感じ - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1975年8月号
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1. SFマガジン 1975年8月号

完全にひと巡りしている、十キロ幅の暗い帯です。氷のように見えしてかれこそ、これからくり出される探険隊の隊長となるべき男で るので、これには〈円筒海〉と名づけました。そのちょうど真ん中あった。 「ペレラ博士、何かおっしやりたいことがおありと思いますが ? 」 に、約十キロ長、三キロ幅の大きな楕円形の島があり、表面は高い ポース大使は、長老的な科学者であり、この場でただ一人の天文 構造物で覆われています。 . オールド・マンハッタンに似た感じなの で、 . これには = = ーヨークと名づけました。もっとも、これは都市学者であるデヴィッドスン教授に、最初の発言権をあたえるべきだ とは思えません。むしろ巨大な工場か、化学処理場のように見えまったかな、とちらりと思った。だが、この年老いた宇宙論学者はま だ、軽いショック状態から醒めやらず、明らかに平静を失ってい す。 しかし、都市ーーでなくとも、町のようなものはあります。少くた。かれはその全職業的生涯を通じて、宇宙を巨大で非人格的な重 とも六カ所あって、もし人間用に建てたものなら、それそれ五千人力と磁力と放射線とがせめぎあう闘技場と見なしてきた。自然の大 系の中で、生命が重要なひと役を演じているなどということは決し 北京、 は収容できそうです。われわれはこれらに、ローマ、 ・ : これらの町て信ぜず、地球や火星や木星などに生命が出現したのは、ほんの気 モスクワ、ロンドン、東京という名をあたえました : まぐれな偶然に過ぎぬと考えていたのである。 はハイウェーと、鉄道網のようなもので連結されています。 しかし、いまや太陽系の外には、ただ生命が存在するどころか、 この凍りついた死の世界には、その研究調査に何世紀もの年月が 必要なほど、研究材料がたくさんあるに違いありません。探険すべ人類がすでに到達した高みより、いや、今後何世紀もかかってよう き広さは四千平方キロもあるのに、それをやる時間はたったの数週やく到達できそうな高さより遙かに高い場所にまで登りつめている 間。これでは、中へ入ってからというもの、ずっと私につきまとっ生命が存在する、という厳然たる証拠が突きつけられたのだ。その て離れぬ二つの謎の答えさえ、得られるかどうかーーーっまり、これうえ、ラーマの発見は、教授が長年説いてきたもう一つのドグマに を造ったのは何者で、どこがどう狂ってしまったのか ? の二つのも挑戦した。問いつめられれば、かれとてもしぶしぶ、おそらく生 命が他の恒星系にも存在するだろうとは認めたが、それが恒星間の 疑問です」 記録はそこで終りだった ~ 地球と月の上で、〈ラーマ委員会〉の深淵を押し渡れるなどと空想するのは愚かなことだ、とつねづね主 面々は、からだを寛がせ、それから目の前に拡げられた地図や、写張して譲らなかったのである : おそらくは、さすがのラーマ人も実際には失敗したのだろう。か 真を検討し始めた。かれらはすでに何時間もかけて研究していたの だが、ノートン中佐の声が改めて、映像では伝達の不可能な一つのりに、かれらの世界はいまは墓場と化した、と信じるノートン中佐 奥行きをあたえてくれたのだ。中佐は実際にそこにいた , ーーこの異が正しければの話だが。しかし、少くともかれらはこの離れ業を、 常きわまる裏返しの世界に太古から続いた夜を、照明弾が照らし出その結果に強い自信を抱いていたことを暗示するスケールで、試み した短い数瞬の間だけとはいえ、じかにその目で見渡したのだ。そたのだ。一度おこったことならば、一千億の星を数えるこの銀河系

