シチョウか ? ・ ほオ 市長という ことばを . っ とるのか ? ・ ウッサ地区の 人問みんな 飢えて死ぬ 島人問を とじこめて 出・ざない 暴力サルの ーダーだ そうだな ウッサ地区は 人問保護区た あそこには充分 餌はあるはすだ 土地も肥えている 人問をウッサ 地区から開放 ・するかもっと 食べものよこす きめてくれー・ そのしよ、つこに きさまのからたは牛みたいに モリモリしておるではないか 食料配給ふやすか それとも保護区 やめるか ムフ日か、り 人サルめらに 勝手なまねは させんっ はつ - り・ 返事を してやる 0 い卩 / / = 一一合えて もらお、つ 以下次号
自分の死期と死に様とを正確に予知したのは、なにも俺が最初し時の轟音を経験した者には、この静けさは不気味だった。房内スビ ゃないと、クリフ・レイランドは悲痛な気持ちで自分に言い聞かせ ーカーが「発射後五秒。時速二千マイル」と報じた時、彼はほとん た。死刑を宣告された犯罪人たちがその最後の暁の到来を体験したど信じ難いほどだった。 のは、数限りなくあったことだ。しかし、彼らは最後の瞬間まで執スタートしてから五秒後に時速二千マイルーーそしてさらに七秒 行延期に望みをかけることができた。人間の審判者なら時として慈の間、発電機は雷撃のような動力を発射機へとぶちこみ続けるの 冫をいかなる訴だ。彼は雷光に乗って月の表面を横切ってつつ走る。ところが発射 悲心を見せることもあろう。しかし自然法則の前こま、 後七秒に、この雷光がとだえた。 えも無駄である。 ほんの六時間前には、彼は、長い自由落下による帰郷を目前に私水槽の子宮を思わせる保護器内にうずくまっていてさえ、クリフ 有品を十キロの手荷物に荷づくりしながら、楽しそうにロ笛を吹いは何かが狂ったことを感じとった。今まで、彼の周囲でその重さの ていたのだった。早くもミラが彼の腕の中に抱かれる様、プライアためにほとんど硬直状態といえるほど凝りかたまっていた水は、突 くだ ふなたび ンとスウとを約束どおりナイル河下りの舟旅へとつれて行く様を心然生命を吹きかえしたように見えた。カプセルはあい変らず線路上 にえがいていたことを、彼は今でも ( こんなことが起ってしまったを驀進してはいたが、加速度は完全にとたえ、ただ慣性によってつ 今となってすら ) 想い出すことができた。もうあと二、三分もすれつ走っていた。 恐怖を感したり、何が起ったのかといぶかる時間もなかった。停 ば、地球が地平線上に姿を現わすにつれて、ナイル河が再び見えて くるだろう。しかし、妻と子供たちとの顔とは記憶の上でしか再会電は僅かに一秒強しか続かなかったからだ。それから、カプセルを . できないのだ。そしてこんなことになったのも、ただ彼が九百五十端から端まで震撼させ、続いて不吉な、がちゃがちゃんという破壊 英国ドルを節約しようとして、定期往復ロケットのかわりに貨物用音を起させた衝撃とともに、動力場は復活した。 カタノノ 。、レトで帰郷しようとしたためなのだ。 加速度が最終的に薄れ去るとともに、重力はことごとく消失し レイル た。カプセルが線路の終点をはなれ、月の表面から遠ざかり上昇し この旅行の最初の十二秒間があらっ・ほいものであることは、彼も 承知の上だった。なにしろその間に、電力発射機がカプセルを長さているのを、クリフは何んの計器も要せず、ただ胃袋の感覚で知っ レイル た。自動ポンプが水槽の水をかい出し、熱風乾燥機がその仕事をす 十マイルの線路にそってはじきとばし、彼を月から射ち出すのだか ら。秒読みの間、彼がその中に浮ぶ水槽という保護物があったとこますのを彼はいらいらしながら待った。それから操縦板のほうに ただよって行くと、折り畳みいすに身を据えつけた。 ろで、離陸時の二〇を、楽しみに待ち望むというわけこよ、 「発射コントロール」座席ベルトを腰にしめながら彼は切迫した語 かった。にもかかわらず加速度がカプセルをしつかりと捉えた時、 彼は自分にのしかかったすさまじい力をほとんど意識しなかった。調で呼びかけた。「いったい何が起ったのですか ? 」 聞えるのは金属壁のきしむかすかな物音だけだった。ロケット発射きびきびした、しかし気づかわしげな声がただちに応答した。 コント戸ール・・ハネル レイル
