たちも明日の朝は遅くまで寝ているんだそ。船の日課を始める前にむけたのだ。かれがヴァル ( ラで手に入れた器具と用品は、トール はまず休まなければな。 ハイムにあるフリッグ寺院のそれとあらゆる主要な点で匹敵した。 ぼくはふたりがぼくの体を洗い、眠るまでマッサージするのにまその寺院では一日に五十人の赤ん坊が生まれることも珍しくなかっ かせた。かれらは規律を破りはしなかった。ぼくはふたりにマッサたのだが。 かれは、自分が船に積みこんだがらくたの山を見て苦笑した。お ージの手ほどきをすこししておいたんだが、ジョウは特にうまく おぜいの赤ん坊を取りあげるのに素手しか使わなかったオルマズド て、しつかりともんでくれるが肌には柔らかにあたった。かれはリ ータが妊娠して以来、毎日彼女をマッサージしてやっていたんだの田舎医者を思い出したのた。妻が良人の両膝のあいだに坐りこむ あのレストランで長時間働いていたあいだでさえだよ。 と、良人は彼女の膝を広く高く引っぱりあげる。そしてヒュー だが、ミネルヴァ、それほど疲れていなかったら、ばくは自分をト先生は、ふたりの正面にひざまずいて赤ん坊を受け取るんだ。 頼っている女性についての規則を破っていたかもしれないな。 本当だよーーーしかしかれは常に、頑丈な馬が運べるだけの装備を ( 省略 ) 運ばせることにしていたのだ。たとえ、万事うまくいって一度もそ 産科学および婦人科学の勉強をしなおすため、・ほくはトールの鞍袋を開かないとしても、だ。そこが肝心なところなんだ。事が ハイムにある限りのテープ、書籍を手に入れ、さらに船内では必要うまく運ばない場合にそなえ、手もとに必要なものを用意している ってことが、さ。 なさそうな器具類や用品まで買いこんだ。新しい技術をすべてマス ターし、少なくとも大昔にオルマズドで田舎医者だったころと同じ トールハイムで買った品物のひとつは非常事態用のものではなか ぐらい赤ん坊を取りあけるのに熟練するまで、・ほくは船室に閉じこ った。最新式の改良型分娩椅子で、握りと、詰め物の入った腕支え があり、足や背中の支えは平行移動および回転用の三つの軸によっ にくは自分の患者から目を離さず、彼女の食事献立を監視し、連て各々別個に調節できる。そのコントロール装置は、産婦にも産婆 動させ、内臓の診察を毎日おこなったーーーそして過度の親密さは禁にも容易に動かすことができ、窮屈な格好をすぐ解除できるように 止した。 なっていた。それは驚くほどどんな格好にでも考えられる機械工学 の精華で、母親の姿勢を本人自身の手で、あるいは他人の手で変え ラファイエット・ヒュ ート医学博士にして、アーロン・シェられ、決定的瞬間に産道を垂直かっ可能な限りに広げられるものた っこ 0 フィールド船長、最長老、その他でもある男は、ひとりの患者に ついてずいぶん心配していた。だがかれは、それを彼女とその良人ヒュー ート・シェフィールド医師は自分の船室でそれを組み立 に気づかせることなく、当時の技術で知られていた分娩時のあらゆてると、たくさんの調節装置をいちいち調べ、うきうきと歌い出し る非常事態に対する計画をたてることへ、おのれの不安を建設的にたーーそしてもう一度それを眺め、眉をひそめた。たいした道具だ ファック 202
