5 ド MAGAZINE SP ー ( リ A 〃 02 & ドに W02 FANTASY VOL. ー 5 NO. ー 2 NOVEMBER 19 7 4 ー暑い夏もやっと終り、秋がきましたね。で も、秋ってどうしてこう感傷的な気分になる のかな。木の葉が色づき、風に舞ってひらひ ら落ちてくるところを見てると、恥すかしな がらつい、はろはろとおセンチになってしま ■おセンチついでに書くと、ジャック・フィ ニイの「ゲイルズバ r- グの春を愛す』ぐあれ 感傷的な小説ですね。イリノイ州ゲイルズバ ーグは 1920 年、 30 年代にアメリカでもっとも この町の森や農場、公園や 散歩道がご多分にもれす新エ場や高層アパー トや駐車場に変っていく。美しい自然が失わ れていくのは、なにも微風の町ゲイルズバー グのことだけではありませんが、ゲイルズバ ーグは一つの象徴なんですね。すでに地球の 大半は、近代化と地域開発の名のもとに美し しい町をプルドーザーの犠牲にしてしまい、 いわば地球自体が晩秋を迎えているかたち。 ですから、滅びいく地球にたいする葬送曲、 それがこの『ゲイルズバーグの春を愛す」な んです。感傷的にならざるをえませんね。 樹々は緑、物事はゆっくりと動いていた 遠い昔の歌をうたおう 陽は物憂げ、一日が静かに流れていた遠 い昔の歌をうたおう そして人々は挨拶をするために立ち止ま 私の家へお茶を飲みにいらっしゃいませ ニルソンという歌手がうた った曲ですが、どこの美しかった町をしのん だものなのでしようか ? かってのゲイルズ ーグでしようか、それともそれ以上に美し かった町がこの地球にあったのでしようか ? ・やつばり、秋は感傷的になっていけません ・今月号は《なんせんす SF 特集》。または 《クレイジー特集》、または《マッド特集》 です。おもしろいですよ。大いに笑って秋の 感傷を吹きとばしてください。
が、人間のほうも、蛇をしりぞけることができなかった。 庭はチラチラし始めた。赤くなり、やがてオレンジに、黄色に、 8 その時、壁の向こうで煙がたちの・ほったのだ。 緑、青、紫になって、透明になった。しばらくすると、スペクトル 「龍が壁を燃してるそ ! 」ラザールが叫んた。「止めろ ! 」 は逆になった。紫、青、緑、黄、オレンジ、赤、透明。 一同は龍に精神を集中した。煙が消えた。 スペクトルの中で揺れている振子のようこ、、 冫しったりきたり・・ だが、蛇がまた前進を始めた。 プルネイの頭が耐えがたいほど痛んだ。みんなの顔にも苦痛が見 「奴らは強すぎる」プルネイがうめいた。「もう追い返すことはでてとれた。しかし、彼はただ一つのことだけを考えようとした きない」 地球 ! 宇宙空港 ! 地球 ! 一同は蛇をちょっとの間とめたが、たちまち、壁から煙がたちの さらに一層速いテンボで、庭はチカチカした。そして、今、あの ・まっこ。 なっかしい共同ロビーがあらわれた。ロビーもちらついていた。 「壁が破られる ! 」ドナーが叫ぶ。「もうだめだ」 光がまたたき、心がゆらめき、時間もちらついているように思え 「どうすりやいいの ? 」 「たすけて ! 」 地球だけをプルネイは考えた」地球はゆらめかない。宇宙空港は ぎいぎい、がたカたいいながら、壁はひび割れ、揺れ始めた。 ゆらめかない。 突然、・フラム・ディカーが立ちあがった。その黒い瞳は燃えてい 地球 ! 地球ー た。 今、色の、時間の、精神の、次元のゆらめきは一つにあわさっ 「強いものが一つだけあるそ ! 」彼はどなった。「地球だ ! 地球て、巨大な渦巻きとなった。それは、時間でも空間でも精神でもな だ ! 地球だ ! 地球のことを考えるんだ ! おれたちみんな、地 かった。しかし、その三つとも、その中にあった : 球に戻るんだ。地球を思いうかべろ。実在させろ。そうすりや、怪みんな悲鳴をあげている、とプルネイは思った。