宇宙飛行士 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1974年6月号
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1. SFマガジン 1974年6月号

じゃあ それを 一プラッス・ : :. 0 気に入れば 追加します お渡し お代を 承知いたし ました おみごとな 卵てー 奥さま - 裏 . 口から お帰りをー - 奧さんこっそり 逃げることもありません 堂々とおもてから お帰りなさい しししレ、 、 - ししレ V VVV V 、、、し v ただし われわれ警察に 「 ) 協力いただいた 上でね 日 4

2. SFマガジン 1974年6月号

鳥人大系一 クラカリアの 実を一テーカ ポチルルスの芽 四プラッス ちょ、つだい 特別企画大河漫画 第十三章赤嘴党、 ( 奥さま 近頃は抑卵剤と してスドドーラと ヌ力をませたものが はいっております 、、チ塚治虫 そんな 副作用はござい ませんはい誓って あとで へんな型の 卵を生むなんて ことないかし、り

3. SFマガジン 1974年6月号

それからスキャナー。毎号人が変わったりして話のあくの強さはこれまでのシ = クリイにはない なのでどんな映画だろうと思っていたのですが、 話が進みだすとやや喜劇調を帯び、筒井康隆かはとてもすてきなのだ。でも少しビントがはずれてものだ。ライバーが期待はずれ。アシモフは予想 たまたフレドリック・・フラウン。映画でいえば『時いるような感じがする。伊藤典夫先生がなっかし通り愚作。日本作家では石原氏がずばぬいてい 言じかけのオレンジ』といったところで、ものすいよお。ニャンニャン。でてくたあもそうなのでた。パロディとはいえ、「ハイウ = イ惑星」以来 ごく面白いのです。特に島で行われている・ ( カ騒す。たった二人でたった二ペ 1 ジなんてあまりにの傑作である。石原氏の作品でこんなにス。ヒーデ ぎといったところは『時計じかけのオレンジ』そも可哀相なのです。もっとページを増やして本格イな展開のは記憶のかぎりではなかったと思う。 のままです。 ( 『時計じかけ』のほうがあとに出た的にやってほしいのだ。ここで気がついたけれど日本版ビーグル号シリーズを書き続けてほしい ので、『時計じかけ』がそっくりだといわなけれで欠けているのは、本格的な作品の評論の半村氏も悪くないし、森編集長引退の花道にはふ ばならないかもしれません ) それから、金属の箱ページだと思う。プロと同時にアマが発言できるさわしい内容だった。とにかく人気力ウンター式 を開くシーンや放射性物質を海と貯水池にすてるようにして下さい ( てれぼーとでは狭すぎる。つで 6 ~ 川割が 1 か 2 という僕の評価が、今号に限 り逆転した。と編集長が兼ねるというの - は シーン。そして、魚が浮かんで、ラストの画面がいでにキネマ旬報という雑誌を参考にすべし ) 遠ざかるところ。これらは見のがすことができまここで自己紹介。僕は晴れて浪人になった男なかなりきついと思いますが、頑張ってください。 ( 加古川市平岡町一一俣字神鋼 101 << 4 ・皿 せん。特に、ラストの「警告します。警告します 0 だ。でも全然後悔なんそしないのだ。 ・ : 」というシーンは『ジョニーは戦場へ行っとまあ、ここまで書いてきたけどは真面 。・ : ・ : 」のラストシー目だから好きなのです。 た』の「ØOTJ•• ンを思い浮かべ、手塚治虫のマンガや筒井康隆のとまあ、ここまで書いてきて読み返したら、な 「太陽神への讃歌」について多くのお便りを 少数のマジメな作品的なところがあります。やがんだか岡田英明風で気持ち悪くなってしまった。 て画面はさかり、そしてその奥でのかすかな = ・、言い忘れたけど、こてん古典はすばら頂き、厚く御礼申し上げます。 光。静寂ーー・ここには何ともいえない、映画しい。なにしろわかりやすいもんね。黴臭い古本あ「と驚く傑作ぞろいでした。 特独のムードがあります。そして残酷です。にうずもれて生きている怪しき人物、なんて想像正解をお寄せいただいた二十九人の方に五 月刊の訳書をお送りいたします。 映画というのはそのように、多分に Happy End するだけで楽しくなってしまう。 あの文章は、・氏が作者矢野徹を罵倒 ( 兵庫県明石市太寺 3 の 6 の 3 奥隅健司 ) でない部分を含んでいるので、イカスのです。何 している形になっていますので、さようお読 もかもがアシモフ的に行くわけではなく、たまに は・ ( ラード的にもなるのです。そして実際に未来 = 一月号以来、珍しく ( ゴメン ! ) 秀作の並んでみ下さい。句読点をつけておくべきでした。 矢野徹 は、そうなるのかもしれません。ファンの皆いるだが、五月号の充実ぶりには久々に筆 をとる気になった。過度とも思える期待を抱いて さん、どう思いますか ? ( 東京都渋谷区千駄ヶ谷 3 の幻の 7 加藤治 ) 読んで、充分満足させてもらえる小説はざらにあ ″ウルフ会会員募集 るものじゃない。 平井和正氏描く〈ウルフ・ガイ〉のファン はじめて書くのです。川又氏のエッ七イとても「苦痛指向」は三月号のテイプトリーと優ると ・グル〒プが発足します。入会を希望なさる 難解なんだなあ。なにしろあっちは。フロだもんも劣らない傑作だった。正直なところもう一つよ オカル方は、左記あてお知らせください。 ね。だからすごく勉強して、たくさん知ってるかく分らないのだが、やつばりはいい。 〔連絡先〕 ら、こっちがかなう訳がない。エルワード氏のもトだの、スペース・オペラやヒロイック・ファン 〒大阪市東淀川区東三国町 困るんだなあ。なにしろああいう風にディックをタジーなんかでこんな満足は絶対に受けられな 三ノ三六二 論じられても訳したのが少ないから全然おもしろい。アンヴィルも浅倉さんがわざわざ解説を書く キャッスル・ハイツ二〇一号 くない。早川さんがんばってよ。もっと広く浅くだけのことがあって、前半のムードは確かにい 大塩邦子 エリスンの共作も悪くないできだ。どちらか 知りたいのです。 ( 「このけだるい地上に」は良かい。 というと、シェクリイの持味が強く出ているが、 った ) 告

