私の巣を「 だれか窓 からのぞい たわ 女なら レスでも ないかぎ、り チカンとは えねえな : ええ ? ・ ねえちゃん 今夜おれと つきあえよ だ女い そりや そ、ったカ 女じゃ ねえか
っ・ヘつに作り、紙箱組み立てるみたいに作っちゃった。 「海があったの」 最初、アメリカとセイント、途中からおれたちも、組み立てとか キョンが云った。 ペンキ塗りとか、だいぶ手伝ってやったんだ。だから、この春、オ ジョン・マクラグリンが嗚っている地下の店だ。 ランダ人が帰国するとき、どうそお仲間で使って下さいということ 「ほんとよ」 いっ聞いても、すごいギターだなあ、泣きながら吠えてる 0 て感にな 0 たわけだ。云い忘れたが、アメリカは画家、セイントは詩人 兼彫金師さ。 ときど おれとフーコは、まだ、自分が何なのかよく分らない。 「海があったの」 き、自作のフォークを唄ったりはしてるけどさ。キョンは、ふらっ キョンは、今度はフーコに云っている。 おれ、キ ' ン、フー = の順に、べンチ式椅子に腰を降してたといと旅に出たアメリカが、どこかで拾「て来た女の子だ。ちょ「と頭 の弱いキョトンとした顔の子だから、いつのまにかキョンと呼ばれ うわけだ。 おれたちのたまり場は、どういうわけか地下の店が多い。だからている。誰かに似た顔だと思うんだが、誰に似ているのか、よく思 い出せない。 何となく、みんな地下部落民になったような気分がしている。 「別荘のどこで海を見たんだ ? 」 へえ、ほんとかなあ」 「別荘に ? フーコが、あまり気のなさそうな感じで、キョンから話を聞いて「裏山だって」 「は、はあ」 別荘の建っているのは、私鉄沿線、丘陵地帯、雑木林の斜面なん やがて、おれに声をかけて来た。 「キョンが海を見たっていうのよ」 キョンは、ゆうべ、その雑木林の中で海を見た。夜中にトイレに 「へへえ ? どこでだ」 起きると、なんだか、どどっと波が岩にぶちあたるみたいな音がす 「別荘でよ」 る。 「別荘って、おれたちのか ? 」 便器の蓋を閉じ、その上に登って、天窓をひらいた。 ( 設計の都 「そうよ」 合で、屋根の一部に窓があるんだ ) そっとのそいてみると、キラキ おれたちは、いま別荘族でもあるんだった。アメリカとセイント という仲間がいて、ふたりとも、はるか古代から部落にいる。そのラ輝く青い海がみえた。 よく分らないが、とにかく、そんなぐあいだったらしい 証拠にセイントのヒゲは、キリストよりすっと長い。アメリカのほ 「ねえ、ほんとは何だと思う ? 」 うは、まだ魔女になるには時間がかかるが、相当な齢にはまちがい フーコが云った。 ないんだ。 別荘 0 ていうのは、そう古代ではないむかし、そのふたりの、友「ほんとは、つ 0 た 0 て分りやしないよ。き「と夢でもみたんじゃ オいかな ? 」 人だ ? たオランダ人一家が、日曜大工で建てた、ちっちゃな家だ。 「夢じゃない」 骨組みを作って板を張ったりするんじゃなくて、壁とか屋根とかべ じ。 3 5
出せる機械を使った。きみも温度分析装置がどれほど敏感なものかんだ。われわれはたたパトロール・カーに乗り、緊急呼出しに答え ているだけじゃあない。われわれは休暇や顔をつきあわせる必要が 知っているだろう。その結果は完全に何もなしだ。われわれには、 あるときに、むこうへもどるんだ。もし何かのギャングが : : : 人間 散らばっている屍体の断片を探がすことよりずっと重要な仕事がい いけにえ を生贅にするようなやつがいれば、われわれは見つけているさ」 くらもあるんだ」 「ぼくにもそれはわかりますよ。それに、あなたが出てこられた地 かれはぶつきらぼうにしめくくりをつけた。 「もしミセス・カレンがきみを傭ったのなら、わしの忠告は、やめ方のかたがたは広い地域に散らばっており、超自然的な能力を持っ 人間でない生物がいるということを根強く信しておられることも る口実を見つけろということだね。彼女のためにもそのほうがい、 ね。実のところ多くの人々が、かれらをなだめるための儀式をおこ んだ。