身動き一つしないで外を見ていると、中天に輝きながらついての説明はまったくないが、ともかく散士は月の神 探飛行する物体がある。最近のなら、さしずめ円盤での申し出を受けたわけだ。西洋には、日本にくらべて昔 世 も飛来するところだが、ここに現われたのが一匹の竜。から数多くの月世界旅行譚があるが、この作品の主人公 竜は散士につくと、たちまち姿を変え白髪の老人にのように月の神からぜひと願われて旅するというケース 史 なった。嵐もビタリと止み、あたりはなにごともなかつはそうたくさんはないだろう。 羽 たように静かになる。唖然として立ちすくむ散士に老人散士はふたたび老人が姿を変えた竜の背にまたがり、 は、自分は月の神の使いだ、と名乗り、ゆっくりと話し荒れ狂う雷鳴の中を月に向かって飛んで行く。さすがは だした。その話はこうだ。 日本作家の作品、竜の背 へ 界 中にまたがって嵐の中を 月世界には「サウス」 世 と「ノーツ」という二つ 突っ走るというあたり実 で の国があって、それそれ に爽快た。竜巻き〈ルキ アーノスⅡ真実の話〉鳥 能独立した生活を営んでい るが、最近の「ノーツ」 カ〈ゴドウイン僧正ⅱゴ ンザレスの月旅行〉・ハネ の文化発達度は目ざまし、、を。 く「サウス」人民は足元 利用〈ラッセンⅡ月への にも寄れなくなった。さ 旅〉などと比較するとケ タ違いに迫力がある。 らに「ノーツ」は戦略主 義を唱え、ことあるごと さて、北海散士が到着 に「サウス」をおびやか したところは、月世界は している。しかし、「サ 「サウス」国の一寺院の ウス」政府は無気力、無 大広間。この場面はやは 活発で抵抗もしない。 このままでは「ノーツ」に征服さり原文引用にしよう。ただし、句読点だけは・ほくが添加 れてしまうのは必定。そこで、月の神は「サウス」人民する。 をあわれんで、散士に月に行ってもらい、両国民を善導 あたり してくれるように老人に命じた、という。 北海散士眼を見開き四方を見るに、異種異形の人物さ この話を聞いた散士ーー怒気心頭に蒸発し慨慷切歯胸しも広き大広間も所狭く寄湊ひ、怪しげなる言語を以て に迫り言はんと欲して声出でず眼無量の涙は時ならぬ小何にやらん頻りに語ると雖ども、言語の通ぜざる少しも 雨を催しーー即座に月人民救済に向かうことを約束し了解するを得ず。此に於て散士は初めて身、月世界に着 つらつら た。 , 月の神とよ、つこ、、・ をしナしとういう存在なのか、これにせしを覚り、熟々其人物を見るに、色飽まで白く、顔い まなこ - 6 :
月の世界の人達は、博士をとりまひて、、拝んだり泣い あげて怒鳴りました・ たり、おどかしたり、どうかして、カマキリ人を退治さ 「これは、一人の男にとっては小さい一歩だが、人類にせやうとしました。けれども、博士はどうしても聞き入 とっては巨大なジャンプである」といったアームストロれません。 ング船長の言葉に比べると、実に単純、素朴、かっ明解 な第一声だけれども月一番乗りの感動を表わすには最適どちらが勝った方が月のためになるのかわからないか ら、横から第三者は介入しないというわけだ。さすがは な太郎の言葉かも知れない。 一見、月は死んだ世界だ 0 た。昔、海だ 0 たと思われ月世界旅行をくわだてる大科学者である。こういう人が たくさんいれば、地球はもっと平和になるにちがいな カラス作りのビルが林立してい るところは砂漠と化し、・ たが、人影は見当らない 0 結局、一行は不用になった武器を月人に与え、代わり ところが、がっかりする一行の前に生物が現われた。 月の人類はクレーターの中にガラス張りの屋根を作 0 てに宝石をもらって地球〈帰国する。 少年向きだけあって、最後の部分が教訓になっている 残り少ない空気が逃げないようにして生活をしていたの のが嬉しい。