星域 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1975年9月号
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1. SFマガジン 1975年9月号

H ・ G ・ウェルズ作黒岩涙香翻案「今の世の奇蹟」函 の問題、これはかんたんですよね。一寸法師の鬼退治は」 「ええ、ええ」 「えーと、いつごろだったかな ? 奈良か平安でした 「とたんに、浦島は白髪の老人になっちゃうでしょ : ね。確か : : : 」 「そんな、昔の話のじゃないです。京 ( 今日 ) のできご 「はい、はい」 「そこで、浦島がいうじゃありませんか、″此は如何とです」 「なるほど、そうか。おもしろいなあ。使えるなあ、こ だから、恐いカニです」 れは」 「いうんですか ? そんなこと。へエー」 「そうですか、それはよかった」 「次の問題に移りましよう。ウスの住んでいる場所ね。 「ところでね、横田さん」 これは″海のかなた″なんですよ」 「なんでしよう ? 」 「どうしてですか ? 」 「最初の二つの問題なんとかなりませんか ? 」 「鉄道唱歌、知ってるでしよ」 「汽笛一声新橋を : : : っていうのですか ? 」 そんなわけで、このナンセンス・クイズは採用されず 「そうです、そうです。あの三番だか四番だかに、窓よ に終った。 : ってのがありますね」 り近く品川の・ そうこうしているうちに、中華民国の蒋介石総統が亡 「はあ、そうですか ? 」 うすがす くなったというニュースが伝わってきた。・ほくは賰介石 「あの歌詞の終りのほうに、海のかなたに薄霞む、山は かずさ という人は好きだから、これは哀悼の意を表さなければ ・つて文句があるでしよ。したがって、 上総か房州か : いけないというので、パラバラと古本の。ヘージをめくり 海のか なたでだした。いつのころから、こうなってしまったのかわか らなし力を 、。、、まくはひとたびなにかことが起こると、古本 す。 を読まずにはいられないのだ。 おなかが痛いといっては、古本を読み、子猫が生まれ 第「あるたといっては、古本を読み、風呂がぬるいといっては、 畳当んです古本を読む : ・ そうして、手にした一冊が「科学べン」という古雑誌 だった。近い将来、正式に ( なにが正式なんだか、自分 そんな でもよくわからないけど ) このページで取り扱う予定だ へェ」けれども、この「科学べン」は昭和十一年に創刊され 「最後た、科学者仲間の同人誌的ふんいきの強い科学啓蒙雑 こ : 29

2. SFマガジン 1975年9月号

連載日 LL こてん古典 貧一「 ( ~ 一一十九回古典《ら 話題はいささか古くなるけれども、こないだうちナンしようか ? ( 鉄道唱歌がヒントです ) センス・クイズが大流行した時のこと。ある雑誌社か ら、ぼくのところへも、おもしろいやつを作れなんて注〔問題三〕一寸法師が鬼を退治したのは、いつのできご 文がきた。いままでにほかの人が作ってないやつを考えとでしようか ? てくれという。いろいろ考えた結果、これならまだ、だ れも考えていないだろと思うやつを二つばかり作り、数さっそく、これを雑誌記者氏に渡した。 をそろえるために、つけたしの一つを作って三問にし「どうですか ? わかりますか ? 」 た。名づけて、おとぎ話シリ 1 ズ。 「いえ、・せんぜん」 「最初の、玉手箱からでてきた海の動物ですね。これは こわ 〔問題一〕浦島太郎のもらった玉手箱の中には、ある海カ一一なんです。しかも、とっても恐いやつね」 の動物が入っていました。その動物とはなんでしよう ? 「はあ、そうなんですか」 「浦島太郎が玉手箱を開けるでしよ」 「はあ、開けますね」 〔問題一 D サルカニ合戦のサルは山、カ一一は海に住んで います。では、カニを助けたウスはどこに住んでいるで「すると、白いけむりが、もくもく : : : 」 田 彌 :