彼女も現実を直視しなければいけないよ」 ない、捧げ物をしています」 ー・フロは怒鳴りたくなる思いを、舌を噛んでおさえた。 ドーソンはあざけるようにいっこ。 「ああ、これはこういう行方不明事件のうち、もっとも新しいもの 「きみが何をいおうとしているかは、わかっているよ。わしもそう にすぎないですよ」 いうことを聞いているよ、おおぜいのろくでなしからな。原住民が と、シェリンフォードはいった。彼女は、ジミイがいなくなった というのに、どうしてかれがそんなのんびりした口調で話をつづけ影・ほっこたというわけさ。わしはきみより深く考えているよ。きみ もきっと美術館のひとっふたつは見ているだろうし、土着民のいる られるのか理解できなかった。かれは言葉をつづけた。 : いったい・せんたい、きみは論理 「これまでのどれよりもはっきり記録されている。その意味すると惑星の文献も読んでいるはずだ : ころは大きいですね。ふつうの場合、辺境地域の家族は涙にくれるというものを考えてみたことがないのか ? 」 かれは指をふって話しつづけた。 ばかりで詳細な報告はしませんよ。かれらの子供が行方不明になっ : いったい実のところ、われわれは何を発見した た、古い種族に盗まれたにきまっているとね。ときどき、何年もあ「考えるんたな : とになってからかれらは話していますね、大きくなった子供に違いというんだ ? 手を加えた石のすこし、人工のものかもしれない巨 ないものを見かけたと。もはや人間とはいえないものが、闇の中を石がいくつか。植物や動物らしいものの姿がきざみつけられた岩も いくつかある。どのような人間の文明にもなかったようなものか 走り去ったとか、窓からのそいていたとか、かれらに害を加えるよ うなことをしたなどと : : : おっしやるとおり、当局も科学者たちもね。火を使ったあとや割れた骨の痕跡。考える能力を持っ生物に属 ちゃんとした調査をするだけの人員も資材もこれまでありませんでしていたと考えられそうな骨の断片もほかにあった。親指とか大脳 した。でも、この問題は調査をおこなうだけの値打がありそうですのものかもしれないものかね。 そうだとしても、その持主はぜんぜん人間のようじゃない。その 8 よ。ぼくのような個人の探険隊がお役に立てるかもしれませんね」 「聞いてくれ。われわれ警察官のほとんどは辺境地域で育っている点では、天使にも似てはいないよ。・せんぜんさ ! わしがこれまで
だが、また位置がずれた。こんどは左へ。あの。 ( イット、酔っ半分くだったところで、破損状況を調べるため足をとめた。あの いまいましい機械は船体を貫通する過程で、二つのガス球を破裂さ 9 ばらっているのだろうか ? ありうるはずのないことだが、ファル コンはつかのまその可能性を真剣に検討していた。そしてマイクロせていた。ガス球はゆっくりとつぶれかけている。落下してゆく大 きなプラスチックのヴェール。浮力の損失は気にかけるほどではな フォンのスイッチに手をのばした。 ハラストでその かったーー残り八つのガス球が完全であるかぎり、 ふたたび何のまえぶれもなく、突風が横なぐりにおそった。だが 彼はほとんど気づかなかった。彼の眼は、揺れ動くカメラに釘づけ分は操作できる。それよりはるかに深刻なのは、フレーム構造がこ になっていた。。 ( イロットはジ = ットを噴射させ、平衡を保とうとうむるダメージの可能性だった。彼の周囲では、すでに巨大な金属 やっきになっているーーだが、それは事態を悪化させることにしかの格子が、異常な荷重に耐えかねて苦しげにうめきはじめていた。 ならなかった。振幅はますます大きくなってゆくーー・二十度、四浮力が充分に得られないのだ。荷重をほどよく分散しないと、船は まっぷたつに折れてしまうだろう。 十、六十、九十 ーチンプが、恐怖の叫びをあげながらエレベータ 一びきのスー 「オートマチックに切りかえろ、ばか ! 」ファルコンは、接続され ていないマイクにむかってどなった。「いつまでマニュアルにしが ・シャフトを下ってきたのは、階段をふたたびおりはじめたとき みついているんだ ! 」 だった。