しかし、この胡堂の訴えも空しく、一五年 一行が秘密の通路を探して、その内部〈入ると中には後に世界が大戦争の渦に巻きこまれてしま「たのは残念 二種類の人類がいる。一種は地球人によく似た人種。もなことだ。 う一種は昆虫から進化した黒い力キリのような人種この作品は、先に触れた桃源社版が、現在も入手でき だ。両者はたがいに相手を倒そうと狙いながら毎日を過るので、詳しい紹介を避けた。同書には、太郎・花子た している。現在は力キリ人が優勢で敵を捉えては食料ちが火星で活躍する続篇「火星探険」も併録されている ので一読をおすすめする。 にしてしまうという。そんな時、太郎と花子がカマキリ 人に捕まった。博士は戦争は好まないといいながらも、 二人を救出するために、やむなくカマキリ . 人たちと闘今回は少ないスペースに三つの話を詰めこんだため、 う。この作品でも、また、チャン・ ( ラが始まった。考えどうにもまとまりがっかなくなってしまったようだ。出 てみると、ここに紹介の三作はいずれも、地球人の月訪だしは竜などが登場して、非常に威勢がよかったのだが 問によってたくさんの死傷者がでる。月人たちにとっ後半が尻つばみになってしまった。こういう文章を竜頭 て、、これはど迷惑なことはない。ようやく、二人を救出力マキリ尾という。 して地球へ帰ろうとする博士を、地球人に似たほうの月 人たちが追ってきた。 」 0 ! ーに鸚黜 ! 第膚第駅第当第 m 第 ! 当第淲 m ! 第駅盟 ! 第Ⅲま第ま盟語盟ー■ ! 盟第当語 ! 鬯黜第第一 74 ーま製
昭和 35 年 4 月 12 日第 3 種郵便物認可昭和 34 年 12 月 1 日国鉄東局特別扱承認雑誌第 682 号昭和 48 年 5 月 1 日印刷・発行 ( 毎月 1 回・ 1 日発行 ) 第 14 巻・第 5 号 マガジン 197 アメリカ・ファンタジイ & SF 誌特約 ☆ 3 大 SF コンテスト応募規定発表 Sc 〃化 / S カ破、多 Fa 厩
いる事実はいなめない。決して、うまい絵ではないのだが助けを求めている夢を見て、むしように月へ行ってみ が、実にストーリイとマッチしているのだ。この本も、 たくなり、宇宙船を研究している伯父の博士を訪ねた。 ばくは所持しておらず「トータルスコープ」の執筆者のすると、博士は・・ウエルズが「月世界最初の人 一人だった井口健二氏にお借りした。 ( 今回は、紹介す間」 ( 一九〇一年 ) の中で考えだした引力をなくす機械 る三冊の本のうち、二冊までが借本となった。持つべき ラジューム発動機を備えつけた卵型の航空船を完成 者は友人である ) していた。これに同乗させてもらった二人と大が一匹に 「太郎の旅月世界のたんけん」は、時代もちがうとは博士の助手の、四人と一匹は、たくさんの人に見送られ いえ、前二作品とは比較にならないほど科学的 ( ? ) なて月に向かうこととなった。 物語だ。 大きな銀色の航空船はフワリと浮いて、三つの煙突を この小著を、科学と芸術を愛する、世の少年少女諸君つき出しながら、お月様を目がけてタ空高く昇って行き に献じます。編中の太郎さん花子さんと共に、しばらくます。 想像の翼を伸べて、月の世界へ遊んで下さい。 ( 中略 ) 航空船はソロ / \ 昇っていきます。もう、お母様の顔 読者諸君は、この物語りから、小説的興味と科学的知もお友達の顔も見えません、暫らくすると、格納庫の赤 識を求めらるる外に、出来るだけ著者の偶意を読んで下い屋根も見えなくなりました。 さるやうに希望いたします。例へば、太郎さんは知恵と この旅行法はウエルズの請け売りで、日本独得のもの 勇気を、花子さんは愛と純情とを表象する如き、その一 ではないが、なんとものんびりした光景が想像されてほ つの例であります。 三十年前、人間が空飛ぶことは、一つの空想に過ぎまほえましい。