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検索対象: SFマガジン 1974年4月号
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1. SFマガジン 1974年4月号

・フッとこんな事を考えました。 になられることを知った。随分昔のことを書いてにドイツへ留学 ? 終戦の翌年に ? ーー畜生 ! 顔と作品がびったりとイコ 1 ルで結びつく作いるのだなあと思っただけで、その時はまだこの ( お下品なお言葉 ) だまされた。ダ・マ・サ・レ 話が事実であることを信じて疑わなかった。だが 広告 昭和年中央大学法学部卒と記されているのを見 半村良氏 星群祭と て私のニプイ頭にもようやく解りかけてきたので まあまあイコールだと思う。 ショート・ショート・コンテスト ヘルメットとゲパ棒にかこまれて育 小松左京氏 った・ほくの世代ーー」こう本文に書かれている。 眉村卓氏 我々は、現在創作している人、これからや さらに「二十三歳の宿学生」である。一九四六年 顔と作品があわない作家。 ろうと思っている人達のために、星群祭を企 星新一氏 広告ーーー 画しました。名前だけはお祭りですが内容は 豊田有恒氏 紹介します。日本のファン。 ハードなものを用意しました。今までの大会 筒井康隆氏 では物足らなかった人にも、きっと満足して ぜーん・せん合わない作家。 どうやら沈没もしないで新年を迎えた日 もらえるものと思います。 光瀬竜氏 本。日本には現在数十のファン・グルー また、それに先立ち、ショート・ショート 平井和正氏以上私見でした。 プがあると言われています。ご存知の事と思 ・コンテストを行いますので、諸兄姉の多数 ・・ーー早川書房の女史が美人だとよ いますが、これらのグループに属するファン の参加を期待しています。 く解説で読みました。一度、 cn 女史の写真を表紙こそ俗に言うファンダム・ファンなのです。 臨星群祭 に載せ、日本作家オールスタ 1 ズベストでリ ファンジンを発行したり、いろいろなファ 主催星群の会 レー式に『女史物衄当を連載しよう。女史フ ン大会を開いたりしているのがこのファンた 日時 7 月日午前十時 ~ 午後五時 アン・クラ・フを作ろう。ワアー。亜 5 乗り。 ちです。 会場京都・堀川会館 ( 予定 ) ( 岐阜県羽島郡川島町松倉 140 0 の 2 私たち <80ä企画ではこの中でも特に活 費用千円 ( 含プログラム代 ) 春日徹 ) 動的な若いファン数十人を収めたファン紳士 定員名 ( 全員予約制で定員になり次 録を作ってみました。 第締切 ) 二月号に載った矢野徹氏の「さまよえる騎士団 というのがその名前です。 ■内容公演、討論会、アニメ、コンテス の伝説」を全身に走る悪寒と感動と共に読み終 このäZßには伝記風に書かれたファン ト発表など。 え、なおその余韻に浸りながらあれこれ考えをめ 一人一人についての歴をはじめ、日本 ■ショート・ショート・コンテスト ぐらしていると、騎士団と共に歩いていた、ヘレ ファンダムの歩み、誰でも仲間に入れる全 テーマ及び投稿資格自由 1 ネさん以外の娘たちはどうなったのか、騎士団国各地のファン会合の案内など盛り沢山の資 原稿枚数四百字詰原稿用紙四枚以内 が讃美歌を歌いながら故郷へ帰っていく時には娘料が収められているのです。 締切日四月末日必着 たちはまだ従っていたのだろうか、等々、色々知 表彰等予選にて上位川篇を星群祭。フロ イりたくなり、私は氏に手紙を書く一大決心をし 企画ではこのäZßæt2 をより良く グラムプックに掲載し、この中から優 た。おおげさでなく本当に一大決心なのである。 ファンの皆さんに知ってもらう為に実物見本 秀作三篇を星群祭にて発表、表彰。 今まで何人かの作家に手紙を書こうとしたがいずを収めた。 ( ンフレットを無料でさし上げてい 星群祭、ショート・ショ 1 ト・コンテス れも投函せずじまい ます。ご希望の方は返信用円切手を同封の トとも、詳細は左記まで、加円切手同封の で、手紙を書くべく、氏の住所やなんかを調べ上、左記までお申し込みください。 上連絡ください。 るうち、氏が英米文学翻訳家だと記されてあるの〒 187 東京都小平市花小金井 5 ~ 487 〒京都市東山区山科四宮山田町幻のⅡ に疑問を感じた。何故独の文学をしないのか、 ~ 53 阿部方企画係 信次秀郎方星群祭事務局 と。また氏は大正年生まれ、すなわち今年歳 家。 ~ ・に 9