2. SFマガジン 1975年8月号

多分、そんな感想を聞かされるのだろうと予期していたシゲイゼクテアたちが自分たちの信じる通りやっていることに、残酷も何 もないのではないでしようか ? かれらは、かれらの流儀で生きて は、一応、そう相槌を打った。 いる。わたしたちと本質的には同じことを、かれらの方法でやって グレイスは、少し目を細くした。 いると思えば : : : 気が楽になったんです」 「でも : : : わたし、何度も見ているうちに、これでいいのだ、とい 「ーーーなるほど」 う気がして来ました」 ゼクテアたちの世界、か。 「と、いうと ? 」 そうなのだ。そのことは分っているつもりでいる。いながら、自 「あの、わずかな休息と睡眠のための蹴落としあいは、たしかにひ どいものです。だけど : : : 本質的には、わたしたちと同じことをや分は時折、それよりもおのれの司政官としての立場を優先させてい と、彼は、ふと思った。 るのかも知れない っているんじゃないでしようか」 ちょっと、沈黙があった。 「わたし、近いうちに、ここを去るかも分りません」 「わたしたちのそれは、ただ、時間的尺度が大きいだけでしよう ? 自分が生存して行くため、他人より有利な地点を占めるため : : : 本と、グレイスがいった。「数日後に飛来する貨客船に空席があり 質的には同じですわ。わたしたちよりもっと時間的尺度の大きい優そうだと、宿舎の係のロポットが教えてくれました。それに乗ろう かな、と思っています」 れた生物の目から見たら、わたしたちも、ゼクテアと大差ないのでは ないかしら。いえ : : : それが当面の、ぎりぎりの場でおこなわれる竸「ーー・行ってしまいますか ? 」 、ようなんです」 「そのほうがいし 争でないだけに、余計に残酷で、余計に空しいものかも知れません」 グレイスはほほえんだ。「どうせわたしは短期滞在者だし : : : そ 「そうかも知れない」 シゲイは頷いた。そういう考えかたもできることはできる。だがれに、このところ、あたらしい作品が出来ないんですー このグレイスが、そんな風に平静に受けとめられるようになる「出来ない ? 」 「な・せでしようね」 に至ったのが、彼には不思議だった。 グレイスは、視線をそらして呟いた。 「わたし、考えたんです」 グレイスはいった。「はじめは、とても耐えられない、見ていらうなんです」 「それはーー」 れないと思っていたんですけど : : : そのうちに悟りました。ここは、 あるいは、自分と何か関係があるのだろうか、といいかけて、彼 この世界は、あの人たちーー・ゼクテアたちのものなんでしよう ? 司政官がいてロポット官僚がいても、ゼクテアたちの世界なんでしは言葉を飲み込んだ。そんなことはあり得ないだろう。思いあがり で、期待過剰だ。そんなことを口にしてはならないのだ。あるいは よう ? それなら、ここでは、ゼクテアたちがしたいようにする、 「よく分らないけど : : : そ 23

3. SFマガジン 1975年8月号

空問の縮小というひとつのテクニックがある。判の この紙面はその比率を同じまま < 判、 < 判にまて縮 4 することがてきる。そしてその比率が歪まないかぎり 丿ンゴはあくまて自然のリンゴておくことがてきる。っ まり植物的成長は空間の縮成長なのてある。