4. SFマガジン 1974年6月号

日本 SF2 ヴェルズ 既刊点 ! 泉鏡花受賞後、初の傑作短篇集 わがふるさとは黄泉の国 半良装幀・野田弘志 四六版上製本定価九八〇円 人跡稀な木曽の秘境にある自殺部落ーー遺骨を抱いておとすれた青年が夢 幻の冥界へと踏みこんでいく表題作「わがふるさとは黄泉の国」、自衛隊 の大演習中に、完全武装の兵士が突如戦雲たなびく戦国時代へ転移 : : : や がて彼らは日本統一へと破竹の進撃を続ける「戦国自衛隊」、、奇現象に正 面から挑んだカ作「誕生」ほか、日本界の異オが鏡花賞受賞後、初め て放つ、アルカイック・ファンタジーの快作五篇を結集ー 半村良作品 ハヤカワ文庫 日本ノヴェルズ 産霊山秘録 およね平吉時穴道行 泉鏡花賞受賞作 石の血脈

5. SFマガジン 1974年6月号

フ』のクライ・フ・リビル、アンにゲイル されている。その時の発表リストの中から、 ュ : ニヴァ 1 サル . には、 -. マリオ・プ 1 ヅオ ニカットなど。 パルが 7 年ぶりの新作として選んだのは、原作の『 Earthquake 』。これは以前、ジョ 心霊学コンサルタント、トム・コーベッ tDoc Savage•• : ••The Man of Bronze 』。 ン・スタージェス監督作品として紹介され ト指導のもとで、実在の幽霊屋敷ワイクハ そう先号のスキャナ 1 で、野田昌宏氏たが、結局マーク・ロ・フスン製作・監督の ースト邸でロケされたが。撮影開始後間もが紹介している、アドベンチャー『ドもとで撮影が開始された。出演はチャール なく、総指揮のニコルソンが急死するとい ック・サべッジ』の映画化だ。 トン・ヘストン ( ! ) 、ローン・グリーン (t ホ ・う不思議な事件が起った。 既報の通り 、パルは、この一八〇巻に及ナンザ ) 。 カラー作品で、上映時間 1 時間分。 幻ぶシリーズの全作品の映画化権を買ってい コロンビア配給の既報『 Cave of Steel 』 - ( 世紀フォ , クス配給。 る・、、パルの発表では、このシリーズを映 ( アイザック・アジモフ原作 ) も、フラン 画館用の映画として製作していくとのこと ク・ボアソン脚本、ハル・アシュビー監督、 ジャック・ニコルソン主演でスタート。、こ ェイレスは、 この夏の期待作としては、この他にも、 スタッフ・キャストとしては、製作はもの映画の製作者ジェラルド・ ジョン・・フアマン監督の『 Zardoz 』や、公ちろんパルで、監督に『日間世界一周』 『これが唯一のアジモフの映画化ではな 開 7 週目にして、早くも興行成績千万ドルや、『栄光の座』などの巨匠マイケル・アい』と語っている。 ・突破という、史上空前の大ヒットとなった その他、イギリスの恐怖映画メーカー ンダーソン。主演に、 e > 版『ターザン』 ホラー映画『 The Exocist 』などがあるのロン・エリ / ロウズの『 The Land Th ・ ーの他、共演に本業はラジオアミカスは、・、 が、これらの紹介は、ひとまず次回に送るアナウンサーのポール・・ウェクスラー at Time Forgot 』を、『 FinaI Progrmme 』 ことにして、今回は、最近またまた活発にという異色キャスト。ワ 1 ナー・・フラザー のマイクル・ムアコックの脚本で準備中。 なって来た欧米の映画製作ニュースかスが配給する。 又、は、『 West World 』の続編 『 Future Wo 工 d 』の製作を発表した。 ) らひろ 0 てみた。 その他の企画では ~ まず最初は、映画の巨匠、ジ = ージ 以上、ざっとした概観だが、この他にも ・。 ( ルが、年の『円 he Powen 以来、 7 先号で一部紹介した世紀フォックス 年ぶりに、新作に着手したニュ 1 ス。 に、ダグラス・ヒコックス監督、ジョン・欧米の中小会社から、続々と製作発表が行 パルといえば、最近でも放映された コーン製作・脚本の『 I so woryJ を始めなわれている。そういったものも含めて、 、『地球最後の日』 ( 知 ) を始め、『月世界征として、アルフレッド・ベスタ 1 原作、レ詳報が入り次第、順次再報していこう。 、服』 ( 知 ) や、『タイム・マシン』 ( 知 ) など イ・ワグナー監督の『 Demolished Man 』、 の映画の製作・監督としてあまりにも ロジャー・ゼラズニイ原作、ダクラス・ト 〉有名だが、このパルが、久しぶりに活動を開ラン・フル監督の『 Domnation と一。こな ~ 始した事は、昨年 3 月の本誌にも一部紹介ど。 96