2. SFマガジン 1974年4月号

当洋当 "The ミドルアース案内』 $6.00 ) が評判がいた插絵をぜいたくに入れた大型ハードカバー 一九七三年のノスタルジアなんていうと、ちょっ le-earth" ( 『 そのほかの分野では "Asimov Analyzed" Sowers of the Thunder ・・ $ 12.00 で、内容は戦闘 と大げさになってしまうけれど、この一年間に起こ ったアメリカ出版界のイ・ヘントから、やファンと "H. G. 「 ells:Critic of Progress" の二冊がと冒険とロマンにあふれた歴史ヒロイック・ファン タジーに関係する記事をあれこれ抜き出している。去年出ている。両方とも O ・になる日は近いってタジーが四編。どれもひたすら戦闘場面だけに集中 そのなかに、ひとつおもしろい現象が見つかった。 いう話だ。ついでにいっておくと、ウエルズの評伝したバイオレンス乙説。かりだからアホらしいこと を書いたのは、なっかしゃ五〇年代の頂点をかはアホらしいが、これしか書けないという気迫が これまでは大して話題にもならなかったファン・パ ハワードはやつばり偉大だ。 プリケーションが、とっ・せん狂ったように活発になざったスーパ ースタ 1 ー、ジャック・ウィリアムスンすごい ったことだ。たとえばファンタジーの分野だけを採 ! 最近では、ニューメキシコ大学で〈文学〉とにかく少年サンデーの初期の号が三百冊も集ま ると十万以上の値がつく現在、海の向こうのファン りあげてみても、そのすさまじさは手にとるようにの講師として教壇生活を送っている。 アメリカ パ・フリケーションが古書価の方から見ても極端な ーの進出 分かる 〇古籍商ゲリ ①ミラージ・プレスの大躍進。これまでは生き延最大の書籍通信販売業者として、知る人は知っ注目を浴びていることは当たりまえの話かもしれな びてるんだか延びてないんだか、まるで影の薄かっているファンダムの大物デ・ラ・リーが一昨年い。さっきも話に出たハワードの豪華本は、出版後 た The Mirage Press ( P. 0. Box 7687 》 Ba 三 m ・から始めたパプリケーションは、いちおう軌道にの二カ月たらずで売り切れ、半年後の今ではもう元値 ore. Maryland 21207 U. S. A) が、唐突に新刊をつて、七三年中に七冊の大判パンフレットが刊行さの倍で取り引きされているのだから。 出しはじめた。それも、そうとうに魅力的なタイトれた。ほとんどがラヴクラフトやスミスやバージル ・ライス ・フィンレイ関係の雑文集だけれど、それなりに貴 ルを揃えているから大変。まず、エドガー くックに、ÄJ ファン出版といえば、界のインサイド情報を ハロウズからトールキンまでの〈空想世界〉物語に重。ただし平均三〇ページのペー リージョン 登場するファンタスティックな領域を地図にまとめう見ても上手いとはいえないアート・ワークを並べ集めた『エイレイン・クリティク』 (Alien Critic 現在七号まで刊行 ) っていう評論誌が順調に伸び "The Atlas of Fantasy" ( 『ファンタジー地た編集ぶりは、七ドル半の価格に見合わない。 ハローズとハワードのている。で、ここからが今月のスキャナーの本筋な 図』 S20.00 ) ちょっと以前にランド・マクナリーと③ 豪華本のグラント健在 ・グラントのだけれど、『エイレイン・クリティク』の六号に、 いう人が同じような地図帳を出版したことがあるけ豪華本出版で時流にのったドナルド・ れど、こんどのミラージ版はアメリカ最高の地図学 (Donald M. Grant; Publisher, 「 est Kingston, "The G0ds Themselves" を出して貫碌をみせ 者」・・ポストが直接制作にあたっていて、マク RhodeIsland0282) は、この一年も健在ぶりを発たアイザック・アシモフの手紙が載っていて面白か ワードの作品集は詩集を含めて三つた。アシモフっていえば、一般的にいうと作 ナリー本には入らなかった空想世界もいくつか含ま揮してくれた。ハ れている。また、トールキンの『指輪の王』に関係点。そのうちでも圧巻は、ハワード気ちがいのイラ家としてはもうどうしようもない古株になってしま 、い話題を聞かな したリファレンス本としては "A Guide t0 Midd ストレーター ロイ・クレンケルが真心こめて描いってる人物で、昨今ではあまりし 0 0 0 0 0 は、満する ー 2 2