4. SFマガジン 1975年8月号

うなれば、つんぼと謀し合わせて練りあげなければならて、舟に残っているわしらのほうを眺め、ほとんど、わ なかったものかもしれなかったーーー例えば二人でいっししらがやつを見かけなかったかどうかきたがっている ょに姿を隠し、一カ月は月にいようというように。とこという様子だった。 ろが従弟はつん・ほで、彼女が夢中で説明しようとしてい 確かに、あの夜は何かしらいつもとは違うところがあ つもの満月のときのように、膨れあが たことを何一つ理解できずに終ったということだってあった。海面は、い り得るのだし、それどころか、自分が船長夫人の欲望のるというのは愚か、まるで空にむかってアーチをかける 対象となっていることに気がっきさえもしていなかったといった様子とは違って、月にはもう吸引力がすっかり のかもしれないじゃないか。で、船長は ? 彼は細君かとは働かなくなってしまったとでもいうように ( だらし 、ら自由になれることしか願ってはいなかったのだ。この なく寝そべっているというふうだった。光までがそれま ことは、彼女が天上に追放されるや否や、たちまち自分での満月の夜とは同じものと思われないくらいで、夜の かっての好みに流れ、悪習に身を沈める姿が見うけられ闇が濃くなったのだと言わんばかりだった。むこうで働 いていた仲間たちも、起こりかけていることに気がつい たのである以上、間違いのないところだし、わしらはみ わけ な、彼が何一つ奥さんを引き止めようとしなかった理由たのに違いない、恐怖にみちた目差しをわしらのほうに をそのとき納得したものだった。とは言うものの、月のむけた。彼らのロとわしらのロとから、同時に同じ一つ / " 軌道が遠くなり始めていたことを、彼は初めから、もうの叫び声があがった。「月が遠くなっているそ ! 」 まだこの叫びが消えやりもしないときだった、たちま 知っていたのだろうか ? わしらはだれ一人として、そんなことを考えてみるこち月の上に従弟が、走って姿をあらわした。あわてた様 とさえできなかった。つん・ほは ? 恐らく、つん・ほだけ子もなく、驚いている気配すらなかった。いつものとん : ・】が虫けらのような、彼独特の知覚によって、その夜こそば返りの姿勢で両手を月の表面にのせた。しかし今度 は、空中に飛びだしていったものの、以前 Xlthlx 嬢ち いよいよ月に別れを告げなければならないと予感してい たのだろう。それだから、彼は自分だけの秘密の場所にゃんの身に起きたのと同じように、そこに浮かんだまま 身を隠して、舟に戻るときになってようやくまた姿をあになった。しばらく月と地球のあいだを泳いでいたが、 % らわしたのだ。船長夫人はしきりに彼を追いまわしてい頭を下にむきを変え、やがて、流れに逆らって泳がなけ ノたけれど、無駄だ 0 た。石くれだらけの荒野を、縦横ればならないときのように両腕を一所懸命に動かして、 に、何度となく通り抜け、歩きまわ「ている彼女の姿が異常なのろさで、われわれの惑星にむか 0 て進みだした。 ひと 月では、ほかの水夫たちも大急ぎでその例にならい始 / ノノわしらには見えていたが、突然、あの女は立ちどまっ しめ

