情も持っていないはずなのに : ・ ・ : かりに持っていて、何かが育ちは高望みをし ( 例のゴルンスルタの山系には、三十以上もの部族が殺 じめたとしても、それでどうなるというのだ ? グレイスもまた女到しているという ) 、おまけに部族自体としては行動の敏速を欠く 5 2 である以上、本質的にリカと同じではないのか ? もう一度同じこ ため、その無理を、カによる解決ーーー部族間の戦闘という手段に訴 とをやりたくはない。今更何を : : : と彼は、ふくらみはじめたもの えがちなのだ、と、は分析している。シゲイもまた、同意見 を、圧殺しなければならならなかった。 であった。 従って、山越えによる部族内メン・ハ ーの個々の蹴落としあいも、 激甚をきわめているのだ。 ( 観察者たちにとっては、これは予期し なかった拾いものだということになるのだろうな、と、シゲイは苦 ロポット官僚の補修・組立状況連絡書に目を通し終ったシゲイい気分をおぼえるのだった ) は、次の、大陸の原生林調査中間報告にとりかかろうとして、手これが、このまま、蹴落としあいと戦闘による人口減少を経て、 をとめ、立ちあがった。 いつものように新領土にそれそれ落着くのかどうか、また、判断を 午後に入ってだいぶたっ疲れが、全身にひろがりかけている。少下しかねる状態なのである。そうなれば問題はないのだが、何か異 し、外の空気でも吸ってみようと思ったのだ。 例の状況が生じる可能性もあった。あったが : : : 今のところは、何 がおこるか、待っしかないのである。 それに、実をいうと、今、彼は、それほど急いで見る必要のない 大陸の原生森のようすよりも、もっと気がかりな問題をかかえ込待てばいいのだ、と、シゲイは考える。待つだけなのだが : : : 彼 んでいた。 は、そこでまた、・ほんやりと、自分が逃げ場に入り込んでいるのに ゼクテアである。 気がついた。 かれらの最初の部族の移動がはじまってからきようで一週間にな逃げ場 , ーーそれは、グレイスである。グレイスのことを考えてい るが、によればどこか、いつもの定期移動と様相がことなるる間は、ほんのしばらくであるが、厄介な事柄を忘れられるような というのだった。お互い、空いた領土をうかがって一気に目的地へ気になるのだった。おかしな心理だ、と、彼は思う。彼女とは別に 進むのがふつうだというのに、今回は、それが至るところでぶつか深い関係にあるわけでもないのに、彼女のことが頭にある瞬間は、 り合って、つね以上に戦闘となるケースが多く、それをまたおそれかすかな愉悦をお・ほえるのだ。そして、司政官として自分を律して るせいか、各部族の移動の速度がきわめて小さいのだそうである。 いなければならないのなら、内面的な、そんな心理操作で一応の平 これはもちろん、あらかじめ懸念されていたように、前の移動がス静が保てるなら、彼女のことを考えてもいいのではあるまいか、 ムーズに効率的に行われた結果、ゼクテアの全人口が大幅に増加しと、自分にいっているのである。これが邪道であることを、彼はむ たからであった。そのため、各部族ともいつもよりも領土に対してろん知っていた。知っていたが、内面を無理に押し潰すことで外面
本年も、毎夏恒例の ー 975 年 / ハヤカワ フェア」を開催いたします。 本年は、・熱狂的な支持をう 物 崔てけている《宇宙英雄〈リイ・ ま ローダンこンリーズ ) をはじ め、星新一氏の《進化した猿 て 3 たち》小松左京氏の《神への 長い道》半村良氏の《戦国自一房 ( 8 陰 衛隊》光瀬龍氏の《宇宙救助圭 店辧 ~ 隊第一・人 0 年 ) などの話題作 催日 間題作を厳選し、すべてのテ 0 開 1 1 マを網羅いたしました。そ 0 月 れと同時に、現今のプー 国年ムのさぎがとな「た《世界 5 全集》《ハヤカワシ 9 ) ーズ〉【《異色作家短集 などを揃えました。 絶好の消夏読物ですふる ってご来店くださるようお願 い申しあげます。 5 9
