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検索対象: SFマガジン 1976年1月号
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1. SFマガジン 1976年1月号

ほ「小品集」・深田享「山の章」・小野霧宥「唄」制作ダイナビジョンアニメ ) ■会場浦和市民会館ホール ( 浦和駅西口下車徒 他全二五篇 歩 7 分 ) ■版・タイプ印刷・九四頁 イラスト・ライプラリー ■料金前売一八〇円・当日一一〇〇円 ・頒価六〇〇円 ( 送料共 ) ■問合せ先〒躅浦和市田島一一一〇一野坂方 ■連絡先・〒繝大阪市東淀川区下新庄町一の一六 エースブックス ( 初期 ) 表紙絵種 宮川憲一一 二黒田英之 ギャラクシー ( 初期 ) ☆・ハラのお茶サービス有り。 ワー・ト″ 種 ラヴクラフト、 ☆併設「萩尾望都展」 ・ローダン 宇都宮にクラブ誕生 ! 嫺種 ・ハルプ雑誌各種 このほど宇都宮市内のファンが集って、「エヌ氏の会」は星新一作品を中心とした同 他 ( 宇都宮クラブ ) なるものを結成しまし好会です。このたび月例会と会誌「ホシヅル通信」 詳細問い合せ、見本希望の方はセンチ x 蜷 センチ角の紙に住所氏名明記の上、一一〇〇円切た。活動としては会誌「」を年間十回前後を発行することになり会員を募っています。詳細 の予定で刊行し、月に一回、第三日曜日に宇都官は円切手同封の上左記まで。 手を同封して左記へどうぞ。 ( Ⅷ愛知県愛知郡東郷町和合ヶ丘一ー十一一ー九 市内で例会を開いています。当会は平均年齢一一三 歳ですが、高校生、大学生等、精力的な若者の参伊藤汎美 ) 〒圏世田谷区上用賀一ノ一 / 一 加を希望します。尚、会費は月一一百円程度を予定 玉川サンケイハウス 書店ガイドーー しています。詳細は左記まで御連絡ください。 イラスト・ライプラリー 〒宇都宮市今泉町五七ー一 そ。ただ私にとって残念なのは、この評論にあげ 6 ( 21 ) 0771 半田次宏 ( 編集長 ) 渋谷三省堂書店新装開店記念セール ハヤカワ・ミステリの展示販売を行います。 られた作品の一一分の一以上がまだ未読の事です。 ローダン・シリーズの英語版 これからまた漁って読まなくっちゃ : 「半村良のお客になる会」ができてから、はや一合わせてペリー・ ささやかながらリプ活動をしているものとして年。会誌「半村良秘録」 ( 月刊・判謄写、 ( 1 ~ れ巻 ) およびクリスティのフォンタナ版原 書の販売もあります。 は、今後はサージ = ントにならってを読むにページほどの情報誌 ) も号を数えます。 ・渋谷東急文化会館 5 階 *-ä ( 四〇七 ) 四五 もその目をむけなければいけないのかもしれませ会の運営は、これまで元祖・関西があたってい ん。しかし、は私にとって唯一の息抜きの場たのですが、号 ( 来年一月、発行の予定 ) より四五ー七。十一月二二日 ( 土 ) 午前十時オープン であったのです。それにまで気を配っていかねば本家・関東のほうで行なうことになりました。 ならないとは。これは、かなりシンドイことでは 半村良のファンはもちろん、興味のある方は左全点フェアー リ . 1 ー・ ローダンシリーズ ( 全二三巻 ) 、狼シリ ありまする。嗚呼ー 記の住所まで、円切手同封の上、ご一報くださペ ーズ ( ハヤカワ文庫全七巻 ) 。 ( 愛知県愛知郡東郷町和合ヶ丘一ー十一一ー九 。会誌のテスト版をお送りします。 ・蔵王書店十一月二十日 ~ 一月中旬 伊藤汎美 ) ( Ⅷ練馬区桜台 1 の塚本慎一 ) 〒馴山形市香澄町一一ー一一ー三四 ( ダイエー前 ) ( 四一 ) 八三五五 ″Ⅱ月のギムナジウム″上映会 「北西航路 2 」発刊のお知らせ ■主催埼玉大学研究会 てれぽーと掲載分 ( 告知板を除く ) にはハヤカ ・十一月二三日 ( 日 ) ・開場 しいかた」 ■特別寄稿眉村卓「的と、う、 ワ文庫またはの最新刊一冊を進呈しま ■会員作品南山鳥「雨あがりの永遠に」・和 " す。ふるって良いものを書いてください。 「サイボーグ 009 」・「Ⅱ月のギムナジウム」 ■ 田宣久「オレンジ色の扉のむこう」・柊たん・ほ " ・開映 9