ことも出来ないじゃないカ 目が覚めそうなとき、よくこんな感勿論、どんなにまともな機械にしたところで、他に答えようがあ じのことがある。声をあげて叫びたくても、ロの中へ綿でも詰めこるはすがない。宇宙という枠の中で働くようにプログラムされてい まれたように声が出ない。それでも、起してくれる者がいる時はまるだけなのだから : : : だが、人間はどうか ? : 人間用のプログ だましだ : ・ : ところが、私を起してくれる者は誰れもいやしない。 ラムがあるとすれば、それは別なんだろうか ? : : : コ / ピュータセサー 私は電算機と感覚通信でコンタクトしている。 〈どうやら、計器じや観測できない状態らしいな ? 〉 〈イイエ〉 俺を診察してみてくれと心の中でコンビュータに命令した。 〈アナタハ健康デス。スペテ快調デス〉 〈じゃ、ちゃんと動いてるんだな〉 〈ハイ〉 わたしが、まだ命令をし終っていないうちにコンビュ 1 タが答え を返してきた。きっと瞬間に同時処理ができるようになっているの 〈それじゃ、な・せなにも見えないんた ? 〉 たろう。 〈ソレハ周囲ニナニモ無イカラデス〉 〈そんな馬鹿な ! あり得ん〉 〈われわれは今どこにいるのだ〉 〈イイエ〉 〈ドコデモアリマセン〉機械が答えた。 質問と回答が、脳の左右の半球を交互に、ランプのように点減し〈お前は、それを矛盾しているとは思わんのか ? 〉 ている。私とコンビュータはまさに一体になっていた。こういうこ 〈タシカニ矛盾シティマス。シカシ、ワタクシニハ理由ガワカリマ とは夢の中でならよくあることだ。 セン。情報不足デス〉 〈われわれが今おかれている状態を、宇宙の外にいるからだとは説 〈計器でなにか分らないのか ? 〉 明出来ないかね ? 〉 〈計器類ハ一切ナニモ示シティマセン〉 スペテガ説明デキマス。シカシ、ソレハ 〈ソノョウニ仮定スレ・ハ 〈飛んでるのか、今は ? 〉 意味ガアリマセン〉 〈イイエ〉 〈どうして ? 〉 〈じゃ止ってるんだな ? 〉 〈ソレハ、光速ヲ超エルコトハデキナイカラデス〉 〈イイエ〉 〈な・せ光速を超えられんのだ ? 〉 〈もう少しなんとか答えようがあるだろう ? 〉 〈ソレハ根本的真理デアリ、ワタクシノぶろぐらみんぐノ限界条件 〈ソノタメニハ、情報ガアリマセン〉 ノヒトッダカラデス〉 〈宇宙の果てまで来たんじゃないのか ? 〉 〈しかし、われわれは光速を超えて、膨脹している宇宙を追い越し引 〈ソレハアリエマセン〉 たのだと想像することは出来るだろう ? その前提をもとにして、
黒道化 ( 突然、コプラのようにソフアの背後から頭をもたげて黒の峡谷を横切って月が昇るところであったから。とはいえ彼女はハ いネルの背広の男の肩越しに話しかける ) ほう ! それではお前 イニーを見た。彼はその場を動いていない。プラスチックのヘルメ さんはまだ奴の佝僂のような希望をあのイナー・サークルの糞で嬲ットが頸と頂部で開いている様子が見えたが、それでも彼女は窒息 っているのかね ? 結構なお遊びだな、兄弟、ーーお前さんは釣ったを懸念した。 魚をお上手にいじくっているがいし 、まだお星様にいるの ? 」と彼女は尋ねる。 ゴット ( 勿ち驚愕したが、何らかの勇気で自制して ) おまえは 「ううん、いま月に着陸するところさ」と彼は叫び返す。「・ほくに 何者だ ? 私の宮廷にくだらぬ口論を持ち込むとは何たる不敵な奴話しかけないで、ママ、ぼくは進路を見つめていなければいけない んだ」 黒道化あの老牡鴉の無邪気さを聴いてみろ ! まるで自分が我ジェーンは忽ち、宇宙の道がどんな外観であるのかと想像してみ ら二人を再三再四創り出したことが、退屈か狂気か自殺かを食い止たくなるが、冷蔵庫は″子供たち″と言ったのであり″子供″では なく、また機械の言語には表現のあやがこめられていることを彼女 める手段であったことも知らないようだぜ。 