宇宙 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1973年9月号
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1. SFマガジン 1973年9月号

ぼくにはそれが必要なんです。別の世界に生まれたものはここでは連中となるのだ。かれらは、食用植物や家畜を別の惑星で繁殖させ まったくの異邦人であり、ここがまた母なる地球とはまったく異つるための胚原質を持ってゆくーー人間の子供のものもだ。遣伝が受 ているときている。・ほくは、どれほど・ほくらがハンディキャップをけつがれてゆくようになるまでのあいだ死んでしまわないだけの早 さで人口をふやすためだ。 背負わされているか、こわいぐらいわかっているんですよ」 クリスマン・ランディングに夜がやってきた。空気はおたやかな とにかく、かれらは将来またやってくる移住民に頼ることはでき 一世紀のあいだに二度や三度は、どこかほかの植民星から船 ままだったが、キラキラと輝く霧の触手が通りにしのびこみ、冷た い感しを与え、その感じをふたつの月のあいたでふるえる北極光がが訪れてくることがあるかもしれない ( 地球からではない。地球は いっそう強めていた。 遠い昔に関係のないところとなってしまったのだ ) 。発生したもと 彼女は自分ではそうと気づかぬうちに、暗くなってゆく部屋の中の場所は、古い時代の植民星ということになってしまうことだろ でかれのそばに近づいていた。やがてかれは螢光バネルのスイッチう。若い植民星はどこも恒星間宇宙船を建造したり操縦したりする を入れた。ローランドが淋しいところだという同じ知識が、ふたり能力はないのだ。 植民星の生存そのものが、終局的な近代化だけに限っても、疑問 の胸にわだかまっていた。 となる。創設期の父祖たちは、とりたてて人類のために作られたも 宇宙における距離という点で考えると、一光年はそれほど大したのではない宇宙で、かれらの手に入れられるものを使うほかなかっ ものではない。人がそれだけの距離を歩いてゆけば、二億七千万年た。 ロ 1 ランドを例にとって考えてみよう。ここは珍しいほど幸福な かかる。恐竜が遠い未来に属する二畳紀の中ごろから現代まで歩き 発見のひとつであり、人間がそこでは生き、呼吸し、作物を食べ、 つづけるわけだ。 そし . て現代は、それ以上の距離を宇宙船が飛んでいるものの、わ水を飲み、その気であれば服を着ないでも歩けるし、農作物の種を れわれの近くにある恒星は平均して九光年離れており、やっとそのまき、動物を放牧し、鉱物を掘り、家を建て、子供を孫を育てるこ ( ーセントが人間の生きてゆける惑星を持っているだけだし、スとのできる世界た。大切な価値のあるものを保存し、ローランドの ピードは放射エネルギーのそれぐらいに限られている。相対論的な土地に新しい植物を作るためには、一光年の四分の三を横切ってゆ くだけの価値がある。 時間の収縮と途中での人工冬眠によって、すこしは助けられ、旅は しかし、シャルルマ ーニは型恒星であり、地球の太陽ソル 短く思われるが、そのあいだ故郷において歴史はとまっていてくれ ないのだ。 よりも四十パーセント明るく、その恐ろしい紫外線はより強く、そ こから煮えたぎり荷電して飛んでくる粒子の嵐はより大きい。その こうして、恒星から恒星への旅行は常に数すくないものとなる。 植民者は、出かけてゆくための極端なほど特別の理由を持っている惑星の軌道は異常なものだった。短いが強烈な北方の夏の中ほどで