3. SFマガジン 1975年9月号

「おまえには、まったくすまないことをしてしまった。あんなこと 赤ん坊を抱いたヴォル。フラがじっとわたしを見つめている。谷の 上のほうで、カラスがカアカアと鳴いた。わたしは族長から目をそが起こったのは、わたしの責任で、ちっともおまえのせいじゃない らした。まわれ右して、そのそばをすりぬけると、ただひとりでジんだ。あの生き物を撃ったというショックが、いつまでも残らねば いしが。そんな事故の起こる可能性に、どうして気・つかなかった ープにもどった。 家に帰ったわたしは、ビールを一本ぬいてから、テラスで息子をか、われながらふしぎなんだ。たぶん、世間をあっといわせるほう に、頭がいつばいで : : : 」 待った。家内が、花壇から切花をかかえてやってきたが、わたしに わたしは言葉を切った。言うことは、もうなにひとつない。 は声もかけなかった。持った鋏をチャキチャキいわせただけだっ 「やつばり、彼らを牧場から出てゆかせるの ? 」息子がきいた。 わたしはびつくり仰天した。「あんなことのあったあとでかい 一びきのヴォルプラが、テラスを横ぎって、娘の部屋の窓にとま った。ほんのしばらくいただけで、彼はふたたび飛び去っていっ 「へえ、じゃあ、彼らをどうするつもりなの、 た。その後を追って、昼すぎから娘といっしょだった二ひきのヴォ ルプラがつづいた。三びきが、東に向きを変え、かるがると空に昇「それを考えてるんだ。どうすれば、いちばん彼らのためになるか ってゆくのを、わたしはなんとなく胸騒ぎを感じながら、見送っな、とね」わたしは時計を見た。「もう一度、森へ行って、族長と 話そう」 さっと眼を輝かせた息子は、男と男、といった調子で、わたしの ようやく一口すすったビールは、もう生ぬるかった。わたしは、 肩をポンとたたいた。わたしたちはかけつくらでジー。フに乗りこ ビンをおいた。まもなく、娘がテラスに走り出てきた。 わたしのヴォル。フラが、行っちゃったわ。テレビの途中み、谷にとってかえした。沈みかけのタ陽が、ぎらぎらと輝いてい こ 0 で、さよならをいったの。もう、帰ってこないんだって。パ / が しだいに暮れてゆく樹々のあいだを縫って、わたしたちは言葉少 出て行かせたんでしょ ? 」 なに谷を上った。三びきのヴォルプラが、テラスをあとに、なにか 「いや、そうじゃない」 娘は、わたしを熱らぼい目でにらんだ。突き出した下くちびる目的のあるようすで東の空に昇 0 ていったのを見た、あのときの胸 騒ぎが、またしてもわたしをとらえた。 が、。ヒンクの涙のしずくのように震えだした。 わたしたちは、族長のキャンプで車を下りたが、ヴォル。フラは見 ハバがやったんだわー彼女は、すすり泣きながら、家にと 「うそ、 あたらなかった。焚火は、ほとんど燃えっきている。ヴォルプラ語 びこんでいった。 おお神さま ! たった半日のあいだに、わたしは ( ーレムの宦官で呼びかけてみたが、答はなかった。 つぎつぎとキャンプを回ったわたしが見つけたのは、天になった と、人殺しと、嘘つきを兼ねてしまったのか ? 焚火のあとだけだった。木に登って、彼らの家も調べたが、ぜん 5 いたたまれぬほど不安だつ そろそろ日も暮れようというとき、やっと息子の足音が聞こえた。ぶ、もぬけのからである。わたしは、 た。声がかれるまで、彼らを呼びつづけた。 わたしが声をかけると、彼はやってきた。わたしは立ちあがった。 こ 0

