蹴し、かわりにハックスリー ステー。フルドン、 O していながら、自明の結論をそこから導きだしてい トを切ることができたかどうかは疑わしい。しかも ・・ルイスに精力を注ぐ。あとの三人がパルプ作ないことにある。 そのニュー ・ワールズは、「ヤンキーの雑誌」が模 家の大部分より興味深いことは事実だが、それにし共通の言語を持っせいだろう、イギリス人とアメ範を示さなかったら、創刊されなかったかもしれな ても、マーク・トウェインの古典『アーサー王宮廷リカ人は、双方の文化、ひいては双方の芸術にひそいのだ。雑誌の時代が終わった今、その墓の上 のコネチカット・ヤンキー』を、どこかに割りこまむ根本的な対立点を見逃がしがちである。アメリカで踊っているものは多い。だがこの形式の質が、。へ せることぐらいできたのではないか。 では、文学は大衆文化の澄んだ泉をあびて絶えず再 ー・ハック産業の出現によって目に見えて向上し 彼がアメリカに等しい機会を与えるようにな生をくりかえしている。一方、イギリスの作家たちたというわけでもない。 るのは、この本の最後の三分の一にさしかかってかは、階級制度によって彼ら自身の世界に閉じこめらアスタウンディング派に対するオールディスの反 らである。四〇年代以降は、そうしないとどうにもれ、古典的なモデルの模写を果てしなく続けなが論の主旨は、彼の定義 ( 前述 ) からの必然的な帰結 おさまりがっかなくからだ。『はるかなもののかたら、明晰な思考で互いを圧倒しようとしている ( ハとして表現されている ち』 (The Shape of Further Things. 1970 ) のツクスリーはその顕著な例だ ) 。この相違はに なかで、オールディスは、アスタウンディング誌のも反映し、アメリカではが雑誌以外の場所に存主人公の享受する超常的な力が大きければ大き 到着を毎月首を長くして待った戦争中の思い出を書在することはほとんどなかった。これとは対照的 いほど、その作品は本格に近づく。逆に、 いている。当時「ヤンキーの雑誌」は、航海ちゅうに、が主流文学の本質的な部分を形成していた主人公が平凡で、失策をおかしやすいほど、本 ポートに撃沈される危険がきわめて大きい貨物船イギリスでは、雑誌ははるかにのちの産物であ格から遠ざかる。 の。 ( ラストに使われていた ( 戦争は地獄だ ) 。しかる。じっさいある意味では、それは主流文学から離 しそのころでさえ、すましこんだイギリスの知識人れたことはなく、今でも〈新しい波〉を介して「下したがって彼は、雑誌の大半を「。ハワー が常にそうであるように、彼は「どぎつい、おそま品な」大衆的要素を除去しようとしている。 アンタジイ」として指弾する。そこでは「個々人の しい文体の病気」に気づいていたし、「内心、こんつぎつぎと創刊される新雑誌は、そのページをみ役割が、ばからしいまでに誇張されている」のだ。し なを読むのが許されるはずはないとも思っていたすために新しい世代の作家たちを育ててきた。アかしこれは、作品の良し悪しは別にして、多くの た」そう認めてさえいるのだー しいかえれば、彼メージングなくして・・スミスが、アスタウンを正確に解説しているものの、定義としては通用 はそれを楽しんでいたが、楽しんでいると思いたくディングなくしてハインラインが、ギャラクシーなしない。ヴァン・ヴォクトとゴードン・・ディク はなかったわけだ。しかしさいわいにも、こうしたくしてベスターカ ・ : はたして存在しただろうか ? スンは、たしかにこれにあてはまる。彼らは、精神 偏見は、この本のなかで彼がアスタウディングに正ウエルズや、ステープルドン、ルイスには、そのよ的肉体的能力への執着をとほうもなく発展させてい うなメディアは必要なかった。だがニュ 当な敬意をはらう妨げにはなっていない。問題は、 ・ワールる。だが ( たとえば ) プリッシュやクレメントに 彼が旧世界と新世界ののさまざまな相違を記述ズ誌なしに、オールディスやバラードがそのスターは、これはめったに見られないし、ハインラインの 0 0 8
らず ~ 一地球的融合にとどまらず、地球融合、つまり大地の大気 いわばカオスを そして、あらゆる地球的なものを融」せる 出現さることにある。 融合体のなかて、あらゆる生物は同、一に生きるのだ。