それに、この航空船ならヒステリー性でな せんでした。今から五十年百年、或は千年の後、月世界くても月へ行けるから一般大衆向きだ。南極へ寄り道し 探険が可能になる時が来ないとは誰が言い切れるでせたりしながら、航空船は途中密航していて発見された五 う。著者は、発明の母なる空想の讃美すべきを知るばか郎八というコソ泥とともに月に着陸。いよいよ外に出る りであります。 ことになった。第一次世界大戦の時使用した毒ガス除け の呼吸器をつけただけで、ふだん着のまま月に第一歩を この一文は胡堂自身のまえがきだが、胡堂が少年物をしるす。 強く意識して荒唐無稽なストーリイを避けていることが よくわかる。とはいうものの、本当は、かなりいい加減博士と太郎と花子は、ポンポンポンと月の世界へ飛び なお話・ : 下りました。繩ばしごを降して居るのが待ち通しかった 太郎と花子は冒険好きな少年少女。ある晩、月の女神のです。太郎は大喜びで : : : 「僕が第一だ ! 」と両手を 職 : ー 7 3 黜盟出 ! 第黜 ! 出第黜 ! 盟Ⅲ第 ! 擺盟黜Ⅲ盟 ! 第黜出 ! 盟黜盟黯盟第第黜出出 ! 第黜盟 : 黜 ! 盟盟第黜盟 ! ま盟盟語ー鬯盟 : コ
移った、是れより先き、尚空気中を翔翔して居た頃かへ行けないものかと思案しているころ、きん子にねたみ ら、二十名の佳人は、寒冷に堪え兼ねて、歯根の合はぬを持つ高利貸しの女将が、きん子は月世界征服をくわだ ぶるぶる までに戦々し始めたが、きん子のみは、平然として毫もてている悪女だから死刑にしてくれと、請願の手紙を・ハ カニシ国に大砲で打ちこむ。もちろん、個人の費用でだ。 寒冷を覚えず、さも愉快らしく話を仕掛くるのであった。 既に空気以外の境に出てから後は、電気作用に依り、 国の名前通り頭の悪い・ハカニシ国の皇帝は、このロ車 一時間に十万哩といふ非常な速力で進行するゆゑ、寒し に乗せられ、きん子に節解の刑をいい渡した。これは人 も暑いもなく、震動の甚しいので、皆一同に殆ど無感覚間を殺さず身体を分解する恐ろしい刑だ。 の状態に陥り、無我夢中の間に、ハヤ月世界へ到着した。 当時の判決文は左の如くである。 地球界大日本国浮浪人 妙齢の二一人の乙女が薄着で宇宙空間を飛んで行く 図、アポロ宇宙船のダルマみたいな宇宙服なんか比較の秋野きん 地球界計算年齢十五年五月 対象にきえならない。外国のどの作品にこんな月旅行の 場面があっただろう。日本・ハンザイを唱えたくなっ右之者海賊等不良之徒と共謀之上、地球界日本国華族 てくる。 公爵秋野安家の代理人と偽て、月界諸国占領、財貨盗 女性月世界探険隊が着陸したところは、月世界の赤道奪、 - 帝王及び其の他の元首弑殺の為め、潜来候儀、従犯 直下の沙漠のまん中。赤道直下ともなれば、月だろうが沢村とみの自白に依て明白也、依之節解の刑に処罰候事 月日 星だろうが、昼だろうが夜だろうが、理由なんかなく暑 。やっと川を見つけて二一人が水浴びを始めると、そ 月界逸遐弐志国 司法官 こへ現われたのが月世界の蛮族。裸の若い女性が好きな 点では、地球の男どもにいささかも引けをとらない。た ちまち九人の乙女はなぶり殺しにされ、きん子は他の数きん子が節解の刑に処されているとは知らない久麿 あっはま 人と熱帯国・ ( カニシの首都熱浜に連れ去られた。まるでは、どうしても月へ行く方法を発見しようと、羽衣の発 温泉場か海水浴場みたいな名前の都市だ。きん子は総裁明者筆野を訪ね、ベルヌの「月世界旅行」にならって共 に面会して、地球からの友好のために訪問したことを告同で砲弾によるきん子救出の月旅行の準備にとりかかっ げるが、結局は羽衣を取りあげられ見せ物同様にされてた。そこへ、月から逃げ帰った一人の乙女がきん子の身 しまった。事態は風雲急を告げてくる。 の上を知らせる。久麿と筆野は怒り心頭に達し、無事に 自由を奪われたきん子は夫久麿のもとへ反魂術を使っきん子を地球へ戻さなければ全月世界に、みな殺爆弾を て状況を知らせるが、残念ながら久麿には羽衣を使って打ちこむと通告。・ハカニシ国をはじめ月世界諸国は、こ 月へ飛ぶことができない。なんとか電気力を応用して月の通告にふるえあがったが、この時はすでにきん子を謀