4. SFマガジン 1975年9月号

小さな火がおこしてあって、一びきのメスが、彼の食べるスズメをたしは人間の言葉を習った。人間のいう、『読』むことだって、わ たしはできるのだ」 焼いているところだった。族長は、ヴォルプラ語で、わたしにあい わたしは、そこに突っ立ったまま、ポカンと彼を見つめた。いま さっした。 「どういうことなんだ」と、いきなりわたしは、腹立ちをぶちまけまでのお膳立てが水の泡になるまえに、なんとかこの窮地を切りぬ た。「きみたちのふたりがわたしの娘の部屋にいるのを知っているける手はないものか ? ヴォルプラが、人間たちを見聞きすること で、その言葉を覚えたというのでは、理屈が通らないだろうか ? 「ああ、もちろん」彼は平然と答えた。「毎日おじゃましてるようそれとも、人間の友人に教えられたことにしては ? こうなったら、名乗り出るほか、しかたがない。わた それだーー だね。なにか困ることでもあるのか ? 」 しと、わたしの家族が、牧場のなかで彼らのコロニーを見つけ、そ 「娘は、彼らに人間の言葉を教えているんだそ」 「人間のなかには、われわれの敵がいるかもしれない、 とあなたはして英語を教えた、ということにしよう。だれがなんといおうと、 いった。敵の言葉を、われわれは知っておきたい。身を守るのに役それなら事実なのである。 ヴォルプラは、長い腕を、第一面の上で振りまわした。「人間 立つからね」 彼は、うしろに手を伸ばした。隠し場所からこのヴォルプラがひは、おそろしい。もしここを離れたら、われわれは鉄砲で撃たれる つばり出したのは、なんと、一部のサンフランシスコ・クロニクル だろう」 紙だった。済まなさそうにそれをさしだしながら、彼はいった。 わたしは、あわてて説得にかかった。「そんなことにはならんさ。 「あなたの家のまえの箱から、ここしばらく、抜きとらせてもらつ人間がきみたちのことを知ったら、手は出さないはずだ」そう断言 ていたのだ」 はしてみたものの、これがヴォル・フラにとっては笑いごとですまさ 彼は、その新聞を、地べたに広げた。日付からすると、昨日のられぬだろうことが、いまになって、わたしにもわかりかけていた。 しい。彼は誇らしげにいった。「あなたの家にゆくふたりから、わ「みんなを、すぐによそへやるようにしろ。きみと、きみの家族だ 大宇宙ロマン・シリーズ第一弾 銀河辺境への道 2 5 0 < ・・チャンドラー / 野田昌宏訳 字宙に生きる男女の哀歓を詩情豊かに描く新シリーズ序巻。 ハヤカワ文庫 SF カラーロ絵・挿絵十九葉入り に 3