ここ二、三年、出版が待たれていた = 「ラ死が可能かどうか、もし可能ならばそれが人難』夢想スターの夢を買う未来レジャー ◆・◆・◆・△イ・アモソフの未来小説『未来からの手記』 4 間にとってどんな意味を持つかを考えようと『夢を売ります』ほか十二他収録されている。 ・《 "Notes ( 「 om the Futu 「 e・こざ ( 飯田規和する。ソ連当局の気に障「たのは、思考実験ノン・フィクシ " ンでは、同じくアシモフ ◆・◆・人訳・早川書房・一二〇〇円 ) が出た。この小的な意味を持っこの第二部で、現在のソ連での『わが惑星、そは汝のもの』 "The sta 「。 お ~ 説は、ソ連胸部外科の権威であり、生物サイは、こうしたあまりに実験的なーー・・従「て危一 = Thei 「 c 。〔ラ。〈・ ミ ( 山高昭訳・早川書 ・△・ ( ネティクスの指導的科学者でもある著名な険でもありえ、時によっては人類の見方がペ 房・九八〇円 ) - がといっても飽きさせな ・△学者・兼作家の書いた未来小説であるというシミスティックにもなりかねない い。例によって例のような独得な語り口とテ ◆・・◆・△ことのほかに、第一部は出版されていなが が、許容されなかったのかもしれない。作風ク = ックでの = ッセイ十数編が大文学、物理 人ら、第二部がソ連政府当局によ 0 て発表を差は = フレーモフと同系列だが、より現代的な学、化学、社会学の四部に分けて収録されて ◆・・◆・△し押えられたという事実、アメリカの版権工ソ連のカ作として、必読の一冊である。 いるのだが、なかでも、最近流行の占星術の プロー ◆・◆「◆人 ージェントがアモソフとソ連当局と交渉して ーとしては、一九六四年度ヒ愚劣さを徹底的にたたいた『軌道の太陽』ヴ ーゴー長編賞を受賞したフ リツツ・ライノ ・ ~ 翻訳権を取得し第一部・第二部を合わせた英 = エリコフスキーの『衝突する宇宙』が実は聖 ◆・◆・◆・△語版の完本がアメリカで出版された、という ーの『放浪惑星』 "The Wande 「 er"'6 、 ( 永書の記述を論証しようという腹黒い魂胆を持 、こ井淳訳・創元推理文庫・三二〇円 ) が出た。 ・・実などから、当時非常に評判とな 0 てしオ った非科学的愚論だとする『混乱する宇宙』 ・・・ものである。 ( ごく短い紹介が一九七〇年末突如として現われた、不気味なツートン・カ 超光速粒子の不可能を論ずる『ルクソンの - ・の『週刊朝日』に掲載された ) ラーの放浪惑星が、月に接近してこれを粉砕壁』科学者の罪とは何かを考える『科学者の トーリーは、自分が白血病に侵されてい し、地球に地震や津波や高潮などの恐るべき罪』人口・公害・資源問題を再説する『幾何 ・・・ることを知 0 た生理学者プ。ホフが、自ら災害を惹き起こす、しかもこの惑星は、じっ級数の威力』などはなまなかな小説以上に魅 は、きびしい大宇宙の体制に反抗して、空間 ・・を冷凍睡眠の人体実験台として、二十年間の 力的である。 物蜘◆◆取眠りにつく。そうして白血病の治療法が完成をさまよえるオランダ人さながらに放浪する ほかに『アーサー ・マッケン作品集成・ 物蜘◆蜘◆《するのを待 0 たわけである。そして。フ 0 ホ人工惑星だ 0 た : : : 。突然の危機にさらされ —』 ( 平井呈一編訳、牧神社・一八〇〇円 ) ◆・◆・◆・△フは一九九一年に目覚めるが、そのとき世界て、右往左往する地球上の人類と、スー ・サイエンス風の幻想世界に生きる放浪惑星『。 ( ンの大神』『内奥の光』『輝く金字塔』 ◆・◆・◆・△は核戦争の危機も切屮抜け、高々度な科学、 ◆・◆・◆・△技術によって、より平和で豊かな生活を享受の住人とをフラッシュ ・・ ( ック風の手法で描他一編収録。 ( ャカワ文庫から ( ワー ド & ディ・キャン 《していた : ・ : ・と、これだけ書けば、何の変哲きだした、特異な味を持っ宇宙小説である。 ~ もない月並みで古臭い未来めいてくる短編集ではアイザ , ク・アシモフの『地球プの『荒獅子「ナ は空地でいつばい』 "Earth is Room En- "Tales of ・・が、内容はとてもそんなものではない。 ・・第一部では、冷凍睡眠、人工頭脳、生物数 ( ) u : 57 ( 小尾芙佐・他訳・ ( ャカワ・ conan" ) 55 ( 佐 ・学、心理に対する化学の作用、社会心理学的シリーズ・五四〇円 ) アシモフの数多い短藤正明訳・二七〇 ・・ - コントロールなどの可能性が、生物サイ・ ( ネ篇の中から地球を舞台にしたものだけを県め円 ) ・ ( ロウズの 物蜘◆◆取ティクスの専門家としての確かさと知識の豊た、ウィ , トにとんだ短篇集である。