生音楽と演芸を楽しんだ・ーーそのあと小さな店によってお茶を飲んさしていたんだ。本当のところジョウはナイフを使えなかったのだ・ だが、そこはジョウの働いていたところであり、かれは主人に「やが、そこの娘どもはそんなことを知らなかったし、われらの美しい ヘル・ラング」と呼びかけら尻軽娘が彼女直属の狼ふたりに側面を守られているので、だれひと あ、おまえか ! 」のかわりに「フリー りちょっかいを出そうとしなかった。 れーー・そして自分の美しい、腹の大きな花嫁を見せびらかすことが 夜は短かったが、あくる朝は早起きだった。われわれは一日 できた。 そう、彼女は美しかったよ、ミネルヴァ。ヴァル ( ラでは男も女中、貨物の積込みをおこなった。リータが積荷目録を受け持ち、ジ 、ようのない ョウが数を調べるあいだ、・ほくはごまかされていないかどうかを確 も、重苦しい戸外用の服の下には、パジャマとしかいし かめた。その夜遅くぼくは船を次空間に入れ、操縦用電算機にラ 室内着をまとっている。女と男ものの違いは、材料と仕立てかただ ンドフォールへの最初の航路のため小数値の最後まで出させてから ーティ用の服を買ってやってい けだ。・ほくはふたりにそれそれ、。、 た。ジョウはスマートだったし、・ほくもなかなかのものだったが、疑似重力発生装置を動かし、ヴァル ( ラの地表重力から快適な四分 リータが赤 みんなの視線はリータだけに注がれていた。彼女の体は両肩から・フの一 ch にまで、ゆっくりと船内重力を下げていった ーツまですつぼり覆われていたがーー、技術工学的な意味ではそうでん坊を生むまで自由落下はなしだ・ーーそして操縦室に錠をかける も、実はすきとおっていたんだ。その ( レム風な衣裳はオレンジ色と、船室にむかった。体は臭く、疲れ、風呂は明日でいいと自分に しし聞かせていた。 に、緑色に、金色にと、刻々と色を変えながら輝きわたったし、だ かれらの部屋のドアが開いていたーーー寝室のドア、・ほくがふたり れでも見ようと思えば、彼女の乳首が興奮にかたくなっているのが 見えたーー、そしてだれもが、彼女を見たがったのだ。出産まであとの船室をつづき部屋にするまではジョウが使っていた部屋のほう ・こ。ドアは開き、かれらはべッドにいたーーーふたりがそんなことを 一一カ月しかないという明らかな事実は、彼女が″ミス・ヴァル ( したのは初めてだった。 ラ″に選ばれるための票を一層ふやすことになった。 その理由はすぐにわかった。かれらはべッドから急いで出てくる 彼女はこの上なく魅力的に見えたし、自分でもそれを知ってい と、・ほくのほうへゆっくりと近づいてきた。ふたりは・ほくにも楽し た。彼女の顔は幸せそのものだった。そして自信にあふれていた。 ・ほくに感謝したかったからだ というのもぼくがこの惑星におけるテー・フル・・マナーや立居振舞いみに加わってほしがった について、ひととおりのことを教えてあったし、彼女はすでに一度ティの一日に対して、自分たちを買ってくれたことに対して、その 他のすべてのことに対してだ。かれのアイデアか ? 彼女のか ? もへまをしでかすことなく昼食をすませていたからだ。 彼女に自分を誇示させ、沈黙を、またときには喝采を楽しませてぼくはそれをつきとめようとはしなかった。ぼくはただふたりに感 も、心配はなかった。すぐに出発しようとしていたからでもあった謝して答えた。へとへとだし、体もすっかり汚れているからね し、ジョウと・ほくは・フーツのてつべんに、これ見よがしにナイフを・ほくが欲しいのは石鹸と熱いお湯と十二時間の眠りだけさーー・きみ 20 ー
こんできた だがぼくは汚ないトリックを使った。プーツを三足は真面目な顔で説明してやった。最初のときは足がふくれていたん 持ち帰り、彼女に選ばせたんだ。二足はあっさりした仕事用の・フー だから安心していいよ。今日は一時間、明日は二時間と、毎日すこ 8 2 ツだが、三足目のは派手な飾りがついているやつで、サイズがちよしずつ時間をふやしてゆき、一日中楽にはいていられるようになる っと小さかったってわけだ。 まで練習すればいいさ、とね。 そこで、地上へ連れていったとき、彼女はきっすぎる・フーツをは 一週間たっと、彼女はほかには何ひとっ身につけていなくても、 いていたし、天気はいつになく冷たく、それに吹雪の最中だった・フーツだけははいているようになっていた。