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検索対象: SFマガジン 1975年7月号
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1. SFマガジン 1975年7月号

の最尖端を歩んでいるけれども、歴史の若さからくる底の浅さは否フランス国営放送 (oxeæ) が六月三日に三時間半におよぶ めず、さらに言葉の壁をどう突破するか、という課題がある。シン特集番組を流すとかで、先日そのインタビ、ーを受け「日本にお g ポジウムは、そうした課題を、改めてぼくらに突きつけた。なお会けるの定義は ? 」と聞かれて大いに困惑した。結局、〈週刊ア ルフア大百科〉肥号などに書いた解説を引いて、「たとえば『エン 議の具体的な収護のひとっとして、フレデリック・ポールやジュデ イス・メリルの斡旋で・ハランタイン・ブックスから日本短篇集サイクロペディア・・フリタニカ』の《未来の科学的発見から生じる が刊行される見通し (< ・ 0 ・クラークやオールディスが序文を書人間のドラマ、闘争、冒険を扱った小説》といった類の定義は日本 く予定である ) ことを、報告しておきたい。 でも的はずれになりつつある」うんぬん : : : といった程度の説明で お茶を濁さざるをえなかった。 作品ベスト 5 は 文芸誌〈海〉 5 月号に伊藤典夫が書いているエッセイ『 g-v の 沼正三『家畜人ャ。フー』 〈新しい波〉』は、の変貌の歴史をきわめて簡明かっ的確に要 広瀬正『マイナス・ゼロ』 約してみせた好論で、日本でがどのように理解されているかを 小松左京『継ぐのは誰か ? 』 示すのにもってこいの文章であるともいえる。いわゆる〈ジャンル 星新一『ほら男爵現代の冒険』 〉の活力についての言及が不足気味なのが物足りないものの、 筒井康隆『馬は土曜に蒼ざめる』 ( 短篇集 ) といったところで、意外に淋しい。しかもこの大半は、年より最近の新しい作家の「を狭量なジャンル意識から解放し、自由 も前に雑誌に発表されたものなのだから、実作活動においては不作な自己表現をめざす努力」に対する評価や、「行きつく先にあるの はの解体かもしれない。しかしそれは当然の成行きではないだ の年だったというべきだろう。 にろうか」という展望にも、おおむね同感である。もちろんその背景 リ・ハイ・ハル作品ベスト 5 は、香山滋『海鰻荘奇談』、蘭郁二良 『地底大陸』、野村胡堂『二万年前』、海野十三『火星兵団』、新青には小説全体の解体があるわけだが。 年傑作選第 2 巻『怪奇幻想篇』。 追悼「 : : : 作家の非業の死が相次いでいるが、もっとも作家ら 純文学畑の作品では、埴谷雄高『闇の中の黒い馬』が圧巻だっ しい死を遂げたのはこの無名に近い作家であったことを思うと、そ の作品群と生死をあわせて考えて名状しがたい思いがせきあげてく 名セリフ「踊るもの久しからず」「人は枕木死ねば寿司」ー筒るのをどうすることもできない」 ( 広瀬正の遺作『鏡の国のアリ 井康隆『脱走と追跡のサン・ハ』から。「地図などあると、私は道にス』に寄せた司馬遼太郎の言葉から ) 迷うのよ」ー山野浩一『鳥はいまどこを飛ぶか』から・ 今月の名言橋本自民党幹事長「総理は頭がいいはずなのに、ま こ 0

