太陽 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1973年4月号
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1. SFマガジン 1973年4月号

「いえないわ」 と彼女はいった。 まるで心を奪われているように、アジタの瞳は、中央の広場の光 景にそそがれている。月桂樹のような樹にかこまれたその広場自体 のかたちが、何かあるものを連想させるのだった。裸形の者たち で、びっしりとあふれていた。い りみだれて何かをおこなっている のだった。どきっすぎるくらい、細部まで描写されているので、ア ジタは恥しかった。 目を左手の下の方へ移すと、大きな水の広がりにむかって漕ぎだ していく二人の少年と少女がいた。 「あの少年、あんたとそっくりね」 「うん : : : 」 「けど、女の子はわたしじゃないわ。ちょっと似てるけどね。だれ なのかなあ : : : 」 ポーディは黙っていた。 「あの二人、どこへいくのかしら」 「かすれているけど、点線がついてるんだ。わかる : : : 」 「ああ、ほんとだ」 と、アジタはつぶやいた。 理由はわからないが、その部分だけつづき物のように、描かれて いるのだった。少しずつかたちが変わっていって、点線のおわりの 方では、まったく異様なものになっているのである。 「この黒い影のようなものはなにかしら。二人をのみこもうとして いるみたいね」 アジタのいうとおりで、その黒いものは、水の中から現われて、 氷河期についての新説 地球上の氷河期の原因についてはその途中にある物質にはほとんど反 応しないというのだから ( 何しろ、 従来から様々な説が出されてきた あの量のニュートリノの半分の彙を が、今度全く思いがけない方面から 新しい説が提出され、目下太陽の内さまたげようと思えば、数光年もの 部構造について「従来の考え方を根厚さの鉛の璧が必要だという ! ) 太 本的に変えなければならないかも知陽の中心部からその表面までの物妻 い距離をあっという間に走り抜けて れない、という危機が取沙汰されて しまい、地球上にほんの何分間かで 到着する。 まず、現在太陽の内部構造につい ところが、なんと問題の焦点とな て定説となっているところから説明 すると、太陽の内部では四個の水素ったのは、このニュートリノなので から一個のヘリウムを合成する熱核ある ? 米国サウス・ダコタ州リードにあ 融合が行なわれており、その結果へ るホームスティク金山の地下一マイ リウムとエネルギーとニュ ルのところに、レイモンド・ディビ とが発生する。 1 ス・ジュニア氏によって考案され この時、ヘリウムはそのまま太陽 たニュートリノ探知器が設置されて の内部に蓄積されるが、エネルギー いる。この深さは、ニュートリノの は太陽の内部を通って表面に出、そ こから莫大な量の光として四方に放探知用としてはまことに理想的で、 この深さに到着するまでに他の粒子 散される。 だが、この光のエネルギーは、太はほとんど皆途中でストップされて 陽の表面まで出てくるのに非常に長しまい、主としてニュートリ / だけ い期間がかかり、それが地球に到達が、ここまで達するのである。 この探知器は、四塩基エチレン するまでには一千万年の時間を必要 とするので、いま太陽の表面から放 (Tetrachloroethylen C2C14) 射してくるエネルギ 1 の具合を点検という″、ニュ 1 トリノ捕獲液″を四 0 万リットル満たしたタンクから成 したところで、太陽の中心部におけ ってい・て、深さ一マイルの地般をつ る現在の状況を知ることはできな らぬいたニュートリノの粒子が、こ の液の中の原子量の塩素核につか ここで問題となるのが一一ユートリ まって原子量のアルゴンに変化す ノの存在である。しれは、質量のな い粒子で、光の速度で飛び、その上るので、その数をはかれば、ある一 0 3

