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検索対象: SFマガジン 1975年10月号
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1. SFマガジン 1975年10月号

′、ヤカワ・ノン刀クション ある警官殺害事件 オニオン・フィーノレド 、ヨゼフ・ウオンポー / 本上博基訳 1700 円 1963 年 3 月、土曜日の夜。ロスアンジェルス の警官 2 人が、郊外のタマネギ畠に拉致され、 一人が惨殺、他の一人は恐怖の追跡から逃れ た。犯人 2 人による理由なき殺人であった。 ・・・事件の背景を克明に記録すると同時に 権威主義的警察と 10 年に及ぶ裁判の前に、見 る影もなく風化してゆく人間の姿をドラマテ イックにえカゞく、ノンフィクション・ノヴェ 《アメリカ探偵作家クラブ特別賞受賞》 く戦艦ビスマルクの撃沈〉 追跡 ヴク・ケネティ / 内藤一郎訳 イギリスの大洋輸、露を絶っ ~ く、 円年 5 月四日ドイ、ン戦ーヒ ノレクは / 、ンプ丿レク を出港する % こをえ撃つ英海軍は、空前 の大追撃イに愛する祖国のた , ら冫毋の勇達の物語を、これまでにな 、詳細な資 : 三の作ド参加。した著著の一プ 、 = 経験を通して鮮かに再現する ! ゞ国朝 00 ナチ・ドイツを逃れて 絶望の航海 G ・トマス M ・モーガン = ウィッツ / 木下秀夫訳 1000 円 近 最新刊 ノ 著

2. SFマガジン 1975年10月号

の第第 . 第まに 遥、第三朝み三第 1 1 「みんな誰かが必要なんだね」とピーダスンた。そして、もう一方の手でヴィクの壜を下 においた。 はつづけて言った。 固くなっていくような感じが、からだしゅ 「誰にもわからないことだよ」とプリトリー ま - は言 0 て、さらにつけくわえた。「でも、あうに忍びよ 0 た。それは誰かが手を握りかえ してくるような気持だった。やがて、もうこ んたにはわかるかもしれないな」 そう言ったとたん、異星人はさっと身をこのまま、ひとりで行くのだと思って、彼は言 わばらせ、老人の腕に爪のような指先をかけった。「さよなら、プリトリー」 しかし、かたわらの異星人から別れの言葉 た。「来るよ、あの男が、「ヒーダスンー はかえってこなかった。聞こえてきたのは別 いまかいまかと待ちうける興奮、それにと もなう恐怖にちかい戦慄。ピーダスンは白髪れの言葉ではなくて、静かにおりる霧のなか の頭をあげた。暖かい肩掛けをかけていたにを通ってくるようなジルカ人の声だった。 もかかわらず、寒さをお・ほえた。では、もう「わたしたちは一緒に行くのだよ、ピーダス ン。『火色の男』はどんな種族にも訪れてく 近いのだ。「来てるかい ? 」 るのだ。わたしがひとりで行くとでも思うか 「もう来たよ」 ね ? お互いがお互いを必要としていること 二人ともそのことを肌に感じた。というのこそ大切なのだよ」 は、。ヒーダスンにはかたわらにいるジルカ人「おれはここにいるそ、『灰色の男』よ。お がそのことに気づいていることが、気配でわれはひとりではないのだ」不思議なことに「 ジルカ人が手を差しだし、彼の手を握ってく かったからであった。彼はこの異星人の心の 動きに敏感になっていた。同様に、相手も彼れたことが、。ヒーダスンにはわかった。 ビーダスンは盲いた眼をとじた。 の心のなかを奥底まで察しているのだった。 ・一髢一「『灰色の男』よ、ピ 1 ダスンはその言葉をずいぶん時間がた「てから、ふたたび竪琴 コオロギが一段とたかく鳴きはじめ、小屋の 夜の空気にのせて、静かに低く呼びかけた 前のポーチは平和な静寂に占められた。 ご、藩が、月の谷は答えなかった。 夜が、この荒涼たる土地を訪れた。夜、だ 「心の用意はできているよ」と老人は言っ ・ ~ 【【て、握ってもらうために左の手をさしだしが、それは暗闇ではなかった。 2