2. SFマガジン 1975年7月号

キンをとり出した。 ″ベビイ″にはいって来た時、さんざん落事態が起って、緊急にそれに対して行動体制をとらなければならな い時、電子脳の各パートが、分担してやっているこまごまとした仕 3 書きをしていたやつだ。 っせいに当面の緊 事から、一時的に解放されて、全システムが、い 「にら、これをごらん : : : 」とエドは、 ヴォミー 急事態に対する解析判断体制をとるーーーその緊急コードが、 Vomisa そうだね ? マックス : : : 」 と書いた文字を指さした。 「その通りです・ : : ・」とマックスは棚からグラスをとりながらうな 「こいつを逆に読んでみたまえ : : : 」 ずいた。「″アシモフ″って名はーー私たちロポットにとっては、 ぼくたちは、あっ、と声をあげた。それを逆から読むと アシモフ ASi mov まあ、あなたたちの中のクリスチャンにとって、モーゼやキリスト の御名みたいなものです。ちょうど、あなたたちがーー私は人間の と言う言葉になったからだった。 つまり行動規制三原則回路が、一名宗教についてはよく知りませんがーー何かの時に、キリストの御名 「ロポットの″倫理回路″ まだや、神の御名、アラーの御名を叫ぶみたいに : : : 私たちの回路の中 ″アシモフ回路″ってよばれている事は知ってるだろう ? ーーー ロポットがこんなに使われていない半世紀以上前に、ロポットにも、そのコードが、何かと言えばなりひびきます。それは、シス をたくさん書いた—・アシモフって作家がいて、彼がこの三原テム、サプシステムが、それまで分担処理している問題からの、一時 的緊急解除のシグナルであると同時に、行動基本原則回路の第一次 則の基礎を考え出したんだ。その後、ロポット法学が発達して、 まとんど変っていな励起シグナルでもあるわけです。 , ーールーティン以外の新事態に対 ろんなものがつけくわわったが、この原則はを 。今の世間は、ほとんどこの名を忘れちまっているけど、古い口処するためには、ますまっさきにあらゆる事態に対する行動基本原 則が、システム全体の判断条件としてよび出されなければなりませ ポット工学者なんか、まだこの名で呼んでいるよ。三十年ほど前に この三原則の創始者を記念して、この名を正式の呼称としようと言んから : : : 」 う提案も学会にあったし、その時は、″レーザー″みたいに、何か「つまり、君たちにとっては、カントの定方命令みたいなものだな ややこしく、長ったらしい言葉の略号になったはずだ。忘れちまっ 」と・ほくは嘆息した。「で、あの狂ったロポットはーー・発声機 たけど : ・ ・ほくは学生時代、必須過程でいやいやロポットエ構未調整のままだったから、何かと言えば、アシモフ 場へ実習に行かされて、その時知ったんだけど、その時、ロポットそのひっくりかえしの″ヴォミ 1 サ″って、声に出してさけんだ の全システムに、緊急反応体制をとらせる時のシグナルに、この こっちへいらっしゃいな : : : 」キャロルが、うっとりと ″ってコ 1 ドがっかわれているのを知って、とても「エド プレイ プレイン ロポットの電子脳や、サ・フ電子した眼つきで手をのべた。「あなたって、ほんとにすばらしい人 面白かったのをお・ほえている。 ・ : あなたのすばらしい推理のおかげで、私の命が救われたんです が、時空分割方式で、多元的行動処理をやっている時、何か突発 プレイ /

3. SFマガジン 1975年7月号

レイ・プラッドベリ 一み 「 SF マガジン」創刊 200 号記念おめでとう ございます。これも , あなたがたの努力の賜 物でしよう。わたしたちの愛するこのく観 念〉の小説を世界中にひろめるには , あなた がたのようなすばらしい人びとがぜひとも必 要なのです。願わくは , 貴誌がこの先さらに その上にまた 200 号を重ねま 200 号を数え , すように アイ ・ C ・クラーク アーサー S F マガジンの 200 号達成に , 心、からお祝 いを申し上げます。長い , ときには苦闘の歳 月のすえに , あらゆる有能な批評家が , S F を文学の重要な一分野と認める時代が到来し ました。それ以上に , S F は現代の抱える問 題の多くを , それが現実となるすっと以前に 指摘することで , 社会上の価値ある目的に適 ってきました。公害 , 原子工ネルギー , 資源 不足 , そのほか現代を蝕む諸悪の危険性を , 何年も前から世界に警告したのは , S F 作家 たちです。 S F を楽しみ , 理解できるような タイプの心の持主のみが , これらの問題を解 決し , わが子らにより良き明日の世界へと生 きのびるチャンスをあたえることができるで しよう。 t れ u で C. C1arke .