2. SFマガジン 1976年1月号

日、本屋に十二月号のがあったので二五日秋が来ました。秋ですョ。秋 ! うれしいですがきまってしまうのですから。 発売なのに今頃見かけるのはめずらしいと、ついね。泣きたいですね。ホント。解説前者はなんとにかく、とにかく、投稿イラスト掲載の運び ・〈ン・ハンザイ ! ( テーマはない方が良いと思うの また買ってしまい、掃除も洗濯もしないで今読みといっても読書の秋。後者は″天高く馬肥ゆる秋 4 終ったところ。理屈つ。ほいページが前より少なく肥えるのは馬ばかりじゃないのです。花恥じらうですが : : : 。 ) ( 棚葉栗郡木曾川町黒田北野黒森くみこ ) なったみたい。大いに満足して、氏に″ガン乙女だって肥えるのです。 ところで今度から「てれぼーと」欄にイラスト ・ハッテ″と四三歳の黄色い声援を送りたいと思う。 Ⅱ月号「女流作家特集」大変楽しく読みました。 ( 東京都町田市本町田町田木曾団地はー一七ーの投稿もとり上げられるとか。うれしいなア。ス テキだなア。どんなのが載っかるのか今から楽しマスコミが取りあげる国際婦人年の企画がどちら 三〇五石井静子 ) みです。私はイラスト得意じゃないけど見るの好かといえば、女性を揶揄したものが多い中で、さ きです。好みの問題もあるけどいいものはいいのすが、真面目に扱って下さって感激です。 これ良いなあ。 : ・ホー ( ためことにサージェントの評論「女性と」は読み です。「ガーンー ごたえがありました。この評論がいいのは、ウー 息 ) 」ほとんどインスビレーション。はたまた一 第十五回日本大会 マンリプの主張としてもすぐれている点です。 目惚れ。 のお知らせ 中村銀子サンの良いですねー。線がとってもやの読者の過半数は男性でしようから、こ 第十五回日本大会「の合宿さしい。霜月象一サン。あの人間のユニークさつの際、この評論を心して読み返していただきたい 所が決定しました。会場の日経ホールがあるたら。浅賀行雄サン。良いなあ。山田正紀サンのものです。リ・フといえば中。ヒ連のようなものとし 「大手町」から地下鉄で三つめ、「本郷三丁目」『襲撃のメロデイ』の中のイラスト、アレ見てまか思っていらっしやらない男性諸君 ! 本物のリ でおりてすぐの旅館、本郷館です。途中「お茶さにシ , ーゲキを受けました。新井苑子サン。真プは地道に、しかも着実に進行しつつあるのです しいですねー の水」で下車して神田の古本街を散策すること鍋博サン。 でも、私の好みからいって もできます。 の合宿プログラムは多彩です。時にはキライなイラストを 見ることもあります。そう フィルムパ ーティ、コンサート、イラスト ルームなど合宿の楽しさを満喫していただきまいうイラストが入っている 作品って読む気が半減しま す。 す。いくら好きな作家ので もあとまわしにしてしまい ■大会委員長宇宙軍大元帥野田昌宏 ます。に載ってるん ・■開催目昭和五一年八月十四・十五日 だもん、一流のイラストレ ■会場 日経ホール ( 東京・大手町 ) ーターばかりでしようが、 ■合宿 本郷館 ( 東京・本郷 ) やはり受け入れられないも セントラルアート ・■主催 のはどうしたってだめなの 参加御希望の方は「案内書送れ」と明記のです。しつこめに : ・好みの 上、郵便料金高騰のため、五〇円切手を同封し問題でしようが。 それにしてもイラストの て左記へお送り下さい カって結構大きいものです 〒東京都練馬区南田中二に一一三ー二八 ( 株 ) スタジオぬえ内事務局ね。今じゃ、それでもって ン中の小説読む順序 宇宙船 ( 川渋谷区本町二の一一〇の四大谷荘松野正幸 ) 1 0