5. SFマガジン 1975年8月号

ライ / ・プリーディ 取ってね。きみは、人口の九十パーセントがハワードの人間で、残とにかくわれわれの子供たちは、染色体の減数分裂だの系統育 りのミックスの人間もほとんどが ( ワードの習慣に従っている惑星種の長所短所について、ぼくが子供のころ同じ世代の子供たちがワ を動かしているから、おそらく知らんだろうが、ヨ / 、ワード文化で ールド・シリーズについて話すのと同じくらい詳しく話すことがで は、たとえセックスに開放的な文化であろうと、必ずしも子供たちきたよ にそうしたことを教えるとは限らないんだ。 「すみませんが、ラザルスー・・・ーそのワールド・シリーズというのは ランドフォールはそのころ大部分が短命人種で、ハワードの人間何のことでしよう ? 」 は数千人しかいなかったーーーそして、摩擦を避けるため、われわれ「ああ、別に大したことじゃないさ。・ほくが子供のころ、商業的に は自分たちの存在を秘密にしないまでも、わざわざ宣伝したりはし始められた代理娯楽だ。忘れてくれ、きみの記憶を騒がせるほどの なかったーー秘密にするのは不可能だった。その惑星にはハワードものじゃない。・ほくがいおうとしていたことはこうだ。・ほくはジョ 病院があったからだ。しかしスカイへヴンはいちばん近い都会からウとリータに、・とリビイがセックスについてどれだけ知って ランドフォールには非常に多様な背景が いるのかを尋ねたんだ でもダ = = ル・・フーンの距離 ( ず小ぶん 遠カ 0 た ) があったので、もしロ 1 ラと ・ほくが子供たちにハワード式の教育を受けさせたければ、自分たちあったので、どんな場合も存在し得たし、それにどこから手をつけ ればいいのかを知りたかったーー特に・ほくの長女の。ハテイケイクが で教えるしかなかったんだ。われわれはそうしたってわけさ。 ぼくが子供のころ、故郷の大人たちは子供に対してセックスが存十二歳になると同時に初潮をむかえ、それを誇らしいことと思い、 在しないようなふりをしようと努めていたー・・ー・そんなことを信じらどうも自慢しそうだったからだ。 れるかい ? ローラと・ほくは小さな無法者たちを育てるときに、そ リビイと・ < が、無知な非科学的スタイルで洗練されているこ うはしなかった。かれらは人間の性交を見たことがなかったーーー見とは、両親に匹敵するものであるとわかった。かれらはある点で、 たことがあるとは思わない つまり、ぼくは見物人がいると気分ばくの子供たちより上だった。生まれたときから、少なくともエス が乗らないたちだからさ。だがかれらは他の動物のは見ており、ペ テルズ・キッチンが山の手に移るまでのあいだずっと、性交を見な ットを繁殖させ、その記録を取っていた。年上のふたり、。 ( テイケがら育ってきたのだ・・ーーもとのエステルズ・キッチンの、いまより イクとジョージは、末っ子の誕生に立ち会った。ローラが見ているさらに狭苦しい居住部分を思い出せば、それは当然推測されること だった」 ようにとかれらを招き入れたからだ。これを・ほくは高く評価してい るよ、ミネルヴァ。しかし・ほくが妻たちに強制したことは一度もな ( 七千一一百語省略 ) 。陣痛の際の女性にはできる限り思いどおりにさせるべきだと思「ローラはぼくにきつい口調で、冷静になるまでかれらと顔を合わ うからだ。しかし、ロ 1 ラの性格にはいくらか露出症的なところがせてはいけないといった。彼女は指摘したよ、パテイケイクと・ あったんだ。 がほぼ同じ年齢だということ、パテイケイクは初潮後四年間の不 ソグ メモリー 237