3. SFマガジン 1975年10月号

に濃密な土ほこりは褐色のスクリーンのようにかがやいた。剥げ落におよぶ地層のすべてが陥ちこんでくるかもしれなかった。事態は ちた天井や壁が岩盤を厚く引きむしり、傷口のように深くえぐれた一人や二人の人間では負傷者一人救出することさえ不可能だった。 そこから滝のように地下水が噴き出していた。噴き出す水に半ば体組織的な発掘作業を待ってからでなくては、もはやそれ以上、一メ ートル進むこともできない。それ以上進めば、一歩先には闇と重い をひたして一人の男が倒れていた。男の後頭部は断ち落したように 失われていた。水に打たれたその部分はな・せか白鑞で固めたように死があるだけだった。 白く光っていた。小さな崩壊はなお絶え間なくつづき、もはやそれ シンヤは何度かためらったのち、ついに進むことをあきらめて体 以上進むことは危険だった。 を回した。しかし退くこともまた進む以上に危険だった。進むとき シンヤは最初、辺境星域側の核ミサイルの爆発によるものと思っには少しも感じなかったのに、退く一歩、一歩は背後からそう毛立 の破片のころげ落ちるひび た。しかしミサイルがこの地下都市の奥深くまで突入して爆発したつように追い立てられた。コンクリート ものならば、そのすさまじい熱の暴風は瞬時にして都市のすみずみきや、土砂の崩れる音は四方で聞えていた。それは周囲の闇の中 まで破壊しつくすはずであった。これは核ミサイルではない。するで、なお亀裂が幅をひろげ、縦横にのびはしりつつあることを意味 と、弾性波爆弾による震動だろうか ? 地下深い岩盤に、拡散してしていた。そこからいつ新しい崩壊がはじまるかしれなかった。網 力を弱めることなく、最初に指向した方向へのみ伝ってゆく強力なの目のように亀裂のはしった天井が頭上の数十メートルの厚さの岩 震動を放射するその攻撃は、とくに地下都市に対して決定的な破減盤を支えきれなくなったときが死の瞬間だった。シンヤは自分が退 く早さよりも、亀裂の追いついてくる早さの方がわずかに早いよう をもたらした。 な気がした。細い投光器の光だけをたよりに必死に体を動かした。 「だが、まて。すでに戦争は終ったのだ。今ごろ辺境側の攻撃が加 うず高く重なった石塊をのりこえようとして思わずのばしたうでを えられるはずがない」 しかしいったん停戦協定が成立しても、なにかの理由でふたたびちちめた。石塊は粘っく液体に濡れ、ずるずると足もとへずり落ち た。打ちくだかれたそれはわずかに四肢の痕跡を止めていた。土砂 戦闘が開始されたものかもしれなかった。シンヤはこれまで感じた とほこりに塗れた肉塊から新鮮な血液があふれ出てくるのがふしぎ こともない烈しい焦燥にかられた。 だった。くずれ落ちた石塊が散乱しているものと思っていたがその それより先、回廊の奥へどれほどの距離にわたって崩壊がつづい ているのか、どれだけの市民がそこでおしつぶされ、閉じこめられ多くは引き裂かれ、おしつぶされた人体だ 0 た。かれらはこの居住 区の住人たちにちがいなかった。急激な崩壊による衝撃波に部屋も ているのか予測することもできなかった。側壁からころがり出てい る石塊一つ動かしただけでも、それに数十倍、数百倍する量の土砂ろともおしつぶされたものと思われた。おそらく内臓破裂による即 がなだれこんでくるはずであった。また、回廊の天井からせり出し死であろう。偶然その強大な爆風の徴妙な死角に在ったために、か た岩盤一枚をむしり取っただけで、その上方、数十メートルの高されらの仲間にならずにすんだのだ。シンヤの全身から、はじめてつ 227