かたの型が、そうした世界とは合わないのであろう。 ( いや : : : も ちろん、人によっては、美術や音楽の鑑賞を趣味とする司政官だっ て、たしかにいるし、シゲイの同輩の中には、わずかではあるが、 自分自身で絵を描いたり、楽器を演奏する者だって存在する。が それはあく迄も、司政官という枠の中での、趣味的で上品なも シゲイは、一呼吸のあいだ、沈黙した。 のに過ぎなかった。それも、たいていは、古典的な作品をいじくる 立体表現家 ? むろん、彼は、立体表現家というのが、何であるかくらいは知っのがふつうである。表現家たちが主張するような、日常生活感覚を ている。おのれのイメージを立体の、視覚ないし触覚によってあら破壊し、あたらしい美を、全身で追い求めるというようなことは、 わそうとする人間のことだ。それは、ひとりひとりの流儀によっあり得るはずがないのであった ) そして、このことは、司政官のみ ならず、連邦経営機構の上層メン・ハーとか軍司令官の中に、古来か て、きわめて伝統的な彫刻の場合もあるし、現代技術を駆使して加 らの抜きがたい感覚ーー、・人間にとって第一義的なのは、集団として 工する抽象的なかたちの場合もある。もっとも、ここ十数年間は、 かって一度流行した実体のない 幻像が再び人気を呼んでいるとの生物である人間の、その巨大な動きであり、個人個人の内面世界 は、その時々にある程度容認されたり抑圧されたりするのも止むを いう話だ。 が : : : 彼が立体表現について持 0 ている知識は、大略、その程度得ないという意識が、依然として残存しているのを示しているのか のものであ 0 た。つまり、一般の人間が抱いているのと同じか、あも知れなか 0 た。むしろ、ず 0 と昔にくらべれば、人類というもの るいは、それ以下のことしか知らなかったのである。惑星司政官にの数やその版図がふくれあがる一方の現代では、かえ 0 て強くなっ と「て、そうしたものーー立体表現のみならず、音楽や詩や、そのているのかも分らない。はるかな過去の、 ( それは、しばしば偏執 他感覚刺激テープ、幻覚による物語といったもろもろの、個人のイマ的であったが ) 音楽や美術に対して異常な迄の愛着をお・ほえた国家 元首や最高幹部、さらには将軍などというものが、もはや出現し得な ジネーションから生れて来るものは、必須知識とされてはいない。 いところ迄、すべてが組織化され、巨大化しているともいえるので 司政官にとっては、政治や官僚機構や科学技術や、さらには軍事な ある。その現代上層部の一翼である司政官、どちらかといえば低位 どといった、いわば集団がもたらす構造や作用の、、巨視的なものが 優先し、その中の、司政に不可欠な知識や手続きを、こまかく徹底の存在ではあるが、まぎれもなく一翼に属する司政官が、同じ意識 を持っているのは、当然すぎるほど当然のことなのだ。 的にマスターすることが大切なのだ。それでもなお余力があれば、 そして、実のところ、シゲイ自身、こうしたことを、・ ( 意識の底 自分のやりたいものを追求するという段取りになるのだが : : : そこ で、個人のイメージ表現の世界へ首を突っ込む司政官は、多くはなの底のほうでは自分でも分らないが ) はっきりと考えていたわけで い。おそらく、司政官になるための適性とか、価値体系の受けとめはない。考える必要もないことだったからである。 2 ( 承前 ) 24 ー