ゴット ( 断乎として ) 私はおまえを創ったことなどない。 は知っていた。彼女はゴットを見る。彼は心地よさそうに身を曲げ 黒道化おや、いえ、創りましたとも、老いぼれさん。まことにて書物に向い、彼女の見た時には、頁を繰り唇をマティニ水に当て あなたの心の産む物は双子ばかりーー善が一つに悪も一つ、呼吸一ていた。とはいえ彼女は彼を試してみることにした。 回屁も一発、白が一つに黒一つ。 「ゴット、うちの一家はあんまり内弁慶になりすぎたと思わなくて ゴット ( 鼻孔がうごめくと死の呪文が燃え上って不精な不可視の ? 」と彼女は言った。「わたしたち、以前にはもっと大勢の人々に 蜜蜂のように新来者にとりつく ) 囲まれていたことよ」 黒道化 ( 死の呪文が打ち当たると色褪せて後ずさりするが、懸命「うむ、なるほど少な過ぎるとぼくも思うよ」と彼は答えると、眼 から にそれを振り払って物妻い眼でゴットを睨み返す ) 爺さん鴉よ、 を上げて空のソフアを、その背後を、それから期待するかのように わしは遂におまえを憎み始めたそ。 彼女を見回し、まるで彼女の開始したがっているいかなる会話にも まさにその時、冷蔵庫のモーターが台所で始動し、その騒々しく喜んで加わろうとしているかのようであった。だが彼女はたた笑っ 速い音はジェーンにはこう言っている声に聞こえる。「子供たちをただけで安心したように自らの思索と絵画に戻った。彼は微笑を返 見守れ、危険だそ。子供たちを見守れ、危険だそ」 して頭を再び書物に向ける。 「あたしはテントウムシじゃないわ」とジェーンが激しく思考の中黒ネル ( 黒の道化師を無視して ) 私が今宵ここに来た主たる意 で反駁し、面倒な中断を嫌うのは、今や彼女の鉛筆が急速にはかど図は、アドラーさん、イナー・サークルがあなたの入会資格の厳粛 な審査を開始したことをお伝えするためです。 って樹の上の″こどものいえ″の輪郭を描き、遅い午後の空の雲間 4
② このナゾを解くため、さまざまな学者が、さま それを説明する前に、テクタイトのナゾについところで掘り出されており、空中から降下したも て簡単にまとめてみよう。 のであることは確実。ところが化学的な組成も外ざまな説を出してきた。主なものを列挙してみる 発見されるのは主として、次の八カ所に限られ見も、ガラスとよく似ており、硅石やアルミナがと ている。まずフィリピン、ついでチェコスロパキ中心となっている。宇宙からのものというにしてテクタイトはイン石だという説。それならもっ と他の場所でも見つかるはず。それに成分がちが ア、オーストラリア、インドシナ、マレー半島、は、あまりに似すぎてはいないか ? ジャパ島、米テキサスおよびジョ 1 ジア州、アフ テクタイトの発見には、ガスが逃げたあとであいすぎる。ガラス状なのもおかしい。 イン石の激突で生成したという説。ところがテ いったいな・せる気泡痕がついている。このガスは水素や酸素、 リカ象牙海岸 ( 発見数の多い順 ) 。 炭酸ガス、窒素など。とすると、テクタイトの出クタイトはイン石孔のある付近では発見されてい 他では発見されないのか ? ないのだ。シベリアはたびたびイン石が落下して ほとんどが地下七メートルから一〇メートルの身地は、酸素のある天体となるわけだが ? いるが、テクタイトは一個も ①米テキサス産②米ジョ 1 ジア産③アフリカ象牙海岸産④チェコ産⑤ベトナム産。下図はテクタイトがほば一カ所に集まるまでのコ 1 ス 発見されていない。 月にイン石が衝突したさ い、月の土が飛んできたとい う説。もっともらしいが、イ ン石説と同様、もっと各地で 見つかってもいいはず。テク タイトの発見地はほ・ほ八カ所 に固まっているのだ。 流星か流星の尾が、テクタ イトとなって降り注いだとい う説。これももっともらしい が、成分が地球の土とそっく りというのが気になるところ 流星の尾はイン石のようなの リトルトン教授は、以上の ような従来の説をすべて落第 としたうえ、このような考え 方を出した。 きっかけはやはりイン石。 猛烈な勢いで大イン石が地上 に激突すると、付近の岩石は ガス状になって舞い上がる。 次第に冷えガラス状の物質に なるが、高度五〇キロほどの 高空で、内部のガスが抜け始 め、表面にアバタを作る。 ① ④ りいⅡ当を朝い卩日 Ct. accreuon axiS ー 27