6. SFマガジン 1974年6月号

ファーとビーは、フロリダで捕獲された げた船の船底にはりつける作業だつを 敵のスキを見て逃げ帰ってきたファーか一ものに、当。ヒータ・モスとジェシー・・ らその様子を聞いたテリルとマホニーは驚ホワイトが訓練したが、この訓練に、 2 年 いた。 2 頭のイルカが目標として見せられ間の歳月と数百万ドルの費用がかけられた た旗は、大統領用の船を示すものなのだ。そうだ。 テクニカラー ハナビジョン、上映時間 彼らは大統領を、暗殺しようとしているの と だ。テリルは、ファーに、ビーを探し出し 1 時間菊分、日本へラルド配給。 のコ一て止めるんだ、と命じる。 カスア ファーは間一髪でそれに成功し、おまけイルカが人間の言葉をしゃべり、大統領 イ O と に、機雷を理事たちとデビッドの船につけ暗殺の陰謀に巻き込まれる、というロべー ル・メルルのベストセラー小説の映画化を 配一ヴてくる。そして、カリブ海に上がる火柱ー 最初に計画したのは、当時アメリカに渡っ ルジデ ラの て『ローズマリー の赤ちゃん』を完成した へ公ン テリルは、逃げる決心をする。ファーと 》・ ~ ・第本人ア ビーを海に放し、・外海に出て行くように命 日主ヴ じる彼の心は痛んだが、すぐにやってくる だろう組織の復讐の手を考えると、こうす ~ ちに「マン・イズ・グッド ( 人間は良い ) 」るよりほかはなかった。 「ハー」と、いつまでも海岸で呼びつづけ ( と言ったが : ・ テリルが、財団に呼び出されて島を離れるファーの声が彼の耳にはつらかった。 一ていた時のことだ 0 た。ファーとビーが研 究助手のデビッドと共に姿を消した。デビ監督のマイク・ニコルスと脚本の・ハック ・ヘンリーのコンビは、『卒業』や『キャ ッドは財団のまわし者だったのだ。 ッチ』などの名作を作ったコンビで、他 その時テリルたちの前に、突然マホニー にヘンリーはテリー・ サザーンの映画化 一が姿を現わした。彼は財団の理事たちの企 1 』の脚本も書いている。 ~ んでいるらしい陰謀を探り出すために調査『キャンディ 出演はテリルに、ジョージ・ O ・スコッ ~ をつづけてきたのだと語った。 ( その頃人を疑うことを知らないファーとト、テリルの妻のアギーは実生活でもス = ットの妻であるトリッシュ・ヴァン - ・ディ ビーはデビッドから特殊な訓練を受けてい ヴェア、他。 た。それは、機雷を、一ある模様の旗をかか 日本へラルド記給「イルカの日」 ジョージ・ C ・スコットとファ

7. SFマガジン 1974年6月号

ち切り、人目もはばからずすすり泣きながら。あの誇り高い廃墟のの反応は鈍く、心は曇っている筈だった。年を取るにつれて、視力 皇子が。エルリックは呪った。悪意に満ちた神々の仕業を呪った。 はしだいに落ちていき、おそらくは成人前に死んでしまったろう。 神々が、ただ楽しみのために、怠惰に人間を操るあの暗黒の日を呪彼の人生は他人の慈悲の上でしか成りたたなかっただろう。エルリ ックにはわかっていた。