「そうだと思いますわ、ラザルス」 たことに気づかなかったらしいね。 フリー・ランス 「きみはよく知っているはずだそ。ぼくが小さな天使になって耳の この独立独歩の社会主義者がその日の稼ぎをかき集めているまさ 2 うしろを洗い、この若返り術を受ける大きな理由は、自分のプライにそのとき、ジョウはそいつに肉切包丁をたたきおろした。一巻の ヴァシーを取りもどすためなんだ。プライヴァシーというのは、話終りさ。この事件でひとつ目立っているのは、ジョウが危機に際し 相手と同じぐらい必要なものだ。どちらかひとつでも取りあげられてかくも敏捷かっ的確に行動したことだ。というのはだね、かれが たら、人間は気が狂う場合もあるんだよ。ぼくがメゾン・ロングをそれまでに経験した戦いというと、 ″リビイ″に乗っていたときに 始めることで成しとげたのは、その重要な点さ。ばくは子供たちばくが無理にやらせたものだけだったことはほぼ確かだからだ。ジ に、かれら自身が必要と知らなかったプライヴァシーを与えたってョウはそのほかのこともすべてきちんとやってのけたよーーー首を切 わけたな」 り終ると、胴体を通りに放り出したんだ。仲間がいたらそいつらに持 「わたしはそれに気づきませんでした、ラザルス。かれらが性愛のっていかせるし、いなければ街路掃除人が片づけてくれるーーーそれ ために費やす時間をふやしたことには気づきましたーー・そしてそれ から店の正面に杭を立てて首を飾り、同じ目的を持っ連中への見せ がいいことだったのもわかります。そのデータからわたしは何かをしめにした。それからシャッターを下ろすと、汚れた室内を掃除し 推論すべきだったのでしようか ? 」 たーーーしばらく吐いたかもしれないね、ジョウは優しい心の持主だ 「いいや。なぜならばくはきみに、データをすべて与えたわけじゃ ったから。だがリータが吐いたりしなかったことは、七対三で確実 あないからな。十分の一もだ。ぼくがふたりと知り合ってからおよさ。 そ四十年間のあらましをしゃべっただけさ。それにいくつかの 市の公安委員会はジョウに決められた褒賞金を与えることを議決 全部じゃないよーー・・重要なポイントをね。例えばだ、ジョウがあるし、町内会は帽子をまわしてそれにいくらか金額をたしたよ。銃と 男の首をちょん切った話はしたかい ? 」 肉切包丁との対決が特別な注意をひきつけたんだな。エステルズ・ キッチンにとってはいい宣伝になっただけで、ほかには別にどうと いうことはなかった。かれらがその金を役立てることができたとい 「大したことじゃあなかったし、この話にとって重要なわけでもな その威勢のいい若者は、ある夜、ふたりをピストルでおどしう以外にはねーー抵当の支払いをする助けになったことは間違いな いし、それはそのまま・ほくのポケットに入ってきたわけだ。しかし て、富の分配を求めようとしたんだ。リータは右腕に・を抱い ーくがたまたまニュ て授乳の最中、あるいはそうしようとしていたところだったから、 ・ほくがこの些細な騒ぎのことを知ったのは、・ま ・カナヴェラルにいてエステルズ・キッチンへ立ち寄ったからで、 いつもレジの上においてあった銃に手をのばすことができなかっ た。彼女は戦えなかったし、無謀なことをやらないだけの頭があっそうでなければ知らないままで終るところだった。もう本当の頭は た。この伊達男はどうも、ジョウがあっさり視界の外へ出てしまっ取り除かれたあとでねーー・蠅がたかるせいさーー・習慣がジョウに陳
ども、それでも従弟のときのようには、ぐっと前に投げ日は私もいってみたいわ ! 」 だして来てくれたりはしなかった ) 。ところがやつは知船長夫人が月へのぼるということは、それまで一度も 6 なかった。しかし VhdVhd 船長は反対しなかった。そ らぬ顔で、まだ月の魅力にうっとりしているのだった。 ひと わしは船長の様子を見守りながら、彼のほうでも細君れどころか、あの女を脚榻の上に押しあげんばかりにし のふるまいに気がついているのかどうか、内心、考えてて叫んだ・ーーー「さあ、おゆき ! 」そこで、わしらはみん ひと ひと いた。しかし汐風に蝕まれ、タール色の皺を刻んだそのなしてあの女に手をかしてあげ、わしは後からあの女を 顔には、どのような表情もついにあらわれることがなか支えてあげた。わしの両の腕には、まるく、ふくよかな ひと あの女の体の重みが感じられ、下から支えあげながら、 った。最後に月を離れるのはいつもつんぼと決まってい ひと たから、彼の帰還は、また舟を出発させる合図でもあつわしは掌と顔をあの女に押しつけていた。