3. SFマガジン 1974年4月号

ファン・コップはそれを翻訳し、自分の研究と解釈を加えて〈ポ 「話してくれないか、マリア : : : 」 セイドン記ーーアトランティス帝国の邪教に関する研究〉として出 マリアは、その本の由来を話しはじめた。 一九〇六年の夏、アンカラの東にあるポガズキョイという町の発版した。 ふんしょこうじゅ 掘で、一万枚をこえる楔形文字の粘土板が発見された。それを発掘ところが焚書坑儒の昔から為政者には疑心暗鬼の輩が多い。その したドイツ人ヴィンクラ 1 に同行していたマリアの伯父のもとに、本は「ナチを風刺し、ヒットラーに対する反逆をそそのかす内容」 だということで、ナチの禁書となり、その全冊が回収されて焼か ある日、ひとりの羊飼いが古い羊皮紙の巻物を売りにきた。それに は羽根ペンを使ったとおぼしいギリシャ文字が、ぎっしりと書きこれ、ファン・コップは強制収容所に入れられ、死亡した。しかし、 まれていた。その題は〈アトランティスの秘密〉となっていたの何冊かの回収洩れが残っているというもあり、全ヨーロッパの奇 で、同僚たちはみな目を輝かしたが、その文字の太さが初めから終本蒐集マニアのあいだで、いまは幻の書物として名のみ高くなって - りまで変化していないことから、金属ペンが発明されて以後に作らいたのだ。 れた何かの写本、つまり偽物ではないかということになった。それその一冊とマリアを抱いたマリアの母はドイツを逃がれ、生まれ が決定的になったのは、数十行目に「紀元前八千年に大西洋の海底故郷のギリシャにやっとたどりついた。ギリシャに来てもドイツの に沈んだといわれるアトランティス大陸について」の文句があった秘密警察員に尾行されているのではないかとおびえたマリアの母 こと、そしてその記述が沈没以前の描写であり、最後のあたりの文は、この島の海底に重りをつけて沈め、平和な日がもどってくれ ば、それを引き揚けようと考えた。だが母親は死に、戦争の終った 紙章が論理的におかしかったせいだった。 それにしてもなぜその羊皮紙文書をヴィンクラーが徹底的に無視あと、その壺は行方不明のまま歳月が過ぎていった。 したのか理由はつまびらかでないが、とにかくマリアの伯父はそれ胸もとをおさえて話しつづけるマリアを、まぶしそうに見て原田 かね を弟への土産にしようといくらかの金を支払って買い、ベルリンには尋ねた。 もどってからマリアの父である歴史学者ファン・コップにそれを与「マリア : : : なぜ・ほくをおこさなかったんだ ? ・ほくに隠してその 本を取り出さなければいけない理由が、ほかに何かあるのかい ? えた。 そのポガズキョイ羊皮紙文書を偽物でないとすれば、それは世にきみはまさか : : : 」 も不思議な歴史の断片だった。その地から発掘された多くの粘土板原田は、イスラエルの情報部員か何かなのかい、と口に出しそう は、寄妙な楔形文字と線文字と称されるもので記録された文書なになり、危くその言葉をのみこんだ。 マリアは淋しそうに首をふった。 のだが、その当時はまだだれも解読には成功していなかった。その うちのあるものにアトランティスの歴史があり、その一部を翻訳し「わたし、勇気がなかったの。ユダヤ人だと知られたくなかったか らよ : : : その本こよ、。、。、 冫を , , を裏切った人々の名前を書いた紙がはさ たのが、その羊皮紙文書だったらしいのだ。

4. SFマガジン 1974年4月号

・ター ! 矢野徹のつき ( ? ) 。「不信は人間なられてもおわかりいただけるよう、文に対していう淡い希望をもち、出るまで待っことにしまし ~ の常」だと。私の辞書には「不信」という文字ははきわめて未熟ですし自作にさほどの自信を持った。しかし : : : 。 9 なかったのだ。 ていないから、同人誌を作ることなどはちょっと・『かれらの中の海』は他の日本ノヴェルズと 最後になったが私は受験生なのである。矢野徹できません。しかし近い将来、同人誌もやってみ比べて、薄いくせに高い。だからといって、どの 氏のおかげで貴重なる数時間を浪費してしまっ たいと思っているのです。 ページも活字ぎっしりと詰まっているというわけ た。氏の住所がわからぬため、「てれぽーと」でだからその前提、と言ってはおかしいかもしれではなく、逆に余白がめだっしまっ。まあ、卓氏 恨み言を述べた次第。 ませんが、仲間というのが欲しいのです。どの文章は詩的だから、そのほうがいいのかもしれ うかぼくと同じようなことを考えておられる方はないが : いろいろと御託をならべたて、立ち ( 滋賀県野洲郡中主町大字八夫 13 6 7 遠藤知史 ) 御連絡下さい。高校生、十七歳です。 読みしてやろうと思いつつも、結局は有り金をは ( 宇都宮市日の出町 1 の 6 の土屋公俊 ) たいて買ってしまった。そして熱にうかされたよ うに、″読みだしたら止まらない″で、一晩で読 の二月号、大変よかったと思います。最 ・円かあ。たけえなあ」これは、卓氏みあげてしまった。 近は日本の作家に多大な興味を持っている・ほ「ヒエー くなのですが、二月号によってそれが一段と深まの『かれらの中の海』を、初めて店頭で見かけた ( 東京都練馬区桜台 1 の塚本慎一 ) りました。 ときに発した一言。こづかい前でサイフの中身も 先月号の「すとっくすわっぷ」お譲りします欄 日本のはまだまだ外国の作品に学ばねばな乏しく、浮世の風がいっそう身にしみた。ふう、 らぬ点もあるかもしれませんが、やはり自分と同とため息。あとがきをみてみると、や「ばり、こびの加藤順子、斎藤宗幸、宮本玉恵、多田幸司、内 わ田美奈子、西野明、片見俊哉、羽島裕久、杉田ま じ土壌で育った日本の作家の作品には、翻訳物にれは『海の世界』に連載されていた小説だ、とあ おゆみ、の方々は、譲ってください欄掲載の誤まり はない近親感が感じられてなりません。 った。ちょうど一年ほど前、図書館にあった不揃 でした。謹んでお詫びいたします。 日本の作家の中でも・ほくは光瀬竜が最も好きな いの『かれらの中の海』。その一冊をとりあげ、 広告 のですが、この人の作品に流れる無常感は、多くなにげなくばら読みしているうちに、ふとこの小 まんがファンフェスティバし の日本の作品の中でも特に日本的、東洋的、であ説に気づいたのです。ぼくは若い号から順に読ん へのおさそい ると思います。・ほくは、『たそがれに還る』からでいった。飛び飛びでしか読めなかったんだが、 最新作の『喪われた都市の記録』に至るまで、ほ ・ほくは久しぶりに面白いものを読んだという感じ 左記の要領でまんがファンのお祭を開催し とんどこの人の作品を読んだのですが、どの作品が残った。 ます。 も読んだ後、深く心に残りました。これからも、 あれは中学何年の時のことだろう。あのころ・ほ 日時昭和四十九年三月三十日 ( 土 ) 及び もっと短篇、長篇を書かれることを切に願っていくのとっていた雑誌に、よく眉村さんの少年向け 三十一日 ( 日 ) ます。 の r-n がのっていた。作家名なんかまったく気に 会場目黒区福祉会館 さて、今までのことはさておいて、ぼくがこのもとめなかった当時の・ほくが、不思議と「眉村卓」 費用三十・三十一日両日千五百円 「てればーと」に投稿したのには、リ 男に理由があという名前たけは覚えていた。・ほくはあのときの 三十一日のみ 千円 ります。・ほくは幼いころからのファンなので感激をもう一度味わいたかったのかもしれない。 ーー・宿泊千五百円 すが、・ほくのまわりには、それほどに興味を弟のとっていた雑誌に、眉村さんの『歪んだ街』と 定員四百名 持っている人がいないのです。を読んで感銘いうのがのっていた。まだ完結していないという 主催全日本まんがファン連合 ( まんがのむ したことを誰かに言ってもというだけで相手のに、弟のヤローとるのをやめやがった。当時す し ) 手塚治虫ファンクラ・フ - にしてくれないのです。だから・ほくは、かねてかでに高校生のぼくは、ただ『歪んだ街』を読みた 申し込み先 らについて心から語り合える仲間が欲しいな いがために、何の役にもたたない中学生の雑誌を 〒 16 8 東京都杉並区高井戸東 あと思っていました。ぼくも最近では小さな作品とろうとまで思いつめたのです。だけど、きっと 2 ののⅡ森晴路 を書いたりしているのですが、この文章を御覧にそのうち早川書房さんが出してくださるだろうと