4. SFマガジン 1975年10月号

^ 版新波五人男 ( 当時のイラストより ) さしえ / 真鍋博 〈五人男稲勢川勢揃いの場〉 知らざあ読んでおくんなせえ 浜の真砂とウエルズが このほか、スペース・オペラ研究家とし文に残せしの ・ての野田宏一郎も、この頃、 co マガジン種は尽きねえ c-v マガジン ハへ、効果的なデビューを果している。彼の そのライタ 1 の若ざかり ^ 本業は多忙なテレビ・ディレクターだった 五人男の勢揃い ( が、生来のエネルギッシュな気質と、スペ まずはパッチリごらん下せえ 0 0 レ、 4 ・ 1 ス・オ。ヘラに対する飽くなき情熱はその 『英雄群像』の中で見事に開花し、若 「問われて名乗るもおこがましいが い読者のみならず作家たちにも、非常生まれは遠州浜松在 に喜ばれたのである。 十四の時から親にかくれ さらに、この時期もう一人の異能の持主勘当承知の通い がマガジンに登場する。この年中つづ好きこそものの何とやら いた連載インタービュ 1 『を創る人々』原書集めも五千冊 のインタービューアー大伴昌司である。大七つの海に知らぬはねえ 伴はもともとはミステリー畑で活動をして 日本一の色男伊藤典夫 ゆいて、ぼくが知った頃は旧宝石などでイン タービューアーをしたり映画トリックの研さてその次は横須賀で 究をしたりしていたが、この年のはじめ頃優等生の稚児上り から、急速にに接近してきた。・ほくは ふだん見なれたヤンキーから 彼のインタービューアーとしての腕を買い 横文字習った甲斐あってか 『を創る人々』を担当してもらった。 コンテストにも二度三度 その頃の彼の傑作の一つで、たまたま当 ェイトマンでゴッポリ稼ぎ 時のの〈新らしい波〉の五人を扱った 無宿と肩書きの 戯詩がある。最近の読者にとって興味深い 自称独身その名声平井和正 だろうから、ここでそれを紹介してみよ つづいてあとに控えしは 餓鬼の頃からマンガ好き 〈火の玉小僧〉でぐれだして 世間ナナメに狂 首尾も本格派と 大クラークも顔負けの豊田有恒 またその次につらなるは 以前はバーの大親分で 今日そトップ・マネージメント