2. SFマガジン 1973年9月号

は疑いをもちはじめるのだ。 分裂病的な幻覚や、麻薬、などの手段で、この世界をじか ディックの小説は、三つのレベルで展開されるように思われる。 にのそき見することは可能である。ただし、進んでそれをやろうと 行動の、あるいは″権力争い″のレベルでは、宇宙船、アンドロイする人間はない。なぜなら、その接触は危険がいつばいだからだ。 、時間旅行、核戦争など、ありきたりの大道具小道具が、そ〈墓穴世界〉からのほんのワン・タッチが、なにか恐ろしい悪病の の額面どおりに提出される。″心理学″のレベルでは、おなじこれようにあなたを殺すかもしれず、また、あなたの周囲の壁をどろど らのものが登場人物の心理状態の反映となる。そして″形而上学″ ろに溶かし、あなたの足もとの舗道に早すぎる老朽のひびを入れる のレベルでは、成長と衰退という二つの巨大な宇宙力のアレゴリー かもしれない。しかし、逆説的にいえば、それを直接に経験するこ となる。三つのレベルのうち、いちばん重要なものは、この最後のとは一種の救済にもなりうる。この宇宙に存在する最悪のものを知 ものである。なぜなら、ディックは本質的にモラリストだからだ。 って、それを克服しようと、遅遅たる、だが必死な試みをすること 物質世界のあらゆる物体や行動は、絶対の善あるいは絶対の悪の不がだ。これからのシ / プシスでは、この地獄への旅をした登場人物 十分な現われであり、それはまた現実と非現実の関係にも等しい ( たとえば『火星のタイム・スリツ。フ』のマンフレッド ) を、″視 これらの絶対的なものの中間には、たくさんの点が存在し、そして者″と呼ぶことにする。 われわれは、なにかの決定をくだすたびに、より高い点、またはよ ディックの宇宙観においては、悪に対する絶対の善の補償力はき り低い点へと運ばれる。この体系の中でわれわれがどれほど上までわめて曖昧である。彼は〈神〉によってそれを象徴しようとする 昇れるかはともかく、どれほど下まで墜ちられるかについては、疑が、〈墓穴世界〉はどんな神よりも、また、死よりも、時間と空間 問の余地がない。 よりも強いのだ。しかし、かりに〈墓穴世界〉が絶対の悪ならば、 ツーム・ワールド 〈墓穴世界〉は、はっきりとこの名で言及されたことは、一、二度それは絶対の現実にはなりえず、そしてもしわれわれが力を合わせ しかないが、ディックの大半の長篇の中にくりかえし現われる衰退てその基本的虚偽性を認識すれば、それと対抗することができる。 のイメージである。〈墓穴世界〉は、まったくなにごとも起こらなカリタス、つまり非利己的な愛の行いは、ほんのわずかだがこの邪 い場所、朽ちゅくものが永遠に朽ちつづける場所だ。すべての邪悪悪を押しもどせる。それは弱弱しいものだが、それだけがわれわれ と破壊はそこからやってくる。その恐ろしいエントロビーの力は、 の望みの綱である。そして、人間の悲しさで、われわれはその武器 戦争や憎悪や狂気といっしょに、われわれの世界へ侵入する。われを十分に使いきっていない。なぜなら、人間は権力や″進歩″や快 われはひとり残らず、すくなくとも部分的に、そのカの支配をうけ楽の欲望をいつくしむ動物であり、その欲望は彼を容赦なく自己か ている。非人道的な、不誠実な、貪欲な行為をするたびに、われわらひきさいて、暗黒の手にひきわたそうとしているからだ。 れはすこしずっその暗黒のほうへと押しやられる。その力は、われ この対立する二つのカのあいだに見られる二元性は、ディックの われをほかの人びとから孤立させるように働きはじめ、そしてわれ。フロットにも反映している。それは、世界の支配、ないしは限定さ われは、なにか巨大で不活撥なものに下へ下へとひつばられるのをれた商業的または宗教的な目標をかちとろうとする、二派のグルー 感じるーーそのあげくに、われわれはまったくひとり・ほっちで〈墓プ、でなければふたりの人間の争いとして描かれる。しかし、作者 穴世界〉にいる自分自身を見いだす。 は彼のいう宇宙力を単純な " 善玉対悪玉〃の公式にあてはめたりは 6 6