恐怖の叫びに耳 物どもは消えてしまう」 をすます。突然、自分も悲鳴をあげているのに彼は気づいた。 「だけど、地球のどこを ? 」当惑した口調でヴェラが言った。 渦巻きは大きくなり、うねった。渦もまた、ゆらめき始め 「宇宙空港だ ! 」・フルネイが叫ぶ。「宇宙空港た。みんなで思いだ耐えがたい痛みが。そして : ・ すんだ ! 」 「地球に戻れ。宇宙空港に戻れ ! 」 まったく何もない空間にポカッと第十三号宇宙船があらわれ、宇 「地球 ! 」 宙空港の中央に静かに着陸すると、空港職員たちはいささかあわて 「地球 ! 」 ふためいた。とくに、その出現の瞬間も、そのあとも、地球から三 「地球、地球 ! 」 光月離れた宇宙船の像とレーザーでコンタクトをとっていた職員は
スの原因を唱え始めた。モスクワ大学の・フラジン たちは、さまざまな疑問を持ちながら スキー教授たちは、一年間にわたってウェー も、重力波の正体をつきとめるのに夢 教授の報告を調べた。その結果、こんなことがわ中。いずれは何らかの結論が出される かったという。 ことだろう。 「これが重力波だという一七のデータを、他の地 球物理学の観測データとっき合わせてみた。とこ■ 地球から遠ざかる月 ろが重力波といわれるものと、地磁気のデータと の間に、相関関係があることがわかった。ウェ 月旅行が実現して、月は身近になっ ー博士が検出したのは重力波ではなく、地磁気たなどといわれるが、実際は次第に遠 の脈動だったのではないか」 ざかっているーーーという天文学者が現 ウェー・ハー博士は反論した。「たった一七のデわれた。月は地球の道連れ。本当に離 ータをつき合わせただけで、そんなことをいうのれつつあるとなると一大事といっても はおかしい。もっとよく検出に努めてみたらどうよかろう。 か」 この天文学者は米海軍天文台のトー だがこの反論も、次第に力を失ってきた。米国マス・・ハンフランダーン博士。米地球 のベル研究所が、こういい出したからだ。 物理学連合の会議で、このような研究 「こちらは二六二の重力波といわれたデータをつ論文を発表した。 き合わせてみた。 「地球の重力は、精密測定の結果、一年間に一〇ている。東京天文台の説明によると、「公転周期 ところがやはり、地磁気の脈動と、深い関係が〇億分の一の割合で弱まりつつあることがわかつの変化は潮汐摩擦によって大きな影響を受けてお あることがわかった。とくに関係があると思われた。これによって、月は毎年四センチずつ地球かり、それを除けば、残るのはごく僅か。こうした るのは、地球の電離層を流れている電磁波の振動。ら離れている。月の公転周期も、毎年二〇〇〇分測定だけで、重力が減少していると断定するのは ウェー・ハー博士の装置が検出したのは、こうしの一秒ほど、長くなっている」 きわめてむずかしい」という。 たものだったと思われる」 月と地球の距離は、ざっと三八万キロ。一年に これまで物理学では、重力定数を一定不変のも こうしてごく一部の科学者を除き、大部分の人四センチ離れたところで、どうということはなのと考えてきた。だがそれが減少しているとなる びとは、ウェー・ハー博士の検出に、疑問を表明す い。だが、地球の重力が減っているという事実は、 と、物理学の基本も考え直さねばならないことに るようになった。なかには「ウェーバー博士の装地球の将来を考えるうえで、重要な問題といえなる。 置は、重力の波をキャッチする振動子の支持部にる。 しかし。ハンフランダーン博士は自信たつぶり。 鉄を使っている。これが地磁気の脈動で振動したそれにしても、一〇〇億分の一の重力減衰を、月が遠ざかるだけではなく、地球上のありとあら のだ」と説明する人もいて、いまではウェー どのようにしてつきとめたのか。同博士は、英ケゆるものが、重力減衰の影響を受けている、と次 博士のミスは、ほぼ確定的とみられている。 