3. SFマガジン 1976年1月号

に来れる方に限ります。 【お譲りします】 ( 埼玉県本庄市栗崎一一一八七ー五新井桃江 ) ( 左京区下鴨岸本町れ ■ーマガジン」イン デックス ( 一 0 一 ~ 一七 0 ) 松本方神沢徹 ) 今年の夏の初め、梅雨がびしゃびしゃ降り続いを適価で。 ( 鹿児島市上【お譲りください】 た頃、五百冊ばかり溜っていたの本をひとま荒田町ー荒川修一 ) ■『入門」「英雄 れぼ とめにして「古書高価買入」ってのにたたき売っ・元々社刊「発狂した宇宙」群像』を適価で。 ( 福井 ずれ て、その四万なにがしの金でもう一つの道楽の考 ( 初版本、損傷少なし ) を県武生市豊町一ーニ七赤 書誌照古学関係の本を買った、棚がしなりそうにずっし千円で。生島治郎恐怖小説沢恵美子 ) ノヤカワシリー ズ 集、ビアズ怪異譚 ( 定価千ー 迎葉当参り乗っていた本が無くなった時はさすがに淋しか 五百円 ) 、デラニーの悪鬘、「宇宙大作戦」①②を適価 歓・は次ったよ。何しろ子供の頃からの好き。当時、 この三冊を千六百円で。 ( い でお譲りください。 ( 豊 稿書先目なんて言葉なかったけど、おっかない話や不 ずれも無傷・ ( 長野市県中市東豊中町四丁目五の三 . . 投封宛 ( 思議な話は目につくはしから読んでいた。海野十町五九八上野秀樹 ) ・ 三田村昌子 ) 三、南洋一郎、江戸川乱歩、捕物帳、シャーロッ ■マガジン礙号 ~ 号。、・虫プロ商事発行の『 OO ク・ホームズにルバン、ポーを読んだ時には怖くまで、冊・号からは全 ( OO> コミックスで 冊揃い。三万五千 ~ 五万円つはない ) を創刊号から廃刊 銀河系内の主な星雲、星団及び系外の小宇宙のてトイレにも行かれなかった。 知的生物から、私を通してマガジン編集部あ昭和も三十年代になって単行本がポチボチで。 ( 豊島区池袋本町三時まで、どの部分でも結構 丁目三四ーニ古川アバーわですから、適価でお譲りく てにさまざまな非難の手紙が届いております。近出始めた時には、せっせと図書館に通って読みあ ト内高遠和茂 ) ださい。往復葉書で連絡を。 さった。今度売った五百冊の本は結婚だの出産だ ・頃、それがますます激しくなり、毎日ポストがい プラネット・スーリー ■ ズす ( 躍千葉県松戸市七右 , 門 の引越しだのという浮世の俗事が一段落してから つばいになっているありさまです。 一九四一年秋季号、四ニ年新田三八八、 ガ幡美和子 ) 彼らは切々とこう訴えています。「最近はなぜ再び読め始めたものが、いつの間にか溜ったもの。秋季号。・メリット・フ ・当方の「火星への道』香 の扉の写真に一角獣座の・ハラ星雲ばかりをどうしてに見切りをつけたかというと、そアンタジー五 0 年十月号。っ山滋と「人間以上』「一角 載せるのだろうか ? これはあきらかに差別であの頃のがつまんなくなったこと、特に三冊で五千円。 ( 目黒区青獸・多角獣」のニ冊を交換 1 ーー 2 池田進 ) と希望。他に「月は無慈悲な る。いくらあの星雲が美しいとはいえ、許せない」が。十代からの好きで四三歳の小母さんにな葉台 ■ ~ 网号、適価で夜の女王」「地球の長い午 と。とくに豪壮なオリオン座大星雲に住む種族かってもちっとも進歩しない頭ではニュー お譲りします。手渡し希望。す後」「吸血鬼」「のショ らは、次号から我々の星雲を載せないと早川書房プとか何とやらは難し過ぎてわからない。読 往復葉書で連絡ください。 ック』「血は冷たく流れる」 のビルに火をつけるど ! と申しており、他にもむにも体系が必要であり、哲学が論じられなけれ ( Ⅷ埼玉県八潮市八条一五を適価でお譲りください。 このようにおどし文句をえんえんと連ねて訴えてばならない様な雰囲気ではとてもついて行かれな六七八潮団地ー京極又は当方のガジンと いる種族がたくさんおりまして、もし、このままい 交換も可。葉書で連絡を。 。その上面白そうだと思って買ってきた単行本吉雄 ) ■「神と野獣の日」 ( 光文 ( 大阪市淀川区木川西 2 ーパラ星雲を載せつづけますと、編集部のみなみなが、出版社と題名が違っているだけで前に買った —x—< 桜木正一郎 ) さまは逆さづりにされたあと、太陽の炎で蒸し焼のと同じ内容だったり、文庫本はス。ヘースオペラ社 ) 「火星人ゴーホーム』 きにされ、皮をひんむかれ、卸し金ですりおろさばっかりだし、それやこれやで厭んなってしまっェロチックの夜」「宇■平井和正原作、坂口尚画 宙船野郎」野田昌宏の「ウルフガイ」 ( 罰 ~ 7 れ、かちんかちんに氷漬けにされてから、プラッてね。ヤマタイ国やヒミコや火烙土器の方がよっ 入門」。往復葉書で。 ( 繝ぼくらマガジン掲載 ) と荻 ク・ホールにたたき込まれることになります。同ばどファンタジックだと思った次第。 岐阜市六条塩谷敏彦 ) 尾望都の一九七一年までの 一括二千作品を適価でお譲りくださ 以上がこれまでの経過で、これからが本当に書 じ地球人としてこなる前に忠告する次第です。 最後に、 - どなたか我々の住むこの銀河系の全景きたかったこと。三つ子の魂何とやらで、本屋に円。ハヤカワシリーズ、い。往復葉書で連絡してく 創元推理文庫等、約ださい。 ( 渋谷区笹塚 2 を写した写真をお持ちの方はおりませんか ? も入って又フラフラとの棚からの本買い病が再 冊。一冊円。但し、取りーー 9 楢橋美紀 ) ・しいたら御一報願います。きみは宇宙人なのだか発して今月に入「てもう数冊目十月一一一日の今