もしルーンソードのこの世のものではない 背後では、最後の略奪者たちの船団が、突然はっとするような光助力を失えば、自分がそうなってしまうであろうことを。しかし工 を放って燃え上がった。そして、自分たちが仲間たちと同じ運命か ルリックはこの剣の力を恐れ、嫌悪していたーーーそれが頭と魂にも ら逃げおおせたことを半ば感謝しながらも、乗員たちはエルリック たらす混沌をひどく憎悪していた。不安による苦悶の中で、エルリ をとがめるように見た。エルリックは、彼らに目もくれず、ひたすックは両手で剣を握り、それに関連する事実の軽重をはかろうと自 らに泣いた。大いなる悲しみが彼の魂を絞めつけていた。 らに強いた。この邪悪な剣がなければ、自分は誇りを失うーーおそ らくは生命さえも。しかし真の休息のもたらす心なごむ平穏が得ら 一夜が過ぎた。パン・タンと呼ばれる島の沖。船はあの恐るべきれるだろう。これを持っていれば、カと強さを持てるだろうーー・し 龍の支配者とその獣の報復から無事に逃げおおせた。エルリック かし剣は邪悪な道に彼を誘いこみ、破減的な未来へ導くだろう。カ は、思いに沈んで、船尾に立ちつくしていた。男たちは恐れと憎悪の味を知ることはできるーーーだが平安は決してこない。穏やかな、 をこめて彼を見つめ、裏切りと勇気を持たぬ臆病さのことをささや悲しい平安はこない。 きあっていた。彼らは、自分自身の恐怖と自分たちが無事であった エルリックは、大きく、すすり泣くように息を吸った。そして盲 という結果を忘れているようだった。 目的な不安が彼を捕え、彼は月に濡れた海の中へ剣を投じた。 エルリックは考えこんでいた。両の手で黒いルーンソードを握っ 信じられないことに、それは沈まない。水面に浮かびさえしな ている。ストーム・フリンガーは単なる剣以上のものだ。このことは 。海面に尖先から落ち、そこに突き立ったのだ。まるで丸木に突 すでに何年も前からわかっていた。しかし今、それが想像していたき刺さったときのように小刻みに震えて。水の中で脈動している。 以上の知覚力を持ってい . ることを知った。この恐るべき武器は、そ刃先の六インチほどが水中に没している。そして奇怪な悪魔のよう の使用者を操るのだ。そしてエルリックにサイモリルを殺させてしな叫び声をあげはじめたーーーそっとするほど悪意に満ちた咆哮。 まった。それでも彼は、、どうすることもできぬほどに、それに頼っ 咽喉の奥からつまったような呪詛をもらし、エルリックはほっそ ている。エルリックはこの事実を、魂を引き抜くほどの確信を持つりとした白く輝く手を伸ばして、生物のような地獄の剣を取り戻そ て理解していた。彼は白子なのだーー動物界においてはまれな、人うとした。手すりから大きく身を乗り出して一層手を伸ばす。それ 間の間においてもやはりまれな存在なのだ。白子なのだ。自然な活でも掴むことはできない。まだ、数フィートばかり届かないのだ。 力の余裕を持っていないのだ。通常であれば、彼は怠惰であり、そ息をつまらせ、吐気を催おすような敗北の感情が、彼を圧倒した。 8- 9