彼女が月世界 つもにも似合わぬ優しに浮きあがってゆくのを感じたとき、わしはこの触れ合 た。すると VhdVhd 船長は、い を奪われて、激しい悲しみに襲われ、あとを追って飛 い仕草で、舟底に置き忘れられていたハープをとりあい 「おれもちょ げ、細君にさしだすのだった。仕様ことなしに彼女はそびだそうと身がまえながら叫んでいた かな れを受けとり、何かしら、奏で始めるが、この竪琴の調っとあがって手をかして来る ! 」 しかし万力のような . 力で、わしは引き止められた。 べにもまして、彼女とつん・ほの仲を距てることのできる 何があったろうか ? わしはあの哀愁に満ちた歌を大声「お前はここに残っているんだ、お前にはここでしなけ にうたい始めるーーー「きらきら光るオトトはみんなぶかればならないことがあるんだ」と、 Vhd Vhd 船長は大 声をあげることもなしに、こう命令した。 ぶか泳ぐーー黒い姿のオトトはみんなぶくぶく泳ぐ : : こするとみんながーーーっんぼだけを除いてーーーわしとすでにそれそれの思惑は、そのときには、明瞭だった のだ。ところが、わしにはそれがどうにも合点がゆかな 声を合わせてうたうのだった。 毎月、あの巨大な衛星が通りすぎてしまうと、従弟はかったし、それどころか、今でもまだすべてを正確に解 たちまちこの地上のものにたいする孤独な無関心に閉じ釈したという自信はないのだ。確かに、船長夫人はもう こもってしまった。ただ、満月の近づくときだけが、彼ずいぶん前から、わしの従弟とむこうで一一人っきりにな ・・ / / / をまたよみがえらせるのだ。あのときは、わしは月へありたい ( 少くとも、やつを一人っきりで月といっしょに がる役を逃げ、舟のなかで船長夫人のそば近くにいられさせておきたくはない ) という思いを胸に抱き続けてい るように仕組んでいた。ところが、従弟が脚榻の上にのたに違いない。しかし、もしかしたら彼女の計画はもっ ばるや否や、 Vhd Vhd の奥さんは言ったのだーーー「今と大それた目的をもっていたのかもしれなかったし、そ
ね。二度とやつはつけまわさんと思うよ」 ちこわせる男よ、かれは」彼女は心配そうだった。 まるで本物の騎士みたい、ジャック。ごほうびに、家まで送らせて「今度会ったらひねり殺してやる」 あけるわ」 「気をつけてね」ジュリイが言った。またやさしく手をにぎり返し 二人は夜なかでもざわっいているコスモポリスを歩くことにしてくるのを感じた。 た。どうそいらっしやませ、と言わんばかりにドアを開けつばなし それでもやはり気分はよくなかった。二人はめいめいべつのこと にしているレストラン、喫茶店にスナック、きれぎれに聞えるジャを考えながら歩いていた。 ズ、ネオンサインの光、なにもかもがクリンチに生れ故郷のソホを「ほら、この建物。ここの二十階で一人さびしく暮らしているのー 思いださせた。あと二、三日で、地球での気前がいい生きる楽しみ不意に彼女が言った。「ちょっと寄って、お茶を飲んでいきませ とおさらばしなきゃならん。どいっか知らんが、殺されるとは夢にん ? 」 も思っていない男を待ち伏せていて、弾をぶちこんだ卑怯なやつが それを聞いて、クリンチの心臓はいきなり下へ落ちこんだ。だ いる別世界へでかけていかなきゃならんのだ、と思うと、気がめい が、すぐまた動きだしたが、キャプレーターのつまったエンジンみ ってきた。 たいに鼓動はみだれていた。 ぎらぎらして眼がくらみそうなすみれ色の光が町をおおった。 「そいつは光栄だ、よろこんで ! 」そう言ったしやがれ声は、その 瞬にして広告の明りが生気をうしなった。火の跡を残して、巨大な気どった文句にまさにびったりだった。 ロケットが空のかなたへ去っていく。クリンチはジュリイに視線を 向けた。顔に気がかりそうななにかものがなしい表情がうかんでい 残された出発までの日々はぎりぎりのきわまで、やることでいっ た。