4. SFマガジン 1975年7月号

その男はくだらん男たった。なにひとっ世の役に立っことなく、 こんな気分になったのは、はじめてだった。それは食欲といってい これまでずっと生きてきたのだ。 いようなものだった。甘党の人がお菓子を前にした時の感情そのも ある夜。夢のなかに天使らしきものがあらわれて、彼に呼びかけの。彼はそれをつまみあげ、舌の上にのせた。 こ 0 「うまい」 「あなたの体質を変えてあげる」 思わず声が出る。こんなうまいものに、なぜいままで気がっかな 男は目ざめて首をかしげた。妙な夢を見たものだ。天使のような かったのだろう。錠剤はロのなかでとけてゆく。すばらしい味が、 印象を受けたが、そんなものの訪れてくるわけがない。彼は自分でじわっとひろがる。唾液がにじみ出てくる。それを舌の上でころが もくだらん男であることをみとめていた。 す。なんというこころよさ。 「わけがわからん。二日酔いのせいかな。そういえば、頭が少し痛快感はそれで終りはしなかった。男は水を飲む。とけたアスビリ いようだ」 ンは、のどをくすぐりながら胃へと流れこむ。やがて、それが血液 ある欲求を感じた。彼は・ヘッドから出て、そのへんをさがした。 へと移り、流れて頭部へと作用しはじめる。そういうことが、ずつ 「あった : : : 」 と感覚としてわかるのだった。頭痛がおさまってゆく。 それはアスビリンの錠剤。それを口に入れたくてならないのだ。 「なるほど。そうか , おれのからだはこれを必要としていたんだ 味覚一 真鍋博・画 225

5. SFマガジン 1975年7月号

そしておそらく、かれらの方でもまた、かれに対して同じような セルマ・プライス博士は、テレビの出演回数の多さで、顔を知ら 感じかたをしていたに違いない。 れていた。もっとも、彼女が最初に名をあげたのは、五十年前、あ 3 〈ラーマ委員会〉は、じきに改組されるだろうことは目に見えてい の広大な海洋博物館、地中海の干し上げ作戦に続いて起った考古学 たが、今のところはまだ、扱い易い程度に小規模たった。かれの六人プームの最中であった。 ルナ ポース博士はあの時の興奮を、いまでもまざまざと憶えていた。 の同僚ーーー水星、地球、月、ガ = メデ ( 木翌の第、 ) テイタン ( 社翌の第、 トリトン ( 海王星の 第一衛しの惑連代表委員ーーーは、全員じきじきに出席してギリシャ、ローマ、その他十指に余る文明の失われた財宝が、白日 のもとにさらけ出されたのだ。この時ばかりは、さすがにかれも、 いた。本人自身の出席はやむを得なかった。太陽系距離になると、 電子工学的外交は不可能になるからた。年輩の政治家の中には、地火星に住むわが身が残念でならなかったものだ。 宇宙生物学者のカーライル・ペレラも、当を得た人選だったし、 球では長いあいだ当然のこととされてきた、即時通話に馴れ過ぎた あまり、電波が惑星間の深淵を飛び越えるには何分も、あるいは何その点では、科学史家のデニス・ソロモンズも同じだった。たたポ ース博士としては、高名な人類学者コンラッド・テイラ 1 の出席 時間もかかる、という事実にどうしても馴染むことができない者も が、やや気に喰わなかった。この男は、二十世紀後半のべヴァリー 「あんたがた科学者には、どうにもできないのかね ? 」地球とその ・ヒルズ翁国。サ , ゼ " ス近郊に ) における思春期風習の研究で、学問 とエロティシズムを独創的に結びつけたことで、名を高めた人物だ 遠い子供たちとのあいだには、直接面と向った会話は不可能なのた と聞かされると、かれらはいつも苦々しげに、そう不平をかこった ものだ。ただ月だけが、ほとんどあるかなきかの一・五秒の遅れで しかし、たぶんだれよりもこの委員会に選ばれて然るべき人物 済んだーーそれでも、そこには微妙な政治的心理的なあやが含まれは、リュイス・サンズ卿をおいてほかにはなかっただろう。その豊か ざるを得なかった。天文学的に見た生活面のこの事実ゆえに、月は な学殖にふさわしい都会的洗練の持主として、リュイス卿は、当代の 英国の著名な歴 そして月だけが いつまでも地球の郊外という地位に甘んしアー / ルド・トインビ 史 ) と呼ばれたときにたけ、落 家、一八八九ー なければならないのだった。 ちつきを失うというもつばらの評判だった。 同じくじきじきの出席者に、同委員会の別メイハーとして選出さ この偉大な歴史学者は、じきじきの出席ではなかった。かれはこ れた専門家のうち三人がいた。天文学者のデヴィッドスン教授は、 れほど重大な意義をもっ会合にさえ、地球を離れて出席することを かたく ステレオイメージ 古い顔見知りだった。今日は、いつもの癇癪もちらしいところが、頑なに拒んだ。本物と寸分見分けのつかぬかれの立体画像は、ポ 影をひそめていた。ポース博士は、ラーマへの最初の探測機の打ちス博士の右隣りに、見かけだけの座を占めていた。この幻像に最後 上げに先立ってあった、例の内輪もめについては知る由もなかったの仕上げをほどこすように、だれの機転か、一杯のグラスが、その が、教授の同僚たちはかれにそれを忘れさせなかったのだ。 前に置かれていた。ポース博士としては、こういった種類の科学技術