6. SFマガジン 1975年8月号

時間などなかったのだ。 かったのと同じように、・ほく自身の問題で忙しかったんだ。スカイ おそらくさらに悪かったのは、移民であったがために、かれらがヘヴンは、進物用に包装されて・ほくのところへ届けられたものとは その世界における近親相姦のタブーにさらされることなく成長した違うんだよ」 ことだろうな。ふたりがそれに気づいたのは、・ほくが警告したから でーー子供時代からはぐくまれ導かれたものではなかったのだ。・フ「レストラン経営についての話をすませたあと、ローラから子供た レスドにはいくらか異なるタ・フーがあったがーーしかしそれは、家ちへのプレゼントを取り出し、かれらの子供たちの最近の写真を鑑 畜には適用されなかった。奴隷には適用されなかったんだ。奴隷は賞すると、つぎはローラと・ほくの子供たちの写真を見せ、というぐ 命令されたとおりに繁殖するか、それともうまく逃れながら繁殖あいに大昔からの儀式をぜんぶすませたあとでやっと、ぼくはその するかのどちらかでーーーそしてぼくのふたりの子供たちは、最高権ことに気づいたんだ。妖精はもちろんのこと。この背の高い少年が 威者たちに かれらの母親と祭司にいわれたのだーー、ふたりは ・。手足がやたらに長くて、この前やってぎたときに会った小 〃繁殖用のつがい″なのだぞ、と : : : だからそれが悪いもの、タ・フさな坊やではなくなっていた。リビイはローラの長男より一歳ほど ーでも、罪深きものでもあり得なかったのだ。 下だし、・の年齢は分秒のところまで知っているー。ーっまり、 ランドフォールでは、それは単に口をつぐんでいるべきものだっ いうなればかれは、千年ほど昔に、故郷にあった教会の鐘楼である た。なぜなら、そこの住民はそういう問題を持ち出されると頭に来少女との現場をおさえられそうになったときのぼくの年齢と、ほ・ほ てしまうからだ。 同じだったのだ。 だからぼくは、もっと早くそのことに気づくべきだった。そう、 ・ほくの名づけ子はもう子供じゃあなかったんだ。かれは一人前の そのとおりだったんだ ! だがミネルヴァ、ぼくにはまだほかの責若者で、その睾丸はただの飾り物ではなかった。かれがまだ試して 任があったんだ。その年月のあいだ、リータとジョウの守護天使の いないとしても、すでに射精を経験しており、そのことを考えてい 役をしてすごすことはできなかった。ぼくには自分の妻子と、使用ることは確かだった。 人と、二千ヘクタールの農地と、その二倍ものピンクウッドの処女人は死にぎわにおのれの生涯を見るという・ー・ーっいでにいってお 林があったーー・そして、ずっと遠いところに住んでいたんだ。たとくと、それは嘘なんだがーーーいずれにしても、それとそっくりの形 ハイ・オーピット え、高軌道ジャンプバギーを使ってもだ。イシュタルとハマドリで、一さまざまな可能性が・ほくの脳裏を横切っていった。そこで・ほく ャド、そしてある程度まではギャラハドも、だれもかれもがぼくはその問題に、そっとぶつかっていった。外交的手腕をふるって を、一種のスーパーマンのように考えている。理由はただ、・ほくがね。 3 長生きしたからだ。・ほくはそうじゃない。・ほくにはほかのだれとも ・ほくはいったよ。『ジョウ、夜はどちらの子供を閉じこめておく 3 同じ限界があり、何年間も、リータとジョウがかれらの問題で忙しんだ ? リビイか ? それともこの若い娘のほうか ? 』