「月世界のたんけん」イラスト入り本文ベジ 二をを第ドゾ 略によって焼き殺して しまった後。おろおろ 月世界は遂に日本の支配下に入ったのだ。もし、もう する月人たちにおかま少し早くこの事実を知っていたら、アメリカやソ連の月 、いなく、砲弾の雨が降開発に対して、日本のいいぶんを通すこともできだろう に、と悔まれてならない。 ( 今からでも主張してみよう 物りそそぐ だが、砲弾の雨を降か ? ) ・エンドに終るのだ これで、本当なら物語はハツ。ヒー らしてみても死んだき このが、そこは商魂たくましいこの作者、・・・ハロウズ ん子は戻らない。 うえは、やはり自ら月ばりの妙手を考えた。ここで、ふたたび、ヒロインのき ~ へ飛び野蛮国を征服しん子を行方不明にしてしまったのだ。物語は続篇の「空 一てうらみを晴らそうと中電気旅行」に舞台を移すことになるが、これは米田氏 一第、久麿が考えているとこも所持していない。運よく入手できたら、後日紹介する ろへ、死んだはずのきことにしよう。 , 、ん子が帰ってきた。話ごらんの通り、この作品は一級品とはいえない。しか 務を聞けば死んだ少女をし、日本の古典には、こんなドンチャン騒ぎの月世 こ物つにい第尹 。【 ( い第第、」第■第■」を ( ( を、身代わりして逃げのび界旅行譚があることを忘れてはならない ( と、思うんだ たという。事情を聞けば聞くほど月人たちを許しておけけど、忘れてもいいや ) 。 ない。ここに久麿、きん子、筆野らが中心となって、三 一〇人の月世界征伐隊が結成された。今度の飛行法は羽衣囹少年よ、月をめざせ , ではなく砲弾である。三日三晩、砲弾は飛び続け、かっ てきん子たちが受難の浮目を見た沙漠に到着。蛮族の酋最後に紹介する月世界旅行譚のタイトルは「太郎の旅 そり 長に沙舟を借りた一行は、月世界の砂の上を滑って、・ハ月世界のたんけん」。作者は「銭形平次」でおなじみ、 カニシとこれに味方する二国に攻撃をせんものと突き進大衆小説界の巨匠野村胡堂。タイトルから察せられる通 む。 り、少年向きだ。大正一四年、報知新聞に連載さ 激しい攻防戦の末、三国は攻撃に耐えきれず征伐隊のれ、大正一五年に子供の科学社から上下二巻本で刊行さ れている。絵物語形式で太田雅光という人が絵を描いて 軍門に下る。 いる。二年半ほど前、桃源社が胡堂のもう一つの長篇 三国共に頓首百拝して、夫れど、賞金を出し、日本へ「二万年前」と抱き合わせで再刊したが、これには文 章のみで絵が省かれていたため、おもしろさが半減して 屈服の旨を告け、何れも人質として太子を寄した・ 772 刪
6 第に第単第四回日本月世界旅行譚 ファンにとってはまことに心強いが、これは西洋でのお 話。われら日本人としては、やはり日本人による、日本 囹初めは竜の背に乗って 日本 人のための月世界旅行譚に興味がある。いったい、 アポロ計画もほぼスケジュ 1 ル通り終了した今ごろに最初の月世界旅行譚はいつごろ、どんな形で登場するの だろう。 しささかセン なって、月世界旅行の話を紹介するのは、、 、、″月遅れ″ スがずれているような気もするが、まあし . し 神話・伝説のたぐいは別として、明治以前の古典文学 という言葉もあるくらいだから : : : と、今回はヘタなダ などを調べてみても、残念なことに日本人の月旅行物語 ジャレで幕が開く。 は見当らない。