強く手をにぎると、かすかににぎり返してくるのを感じた。 ばいだった。探険隊の報告には全部眼を通し、用度課の倉庫をひっ 十字路で、黒い《オールズモビル》がいきなり現われて二人の行かきまわし、メキシコシティとローマに電話をかけた。シ = ナイダ く手をふさいだ。次の瞬間、強い閃光が走った。クリンチは思わずーはかれになにか秘密を要する用件をたのまれて、どこかへとん 眼をつむった。眼をあいたときにはすでにその車は走り去るところ だ。彼が持ちかえった情報でクリンチは満足した。頭が痛くなるよ だった。 ( ンドルをにぎっていた男はドレイクだったような気がしうな難問が前に立ちはだかるときだけ、幸福感を味わえるタイプの た。男はカメラを持っていたのだ。 人間に属している男だった。夜はいつもジリイとすごした。彼女 クリンチは低い声で悪態をついた。 は魅力的で、愉快なやさしい女友達だった。二人で街をぶらついた 「運転してた男に気がついた ? 」ジュリイがいった。 り、夕食に気のきいたキャ・ハレーに立ち寄ったり、ジュリイの車で 彼はうなずいた。 コスモポリスを乗りまわしたりしてすごした。 「ドレイクがなにかかぎつけたらしいわね。なにもかも徹底的にぶ ュージン・コネリイというでたらめの名前が、もっともらしく書 ナイト
にかかりに行く気にはなれないんだよ。おまえ、ひとっ ( ハにかわってそうお伝えしてくれないか」 「ええ、 。おやすみ、ジュディ」 「じゃそれでいし ジュディは元気よく足ばやに階段を上って行き、やが て寝室のドアがいつもの通りばたんという音を立てて閉 まった。と思うと、それがふたたび開けられて、ジュデ イが前と同じような元気な足取りで駈け下りてきた。彼 女は居間の中へ首をつき出すと、言った。 。 ( 。 ( は没入していた本の世界から 「うんーーーなんた ? 」 引き出された。 、って、さも 「幽霊が言ってるわ、上ってきたほうがいし ないと。・ー、ー」 「やれやれ、またか ! さもないと、何たっていうんだ 「さもないと、幽霊の方から。 ( 。 ( のところへ出向きます って」 ドナルドは本をばたんと床へ抛りだした。ジュディは びつくりして飛びあがった。 。、。、。ほんとに言ったのよ。そう言ったのよ 「ねえ、 ! 」と少攵はさけんだ。 「ジ二アイーーーさ、もう一度その階段を上って行って、 。、パは会いに行かないって、その幽霊に言うんだ。あん ー . ドードレ米国独立戦争前 たがサキソフォーンでヤンキ からの流行歌で 準国歌とも称 ) を吹くまでは行かない 0 て、ね。わか 0 たか すべきもの み /
の世界との邂逅とは、実はそんなものなのだ。死の危険にさらされうつ心臓とこめかみでとくとくと血が脈うつのを感じていた。 てることは当然だが、いちばん恐ろしいことはそんなことじゃな 不意にいっさいが終った。炎々と燃える空からとどろいていた爆 。けっして、いい格好がしたくていってるんじゃない。実際には音がはたと止み、爆発の閃光が一瞬で消え、恐怖が去った。まだほ こんなことだってありうる。接触する過程で、偵察員がつまらんミ んの幼い子供だったマイの体に重くてやわらかいものがおおいかぶ スをやったために、惑星全体の規模で破局につながるような重大事さったのだった。息をするのがやっとで、おびえているどころでは 態を引き起すことだってない話ではない。なんといっても、ふたつなかった。 の世界、つまり異なるふたつの歴史、ふたつの文明、ふたつの思考形マイ ! 絶望的な鋭い叫び声がして、見覚えのある手が、その重 態が出会うわけだ : : : 要するに、なにもかも違っており、場合によ いものの下からかれを自由にしてくれた。心の奥でいつも母親と結 れば矛盾しあい、敵対関係にあったって不思議じゃない。地球で起びついているその親しいかすかな花の香りを感じた。 った最後のあの大戦でも、戦った相手が異星人でなくてもあん通りがかった軍人が、体でマイをかばって爆音がとどろく空から なにびどかったのだ。