6. SFマガジン 1975年7月号

に大きな謎がそれに取って代ったが。三一 / 四三九は、通常の小惑おそらく向う数カ月のうちには、偶然間近かな航路をとる商用宇宙 星が数年ごとに時計仕掛けの正確さで巡っている楕円軌道を、辿っ船か何かが、いい写真を撮ってくれそうだった。ランデヴーをやる ていなかった。太陽系を訪れるのはこれが最初で最後の、孤独な恒ことは、ますなさそうだった。毎時十万キロ以上の速度で、諸惑星 星間の漂泊者だったーー速度があまりに早過ぎて、太陽の重力場での軌道を横断していく物体と、物理的接触をおこなうのは、エネル は捕えきれないのだ。たぶん、木星、火星、地球、金星、水星の軌ギー・コストの点でまったく引き合わないのだ。 道を、外から内へ次々によぎりながらス。ヒードをあげ、最後に太陽というわけで、世界はじきにラーマのことを忘れてしまった。だ をひと巡りして、ふたたび未知の空間へと飛び出していくのだろが、天文学者は忘れなかった。この新発見の小惑星が、新たな謎を 次から次へと提示するにつれて、かれらの興奮はしだいにつのって コン。ヒューターが「ねえちょっと ! おもしろいものがあります まず第一に、ラーマの光量変化曲線の問題があった。変化がまっ ・せ ! 」という信号を出し始め、三一 / 四三九の存在が初めて人類の 目に止まったのは、この時点だった。スペースガード本部では、ひたくなかったのだ。 としきり騒ぎがあったあと、この恒星間の漂泊者にただの数字に代あらゆる既知の小惑星は、一つの例外もなく、その輝きかたに緩 る立派な名称を、大急ぎであたえることになった。天文学者たち慢な変動が見られ、数時間おきにち欠けを繰り返す。これは小惑 星自体の回転と不規則な形状からくる、必然的な結果だということ は、もうとうの昔に、ギリシャとローマ神話の名前を使い尽し、 まはヒンズー教の神殿を漁りまわっていた。そこで三一 / 四三九は、もう二世紀以上も前から認められていた。くるりくるりとひっ インドの大叙事詩ラーマ くり返りながら公転しているので、太陽に向ける反射面が不断に変 は、ラーマ ( ) と命名された。 ーヤナに出てくる英雄神 化し、それにつれて輝きかたも変るのだ。 数日のあいだ、報道機関はこの訪問者をめぐって騒ぎ立てたが、 ところが、ラーマはそのような変化を示さなかった。これはまっ なにぶんあたえられる情報が少なすぎたので、思うにまかせなかっ た。ラーマについて判明した事実は、二つだけだったのだーーーそのたく自転していないか、それとも完全に対照的な形をしているか、 のいずれかを意味していた。どちらの説明も等しく、あり得ないよ 異常な軌道と、およその大きさである。それとて、レー応ー・エ コーの強さに基づいて計算された推定値に過ぎなかった。望遠鏡をうに見えた。 その後数カ月、この問題は宙に浮いたままだった。巨大な献 通して見ても、ラーマはまだ、弱々しい十九等星ほどにしか見えな 、カノ 小さ過ぎて、円盤状にも見えぬほどだった。でも、太陽道望遠鏡はどれもこれもみな、宇宙の遠い深淵を覗きこむいつもの スペース 系の中心部に突入すれば、月ごとに明るさと大きさが増してくる。仕事に、出はらっていたからだ。空間天文学は、金のかかるホビー 永遠に姿を消す前に、その形状と大きさに関するもっと正確な情報で、巨大装置を一分使うだけで、ゆうに一千ドルはかかる。もしも オービティ / グ っと重要な計画が、たった五十セントの集光装置一個の故障で、一 を、軌道観測所が集めてくれるだろう。時間はたっぷりあったし、 イ / グ オービテ