歴史の『ターザンと蟻人 、◆◆取富さとで精緻にしかも奔放な想像力で語られ研究のために開発した時間観測機が恐るべき間』 "Tarzan and ・◆・◆・◆・△る。そして、第二部の二十年後の世界では、第新世界をつくりあげてしまう『死んだ過去』 the Ant ・ 部の発展として脳の化学的コントロール、人間をはるかに超える知性を持った虫の話・ 19 ( 高橋豊訳・ , ◆・◆・◆人心理学的干渉、人頭脳の問題などが追求さ『子供だまし』人類から住宅難を永遠に解放二七〇円 ) が出て ケケ退れ、その結果人間に実用的な意味での不老不する名案が人類から安寧を永遠に奪う『住宅いる。 海外セクション 担当 : 福島正実
この大学でも文学部以外の全ての自治会は派の自治連合に参加 会議はもう七時間も続いている。新しい学生会館の白いコンクリしてしまフた。そして我々の文学部自治会の崩壊も時間の問題とさ ート壁は奇妙に人の声を吸収して、自分だけが遠くからこの部屋のれている。もし我々のこの会議が日和見的な結末に終ったなら確か 様子を盗み見ているように思える。既に最初の議題がどういうものにそうなってしまうだろう。我々の自治会は有名無実のものとなっ であったのか忘れてしまっていた。いつものパターンに陥った議論て新しく派による文学部自治会が生まれることは間違いない。そ は、ただ初歩的なテーゼへの疑問を何度も掘り返し続けるだけであれをみんなよく知っていて、一所戦命執行委員の座にしがみついて いたいとも思っていないのだが、少くとも派に対する嫌悪だけは る。白い壁に反射する螢光灯の光がやけに明るい。 みんなをこの会議から開放してはならない。連帯というような言誰もが持っているのである。少くともを除いては裏切者ではな 。日和見主義者ではあっても、破壊者ではない。を除いてー 葉からはかけ離れてしまった我々ではあるが、ともかく今はここに これだけのメンバーが集っている。そのことだけがこの会議の意義 であり、我々が果すべき任務も互いに看守となり囚人となり続ける夜が更けてくると発言者が減っていった。みんな時間つぶしにし ことなのである。 かならないとは思いながら義務感にかられて発言していただけであ 自分たちを看守や囚人の立場におくことに異議を申し立てることる。それがわかりながらも喋り続けねばならない緊迫感がなくなっ もなく、みんながこうしてこの部屋でいつまで続くかわからないよていくと、机に頭を伏せて眠る者や、雑誌を読み始める者も出てく うな拷問に耐えているというこの状態は不思議なものだ。拡散したる。議論を談冫 ま雑一こ変り、声も小さくなっていった。窓の外の闇が不 連帯感の中で互いに個人的な共感を見出しているわけではないだろ思議な重力を持って周囲を包み込み、その重力に圧迫されているか う。むろん基本的なテーゼへの信念などはもう誰にもない。誰も何のような惓怠が広が . っていく。いっかみんながこの部屋に居ること の積極的意図も持っていないのだ。あるとすれば、この虚構から脱だけで、夫々の義務が果されているというムードに陥っていた。 け出すための決定的な理由がみつからないということだけである。 「のやつ。どうして来なかったのかな」 かっては連帯があったのかもしれない。かっては信念があったのか両手で疲れ切った首を支えながらがいうと、雑談が途切れてみ もしれない。そうした過去の仮説の中に今の我々は閉じ込められてんな e の顔を見た。「あいつがいないと議論が続かないな」 いる。それは過去のものであり、仮説でもあるという二重のあいま「あんな野郎との議論などナンセンスだ」 いさによって奇妙にとらえ難い何かを我々に与えているのだろう。 は、スチール椅子にもたれかかって両足を机の上に投げ出してい みんな率直なところ解体だけを期待し続けながら、そうしたとらえる。 3 7 難い幻想をよりどころとして連帯を確保するための議論を今も続け我々がを除名しないのは、それを理由に他の学部の自治会や新 2 ているのである。 聞部が、我々の文学部自治会の正当性を問題にして、学部集会で一