間に大洋があっても、両者を引き離しておく飛来した死を、代って引きうけてくれたことを知ったのは、のちに には何の役にもたたなかったし、そんなことはおかまいなくふたつなってからだった。 の世界は、一切の妥協の道をしりぞけてまで、とことん敵対し戦っ大戦は長びいた。侵略者たちは思わぬてごわい抵抗にあった。緒 た。敵の戦争マシーンがマイの国に怒濤のようになだれこんできた戦で己の威力に確固とした自信をもっていたかれらも、そのころに とき、勝っか、さもなければ地上から抹殺されるか、自分が属するなると、守勢に立ち自分で自分の命を守るのがやっとになり、その 世界の生きかたで未来を生き続けるか、さもなければ死か、そのどために戦闘ではますます狂暴になった。のちに、この戦争は誇らか ちらかだと誰もが肚を決めたものだ。中庸の道なんか残されていなな響きのいい大戦の名前で呼ばれるようになった。だが、人は かった。そのことは、物心ついたばかりの子供でもーーーマイが当時血みどろ戦争ーー血戦と呼びならわし、その方が皮肉ぬきで、実感 そうだったーーー肝に銘じていた。 がこもっていた。あたりまえの赤い、熱い人の血が大河のように流 はじめは・ほんやりと、ただ感覚的にとらえていた、ずいぶん昔のれたのだ。病院で死んでいく負傷者にはその血が不足していた。ど 思い出が、偵察員の記憶のなかではっきりとした形をとりはじめんな薬も、無数の傷口から流れ出し、失われた鮮紅の液体に代りう るものはなにもなかった。 た。それは、ますます形をととのえ、色合いにコントラストがっき、 臭いや音までがよみがえり、耐えがたいほど鋭く生々しい感覚とな多くの女たちと、不運にもそれそれわけがあって武器をとって戦 ってあふれてきた : : : 過去が、痛みにもだえる肉体を探しあてたの場に馳せさんずることのできなかった男たちは献血をした。かれら 3 だった。な・せなら、恐怖こそ、圧倒的なのがれることのできない感には、体中に血が再生できるようにと、とぼしい食糧のなかから、 4 情だからだ。いま、マイはとらえられた鳥のように、激しく鼓動を量こそ微々たるものであったが、特配があった。 グレイト・ウォー グレイト・ウォー
筒井康隆氏日庖丁持ってジェットコースターに 【お譲りします】 【お譲りください】 次乗ってフグの活きづくりを食べよう。このフグ、 コ・フクロ アメージング誌、スリリ ■『手塚治虫全集』「新選 2 可目 有毒な卵巣は見あたらないが ( 合だもんね ) 笑いングワンダー誌を処分しま組』を「ザ・クレーター』 プクロにデタラメドキリンを主成分とする猛毒をす。連絡いただければリス「火の鳥』と交換、もしく で係 れと含有。中毒すると一挙に突 0 走るような笑いの発トお送りします。 ( 繝岐阜は適価で譲。てください。 作におそわれ、レールに乗ってはいるものの、ど市八代 3 ー % ー松尾登 ( 宮城県松島町磯崎字 蟹松ー 6 斎藤まき子 ) こかへ飛び出しちゃいそうな幻覚症状が出現。何責雄 ) ■あの未来永劫の幻の軌跡 ー号より昨年月 書れたっておいしいので、笑い死の恐怖を忘れて食べ 号まで。まとめて取りに来「黒魔団』の全出版物を、 迎葉て続ける中毒患者が跡を絶たない。 られる方。価格相談。 ( 圏高価いとわず求む ! ( いろんな 小松左京氏フルコースのディナー 横浜市港北区すみれが丘山梨県中巨摩郡甲西町秋山 稿書先照味がそろ 0 ていてサービスも至れりつくせり。長 ー土井田泰 ) 一一六九厚芝健 ) 投封宛参 年月かけて煮つめたナマズのひげのソースは未だ 年 9 、Ⅱ月号と 川号を 3 万円 。、年Ⅱ月号を適価で。往復 にの味は沈没料理にありと人口に膾炙してるで。他にハヤカワシリ ーズ、文庫、創元推理文庫葉書で連絡を。 ( 仙台市 ・スクリ し、デザートのアイ・スクリームやユー ームの類もエッセンスが豊富。ペダンティック・等冊位も適価で。