7. SFマガジン 1975年8月号

もだめだ。この制度は、教会だの国家だのに管理されるはるか以前 ある主題による変奏曲Ⅶ から存在していたんだ。それが役に立つから、それだけのことた。 それにまつわるすべての欠点にもかかわらず、唯一の普遍的テスト ヴァルハラからランドフォールへ 生存ということーーーに照らしてみた場合、結婚は、ここ千年以 上のあいだ馬鹿な連中がそれに換えようと努めてきた無数の発明品 が、かれらのために・ほくのできる最善の策だったんだよ、ミ ネルヴァ。ときどきよく、どこかの馬鹿が結婚というものをなくしより、はるかに役立つのだ。 ・ほくが話しているのは一夫一婦制だけのことではない。あらゆる てしまおうとする。そういう企ての結果は、重力の法則を廃止した り、円局率をきっちり三・〇にしたり、あるいは祈りの文句で山を形態の結婚ーー一夫一婦制、一妻多夫制、一夫多妻制、いろいろと 動かしたりするのと同じことだ。結婚は、坊主どもが考えだして人変化をつけているにしろ複数あるいは延長した結婚のことについて 類に与えたというものじゃあない。結婚は目と同じように人類の進いっているんだ。″結婚。には、無数の習慣、規則、取決めがあ 化にともなう道具のひとつであり、目がそれそれの個人に役立つのる。だが、その取決めがもし、このもししかないのだが、子供を養 、大人にはそれそれが必要とするものを与えあうということであ と同じように結婚は種族にとって有用なものなのだ。 たしかに結婚とは、子供たちを養うため、母親が子供たちを産れば、それだけでそれは″結婚″だ。人類にとって、結婚の数ある み、育てるあいだ、その面倒を見るための、経済的契約だーーーしか欠点に対する唯一の唯一の歓迎すべぎ代償は、男と女がたがいに与 えあえることの中にある。 し、はるかにそれ以上のものなんだ。結婚とは、この動物、ホモ・ ・ほくは″性愛″のことをいっているのじゃあないよ、ミネルヴ サビエンスが、そういったなくてはならぬ機能を果たし、そうして いるあいだが幸福であるようにとまったく無意識のうちにーー発達ア。セックスは罠に餌をつけるが、セックスは結婚じゃあないし、 結婚をつづける理由でさえないんだ。牛乳が安いときになぜ雌牛を させてきた手段なんだよ。 なぜ蜜蜂は、女王、雄、働き手と分かれていながら、なおかつひ買うんだい ? とつの大きな家族として生きているのだろう ? なぜなら、かれら伴侶であること、協力しあう仲間であること、たがいに励ましあ 、ともに笑いともに悲しみ、欠点をも受け入れる信頼、ふれあう にとってはそれがうまくいくからだ。ほとんどうなずきもしないぐ さかな らいのつきあいで、ママ魚とパパ魚はなぜうまくやれるんだろう相手、きみの手をしつかりと握っていてくれる者ーーーそういうもの ころも な ? なぜなら、進化が与えた盲目の力が、かれらにはそれでうまが″結婚″であり、セックスはお菓子をくるんでいる衣にすぎな 。ああ、その衣は実にロあたりのいいものかもしれないがーー・・・そ くゆくとしているからだ。なぜ″結婚″という制度がーーどうよう れはお菓子じゃない。結婚がそうしたロあたりのいい衣を失い な名前で呼ばれようともだーーー宇宙いたるところの人類にあまねく 普及しているのだろう ? 神学者に尋ねてもだめ、法律家に尋ねてたとえば、事故によってだ , ーーそれでも、いつまでもいつまでもっ はんりよ 円 6

8. SFマガジン 1975年8月号

「よろしく」 来ました。私からここでお伝えして、よろしいですか ? 」 グレイスはいいながら、と、ついでにも、手を差「いってくれ」 し出したのである。 「の連絡では、現在司政官が会っておられる人物は、宙港 そして、奇妙なことに、二体のロポットはぎごちない動作ではあで、担当のにも同様の行為をし、はにどう るが、それそれ腕を伸ばして、握手らしいものを返したのだ。 反応すべきかを問い合わせたそうです。は、それが人間どう 「どうそ : : : お掛け下さい」 しの握手と呼ばれる習慣であり、相手に何の危害も与えるつもりの シゲイは表情を変えずに、ともかく、そううながし、自分も腰をない行為であるということから、 (.nQnn に返礼させたとのことで おろした。 す。なお、当人物は宿舎担当ロポットたちにも、同様の行為をしま 「そちらのおふたりは ? 」 した。は、現在、安全が確認される条件下で、かっ、人間の グレイスは、とのほうに目をやってたずねる。 側から握手を求めて来たさいには、それに応じることという指令を 「かれらのことはお構いなく。かれらにとっては、すわっているほ全ロポットに出しています」 うが、立っているときよりも負担が大きいのです」 シゲイは、やや呆れながら、説明するほかなかった。 シゲイは納得した。やはり、がそんなことをしていたため 「そうですか」 に、ロポットたちは、グレイスの司政官への握手を制止せず、自分 グレイスは小首を傾けた。「何だか : : : 悪いような気がするんでたちへのそれを拒まなかったのだ。そして、が、そんなこと すけど」 があったのをとりたてて司政官に報告しなかったのは、その必要が 「かれらを人間と同じように考えてはいけません。かれらは機械でないと判断していたからであろう。今、シゲイが、グレイスに対し す。多くの点で人間よりずっと優秀ですが : : : 機械ですよ」 て手を握り返すのがほんの心持ち遅れたという連絡を受けて、説明 グレイスは、こちらを見た。 することにしたのに違いない。 「それは、分っています」 いや : : : シゲイは突然悟った。 Q 1 は、こんな、握手などを tl それから呟いた。「でも : : : どうしてだか自分たちと同じようにポットに迄求める人物というものを、どういうタイプの人間か、分 接してしまうんです。わたしの癖なんですね」 類することが出来なかったのかも知れないのだ。握手をするとい 「・・ーー・なるほど」 う、その事実だけを伝えるのは、としては不正確だと考えた シゲイが応じたとき、が彼の横に来て、声のポリ = ームをのかも分らない。ほかにも何か、従来は予想されなかった行為をす 落とし、耳もとでささやいた。 るかも知れぬ人物、というふうに、司政官に伝えるべきだと考えた 「ただ今の状況を聞いた rnOb-* が、司政官にお伝えしたいといって可能性もある。そして、それが分類不能のままに、は、彼女 250