放談会豊田有恒「一九七四年に何が起る者の眼』 ( 『伝統と現代』幻号・他界観特集 ) 在した事実は科学 ◆・◆・ ? と思いますか。宇宙も、もう古いし」筒井康 . から。 と宗教を統一した 司 風流 ◆・◆・◆・隆「宇宙も古いし、未来も古いしね」小松左 「 : : : 眉村卓は、ともに語るにたる新しい世界観の可 ◆・◆・京「終末も終末だしな ( 笑 ) 」星新一「うん風流の士である。 ・ : 日本では風流とか遁世能性を示すもので ョ - ・この話を聞いても、あんまり食欲が湧かなくとかいうと、たちまちこの世から逃げだし、ある」。定方晟 ・・なってきた ( と言って肴をつまむ ) 」日『問題たまにはいし 、こともいうが、しよせんは傍観 ( 『須弥山と極楽』 ク石 ・・・小説』 1 月号『 = ッポン列島、沈没どきよ』者じゃないかという俗流のきめつけになりかー講談社・ 250 ねない。まして、現代管理社会のもとでのモ円ーから ) ◆・◆・◆ 本 rn 論 「 : ・・ : の小説世界よ、、 をしつか ーレッ社員・ーーこの社会と人間二つのあり様以上の二著と、 当 ◆・◆・◆ 日 ・・現実への脱出口を失って、現実の因果律を崩を『 O 席の客』全篇がみすえているのだがー渡辺慧『時間の歴 日一 ◆・◆・◆しながら新しい内宇宙の論理を解読するはずーには、この手の俗論がつよい。しかし、世史』 ( 東京図書・ ◆・◆・◆だ。しかもそれは知識としての現実ではなを捨てたものが、離れて見たものをもって、 780 円 ) 、斎藤 ◆・◆・◆く、本物の世界を我々が認め得る思考ともなもう一度この世にもどるというのが、遁世、守弘『宇宙の前衛科学』 ( 大陸書房・ 800 ◆・◆・◆るものにちがいない。そして、過去に小風流の根底的 ( ラジカル ) な性格なのであ円 ) の四冊が、最近のファン向き科学読 ◆・◆・説として書かれ、これから論じようとする作る」日山田宗睦 ( 角川文庫版・眉村卓『席物としては出色。 の客』の解説から ) ◆・◆・◆品群も、単なるその。フロローグでしかない。 - ・真のは今後に書かれるべきもので、我々空想社会科学小説 ・ : なぜ私が小松さ今月は創作集が一冊だけである。小松 - ・・自身の内宇宙に開かれようとしている世界ーんの熱心な愛読者かというと、純粋なが左京『結品星団』 ( 早川書房・ 680 円 ) 。 - ・・ー小説世界なのである ! 」日山野浩一が『季好きで、とくに彼の名文章が魅力があるとい老人、男、女、子供の四人の内部世界をつな ・・刊』 8 号から連載を始めた長篇うことだけでなく、私の研究している政治学 いで、現実と狂気の接点を切取ってみせた 3 論の一節。 という一つの社会科学の立場からみて、大変『、 ◆・◆・◆ 見る 「 : : : 見えない死者の世界に身をお勉強になるような場面設定や人物描写が多い作者の分身である昭和十三年の小学生を、 ◆・◆・◆いて、死者の眼で自分をかえりみると、う忍 しえからでもある。 : : : 本書のように、社会科学のテクニックで不可解な事件にまきこんで ◆・◆・◆識のあり方は、祖先崇拝といった月並みな言的な示唆にとむ作品を総称する空想社会科学みせた『失われた結末』、耶馬台国観光旅行 ・◆葉では切りとりえない。前近代の根源的な存小説というスタイルが文学的な意味で確立さ団の乗込んだジャンポ航時機が ( イジャック ◆・◆在様式をあらわしている。それに反して近代せうるかどうかはわからないが、それは社会に出会う、という筒井康隆ふうのナンセンス ◆・・◆では、生きた、見える他者のもとに自分をお科学的な思考実験として、きわめて注目すべ『タイム・ジャック』、大宇宙の奇蹟ともい ・〈観察と実き意味をもっている」日武者小路公秀 ( 角川うべき華麗で神秘な結品星団の謎に、知的生 ・・験〉に依拠する、いわゆる〈観察する理性〉文庫版・小松左京『見知らぬ明日』の解説か物の中の最初の探索者として地球人が挑む表 0 癶 0 」、 000 、。 0 。 - の近代では、かならずしも根も葉もないことら ) 題作ーーーこの四篇を収録してある。なかで ◆◆・◆ - - 、を信じなくなったわけではないのに、不可視名セリフ「かに星雲は、つねに古くて新は、、、 月松ひさびさのスペース・オペラで - ・の世界を見る眼が衰弱する。とりわけすべてしい、安心できてしかもいつも新鮮なおどろある表題作が、とりわけ面白い。