・ス。ヒ リット」、作者を、 ウイル・アイスナ ーという。 ツー 工 ) E2 、′、 ( 、ゞ「を一三こつ・こく ) ~ フ′、を′、はつ 4 工、 02 掛ル g 广し A ′ 20 0 、て、 , ⅵ三、了 - E 、 ) 「了 0 5 ~ を S54 1 てンン 4 こし一 51 1 こ , 聞の日曜版のなかの、色刷りのコミック・セクションのな かである。 大都会、セントラル・シティの警察署では、署長のドー 2 死人としてラン氏は、苦りきった表情で、パイ。フを神経質に、ふかし コプラ ていた。狂人科学者で犯罪王と自称するドクター のヒ 1 ロ は、まるで、警察を嘲笑するように、次つぎと犯行を重 「ザ・スピリッね、それでいて、彼の隠れ家は、まったくもって、わから ト」というキャラないのだった。そこへ、ひとりの男が、ぬうっとはいって クタ 1 は、生まれくる。青いスーツに、青いソフト帽 ( ただし、普通のもの た時に、すでに死より、やや、つばが広い ) 、赤いネクタイの男。「犯罪学者 とし のデニイ・コルトです」と、にこにこ顔でしゃべるこの男 んでいた は、ドクター ・コプラの本拠を知っているという。「冗談 う形で、登場した いうな」ドーラン氏は、相手にしない。しかし、コルトに のだった。一九四 〇年六月二日、新は、署長の娘のエレンが、思いをよせているらしいのを知 1 5

8. SFマガジン 1973年3月号

「スピリット」の女性 ( 上 ) 1 6 年復刊版「スピリット」の表紙 ( 下 ) 一きもい 娯、電 N 0 発 S ゞツ↓ 手がけてい たんだ。コ 9 1. レは、 ~ 巨 - 接、私のた めにはたら いたことは ないけれ ど、アーノ ルドのとこ ろではたら いていたか ら、私は彼 を知ってい こ。プラス を、私は、きりまわしていたんだから。私がキャラクター チック・マンは、私が〈忙しゃ〉と話していたときにとび を考えだすと、別の者がエンビッで下描きし、また別の者出したアイデアで、最終的には、ジャックが手がけたんた が、インクで仕上げ、さらに、レタリングされる。 . 一ペー せんぜんこだわらない。 と思う。私は、そういう点では、・ ジの純益が、一ドル五〇セントで、私は、二十二歳までだれが、だれのアイデアをとったなどということは、私に に、とても、金持ちになったよ」 とって、問題じゃない。みんなが、みんなに影響を受けて ビジイ いる。私もそうだ、私もまた、みなに影響を与えているだ そこへ、エベレット・・ア 1 ノルド ( 別名、忙しゃの コミックスのたろうさ」 アー / ルド ) がやってきて、クオリティ めに、仕事をしないかといってくる。アイガーは、工房を ( ここで、ちょっと、ジャック・コールについて、補足し やめ、アイスナーは、今度は、アー / ルドと組む。そのておこう。プラスチック・マンの作者は、「プレイボー 頃、アイスナーは、あの比類なき快作「プラスチック・マイ」に、女性のカリカチュアを載せて、新しい人気を呼ん でいたのだが、彼の本当の夢は、新聞に、連載マンガを描 ン」の作者、ジャック・コールに会っているのだ。 「私とア 1 ノルドは、コミック・ブックのシリーズの製作くことだったが、その夢は、一九五八年五月に、実現する トナ 1 だった。彼は、ビジネスマン、純粋の企業こととなった。シカゴ・カン日夕イムズのシンジケート は、コ 1 ルと契約し、彼は、新聞マンガ「べツツ 4 と私」 家だ。彼は、また、自分だけでもコミックスを発行してし ノ力を描くことになる。これは、いわば「プロンディ」などの た。そして、そのうちのいくつかは、ジャック・コーレ :