ン・フリッジ大学の有名な天文学者、フレッド・ホのようにいっている。 だがたとえ間違いだったとしても、ウェ イル教授の学説を元に測定を行なった。 「地球上で体重七〇キロの人間は、一年間に一〇 博士の研究が残したものは大きかった。世界中の ホイル教授の学説は「月の公転周期の変化を調〇万分の七グラムずつ軽くなっているはずだ。こ 主な科学者たちが、これをきっかけに、重力波とべ、それから潮汐摩擦の影響を除けば、重力の変のような重力減衰の数値を測定したのは、これが 取り組むようになったのである。 化がわかるというもの。それそれ計算がむずかし初めてだが、今後つぎつぎに重力減衰の証拠は出 な・せ重力波は検出できないのか、本当に重力波いが、測定の結果、一〇〇億分の一という数字がてくるだろう」 は検出できるものなのか、アインシュタインのい得られたという。 う重力波は、実際に存在するものなのかーーー学者だが、この・ハンフランダーン説には、異論も出 両者ははなればなれに 地球の大気圏外から見た月。 以 8
された彼らだが、動物性蛋白を得るチャンスはめったにないらし 。その稀なチャンスを見逃すことは許されないのだ。 コンビ = ータは忠実だった。長大な寿命を持つ小型原子炉を従え 8 例のスポ 1 クスマンが伝えた限りでは、二十世紀掉尾の前衛的なて、主人の眠りを見守って来たのだ。 科学実験がなかばまぐれに功を奏し、″大破局″で人類が一掃され彼女は、十メートルの地下から、地表近くまでいくつもの監視・ た地表に辛うじてその末裔として存在を確保するに至った、彼らリ感知装置の腕をさしのべて、地表の世界の状況を点検し続けて来 リバット族の個体数は、大したものではないようだ。かってのメガ た。当初のプログラムでは、主人の覚醒は二百年後である。しかし ロポリスの効外にあたる直径わずか二、三キロの地域に、ようやく地表に危険な兆候が認められる場合はその限りではない。 十の共同体を拡大するに至ったところなのだ。 クロノメータがその時を刻んだ瞬間、彼女は判断を迫られてい 尤も、それはこの国に限っての話だ。他国でも同様なプロジェク た。センサー類の一部はすでに破壊されている。主人が眠りに就い トが進行していたかも知れないし、やはり " 大破局。を生きぬいててわずか十年後に、大異変が地上に勃発したのだ。妻まじい熱波と 似たようなコロ = ーを確立している可能性もある。巨大な惑星と化衝撃波。センサーこそ影響を蒙ったが、分厚いベトンの内部の″墓″ してしまったこの星で、長距離交通手段をもたぬ彼らが遭遇しあうはびくともしなかった。主人の眠りは安泰だったのだ。・ 機会は、まず絶無にひとしいだろうが。 そして二百年後、彼女の知覚は今だに地上に残る致死的な放射能 そして、彼らは彼を崇拝しているようだった。あのスポークスマの存在を示していた。熱核攻撃に使用された兵器の放射能が、まだ ン以外には、彼と直接接触した者はない。しかし彼らの感情は一種半減期に至っていないものと思われた。 びし の圧力波となって犇々と彼に伝わって来た。 彼女は決断した。これでは主人を地上に出す訳にはいかない。プ フレッシュ 彼は肉。肉は神。彼らを救うために降臨した巨大な神。自らのログラムを変更しよう。それから、厖大な時間を彼女は待った。 肉を分ち与えることによって民を救うーー・はるかな太古、クリスト ″墓″のすべてに気を配り、痛んだ個所を修復し、主人を覚醒させ スと呼ばれる神の御子も、その手段をとられたのではなかったか。 るにふさわしい状況が到来するまで待ち続けた。 彼らは彼の山そのものに等しい肉体を見上げ、拝跪し、そして切 ついにその時が来た。彼女がその任に就いてから、じつに五 り取った肉の小片をうやうやしく捧げてすみかに運んでゆくのだろ百年が経っていた。精緻な。フログラムに従って、段階的に主人を揺 り起す仕事に取りかかった。冬眠状態からの復活は慎重に行なわれ 彼は徴笑した。その情景を思い浮べると、そうせずにはいられななければならぬ。急ぎすぎると、体機能を損なうおそれがあるの くなるのだった。 ″棺″の温度はゆるやかに上げられ、代謝賦活剤が注入され、次第 メダリック コンピュータ に彼の代謝リズムは正常値に近づき始めた。 たみ