3. SFマガジン 1973年9月号

最新刊 恐怖の疫病宇宙船 ハヤカワ S F フェア開催中 ハヤカワ S F 文庫 モンスター・マン SF の初心を伝える 冒険とロマンの 28 既刊 97 点 女王号に奇妙な病気が発生ーーー疫病合は発見されしだい恒星に投げ込まれるのだ ! 死にゆく太陽の惑星 マーノレ & ダーノレトン 未知の字宙に一個の惑星を発見したローダンらは、そこで次々奇妙な事件に 矢野徹 地球 0 年 % 0 Y 250 偶発水爆戦による米中ソ三大国壊滅の後、日本自衛隊はアメリカ占領を決定した ! 時間地下庫の秘密 マーノレ & ダーノレトン 永遠に生きる こラー & / 、ンカ・一 Y 2 4 0 \ 2 2 0 銀河 ? 0 をを抜、、 2 4 0 砂の惑 ゾンガーと魔辷の王 カーター 砂の惑星 2 暗黒界の妖精 シェーノレ & ダーノレトン 六つの月の要 〔 8 月刊行作品〕 、冫ンヨ - ーン・ . ス・ 放浪惑星骸骨の洞窟 / 、ミノレトン 輝く星々のかなたへ ! 平井和正 狼よ、故郷を見よ 2 4 0 \ 2 朝 2 5 0 2 3 0 2 4 0 2 4 0 死霊狩り 平井和正 地球の汚名 豊田有恒 銀河の果ての惑星 / ヾロウス・ カーター アンドロイドお雪 ノンガーと竜の都 砂の感星 4 アンダ - ースン 銀河よ永なれ 平井和正 3 3 0 2 3 0 3 2 0 2 7 0 2 4 0 2 3 0 3 3 0 2 6 0 宇宙囚人船の反乱 / 、ミノレトン′ 砂漠の救世主 A 6 判 ( 文庫サイズ ) カラーロ絵・挿絵つき

4. SFマガジン 1973年9月号

の研究が始まり、線天文学と呼ばれる学問の分 - 原子力を野が切り開かれた。だが観測に使われたのは、エ クリーン アロビーなどの小型観測ロケット。 者 宇宙滞在時間 術エネルギー がごく短いため、データも限られていた。 技とするのはそこに訪れたのが、「ベル = クスの生誕五〇〇 て大仕事。し年。この機会に >< 線宇宙の全容をつきとめよう 立かしこれをと、米英の科学者たちは米航空宇宙局に働きか 組実現しないけ、 x 線宇宙を調べる「ベル = クス衛星を、十二 限り、人類月二十一日に打ち上げてもらうことにした。 鏡 はエネルギ 遠 コペルニクス衛星の中むは、口径八四センチ 望ー不足から ( 三二インチ ) の紫外線望遠鏡である。天文衛星 線逃れることに乗せた望遠鏡では最大のもの。これとロンドン のマラード宇宙科学研究所が作った三基の x 線望 のは困難とい 発 えるかも知遠鏡が取りつけられる。 開れない。 この X 線望遠鏡はロ・ハ ート・ポイド教授が設計 新 したもので、反射鏡は金属でできている。線は この反射鏡により、中央の検知器に送られる。宇 宙の一点を正確に観測できるよう、鏡胴は細長く 作られている。この X 線望遠鏡の正確さはおどろ またセシウムも、中性子をひとっ加えてやる くほどだ。地上でいえば、四〇〇マイル ( 六四五 線宇宙のナゾ求めて と、放射能を出さない・ハ リウムに変って安定す キロ ) 離れた人間の頭ほどの大きさに、焦点を絞 る。つまり、中性子を加えて、無理やり姿を変え 天文学の父といわれるコペル = クスが生誕しることができる。 させようというわけだ。 て、一九七三年はちょうど五〇〇年。それを記念マラード宇宙科学研究所では、この x 線望遠鏡 このためには原子炉を使い、その中で中性子をし、彼の名をつけた観測衛星が、今年の末に打ちで一年間に線を出す天体を三〇個ずつ観測、そ 当ててやればよいわけだが、目標の原子核に当る上げられることにな「た。この「ベル = クス衛星の強度や変化をつきとめることにしている。これ 確率が非常に小さいうえ、かなり強い中性子を使は、記念衛星らしく、これまでとは全く別の分野までは一年間に五ないし六の線源しか観測でき う必要がある。原子炉ではうまくい「ても、実際の、開拓に用いられる。別の分野とは、線宇宙なか 0 たから、「ベル = クス衛星が、線宇宙の に。力なり困難なことらしい。 と呼ばれる非可視光線の世界。専用衛星を使った解明にいかに有用かがわかるだろう。 そこで、理化学研究所の一宮虎雄博士らは、一本格的研究は初めてのことた。 英国の天文学者たちは、一九八〇年までにもっ 〇億 = レクト。ンポルト程度の加速器を使い、陽線宇宙の研究は、一九六二年六月十八日、偶と大型で、も 0 と高度な天文衛星を打ち上げるこ 子をセシウム 137 に当ててこわし、そこから飛発的な出来事から始ま 0 た。米国の宇宙科学陣とを考えている。こうした衛星により、これまで び出す中性子をストロンチウム 9 0 にぶつけると は、月の表面からも X 線が出ているのではないかの地上天文学とは比較にならない、高度な衛星天 いう方法を検討している。 と、 X 線望遠鏡を積んだ観測衛星を打ち上げた。文学を確立しようというわけだ。 このためには五四四億円の中性子発生装置、二 予想は外れて、月の表面から、そうしたものは 汚れた大気に囲まれた地球から脱出して、天文 三五〇億円の陽子加速器が必要だが、これだけ投全く見うけることはできなかった。しかし、線台を宇宙へ コペルニクス生誕から五〇〇年、 資すれば一〇〇万キロワットの発電用原子炉一〇望遠鏡は月ではなく、宇宙の彼方に、未知の線天文学にと 0 て現在は、記念というより、曲がり 基から出る放射性物質を処理できるというから悪源があることをキャッチした。こうして線宇宙角の時というべきなのかも知れない。 天文衛星コペルニクスの完成図