後半やや駆 きを与えてくれる、天文学の理想的な″女け足気味でテーマがふくらみきっていないう ・ 3 を可視化しようとする、現代の情報社会は、 》 9 ・ 3 可視的な情報の厚い壁でわたしたちのまわり房。像ではないだろうか」。森本雅樹 ( 小田らみがあるものの、イメージのあざやかさで ・◆をはりめぐらしている。わたしたちの眼のさ稔ほか共著『かに星雲の話』ー中央公論社・読者を堪能させてくれる。 ◆・◆・◆さやかな透過力など、この厚い壁にはほとん 820 円ーから ) 「将来どのような世界観が なお前記の他に、文庫本が数冊出ている ′◆念ど歯がたたなくなっている」Ⅱ安永寿延『死生れるかしらない。しかし、仏教宇宙観が存が、次回に回させていただく。
の・フラウン管の中で、キタは多くの科学者や技術者を左右に配しめるために巨大な船団を送り、採鉱施設、製錬所、粗製品を生み出 て、遺跡に関する調査が人類の文明にいかに大きな影響をもたらすすための加工。フラントを建設し、さらに作業員のための安全な居住 かについて熱弁をふるっていた。そのあと、かれは何枚かの地図や区を作り、そしてようやく生産された粗製品を地球へ向って積出す。 図版を示して、遺跡に対する自己の見解をひろうし、さらに緻密な地球へとどいた一トンの型鋼材が、いったい幾らにつくものか想 計画の全容を誰の目にもあきらかなように説明した。、想像していた像することさえ困難だ。積貨量十万トンの省型汎用貨物船三十隻よ 以上に大がかりなもののようだった。。 とうやらそれは地球連邦の宇りなる宇宙船団を木星、地球間に一往復させるだけで、誘導施設、 宙開発計画を政策的に側面援護しようとする連邦学術会議のいつも曼航路警戒組織、通信網、整備に必要な全機関などの運用費、電力な の動きのひとつであるらしい。シーンが変ると、平行してならべらどもふくめて、連邦の一年分の教育関係予算をはるかにオー・ ( ーす れたテープルに向い合って坐った調査団側と、市政庁側の役人とのるのだ。採算がとれるだけの船団を新たに編成するために、大型宇 間で、いかにも演出らしいやりとりがおこなわれた地球連邦が宇宙船を大量に建造するとなれば、これはもはや単なる投資と収益の 宙省の予算の中から、相当な額をこの遺跡の保護と管理のために東問題ではなくなってくる。したがって連邦の宇宙開発計画は、長期 キャナル市に寄託したことを感謝する言葉がしかつめらしく語らにわたる戦略的展望に立って立案されたものではなかった。小規模 れ、またそのための人件費や施設費の増加をカ・ ( ーするための特別な開発計画を乱発し、それによって宇宙開発産業を中心に電子、宇 助成を考慮してほしいという要求が持ち出され、それに対して、キ宙造船、機器、合成化学などの各産業を過熱させようというかげの タに従ってきた男たちの一人が、それは連邦政府内で十分に検討さねらいがあった。連邦は真の宇宙開発計画に対する熱意はとうに失 っていた。 れていると答えた「テープルの上にのってい・る四角い山形の名札に は、かれが科学者ではなく、連邦政府の予算関係の高官であること だが、キタは言うであろう。たとえどう利用されようとも、それ を示す肩書が付せられていた。すべてはなれ合いのショーであり、 によって研究が進められ、多額の研究予算が与えられればそれで結 調査計画そのものが連邦のまことしやかなポーズであった。連邦の構だ。と。 無能な為政者たちは、解決困難な問題を山のようにかかえ、その 私はテレビの前を離れようとした。そのとき、キタの声が流れ出 終末的状況から人々の目をそらせるため、この二、・三年、相ついでた。 無謀とも思われる宇宙開発計画を幾つか発表し、その推進に狂奔し「 : : : その《東キャナル文書》は、ある退役スペース・マンがひそ ていた。しかし、連邦経済の慢性的疲へいはもはやそのような方法、かに所持していると伝えられ、かれとつねに親しく接触している私 ではどう救いようもなかった。もともと宇宙開発というのは極めての古い友人の一人が、かれに全面的な協力をあおぐべくエ作中で 回収のおそい投資だ 0 た。投資の効果があらわれるまでに早くて百す。したが 0 て《東キャナル文書》も、もしそれがほんとうに実在 年、二百年の年月を必要とする。たとえば遠い惑星に鉱物資源を求するものならば、遠からずわれわれの前にその内容をあきらかにす