5. SFマガジン 1974年4月号

使たちは溜息をついて立ち去っていった。二十世紀、少なくとも十壁ぎわに倒れ、豊かな白い乳房のふくらみを見せている美しい 九世紀になって作られた壺に違いないとわかったからだ。ドイツ語女。 らしいアルファベットが浮き出ていた。どうやら薬品でも入れてあ「マリア ! 」 った壺らしい 寝室に忍びこみ、何かを盗もうとしていたのはマリアだったの 貝殻をはぐ手をとめた原田が、その壺を捨てにいこうと立ちあが だ。ガラス瓶の落ちた位置からすると、彼女はその瓶を盗み出そう ると、その中で何かがコトンと音をたてた。壺の蓋を取ってみるとしていたのだろうか ? でも、なぜだ ? と、その下にはめてあった大きな木の栓がもう腐りかけており、つ やがて意識を取りもどしたマリアは呟いた。 ついてみるとコルクのようにくだけた。壺の中には水がいつばいっ 「わたしの母が、その本を沈めたの : : : わたしが潜りつづけていた まっており、その中にもうひとっガラス瓶が入っていたのだ。 のは、その本を見つけるためだったの : : : それは、幻の書物といわ 原田はその瓶を取り出した。広ロ瓶の蓋を熔かして密封した青いれるもので、わたしたちにとっては大切なものなの」 ガラス瓶の中に見えているのは、まぎれもなく一冊の本だったー 「わたしたちとは ? 」 すぐにガラス瓶を割って調べてみようか、とも思ったが、とにか マリアはささやいた。 くシムノス氏に明日相談してみることにしようと、かれはべッドの 「ユダヤ人 : : : 」 そばのテー・フルにその瓶をおいて眠りこんだ。シムノス氏はマリア 「ユダヤ人 ? をつれて本土へ行っており、その夜遅く帰ってくることになってい 「ええ」 たのだ。 「わからないな、マリア。なぜなんだ、この本が大切だとは ? な その夜中、かれは怪しい気配に目を覚ました。いつもよりずっとぜ夜中に忍びこんできたりしたんだ ? 」 早くべッドに入ったので、低い物音でもおきられたのだ。だれかが「帰ってきてわたし、壺と本のことを聞いたわ。それで、どうして 忍びこんでいるらしい。この別荘の中に泥棒か ? スタンドのスイもすぐに見たかったの。わたしが最初にその本をあけなければいけ ない理由があるの」 ッチを入れることも忘れて飛びおきた原田は、カーテンのすきまか らもれてくる薄明りの中で、逃がれようとした小男をつかまえるな原田は割れたガラス瓶の中から本を取り出した。その表紙には金 り撲りつけた。そいつは他愛なく壁にぶつかって倒れ、ガラス瓶が文字で〈ポセイドン記ーーーアトランティス帝国の邪教に関する研究 ファン・コツ。フ〉とあった。 床に落ちて割れる音がした。原田はそいつの襟もとをつかんで引き ずりおこそうとした。布地が破れ、原田はそいつが気を失っている「この本がどうして : : : 」 ことに気づいた。手にふれる感触がいやにやわらかだ。かれは電灯「ファン・コップはわたしの父なの : : : わたしの本名はマリア・コ のスイッチを入れた。 4