できるつ東九番丁の小松みど 「女なんてつまんない、食えないもの」〈でてく だけ取りに来てくれる方往り ) たあ〉に載った星大人の名セリフ、いろんな意味スタイルのテー・フルセットがやや装飾過剰でね、 復葉書にて連絡を。 ( 旧中わ「鉄腕アトム』「ジャン などと敬遠されることもあるが、これも濃厚な味 で思い当るフシがあります。 野区中野 2 ー 4 ーⅡ武藤グル大帝レオ』「工モン』 煮ても焼いても食えないし、箸にも棒にもかかを楽しむための効果あり。 洋子 ) すを、価格は相談の上。 ( 埼 らないのが女なら、男はき 0 と食えるにちがいな半村良氏。食通のオレキレキから風味絶佳、珍・星新一、新潮社版「未来く玉県本庄市小島南 2 ー 2 ー いし、すばらしい味にちがいありません。作味佳肴の折り紙をつけられた味だもの、今さら何 イソップ』「だれかさんの柿沢摂 ) 家などはどんな味がするのでしよう。これまでかもいうことはないようなものだけれど、高級料亭悪夢』「マイ国家」「おせ 0 っ■「火の鳥』全巻、 じってみた作品を手がかりに、その持ち味を類推の板さんの味なんか、ニオイも知らないャポテンかいな神々」「さまざまな ( 何号でも ) 、「リウの してみようと思います。題して″空想味覚饒舌″としては、ツウの絶讃するのとは違った味わい方迷路」「妄想銀行」「ポンボと道』⑦⑧を適価で。 ( 北九 ンと悪夢』「かぼちゃの馬州市小倉北区中井一丁目Ⅱ でいってみましよう。 矢野徹氏風の中のコットン・キャンディ。 車』、講談社文庫「盗賊会すー四有川英幸 ) モトはシャリシャリした色つきザラメなのでごちょいとつまんでみたいナといったスナック性 ■ ハインラインの「時の門」 社』「おかしな先祖』「声の ざいます。熱と風圧をかけますと、つかみどころもあり、いつの間にか一バイ食わされちゃったり 網」、早川文庫「白い服が掲載された、ファ のないものがモヤモヤフワフワと吹き出してまい ーマーの「恋人たち」「 して楽しいし、ナマ臭くなりそうな素材をあっさの男』「宇宙のあいさっ』 ります。これを固い心棒にからめとりまして、風りコナして、さりげなくワサビを利かせてるあた「冬きたりなば」、・角川文庫入門』を適価で。葉書で の強い日にオモテで召し上っていただきます。あり、江戸前のにぎり鮨でしよう。植物的なものと「きまぐれ星のメモ』を適連絡を。 ( 宮城県玉造 ちらにヘ・ハリついたりこちらにまつわりついたり動物的なものがしつくり合わせてあるしーー牌の価で。ほとんど新品同様。郡岩手沢町字二 / 構一一九 往復葉書か円切手同封に大森敏明 ) いたしまして、あのように苦々しげな、その実うことじゃありません。 0 すらと甘い、そんなお味になるようでございま星新一氏日この投書のキッカケを作 0 て下さ 0 て連絡を。 ( 躪福岡市南区ー小学館版、手塚治虫全集 他、氏の作品 ( 雑誌も可 ) 上長尾板井直子 ) 。え ? ジャリジャリした感じ ? それは風にた方だけに、ひたすらカジリつくしたいと、キ・ハ ■関係の本約冊を安を適価で。また私の手塚、 吹きとばされた砂粒でございましよう。歯ざわりをとぎ、それが折れたときのために総入れ歯を用価で。リスト有り。加円切石森作品との交換も可。」往 は似ておりますけれど、もとのザラメではござい意して : : : という意気ごみだったのだけれど、さ手同封の上連絡を。 ( 復葉書で連絡を。 ( 新 長野県北佐久郡望月望月町潟市小針藤山一一二八六の五 ません。コットン・キャンディはザラメに戻れなあ、困ったな 近藤和行 ) 柴平昇 ) だって、味はあるし香りも高いけれど、なぜか いのでございます。 て既な笆