羅 0 、 4 心 1 。、ーバック一いう方法をとっています。作者にとって、よほど愛 はるかな未来、いずことも知れぬ巨大な惑星の上ろう。最高作には賞金一千ドルと、ペ を流れる大河のほとりに、地球上にかって生きたす出版の前払い金三千ドル。ファーマーは三十日間で、一着の深い題材なのでしよう。 べての人類が再成されるーそして、歴史上の有名人十万語の長篇『転生の借り』一 owe forthe Flesh 一八九〇年のトリエステ。病の床にあったリチャ を書きあげ、投稿した。 ( 中略 ) それは、みごとコ たちが主人公になり、この世界の探険を始める : ード・バートンが、妻の手に抱かれながら息をひき こんな雄大な構想のもとに書かれた小説が、フィンテストの第一席に当選した。狂喜したファーマ リップ・ホセ・ファーマーの TO YOUR SCAT- ーは、それまでっとめていた製鉄会社をやめ、フル一とるところから、物語ははじまる。暗黒に包まれた TERED BODIES GO" (putnam $4.95 ) です。タイム・ライタ 1 に転向した。まもなくシャスタ・・まま、どれだけの時間がたったのか、ふと正気づい 1 バそた彼は、自分がすっ裸のまま、草の上に横たわって どうもうまい日本語にならないが、「おまえたちのパ・フリッシャ 1 ズから連絡が届いた。べ 1 パ 散らばった肉体へ行け」といった意味でしようか。ク版の出版元ポケット・・フック社が作品のできばえ - いるのを見出す。ふしぎなことに、彼の肉体はもう に満足せず、改稿を要求してきたというのだ。大作病みおとろえた六十九歳の老人のものでなく、二十 先だっての世界大会で、七一年度のヒューゴー 長篇賞を獲得 ( 注 1 ) したこの作品を、今月はとりなので改稿もなかなかはかどらず、そうこうするう一五歳頃の健康体にもどっている。まわりには大・せい ち貯金が底をついてきた。賞金もまだ届かない。思・の男女が、やはり彼とおなじように全裸のままで倒 あげることにします。 ところでプロットの紹介にかかる前に、この小説いあまってポケット・ブック社に電話を入れてみるれている。どういうわけか、だれの頭にも髪の毛が にまつわる因縁を説明しておかねばなりません。話 . と、改稿を依頼したお・ほえもないし、賞金三千ドル ~ なく、そして体毛もない。百メートルほどむこうに は約一一十年前にさかの・ほります。当時のファーマーはすでにシャスタを通じて支払ってあるという返は、大きな川が流れており反対側には険しい山脈が は、セックスの問題を大胆に追求した野心作『恋人一事。けつきよく単行本は出版されなかった。かねて、壁のように迫っている。これは夢なのだろうか ? たち』で華々しいデビ、ーをとげ、一九五三年の世から経営不振を伝えられていたシャスタが、小切手・それとも、これが来世なのだろうか ? やがて、ひとりの女がすすり泣きをはじめたのが 界大会ではヒューゴー最優秀新人賞を獲得、作不払いのまま倒産してしまったからだ。ファーマー 家としての将来を約束されたかに見えました。だ一は屋敷を売り払い、失意のうちに界から姿を消 . きっかけで、それまでしんと静まりかえっていた草 原は、たちまち人間の泣き叫ぶ声にみたされる。裸 が、そこで彼は思いがけない煮え湯をのまされ、『緑した」 ( 伊藤典夫・世界全集幻巻解説 ) の星のオデッセイ』 ( 五七年 ) でカムバックを果たもうお察しの通り、このときの懸賞当選作が、この姿にうろたえるもの、地獄に墜ちたと嘆き悲しむ ノートンも、その叫 すまで、苦しい雌伏期間を強いられることになりまれから紹介する長篇の原型なのです。