7. SFマガジン 1975年7月号

の誌で、部数は一二万 ~ 一〇万部とする相手は一人もいなかった。だれも相談・ ( ックナン・ ( ーのみに依存せず、他の雑誌 ( ファンタジーはその三分の二ほど ) 推定に乗ってくれなかった、というのではなや短編集からも作品を渉猟しなければなら 。唯こも相談する気がこっちになかった されていた。同誌編集長のキャンベルは、 さらにぼくは、と、 t.n 的ノンフィ 一九二〇年代からのアメリカ界きってだけのことである。・ほくは、・ほく自身の のヴ = テランであり、その名果配ぶりはよについての考え方を、一人。ほっちのそのクションの両立をも、最初から考えてい く知られていた。彼は、名にし負う作業の中で見きわめたかった。誰の影響もた。この雑誌の読者は、他のジャンルのそ の出身で、当然科学に強く、アスタウンデ受けたくなかった。誰の忠告も聞きたくなれではなかなか読むことのできない的 ノンフィクション たとえば超常現象や ・カュ / イングに掲載されるは、すべて何らか の形での科学的、あるいは論理的根拠の充ぼくは、来る日も来る日も十年分のや古代遺跡の謎や雪男やネッシーや ・ : もちろんよりイマジナティヴな科学工 や他の ()n 雑誌 2 ハックナン・ハーを読 実したもの、という評判をとっていた。い ッセーなどを、と共に楽しめなければ み、短篇集を読んだ。その頃手に入れたデ わゆるハード系だったのである。 ならない。 この種の記事は、他の雑誌では イキャン。フの Science Fiction Handb00k ファンタジー・ & ・サイエンス・フィク たいてい茶化されるか興味本位に誇張され ションのアンソニ ハウチャーは、そのや、べィリーの Pilgrimage through Spa ・ ce&Time や、ダヴェンポートの lnqu 一るかして、それなりの正しい扱いを受けて ・意味ではキャンベルと対照的といってよか っそう、そ いないから、この雑誌では、い った。彼はミステリーとファンタジ 1 の作 of Science F 一 ct 一 on などを、テスト前の受 うした記事を取り上げる必要がある。 ・家として出発し、この頃にはこの両ジャン験生のような切羽詰まった気持で読んだ。 その結果、漠然とながら、・ほくの頭の中まだほかにも、あれも、これも、あれ ルにまたがる最も信頼できる評論家として にの原型となるべきかたちが浮かんも、これも : ・ の地位を確立していた。この雑誌で彼は、フ しわゆる〈日本 アンタジーからプローパ—tn にいたる種できた。それは、第一に、、 4 . 種の作品を、新らしいとして認め、語版〉であってはならなかった。 ()0 に限らず、アメリカの g-v 雑誌は、その当 ハの文学的レベルの向上を意図していた。 一応の企画をまとめ、実際に原稿依頼に ・ほくは結局、後者を選んだ。マーキュリ 時すでに少なくとも三十年の伝統の上に編 1 社との間に接渉が行なわれ、やがて契約集されていた。それをそのままのかたちで動きはじめたのは、たぶん五、六月頃から 作品をいかにうまく配置しても、ーー日だったろう。ずっと単行本の畑を歩いてき が成立した。マガジンは、ファンタジ ・ & ・サイエンス・フィクション日本語本の読者に与えたのでは、やはり、唐突なて、実際上の雑誌の編集業務に不馴れだっ ~ 版として誕生すべく、準備がすすめられた感じがするにきまっている。マガジンたぼくは、少し前まで実業之日本社で雜誌 は、その三十年のギャップを埋め、しかも編集を長いことやっていた翻訳家三田村裕 のである。 5 それは、いま思い返しても、恐ろしく孤最新のの傾向をも反映するよう編集さを口説き、期限っきで手伝ってもらうこと にした。夏の暑いさなかを、二人は足まめ 冖独な作業たった。ぼくは一人だった。相談れていなければならない。そのためには、