6. SFマガジン 1974年4月号

しゃ ヨーロッパにおける書籍蒐集マニアのあいだで有名なものに、幻の書ムノス氏は美しい女性をまわりに集めておくことが好きらしい。紗 物といわれたナチの禁書〈ポセイドン記〉がある。これはまたの名をのカーテンのむこうで室内楽を演奏している女たちもみな美人そろ 〈ファン・コツ。フの不思議な研究〉とも呼ばれていたものだが、先年そ いだ。お臍まるたしの女中たちも見事な体つきに愛らしい顔立ちを の一冊が発見された。この翻訳はいずれ近い将来、日本でも翻訳出版さ している。しかし、そのだれよりも、シムノス氏に紹介されたアリ れることだろう。また、そのころ、北海における潮流の変化を調べてい アという娘に原田はひかれるものをおぼえた。きざないいかたをす たイギリスの海洋調査船が、海底から大昔のものと思われる短剣や壺を れば、それは内に知性と野性の両方を極端なまでに大きく秘めてい 引き揚げた。場所はドッガー ・ハンクという浅瀬だった。 ることが感じられる強烈な魅力だった。 「彼女もスキンダイビングのファンでしてね、ハラダさん。毎日の ようにこのあたりの海で潜っていますよ」 1 不思議な壺とマリア 「大昔の宝物を、にのった少年像でも探がそうというわけです 考古学者にとっての宝島といわれるデ 1 ロスの入口にある石天岩か ? 」 : いままでに見つけたふたつの壺をわしにくれたところ 「さあね : ・ の島、ミコノス。そこに海運王シムノス氏の別荘がある。 からすると、別に宝物探がしというわけでもないようで・す」 そこに招待されてひと月をおくった若い日本人考古学者 e ・ と、シムノス氏は、テーブルの上にあった見事な壷を指さした。 青白い秀才学者ではない。潮風に鍛えられ、色あさ黒く、筋肉たく マリアは笑った。 ましい偉丈夫であり、来年はポート・ローヤル海底都市の調査をや りたいといっている。そのかれが謎の書物を発見したことから、こ 「ただのスポ 1 ツですわ。といいたいけれど、本当は欲得づくです のよ。その壷をさしあげると、いつのまにかわたしの貯金が一万ド の世にも奇怪な物語は始まる。 多くの人命が関係してくるので、 e ・の本名を明かすことはでルふえていましたわ」 きない。このイニシャルも嘘だ。仮にその名を原田徳一郎とでもし原田も、その島に滞在したひと月のあいだ、毎日のように青い海 ておいて話をすすめてみよう。 に潜った。そして、そのひと月が終りかけるころ、別荘近くの海底 ミコノス島に着いた日、贅をつくしたとしかいいようのないそのにあった小さな洞穴の中で、由緒ありげな大きな壷をひとつ見つけ たのだ。 邸内で、これまた地球的規模のご馳走が用意されたタ食会のとき、 アマチ = ア考古学者でありこの別荘の主人である海運王シムノス氏壺は貝殻でびっしりと覆われていた。別荘に持って帰ったその壷 に原田は、美しいギリシャ娘を紹介された。歳のころは二十四、五をテラスにおくと、召使たちが目を輝かせて集まってきた。古代ギ かね か、それとも三十をすぎているのか ? 小柄だが健康そのものの体リシャのものであれば相当な金になることがわかっているからだ。 つきと熟しきった女の魅力。どこの大金持もそうなのだろうが、シ おそるおそる貝殻をはがしはじめた原田はすぐにがっかりし、召 3