5. SFマガジン 1973年9月号

「あなたは宇宙人はどのような形をしていると思いますか ? 」 「みんなああ言ってますが先生はどのようにお思いですか ? 」 「そうだねえ。目が三つも四つもあるんじゃないかなあ。うろこな ここでわがプロフ = ッサーは眼鏡の奥の澄んた目にかすかに憂愁 んかあってさ。そうだ。もしかしたら緑色してんじゃないかな」 の翳を浮かべて小さく咳ばらいなどなさる。学校時代にいったい何 「あなたはどう思いますか ? 」 を勉強してきたのであろうか。せめて自分の書いた本の一冊でも読 「トカゲみたいな形してんじゃないの ? すごい歯なんかあってんでくれたらよいのに。その目はそうおっしやっている。しかしわ さ」 がプロフェッサーはたいへん思いやりのあるお人たから決してそん 「あなたはどう思いますか ? 」 なことはロにしない。古来、教師を満足させた生徒など一人もいわ 「足がいつばいあるんだろう。タコみたいに。そんなの見たよ。映しなかったのだ。 画で。頭がいやに大きいんだ」 「それはですね。宇宙人、つまりわれわれ地球の人類と知的な接触 「あなたは宇宙人はどのような形をしていると思いますか ? 」 を保ち得るだけの知能を備えた生物と仮定しますとですね」 「アミ ー・ハみたいなんじゃねえかな。人間なんか溶かしちゃうん よろしいですか。かれはできの悪い生徒の頭の中のしかけを心配 だ。溶かされた人間は宇宙人と同じア、、 ー・ハになっちゃうのよ。地する。 球、ほろぼされんだろ」 よろしいですか ? 「大脳が極めて発達した生物、つまりわれわれ地球人と同し形をし 0 新連載ロン先生の虫眼鏡 2 月 2