それは格子の外側につかまり、両手をめまぐるしく動かし カメラがはじかれたように動き、逆転した。いまやジェットはカておりてきた。祖先が持っていた自由を無意識のうちにとりもどそ メラを支えるかわりに、それを急速に地上へ推進させる役目をはた うとしたのだろうか、その哀れなおびえたけものは、会社の制服を していた。ほんのすこし前まで重力と戦っていた機構が、とっぜん 引き裂き、ぬぎ捨ててしまっていた。 重力と同盟してしまったのである。 先を急ぎながらも、ファルコンは近づいてくる生き物を警戒の眠 ファルコンは衝突の音を聞かなかった。体に感じただけだった。 でながめた。狂乱状態のシン。フは、カの強い、潜在的に危険な動物 そのときには、すでに展望デッキにとびこみ、。フリッジに通じるエであるーーーとくに恐怖がその条件づけを圧倒した場合には。追いっ レベーターへと走っていた。作業員たちが不安げに声をかけ、何が いたとたん、それは堰を切ったように何やらわめきはじめた。だが おこったのかとたずねた。だが彼には知るよしもなかった。事実そ順序も何も無視したごたまぜの言葉なので、聞きとることができた の答えを知ったのは、それから何年も後のことだった。 のは、悲しげにいくたびもくりかえされる「ホス」の一語だけだっ た。ファルコンは、こんなときでさえ、それが人間の指導をあおご エレベーターの箱にはいろうとしたところで、彼は気を変えた。 もし停電がおこったら ? この一刻を争うときに時間を無駄にしてうとしていることにふと気づいた。彼はその生き物にすまなく思っ た。それがいま直面している理解を絶した災厄は、人間がおこした しまうわけだが、安全な道を選ぶほうがよさそうだった。彼はシャ ものであり、それには何の責任もないのだ。 フトを取巻くらせん階段をかけおりはじめた。
をただよいつづけ、ファルコンはメデューサの鮮明な写真をとるた が、彼らの存在にさえ気づいていない可能性もある。大にとりつく め、フィルターやカメラ・コントラストの調整に没頭した。あの捉蚤のように、彼らはとるに足らない寄生生物かもしれないのだ。 えどころのない体色はカムフラ 1 ジュの一種ではないかーーーやがて しかし、いまやメデューサは明らかに難渋していた。いらだたし そんな疑問が彼の頭にうかんだ。地球上の多くの動物がそうであるくなるほどののろさで、それは体を傾けはじめた。十分後には、あ ように、あれも背景のなかにまぎれこもうとしているのかもしれな たかも船が転覆するように四十五度に傾き、同時に急速に高度を失 しかしそれは、狩るもの狩られるもの双方が用いるトリックで いつつあった。包囲された怪物の姿は、いかにも痛ましかった。そ ある。 してハワード・ファルコンにとって、それはにがい思い出を呼びお メデューサはそのどちらに属するのだろう ? 時間が残りわずかこすながめでもあった。メデ、ーサの落下は、それがグロテスクな となったいま、回答への糸口を得ることはとても無理のように思わだけに、クイーン・エリザベス号の最後の瞬間のパロディを思わせ れた。ところが正午すこし前、何のまえぶれもなく答えが訪れた。 たからだ。 旧式のジェット戦闘機さながら、五ひきのマンタが霧の壁をつき しかしファルコンは、自分が共感すべき相手を取りちがえている ぬけ、漏斗形の渦動のなかに現われたのだ。それらは > 字形飛行隊ことを知っていた。高度の知性は捕食動物の側にだけ発達する 形をとりながら、くすんだ灰色の雲のようなメデ = ーサをめざして海中であれ大気中であり、漂いながら草を食む動物のなかには発達 いたーー攻撃をしかけようとしていることは疑いない。無害な草食しよ、。 オしこの怪物的なガス袋より、マンタのほうがはるかに彼に近 動物というファルコンの観察は、完全なあやまりだったのだ。 い生物なのだ。いずれにせよ、クジラの十万倍もある生物に、だれ しかし何もかもがのんびりしたペ 1 スでおこっているので、それ が真に共感できよう ? はまるでスロー ・モーション映画を見ているようだった。マンタは そのとき彼は、メデューサの戦法が何がしかの効果を及・ほしはじ 体をうねらせながら、時速五十キロほどで進んでゆく。