5. SFマガジン 1975年10月号

前後にも四枚羽根の。フロペラがついて小るが、これは停止してい 「放せはなせ。乙女の恥は死でそそぐ」 る。甲板上に何人かの人影が見えた。 " ・この暑いのにフロックコート を着て、手に持った山高帽をふっている。そのなかの一人が、高ら叫んでいるオバちゃんとはまったく無関係に、空中軍艦は市庁舎 かにトランペットを吹いているのだった。警官の一人が「顔を上に上空で停止した。。フロペラの風圧で塔の鐘が揺れて、カランカラン とのどかに鳴った。。 ( タンパタンと音がしたかと思うと、入道雲を むけたまま、手だけは機械的に動かしたため、ドンと腹に響く音が 背景に、今度は日銀上空に羽ばたき飛行機が出現した。背中に羽根 して、ライト・ハンがタクシーの横腹に突っ込んだ。 をくくりつけて飛んでいるのだ。明治三十六年に建てられた荘重な 「何さらすねや」 ろくしよう 建築物。正面中央のルネッサンス式の円屋根は、緑青で淡い緑色に 「じやかまっしゃい。文句があんねやったら、ポリ公に言え」 なっている。上空をぐるりと廻って、男はその円屋根の上に降りた 我にかえって、警官があわてて信号灯横の警察電話に飛びつい こ 0 った。真紅のハンカチを出して、見物人にむかってふっている。 「すんまへん、事故発生。すんまへん」 守衛の爺さんがあわてて詰所へかけ込んだ。全館にベルが鳴り響 半袖シャツの背中が、ぐっしよりと汗で濡れていた。。フルン。フルき、窓という窓に・ ( タ・ ( タとシャッターが降ろされた。金塊泥棒と でも思ったのだろう。羽ばたき男はひとしきりハンカチをふると、 ンと上で音がして、船体の前後についているプロペラが廻りだし、 空中軍艦がゆっくりと大阪市庁舎に近づいていく。大正十五年に竣またパタバタと飛びあがり、堂島川の上を斜めに横切って毎日会館 工して以来、およそ半世紀を経た大阪市庁舎。中央に尖頭をもち、 ビルの方へ飛んでいった。ワッと誰かが叫んで、美津濃ビルを指さ 左右対称にどっしりとそびえる鉄筋五階建てのこのビルディングした。そこに巨大なラグビー・ホール型の飛行船が出現していた。ラ は、ど ' ことなく古いドイツの官庁を思わせる。歳月が、この建物をグビーポールいつばいにネットをかけ、そのネットの下端にゴンド いかにも権威ありげな、重厚なセ。ヒア色に変色させている。その窓ラを吊り下げて、ゆらゆらとそれはやってきた。シューシューと音 がいっせいに開いて、無数の顔がっき出された。のしかかるようにがするのは、プロペラを廻しているのが蒸気機関なのだろう。ビル して、空中軍艦は進んでいく。 の屋上に立っている円筒形の大きな広告塔、その頂上には馬鹿でか 「・ハケモンやー い黄金の優勝カップが設置されている。飛行船はその上空で停止し 「お母ちゃん」 た。ゴンドラから下がっていた錨が、優勝カップにあたって、カー 四階の窓から身を乗り出しすぎたオールドミスの職員が、バラン ンと間の抜けた音をたてた。蒸気がかかって、カツ。フの表面がさあ スを崩して落ちかけた。男子職員が二人、あわてて彼女の両足をつ っと曇った。窓から身を乗り出して、男が一人、商売用のアーチェリ かみ、オバちゃんは窓から逆さ吊りになった。スカートがまくれて ーで飛行船を射とうとし、それを店員が必死で止めている。ゴンド 彼女の顔を隠し、かわりに夏には珍らしい毛糸のズロースが現われラからそれを見おろして、外国人が一人手をふっている。交又点は こ 0 に 6

6. SFマガジン 1975年10月号

一福島仲間割れではない。不見識あるい の意味でのプロ・グループの結成に賛成す ることもわかっていた。 2 一は無定見を、界の代表意見とみなされる。 ・ほくの目的は、のために人生と生活 9 ~ ないため、プロのための別の組織をつくり 半村界では、プ 0 とアの意義がとを賭けているプロと、そうでないアマチ たいといっているのだ。 曖昧だ。アマは、。フロに対して無責任ない ュアとを、截然と区別することであった。 森彼らは必ずしも無定見ではない。商いかたをしていながら、何か問題がある アマチュアリズムの、その独得のフレッシ ~ 業主義を認めなければならないことも、あと、アマだからと甘えている。 ュネスと、打算なしのシンセリティを否定 ~ る程度心得ている。とにかく、オ能を殺す するわけではないが、そうした面は、アマ 作家クラブの発足準備会としては、 ) のはマイナスだ。 チュアと作家との個人的接触において示さ 小松による文学マーケットの攻略何か奇妙な雰囲気だ、と思うにちがいなれるべきものであって、アマチ、アとプロ という立場と、をエンジョイしようと い。たしかにここは、若干の説明を要するとがなんにつけても未分の状態にあること している、的にソフィステイケートさのた。 は、ぼくにいわせれば実に奇妙な状況だっ こ 0 ~ れた人たちの立場との間にはギャップがあ つまり、作家クラ・フをつくるに当っ ~ る。のプロの組織をつくったら、そのて当面問題だったのは、宇宙塵との関係を しかも、の分野では、たしかに、ア ~ ギャップを埋めるための説得が必要だ。 どうするか、ということだった。当時のマチ = アがプロに先行していた。宇宙塵 ~ 自身が新らしくなるためにも、その間の作家たち、翻訳家たちのかなりの数が、 は、マガジンよりも二年以上先に出発 一相互理解がいる。 宇宙塵同人だったからだけではない そしていたし、この時点で作家として活 ~ 星は多角的なアプローチがあ 0 てれだけならば、作家クラ・フの結成に障躍をはじめていた人たちの中には、そのグ 一当然とは思うが、ミステリーの場合も、一碍は何もなか 0 た。要は、従来の同人レヴル 1 プーー・科学創作クラブ生え抜きの同人 エルのの場合、文句ないリーダノッ ~ 時マニアに非ざれば人に非ずという意見が たちが何人もいた。その意味で界は、 ・多かった。それを作家が気にして、そのた。フをとってきた宇宙塵と、一応縁を切ったアマチ = アを無視できなかった。 め袋小路に入った。マニアの殻を破ろうと組織をつくるかどうかという問題だったの さらにこれは、必ずしも日本での特殊事 である。 . する試みはあってい 情でもなかった。海外とくにアメリカで 斎藤 ( 守 ) いまほどが求められて メン・ ( ーは、ここに整理して示しただけは、各地に強力なアマチ、アの愛好家 いる時代はない。そのとき、いたずらにアではない数多くの議論をここで戦わせた。 のクラブがあって、それらが、 co 出版の ・イデア尊重主義の (-ng-( では通用しない。一 だが正直いって、・ほくにとってはその議ための強力なパックアップ勢力になってい 般に通用するを提示できるグループ論はどうでもいいことだった。ぼくの腹た。 tn マニアたちの熱意は、アメリカ が、当然できていい気運にある。 は、作家クラブをつくることに、すでの発展のエネルギーになっていた。その 斎藤 ( 伯 ) は国際的になりつつあにはっきり決まっていた。そのための根回意味では、日本のそれも、はるかに低い度 る。マ = アの遊びであってはいけない。そしも、十分にしてあり、結局賛成が得られ合いではあれ、同じことがいえたかもしれ