8. SFマガジン 1974年6月号

グは良く知プていた。彼は白子だ ? た。亳してそれは彼には通常の 人間の持っている活力が欠けていることを意していた。心の中の 霧が生々しい恐怖にとってかわり、エルリクは自分の復讐の権利 を呪い、イムルイルの略奪を先導することに同意した日のことを った。それは荒々しいが、 - 不毛な呪いだった。そしてエル屮ック は、 ' 何にも増して ' 死んだイイルクーンとこの運命に呪われた一連 の出来事すべて 0 原因どなった彼の歪んだ嫉妬を、激しくそしつ 月刊化第ニ号 6 月ロ万 し力に呪おうとも、あまりにも遅すぎ しかし、今となっては、 ' 、、 た。肉迫してくる龍の大きな羽音が大気を満たし、その怪物は逃げ 中篇小説特集 ようとする略奪者たちの船の上におおいかぶさった。エルリックは ある種の決断を迫られていたーーー生命にはいかなる愛も抱いてはい オカルト文学の展開 なかったが、彼と可じ種族の者の手によって殺されたくはなかっ た 9 死ぬときには、エルツックは自分自身に約束していた、自分の 不気味な客ホフマン 手で死ぬ ? エルリックは心を決めた。自分自身を憎悪しながら。 山口年子 誕生 龍の毒液が炎を放ちながら、最後尾にいた船を直撃したとき、エ ルリックは魔術による風を止めた。 ちのみごぞうし岸田理生 突然静止した船に驚いた戦友たちが、驚いて水面越しに呼びかけ ヴァテック③・べックフォード てきた。必死になって、彼の行動の理由を尋ねてくる。それにはと 連載ェッセイ第一回 りあわず、エルリックはすべての力を集中して、自分の船の帆にこ れまで以上に強い風を送り込んだ。エルリックの船は、今や、凄ま 中国の夢草森融一 じい速度で進む。龍たちから逃げおおせるかもしれない。エルリッ オカルト・ゾーン クはそう望んだ。 二笑亭または幻影の城紀田順一郎 彼は自分を信頼してくれた男、スミオーガン伯爵を見捨てた。そ 東《ゞ千田。田桷一イいを月止去 して空中から毒液が降り注ぎ、燃え上る緑と真紅の炎がその男を包 9 みこむのを見つめていた。」エルリックは逃げた。未来への想いを断 4 月日発売 ・ 0 0 円