2. SFマガジン 1973年4月号

そのあと、アジタがあかりをともした。二人は、そのゆらめく光 をたよりに、残りの壁画をみてまわったのだった。 第四の壁画は、石ばかりの世界だった。他の三つとちがって、ひ どくものさびし気で重くるしかった。まるで、何もかも石にされた みたいだ。やはり人の住みついてる場所がある。が、よく確かめな もやもやとした煙のように少年と少女を包みこもうとしていた。 「怪物なんだよ、きっと」 「そうね。気味がわるいわ」 その胎内をくぐりぬけるようにして、また点線がつづいている が、二人はこんどは、白い乗物にのっていた。 「終点は、この白い崖ね」 「うん」とポーディはいった。「アジタ、その白い崖だけどね。一 番、最初の壁画にかいてある崖とそっくりだとおもわない」 「ほんとだ」アジタはいった。そして壁画の前に顔をちかづけると しげしげとみていたが、また「ほんとねーとくりかえした。「でも さ、さつばりわからないわ。どういうわけなんだろう」 「おれだってさ、さつばりなんだ。まるで変な画なんだ : : : 」 二人はそのまま、その場にたたずんでいる。背後の内園は、とっ ぶりと暮れて、その代り厨房からのあかりがもれていた。でも、と どかぬ暗闇もある。 そこに何かがした 二人は気づかなかったが、黒くてえたいの知れないものが、いっ のまにか地を這うように現われて、じっと二人を見守っていた。 3 定期間内にその中にとびこんだニュ と、太陽内部で次第に増大して行く ートリノの量が探知できるというし中心部と表面部との温度差がある段 くみである。 階に達すると、太陽内部である複雑 ところが、約一カ月間期間をおい な対流が起こり、二億五千万年に一 て測ったニュートリノの到着量が一 な位すっ、その中をひっかきまわし ・五 coZ> ( プラス・マイナス一 たような状況が起こる。 0 ) にすぎないという結果が出たの この攪拌状態は、約一千万年で平 である。現在の太陽内部構造論に基常に戻るが、その最初の段階ではニ くと、そのエネルギーの量をもとに ュートリノの放出量が増大し、つい して理論的に算出されたニュート ) で極端に減少して、丁度前記探知器 ノの予想量は三 OcnZ> で、これで で検出した位の量まで落ちる。目下 はどうしても辻妻が合わず、最低で太陽の内部はこの状態にあるといえ も以下にはなりえない。 この数は何をものがたっているの ところで、太陽の内部でそういう であろうか ? 今まで太陽の構造論攪拌現象が起こると、当初百万年位 と一貫した理論に基いて考えられ組 は、太陽の光量が約五バーセント位 み立てられてきた大宇宙の構成やそ落ら、それによって地球上の氷河期 の発展史は、その根拠を失って、一 の発生を説明することができる。ち 挙にして崩壊しないとも限らない , ようど、地球上の氷河期も約二億五 かくて、天体物理学界は諸説紛千万年位の間隔で繰り返し起こって 々、この突然現われた矛盾を解決すきているようなので、この点完全に るために、恒星内部の核反応理論自辻妻が合う。 体も手直ししなければならないので したがって、現在のニュートリノ はないか、という議論が取沙汰されの量の減少は、今からニ ~ 三百万年 ることになったわけであるが : 前に起こって、その結果太陽光量の ここに、この問題はそんなに根本減少によって一番最近の氷河期をも 的に恒星内部の核反応論を改造しな たらした、そういう太陽内部の攪拌 くても、その後に定期的に起こるあ現象後「まだその放出量が平常に戻 る変動を仮定することによって解決久すにいるだけで、いすれは理論的 するのではないか、と主張する学者に辻妻の合う量まで回復するのであ が現われてきた。 それは、英国ケンプリッヂ大学の 果たしてこの解釈、そして、地球 天文学院に籍を置くフィッシャー の氷河期の原因説の真相は ? : ディルケとダグラス・ゴウ博士で、 ( 近代宇宙旅行協会提供 ) ネイチュア誌上で説くところによる 世界みすてりと・びつく 》 3