しかもそのもの。無神論者であったはずのヾ 、六五年から六六年にかけて、「ワールド・オ・フび声に恐怖をかきたてられ、神に追われるかのよう ・トウモロウ」誌に連続短篇 ( : Day of the Greati に逃けまどう。 「ファーマ 1 の人生におけるもっとも大きなできご Shout" "Riverworld" "Suicide Express") の - やがて落ちつきがもどり、まわりのものを観察す との一つは、そのころ専門出版社シャスタ・ ・フリッシャーズが発表した、長鑰コンテストだ形で発表したものを、もう一度徹底的に改稿するとる余裕が生まれる。まず、彼らの手首に一つずつ結 0 0 れナ み ・ワド 2
るのでいつでもたやすく彫塑できる人間像である。一夜の終りを老死神あまりにも遅すぎた。そう、お前さんは自動車事故を起こ して愛しい者たちに二重に保険金を残す計画を立てた。おまえは地 哲人と過ごすことは常に結構なことである。 宇宙の白線が薄れようとしていた。 ( イニーは舵を取って船を線点まで選んでいたが、勇気がおまえを失敗させたのだ。 に近づける。パパのお話とは違って猫が戻ってこなかったことを思ゴット ( 呶鳴り散らす ) お前に教えてやろう、このわしはゴッ くそ トフリ 1 トであるだけではなくへルムートでもあるのだそ い出す。 カリッジ ジェーンは繋がれずに″こどものいえ″から飛び去って行く子供度胸のアドラー様だ ! 哲人 ( 困惑するが会話を維持しようと努めて ) まことに空威張 たちの上に鉛筆をさまよわせる。子供たちの一人が月を蹴上げる。 哲人 ( ごわごわした寛衣を整えて欠伸をする ) 今宵の饗宴のりの綽名ですな。 死神そのくそ度胸が峡谷の縁でおまえをしくじらせたのだ。 話題は、かの広漠にしてすべてを包含せるもの、″空〃じゃよ。 ( 親指がなく黒い冬の枯枝のような三本指の手でゴットを指して ) ゴット ( へり下って ) ″空″ ? それは興味深いものですな。 おまえは今、死にたいか ? 近頃わたしはそれに没入したいと思っておりますよ。わたしは生に ゴット ( 目に見えて黒ずむ ) 臆病者は幾度も死す。 ( 全くの暗 は倦きました。 微笑を浮かべた不明瞭な黒いされこうべが、哲人と共に大略の形闇の中でマティ = 水の最後の一口を呑み干す ) 豪傑の味わう死は を整えて、哲人の肩越しに眺めていたが、やがて佝僂の黒い骨格を一度だ。シーザー し力に 死神 ( 闇の声 ) 臆病者め。まだわしに説教しおるわ 伸び上がらせる。 おまえがわしを貧相に形造ろうと、わしは正真の死神なのだそ 死神 ( 静かにゴットに ) まことかね ? ゴット ( 大いに震えるが、表面はとりつくろって ) 今夜は黒いおまえの他にも旅に出ておる者は大勢おるわ。更に長い旅をする者 刺激のようだ。白い骸骨さえ作れない。崩壊せよ、汝ら両名。おまもな。″空″への旅だ。 イム・フリシス 哲人 ( 別な声 ) うむ、左様、″空″じゃ。最初に えたちも人生とほとんど同じくらい退屈だ。 死神まことかね ? もしあんたが笠貝のように人生に執着して死神静寂。 いないのであれば、ナショナル・モーターズを馘になった時、自動大いなる忠順な静寂の中で、ゴットはソフアの背後から剥き出し の床を横切ってハイニーの宇宙船に向かう死神の緩慢なコッコッと 車衝突して妻や子に保険金を残したはずだ。 いう足音を耳にする。ゴットは闇の中で伸び上がり、己れの心にし ゴット ( ヒステリックな冷静さで ) 多分わたしはおまえを真鍮 がみつく かアルミニウムで鋳造すべきだったのだろうな。そうしておれば、 ジェーンも緩慢なコッコツを耳にした。それは台所の時計が刻む 5 少なくとも事態を輝しいものにしてくれるのにな。だが今では遅す 音。「今だ。今だ。今だ。今だ」 ぎる。速やかに崩壊して一かけらの残滓も残すな。 シンポジウム ヘルズ・