9. SFマガジン 1974年6月号

龍の洞窟の王、エルリックの若い頃の友人、ダイヴィム・ , トウヴ いゑその瞳には恐怖があった。これまで、ゆっくり食い入ってく アルが、美わしの都イムルイルの復讐を果すための攻撃を指揮して 9 る恐怖を知ることのなかった男の瞳の中に。不安をおぼえて、エル いるのだった。 リックも自らの瞳で、スミオーガンの視線を追った。 エルリックは、スミオーガンに向かって水面越しに叫びかけた。 そして彼も見たのだった。 「こいったちが、今や、最大の危険だ。これから免れるためにで それは、疑いもなく、龍だった。その巨大な爬虫類の群は、何マ イルも離れていた。しかしエルリックは巨大な飛翔動物の特徴をよきるだけのことをやるんだ ! ー男たちは新しい敵を撃退するため く知っていた。このほぼ絶減しかかっている怪物たちの、平均的なに、半ば絶望的な気持で、準備を整え、鉄の触れ合う音が響いた。 翼のさしわたしは、ほぼ三十フィートほど。細い鼻面の頭部からは速やかに飛ぶ龍に対しては、魔術による風も、ほとんど何の役にも じまり、致命的な力を持っ鞭のような尾に終る、ちょうど蛇のよう立たない。今や、ダイヴィム・トウヴァルは、明らかにマガム・」コ リムとの相談を終えたらしい。彼の突き棒が龍の咽喉を突いた。巨 な胴は、四十フィートほどの長さを持っている。そして、龍たちは 伝説のように炎と煙を呼吸するわけではないが、その毒液は可燃性大な爬虫類は急激に上昇し、しだいに高度を増していく。他の十一 匹の龍たちがそのあとを追い、やがていっしょになった。 であり、それに触れた木材や繊維を燃上させることができる。 龍の背には、イムルイルの戦士たちがまたがっていた。槍のよう見た目にはゆっくりとであったが龍の群は容赦なく略奪者たち な形状の突き棒で武装した彼らは、見慣れぬ形の角笛を吹き鳴らしの艦隊へと肉迫しはじめ、乗り組員たちは、自分たちの神に奇跡を ・ている。その奇妙な音色は、荒れ狂う海と静まりかえった青い空に祈った。 エルリックは男たちの顔に絶望が刻み込まれているのを見てとっ 響きわたる。今や半リーグほどの距離を置いた黄金の艦隊に近づく と、先頭の龍が降下しはじめ、巨大な黄金色の旗艦に向かって旋回た。その間にも、魔術によってかもし出された風の圧力によって、 を描いた。その翼は、羽ばたくたびに、稲妻のような音をたてた。略奪者たちの帆柱はしなり続けていた。今となっては、彼らにでき ることは何一つない。あるのは、ただ死だけ : 灰緑色の鱗の怪物は、白い泡を浮かべた荒海の水面で上下してい エルリックは、心に充満している不安の旋風を追い払おうと必死 る黄金の船の上空でとまった。雲一つない大空にくつきりと浮き出 た龍の姿は、息を呑むほどの眺めだった。エルリックは、その細部だった。剣を抜き放ち、ルーン文字を刻み込んだストームプリンガ ーのうちに潜な邪悪な力が脈打つのを感じとった。しかし今や彼は まではっきり見てとることがでぎた。その龍の支配者が、 - マガム・ ゴリン提督に向かって振っている突き棒は、長くほっそりとした槍その力を憎悪していた。なぜならそれが彼をして、かって愛したただ 一人の人間を殺さしめる原因となったからだった。自分のカのいか のようなもので、それには黄と黒が交錯した奇妙な三角旗が結びつ に多くを父親ゆずりのこの黒い鉄の剣に負っているか、またこ剣 けられているのが、」これほど離れていてもよくわかった。エル屮ッ がなければ自分がいかに弱い存在であるかというごとを、エルリッ クはその三角旗に印されている絞章を識別した。 ' ドライン・マスダー