4. SFマガジン 1976年1月号

「考えごと ? やれやれ、ほんとにほっとしたよ」シャ 1 マン氏が言った。車に戻ると、 ばたんとドアを閉じ、スターターを踏んだ。 「シャーマンさん・ーー」 「何だい、・ほうや ? 」 「何でもありません、全然何でもないんです」 「おかしなやつだなあ」シャーマン氏は首を振った。「おい、町へ帰るんなら乗らない か ? そろそろめしどきだ」 「いいんです」ポールはすばやく、心の底からそう答えた。 くり色のクーべが去って行くのを眺めながら、ポールの心は空転した。車は帰ろうとし ている。彼を乗せないままで。シャーマン氏は逃げ出そうとしているのに気づかなかっ た。どうして ? ああ、みんなまだ彼を失ってはいない。もし : : : もし自分が帰らなくて 、さ、そんなことはないんだ ! 車は家を も、 ) みんなかまわないんだったら。いいさ。いし まっすぐ通り越して行く。すぐに町の中だ。大した家じゃない。でも、そこにあるのは彼 一の部屋だ。小さな、けれどほんとうに彼自身のもの。 もう一つの帰り道には、いろんなやっかい事があるだろう。株式市場で大当たりを取っ て結婚するまでの時間。飛行機を手に入れるまでの時間。手を一部分失うには「たぶんも っと時間がかかるこ・とだろう。でも、こっちの道なら 突然、彼は道に飛び出し、叫んでいた。「シャーマンさん ! シャーマンさん ! 」 シャーマン氏にはその声は聞こえなかった。が、姿はパックミラーに見えた。彼は車を 止め、・ハックした。ポールが飛び乗り、あえぎながら礼を言い、呼吸を整えてそっと腰を , " , 降ろした。タウンシップ街道へ入ったあたりで、呼吸はすっかりもとに戻っていた。 シャーマン氏は不意に少年を見やった。「ポール」 「はい」 「きみが道路の上にいたとき、家出しようとしてるのかと思ったぞ。そうだったのか ? 」 「いいえ」ポールは言った。その目は、ひどく当惑していた。「・ほく、ただ、帰ろうとし 7 ていただけなんです」