気の遠くなめたらしいことに気づいた。そのゆっくりした転回にマンタたちは るような長い時間が過ぎ、ようやく彼らはメデ = 】サの近くまで来驚き、ひれを重たげにはためかせながらメデ = ーサの背中から離れ た。メデ、ーサはそれ以上にゆっくりした速度で泰然と泳いでいてゆくーーそれはまるで、食事を邪された ( ゲタカの群れを見る る。それなりに大きいにはちがいないが、怪物と比較するとマンタようだった。しかしさほど遠くへは行かず、転回しつつある怪物の は小さかった。メデ = ーサの背中に舞いおりたときには、彼らはク周囲数メートルのところを舞っている。 ジラの上に乗った鳥ぐらいにしか見えなかった。 とっぜん目もくらむような閃光がひらめき、それに同調されてす メデューサには防御手段があるのだろうか ? そんな疑問がうかさまじい空電がラジオからひびきわたった。マンタの一びきが、ゆ んだ。攻撃するマンタがあの不格好な長い触手を避けているかぎつくりときりもみしながら、まっすぐに墜落してゆく。生き物のう り、危険におちいることがあるとは思えない。それにメデ = 1 サしろには、黒い羽毛が煙のようになびいている。炎こそ見られない 6
り、その大きなガラス戸の内側で立ちはたらいている店員たちも全 作してゆくのにせいいつばいというありさまです。もちろん今では それに完全に適応して少しの乱れもありませんが、われわれがただく顔ぶれが変ってしまってはいるのだが。私はそれらの店をのそき こみながらゆっくりと足を運んだ。変らないそれらは実は理科実験 二本の手と二本の足を操作するだけでもかなり大きな小脳を必要と していることから考えても、かれら昆虫たちの記憶や思考に対する器具店だった。いくらかほこりつぼく、またあまり明るくない店内 能力の可能性は極めて悲観的と言わざるを得ないでしよう。先にもにおびただしい数の大小のフラスコや三角コルべン、試験管やシャ ーレーを積み上げ、荷造りしたままの恒温槽や陰極線管、ウイルソ お話ししましたが、運動するための器官を必要を満たすに足る最小 の数にとどめ、まして空を飛ぶなどという莫大なエネルギーを使うン霧函などを所せましと置きならべたそれらの店はたしかに私の学 運動をやめ、そこから生じたエネルギーを脳の代謝にふり向け、体生時代のある部分を明確に形造っていた。 と・ほしい財布をはたいては飼育用のアクアリウムを買い求め、や の諸器官をそれに合わせて効率の良いものに変えるなどすればすぐ れた知能を持った昆虫が生じてこないとも限りませんが、それはもっとこさ調達した頭金で舶来の新形のおりたたみ式の捕虫網を手に はや昆虫と呼べるようなものではなくなっているでしよう。「ざっ入れはしたものの、たちまち翌日からはその店の前を通ることがで と今お話ししたようなことが、あなたのご質問に対する私の答えできなくなってしまったものだった。私は籐で巻いた高価な採集びん すよ」 の代金をついに払わすじまいにしてしまった一軒の店のとなりの喫 おわかりですか ? わが。フロフ = ッサーは深い叡知をたたえた静茶店に入った。窓ぎわの椅子に坐った私の目に、レースのカーテンご かなひとみでひとり幾度もうなずいた。 しにとなりの店に駐車しているライト・ ( ンが見える。その後尾の観 音開きのドアが開かれ、店員たちの手で、なわでくくられた何本もの 初冬の静かな小春日和の一日も暮れようとして、人影のない大学籐まきの採集びんが積みこまれている。私の胸ははなはだ傷んだ。 構内には葉の落ちきったプラタナスの影が長くのびていた。木立に 囲まれた古い池にはもう濃いタ闇が立ちこめ、梢から梢へ飛び交う 私はコーヒーをすすりながらメモを開き、私の愛する動物たちの オナガのけたたましいさけび声世界に想いをはせた。私はこの時、すこぶる満たされない思いだっ が都会の中に取り残された静寂た。満たされない思いは未練もなく置き棄ててきた青春時代への追 をひときわ深めていた。私は街憶にあるのでもなく、また未払いのままに終ってしまった籐巻きか 路へ出ると懐しい学生街を歩いごの代金にあるのでもなかった。