10. SFマガジン 1974年6月号

艦隊が大海原に船首を向けたときにも、エルツ リクの眼は依然とは、あの若者はびどく酔っ払って、イムルイルの酒場の女に刺さ して悲しげにイムルイルの方角を見つめ、彼自身の先祖たちの街とれ、死んでしまったからだ。エルリックの船の傍らには、スミオー 9 死んだサイモリルに沈黙の敬意を捧げていた。彼自身の剣にかか っガン伯爵の船があった。あのがっしりとした海王は、眉をひそめて て死んだサイモリルの記憶がまざまざと心によみがえってくるたび いた。数の上からは優勢であったにもかかわらず、海戦となったら エルリックは再びあの熱く苦々しい想いに圧倒されるのだっとても相手にはならないことが、彼にもよくわかっていたのだ。 た。そのとき、遠い雷鳴にも似て、艦隊全体につぶやきが広がり、 しかし、これほど多くの船を動かすに足るだけの風を喚び起こす エルリックはさっと振り返った。そして何に驚いているのか知ろうのは危険なことだった。なぜなら、それは膨大な力を解放すること と、心を集中した。 であり、風を支配している精霊たちは、魔術師が極度に注意を払っ 黄金の帆のメル = ポネの戦船が三十隻、港の両側に姿を現わしたていないと、往々にして彼自身に襲いかかることがあるからだ。し チャンス のだった。迷路の二つの入口からやって来たのだ。エルリックは、 かしそれだけが唯一の機会なのだ。さもなければ、黄金色の船首で それらの船が他の水路に隠れていたに違いないことを悟った。略奪波を立てているあの衝角が、略奪者たちの船を木端微塵に粉砕して 者たちの船が、荷を満載し、消耗しきって戻ってくるところを攻撃しまうだろう。 しようと待ちかまえていたのだ。何と巨大な船だ。メルニポネの最心を鬼にして、エルリックは大気の中に住まうものたちの古びた 後の艦隊、・その建造法の秘密は謎だった。速度を上げて漕ぎ寄せて恐ろしい名ー・・ー幾つもの母音が重なり合った名を呼ばわりはじめ くるその艦隊の周囲には、年月と眠っている力の雰囲気がただよっ た。今度もまた、トランス状態に入る危険を犯すわけこよ、 ていた。そのいずれもが四層から五層の巨大な櫂を持っており、略った。精霊たちが彼自身に襲いかかってくる印しに、注意し続けて 奪者たちの船隊を包囲しようと進んでくる。 いなければならないからだ。エルリックは、時には海鳥の声のよう それらのきらめく戦船のそそり立つような華麗さに比べると、エ に高く、時には岸に押し寄せる波の咆哮のように声音豊かに、精霊 ルリックたちの艦隊は、みるみる縮みまるで水面に浮かぶかんなく たちに呼びかける。やがて風の力を司るものたちのお・ほろげな姿 ずの集団と化してしまったように見える。敵の艦隊は戦いのためのが、エルリックのかすんだ瞳の前に、現われはじめた。胸骨内で 完全な装備を施され、乗員も元気だ。それに対して、疲れきった は、心臓が恐ろしいほどに脈動し、脚は力を失ったように感じられ 略奪者たちは、激しい戦いですっかり消耗しきっている。自分たちる。エルリックは、自分のすべての力を呼び起し、荒々しく、そし の艦隊の一部でも救うためには、ただ一つの方法しかない。エルリ て凄まじい金切り声をあげて彼のまわりに吹きすさぶ風を創り出し ックにはわかっていた。帆に推力を与えるために、魔術によって風た。その力は巨大なメルニポネの船すら、前後に揺するほどであっ を創り出さねばならないだろう。ほとんどの旗艦はエルリックの近た。そして、エルリックはその風を導き、四十隻ほどの略奪者たち くを進んでいた。エルリックはヤリスの船に乗っていた。というのの船の帆に送り込んだ。多くの船を、見捨てざるを得なかった。な