7. SFマガジン 1975年10月号

エース・・フックスの社長、副社長、人たちがいます。 ローダ 担当編集者、 >()n ・ペリー・ ン・ファン・クラプ会長マイク・ビテ ローダン・シリーズの翻訳をしていただいてい昿 ロ、そして真打ちクラーク・ダールトる松谷健ニ氏は、人気の秘密についてこうおっし ンなどの豪華な顔ぶれがならんでいまやっていますーー気軽に読めること、現実のわず す。 らわしさとは無関係に舞台が展開していくことでⅧ すね。それに、いろいろな的アイデアもふん この世界的なローダンの人気の秘密だんに盛りこんである シリーズ開始以来、ずっと素晴しいイラストを は、いったいどんなところにあるのでしよう。読 お描きいただいている依光隆氏はーーー登場人物の 場所【ワシントン、・ / シェラトンー者の方々のお便りを掲載させていただくと ーク・ホテル ■宮崎県の佐藤光春さん。便箋三枚にわたって、人間性がとてもよくかけています。特に、ローダⅧ 詳細なペリー・ ローダン・シリーズの分析をしてンの敏捷性、スビード、決断力は、仕事に疲れた 日時こ九七六年一月ニ日 ~ 四日 くださいました。そのなかで、佐藤さんはローダ時など励みになっています。よく、私は気にい チェアマン】テイム・ワーレン ローダン・シリーズはエース・ブックンの性格についてこういっていますーー冷静で決ったローダンの言葉などをメモしているんですよ 断力に富みタフな男の代表者のような性格だがユ スより毎月三冊ずつ出版されています。″ロー ーモアもわかる男。主人公というものは一種の超の翻訳から、最近は音楽評論まで手がけて ファン″は合衆国において、今や十万人に達し、 ・ローダンの熱烈なフ ドイツ、オーストリア、日本、イギリス、デンマ人としてでてくるのだが、平凡人は、そして作者いる岡田英明氏も、。ヘリー アンです。そして、いかにも岡田氏らしいコメン Ⅷ 1 ク、フランスを合わせると百万人を越えるのでも超人的性格を持っ主人公に自分をあてはめて空 リ . 1 ー・ ローダンは、 トを寄せてくれましたーーベ す。 想の中で楽しい思いをしているんでしようなあ : ・ の夢をよみがえらせてくれたのだー な・せ、百万もの人々がこの厖大なシリーズを読 むのか、ローコン・ 1 でその理由がわかるでしょ ■きっすいのローダニストを自称する姫路の小林 ペ ローダンをなぜ読むか ? それはまっ 高司さんは、嫌いなドイツ語を勉強して、将来は たく人さまざまのようです。それでも、多くの人 松谷氏と共訳しようと意気ごんでいます。 宇宙英雄ローダン・シリーズは、日本でも三百■グッキーがとてもかわいくって、というのは、人がローダンを愛し、日本出版史上最長長篇の生 万部を突破、海の向こうでは右のようなロー ・コ長崎に住んでいる小合のぶ子さん。ューモラスなまれる日も遠くはありません。 ン ( ローダン・コンべンション ) さえ開かれてい面がいたくお気にいりのようです。 ます。この大会のゲストには、米国でのべリー・ ■川越市の小森正道さんは、ストーリーから登場宇宙英雄ローダン・シリーズ刊行予定 ( 仮題 ) 一九七五年 ローダン・シリーズの編集にたずさわり、また人物まですべて億えていて、友達からペリー・ 九月『銀河の麻薬商人』 ・ファンタジイの研究家としても著名なフォー 1 ダン辞典と呼ばれているとのことです。 レスト・・アッカーマン、その夫人で英語版翻そのほか、信号待ちに読むというタクシーの運十二月『銀河の病巣アラロン』 7 4 一九七六年 訳者ウエンディン・アッカーマン、アシスタント転手さん、発売日が試験の前日と重なって勉強が 二月『ゴム応答せず』 翻訳者のシグ・ワーマン、英語版を出版しているできなかったと・ほやく学生さんなど、たくさんの 人気沸騰のローダン・シリーズ ローコン 1 出版史上空前の大長篇 !