てもらっていることを、今では疑ってみようともしない自分自身面々であることを思えば、当然の話かも知れない。そして勿論、 シェルも例外ではなかった。 に、セイは、ふと、苦笑したのだった。 しかしながら : : : こうした意識は、彼の脳裏をかすめて過ぎただ ふたりは、まだ黙っていた。と、いうより、すぐ近くには誰もい けである。 なくなわたのを知りながら、お互いに、相手の出かたを窺っていた 彼は、いま、記憶をもてあそんでいた。眠れぬままに、あのミシといったほうがいい。 エル・・ガイーヌ : : かってミシェル・・ガイーヌだ セイは、つい今しがたの、数名の植民者たちに自分の意見をいし った男との、その会談を思い返していたのである。 かけたさいの、苦々しいまでにかたくなな反応を反芻していた。 あれが、会談といえるならばだ ; ・ セイは、このサロンの集まりの主賓ではなかった。それどころ あれは、ミシェルとの二度目の出会い ここでの半年、地球時か、招待されてさえいなかった。ただ単に、植民者の指導層に属す 間での一年前に、ランホリンクス島群中央島にある、植民者世界最る人々が定期的に社交的なパーティをおこなう、その席へ乗り込ん 大の都市で、非公式に顔を合わせたときのことである。 で来ただけなのだ。こうした訪問が歓迎されないであろうことを、 セイは熟知していた。けれども、彼があれほどはっきりと拒否した 音楽は、低くなっていた。疲れを帯びて、それでもまだ続けられにもかかわらず、植民者たちが実質的に″ガンガゼア合衆国″の構 想を実現しようとし、いまや独立運動ともいうべき観を呈して来た てはいた。 一時間前まではサロンに参集した人々の目を奪うように、シャン状況下で、ロポット排斥の風潮がしだいに強くなり、かっ、他方で は、密貿易の激化という問題を抱えているとき、司政官であるセイ デリアの光に照らされていた絢爛豪華な調度類も、部屋の照明が落 は、植民者たちがどんなつもりでいるのか、本当に最悪のーーー大弾 ちるとともに、視野のかなたにしりそいて、鈍く光る影となってい 圧という事態まで覚悟しているのかどうか、見極めなければならな かったのだ。それも、公式に難詰し、責任を追及すれば、植民者た セイの前には、ミシェルがすわっているだけだった。偶然そうな ったのか、植民者たちが意識的にそういう場を作ったのか、セイにちが頑迷であればある程、取り返しのつかないことになる。公式の は分らなかった。いずれにせよパーティはまだ完全に終ったわけで会合というものが、ことごとく公式に記録される以上、こちらも型 はなく、人々はサロンのそこかしこにむらがって、笑声をあげたりどおりに出なければならないからだ。おそらく植民者たちに自分の ささやき合ったりしている。そうした男女はみな、優雅な衣装に身立場を認識させるためにも、カで以て制圧しなければならなくなる を包み、上流と呼ばれる連中につきものの、あのけだるいムードをであろう。それに、植民者たちに鉄槌を下ナとなれば、連邦中央機 漂わせていた。それは、ここに集ま 0 ているのが、いずれも、植構にその旨を連絡し、に非常命令を出すのが定めである。こ乃 民者間ではトップクラスのメン・ハー 富か勢力か地位か名を持つのふたっともに、いったん事がはじまれば、途中でやめるわけには
「政治 ? 政治なんて、ふたりきりの社会にも存在するさ」 いってもよろしいかな ? 」 「私のいっているのは、そうした、理念としての政治じゃない」 ミシェルが口を開いたので、セイは顔を向けた。 「私の言葉づかいが、司政官に対する植民者のそれではないこと「じゃ、どういう意味だ ? 」 「あなたは、政治というものを知りつくしていると、そう信じてい を、許して貰いたい」 ミシ = ルは、低くいった。「しかし、こういうやりとりのほうるはずだ。司政官だからな。だが、強大な力を・ ( ックにして、単純 が、気持ちを伝えやすいし、あなたも歯に衣を着せなくて済むだろに禁令を出したり、通達によって何かをやらせたりする、それだけ では、成程簡単な構造の集団では可能だろうが、ある程度以上の規 うと考えるんだ」 模と複雑な相互関係を有する集団、いわゆる高度化した社会では、 ふっと笑って、 もう不可能だ。そういえないか ? 」 「ま、これは、司政官どうしの会話という感覚になって貰えれば、 という含みもあるわけさ。もっとも、あなたはすでに O 級だし、私「そうだろうか」 は級で終って、しかも今は司政官でも何でもないのだから : : : お「一例をあげれば、軍隊さ。