「竹取物語」はかぐや姫が月へ行くスト ーリイのファンタジイの一大傑作だが、これは月世界人 統計をとったわけではないので、はっきり断言はでき ないが、おそらく古今東西を通じて一番多く書かれた が故郷に帰る話で、どう好意的に見ても月世界旅行譚と のテーマは月世界旅行ものだろう。すでにの読者よ、 ともなればごそんじのことと思うが、世界最古の月世界ばくの調べた範囲では、日本最初の月世界旅行譚は明 旅行譚はローマ帝政期にギリシャの作家ルキアーノスに治二一年 ( 一八八八 ) に登場する。「夢幻現象政海之 よって書かれている ( 「神々の対話」「真実の話」 ) 。二千破裂」という、およそ月旅行とは関係なさそうなタイト 年もの昔に月に旅する物語が存在したという事実はルの作品がそれだが、これはまぎれもない月世界旅行譚 連載 , 日三 ) て古典
( 横浜市中区本牧荒井税の吉田ゆみ ) のように多量の経費を使えとは言わない、細々といでがんばっておれるのだと思います ( 愛情も ) 、 でもいい、・続けることが必要なのだ。 もしもが後十数年のうちにものすごい普及率 アポロ十七号が最後の月探査を終えて、十一一月オリ・ハーの「時の風」だったと思うが、数万年をみせて、あっという間に一般常識の中に組み込 二十日地球へ帰った。この十七号をもってアメリ後の未来のことを考えて行動する星の住民の話がまれてしまうなんてことになってしまったら、趣 力の月旅行計画は、す・ヘて終わった。ソ連にも現あった。未来のために現在を捨てろとは言わな味の娯楽のための、また自己の研究のための 在月旅行計画はなく、少なくとも七十年代にはもい、 だが、はるかな未来を展望することによってではなくなってしまって、常識として当然のもの う人間の月への着陸はない。はっきりと言って、現在を改革し、よくすることができるのではないになってしまうからです。 ( かなり極端な例です 「残念」の一言に尽きる、他天体への人類の発展か、そこに、人類の発展の一つの基礎ができるよが ) 月並なものが、いかにおもしろくないかみな という「夢」が断ち切られた思いがする。アポロうな気がするのだが、 ( ちょっとの読みすぎさん知っているはずです。こうなってしまったら 十一号で初めて人間が月に降りたったとき、遠くかな ) ( 大阪府八尾市一一俣引の田中準一 ) カばかりで集まって討論をする楽しみも半 ない未来に可能となるであろう月への観光旅行に 減し、本屋でわずかばかりのを血まなこにな 夢をはせたものであった。しかし、しよせん「夢」 の″てれぼーと″読んでいると毎号、誰って探すあの充実した時間がなくなってしまうの でしかなかった。 も回りの人間はを読んでくれないというようです。つまりをやる ( 読む、創作する、研究 地球は狭い、しかもその資源はすでに枯渇しかな嘆きの投書が必ずあるようです。たしかにするを含めて ) 最高の楽しみというのは、わずか かっている。人類がもし長らえようとするなら、を本格的に読んでいる人は、たいへん少ないようばかりの愛好の同志と討論をしあったり、本 他天体への発展がどうしても必要となってくるでです。・ほくのいる学校でも、本格的にを読んを読んでみたり創作してみたりときには愛好会で あろう。だが、その芽は成長する間もなくつみとでいる友達は他にはいないようです。 ( ・ほくの影も結成して会誌でも発行する。このような状態が られてしまったのだ。理由は、要するに金のかか響を受けてかぶれかかったのは二、三人いますもっとも充実しているのでは、ないでしようか。 りすぎだと言う。現実への見返りのない月旅行計が ) しかしそれを無理に他人におしつけることも回りの人に無理に読ませたり買わせたりする必 画か、国民の福祉かの選択を迫られてアメリカは ないと思うし、また嘆く必要もないと思います。要はまったくないと思うのです。最後に、を 後者を選んだのである。