6. SFマガジン 1973年9月号

敗と思われたスカイラプだったが、地球から乗りるが、実際にこの熱はどのように移っていくものムになり、さらにはトランスウラン ( 超ウラン元 移った宇宙飛行士たちの修理作業が効を奏し、第だろうか。地上では観測しようのない大規模なこ素 ) に変わる。このトランスウランはものすごく 寿命が長く、しかもアルファ崩壊をするので、非 の熱の移動を、スカイラブから観測する。 一回実験はひとまず無事に終了した。 しすれも専門分野常に毒性が強い。このような物質は、原子力利用 今後、さらに二回にわたって宇宙飛行士が乗以上のような実験テーマは、、・ 船、長期滞在をしながらさまざまな実験を行なう にとって重要な、興味深いものだが、実をいうとにともなって、たまる一方なのである。 いったいどうしたらーーー各国ともこの対策には ことになっているが、そのなかの興味深いテーマ提案したのは専門学者ではなく米国の中学生と高 をひろってみると 頭を痛めているが、木村健二郎東大名誉教授らの 校生なのだ。 ▽新惑星の発見Ⅱ太陽に最も近い惑星は水星だ スカイラブの打ち上げを前に、 Z<f)<< と全米核分裂生成物対策懇談会は、放射能を消 といわれているが、もっと近くに未知の小惑星が理科教育者協会は、中高校生にテーマを出すよう減させるという新しい考え方を打ち出し、原子力 回っている可能性がある。地球からでは太陽の強呼びかけた。その結果、三四〇〇件の提案が出さ界の関心を集めた。 烈な光によって、それをつきとめることはできなれ、このうち以上のような二五件が採用された。 を消減させることができるなら、問題は一 いが、大気のない宇宙から太陽を連続撮影すれ太陽電池板の故障といったハ。フニングのため、挙に片づいてしまう。とはいっても、手品のよう ば、この小惑星の影をキャッチできるかも知れな計画は一部変史となったようだが、計三回の実験に、姿を消してしまうことはもちろんできない。 期間中に、これらの実験は行なわれる予定だと中性子などをあてて、半減期の長い物質を、短い ▽宇宙雲の確認Ⅱ月と地球の間には、相方の重 いう。どんな結果が出るものやら、中高校生が提物質に変え、早く無害にしようというわけだ。 力が・ハランスしている場所がある。これを天文学案したこの実験を、専門家たちも興味深く見守っ 例えばストロンチウムだが、中性子を浴びせて、 では秤 ( ひょう ) 動点と呼んでいるが、ここにはている。 ストロンチウム 9 6 にすると、ごく短時間のうち 小さな粒子が、どちらにも引き寄せられず、雲の にイットリウムに変わり、さらに放射線を出さな ようにただよっている可能性が強い。これをスカ■放射能は消せるつ・ 、ンルコニウムになってしまう。 イラブから観測する。 ▽火山活動の予知Ⅱ地震などを伴う火山活動の ひところのような大国の核実験競争は放射能消滅にはこのような高エネルギー加速器が使われる ア知を宇宙から行なう。火山も赤外線で監視、付なくなったが、代って原子力発電の開発 近一帯の変化をつきとめ、火山がいっ噴火するかが急。ヒッチで進められ、放射能汚染の問 をつきとめようというものだ。 題はいっこうに解消しない。 ▽クモの巣の形成日無重量の世界のなかで、昆宇宙開発でも動力源として原子炉や原、 虫はどのような行動をするかを、クモの巣の作り子力電池をもっと使いたいところなのだ 方からっきとめる。無重量でも、幾何学的な巣をが、宇宙を放射能で汚染する恐れがあ 作ろうとするか、作れるかなどを観察、昆虫の無り、実験段階のものはともかく、いまだ 重量感覚をさぐる。 に本格的な利用をためらっているありさ ▽植物の成長Ⅱコメの苗を使い、無重量の世界まなのだ。 でも植物は地上と同じように成長するかどうかを放射能汚染がこわいのは、放射性物質 つきとめる。長期間の宇宙旅行には、宇宙での植のなかに放射能を長期間、出し続けるも 物栽培も必要となるかも知れないが、果して可能のがあるためだ。たとえばストロンチウ なのか。光の方向に茎が伸びる向日性の変化もっム 9 0 やセシウム 13 7 、 半減期が長 きとめる。 く、数百年間も影響を及・ほす。 ▽地球の熱移動ⅱ大都市や工業地帯から・ほう大このほか、ウラニウムに中性子を当て な熱が放射されている。この熱は大気に吸収されると、ネブツニウムができ、プルトニウ