3. SFマガジン 1973年4月号

独り。ほっちで 冷たい墓の下に 眠ってゐて すっかり 退屈になった時 ふと記憶が胸を過ぎて ぶらりと墓から ぬけ出して来たのだ どれだけの時が 過ぎたかしらーー ? 地球の模様が すっかり変り果てて 見渡す限りは もう一面の沙漠 噴火山はみな冷え黙し 都会の跡には 殿堂の礎石が乱れ 生きものの姿とては 一つも見当らぬ 見渡す限りの沙漠 地球が骸骨になって ころがって居るのだ どれだけの時が 過ぎたかしらーー ? 鳥の声が繁みから洩れて 静かにこだましてゐた 栗鼠の森も 匂ひ高い花野も 優しい口笛の小川も 月夜にポートを浮かべて ギターを弾いた入江も もう跡すら見えず 恐しい怒濤が 暗礁を噛んでゐた大洋が 大きな低地になってゐる どれだけの時が 過ぎたかしら 嗚呼あの太陽の 喘ぎ疲れた赤銅色 ! 太陽にも冷却が近づいたのか それにあの虚空の黒さよ 空気が涸れ果てて 白雲の浮かんでゐた青空は いまは思ひ出のみとなり まっ黒な空には 太陽と星とが 一時に輝いてゐる どれだけの時が 過ぎたかしらーー ? ただ俺は見た しつかりと俺は見とゞけた 人類の末路と 地球の終りをば

4. SFマガジン 1973年4月号

なぜって 最も遠いところ まだそれよりも遠いかなた 光がうしろへと退いてゆくところ かってそこに存在していたことを証明する こだまも影も 星々は残さない もし宇宙が反対に動きはじめ その持っている本来の色を示したら もし、いまは観測できない光が 内へと流れ 銀河に嵐が吠えるように 空に雪が降ったなら 焦点を合わした太陽よりも明るく 夜のレンズは燃え 人はその目に白熱の暗黒を残して』 盲目となることだろう

5. SFマガジン 1973年4月号

発射台のそばは危いよ ニ度ときみに尋ねるまい どこへきみが行きたがっているにしても おれというロケットの頭部は きみが命令するまま 好きなところへ向きを変えよう 冥王星に咲く雪の花をつみに それとも百合の根をひきぬこうと カペラにむかってか ? おれはニ度と尋ねるまい きみに、どこへ行きたいんだと 彼女は言う どこか星を知っている ? どこでもいいの 愛がおとろえ沈むことのない 忠実な太陽なら ・ ( 秒読みが知らぬまにすぎてゆく ) ああ、子供だね、きみは そんな星があるのなら 航宙図もない虚空で光っているはず