素足でいるよりプーツ ・ほくは天気予報を前もって見ておいたんだ。トールハイムは宇をはいているほうが気持がいいからだ・ーー・驚くことはない、・ほくは 宙港のある町としては、きれいなところだったーーーしかし・ほくは、気をつけて、土ふ・まずにびったりあった靴を選んでおいたんだ そうした場所は避け、彼女の″観光〃にはなるべく薄汚ない場所を妊娠したことと、ふたつの惑星における地表重力の違いでーーー彼女 そり の故郷は〇・九五、ヴァルハラは一・一四だーーー彼女はそれま 選びーーーそれも歩いてまわったんだ。・ほくが手をあげて橇をとめ、 船へ連れてもどるまでに、彼女はすっかりみじめな気分になってしでにくらべて二十キロほど重くなっていたから、足の支えとなるも まい、着心地の悪い衣服、特にプーツをぬいで、熱い風呂に入りたのが本当に必要だったってわけだ。 ・フーツをはいたままでべッドに入らないようにと、・ほくは注意し いとこ・ほしていた。 なければいけなかった。 ・ほくは彼女をあくる日も町へ連れていってやろうか、断わるのは 自由だがといっ・た。彼女は丁寧に断わった。 積荷を選んでいるあいだに二度、ぼくはリータを町へ連れていっ ( 省略 ) たが、彼女を甘やかした , ーーあまり歩きまわらず、長いあいだ立た それほどひどいことをしたわけじゃないよ、ミネルヴァ。・ほくはしておきもしなかった。彼女は・ほくが誘えばついて来たが、いつも ただ本人に疑惑をおこさせることなく、彼女を人目にさらさないよは船内でもつばら読書に精を出していた。 うにしておきたかったんだ。本当をいうとぼくはその派手な・フーツ いつぼう、ジョウは長時間働き、七日に一日しか休みを取らなか を二足買ってあり、一足は正しいサイズだったんだーーーそして、初った。そこで出発の直前に・ほくはかれに仕事をやめさせ、その日を めての外出が終り、彼女が疲れきった両足を湯に浸しているあいだまるまる休みにしてふたりを連れ出した。橇を一日借りきって、本 に、その両方を取り替えておいたのだ。そのあとで・ほくはこう話し当の見物に出かけたんだ。橇は動力ではなくトナカイに引かせるや つだし、その日はよく晴れて明るく、暖かいといってもいいくらい た。彼女がそんなひどい目にあったのは、これまで一度も靴をはい たことがなかったからだ だから、そのこつを知るまで、船の中だった。田舎の洒落たレストランでヨッンハイメン山脈の切り立っ と。 ではいていたらどうだい、 た岩塊が雪をかぶっているのを眺めながら昼食を取り、夜は市内に さっそく試してみた彼女は、あまり楽なのでびつくりした。ぼくあるもっとも高級なレストランで最高の食事と、それにふさわしい
・ほくは話をやめて、エステルズ・キッチンに電話をかけた。リー ネルヴァ。とにかくセカンダスのクラウンに直しても無意味だ。相 当の額だったことはたしかだよ。 タが答え、映像を入れ、最上の徴笑を浮かべた。 リータとジョウのことには何もふれておらず、小切手のサインは「アーロン ! ずいぶん長いあいだお目にかかっていませんわね」 。ほくはそのとおりと答え、それからしばらく会わないうちにどう その弁護士のものだった。それでぼくはそいつを呼んだ。 会ってみるとそいつは尊大なやつだったが、別 にぼくは驚かなかやらきみたちはすっかり頭がおかしくなったようだなと、つけ加え った。ぼく自身がそこの弁護士だったからだ。もっとも開業はしてた。 「ここに弁護士が送ってよこしたわけのわからんものがある。おか いなかったがね。かれは、秘密にと依頼された人のために働いてい るというだけだった。 しな小切手と一緒にだ。もしそこまで手をのばせたら、きみのお尻 リータ。