強制規範組織の典型である軍隊でさ え、構成分子の機能が多様化すると、指揮官の意のままにはならな 気にさわりますか ? 」 くなるじゃないか」 「別に」 本来ならば、これは異例のことなのであろうが : ・ : ・今の場合、む「かも知れない」 セイは、頷いてみせた。「けれども植民世界がその段階に達して しろそうするのが楽かも知れない。そう思いながら、セイは応じ た。不思議に自分でも抵抗がなかったのは人間相手に、こうした気いるかどうかは、連邦が認定する。認定されればともかく、そうな 易い話し合いというものをしばらくやっていなかったからかも知れる迄は、司政官の司政技術に委ねられているわけでーーーそんなこと ぐらい、分っているはずじゃないか」 「建前としては、な」 「それは助かる」 ミシェルは、中年特有の、先達の自信ともいうべき徴笑 ( 何と愉 ミシェルは、視線をこちらに当てた。「なあ、どうだろう。あな : この たは、このガンガゼンの植民世界を、いまだに、初期のささやかなしげに表情を変えて見せることか ! ) を浮かべた。「が : 前、他の自治体代表たちと一緒にあなたに会ったときいったよう 共同体的植民地という風に見ているんじゃないだろうか」 や、人為的な に、そのメカニズムはもう正常に作用していない。い 「つづけてくれー 原因も含まれているのだから、運用されていないというべきかな。 セイは意識的にそんざいな口調でうながした。 「ここは、もう、そうじゃないんだ。ここには、すでに政治というつまり、ある植民世界を、司政官の手を離れてひとり立ちできると 認定するのは、いまや恩典と化しているのが現状じゃないか。あな ものが不可欠になっている、それだけの段階に達しているんだよ」
と、伊賀攻めを敢行するが、このとき婦女子を含め悉く抹殺するよではあるまいか。でなければ着衣に引火して火事騒ぎとなるところ 。こっこ 0 う命じたのである。 が、この信長のとった一連の強圧的な行動は、裏をかえせば、信眉唾の話とおもわれるかもしれないが、この一件は、一八六三年 長の不可解なものに対する強い恐怖心を如実に物語っている。信長に発行されたアムステルダム・・キュリイ出版、″新日本紀 は無意識に、つねに何かによっておびやかされていたのではなかろ行″に記されている。 " 新日本紀行″とあるのは、おそらく、一八 うか。おそらく彼の幼少期の環境と関係がある。 五八年発行のマールテン・ゲリツツ・ヴリースの″日本紀行″・ とあれ、幻之進は、その信長がきわめて忌みきらった魔性の者で・ロイ。へ出版 ) を意識しているからであろう。 あったことは、ほぼ間違いない。 この後書についても、詳しいことがわかっている。寛永二十年 とりあえず、平賀源内との関係だが、二十数年ほどさかの・ほる必 ( 一六四三年 ) 、蘭人ヴリ 1 スはカストリコームという船で、蝦夷 要がある。その頃、源内は、まだ二十代の野心に満あた青年蘭学者沿岸および千島、樺太を調査したのである。この著は、そのときの くなしり として長崎にいた。長崎が日本の西洋科学の門戸であったからであ航海日誌で、国後島 ( おそらく ) で十字架を持っ島民に出逢ったと る。 書いてある。 さて、 肝心の怪異現象が記されている″新日本紀行″の方は、・ロッテル 延享三年、洋人寄留地長崎出島内で、出入の遊女が、突然原因不ダムの海軍裁判所にあったといわれるもので、・・バラスの著 あいかた 明の高熱を発して意識不明となった。敵方はオランダ船カストリコわした″妖術研究。という大著の中にも引用されているものだ 9 延 カ・ヒ々 . ン ーム二世口一冖あ船長で、ニコラス・ウィッツェン 。 ( ーリスといっ享三年といえば、長崎居留地の蘭人の放逸な振舞いが幕府の怒りを かって戒告された年でもあるので、リ スの日誌とも話があう。 けいせい このような国際的ラブロマンスよ、 いくらでもあったのである。 ならば、源内が、長崎で、この傾城と出逢って真相をきいた可能 よろず なぜなら、出島は厳重な関門によって封鎖され、邦人で出入を許さ性は十分ある。なにしろ科学的好奇心旺盛な万事相談屋みたいな源 こうやひじり れるのは、高野聖 ( 托鉢僧 ) か遊女と限られていた。外国船の乗組内のことだ。今日遺る数多い源内の著作で、一カ所それらしき個所 員にしても、滞留の公館員にしても、狭い出島外へは一歩の出入も がある。