8. SFマガジン 1975年10月号

わる奇怪事の数々も単なる作り噺ではないと考えるのです。という「そこで事件の性質をこの見地からもういちど考えてみましよう " のは伝説は一つで充分なのに、今世紀のいろんな報道がそれそれ古「第一に、太古クフの第一次探険隊は神馬のひく神殿に圧潰された 冊とおなじような事を伝えているからです。するとこれは、何かの 理由とカで、いかにも奇怪に見えはするが、少くとも云伝えに近い 第二は、ついでアメシュの派した取壊し工作班は火の雨で亡・ほさ 様相で現実に引起された事件に違いない ではどんなカかと云えれた ば、それは判りません。なにか現在のわれわれの科学以上の機械装第三。紀元前千年アッシリアの軍団はアヌビスの一ト矢で 置ということも考えられますが、この件におけるようにいろいろな 八世紀、第四次の西人侵入には岩が口をきき、大鳥が舞下りたー 場合に・気紛れなほど不統一かついろいろに働く万能な仕掛という ものはわれわれの機械工学では承認し難い。一つ一つの場合がまる現代では、第一次に現地の探険隊が完全に行方不明になり、第二 きり違った方法で処理されているのをみると、どうしても之は誰かにアメリカ隊が廟前で全員発狂した。そして第三 " 第一次国際調査 の意志で・人間が対応的に動いている色合いが濃い。一たいこの墓団は外廟内で忽然と雲散霧消した ト斯うですネ」 の主ムムシュという王は、私はかれの事蹟をできるだけ調べてみた かみ のですが、彼は前期上エジプトの濫觴期に君臨して並びない勢威と「思うに、近代装備を持った一学術団を『忽然と』消減したり、そ おぼっ 栄華をほこり、最初の神格に生前から餌した王です " ということはの全員を同時に発狂させたりするような芸当は我らには覚付かない つまり、それまでの原始的素朴な王朝から、民をして王が生人でかとしても、一つの銃器で一中隊を殲減することや、空から雨のよう ロケット に火箭ないし焼夷・ガス弾をふらすことは、現代人ならふつうにで っ神であると見做さしめる神権政体を確立した最初の王でもあるこ とで、君主としてより同時にむしろ権力者として非凡な器だったこきることではないでしようか。私は第二のアッシリア軍のばあい とは確実です。事実またあの農を伝えた神農伏羲ほどの神話的怪人異教徒の侵入から埃及を守ったアヌビスの一ト矢というのは、むし ではなかったにしても、数多くの人巧利器を発明して民に教えた肇ろ一ト弓というべき・扮装した兵士の機関銃にすぎず、貪欲なロド わき 国的首長だったらしいのです。しかしそれだけならただ英邁の王とリックにたいして岩が口をきいたというのは旁から拡声機をつかっ たか大型テレビを応用した手品ではなかったかと思うのです」 いうにとどまる。なぜ神格化されたのか、どこが・或はどれほど非 「貴方は何を言出すのだ ! 」 凡だったのかという事になると、もう記録が不充分で分りません。 とアルラフィーク博士が呆れた様子で叫んだ。「それらは今から ただ、したがってその墳墓も前代未聞の豪奢をきわめ、彼自身ある いはその崇拝者がその神聖を後世にたもとうとして、墓盗人どものそれそれ千年、二千年、三千年前の事なのですゾ ! どうしてその 土足や外異の好奇の目から守るために、我らの理解を越えた非凡な時代に、そんな : : : 」 「しかし、純粋な方法論としては可能なわけでしよう ? 」と阿兎の 方法を講じたということはごく自然に想像できます。