5. SFマガジン 1976年1月号

= 4 ; 新新第を第 イルで飛んでいるように見えた。パイロットの頭上で風防がすっと引き下げられた。すご くきまっていた。 。 ( イロットはドアを開け、地面に飛び降りた。「よおっ ! きみ、ここ何年かで町に飛 行場ができるっていうのは本当かい ? 」 「だれもっくりやしないね。絶対」ポールは言った。「すごくカッコ良かったですよ」 パイロットは手袋を引っぱって脱ぎながらちらりと飛行機をながめ、にやりと笑った さつばりとした感じで、肩幅が広く「腰は締まっていた。すばらしい柔らかな皮ジャケッ 、、、まうや ? 」 トを着、びったりしたズボンをはいていた。・「町のみんなを知っている力しー 「たぶんね」 「ようし、それじゃあ、出発の前にきみからいろんなニュースを聞けるってわけだ」 「おいー」ーポール・ローデン・フッシュじゃないのか ? 」 ポールは凍りついた「、それを言ったのは破ではない突然、ひざの後ろに氷のようなけ いれんが走った。飛行機が消え失せ、パイロットが消え失せた。ポールは干上がった溝に 足を入れたまま、ゆっくりと振り向いた。 溝の傍にくり色のクーべが停まっていた。ドアは開いていた。そこには、踏み板に片足 をかけて、シャーマン氏が立っていた。シェリフ ! おれア藪ん中へ行く・せ ! そうするかわりに、唇をなめて、彼は言った。「はい、シャ 1 マンさん」 「やあ」シャーマン氏は言った。「ぎよっとしたそ。「あんまりじっとすわってるもんだか ら、車に当たったかどうかしたのかと思った」 「大丈夫です」ポールはぼんやりと言って立ち上がった。済ましてしまった方がいい 「・ほくはただ : : : 考えごとをしていたんだと思います」 考えごとーーけれど今、彼はつかまってしまった。想いは午前の貨物列車のように走り 抜けた。想い、暑い地方の、寒い地方の、はるかな地方の。株式市場、車、蹴爪、蹴爪、 飛行機。女、女、ライター、飛行場。想い、それは現実。想い、それは彼の創り上げたも の。うなり施風を伴って猛スビードで通り過ぎ、彼を、につんと立ったまま、国道とシャ 1 マン氏の前に残して走り去ってしまった。 6 9

6. SFマガジン 1976年1月号

な」 「おれだってさ」とポール。「おれ、絶対あそこにや帰らないぞ」 「おう、おめえは帰るのさ。おめえは何度だってあそこが見たくなるんだ。ちょっとずつ 聞いて回って、古い女友だちがどうなったとか、何もかもがどんなにくたびれちまったの かってな、そいで出て行って良かったんだってわかって、また帰って行くんだ。おれの帰 ったのはこれで二度目だ。通るたびにこ , こらで降りて、古い町の野郎と・ハカ話をしてよ : ・ : 」彼はぐるりを見渡し、また彼方を見つめた。「おめえ、本当に行っちまうのか、・ほう 「行っちまう」ポ 1 ルはうなずいた。そのことばの響きが気に入った。「行っちまうんだ」 もう一度言ってみた。 「だが、どこへだ ? 」 しいとこがなけりや : : : 」 「都会さ」とポール。「他にもっと、 男は彼を見てじっと考えた。「金はあるのか ? 」 ポールは用心深く首を振った。二ドル九十二セントあった。男は何か決心したように肩 をすくめた。「じゃ、元気でな、・ほうず。いろんな所を見て、一人前以上の男になれるぜ。 前にサクラメントで女がそう言った」 「あっ ! 」くり色のクーべが踏切に近づいて来ていた。「シャ 1 マンさんだ ! 」 「誰だって ? 」 「シェリフだよ。・ほくを捜しに来たんだ ! 」 「シェリフ ! おれア藪ん中へ行くぜ ! こらつ、ついて来るな、よそへ行っちまえ ! 」 土手をとび降り、茂みの中へ消えた。 男の突然の荒々しさに驚かされ、とっさに何かしようとしてうろたえ、まごっいて、ま るでダンスを踊るように二、三歩ふらっき、そして反対側に突っ走った。雑草の茂みに腹 ばいになって息を止め、道路の方をじっと見つめた。クー・ヘはほとんど止まる寸前まで速 度を落とした ~ ポールは恐怖に目を閉じた。その時、ギャのきしる音が聞こえ、車がセカ ンドでレ 1 ルを乗り越え国道を上って行く、その高まるうなりが聞こえた。