5. SFマガジン 1975年9月号

「ああ、上々さ。珍しい動物を観察してた」 プラを、ひややかににらんだ。「いまから、おまえたちの族長と、 「娘も、そうらしいわ」 話しにゆくそ」 「どういう意味なんだ ? 」 「二ひきのそれと、部屋にこもりきりなのよ」 階下に降りたわたしは、家内を詰問した。「なぜ、こんなことが 「二ひきのそれ ? 」 起こってるのを、知らせてくれなかったんだ ? こんなことが起こ 「ええ。あなたなら、どんな名をつけるかしら ? 」 ってるのに、わたしと相談しない法があるか ? 」 家内の表情は、これまでめったに見せたことのないものだった。 「こっちも、 わたしは階段を三段すっかけあがって、娘の部屋にとびこんだ。 ししたいことがあるわ。これまで、あなたの全生活 トの上にすわった娘が、二ひきのヴォルプラ相手に、本を読は、わたしたちにとって秘密だったのよ。娘が、ほんのちょっとし んで聞かせている。 た秘密を持ったからといって、つべこぺいう権利はないはずだわ」 ヴォルプラの一びきが、ニャリと笑うと、英語でこういっこ。 にじりよった家内の目から、わたしの全身めがけて、青い火花が 「やあ、こんにちは、アーサー王」 飛びちるようだった。「そもそも、あなたにしゃべったこと自体が、 ーしー - し これはどういうことなんだ ? 」わたしは、ひとりと二まちがいね。だれにもいわないと、娘に約東したのに。でも、こう ひきに問いただした。 なるとは思わなかったわ。小さな女の子が、ちょっとした秘密を持 「なんでもないわ、 いつものように、お話を読んであげてる っただけのことを、まるで気ちがいみたいにわめきたてたりして」 だけよ」 「ちょっとした秘密だと ! 」わたしは、どなった。「これが、どん 「いつものように ? いっから、こんなことをはじめたんだ ? 」 なに危険なことか、きみにはわからないのか ? あの生き物たちと 「もう何週も何週もまえのことだわ。あなたが、はじめてここ〈ききたら、セックス過剰で、おまけに : ・ : 」わたしはロをつぐんだ。 てから、どのぐらいたったかしら、ムクムクちゃん ? 」 気まずい沈黙のなかで、家内はワイセッな微笑をうかべてみせた。 かんがん わたしをアーサー王と呼んだ無礼なヴォル。フラは、 = ャリと笑う「どうしてまた : : だしぬけに・ : ハーレムの宦官みたいな口をき と、指を折って数えた。「もう何週も何週も、まえのことさ」 きはじめたの ? あのかわいいムク毛の生きもののどこに、わるい 「英語を、彼らに教えたのか ? 」 ところがあって ? でも、わたしが、なにも知らないと思ったら、 「もちろんよ。だ 0 て、と「てもいい生徒たし、すごく喜んでるの大まちがいだわ。あの生きものを作「たのは、あなたご自身でし よ。パパ、お願いだから、追っぱらうなんていわないで。わたした よ。もしかして、彼らにイヤラシイ考えがあるとしたら、わたしに ち、お友だちでしよ、ね ? 」 はその原因がわかる気がするわ」 ヴォルプラたちは、熱心にあいづちを打った。 わたしは、憤然と家をとびだした。急転回でジープを庭から出す 娘は、わたしのほうに向きなおった。「パ 知ってる ? 彼と、森の中をつつばしった。 ら、飛べるのよ。この窓からでも、空に飛んでゆけるの」 族長は、、 しつもの場所に、ゆうゆうとおさまりかえっていた。自 「ほんとうかい ? 」わたしは、むか「腹で答えて、二ひきのヴォル分の家のある、大きなかしわの木にもたれているのだ。そばには、 2