8. SFマガジン 1975年7月号

いませんか」といわれつづけてきた〃幻の名作″が、ついに本にな っても、決して《 Science Fiction 》が消減したのではなく、むし ろ現在でも《 Speculative Fiction 》が少数派で、《 Scieence Fic ・ 3 った。瀬部麟一郎『ャプーの裔』 ( 沼出版・ 10 0 0 円 ) である。 《十年前、ひとたび〈都市クラ・フ〉に連載 ( 年貶月号 ~ 年 6 月 tion 》を大部分の人々がと信じていることは否めない事実であ 号 ) されるや、文壇諸氏を瞠目せしめ、その後中断されたまま、そる」「長い歴史の間に、人々はいつも自分の中に現実以外のもう一 の完成と刊行の待望久しかった伝説的大幻想小説》という惹句は決っの世界を持ち続けていた。そのもう一つの世界を現出させること してオー ができるのが小説や、音楽や、或いは狂気の行為であった。そし ーではない。最近〈幻想世界〉 4 号にその前半のア。フリ ッジ版が紹介されたのを読み、これは思っていた以上の傑作だと感て、の拡大世界は、最も自由にそうした世界を展開できるので 嘆したばかりだったのである。 ある。もう一つの世界、人々の外にある現実ではなく、騒音によっ ストーリ ーを改めて述べるまでもあるまい。〈世界が終末を迎えて破壊されていない人々の内にある世界、それこそ本当に″世界″ た日〉そんな皮肉な標題のついた第一章 ( 舞台は佐渡島 ) にはじまと呼ぶべきものである。その″世界 4 をアトム化から、或いは管理 って、第七百七十七章 ( 舞台は京都 ) で世界は本当に減んでしまから救出するために、ーーーが必要なのである」 う。これは、現代という不毛の砂漠で途方にくれている誠実な心が この宣言に戸惑うファンは多いことだろう。しかしだからこ 紡いだ不毛の夢、声のない歌である。かってこれほど鮮やかなイマそ、こうした主張を実践する雑誌が必要なのだともいえる。「現在 ジネーションで近未来を描ききったがあっただろうか。 の読者の中核をなしているであろう、保守的なス。へ】ス・オペ 作者の瀬部麟一郎の正体は依然として謎のままたが、一説によるラ・ファンたちは、このメディアムに生命をふきこむ力にはならな い」と・・・ハラードは同誌に収録されている『内宇宙への道は と、昔この欄で紹介したことのある浅辺宏一 ( 大正末期の埋もれた どれか ? 』で言いきっている。世界を動脈硬化から救うべき自 名作『闇を食ふ人』の作者 ) の落とし子ではないか、といわれてい る。そういえば、昭和七十年に想定されている終章のアーマゲドン身が、硬直し規格化しつつある現状に注目しよう。〈 Z>-TC-A 〉 の克明で臨場感あふれる描写は、『闇を食ふ人』のそれとそっくり 誌創刊号は、残念ながらその姿勢にふさわしい作品を満載している で、とても虚構の筆とは思えない。彼らはタイム・トラベラーなのとはいいがたいが、その誕生自体に大きな効用が認められるのであ だろうか ? 親子二代にわたって同じ光景を目撃し、それを現代のる。 読者に伝えようとしているのだろうか ? たとえば埴谷雄高の『闇のなかの黒い馬』 ( 河出書房新社・ 12 0 0 円 ) を、いわゆる《 Speculative Fiction 》の一例として紹介し 新しい雑誌〈季刊 Z>-cnv-v 〉が誕生した。巻頭で山野浩一 たら、読者はどう反応されるだろうか ? これは主として〈文芸〉 がこう宣言している。 「が《 Science Fiction 》から《 Spe- に発表された九つの連作短篇 ( 第一作は六年前にこの欄で取上げ culative Fiction 》に名を変えたのは最近である。名を変えたとはい た ) に駒井哲郎の銅版画十一葉を添えてまとめられた豪華本であ