9. SFマガジン 1975年8月号

・フレイネスはきまり悪さをごまかすために、自己流といっていいよ 、ハミングで歌いだした。 うな歌にふしをつけ 气つらいこったぜ 宇宙を去るのは ( ファッツは歌っていた ) 气おれたちゃ宇宙のエスキモー つらいこったぜー イグル】のなかは無重力 おれたちゃ宇宙のエスキモー 局長代理は、また思わず知らずたじろいでしまった。「まことに 真空をモグモグかんじまう、恐れを知らぬタカなのさ けっこう」局長代理は鋭い口調で言った。「わたしも嬉しいよ、き みたちがこのことを現実のこととしてうけとってくれてな。だが、 ファッツはガッシーにギターをほおり投げ、そのひょうしに体が そろそろ立ち退きを始めたほうがいいんじゃないかね ? 」 ファッツ・ジョーダンは手を弦のうえでびたりととめた。「どうごくゆっくりと回転した。まわりながら、少し前進運動をやって、 ずんぐりした、うれたパナナの房みたいな指を折りつつ、仲間たち う意味だね、局長代理さんよ ! 」 「きみたちのうち、最初に立ち退く五十人は、そろそろ降下飛行のに一つ一つ指示を与えていった。 準備をしたらどうかということさ ! 」 「誰かが行って、研究のほうの連中に、アートショーも・ハレーも毎 「ああ、そのことね」ファッツは言ってから、考えこんだまま口を金曜日の深夜ジャズの放送もとりやめだと言ってこなくちゃならん つぐんだ。「まあね、つまりさ、局長代理さんよ、そのことならちぞ。聖書講座も土曜のポーカーも同じ。ついでにエジスン班とコ よっと時間がかかりそうだぜ」 ンべア班の友達にこう伝えてやったほうがいいかもしれん。立体チ 局長代理は鼻をならした。「二時間だ ! 」きびしく言って、局長エス・トーナメントは自分たちのところでやらなくちゃならなくな 代理はナイロンのひもをにぎった。これはこのビート村へ踏みこむる、連中が新局長から、おれたちがいなくなったあとの村をはらい とき、先見の明を働かせて、あらかじめ自分のうしろにずっとたら下げてもらわないかぎりは、とねーー・ーまあ、それは無理だと思うけ してきたもので ( ミノタウロスの迷宮のなかへ、勇躍踏み入って行どな。局長はこの村をずっと遠くまで運んで行って、イグルーを射 ったテセウスのようだ。あそこもここと同じくらい悪臭ただよう迷撃演習のまとに使うだろうと思うね。自動パンク止め作用があるか 路だったにちがいない ) 、両手で交互にたぐりながら、緑色のトンら、ずい分と長いこと、こわれずにもっことだろうよ。 だけど、研究のほうの連中には、おれたちがいつ、そしてなぜ行 ネルをくぐりぬけ、さっさとビッグ・イグルーの外へ出て行ってし っちまうのか、ぜったいもらすんじゃないそ。そのへんは神秘めか まった。 ・フレイネスが低い声で笑った。ファッツはそちらへむかって大まして・ほかしとくんだ。 そのあいだに女どもは、地上服をぬいにかかれよ。暖かくて品のい じめにしかめつらをしてみせた。くすくす笑いがすぐにとまった。 ー 02