6. SFマガジン 1975年9月号

ほてしオ スわ とた 会し てらちす っーよ つる はと マレイ・ラインスター氏死去す べをたた 巣る いだち彼 やら 眠うさ調 たあ 合い マレイ・ライシスター ( 本名ウィリアム・フ はの 、よ つになで つの イツッジ出ラルド・ジェシキソス ) 氏が , この 6 月 8 日 , ヴァージニア州グロウセスターの老 やが とカ かな 人ホームで , 78 歳の生涯の幕を閉じた。 1896 年 6 月 16 日生まれ。 13 歳のときにはじめ しど しす はの て作品を発表し , やがて学校も中退して , 17 歳 やカ、 全の ですでに専門作家になっていた。最初の S F 作 べに 物は ヴキ り聞 品は「アーゴシー」誌 1919 年 2 月 22 日号に発表 れ一 された "The Ru naway Skyscraper' 。 く手 笑え 全作品数は , 単行本が 1 冊近く , 雑誌にの っ槍 づのいる せたものは 1500 篇におよび , あらゆる分野にわ つを フに たるが , やはり SF が本命であったといえる。 の足 い持 たらと頭 1934 年の作品 "Sidewise ln Time ”は , S F たて 史上はじめて多元宇宙を扱った作品であり , 石 たが長運 年の "First Contact" ( 邦題「最初の接触」本 るい は闇 のん 誌 64 年 8 月号所載 ) は , 今なおこのテーマの最 を場地て わ月愛を 高作のひとっと目される。また 56 年発表の中篇 か位 の横 たの "Exploration Team" ( 邦題「ロポット植民 ほ・らを最 地」本誌 64 年 2 月号所載 ) は , この年のヒュー し遠 最は ゴー賞を受賞した。 た出確長 けゆをな が , 氏の活動分野は創作だけではなく , 発明 そ行 保の 家ないし技術者としても大きな業績をのこし , その特許収入で , 晩年は悠々自適の生活を送っ ていたらしい。発明のおもなものには , 「 2 開 1 でだ 年宇宙の旅」などで用いられたフロント・プロ のを女物 ジェクト技術や , コンタクトレンズの改良など ん上子うた下根上 も飾たで があげられる。前大戦中はいろいろな種類の軍 いな 用機材や兵器の考案にあたり , その中には , 現 在なお使用されているものもあるという。 SF がる 作家として , 最初に多元宇宙テーマを「発明」 ア兎 したのも , その才能ゆえかもしれない。 のた オを シオドア・スタージョン氏は , 「ローカス」 中力 誌によせた弔辞の冒頭に , 「ウイル・ジェンキ 肉こ ケそ はに ンスは , 死んではいない。彼はその作品ととも 間も スれ に生きつづけるのだ」とのべている。「わたし 細オ は , SF の何たるかを , ジョン・キャンベル氏 工を夜兎羽し から , そして作品の骨格づくりと肉づけの方法 工に を , ラインスター氏から学んだ。 ( 中略 ) かれ ず日 こえけ毛をめ は自分の作中人物に関して , ほとんど何の描写 眺か もしない。その女性の髪や目の色やスタイルな 頭の ど , 何も書かなくても , 読者のほうで , くっき りと , そのイメージを浮かべてしまう。 ( 中略 ) 小が かれの頭脳の回転の早さは驚くべきものであっ あ、 った た。ちょうどかれといっしょにいたとき , ラジ かき カて オが , フランクリン・ルーズヴェルト大統領の 死亡を知らせはじめた。と , かれは 15 秒ほどで のち どナ 帰か チャンネルを切りかえてしまった。わたしがあ でを わてて『待ってくれ。まだ病死なのか暗殺なの たた かもきいていないのに』と抗議すると , かれは 答えた。『殺されたのでないことくらい , いま のアナウンサーの口調でわかるじゃないか。暗 て鳩 殺なら , もっととり乱していたはずだよ』と」 いの (C ・ R) れ中 イ吏投 をにオかな ス ~ よし、し と 、て請ら よ小順けし彼日 、石あてでどう に穂たらるや最 て 物つ う 。ら初 ル オププ ラ族を 。毎 に ン っくわ り 。と て つ し ら て彼出 いらる く 。るち声 ス の に て し る ス ズ と り ま 間 に は 大 の き ん 世 界 S F 報 つげナ 、れ メ根い をがた 昼い歩 彼し 、らナ げそ樹 カ ね 森 ら つ 狩 人 、柄のつかあ 0 っ 。て 、飛 ががる の供 かあ家たなはら ・を・。ら 日作をた 、るあ 獲彼 っ 、よわ の つ な く オょ 少 ウ。 ノレ プ 牧 。し にしか ま よ り い つ そ , の 生 なたと に の は がき上 に の ナど 兎も根 る 、満 し面 t 睦ぎ にはる っかが 、は 、年 、屋樹や との で家の 、は ま た リ 毛 、皮わ 、をよ 夜 の 気れ スありちあ つ け 、よ 獲 、野 。えすす巧 家とや何 し は滑 た半の 、時 も お メ つま妙鞣し かすなし り精網か カ ム ラ 1 ジ い と物きいと い スひてわれ な もで の なえ て壁 つ床 教漬の根と ためオ 。てを も教 な っ し ぇ る の に と してので らや知作 つ言哉 ったたをた飾っ 。、つ め ん か 彼 ら . ス ト らはは にる羽 、ので つにだ た 、男 。れやきし たオつるし目 。スけ 彼たら らちれ 、たに 。の そ の つ ん