7. SFマガジン 1974年4月号

◆・い・昨年のファンダムで目立つ出来ごとはとい号、柏谷雅一《黎明》 4 号、巽孝之《科学魔シリーズの一 ◆・◆・◆・△うと、〈ショウ〉や伝統の〈大会〉界》通巻 34 号、河野光治《ケイオス》 3 号冊をとりあげ、そ ◆・◆・◆・△〈フ = スティバル〉等の年中行事を別にといったところで、創作では上栄二郎、本谷の中の省略部分や ◆・◆・◆・△すれば、《倶楽部》の終刊と《宇宙塵》正樹、夢枕漠などの作品が注目される。これ誤訳をつぶさに検 訃している。労乍 ◆・◆・◆・△の季刊化およびその月例会合の復活があげらに《ネオ》ほか数グループの合併で生まれた を賞したい。 ◆・◆・◆・△れるだろう。前者は昭和四十四年二月に東京大所帯の《新世紀》が加わり、その一方では 三年めを迎えた ◆・◆・◆・△の〈一の日会〉グループの手で発足、本誌八山岡謙・崎原文彦らによって、各種企画やタ 《ファンダム・ニ ◆・◆・◆・△冊と別巻の「星雲」「西征快心篇」復刻二冊イプ印刷を請負う新趣向の組織《丘コンツェ ュース》 ( 日本 ファングルー。フ ◆を出す成果をあげたが、ここ一、二年はい 0 ルン》が、独自の動きをみせている。 ◆・◆・◆・△さいが横田順弥会長ひとりの肩にかかってい 謄写ないしコピ , ーによる出版では、判連合会議 ) は隔月 ◆・◆・◆・△たようだ。「休刊沈没号」と銘うった 8 号での異色《ひゅうまんるねっさんす》 (0 、 / 。、 ( ノ刊で現在 15 号。 ◆・◆・◆・△は林石隆『未訳のソラリス』が同書の仏訳と カ教団 ) が 11 号で終刊を宣一一一一口。宮川洋・阿 ◆・◆・◆人邦訳を対照した研究で読みごたえがあった。部良一二の《アイフィールド》 ( ショッカー ) 、 ・・後者は 172 号 ( 七月 ) より季刊とな「たが川合康雄《狂人類》 ( 茨木クラブ ) 、俵る一一冊めの《科会記録》 ( 資料研 173 号は大幅に遅れている。ここでは山田谷滋人《プルーワールド》 ( 豹一族 ) 、加登登 究会 ) が出た。ここ二年半 ( ~ 8 回 ) の同 ・・正紀『終末曲面に骸子を投げ入れて』が近代《幻狩》、川村雅之《仮面》、吉田宏《あん 会での話題と配布資料リストが内容。 ・・の正統を継ぐ中篇で期待をあつめた。月 でば》、山本昭造《 & 》などを追っ 毛色の変ったところでは、門倉純一と阿部 ・・例会は四月を第一回に、毎月第四日曜、若手て、谷沢雅郎《スターゲイト》 ( 日本時間旅 ・を主体とする二〇 ~ 三〇人が参集。 行協会 ) 、森住松雄《美しい星》、信次秀郎良三を中心とする《 ( サウンド コンサート ) 》が七月に発足。これは映画音 物今年に入ると、筒井康隆の肝入りによ 0 て《亜空間》、細田ひとし《てらん》などが進 楽や音響効果等を鑑賞する集いで、毎月約一一 物 9 蜘 9 《》が復刊した。神戸の青少年フア出、また一風変「た趣向で、佐々木立《 、◆ンを中心に、 1 号はシ , ート作品一篇とその新潮》、山田吉昭《イヤイヤ》それに林敬一〇人が参加している。出版物は未刊。 もうひとつ、門倉・宮武一貴らの《 、・◆批評・添削、および明年の第十四回日本郎《。フラントメン》等が目立 0 ている。 以上は一般ファンジンだが、とくに地域性テクニカル・インフォメーション ・サービス ) 》が、レポ : ト形式の長篇 ・ウェーヴ派を代表する山野浩一のを強調した新関良夫《アナグラム》 ( 仙台 ・◆・《「商業誌」《》は現在 8 号。「 ( クラブ ) や日笠貴司 ( 岡山クラブ ) の《¯D20 ( 日本究極防衛機構 ) 》に着手、 前記の宇宙塵例会などで設計をすすめている , ◆・◆ : ガジン」の名で知られる戸倉正三の《ミクロ抬頭も見のがせない。 ことをつけ加えておこう。 ・》は ( ガキ判の本誌が 124 号で、他に昨今動きだした怪奇専門のグループでは、 51 ~ 100 号を再録した別冊を発行。月刊聖咲奇《不死者画報》 ( トランシルヴァニア 大学内グループでこの一年間に機関誌がと ・・の線を守る松崎真治・守猛甫 ( 九州クラ協会 ) や石田一 ( ザ・モンスターズ ) などが どいたのは、東大・慶応・明治・中央・明星 - ・プ ) の《でんたくるず》は 99 号までで、昨海外とも連絡して幅広い活動を展開中。 「 , ・罅年中葉に出る予定だ 0 た 100 号記念号を現最近のめずらしい試みとしては、杉本幹男大・お茶の水女子大・関西大・大阪工大・神 《小松左京著作目録》がある。林敏夫《星新戸大。高校は、現在のところ立教高校内に芽 ・・《・在準備中のもよう。 ・」これらと並ぶ若手は、高橋正則の《星群》一の世界》 ( 星新一ファンクラブ ) は前回の生えがみえる程度のようだ。 物◆が現在 8 号、《フ , ーカス》も 8 号、《綾の《ー語録》についで二冊め。またこれは一般漫画グルー。フやフ , クト系グルー。フにも触 【◆い◆い◆鼓》 6 号、加藤義行《プルードリーム》 16 誌だが、中村一孝《あほうどり》 1 号が早川れたいが、余白がないので次の機会に。 日本セクション 担当 : 柴野拓美