1 % 6 年復刊版 ( 2 号 ) の表紙 ( 上 ) スビリット ( 下 ) ワ日、 ONY こ 0 工いつ / にペ′Ⅵ ( ミ 2 ミ ま •HO' 第、冖 ~ 00 どという文字が、白抜きのゆらゆらと、ゆらめく字体で現 からではないかしら、という気がしてきた。 ほんとに声をはりあげる、というところが、なんともなわれたとしたら、これは、もう、まちがいなく、オモチャ 冫冫し力なくなる。 まなましいんだな。どうしても、紙芝居のおじさんの生活だと考えないわけこよ、 というものが、見物している者に迫ってくる。その、ま稲垣足穂は、どこかで、「これからの映画は、タイトル だけになってしまうだろう」と書いていたような気がする あ、いじましさみたいなものが、紙芝居のよさだけれど、 けれど、そもそも、タルホは、活動写真のオモチャ性を、 それだけ、哀れでもあり、野暮になる。 ( 考えてみると、 した いつまでも、いわば、慕いつづけていることで、その青春 生きている人間がやっていることは、なんだって、哀しい があるのではないか。 のだが ) 映画は、そんな生活の匂いをとった、動くセルロイドの オモチャで、それだけに、生活を離れ、いわば、無責任に ウイル・アイスナーのコミックス「スビリット」に於て 見ることができる。その、映画のオモチャ性を、最も端的は、風景全体が、タイトル文字のために奉仕している。た に示しているのが、タイトルの部分だろう。たとえば、大とえば、うずまく水流が、うそ寒い夜の街灯が、ダマスカ まじめな表情の主人公の胸のあたりに、「世界の終り」なスの市場の建物全体が、新聞の見出しが、電報文字が、タ イトル・文 字を構成 する。「ス ッ ト」を読 む楽しみ のひとっ は、こん ど んな形 で、タイ 登場する のか、と いう占に 9 、をある。 を気
ンからみて、線や円弧は雨や川などの水を象徴しが : ており、記号をつけたこの骨は、どうやら雨乞い 英ケンプリッジ大学の・・リトルトン教授 のような儀式に使われた可能性が強いという。 は、このテクタイトのナゾに取り組み、興味深い もしこの推論が当っていれば、人類は一五万年新説を出した。 も前に、記号を使っていたということになる。だ 地球最後の岩石を調・ヘるモーバス博士 ( 左 ) と がネアンデルタール人ですら、人間というよりは 岩石のクローズアップ ( 右 ) ん 動物に近いような生活をしていたと考えられてい るのに、にわかには信じ難い話。 どこか他の天体から知的生命が地球に上陸し、 落ちていた牛の骨にいたずら書きをして行ったー ーと説明した方がびったりくるような感じだが、 さてどんなものでしようかねえ。 つけ加えておくが、この骨を発見したフランス . ー のポルドー大学フランソア・ポルド先史学研究所 長も、マルシャック博士も、そんなことはおくび下 にも出さず、大まじめでこういっている。 「この記号を刻んだのは、そのころ生きていたと 考えられるアシュール人。文字が発生する以前の 前記述符号とでもいうべきものであって、この発 置一五万年前からの便り 見は人類の知能の歴史を書きかえる大事件といえ「ま るだろう」 フランスのペシュ・ド・ラズという片田舎で、 なお英オックスフォード大学はこのほど、西グ 奇妙な記号を刻み込んだ牛の肋骨が発見された。 リーンランドで発見した地球最古の岩石を公開し 11 : 」。。 ] 〕 円弧や線模様がえがかれており、米ハ ード大た。こちらの方はぐっと古くて三二億年から四一 学の考古学者、人類学者が調べたすえ、一三万年億年前のもの。地球ができたのは四六億年前だか から一五万年ほど以前に人間によって刻まれたもら、ほ・ほ誕生のころの岩石といえる。 ので、恐らく世界最古の″文書〃であろうという いまステファン・モーバス博士が分析を行なっ 判定を下した。 ているが、地球の生成、ひいては惑星の生成のナ と、この 有名なネアンデルタール人だって、せいぜいゾを解くひとつの材料になるのでは 七、八万年前の人類。