6. SFマガジン 1973年4月号

アポロ計画が終って、現実とかかわりある、生臭い話題が一段落したせい く似ている。ということは、地球の場合と同じように、この中から、原始的 かどうか、それはわからないが、最近また宇宙における生命の可能性といっ 生命が誕生しつつある、と考えることもできるわけである。 た話のタネを、外電がしきりと伝えてくる。この頃話題になっているのはお カ 1 ル・サガン博士はこういっている。 もに木星と土星の月で、科学者たちは、最近の観測計画に基づいて、そのど 「タイタンは、一種のタイムマシンである。われわれはタイタンを観察する れかに原始的な生物が存在しているかもしれない、と主張しはじめている。 ことによって原始の地球の時代にまでさかの・ほることができる。私はタイタ たとえばタイム誌は、アメリカ、コ 1 ネル大学の有名な天文学者、宇宙生 ンに生命があることは疑問の余地なしだと思う」 物学者のカール・サガン博士とその観測チームが、土星の衛星タイタンを、 時を同じくして、木星の衛星からも、生命の可能性をしめす新発見のニュ 1 スがもたらされた。ュ 1 ローパとガニメデがそれで、木星の十二個の衛星 赤外線、望遠鏡で観測した結果、その温度が、従来考えられていたよりもず っと温かい、摂氏零下七三度であり、さらに、やはりいままでの推測よりも のうち大きい方に属する。 はるかに濃い大気を持っていること、かなり大量の水素ガスを宇宙空間に放 アリゾナのキル・ビット・。ヒ 1 ク国立天文台で、アメリカ、マサチューセ 出していることなどをつきとめ、その中に、原始的な生命の存在する可能性ツツ工科大学のア 1 ル・。ヒルヒアー教授とそのチームによってなされた観測 がある、と言明したというニュ 1 スを伝えている。 のスペクトル分析の結果によると、ユーロー。ハとガニメデの地表のかなりの タイタンは半径約四二四〇キロメ 1 トル、一〇個ある土星の衛星の中で最部分が、地球上の霜に似た氷で覆われていることがわかったのだ。さらに、 大のもので、惑星では水星にほ・ほ近く、地球の月の約一・五倍以上あゑこそれ以外のアリストとイオにも、霜にちかい粒子の存在が認められたが、こ の衛星上に大気のあるのがわかったのも比較的最近のことだが、地球とくら の方は ( あまり確かなデータが出なからたというー べて約十倍も太陽から遠いのに , ーー太陽からの平均距離約一四億五〇〇〇万 こうした、木星の四つの内衛星に水が存在したということは、それ自体で キロメ】トルーー気温が予想以上に高かった理由について、サガン博士は、 は、ただちに生命の存在に継がらないが、その可能性は従来よりもはるかに ゲリーンハウス・エフェクト 大気が非常に濃密なためいわゆる温室効果が強いためだろう、と推測増大したと考えていし 、とビルヒャ 1 教授は述べている。 している。つまり、衛星をおおう雲が、太陽からの熱を、放射する分よりも また、別にワシントン・ポスト紙に発表されたメリーランド州立大学のポ ずっと余分に取り入れるためである。 ナンベルマ博士の研究でも、同じ可能性が主張されているという。 サガン博士の説によれば、この濃密な大気は、火山活動によって噴出され ポナン。ヘルマ博士は、一昨々年発見されたオーストラリアのマしチソン隕 た水素、メタン、アンモニアから構成されているが、これを太陽光線が叩く 石による原始生命の化学進化説 ( 当時この欄でリポートした ) の発表でも有 結果生ずる化学反応から、まず有機化合物ができ、さらにそれから、プリ 名になった人だが、彼は木星そのものの大気ーーーとくに上層の雲の中に、原 ンをはじめアミノ酸にいたるまでーーっまり、生命の芽生えを準備する複雑始的な単細胞生物が浮遊している可能性がある。と主張したのだ。 ワシントンポスト紙の記事によれば、ポナンベルマ博士は、アンモニア、 で巨大な分子が形成される。そしてこうしたさまざまの要素が、一種の濃厚 なスープ状を呈していると考えられるのだ。 メタンなどを含む木星大気と同じようなガス室をメリ 1 ランド大学の実験室 これはちょうど、いまから四〇 ~ 四五億年前の原始地球の大気の状能によ につくり、これによって実験を重ねた結果、そうした結論に達したもので、 我 " サイエンス・ジャナル 太系に生命を , る 加藤喬 4