ーーー蘭人驚きて魔女という。天主を呪えり、 ( 出島外聞記 ) りよう しん 許されない。異国の無聊をかこっ男の心情として、異国の女性に心傾城八重らしき女が、そのあと懐妊して男子を産んだ話は、″神 れいぐちのわたし を倒けたとしても止むをえない。そこに恋愛感情が育った。 霊火口渡″にみえる。戯作者でもあった源内が、長崎時代の体験に 女の名はヤ工といった。おそらく八重であろう。突発的な臥床で取材して創作したにちがいない。 の出来事で、。 ( ーリスはおどろき、かっ慌てた。全身が酒精のよう とすれば、神代幻之進がこの八重の子であるとする考えは成立っ に青白く燃えあがった、とある。多分、男女の睦言の最中だったのであろう。年頃も年代と合致するのである。 アルコール ゼウス 338
際間の緊張は殆ど過去の遺物となりかかり、それら防衛システムはて一掃されてしまっているという事実が。 なかば形骸化しかかっていたのだが・ーー、何の前兆もなく、忽然と、 その生物についても、分っていることは少ない。そもそもの侵略 ・・ 0 つまび 砂をばらまいたような未確認飛行物体の輝点があらわれた、その出の意図はもとより、地球的概念で言う「生物」であるかどうかも詳 らかではなかったのだ。少くとも外観的には、亜ヒュ 1 マノイド・ 現ぶり自体、文字通り次元の壁から抜け出て来たようだった。 数百の軍事衛星をはじめ、滞空中だった、、を始めタイプだと思われる・ー一一メートル近い体に巨大な複眼を持ち、四 とするすべての航空機は、断末魔の絶叫めいた一瞬の通信を残して本の、腕とも肢ともっかぬもので歩行または匍行する生きものをそ う呼べるならばだが。 レーダーから消え去った。 寄妙にも、かれらは、地球の海に対して抜きがたい禁忌観を持っ それを明白な攻撃行為とみなして、各ミサイル基地からいっせい に発射されたマッハのス。ヒードをもっ核融合弾頭地対空ミサイルているようだった。あるいは、海自体が未知の存在であり、それを は、その群のはるか手前で軌道をねじ曲げられ、地表へ突っどう考えていいのか苦しんでいたのかも知れぬ。アクアポリスの存 込んで行った。迎撃戦闘機群も同様の運命を辿った。 在を察知していたかどうかも明白ではない。 そしてミサイルが射ち尽されるのを待っていたかのように″敵″ ともあれ、いかなる直接攻撃も当初は行なわれず、数年を経てか の絨緞爆撃が始まったのだ。それは一種の毒ガス爆弾だったと思わら、妙に遠まわしな、間接攻撃とも受けとれるものが始まったのだ ミューナイション れる。いわば生けるガスーー明らかに人間への指向性を持ったきわった。″敵〃は、突然変異誘導物質と思われるものを、海にばらま めて重い気体で、地下シェルターに避難した人々をも追ってどこま いたのである。それはフローラ、フォーナを問わずすべての海の生 でも滲透して行ったのだ。それが殆ど瞬間的な致死性を持っていた物に、気まぐれな変異をひき起す効果をもっていた。あるいは一種 という点が、むしろ死者たちにとっては幸いだったというべきかもの実験だったのかも知れない。しかしアクアポリスは、あのマンタ 知れない。 のように、巨大化し兇暴になり、その性質を甚しく変えた奇怪な海 アクアポリスの市民たちにとっては、突然つん・ほ桟敷に置かれたのモンスタ 1 にひんばんに襲われることとなった。海中は ようなものだった。地上との通信ラインは唐突に途絶し、海上に浮えアクアポリスの周辺でも極めて危険な環境となり、再び人間にと んでいた支援地やロポットプイが送ってくるわずかな情報に頼るって未知のおそるべき荒野と化したのである。 だけで、まもなくそれらも沈黙した。例のガスが海水への滲透性を 加えて、アクアポリスは孤独だった。それそれが数千キロを距て そなえていなかったことが、アクアポリスを救ったのだ。 ている各ポリス間を結ぶ通信ネットワークは海上や地上の中継基地 その後数ヶ月にわたる、本末近距離用でしかない濳水艇群の決死や通信衛星をすべて″敵″に抑えられた結果、途絶している。レー 的な偵察活動で、お・ほろげながらも、戦慄すべき事実がのみこめてザ 1 や超低周音波をもってしても、厖大な水中距離を突破して情報 g 来た。 地表の人類が、きれいさつばり、未知の生物の手によっをはこぶことは不可能だ。近距離用潜水艇を改造した連絡艇が、コ