9. SFマガジン 1975年10月号

〔中で、協調という名のそれほど投げやりな知で、敢えて作家クラブの創設を強行出席全員の一致で指名された。 ・ものはない。そして、界で一番頭の堅したのは、大要右のような発想と思考。フロ運営方針は、つぎの三項目に要約された。 8 一、クラブ員は作家、翻訳家、科学ライ い二人にとって、投げやりさほど、縁の遠セスからであった。ぼくは、この考え方を、 いまでも間違っていたとは思わない。あるター、評論家、編集者で構成する。 ~ いものはなかった。あの時点でぼくらは、 しをいまさらっこんなことをくどくどと 二、入会希望者は、その属する部門のク 〕ああして対立するしかなかったのである。 いいたてるぼくを、非難し、また嘲笑するラブ員 ( 作家ならば作家のクラブ員 ) の推 この時点で、ジャーナリズム一般は、 〉を、まだ毛色の変った娯楽読物としてし者があるかもしれないが、それはそれで少センを受け、他の会員全員の支持を受けて かーーせいぜい ミステリーの変種か、伝しもかまわない。その連中には、人の執念はじめて入会を許可される。 三、月一回ないし二カ月一回の会合を開 奇小説の現代版くらいにしか受けとろうとというものが、どういう働きをするのか していなかった。しかし、それだけに、編が、理解できないだけのことだからであく。会合の目的は、クラブ員相互の連絡を ・集者たちは、たとえば雑誌の編集技術上のる。また、その後の作家クラ・フの推移とり、作品のアイデアやテーマについての からして、発足当時の・ほくの思惑はみごと意見交換を行ない、海外事情、出版事情な 色合いをつけるためのものとして、あるい は目先の変った読物として、に対しはずれたではないか、いまはそんな目論見どの情報を交換するなど、それそれの分野 て、ある程度以上の関心を持っていた。彼など全く消え去って影もない、というものにおける研鑽を通じて、の普及と発展 らにとっては、プロの作家も、同人作がいるかもしれないが、そのての輩にむかとに寄与すること。クラブ員の発意によっ ハ家も、大して変りはなかった。いずれにしっては、・ほくはお気の毒さまといえば事足て、特殊部門の専門家を呼び講演を聞き、 ろ、一般文学の作家たちと較べれば、素人りる。すべての目論見は、時間とともにそのあるいは、研究所施設などを見学すること に毛の生えた類いの小者であり、その間の形を変える。作家クラブは、少なくとももある。 会員は、最初のうち、あまり急激には増 区別を主張するなど、目くそ鼻くそを嗤うあの当時、ぼくの目論見に答えてその機能 に似た風景だと、ぼく自身にむかってはつを発揮してくれた。それ以後のことは、はやさない方針であった。しかし、当初の十 つきりいって、。ほくの知ったことではない。 きりいった者もいた。 一人では、とうてい、足りなかった。そこ で、発起人それそれの推センによって、や ~ ぼくにとって、もしが何らかの意味 がて、さらに九人が順次入会した。伊藤典 を持っとしたら、まず、こうしたジャーナ 夫 ( 翻訳家 ) 大伴昌司 ( 評論家 ) 筒井康隆 冖リズム一般の偏見を除去しなければならな ( 作家 ) 手塚治虫 ( マンガ家 ) 豊田有恒 こうして作家クラブは、発足した。 。それらを打破して、はじめては一 人前になりうる。そしてそのためには、 正式名称は、日本作家クラ・フ JAPAN ( 作家 ) 野田宏一郎 ( 翻訳家 ) 平井和正 ( のプロは、。フロとしての自己を、そうで SF WRITERS ASSOCIATION 略称 ( 作家 ) 眉村卓 ( 作家 ) 真鍋博 ( イラスト ~ ないものと峻別しなければならない 連絡事務所は当分のあいだ早川書レーター ) である。 これで、これ以後の日本界とマ ほくが、このとき、宇宙塵との確執を承房編集部内におき、初代事務長は半村良が