7. SFマガジン 1973年4月号

準からすればとるに足らぬものだったが、彼を新しい軌道へーー数た。この回転を止める手段を彼は何も持たなかった。それに実際、 マイルの高さで月を通過でぎるとヴァン・ケッセルが保証してくれ彼は常に移り変ってゆく景観を楽しんでいた。もはや彼の眼は、時 た軌道へ彼を押しやるには充分なはずだった。たいした高さとは言おり視野の片隅にあらわれた太陽によって妨けられなくなったの えなかったが、この空気のない世界では、それで充分だった。彼をで、それまでは数百の星しかなかったところに幾千もの星々を眺め 爪にかけてひきずりおろそうとする大気層がそこにはないのだかることができた。おなじみの各星座は濃密度の星々の中に溺れ去 ら。 り、最も輝かしい惑星すら、この光の洪水の中では見つけることが 突然の良心のうずきとともに、クリフは、ミラへの、約束した二難しかった。月面の夜の平原の暗い円盤が星空を横ぎって、日食の 度めの電話をしなかったことに気がついた。それはヴァン・ケッセ影のようにかかり、彼がそれに向って落下して行くにしたがい、ゆ ルのせいだった。この技術官は彼にずっと待機の姿勢を保たせて、 つくりと成長していた。あらゆる瞬間に、明るい、あるいは光の弱 個人的な事柄をくよくよ思い悩む余裕を与えなかった。そしてヴァ い星が、そのヘりの向う側を通過し、まばたいては見えなくなって ン・ケッセルは正しかったのだ。このような状況下では、人は自分行った。あたかも宇宙空間に一個の穴が成長し、天空を食べつくさ のことだけを考えていなければいけないのだ。精神的肉体的のすべんとしているかのようだった。 ての能力を生存への一点に集中しなければならないのだ。心を分散彼が移動してゆくことを表示するものは他にはなかったし、彼の させ、弱気にする愛の絆を思うべき時でもなければ場所でもなかっ規則的な一周十秒間の回転運動を別にすれば、時の経過の指標とな るものもなかった。自分の時計を見た時、カプセルから跳び出して 彼は今や、月の夜の側へと突き進んでおり、日に照された三日月から半時間もたっていることを知って驚愕した。彼は星々の間にカ 形の面は見ている間に縮小していった。彼が目を向けることを恐れプセルを見つけようとしたが駄目だった。今頃はそれは数マイルも た太陽の堪えがたい白熱円盤は湾曲した地平線に向ってすみやかに彼から遅れているのだろう。しかしそれは彼よりも低い軌道を進ん 落下しつつあった。半円形だった月の景観は一本の燃える光の線、でいるのだから、やがては彼の前方に位置するようになり、彼より 星空にかかる一筋の火の弧線へと痩せおとろえた。やがてその弧線も先に月面に到着するだろう。このパラドックスがどうも理解でき は一ダースほどのびかびかしたビーズ玉へと分断され、彼が月の影ずクリフがいろいろ頭をひねっているうちに、この数時間来の緊張 の奥へと突入して行くこしこ : 、、 冫ナカしそれらも一個また一個と、まば による疲労が無重力状態による陶酔感と一緒になって、彼が到底予 たいては消えた。 期し得なかった結果をもたらした。自分の呼吸音を子守唄のように 日が没してしまうと、地球光は今までよりもさらに光輝をました聞き、どんな羽毛よりも軽く、星空の下に浮びただよって回転して ように見え、自分の就道上を、ゆっくりと回転してゆく彼の宇宙服 いるうちに、彼は夢のない眠りに落ちいったのである。 、つ潜在意識からの、うながすような呼びかけに眼醒めた時、地球は を銀色の霜のようにきらめかせた。一回転ごとに十秒ほどかカ こ 0

8. SFマガジン 1973年4月号

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9. SFマガジン 1973年4月号

たすごい。本の綴こそ左側だが。和紙使用の袋綴で日本身軽に機上の人となる 語版そっくりに作られているなど、非常に凝っている。 次に同詩集から「地球を弔ふ」よりも、さらに的ロケットの酸素と食物は あと 興味の高い、スペース・オペラ風の一篇を紹介する。 後三十年は大丈夫で 僕はとても朗らかだ 地球別離 あゝ早く早く地球の引力が さやうなら地球よ 支配せぬ空間に飛んで行きたい 二足獣の世界よ 地球の青い空気層を突破するとロケットは宇宙のひろ 僕は今お前から離れて びろとした 遠く宇宙の彼方へ飛び去るのだ 真空圏へ突入するのだーーすると 獣類の文明にたまり兼ね まっくろ 空気の尽きた大空は真黒で やっと造りあげたロケットで あこがれ 太陽と月と星が一時に燦爛と輝いてゐる ! 僮憬の無窮へ飛んで行くのだ 二度と地球へ帰って来るものか おゝ思っただけでもうたまらぬ でも正直にさういふと俗衆が 早く僕はその壮観に見惚れたいのだ ! このロケットを壊すかも知れぬので びよっとするとこのロケットは 僕は几帳面な科学者の態度で 彗星の奴と道づれになるかも知れぬ 地球と星の通路開拓と称したさ 素的な話が沢山に聞かれよう 僕の悦びは輝く黒の喪服 さようなら地球よーーー広い大地よ でも民衆は決死の装束と賞讃し さようなら地球よーーー月の大さの 学界と人類の先駆者だと感激し さようなら地球よーー・星の大さの 見よこの僕といふ勇士 ? を やがてそれも見えなくなって ば見送ってくれる旗歓呼 盲目のロケットがぐんぐん進まう 僕はロ笛を吹きながら 或星は玻璃の陸地に虹の海 花環の群からヒマラヤとアルプスの 蜘蛛の巣で造った家が建ち 月光で張った窓の中から 匂ひ高い地球の花を採り 真理の精霊が合唱しつゝ ロケットの胴に結びつけて