7. SFマガジン 1975年9月号

協 9

8. SFマガジン 1975年9月号

- らまい投げかたをした。 ったのは、もちろんであるーーそんな荷物をかかえて、空を飛べる 「うまいぞ、べっぴんさん。さあ、流れにそってあの木まで走り、 はずがない。 メスたちは、彼を出迎えに、飛び立っていった。しば 8 棒ぎれを投げこむんだ」 らく、惜しみない愛情をふりそそがれて手間どっていた彼は、やが 彼女は、そばの木にするすると昇ると、流れを横ぎるようにしててあらゆる狩猟家に共通の気どりようで、意気揚々とひきあげてき 飛び立った。すいと真向いの丘にむかって上昇すると、ちょうど鳩 の休んでいる木へ、あざやかに着陸した。 獲物の小鳥は、彼らをすっかり夢中にさせた。指でつつき、羽根 小鳥たちは、木を飛び立 0 て、優雅な羽ばたきをくりかえしながを見ては感嘆の声を上げ、そして、狩りの儀式の萠芽とも思える踊 ら、空に昇ってゆく。 りを、獲物のまわりで踊った。しかし、ほどなく、オスはわたしを わたしは、残ったメスといっしょに、背後を見上げた。空を翔けふりかえった。 ていたヴォルプラは、なかば翼を閉じて、急降下をはじめた。金い 「これを、食べるのか ? 」 ろの閃光が、空を横ぎるようだった。 笑い出したわたしは、彼の小さな、四本指の手をとった。小川の 山鳩たちは、急に上昇をやめて、小きざみに羽根をふるわせなが上に張り出した、大きな樹の下の砂地で、わたしは小さな焚火を作 ら、下にむかった。オスのヴォルプラの片翼が、わすかに開いた。 ってみせた。これも、彼らにとっては一つの驚異だろう。だがわた 彼は、新しい方向に急旋回すると、ふたたび溶けた矢のように落下しは、まず、鳥をどうや 0 てむしるかを、教えてやりたか 0 た。そ していった。 れを串刺しにして、火にあぶるやりかたを、わたしは実演してみせ 山鳩たちは、ばっと四方に散って、谷をジグザグに舞いおりはじ・た。 めた。ヴォルプラは、わたしが夢にも考えなかったことをやった しばらくのち、わたしは、彼らのごちそうのお裾分けにあずかっ 翼を広げた彼は、いままで追いかけていた小鳥の下をかいくていた。食事のあいだも、彼らは大はしゃぎで、やたらにく 0 つき ぐり、こんどは急上昇して、相手の進路をさえぎったのである。 あってはふざけるのだった。 一瞬、翼が閉じられるのが、わたしにも見えた。つぎにそれが開帰ろうとしたとき、あたりはもう暗か 0 た。わたしは彼らに、交 いたとき、小鳥の体は、鉛のように山腹〈落ちてい 0 た。ヴォル。フ代で張り番をするように、そして、火はあまり大きくせず、近づい ラは、ゆ 0 くりと丘の頂きに降りると、わたしたちをふりかえ 0 てくるものがあ 0 たら、木の上〈逃げるように、と教えた。わたし こ 0 が火のそばを離れると、オスがあとを追ってきた。 わたしの横のヴォルプラは、彼女なりの新造語をさけびたてなが わたしは、もう一度くりかえした。「わたしがなにもかも教えこ ら、あたりを踊りまわ 0 た。小鳥を木から追いだしたほうは、アオむまで、ここを出ないと約東してくれ」 カケスのような鳴き声を出しながら、わたしたちのほうへ滑空して 「われわれは、ここが好きだ。ここにいる。明日、ほかのものも連 」こ 0 れてきてくれるか ? 」 「よろしい。連れてこよう。わたしがいいというまで、彼らをこの それは、まるで英雄の凱旋だ 0 た。彼が歩いて帰らねばならなか森から出さないと約東してくれれば」 こ 0