10. SFマガジン 1975年10月号

△ 1 ハれ 0 コロロ 乙△い なしくするから ! 」彼らは決してそれに答え と栄養不良と無視された境遇のために知能が 退化したのかもしれない。その子は鼻をほじない。その子も前にはよく夜中に助けをもと くり、ときおりぼんやりと足の指や陰部をい めて叫んだり、しよっちゅう泣いたりしたも じったりしながら、猫背にうずくまって いのだが、いまでは、「えーはあ、えーはあ」 る。そこは二本の柄つき雑巾とバケツからい といった鼻声を出すだけで、だんだんロもき ちばん遠い片隅である。その子は柄つき雑巾かなくなっている。その子は脚のふくらはぎ が怖いのだ。怖くてしかたがない。そこで目もないほど痩せ細り、腹だけがふくらんでい をつむるのだが、それでもやはり柄つき雑巾る。食べ物は一日に鉢半分のトウモロコシ粉 がそこにあるのは知っている。しかも、扉にと獣脂だけである。その子はすっ裸だ。しょ は錠が下りている。そして、だれもやってこ っちゅう自分の排泄物の上にすわるので、尻 な、。扉にはつねに錠がおり、だれもやってや太腿にはいちめんに腫れ物ができて、膿み こないが、ただ、ときおりーーーその子には時たたれている。 ときおり、がちゃが や間隔の観念がない その子がそこにいることは、みんなが知っ ちゃと恐ろしい音を立てて扉がひらき、一人ているーー・オメラスの人びと・せんぶが。中に は自分の目でその子を見た人びともいるし、 ないしは何人かの顔がそこに現われることが ある。そのうちのだれかが部屋にはいってきまた、その子がそこにいるという事実を知る て、子どもをけとばし、立ち上がらせること だけで満足している人びともいる。どちらに もある。ほかの者はそばへ寄りつかず、怖気せよ、その子がそこにいなければならないこ づいた嫌悪のまなざしで子どもをのそきことは、みんなが知っている。そのわけを理解 む。食物の鉢と水差しがそそくさと満たさしている者、いない者、それがまちまちだ れ、扉が閉ざされ、のぞいていた目が消えが、とにかく、彼らの幸福、この都の美し る。戸口の人びとはいつも無言だが、その子さ、彼らの友情の優しさ、彼らの子どもたち はもとからずっとこの物置に住んでいたわけの健康、学者たちの知恵、職人たちの技術、 ではなく、日光と母親の声を思いだすことがそして豊作と温和な気候までが、すべてこの できるので、ときどきこう訴えかける。「お一人の子どものおそましい不幸に負ぶさって いることだけは、みんなが知っているのだ。 となしくするから、出してちょうだい。おと