8. SFマガジン 1974年4月号

と掩蔽壕がおりなす迷彩パターンには、どこか見覚えのあるか ニューラル・インター・ハル 0 だ。とにかく組織と名のつくものには、いっか、どこからか毒虫が たち : : : ある顔、ある姿態、ある神経空隙の図面ー・・・」が現 われていた。ュニークなできごとが、ここでおこるだろう。 近付いてくる。そういえば昔、キャサリン・マクリーンかなにかの 「エリザベス・テイラー」考えもせず、トラヴィスはそうつぶ 短篇に『雪だるま効果』というのがあったつけ。昔のことは、どう いう訳か、・変なときに思いだす。先日、 川口正夫 ) 氏から、 ゃいた。ふいに木立の上空で、轟音が鳴りひびいた。 ( 『残虐 ″ 00 行為展覧会』伊藤典夫訳 ) 5 ″というファンジンを出そうとしているという話を聞いたのだ けれど、とにかくこの頃、ファンジンなそというものに、全然お目ー にかからない。僕等の年代が一番活気がありましたね工、岡田ク 六十年代にあって、・ ( ラードがより先覚的であったと考えるのは ン。全部、冗談で済んだしさ。なんの話だ、これは。けれど、そう正しいかもしれない。彼の諸作中、もっともシュルレアリスムのヴ して、サイエンス・フィクションが失ってきた落差、日常化されか イジョンに支配された作品は、恐らく『燃える世界』である。″無 いならされた″異常″に鋭く反撃したのが、・ ()5 ・・ ( ラードであ意識″と名付けられた世界、夢的に流動するイメージにつながれた ったわけだ。彼の短篇『アルフア・ケンタウリへの十三人』、あるこの作品の質は、『時の声』のよりフレキシ・フルな展開である 9 いは『監視塔』などが、この作業を遂行する。的日常を、強引 にこの世界の地平へと引きもどす・ハラードの試行によって、は まだ正午にもなっていないというのに、日は空の奥へと引 再び落差を獲得しはじめていた。だが、そうして得られるダイナミ ) きこもるように見え、空気も除々に冷えびえしてきた。ふと気 ズムとは、個別のものであって、それほど意義深いものでな がついて驚いたことに、自分の影がもはや砂の上にうつってい 。そうした行為は、むしろ、″見破″るといった次元を脱けるこ なかった。それはあたかも、彼が彼の旅を了えたことを示すし とがない。誰よりもそれを知っていたのは、恐らく・ハラード自身で るしのようであった。あれほど長年のあいた心の中に運びつづ あったわけだ。そして『ヴィ 1 ナスの狩人』が書かれ、『マイナス けてきた内面風景のはずれをよぎる旅の終わり。光が薄れる ・ 1 』が書かれる。やがて、パラードは、自已のヴィジョンを独自 と、空気は次第に暗さを増した。砂埃は光沢を失ってくすみ、 な形式のなかで提示し始めることとなる。 砂地の表面にまざる結晶が生気をなくして曇っていた。巨きな 闇のとばりが砂丘にかぶさり、外面世界全体がその存在を失っ てゆくようだった。しばらくたって彼が意識を失ったとき、雨 射爆場。トラヴィスは小道の尽きるところで車を停めた。日ざ が降りだした。 ( 中村保男訳 ) しのなかに、外縁の仕切り柵の残骸、さらにそのむこうに錆び と終る『燃える世界』では、『沈んだ世界』のやや生硬さを感じさ たカマボコ兵舎が一つと、鉄さびによごれた掩蔽壕の屋根がい くつも見えた。溝をまたぎ、柵にむかって進み、五分たらずでせる人物のレイアウトが、より可動的で、作者の内因を決定的に負 入口を見つけた。廃止された滑走路が草地のなかを伸びてい うものへと変化している。だが、こうしたシュルレアリスム絵画へ た。日ざしで部分的に隠されているが、四百ャードかなたの塔の周到な接近は、本稿の書きだしで述べたような意味で、そしてま お

9. SFマガジン 1974年4月号

点 マイクル・ムアコック峯岸久訳 この人を見よ 3 キリストの存在にあらたな照明をあて、ヒ、ーゴー賞受賞に輝く中篇の意欲長篇化作品 ! 定価一一一九〇円 フレデリック・ポール中尾明訳 一臆病者の未来 猛火に包まれ、黒焦げの死体となったフォレスターは二六世紀の未来に再びよみがえった ! 定価四二〇円 アイサック・アシモフ小尾芙佐・他訳 ズ地球は空地でいつばい 地球を舞台として繰り広げられる、驚くほど多様で驚異に満ちたアシモフの世界の数々 ! 定価五四〇円 プライアン・・オールディス浅倉久志訳 爆発星雲の伝説 む あらゆる手法を駆使しつつ多様な主題に挑むイギリス界の巨匠の足どりをここに記す ! 定価五〇〇円 ヒーリイ & マッコーマス編中上守・他訳 時間と空間の冒険② 程 U) ファンならば決して避けることのできぬアメリカの金字塔的アンソロジー第二弾 ! 定価五六〇円 の ーラン・エリスン浅倉久志・伊藤典夫訳 世界の中心で愛を叫んだけもの 2 大賞の常連作家である作者が、シリアスでしかも娯楽性豊かに描く超暴力の世界 ! 定価五七〇円 ストルガッキー・他深見押編 ソ連作家短篇集 世 カレル・チャベック栗柄継訳 山椒魚戦争 ・クレメント小隅黎訳 スター・ライト 近刊 ( 仮題 )