10. SFマガジン 1975年8月号

運中まで、ひどく無理をしてテープルごしにあれこれ世話をやきは「あんなばかさわぎ、おいやでしょ ? 」 じめた。皿はたちまち盛りすぎでこぼれそうになるし、グラスは極だがその顔は全然反対のことをいっていることを雄弁に語ってい 3 上品の琥珀色のアルメニヤ産のコニャックがなみなみと注がれた。 ミハイロヴィチをとがめるわけこよ、、 冫をし力なかった 3 やつはなるべ その相手をするつもりはなかったが「・袖口をおさえられては逃げ くひかえめな態度をとり、注意をひかないようにしていた。だが、 るわけにもいかなカた よくあることだが、それがかえっ - て火に油をそそぐことにもなっ 「あの人が独り者だというのはほんとですか ? 「かくれない真実ですよ、奥さん」わたしは、自分の腹のうちを見 退屈きわまりない祝辞から逃げるために、妻と踊ることにした。すかされないように表情をつくって答えた。 ところが、妻の席は空っぽだった。 ミハイロヴィチは、わたしと次長に気がついた。群がる崇拝者た 「リダをみかけなかったかね ? 」次長に聞いてみた。 ちから逃げだす口実ができたのをよろこんでいるふうだった。かれ 「わたしも妻を探していたところなんです」笑って答えた。「きつは生々しいかこみを押しわけて出てくると、まだなにか中世の絵画 と同じところだと思います。一緒に探しましようか。奥さんがみつきの話を続けながら、わたしたちの腕をつかんで、あわててホール かればうちのやつもみつかります : : : 」 の出口のほうへ引っ張、っていった。そこの柱の陰で、まだ帰りたく 「どうしてだ ? 」わたしはおどいた。 ないが、時間がないとかなんとかいいわけをいって、そそくさと姿 を消した。 「ほらごらんなさい」次長は意味ありげに眼くばせした。 ミ . ( イロヴィチの声がしていた ~ だが姿は見えなかった。女ども「ミハイロヴィチはどこ ? 」どこからともなく忽然と現われた、わ が人垣をつくって、群がっていた。人だかりの常として、ここでもれわれの妻たちが、ほとんど一緒に同じことを聞いた。 好奇心という法則が作用していた。だれかが興味をもっと、自分も われわれが顔を見あわせると、妻たちは、彼女たちがよくやる見 何事が起ったかどうしても知りたくなる、というやつだ。 えすいた手で、先制攻撃をかけてきた。 ときどき男が寄って行って、ほとんどカづくで妻か、フィアンセ 「いくら呼んでも返事をしないんですもの、妻のことなんかどうせ か、あるいはただのガールフレンド か、を引っ張りだす。するとたどうでもいいんでしよ。仕事か政治のことしか頭にないのよ、あな ちまち後の列にいた女が素早くそのすきまにすべりこんで、あっとたは いうまに人垣はもと通りつまってしまう。 こうなると、叱りつけるなんてことは思いもよらなかった。結局 もっとも、席から離れないで、さりげないふりをしている女性もあたりさわりのない話にもっていくほか手がなかった。おまけに、 いないではなかったが、内心むりをしていた。技術主任の妻もその女どもこよ 冫をいかにも恩着せがましい態度をされた 一人でい通りがかったわたしを呼びとめ、早ロでささやいた。 帰宅する道で、リダはうつかり口をすべらした。 こ 0