7. SFマガジン 1973年9月号

ソンの近くに、大きなイン石が落下した。博士た 置 ちはこのイン石を精密に分析、内部にアミノ酸が 2 析 あることをつきとめた。アミノ酸は生命を構成す 分 るタン白質の基本物質。それがこのイン石の中 に、何と一六種類も含まれていたのだ。 イ フ 喜んだ博士たちのチームは、マーチソンイン石 だけでなく、マーレイイン石、オルグーユイン石〕、響》・ の三つについても、精密な分析に乗り出した。複 マ 「を」 = 一合型ガスクロマトグラフィーと呼ばれる分析方法 ロ ・を使って、有機物を注意深く、調べていったので ク ある。 た その結果、この三つのイン石には、、・ しすれもピ し 出 リミジンが含まれていることがわかった。 4 ヒド け ロキシ・。ヒリミジンなど七種類から九種類を、そ っ れそれのイン石から発見したのだ。。ヒリミジンは 見 遺伝をつかさどる核酸、つまり遺伝子の構成物。 ( 、「 1 「 を 質。核酸はこのようなさまざまな物質で組み立て 伝 られており、このビリミジンもそのひとつなので ある。 ら 生命はタン白質と核酸によって作りあげられ 石 る。その構成物質が、そろって発見されたという ■宇宙にはやはり生命がー 0 貝 ことになると、宇宙には生命が存在しているか、 われわれ地球人は、宇宙の孤児なのか、それと少なくとも存在し得ると考えてよいだろう。これしかし今度のビリミジンはちがう。第一に極め も仲間がいるのか この疑問は、いまだに解かまでのような「推定」ではなく、「証拠」といって出来にくいので、作りあげられたものが、知ら ないうちに混入したという可能性はまずない。第 れていないが、このほど宇宙に生命があることをても、よいだろう。 だが、過去の研究の歴史を知っている人は、こ 二に、発見されたビリミジンは、地球の生命に関 示す、重要な証拠が発見された。 宇宙から地球に飛び込んで来たイン石の中かの発見にも首をかしげるにちがいない。イン石か係しているビリミジン類とは、全く別のもの。ど う考えても、地球の物質とは思えないのである。 ら、遺伝子の構成要素である。ヒリミジンという物ら有機物を発見したと主張する研究者はかなりい こ。しかしそのほとんどは、ずさんな実験によ この宇宙には、太陽系のような惑星系が、無数 質が発見されたのである。この。ヒリミジンは、地ナ といえるほど散らばっている。そのなかに生命の 球の生物が遺伝に使っているものとは、全く別のり、地球のものが混入したもので、「証拠」とい えるものはなかった。 ある惑星があることは、まず間違いあるまい。ポ もの。宇宙に生命があることを期待する人びとに とっては、うれしい、貴重な発見といえるだろ最近の例をあげよう。シカゴ大学の研究チームナンベルマ博士らの発見に続いて、その生命自体 う。この物質を発見したのは、米メリーランド大は、イン石から核酸の構成物質である。フリン類をを「確認」する日も、いずれ訪れることだろう。 学化学進化研究所の O ・ポナンベルマ博士、ハワ発見したと発表した。ところがこのプリンは、比 ィ大学微生物学部の O ・フォルサム博士らのチー較的作り易く、実験の過程で生成したものが混入■スカイラブの今後の課題 ム。話は一九六九年九月二十八日にさかの・ほる。したという可能性がないでもない。こうしてこの この日、オーストラリアのビクトリア州マーチプリンは「証拠」として認められなかった。 計画通りに太陽電池パネルが開かず、あわや失 寸冫ヾー 0- ・ - な影、 あ冫こな 7