月旅行と国民福祉の選択そもそもというものは趣味の一つであり、 もっと日本全国の人間に、いや地球人全部に 自体がまちがっている。他の経費 ( たとえば、ま文学としてはわずかな一握りの部分でしかあり得はこんなものであると認識させる必要はあると思 ったくばかばかしいほどの軍事費 ) を減らし、双ないと思うのです。趣味であるからこそわれわれいます。 ( 極端な例になると「って仮面ライ 方へ金を使えばよいのである。だから、これまでは、に対してこのように愛着をもって心血注ダーをよくいったやつじゃないの」などと、言 う人もいるのです ) がどんなものであるかを 。年門者号研地雄をつ 3 2 談一ら 認識する数が増えれば増えるほどを読む人も プ専立 7 一同洋士でた訳座ケみ 必然的に増えるはずです。 阪 0 物 一ら 9 を 5 た東の写出翻るンの 追伸、というけったいなものの定義を一 、 .. 一 ( 廴イは・グ月内」す。大中学辻同判月篇を測工 に -0 っ 0 1 「み一宀」に . 、 0 、内 4 学会いる西区入 語、あるいは、一一語、三語くらいで表わせること ふ、 ~ 0 学年大好ぺい関旭こ道機 ga の各歩来画 ス ばを考案中です。全国のみなさんご協力下さい もの同すて「市物治をこ作の未企名 回四初「つは ( 鹿児島市上福之町 4290 の 6 西元晃 ) ペ 今て最誌も名 木祭胤は創プる , , っ本学会をプ 。の大月近論ルにな きか日大 , 統一所己枢の 7 最評グン果員 ファンダムの異色的存在として「日本超自 , 西が伝ル絡克中末年 。新ア結会 ( 然現象研究会」が誕生しました。、テレ・ ( を ~ ・第 ~ に一」を【ド ( 」勢 - 第′物ま澱簒 ~ 〕、′ッ躄物′謇 ~ ~ つよて関 たグ連藤ム年翌る頁 , フ に学け「修しの ( 新ダ同 , い 8 か手 シー等に興味をお持ちの方は幻円切手同封の上左 ン 6 号大かプ野出回」・ン , めて , ほ若 記へ御連絡下さい イ る 前西にラ山で今会引アがついての , ( 関末ク・ま究一フ等あづ号篇会トれ ( 渋谷区神山町 5 の 2 並木伸一郎 ) 一日リいい日いいいいいい日口いいリいい : 日口い日日日い ~ ラ、アシジンパ〈ト
ーシェルによって月世界に月人が住 に鼻高く、ロ大の天文学者・・ハ に頭髪長く垂んでいるのが確認されたと報道した。このニュースは瞬 れ、且肩上に間的に世界中に広まり大センセ 1 ションを巻き起こした みのたけ 羽を具へ、身長が、実は・ロックという新聞記者のイカサマ記事と判 四尺強。嘗て、画明した。これが有名な〈ムーン・ホークス事件〉だが、 工の筆せる天狗北海散士の月人描写は、どうもこの事件の資料を元にし ているようだ。肉羽を持っ身体、身長、肌の色などそっ と異なるなし。 くりだし、建造物が美術的に秀れているなどの各点で一 身に纒へる粗服 は草木の繊維よ致を見る。〈ムーン・ホークス事件〉当時、日本は鎖国 り織り成せる者中で騒ぎに巻きこまれることはなかったが、五〇年もた と見へ、肉羽のってからでも、まだ影響されているところをみるとよほ 下より之を褪ど信憑性を感しさせるイカサマ記事だったのだろう。 各頭に小形物語のほうは、ここまでが全体の七分の一ほどで、ほ この後は散士の月世界上での んの発端部分にすぎない。 の帽子を戴く。 此等粗悪なる風活躍を中心にストーリイが進展するのだが、残念ながら 習に比較して尤紙数の都合もあるし、特に紹介しなければならないよう なことがらもない。月の金鉱を発掘して「サウス」国を も見るべき者は 家屋の構造にし援助したり、政治をたて直そうとして現政府打倒を試み て、余程美術のるが失敗。生命に危険が迫り、「もう、ダメだ」と思っ 進止せしものとて観念した時に目が覚める。