10. SFマガジン 1974年4月号

実をいうと筆者は、このところたてつづけりあげた、娯楽用の自家用宇宙だった : ・ : な動物の持っ超感覚を、新らしい科学の目で : ◆・◆ , ◆に出されるスペース・オペラ風やヒロイどということは、しかし、この娯しい冒険小説見なおす好著が二冊。・ガディス、・ガ : ◆・・◆ック・ファンタジー風の洪水に、若干辟易を読む上で、ほとんどどうでもいいことだ。 ディス共著の『動物たちの不思議な世界』 ◆ 3 しているものの一人で、それらしいをの要は、ここに詰めこまれた、さまざまの願望 "The strange world Anima1s and - 「・・一そくだけで忽ち胸が焼けてくるという困ったスリルやサスペンスへの期待が、文句なく充 Pets"'70 ( 藤原・辺見共訳・白揚社・九五〇円 ) ・ミ一反応に正直なやんでいるのだが、こんど〈ハ足されるということである。 とリチネッキーの『生物たちの超能力』 ( 金 アーサー 艱・・・一ャカワ文庫〉から出たフィリップ・ホセ ・マッケンの作品集成Ⅳ『夢の光不二夫訳・東京図書・六八〇円 ) がそれで、 - ・・一・ファーマーの『階層宇宙の創造者』 "The 丘』 "The HiII ofDreams"'07 ( 平井呈一前者はイヌ、ネコからワシ、ゾウにいたる Maker of Universes"'65 ( 浅倉久志訳・一一訳・牧神社・一七〇〇円 ) が出た。ロンドン ペットや家畜たちの驚くべき能力を豊富な実 とウェールズを舞台に、主人公ルシアンの一例で示しながら、それらが、実はたんなる感 - ・一八〇円 ) だけは、そのいかにもヒロイック・ ・・ - 一ファンタジー風の見かけにもかかわらず、 生が、さまざまの幻想の展開のうちに語られ覚の延長ではなくでありうるというこ - 一 0 きに話に誘き込まれることができた。筆者ていくこの小説は、玉石混淆のオカルト趣味とを示そうとする。とくに終章の動物の幽霊 了◆・◆・◆がファーマーのファンであることも、さらに小説の ( ンランの中で、純粋な幻想、空想のについての章は面白い。後者は、徴生物から レ , ・は、翻訳のうまみも、当然のことながら預 0 やや十九世紀的な、もったいをつけたとアリ 、、ト、タカ、カラス、カエル、イ ◆・◆・◆て力あったのだろうが、やはり当代一のエン ころの多いのは止むを得ないとしてーー・美し力、チン。 ( ンジー、イナゴなどの超感覚や、 〉・◆・◆・◆ターテナーが書いた冒険の密度の高さにさをとくに味わうことができる。 その由来をさぐり、そこから、バイオニクス 了◆・◆・◆感服したからだろう。 ノン・フィクションでは、大陸移動説の歴への道をたぐりだそうという、ソ連の新らし 〉・◆・◆・◆英語と古代ギリシャ語の教授として長いこ史を非常に簡潔に要約したアーサー・クライ い科学的冒険について、書かれている。 ) ・◆・◆・◆と大学で教えていた退職直前の主人公が、隠ンの『大陸は移動する』 "Oceans and Con ・ その意味では、主婦と生活社刊のク】スト ◆◆・ 3 退後に住むべく見に行「た郊外の家の地下室 tinentsin Motion" ・ ( 竹内均訳・講談社 ・海洋探検シリーズの三冊め『大いなる海 了 9 ◆ , 3 で、異次元〈のドアを発見する。そのドアの・フルー・ ( , クス・四〇〇円 ) が、今日的でタ の覇者』 "The 「 ha 一 0 Mighty Monarch ◆・ 9 3 彼方には、彼が愛する古典語の世界ーーギリイミングがよか 0 た。大陸移動説のヒントを of the Sea ・・ ) 72 ◆・◆・◆ ・・・一シャ神話や、ホメロスの世界をはじめ、古代初めて与えたフランシス・べーコンから始ま ( 森珠樹訳・八五 ◆・◆・◆ 実 - - - - 一アメリカ・インデアンの世界、中世騎士たちって、そのセオリーの確立者ウ = ーゲナーの〇円 ) も、海を語 正 一・・・一の生きる世界など、何層にも重なった多重次諸研究をくわしく述べ、そのプロセスで、このらせては当代一の ョ ◆・◆・◆ - ・元世界が拡がっていた。現実に失望し、なか全く新らしい説が、当時の科学者たちからど クーストーが、実 一 - ・ - 一ば諦めきって余生を送ろうとしていた主人公れほど過った批判を受けたかが語られる。そ際に洋上をクジラ ・ - は躊躇なくすべてを捨ててその異次元世界へして一度は完全に葬り去られたこのセオリー の群を追跡しなが ◆・◆・◆ 外 足を踏み入れた : ・ が今日再び〈浮上〉するにいたるところで、 ら、その生態のす ◆・◆・◆ 当 >- ◆・◆・実はこの多元宇宙は、〈上帝〉と呼ばれるプレート・テクト = クスが最新のデータを基べてを観察すると 日一 いうきわめて興味 ◆・◆・◆神々ー・ーもとをただせばはるかな昔に想像をに解説される。ファンとしては『日本沈 0 「◆い◆越えた高いスーパー文明を持っ宇宙人がつく没』を理解する上でも大いに役立つだろう。ある本である。 0