9. SFマガジン 1975年7月号

説で、「わたしはこの本を、たんに大正中期のひとつの実験記録と前 8 世紀ごろこの彗星によって軌道を乱された火星が地球に近づい してのみ読みたくない。これは現代のわれわれに訴える本なのであてやはり世界的災害をもたらしたあげく、彗星は現在の金星となっ という″仮説″を、旧約聖書をはじめ、世界各地の神話・伝 : それはこた る。未来を考える姿勢を教えてくれる本なのである。 んにちの社会科学・人文科学にとって、もっとも挑戦に値すゑそ説・古記録をふんだんに引用しながら組み立ててみせた驚くべき労 してもっとも意味のある課題なのではないか」と書いているが、ま作だ。現在の天文学からみるとおかしいところも多いが、邦訳版で ったく同感である。″未来屋″をもって任じるファンにおすす 600 ページを越すこの本で著者が試みた胸のときめく″仮説の めしたい。 構築作業は、ファンの心を惹きつけずにはおかない。 ・ 0 ・クラーク『未来のプロフィル』 (PROFILES OFTHE ①日本の海外進出②未来論の流行③スペース・オペラの復活 FUTURE,58 ・早川書房・ 360 円 ) は、最近の未来論プームの中④同人誌の激増⑤視覚文化の滲透。 66 年の日本の界と、それを取巻く環境を、大ざっぱに整理 での貴重な収穫である。かって本誌にその一部が連載されて好評た ったから、内容の多彩さについては改めて紹介するまでもないだろすると、こんなことになるだろうか。 う。「予言というものが多少なりとも可能なのは科学技術の分野だ けだ」と主張するクラークは、柔軟な発想で、未来の交通機関や宇質問「あなたはシェ・イクスピアを読んだことがありますか」、 宙開発について語り、かっ透明人間、時間旅行、重力制御、テレポ質問「熱力学の第二法則を知ってますか」この二つはほぼ同じレ ーテーション、宇宙生物との通信、人間縮小などの″科学的″可能ベルの質問だが、二つとも即座にイエ久と答えられる人は非常に少 ない、と O ・・スノーは『二つの文化と科学革命』 (THE TWO 性について検討している。クラークは、アシモフらとともに、 による現代へのアンガージュマン″の役割を見事に果たしている CULTURES; AND A SECOND に 00K ) 64. ・みすず書房・ 3 00 円 ) の中でいい、文学的知識人と科学者とがあまりにも離れす といえよう。この種の読みものの白眉であり、実に楽しい ヴ = リコフスキー『衝突する宇宙』 ( WORLDS IN COLLISION, ぎてしまっている現状に、警告を発している。この両者のあいだに 50 ・法政大学出版局・ 860 円 ) は、″なっかしの名作〃の年ぶコミュニケーションを回復し、対話を復活させよう、そのためには りのリスイ・ハル版である。発売当時、あちらでベストセラーになつまず教育の改革が必要だ、とスノ 1 は主張する。筆者は、作家であ て賛否両論の大反響を巻きおこしたことはご存知だろう。「歴史時ると同時に、英国技術省の政務次官であり、「働く時間を科学者と 代に起こった天界の戦いを記した本」 ( 序文 ) であり、その内容は共にし、夜には文学上の友達のところへ行く」日常を送っているか 紀元前世紀ごろ木星から生まれた大彗星が地球に接近して旧ら、文学と科学の橋渡しを唱えるにふさわしい人物だ。 1959 年 約聖書などに記されているような大異変をひきおこし、さらに紀元 5 月にケン。フリッジ大学でこの主旨の講演を行なうと、がぜん大き