それはどうやら私の愛する昆虫や た。古本屋がめつきり少なくな魚やその他すべての動物たちの生活のしくみが不当に評価され、か ってしまったこの街にも、二十れの知恵が人類のそれに劣るものであると結論づけられたことにあ 年たった今でも変らないものがるようだった。 たった一つある。 われらがプロフェッサーは人類の知恵を謳歌し、そのよってきた もちろんその頃とは店構えもるところの形に言いおよんだ。巨大な頭部を支えるのに必要な体形 改たまってすっかり近代的になの力学的構造と、その結果、余剰となった前肢が道具を使うための器
ければ。そのときかれは、〈木精〉を呼んで、そのふたりを殺させ のが存在する可能性を認められないんです ? 」 「ジミイが生きているかどうかは、そのことにかかっているかもしようかとも思った。もし樹木人が急いで飛びかかったら、やつらの れないのにですのね。ええ : : : わたし、そのことを認めようとして火器も役に立たないだろう。いや、だめだ。やつらは家に何かいい のこしてきているかもしれないし、それともーーーかれはまた耳を澄 いないだけかもしれませんわ」 1 ・フロはつぶやいていた。 ませた。話はその内容を変えていた。バ 彼女は溜息をつき、ぶるっとふるえた。 「・ほくがいまお話ししたことはみな、印刷物の中で推理されている「 : : : な・せあなたはローランドに留まっているの ? 」 ものだけです・ : : ・そう評判のよくない推理であることは事実です男は気味の悪い笑いを浮かべた。 が。百年ものあいだに、影・ほっこが迷信以上のものであるという確「そう、ベオウルフでの生活は退屈なものでしてね。へオロートは 実な証拠は「だれもまだ発見していません。それでも、相当な数の人口の多いところで : : : でしたというべきですね、何十年も前のこ 人々は、知性のある土着民が荒野に野ばなしにされている、すくなとですから : : : よく組織され、うんざりするほど画一的でした。ま あ一部は低地の開拓地だったせいであり、それが不満なものを追い くともその可能性はあると述べているんです」 「ええ。でもわたしにわからないのは、どうしてあなたがひと晩の出してしまう安全弁となっていたんです。でも・ほくには、あそ ) 」で うちに、そういう問題を真剣に論じるようになったのかってことな健康に生きてゆくために必要な炭酸ガス耐性がありませんでした。 そんなとき、多くの植民地世界をまわってみる探険が計画されま 「そう、あなたがに まくを考えさせるようになるとすぐ、・ほくの胸にした。とくに、レ 1 ザー通信をやる設備を持っていない世界をで 浮かんだのは、ロ 1 ランドの辺境地域民は中世のまったく孤立してす。どういう目的だったのか発表された内容はご存知でしよう。い いた農民などとは違うということだったのです。かれらは、書籍っ価値が出てくるかわからないものであっても、科学、芸術、社会 学、哲学といった面での新しいアイデアを見つけ出そうということ を、遠隔通信手段を、機械力を、モーターを使う乗物を持っていた でした。ローランドでは・ヘオウルフの求めるものは見つけられなか し、なににもまして、かれらは近代的な科学にもとづいた教育とい ったようですが、とにかくぼくはうまく船にのりこむことができ、 うものを持っていました。なぜかれらが送信にとりつかれる必要な どあったのでしよう ? きっと、その原因となるものが何かあった機会をつかんで、ここに住むことにしたんです」 のだと思いますね : : : もうこれ以上はお話ししないほうがいいでし「あなたは、むこうでも探偵さんだったの ? 」 よう。・ほくの考えはまだまだあるんですが、もしそれが正しいとし「ええ、警察でね。・ほくの家糸にはこういう仕事の伝統があるんで たら、大きな声でいうのは危いものなんですよ」 す。名前に何か意味があるとすれば、先祖にはチェロキーの血が混 5 じっているということかもしれません。でも、もうひとつはっきり 0 〈霧の牧人〉の腹の筋肉は緊張した。そこにいるざん切り頭には、 たしかに危険があるのだ。花環で飾られている人に警告をつたえなしているのは、宇宙飛行がはじめられる以前の地球で、記録に残っ