「おどろいたな、穴だぜ」 8 。完全な円形で、長さは十六インチほど。そして、地上四フィー . ・こっこ 0 植物学者のゴンザレスはいった。 ランドルプはいっこ。 「岩にね」 生物学者のランドルフはいった。 「でも、なぜなんだ ? なぜ、砂漠のまん中で、岩に直径四インチ 「まん丸だ」 のトンネルを掘らなきゃあいけないんだ ? 」 アレンビイは低い声でしめくくった。 ジャヌスは片手を拳銃においたまま、まわりを見ながらいった。 「それでもまるで異和感をおぼえないといえば嘘だあな」 「宗教的なシンポルだろう。気をつけていたほうがいいぜ : : : おれ ・ハートンはかれを助けおこし、おれたちは黙って岩を取り巻い たちは神聖な場所か何かに着陸したのかもしれないからな」 アレンビイは意見を出した。 ジャヌスはかがみこみ、穴の一方に片目をよせた。おれもかがみ「ひょっとすると、トーテム・ホールだな」 こんで、反対側からのそきこんだ。おれたちはおたがいの目を見つ 「なんともいえないよ」と、ランドルフはいったーーーアレンビイに めあった。 対してではなく、ジャヌスにだ。いったとおり、おれたちは常にア だじゃれ 鉱物学者として何か意見をいわなければいけないので、おれはゆレンビイの駄洒落を無視することにしていたんだ。「装飾がないと っ ~ 、りといっこ。 ころに気づいたか ? 宗教的なものとしては変だろう」 「ドリルでえぐったものではない。のみで削ったものでもない。熔ゴンザレスは注意をうながした。 かしたものではないし、浸食されたものでないことも確かだ」 「地球上ではな : : : それに、象徴的なものではなくて、実際に使う 耳もとで石をこする音がひびいたので、おれは立ちあがった。すものかもしれないよ」 ると / ートンが、穴のふちを親指の爪でひっかきながら話しかけ ジャヌスは反問した。 「実際に使うって、どう ? 」 「銅の鉱脈らしいな。風化しているところを見ると、だいぶ古いも ハ 1 トンはそっけなくいった。 んだ。しかし、完全な円になっていることは断言してもいい・せ」 「蛇どものための祭壇ってとこかな」 ジャヌスはもうカメラの用意をしており、遠くから協力している アレンビイはいった。 ホーリイ 太陽を露出計ではかっていた。アレンビイはいった。 「神聖な場所だってことは否定できないね」 ( 註・ホーリイを、穴のあ いたという意味にこじつけている ) 「どうだかな。ほんとにほうか調べてみようじゃないか」 「手をどけてくれないか、ピーターズ ? 」 ジャヌスはそういし おれはそのとおりにした。シャッターの音 ・ハートンは鋼製の巻尺を取り出した。その穴の直径は四インチ
大気圏の構造をコンバクトに設計した風船は、自らのな かに風をもっている。浮んて風に流され飛んていくとい う従来の風船の理論を広義に解釈して、風そのものをも った船を風船と名づけたいのてある。とはいえ、地球の 大気圏がこの〃小さな大気圏〃にたいしていわゆる風船 的作用をうながすてあろうことはいたしかたない。 連載 思考の憶え描き 真鍋博 風船計画