10. SFマガジン 1975年7月号

の中に混じっているとは、ばく自身探してみるまで知らなかった よ、ミネレヴァ。 船に積みこまれてから、ざっと二十年はたっていたに違いない。 子供たちは外見どおり健康そのものだった。ジョウがちょっとし た歯の治療を必要としただけだ。小さな虫歯が二本あったのだ。・ほ彼女はいわれたとおり・ほくに生理が来たことを教え、ぼくは罐を くは、リータについて仲買人の主張していたことが正しかったことあけてやらなければいけなかった。彼女も弟もあけかたを知らなか ったのだ。彼女は中に一緒に人っていた小さな伸縮パンティーに大 に気づいたーー・完全な処女で、半月状の処女膜は破れていなかった から、・ほくはいちばん小さな鏡を使った。彼女は文句もいわず喜びし、必要のないときでもしばしばそれを身につけて " お洒落。 彼女は、着るということになると夢中だったのだ。という 緊張もせず、ぼくが何を調べているのか尋ねもしなかった。ぼくはをした。 , かれら姉弟が、規則的な検査と他の医学的処置を受けていたものとのも、奴隷だ 0 た彼女はそれまでおのれの虚栄心を満足させる機会 判断した。プレスドの奴隷がふつう受けているよりはるかに高度なに一度も恵まれなか 0 たからだ。ぼくは、それを身につけるたびに 必す洗うことという条件つきで、彼女にお洒落を許してやった ものをだ。 ・ほくは、こと清潔に関すると容赦しなかった。かれらの耳を調べ、 リータの歯は三十二本で完全な状態にあったが、最後の臼歯はい っ生えたんだというぼくの質問に、彼女は答えられす、たた「そん爪が汚れていれば、洗 0 てこいと食卓から追いたてた。かれらは豚 な昔じゃあねえだよ」と、いうだけだ 0 た。ジ ' ウの歯は二十八本以上の訓練は受けていなか 0 たのだ。リータは二度同じことを注意 で、顎には親知らずの生えてくる余地がほとんどなかったから、・ほされたりしなかったし、弟のあらさがしをして、かれも・ほくの基準 にかなっているかどうかを確かめた。・ほく自身、自分に対してきび くは厄介なことになるのを覚悟した。しかし、エックス線写真をと しくなっていることに気づいた。汚れた爪で食卓につくことができ ってみると、生えてきそうな歯は一本もないことがわかった。 ・ほくはジョウの虫歯をけずって充填し、ヴァル ( ラに着いたらそなくなったし、眠いからといってシャワーをさ・ほるわけにもいかな ぼくが規則を作ったのだから、それに従って生活しなけ の詰め物を取り去って組織を再生してもらうこと、そして将来のた めに予防接種を受けることとメモしておいた。ヴァルハラの歯科医ればいけなかったのだ。 彼女は料理と同じく裁縫もまるでできなかった。だが、好きこそ 術は、・ほくなどよりはるかに優秀なのだ。 リータは、この前の生理がいつだったのか答えられなかった。彼ものの何とかいうやつで、自分でお・ほえてしまった。・ほくは派手な 女はジ ' ウと相談した。ジョウはふたりが故郷からつれ出されて何色の取引用布地をいくらか見つけて、彼女を喜ばせてやったーー・・そ 日になるか指おり数えようとした。生理があったのはその前たったしてそれを飴と笞に使った。お行儀がよければ、そのご褒美に服を と、ふたりの意見が一致したからだ。これからはそのたびに必ず教着てもいいというわけだ。・ほくはそのやりかたでーー・・まあ、ほとん どーーー彼女が弟にやかましく小言をいうのをやめさせた。 えろと、ぼくは彼女に命令した。そうすれば周期を決めてやれる。 その手はジョウにはきかなかった。服などには興味がなかったの ・ほくは生理用ナプキンの罐を彼女に与えた。そんなものが緊急用品 3