ジョウと話させてくれ、そ そこで・ほくが法律用語をまくしたてると、かれはとうとうロを割をびしやりとやるところだそ、 り、・ほくがその小切手の受取りを拒否するかもしれない場合にやるのほうがよさそうだ」 べきことを指示されているとだけ情報を洩らした。その場合は、そ彼女は幸福そうに徴笑してぼくにいった。いつでも喜んでびしゃ りとやってもらいたいし、ジョウがこの場にいたらすぐに替わるん の小切手だけの額をある指示された団体に寄贈し、そのあとでぼく だけれど、と。それから彼女の微笑は消え、真面目な敬意を見せて にそのことを知らせることになっているのだ。 栄華をきわめた火星王朝の美しい 王女ルリチョ姫は誘拐された。」 説によるとルリチョ姫は類いま れなき醜女で、淫乱娘だったとも いわれているが、この真実を語る ものは、遺された火星語の日記〈王 女の宝物蔵〉以外にはないのだ ガ : : : 。表題作ほガ編わ 矢野徹著 マシスン / プラッドベリ / テン他 - 伊藤典夫訳編・ 800 円 傑作短編集☆ ・最新刊ク・ 750 円 豊田有恒著・ 750 円 1 ヴィデオ 2
づき、それを分かちあっているふたりに深い幸福を与えつづけるこぶつかるべき困難なことが何度もおこるだろうからだ。″弱虫ライ ともあり得るんださ。 オン″の勇気と、″かかし″の知恵と、〃・フリキの木樵り″の優し ・ほくが、さかりのついた無知な若者だったころ、これはどうにも、、 し心と、ドロシーの不屈の意志とを必要とするだろう重大な困難 不可解なことでしかなかったね この言葉にリータは泣き出し、ジョウもまた涙をこ・ほしはじめた ( 省略 ) それこそ・ほくの求めていたことだったから、・ほくはふたりをひ ・ほくはできるかぎり荘重に、儀式ばってことを運んだ。人間 とは象徴によって生きるものだ。・ほくはふたりに、このときのことざまずかせ、かれらのために祈りを唱えた。 、、ネルヴァ、・ほくは偽善に対する弁解はしないよ。なんらかの仮 をお・ほえていてほしかったんだ。・ほくはリータに、彼女の考える最 もいい衣裳をつけさせた。彼女は飾りたてたクリスマス・ツリーと定上の神が・ほくの言葉を聞いているかどうかなどということも気に いうところだったが、・ほくは彼女に美しいといってやったーー・事しなかった。聞いてほしい相手はリータとジョウだったからだ ギャラクタ 実、美しかったのだ。花嫁はどんなことがあっても美しくなるものまず・フレスドの方言で、つづいて英語と銀河標準語で、思い出せ なんだ。ジョウには・ほくの服から選んだものを着せて、それはかれる限りのアイネーイス ( ウ = ルギリウス作の叙事詩、トロイ戦争の勇士ア に与えた。・ほくはまったく馬鹿げた船長の制服を着た。こういうナイネ 1 アスの流浪 ) の詩句を朗唱して最後をしめくくった。言葉につ ンセンスなことが習慣になっている惑星に着陸するとき使うためにまると、・ほくは学生の歌でそこを埋めた。 持っていたやつだーー袖口に四本の太い金色の紐、胸には質屋で買 0 一ゴ bene った勲章がきらきら光り、ネルソン提督もうらやむような正装用三 Sine poena, 角帽に、ほかの部分も秘密結社の団長そこのけの突飛さだ。 Tempus est ludendi; ぼくは、厳粛だが無意味で滑稽な文句をいつばいつめた説教をか Venit hora れらにした。その大部分はかれらが知っている唯一の教会、・フレス Absque mora, ・ほくには容易なことさ、・ほく自 トの国教から取ったものだった Libros deponendi 一 ・ - まくは、それにあらゆるものを 身が司祭だったんだからねーーーたがに つけ加えた。ノ 彼女には良人への義務を、かれには妻への義務を、そ * すべてよし してふたりともに対しては、彼女の腹の中の子供と、さらに以後も 罰はなし、 生まれてくるだろうほかの子供たちへの義務をーーーそして、ふたり いまぞ遊ばん のうち主に彼女に対して警告を与えた。結婚は容易なものでなく、 時は来たれり 遅れることなく 軽々しく入っていくべきものではない。な・せなら、ふたりが一緒に 埠 7