恒星「ペテルギウス」とそっくり 画通りのデータが得られれば、将来テレビ送信所て、正確に東への移動を止めるジェット噴射をし よう、というアイデアである。 は、宇宙に設けられることになるだろう。 だった太陽の表面 こうした衛星は現在、日本電気、三菱電機、東それに加えて宇宙開発事業団では、打ち上げた 芝の三メーカーが、米国の衛星技術を導入して、 のち、静止地点に持って行くまでの技術を開発 ~ 製作を進めている。いまのところ順調に開発は行中。現在では打ち上げを米国に頼まざるを得ない なわれているようだ。 が、いずれは日本独自の静止衛星を、日本独力で ところでこの国産衛星の打ち上げは、米国の協実現できる日が訪れるだろう。 力で行なわれるとはいえ、すべてが米国委せとい うわけではない。 ロケットによって静止軌道に乗■キャッチされた恒星の表面 せるのは米国の役割りだが、静止させる複雑なコ ントロールは、米国側の予算削減などの事情か恒星の写真など珍しくはない、と思っている方 ら、日本側で行なわなくてはならなくなった。 も多いことだろう。だがこれまでの恒星の写真 静止衛星を打ち上げたことのない日本にとっては、フィルムの上の光りの点、表面の状況は、太第 は頭の痛い問題だが、郵政省電波研究所ではこの陽を除いて、どうなっているかわからなかった。 ほど静止をさせるための新しい技術を開発した。 ところが米国のキットビーク国立天文台の科学 この機会にその技術を紹介しておこう。 者たちは、史上初めて、太陽以外の恒星の表面写 静止衛星というのは、地球の回転速度に見合っ真を撮影することに成功した。この恒星は地球か た速度で地球を周回する人工衛星のこと。速度がら五百光年離れたオリオン座のアルファ星「ペテて強化し、露出時間を短かく押えた。 同じなので、地上のある地点の上空に静止してい ルギウス」。五百年前の姿を見事にキャッチした このようにして撮影した恒星の表面は、どのよ るように見える。そこで静止衛星と叫ばれるわけのだ。 うなものであったか。。へテルギウスというのは、 撮影を行なったのは、同天文台のロジャー・丿 オリオン座の北東のすみにあり、肉眼でも見るこ だが、静止させるのは、きわめて難かしい。とンズ博士らの研究チーム。撮影には同天文台にあとのできる明るい星で、太陽の直径より約八〇〇 いうのも地球には大洋や大陸があって、重力の分る世界第二の直径四メートルもある反射望遠鏡が倍も大きな赤色巨星だと考えられているが、その 布が一様でないからだ。つまり、さまざまな方角使われた。 表面は太陽とそっくりだった。 から重力の影響を受け、衛星は小きざみに動き回ちょっと考えると、恒星の写真をとることは、 つまり太陽の表面にみられるような斑点の模様 る。そこで静止させるには、燃料を噴射して、動そう難かしい事ではないように思える。だが実際がくつきり現われていて、熱いガスと冷たいガス きを止めなければならない。 は大へんな事なのだ。というのも、これほど離れが、さかんに対流をしていることがわかった。 しかし始終、燃料を噴射するのではたまったもていると、恒星から地上に届く光はごく僅かとな 惑星の探査により、金星や火星など太陽系の惑 のではない。 このため電波研は南北方向の 8 の字る。そこで写真を撮影するには、露出時間をごく星には、月の表面にあるのと同じようなクレータ のような運動は、放置することにし、東西方向の長くしなければならない。 ーがあることがわかって、地球人をびつくりさせ 運動だけをコントロールすることにした。太平洋ところが露出時間が長いと、どうしてもゆれ動たが、恒星もどうやらわが太陽とそっくりの姿を 上の静止衛星は、いつもアメリカ大陸の方向へ引いている大気の影響を受け、写真がポケてしましているらしい つばられているので、それだけをくい止めようとう。そこでリンズ博士らのグループは、イースト 何だかホッとするような、がっかりするような いうわけである。 マン・コダック社の技術陣の協力を得て、極めて話ではないか このために電波研では、細いすき間を開けた感敏感なフィルムを使用した。さらに干渉法を使っ 知器を考案した。太陽の光がこのすき間から入って、熱いガスからの光と、冷たいガスからの光を てくる瞬間をキャッチし、衛星の姿勢を確認し正確に選り分け、恒星からの光を増幅装置を使っ