9. SFマガジン 1973年3月号

この男がザ・スビリットだ ! ( 上 ) 趣向をこらしたとびらペーシ ( 下 ) 活に慣れている者、そうしたひとなつつこい環境にかこま たとえば、ニューヨーク。もちろん、ロンドンも、パー も、ローマも、大都会には違いないが、都会のもっ〈ひどれていないと不安な者にとって、乾ききったニューヨーク は耐えられないかもしれないが、逆に、ぬくぬくとした世 さ〉というものを、極限までおし進めたのは、ニューヨ 1 クだろう。ここは、まあ、文明鉄道の終点みたいなもの界に真綿のようにしめつけられていらいらしている者にと で、なまはんかな人間は、はじきとばされてしまう。具体つて、いっとき、この非常都市に来ることは、精神衛生 、、いだろう。ぬるま湯のような世界から、痛いくらい 的にいえば、あっけなく、殺されてしまうのた。しかし、 がけ にドライな世界にはいりこむことは、不思議な解放感とさ 都市文明というものの果て、その崖つぶちをのそいてみた わやかさがあるからだ。だが、ここは、まさに、タフな都 いと思っている者にとっては、こんなに刺激的な都会は、 会だ。ここで生きていくには、単なる旅行者でなく、生活 世界中にも、例がないだろう。 ニ、ーヨークは、外から来た者に対して、電撃ショックしていくには、タフでなくてはならない。たまに、しめつ クを、身をひきしめてた環境から逃げだし、一種の逆療法として、ここで電撃シ を与える街である。その電撃ショッ ックを受けるのは、効果があるたろうが、ここで生活を くれる快感、快適な刺激と感じるか、耐えられない恐怖と 感じるかどうかで、この都会への態度は、変ってくる。なし続けていけば、人間は、荒廃していくだろう。しかし、 にか、しめった暖いもの、そういうものにひたりこんだ生逆に、この都会で、すべてに打ち勝って生き抜いていく快

10. SFマガジン 1973年3月号

新聞の「スピリット・セクション」のとびらべージ 系譜につながる、結婚家庭テーマのマンガの、変り種だような微笑をうかべ、人を楽しませるのが好きだった男 った。そして、すぐに、五〇の新聞が、その作品を買ってが、自分の目標に近づいたときに、な・せ自殺したのか、だ 「おやじれにもわからない。だが、まっかに輝くタイツ姿の、あの くれた。「ポパイ」の作者、・ O ・シ 1 ガ 1 人を喰ったプラスチック・マンは、いつまでも新鮮な魅力 教育」のマクマナス、「メチャクチャ小僧」のルドルフ・ そして、「ザ を失わない。 ダークスーー・ーーそうし ・ス。ヒリット」と「プラスチッ た、新聞マンガの王 ク・マン」こそ、私が、子ども 者たちと、並ぶこと ができるかもしれな「 心にも、これは、ちょっと違っ 0 、。ンヤック・コ たマンガだそと、いつまでも忘 れることのできない、真におと ルは、嬉しかった。 なの鑑賞に耐える、いわば、ア 四七歳にして、目的 ヴァンギャルド・コミックスな が達せられたのであ「 のである。 る。その年の八月、 : そうだ、さらに 彼は、「プレイボー 余計なエビソ 1 ドをつけ加える ならば、ジャック・コールは、 イ」の編集長ヒュー ・ヘフナーたちと、 忙しいとき、涙をのんで、別の 自分の成功を、「プ " ー、・黛 ( ( ( ( 描かせなければならなか 0 た レイボーイ」の。ハ が、スピリットを、ミッキ 1 ティで祝っていた。 ス。ヒレーンが書いたこともある その翌朝のこと とい、つー・ ) である。ジャック・ コールは、自宅でひ いそが とり、じっとすわりこんでいたが、なにを思ったか、上衣〈忙し屋〉のアーノルドは、新聞の日曜版のコミック・セ をひっかけると、近くの店に車で出かけて、二十二口径のクションに、コミック・・フックを入れ込んだらどうか、と ビストルを買い、そして、友だちに電話した、「これから、考えた。それは、新鮮な考えだった。説明を加えると、も 自殺するところなんだ」と。車にもどった彼は、 ( イウェちろん、新聞のコミック・セクションと独立した雑誌であ イを数マイル走らせた後、引き金をひいた。発見されたとるコミック・ブックとは、メデイウムが別なのだ。だが、 き、まだ息があったが重傷で、その日、一九五八年八月一 アーノルドは、このふたつを結びつけようと考えた。日曜 9 五日に、死んだ。この、 いつもやさしく : ハグス・・ハニイの版に、カラーで七べージ分、コミック・・フックと同じ大き