その限りではうまくいったんだ。かれらはぼくのいったとおりに経験があるんだ。いいのがれはやめたまえ」 「ラザルス、人間は限界なしの責任を負うことはできません。限界 2 し、いかがわしいはまったく立っていなかった。そして、メゾン 2 ・ロングの計画を立てた夜がやってきたーーそのとき・ほくが名づけなしの罪悪感が耐えがたい重荷となって、発狂でもしてしまわなけ 親となった息子は十三で、とっくに好奇心を抱いていたし、妹は十ればです ~ あなたはリビイの両親に忠告できたはずですが、そこま 一で、そろそろ好奇心を持ちはじめていた。ふたりは完全なきようでの責任を負うことすらなかったと思いますわ」 ・こいだから、遺伝的に危険であり、かっタブーを犯すことになる組「うん。きみのいうとおりだな、ミネルヴァーー・あまり完全すぎて ナまくは、救いがたいおせつかい焼きなんだ。 合せだ。小大を育てたことのある人間ならーーーおおぜいの子供をでうっとうしいよ。・こがに もいいーー。少年というものが、町を行く少女に対すると同様、自分十四年前、・ほくはいうなら、二匹の小犬に背をむけた・ーー・その結果 の妹に対しても欲情することを知っている。そして、妹に接近するが悲劇にならなかったのは、まったくの幸運だ。いまふたたび同じ 問題に直面してみると、こんどこそ悲劇になりそうだった。・ほくは ・ほうが容易なんだ。 そして小さなリビイは赤毛の小妖精で、十一という年の割にはあ″道徳〃のことなどまったく感じなかったーーそれは、意図するこ まりにもセクシーだから、ぼくでさえ欲情しかねなかった。もうすとなく人を傷つけるのを避けるための無器用な法則でしかない。も ぐ彼女のおかげで、牧場の雄はどいつもこいつも地面をひっかき鼻しこの子供たちが″お医者さんごっこ″だの″赤ちゃん作り″だ の、その他なんであれ土地の子供たちがいうところの実験なるもの 息を荒くするようになるといったところだったんた。 岩を動かした男は、それにつづいておこるなだれを無視することをすることなど、・ほくはいっこうにかまわなかった。・ほくはただ、 小さなリビイに奇形児を生んでほしくなかったのだ。 ができるだろうか ? 十四年前に・ほくはふたりの奴隷を自由にした そのひとりがつけていた貞操帯が、人間の尊厳についての・ほくそこで・ほくはくちばしをつつこみ、かれらの両親とそれについて の信念に逆らっていたからだ。その奴隷が生んだ娘に、なんとか貞の話合いをしたんだ。リータとジョウの遺伝に対する知識といった 操帯をつける方法を見つけなければいけないのか ? われわれは堂ら、豚の政治に対するそれと変りなかったという事実を、つけ加え ぼくの責任は何だったんだ、ミネルさせてほしし 堂めぐりをしているわけだー 、。″リビイ″に乗っていたとぎの・ほくは、不安を自分 の胸にしまいこんでいたし、その後もそんなことはおくびにも出さ ヴァ ? ・ほくが最初の岩をおしたんだ」 ずにいた。自由市民としてかくもめざましい成功をとげたにもかか 「ラザルス、わたしは機械です」 「ふん ! 道徴的責任について人間が持っ概念は、機械のそれとはわらず、かれらはほとんどの問題に無知だった。当然なんだ。ぼくは 違うといいたいんだな。きみが人間の娘で、びしやりとゆれるだけふたりに読み書き算術と、二、三の実際的な技術を教えただけだ。 の長い尻を持っていればと思うよーーーそうしてやるからな ! きみそしてランドフォ 1 ルに到着して以来、ふたりは笞に追われるよう の貯えている記憶には、どんな人間よりも多くの判断の基準となるにして走りつづけてきたんだ。かれらには教育のギャップを埋める