カット☆宮崎茂 日記をつけてみよう、と思う。手紙を書かなくてはと思う。今日 Ⅱたんぼぼ白書 ( その一 l) レイ・プラッドベリ は何日だったろう。誰かに会いたいと思う。あなたに会わなくて は、と思う。結局、わたしはあなたに電話しなくてはと思いかえ 『対象』という短篇で、・フラッドベリは、ある原型的な名付けられ す。それで一体何がとり返せるだろう、とわたしは思う。今日も一 杯の酒だけは忘れない。生活が萎縮して、もっとも愚かしい言葉だていない物質について書いている。レッテルによって、それは全て けが夢みたいになった。 のものになる。名前のなかにいとも簡単に封じこまれてしまう、あ 名前 ( 名付けること、名前を知ること、名前 さて、こぼれてゆくものたち。油虫ほど不可解な人々に毎日の大る不幸な″もの″ 半を奪われていると、いっかあなたに助けられなくてはならなくなを呼ぶこと ) についての信仰がとてつもなく古い時代から、人々の るのだ。ちつぼけな一発の爆弾はけっして点火することがない。全生活に根ざしている。怖えを克服するために、いつでも人々は名前 てを奪いつくされるまで、いやそれからだってきみはそれに気づきを増殖させなくてはならなかったのだ。名前を知ることが識ること そうにもないんだ。わたしたちは周到に人質をかかえこまれてしまで、そうやって生きてゆくのが一番おめでたい。のであろう。物に っている。結局こんなような世界を、みんなが望んでいる、という名前がなければ、人々は生活に困ってしまうんだし。 ことなのだろう。とめどなく、とめどなく。 火星へと移住した地球人はまず、火星人たちの美しい名前を打ち くだき、そしてすべての丘、すべての運河こ地球からたずさえてき 連載評論 、。ー夢の言葉・言葉の夢 幻想小説の方へ 文千秋 第い鑾
S F はあらゆる破減を描く ! 《 S F シリーズ》 3045 3056 3062 3064 3069 引 70 引 74 引 82 32 円 3220 3247 3252 3258 3269 3277 3279 3302 3 引 4 巨目艮 宇宙戦争 第四間氷期 ックス・ユ . ーノレリッヒ H ・ G ・ウエプレス、 安部公房 超生命ヴァイトン E ・ F ・ラッセノレ 破減へのニ時間ピーター・プライアント 太陽自殺ェドマンド・クーノヾー 人類皆殺し 大地は永遠に 鋼の荒野 コロサス コマンタ、 1 トーマス・ M ・テ、イッシュ G ・ R ・スチュワート 、ノレ′ノレト・Ⅵ「・フランケ D ・ F ・ジョーンズ、 ピーター・ジョーシ 海カヾ消えた時 C ・ E ・メイン 地球地獄リヒャルト・コッホ 人間カヾいっ ( よい ノ、リイ・ノ、リスン 草の死ジョン・クリストファー 長く大いなる沈黙ウイルスン・タ ツ . カーー 大破壊 山椒魚戦争 JA33 復活の日 《ハヤカワ文庫 A 》 ジョン・クリストファー カレノレ・チャー弋ック 小松左示 《日本 S F ノヴェルズ》 復活の日 、松左京 かれらの中の海眉本卓 《ハヤカワ・ノヴェルズ》 見込みない種子アントニイ・ノヾージェス アンドロメダ病原体マイクル・クライトン 地球最後の男 リチャード 2 3 ー Y250 300 Y320 Y360 Y290 Y290 Y270 Y450 Y290 Y350 Y420 Y360 Y320 430 400 V 330 V 560 Y680 Y370 780 Y750 Y850 Y880 Y530
しは思った。 た名前を貼りつけてゆく。 : だが、何もかも安定し、 奴隷はつねにその主人を真似る。 そして最初の死人が墓に入った : ・ 小ざっぱり配置され、すべてが安全確実になり、町が繁栄し、さとプルードンは権力主義的な共産主義者を罵倒する。言葉を、名前 びしさが少なくなると、すれつからした連中が地球からやって来を、なによりもまずそれらを自由なものにしてみよう、とわたした た。 : : : 社会学の法則を研究したり、適用したりするために、やちは昔熱烈に願ったはずではなかったか。積み木ぐらいに世界の原 って来た。星章や、バッジや、規則や、掟をもって、やって来型である言葉をみつけよう、とする。言葉の新しい関係を、・フラッ ドベリのなかに見つけるという、最も・ハカ・ハ力しい作業が、今月の た。雑草のように地球を覆っていた公文書を持ちこんで、それを ・ : 命令され、掟に縛られ、小突きまわされ仕事である。 