、、づャ づャ 長を間ルの市で に得た一決長は 任たたル闘選只 命方かにを挙今 さがい従行のよ れ新勝いうたり る市利 相手は おいほれだ 印き列衣いちゃ 市長ーっ 敵のキックは ・入したことは ねえクチハシに 気をつけなよ 知事さしまわし の泡沫候補は 市長 がんばれ 市長に票を 入れたぞー
「かどうか、たしかめなければ判らないけど、あれはやはり、浄閑三波が言うと、伊東はひどく慌てた。 ひず 「ねえ、誰か俺のこと見かけなかった。思いだしとくれよ。俺、昔 寺氏が出て来たとき、うまく閉じなかった亜空間の歪みなんじゃな のことばっかり億えてて、未来がどんなだったかよく憶えてないん いかな。いま僕らがあの中にいるんだとはとても思えない」 「それはそうだよ」 うろたえて、泣き顔になる。 伊東が吉永説を支持した。 「あんなちつばけな中へ俺たちが入れるわけがない。親分の指一本「安心しろ、俺が見てる」 三波が優しく肩に手をあてた。 がやっとこさの大きさじゃないか」 「ねえ、どんな」 山本は夢みるように言う。 「遊びに来たよ。結婚祝いを持ってな」 : か。僕らはみな自分の時間の中にい 「あれが虚の空間だった : ・ て、それが流れる秩序を失って・ハラ・ ( ラにやって来た。未来も見た「ああ助かった : : : 」 伊東は大きく吐息をした。 し過去も見た : : : 本当にそうだったらすばらしいことになるな」 「そんならいいや。どんな悪い奴らがいたって、矢で、鉄砲でも持っ 「どうしてすばらしいと思うんだ」 エンドにきまったんだ。こ て来いってんた。このはハツ。ヒー 吉永が何やら気色ばんだようだった。 「そうだろ。だって、僕らはほんの少しだけど、未来を見たよ。そうなりやこわいものなした。主人公が死ぬなんてないんだもんね」 山本が笑った。あおむけに草の上へ体を倒し、笑いこけた。 れは、はめ絵の何枚かでしかないようだったけれど、それだけでも 充分じゃないかな。僕は吉永がきちんとした服を着て、となりにす「どうした。何がおかしい」 わっている所を見た。未来らしい未来で記憶しているのはそれだけ吉永が尋ねる。 さ。でもそれで充分だろう。君は白髪だった。僕もたしかに老人だ「今度ばかりは伊東君が正しいらしい。とほうもない楽観だが、そ ったよ。もし見たのが本当に僕の未来の断片ならば、僕も吉永もまれが正しいのさ」 とこやら だまだ死ぬことはない」 吉永もつられて笑いだしたが、三波だけは心細そうな、・ うしろめたそうな顔で草をむしっていた。 潮騒と、風に鳴る葉ずれの音に混って、甲高い鳥の囀りが聞えて 吉永は思い当ったようだった。 「そうだ。この世界からは必ず脱出できるそ。僕は東京の町を歩い ているのを見た。もちろんもっと年がいってからのことだ」 「俺も結婚してたそ。そうだ、かなりいかす女で、あの家は俺が住 んでる家だ」 4 9 4
第を第をな : 、を、・ 活きいきと、くまなく光輝を発しているのだった・ なせかお時自身にもわからなかったが、この一週間ほど前から、 心身の変化が生じていたのである。一種異様な、力強さの芽生えで あった。底知れない厖大なエネルギーの原泉が波打っているのを感 じとることができた。日を追うにつれて、力強さは増大するよ、つで あった。 そのエネルギーの波動は、彼女の胎内の一点から来るものであっ このとき、お時はまだ気づいてはいなかったが、彼女は身ごもっ ていたのである。ただ一度の山本千之介との交合が、彼女の胎内に 新しい生命をやどらせていたのだ。 お時の心身にみなぎる強大な力の感覚は、いまだ形もさだまらぬ・ 胎児がもたらすものだったのだ。 それゆえに、お時・の歩行のスピードは、ふだんの彼女のものでな / し 異常な迅速さであった。もし、彼女が全力を発揮することを試 みたなら、おのれが快足の野獣も及ばない速度で疾走が可能なこと . を発見したであろう。 第胎内に芽生えた生命が、彼女を体力的にも超人に変えつつあった一、 のだ : 99