だろう。もし彼女が子供をせおい、そのうえ妊娠していたら、着陸ぼくはそんなことがおこってほしくなかった。妻を寝取られた男が したその日のうちに結婚することもできたはずだ。その惑星は人口はやす角は、かならずしも頭痛をともなうものではない。しかしか が少なすぎるので、子供を生める能力が尊敬されていたのだ。 れには、成長し、成熟し、自信を身につけるための時間が必要だっ ぼくは彼女がそれほど早くジョウを捨てるとは思わなかったが、 た。そのあとなら、寛容と威厳をもって角をはやすこともできるの しかしあまり多くの男に注目されることでふらふらしたりしてほしだ・・・ーーーそしてリータは、すごく立派な枝角をかれに用意してやれる くなかった。彼女がジョウをおいて、どこかの金持の・フルジョワとほどの女だったのだ。 ホルグ ・ほくはかれに仕事を見つけてやった。真珠採りの潜水と小さな料 か自由所有権保持者と一緒になるかもしれないというような万に一 つの危険もおかしたくなかった。・ほくはそれまでに、ジョウの自我理屋の雑役で、ジョウがヴァルハラ料理の正しい作り方をひとつお を育てあげるためにずいぶん苦労をしていたが、それはまだまだ脆・ほえるたびに金を払うからと、コック長と秘密の取引きをしておい たのだ。いを っ・まう彼女のほうは船内に引きとめておいた。ちゃんと 弱で、そんな打撃のもとではひとたまりもないものだったのだ。か れはいまや背をのばし胸を張って誇らしげに立っていた だがそした衣服を手に入れてやれるまで、妊娠した女が好ましくない気候 いきは・ほ の自尊心は結婚した男であるということに基づいていたのだ。妻がのところへ出てゆくのは危険だというロ実を設けてだ リータ。積荷のことで手が一杯なんだ、 あり、子供がやがて生まれてくるということにだ。かれらの結婚証くの邪魔をしないでくれ、 明のために・ほくが自分の名前のひとつを与えたことは話したかい ? といってね。 われわれがヴァルハラに滞在しているあいだ、かれらはいまやフリ 彼女はほんのちょっと口をとんがらせただけで、それを承知し ヘル & フル・ラングであり、ジョセフとスチェルンであり、・ほく た。いずれにしろ、彼女はヴァルハラが嫌いだった。そこは七分の は少なくとも数年のあいだ、ふたりにミスター & ミセス・ロングの 一 ()5 だったが、・ほくはかれらを自由落下という贅沢に慣らしてあっ ままでいてほしかったんだ。 たーー彼女のふくらんでくる腹には楽だし、土ふまずにも、大きく ) 、、ネルヴァ、・ほくはふたりに一生の誓いをさせた。かれらがそれなりつつある乳房にも、まったく力がかからなかったんだ。それが を守るだろうとはすこしも信じていなかったがね。ああ、短命人種いま彼女はとっぜん、自分が前より重くなっていることに気づき、 の中には結婚を一生つづける連中もいる。だがそのほかの多くにつ体を動かすのは不自由で、足は悲鳴をあげていた、。船の入口から見 えるヴァルハラは、まるで凍りついた地獄だった。ふたりをランド いていえばーー羽根のはえた蛙などそうたびたび見つけられるもの フォールへ連れていこうという・ほくの申し出に、彼女は喜んだ。 じゃあない ( 非常に珍しいの意 ) 、そしてリータは無邪気で人なつつこ く、セクシーな小娘ときているから、そのつもりもなく尻軽に両足それでも、ヴァル ( ラは生まれてはじめて見るよその世界なの をひろげてお寝んねということになるだろうーーそうなることは目で、彼女はそこを見たがった。ぼくは積荷をおろすまで時間を稼い でから、彼女のサイズを測り、その惑星用の暖かい衣服一式を買い に見えていた。ジョウに基礎的なことを教えこむ機会がくる前に、 フリー つの