10. SFマガジン 1973年4月号

月前、わたしが母の胎内に宿された時のことだった。それ以来彼したが、そのときの経験はわたしの仏教に対する信仰を放り出さ 2 0 は、決してむごい父親ではなかった。厳格で注文が多く、どんな人せ、同時に叙情詩集「クリシュナの笛」を書かせるところとなっ 2 の欠点についても許すことはなかったが、それでも決してむごい人た。それはその価値を正当に認められて、ビュリツップ 1 賞を受け 間ではなかった。彼はわたしにとって母のすべての役割りをつとめた。 てくれ、また兄弟でもあり、姉妹でもあった。彼はわたしが三年間その後学士号をとるためにアメリカに戻り、言語学をおさめた セント・ジョーンズ大学で過ごすことを許してくれた。そこが実際が、さらに数多くの賞を獲得した。 にはどんなに自由で楽しいところかということを彼は知らなかっ そのころ一台の宇宙船が火星に向かった。その船が「ニューメキ た。許してくれたのは多分、その名が聖者の名をとってつけられてシコ」基地に着いたとき、ある新しい言語をもたらした。それは幻 いたからなのである。 想的でエキゾチックな言葉であり、美学的にも圧倒的な美しさを備 しかしわたしは父という人間を知ることがなく終わった。そしてえていた。わたしはこれについて知りうる限りのことを研究し、そ 霊柩車の上の男はもう何も要求しなかった。わたしはもう神の言葉して本を書いた結果、この新しい分野で名をはせることになった。 を説いて歩かなくてもよくなったのだった。だが今度はわたしが違「いくんだ、ガリンジャ 1 。君の・ハケツで井戸を汲み上げ、火星の ったやり方でぜひそうしたいと思った。わたしは、父が生きていた飲み物を地球に持ってくるんだ。いって別な世界を知るんだ。だが あいだはぜったいにいうことのなかった言葉を、説いて歩きたいと距離は保っておけ。オーデンのように、そっとあの世界に触れるん った。 だ。そして詩のなかにあの世界の心を封じ込め、われわれに伝える 秋になっても、わたしは四年に進級するために学校に戻ろうとはんだ」 しなかった。わたしはちょっとした遺産を手にすることになってい こうしてわたしは来た。太陽がくすんだべニー貨のようにみえ、 たが、まだ十八歳未満だったために、それを自由にするには多少の風がむちのように激しく、二つの月がホット・ロッド・ゲーム ( 自動 車のエンジンを改造し、馬力を 面倒があった。だがわたしは何とかそれをやってのけた。 ふやしたもので行なうレース ) を演じているこの土地にやって来た。ここ そしてわたしはとうとうグリニッチ・ヴィレッジに落ち着いた。 ではいつも砂地獄が、それを眺める人に放火者の苛立ちを覚えさせ わたしは、好意をもってくれている教区民のだれにも新しい住所ている。 は教えず、毎日毎日、詩を書き、日本語とヒンズー語を独習する暮 らしをはじめた。ぼさ・ほさのひげを生やし、エスプレッソ・コーヒ わたしは寝床の上のもつれた夜具から抜け出すと、暗い船室を横 1 を飲み、チ = スをやることを覚えた。わたしは救世のためのほか切って舷窓のところに歩み寄った。砂漠はその下の何世紀もの堆積 の道を探したいと思っていた。 物によって盛りあがり、果てしないオレンジ色のカーベットとなっ それから「老人平和部隊」といっしょにインドにいって二年暮らて広がっていた。