火星に植えつけた。・ るのが嫌で火星へ来た人々が、命令され、掟に縛られ、小突きま ここに陳列されている装置は、″特定のことではなく わされるようになった。 『火星年代記』にはそう書いてある。なぜか想像もっかないが、人任意のことを行なう発明品″と申しあげていいでしよう」 人は過酷な生活だけを生きがいにするマゾヒストだ。みんな、こう最近『奇想天外』の特集で紹介された初期短篇『ドウーダッド』に はこんな不思議な機械が登場する。 いう生活を、こんな毎日を、真から愛しているらしいのだ、とわた : ここに、・鳥の巣からビートル・カーのクランクケース レイ・プラッドベリ まで何にでも適用できる、不正確な意味的ラ・ヘルが誕生したわけ です。ドウーヒンギーはモッ。フであっても、かつらであってもい 。ある文化のなかで自由に使われる用語です。ドウーヒンギー はたった一つのものではない。一千ものものであり得るのです。 ハンプティ・ダン。フティの発明した思想が、ここでひとつの形にな っこ 0 問題は、どちらが主人か、ということなんだそれだけだ ( ハ ンプティ・ダンプティ ) まったく、ただ、それだけだ。 「プラッドベリは、サイエンス・フィクションを書くとき、身近 かな感覚を逆に″ロケット″や″火星″に持ちこむんだ、という ようなことを伊藤さんが言ってた」 とが一 = ロった。 「たとえば :
い 9 月 者はそう確言した。 イスがどんなひどい仕打ちをしたことになっ これまでのところ、宇宙計画においてもっているか、たずねる余裕はなかった。しか とも気の減入る事実のひとつは、当然のことし、それはつぎのようなものだった。哀れな ながら、多産な惑星がかりに存在するとして小さなワンダ・ジューンは、母親を喜ばせよ も、それがおそろしく遠くにあることが証明うと、居間の新しい壁紙にクレョンでたくさ されてしまっているということたった。ドウんの絵をかいた。母親は喜ぶどころか、おこ ェインやグレイスのようなうすのろはいうにつて彼女のおしりをたたいた。ワンダ・ジュ およばず、保安官のようなかなり頭のきれるーンの主張するところによれば、その日から ものさえも、宇宙には人類を迎えいれる余地彼女は、絵画用具を見るたびに木の葉のよう が無限にあり、地球は発射台に使うひときれに震え、冷たい汗を流すようになってしまっ のくそにすぎないと、長いあいだ信じこまさたという。「こうしてわたしは、有為ある、 れてきたのである。 収入のよい画家としての道を閉ざされてしま ところが、地球が現実にひときれのくそとったのです」ワンダジューンの弁護士は、 なった今、うすのろの人びとでさえも、人類彼女にそう陳述させていた。 の手にはいる居住可能な惑星はこれひとっかその間ドウェインは、娘の結婚をぶちこわ もしれないと気づきはじめていた。 しにした張本人が自分であることを思い知ら グレイスは娘に訴えられたショックで涙にされていた。弁護士がいうところの「有利な 暮れているので、手にした罪状のリストは、結婚ならびに、それがもたらす慰めを愛」 涙のためいくつものイメージに分裂していを、ワンダ・ジューンはいくたびかっかみか た。「ああ、神さま、まあ、まあ、まあーーー」けたのである。ところがドウェインは、求婚 と彼女はいった。「わたしがすっかり忘れて者が来るたびにいいかげんに応対し、そのチ いたことが書いてあるわ。あの子はひとつだャンスをつぶしてしまったらしい。また彼 って忘れてやしなかったのよ。たった四つのは、来客を迎えるとき上半身はだかで、カー トリッジ・ベルトとリポル・ハーをつけたまま ときにおこったことまでしゃべってるわ」 ドウェインは自分の罪状を読んでいたのであることが多かった。ひとりだけではある 7 で、たった四つのワンダ・ジューンに、グレが、彼女は父親のために失った恋人の名前ま