9. SFマガジン 1975年9月号

。あの高さまで上がれるかね ? 」 像してみるがいしー クロニクルの記者が、はるばると丘に出むい 彼はゆっくりと首をまわして、枝をそよがせ、草をゆすっている て、このありさまを目撃するところを、想像してみるがいいー ヴォルプラたちが、研究室に帰りたがらないのは、むろんだっそよ風のようすをうかがった。まるで、ここ千年間空を飛びつづけ た。近くで、小さな流れが、ちょっとした淵を作っている。彼らてきたのが、時を経た知恵を思い出してでもいるように。「上がれ は、そこへ入って、長い腕で水をはねかけ、体をこすりあった。やると思う。しばらくなら、待っていることもできる。むこうは、ど れほどの時間、木にとまっているのか ? 」 がて、彼らは、川原で翼を広げて、背中を乾かしにかかった。 わたしは、、 しとおしむようにそれを眺めながら、彼らをここへ残「たぶん、そう長くはないね。空へ昇っているあいだに逃げられな いよう、よく見張るんだな」 しておいたものだろうかと、思案した。どのみち、いっかはそうせ ねばならない。百万言を費して、生存のやりくちを教えるより、実彼は、そばのかしわの木にかけよって、よじ登りはじめた。まも しも 地にやらせてみるにしくはなかろう。わたしは、オスをそばに呼んなく、谷の下手に向って飛び立った彼は、山腹の上昇気流に乗っ た。七十メートルまで昇るのは、あっという間だった。わたしたち やってきた彼は、一人前に腕組みしてしやがんだ。ありあまったに尻を向けて、彼は尾根の上をジグザグに飛びまわりはじめた。 二ひきのメスは、一心に彼を見つめていた。もの問いたげに、わ 肱が、地面につかえていた。彼が、さきに口をきった。 たしのほうへ近づいてきては、またしても上を見上げるのである。 「赤い人間たちがくるまえ、われわれは、ここに住んでいたのか わたしの横に立っても、彼女たちはなにもしゃべらない。小さな手 「きみたちは、このへんの山のなか一帯に住んでいたのだ。いまをひたいにかざして、彼が、わたしたちの真上、八十メートルの上 空を通りすぎるのを、じっと見つめていた。一びきのほうが、彼の は、わずかな人数しか残っていないがね。きみたちは、長いあいだ わたしの家で暮していたから、しぜん、戸外での暮しかたを忘れて翼に目をこらしたまま、わたしの袖をぎゅっと握りしめてくる。 彼は、流れに沿って舞い上ると、鳩の休んでいる丘のうしろの空 しまったのだろう」 「もう一度、覚えればいい。 われわれは、ここにいたいんだ」彼のに、じっとうかんだ。かしわの木から、山鳩の啼き声が聞こえてく 小さな顔は、おそろしく真剣で、考え深そうだった。思わずわたしる。鷹に似たヴォルプラのシルエットが、空に見えているあいだ は、鳩たちも安全な樹間から出ようとしないのではないか、ふとわ は手を伸ばして、カづけるように、頭を撫でてやった。 頭上で、羽ばたきが聞こえた。二羽の山鳩が流れを横ぎるようにたしはそう考えた。 わたしは、袖をにぎっているメスの手をつかまえて、指さしなが 飛んで、真向いの丘の麓のかしわ林へ降りてゆく。 それをわたしは指さした。「あそこに、食物がいる。きみに殺すら教えた。「彼は、鳥を捕まえにいったんだ。鳥は、あそこの木に いる。きみが鳥を飛び立たせれば、彼はそいつを捕まえられる。ご ことができればだが」 らん」わたしは棒ぎれを拾った。「こんなふうに、できるかい ? 」 彼は、わたしを見かえした。「どうやって ? 」 7 わたしは、近くの木に、その棒ぎれを投げ上げた。それから、も 「木の上で捕まえるのは、むりだろう。きみが、さきに空を飛んで う一本、棒ぎれを見つけてやった。彼女は、わたしの期待以上に、 いて、あいつらが飛び立っときに、上から羽根を捕まえるしかな