8. SFマガジン 1973年9月号

よろしい。最後の調査隊が去ったときと最初の植民船団が到着し水面によって引きおこされる局地的な磁場の変化をも感じるんで たときのあいだに、遺跡や化石が意識的に運び去られてしまったもす。 しかしながら、われわれのあいだにおけるそういう能力は、うん のと考えてみましよう。ぼくはこの考えを・ハックアップするものを すこし、最初の探険家たちの日記の中で見つけましたよ。 ざりするほど数すくないものだし、あやふやなものです。それでわ かれらは惑星が居住に適しているかどうかを調べることに熱中すれわれは、べつの面で仕事を発展させています。テレビ電話があれ ばテレバスでなくともかまいませんからね。古い種族は、それと正 るあまり、原始的な遺跡のリストを作らなかったのです。しかし、 かれらが書き残した記事は、あとからやってきた人々よりもずっと反対の考えかたをしているかもしれません。かれらの文明が作り出 多くのものを見つけたことを示しています。われわれがこれまでにしたものは、これまで人類の目には見えず、いまなお認められない 発見してきたものは、運び去ろうとした連中が見すごしたり、あるものかもしれないんです」 いはそうできなかったものではないでしようか。 ー・フロは尋ねた。 それは、長い見とおしでもって物事を考えるという高度な知性と「でも、かれらのほうから人類に接近することもできたはずだわ。 なぜそうしなかったのかしら ? 」 いうものを意味しているようです。違いますか ? 言葉を変えてい うなら、古い種族とは単なる狩人や新石器時代の農夫ではなかった「その理由はいくらでも想像できますよ。たとえば、かれらの歴史 の初期において、宇宙からの訪問客を相手に苦い経験をしたのかも ということです」 しれません。宇宙船を持っている種族はわれわれだけとは考えられ ー・フロは反対した。 「でも、建物とか機械とかいったようなものは、これまでだれひとませんからね。しかしお話ししたとおり、ぼくは事実に先だって理 論を組み立てるつもりはないんです。まあ、古い種族というのは、 りとして見つけていないのよ」 「ええ。どうもここの種族は、われわれのような冶金・産業的な発実在しているものとしての話ですが、われわれとは異った生物であ 展をとげてこなかったようですね。・ほくには、もっとほかの進路をるということにしておきましよう」 たどったことが考えられるんです。かれらの充分に育ってきた文明「すばらしい思索家のわりに、あなたはひどく細い糸をたぐってい は、生物学的な科学と工学において、終るどころか、はじまったとるわけなのね」 かれは渦まくたき火の煙をとおして彼女をちらりと見た。 ころかもしれません。 「ぼくはこれをぜんぶ、仮定的な話だといったんですよ : : : あなた ひょっとすると、人類よりもかれらの種族のほうがずっと大きい かもしれない神経組織の潜在能力を発達させたのかもしれませんは・ほくのところへ来られ、役人の意見など問題にせず、坊やは盗ま ー・フロ。しかしあなた自身の、邪 よ。あなたも知っていられるでしようが、われわれにもある程度まれたのだと主張されましたね、 ではそういう能力があります。たとえば水脈占い師は現実に、地下教信仰による誘拐というのも不合理な話です。なぜ、人類以外のも 204

9. SFマガジン 1973年9月号

をを だほかのものは、かれの生まれた世界にある進歩した装置にもと づいて注文製作したもので、彼女には何かわからなかった。それら っこ。 についてかれは何ひとっ説明せず、謝罪するようにいナ 「ほくが疑惑を持っていることは説明しましたね、われわれの追っ ている相手はテレバシー能力を持っているのではないかという点 彼女は員を大ぎく見はった。 「女王とその連中とかに心を読む能力があるというのは本当かもし れないっていうの ? 」 「それが、 ( かれらの伝説のまわりにある恐怖の一部でしよう。違い ますか ? ・実のところ、その現象はべつに気味の悪いものでもない んです何世記も昔に地球で研究され、かなりなところまではっき りしていることですからね。そういう事実はクリスマス・ランディ ングにある科学マイクファイルの中にも見つけられるはずです 9 あなたがたーランドの人々は、そういうことを見つけだす機会が なかっただけでしよう。電力の無線移送とか宇宙船をどうやって作 りあげるかを知る機会にまだ恵まれていないようにです」 「そう : : : じゃあ、テレバシーはどんなふうに働くの ? 」 シリンフォードには、彼女の質間が事実を知りたがっているの と同時に心の慰めをも求めているものだとわかった。それでかれ は、意識して無表情な話しかたをした 「生命体は非常に長い波長の放射線を出しており、それは原則的に 神経組織によって変調し得るものです。実際上 1 その信号の弱さと 伝達される情報量のすくなさから、それらを探知し識別することは 難しく、わかりにくいんです。 われわれの前人第祖先たちは、視覚とか聴覚といったもっと確実

10. SFマガジン 1973年9月号

0 0 0 0 0 ・ 0 ットはもっと・也にあ だが、その精神的メリ る。それはいわば宇宙回帰の願望、つまりこ の汚れた地球に見切りをつけ、新しい星を期 待するーーーそれは宇宙の彼方に探し求めるの てはなく、足の下、つまり地球の内部から生 れ出るものてあってほしい・ ・ : そんな夢を火 山計画のなかにみているのてある。火山は新 しい星を生むプロセスだ。 火山計画のメリットは、たしかに現実生活 にたいするものが多い。それらはいわゆる地 球のエネルギーなのてあるから、石油以後分 エネルギーとして注目され、計画されるのも 無里まよ、。