結局、ベルヌの「月世界旅 見へ、天井及行」を読みながら眠ってしまったために見た夢だった、 襖、障子に彫刻せる人像或は、其所動植物の巧みに其真という夢オチの結末になっているが、これは時代を考え け影を写して漏さざるは驚くこと尚余りあり。また、如何ればしかたのないところだろう。 ただ、一つ銘記しておきたいのは、この日本最初の月 たなる良木を薫ぜしにや香気堂内に満ち、恰も仙境に踏み 界入し心地して、精神自ら爽快沈着なる良脳を自然全身に世界旅行譚「夢幻現象政海之破裂」は、舞台こそ月世 界に求めているが、いわゆる科学小説の系列に属する作 朝普及せしむ。 品ではなく、明治二十年前後に大流行した政治批判・主 胡 一八三五年、アメリカのゴシップ新聞〈 = ーヨーク義を小説に託す政治小説であるということだ。似たよう 村 野 ・サン〉が、当時ケー。フタウンに出張していたイギリスな外国作品を探すとすれば「ソ連の文豪でも何作か
で紹介する ) ともかくきん子はこの術をマスターした。妻の超能力で 二流製造者羽化仙史は、明治三九年に一篇の月世ようすを探ってみると、月とはこんな世界。 界旅行記を書いた。タイトルもずばり「月世界探険」と いうこの作品には先の「政海之破裂ーにも増して、日本棲息する人類は、地球上のそれらよりは余程大きく、 的な月旅行法が登場する。 且っ空中飛行術が行はれて居る。暑熱が甚しい所為か ? ストーリイは非常に複雑で、たとえば、この作者の他男女共に概ね色黒く、且っ禽獣草木が余程多いと見え の作品を読んでいないと意味が不明な箇所がやたらに出て、野蛮国らしい処では、人と禽獣と激しく闘って居 現し、かなり紹介しにくい。 る。彼の人類は、余程暑熱に苦むと見えて、水泳者が多 大富豪秋野公爵令息久麿は、金持ちに似合わない科学く、それに連れて、土左衛門の数が夥多しい。中帯地 者肌の人物で、月世界探険を計画していた。しかし、旅方、並に寒帯地方と覚しい処では、美服を纒ふた、ハイ 行法は少しも具体化しない。そんなある夜、久麿は芸者カラ的男女も多く見受けられるが、熱帯らしい処は、裸 屋の半玉きん子と知り合うことになった。きん子は大変体である、且っ余程残忍と見えて、視るに堪えない、惨 な美人だが生来のヒステリー症で千里眼という特殊能力らしい殺し方をして居る。 を持っている。久麿はきん子を嫁に迎え反魂術を持導す る。この反魂術というのは、 久麿はきん子と似たような性格を持った女性が月旅行 に適していると判断し、一六歳から二二歳までの妙齢の 人造ですら活動写真と、蓄音器とがある以上は、天然乙女一一〇人を集め、月を探険させることを決意した。さ に此の二者のない理由はない 言ひ換へれば、宇宙間て、この方法がすばらしい。天女の羽衣ならぬ、科学的 の何処かに神妙不思議の作用で、其の撮影と蓄音とが残性質を有した羽衣で月に向かおうというのだ。 存って居るに相違ない、反魂術とは、此の撮影と蓄音と いでたち を捉へ来って、巧く配合して、衆人の耳目の前に現はにきん子の扮装を述ぶれば、身体は、極軽くなけれ はりふ し、衆人をして、千年前の出来事、万里先きの事実を、 ばならぬとのことで、一枚の最も薄き玻璃布のみを身に 面のあたり見聞することを得せしむるの術にして、此の纒ひ、其の外部は、電気の伝導体たらしむべき為め一円 術を用ゆるときは、歴史上万般の疑問は、悉く即時に断に最も薄き銅箔を覆ひ、皮膚には、例の霊気 ( これは、 定することが出来る 同著者の「新海底旅行」を読まないと性質がわからな い ) を施して、突気の欠乏を補ひ、左の足頭に電気発動 という、各種の能力を複合したウルトラ・スー輪を巻いて、一たび其のポッチを推すときは、廻転して ・ハ能力だ。なぜ、久麿がこの能力の開発指導法電気を発動するやうにし、又此の玻璃衣の上に、極薄く を知っていたかわかないと、作者は説明しているが、軽き羽衣を纒ふて、空気の上際に至るも、安全に飛翔の 69