10. SFマガジン 1975年9月号

ちは地球を眺めていた。おりから、カリフォルニアの空には月がな物と結びつけて教えるのに、わたしは忙しかった。『空』をのみこ わたしたちの見ているのは、アフリカとヨーロッパだった。 ませるのには、暇がかカた 「さようなら、地球。こちら、ロケット・チャ 1 リ 1 でした」 ひろびろとした戸外へ連れだしてみて、はじめて彼らがどんなに 画面が暗転すると、いやもう、テラスはたいへんな騒ぎだった。 かわいい小動物であるかがわかった。彼らは、カリフォルニアの風 ガイのやつは、感激のあまり、さかんに目をこすっている。女ども景に、びったりと調和していた。ときおり、彼らは腕を上げ、翼指 は、交代に彼を、キスしては抱きしめていた。そして、 を伸ばす。すると、あのみごとな翼が、さっと広がるのだ。 に、なにかをわめきたてているのだ。 オスが、はじめて空を飛んだのは、二時間もたったころだった。 外界への好奇心がいっときおちついて、彼はメスの一びきを追い回 メダボリック・アグセレーダー わたしは、代謝加速機を使って、ヴォルプラの懐胎期間を、 しにかかっていた。いつものように、捕まえられたくてうずうずし 一週間に短縮した。生まれた幼児は、もう一度加速機を通して、一ているメスは、円丘の裾で、急に足をとめたものだ。 カ月で成人させた。運がついていたようである。たまたま、生まれ おそらく、オスのほうは、上からとびつくつもりだったのだろ てくる幼児の大半がメスときていたものだ。これで、仕事は大いに う。だが、腕を広げたとき、ついでに翼指がのびて、金いろの翼が はかどった。 にわかに風を切った。彼は、急カープを描いて、彼女の上を飛びこ 翌年の春がきたとき、ヴォルプラ・コロニーは、すでに百びきをえた。そのまま、どんどん上昇した彼は、そよ風に乗って、地上十 越していた。わたしは加速機を閉鎖してしまった。これからは、彼メートルの空にうかんだ。 ら自身のやりかたで、子供を生ませればいい。 彼は、泣き出しそうな顔でわたしを見おろし、不安げな羽ばたき べイシック・イングリッシュをモデルにした言語の考案は、すでをしてから、さんざしの茂みめがけて滑空してきた。そこで本能的 メタポリック・アクセレークー にすませてあった。メスたちが、代謝加速機のなかに閉じこめに横滑りすると、金いろの翼をきらめかせて、わたしたちのほうに られている数カ月を利用して、わたしはオスたちにその言葉を教え向き直り、草の上にドスンと着陸した。 た。彼らは、軟らかな高音で、それをしゃべりはじめた。その小さ 二ひきの若いメスたちは、われがちに走りよって、体をさするや な頭蓋は、単語の八百やそこら、なんの負担にも感じていないようら、なにかと彼の世話をやきはじめた。わたしには、そばへもよら すだった。 せてくれない。ふいに、オスが、かん高い笑い声をひびかせた。あ とはもう、底ぬけのお祭り騒ぎである。 家内と子供たちがサンタ・・ハー ハラへ出かけた一週間の留守に、 フライヤー わたしはいちばん年上のオスと二ひきのメスを、研究室から連れだ彼らは、物覚えの早い、利ロな生徒だった。ただし、飛行家では グライー なく、滑空者であり、滑翔者なのだ。ほどなく、彼らは敏捷に木登 ひとけ ジープの横に彼らをのせて、牧場から二キロ奥の、人気のない谷りして、そこから三十メートル余をあざやかに滑空し、横滑りし、 へむかった。 向きをかえて、静かにらせん降下してみせるまでになった。 彼らは三びきとも、目を皿のようにして外界を見つめ、たえまな これから始まることへの期待に、わたしは腹をかかえて笑いころ くしゃべり立てた。『樹』『岩』『空』にあたる彼らの言葉を、実げた。彼らがは、じめて保安官のところへ持ちこまれるところを、想 ・ハンク 協 6