それよりさらに七、八万年研究に大きな期待が寄せられている。 前に書かれたというのだから、全く驚くほかはな いが、円弧や線に何か意味があるのだろうか。 ー宇宙からの使者のナゾ ーバ 1 ド大学のアレキサンダー・マルシャッ ク氏によると、線といっても出たらめに刻まれた一七八七年にチェコスロパキアで発見されて以 ものではなく、一定の角度をつけたり、正確に平来、世界各地で発見されているナゾのガラス状物 質テクタイト。明らかに空中から降下したもので 行に刻まれたりしている。 確実なところはもちろんわからないが、デザイあるところから、宇宙の使者などと呼ばれてきた第ー。第 6
エリ が、しかしだれかがそういってくれたとは嬉しいね。地獄の関門 した。「六人の作家を読みましたよーーイエーツ、パウンド、 ウオレス そ、、そ ! 多分おやじの祈りもどこかで聞き届けられた スティ ) 、スディ 1 ヴンス (. オト、クレイン ( レ一九三一一、アメリカの詩人 ーヴンス・一八七九 ~ 一 ) 、それにガリンジャーでした。そして学期の終というわけだろう。そしてわたしは伝道者というわけだ、結局のと 九五五。アメリカの詩人 ころー わりの日に、教授が多少うたい上げるような調子になって、こうい いましたよ。 ただ、伝道者というのは人を回心させる何かを持たねばなら ″この六人の名は今世紀に記し残され、いかなる批評と地獄の関門 ない。わたしは自分流の美学の体系などというものは持たないが、 とね」 も彼らを打ち負かすことはない〃 「わたし自身も」と彼はつづけた。「ーー奴の『クリシ、ナの笛』思うにそうした体系から、倫理的な副産物というャツも何となくし や『マドリガル』は偉大だと思いましたよ。奴が参加する探検に選み出してくるのだろう。だが、かりにわたしが何か説くべきことを 持っていたとしてもーー実際いって詩の中にそれがあったとしたと ばれるなんて光栄だとも思いました。 ころで・・ーーわたしは君のようないかがわしい手合いにそれを説こう 「ところが奴ときたら、顔を合わせてからわたしに喋ったことば ししが、同時にわたしはス とは思わないね。馬鹿な奴たと思っても、 は、せい・せい二、三十ぐらいしかないと思いますよ」彼はロをつぐ ノップなんでね。わたしの天国には君のはいる場所はないんだ。そ んだ。 こんどは弁護側の出番だった。「こんなふうに思ってみたことはれは内密の場所だ。スウイフトやショウ、それにベトロ = ウス・ア ルビテレ / テリ。 , 」の作者と推定されている ) がや 0 てきて、晩餐をと つまり、あの人はひどく人前を なくて ? 」べティがした 。それからまた早熟な子供で、多分学もにする場所だ。 気にするたちなんだって : ああ、それから、例の饗宴があったな ! われわれが徹底的にや 。とにかくあの人は感し 校友だちでさえ持てなかったんだって : ・ 「サテリ 0 , 」の中で扱われている饗宴で ) つつけるトリマルキオの饗宴 ( 皇 やすくて、ひどく内攻的なのよ」 工モリーの饗宴がー 「感じやすいだと ? 人前を気にするだと ? 」工モリーは咽喉をつ ートンくん ! われわれはスープといっしょに君を片づけるよ、モ まらせて口を。ハクパクやった・「あの男はサタンみたいに傲慢さ。 そしていわば歩く軽蔑機械だ。こっちが″ゃあとか〃いい日だ わたしは身を返すと机の前に坐った。何か書きたくなった。伝道 ね〃とかいって水を向けても、奴は親指を鼻につけた手をヒラヒラ させて馬鹿にするだけだ。それが癖になってるんだ」 の書だったら、まるまるひと晩はかかるだろう。わたしは詩を書き たいと思った。ローカーの百十七番目の踊りに関する詩だ。光を追 彼らはほかの冗談を二つ三つ交わしてから立ち去った・ 、風を従えた病める薔薇ーープレイクのそれのように、死にゆく 8 おやおや驚きだよ、モートンくん・にきび面でアイビー仕込みのい 鑑賞家先生 ! わたしは自分の詩の講義なんかとりはしなかった薔薇についての詩だ・ :