7. SFマガジン 1976年1月号

のか、もう剃らねばならないのか、どちらかだった。それでもポールには「角ばった顎の を第 ( 、 ~ 物割れ目を見ることができた。男の目は、ミルクを飲んだコップに、水を入れたような、そ 9 んな青白い色だった 右腕から目を離さずに、ポールは「うん」と言った。男は向こうの谷の町はどこかと聞 き、ポールは答えた。今ではこの男が誰であるかわかっていた。ーーー貨物列車に乗って、 あちこち旅をする伝説的な変人の一人だった。貨車の棒軸のただ乗りだ。キャシーから来 る高速便をつかまえる。キャシー、すなわち O 、つまりカンサスシティーのこと。彼ら はどこへでも行く、何でもやる、そういう男たち。そして彼らだけのことばを持ってい マリガン ラトラー ハンドアウトライン・・フル ' 蓄ダ」《、る。 = 施し物、連結機関車、シカゴ、ご 0 た煮、 / リンズ行きの貨物をひ 0 つかまえろ。 男はまるで丘を透かすかのように、町の方を見た。「古い土地ってのは、なんにも育ち 、第やしねえな」そう言って、つばを吐いた。 ポールもつばを吐きすてた。「まったくだ」 「おめえ、あそこから来たのか ? 」 「うん」 「おれもだ」意外なことに男はそう言った。 「へえつ」とポール。「この辺から来たようにや見えないよ」 男は彼の側へレールを一本またいだ。 「そうだろうな。ここを離れてからいろんなところへ行ったからな」 「どこへ行ったって ? 」ポールが聞いた。 男はポールの開いた目を覗き込んだ。それを通してポールの開けっ広げの素朴さまで も。「世界中だ」男は言った。「貨物列車で国中を、船に乗って七つの海を回ったぜ」彼 は右腕をまくった。「見な」入れ墨をしているのが、それだけで十分わかった。 「女だ」男は入れ墨がねじれるまで蹴爪のような手首をひねった。「好きだぜ」青い目を 一義一片方閉じ、ロをゆがめ、白い顎からチッと音を出した。 ポールは唇を湿らせ、また唾を吐いた。「おう、・ほうず」男が笑った 0 虫歯だらけだっ た「おれの若いころに似てる・せ。あの町にや、おれのいるところなんてのはなかったが

8. SFマガジン 1976年1月号

やつらにおごってやってから、今夜帰るんだ」 ポールはサクランポをひとっかみ取った。「すごい」そして、国道を下って歩きはじめ た。サクランポは消え、男も婦人も車も、みんな消え去った。が、そんなことはどうでも 良かった。「こういう風になるんだ」若いポール・ローデンブッシュはつぶやいた。「ち ようどこういう風になるんだ」それから、。ほっりと、「あの女の名前はなんていうんだろ 国道を四分の一マイル下ると学校への曲がり道があり、踏切があって、その大ぎな >< マ ークの標識を、ポールはいつも「鉄道踏切アリ」と読んでいた。午前の貨物便がころがる ように坂道を下り、二度長く、一度短く、また長く汽笛を鳴らした。子供のころ、二年ほ : ローデ ど前まで、ポールはそれが彼へのあいさつだと思っていたものだった。ポール : : ン・フッシュウッシュッ : : : 終わりのシュウシュウいう音は、機関車の肩を飾る蒸気の 羽飾りとなって見えた。ポールは踏切まで駈け上がり、張り板の端と道路の出合うところ ' ぼに立 0 た。機関車、炭水車、。〈ンシルペ = ア、 = ' ケルプ」ート、、南部、南部、 ペンシルペニア、。ヒア・マーケット、カナディアン・パシフィッ。 クあらゆる地方からの 貨車。暑い地方、寒い地方、遙かな地方。自動車、自動車、家畜車、タンク。タンク、タ ンク、家畜車、タンク。冷蔵車、冷蔵車、自動車、車掌車。赤い旗をなびかせた車掌車、 その窓から、猪首の乗務員が狂犬のように顎を泡だらけにし、ひげを剃りながらちらりと 見つめるのだ。列車は線路の上のしだいに縮まる長方形となり、屋根の上の制動手の影 は、平気な様子で風と速度の中へ身をかがめ、有蓋貨車の上を歩いていた。 片耳に汽車の音を、もう一方に砂塵の音を聞き、ポールは国道へ顔を向けた。線路の向 物こう側に一人の男が立っていた。ポールはばかんと口を開けて彼を見つめた。 , 羨男は羊皮のカラ」のついた古い茶色のジャケットを着、労務者風のズボンをはいてい た。風雨に鍛えられた長い腕でほこりを払った。片方ーー右腕ーーは、まるで蹴爪のよう , イだった。手のひらの三分の一は失われ、薬指も小指もなかった。中指の端から手首まで、 柔軟性のある銀色の布で、手際よく包まれていた。 " : 男はほ = りをはたきながらポー ~ を見上げた。「よう、ぼうず」ひげをたくわえている 9

9. SFマガジン 1976年1月号

「もう二十年もあの町を見てねえんだ」男が言った。「そんなに変わっちゃいねえと思う が」 「こんな古くさい土地、そう変わるもんじゃないよ」ポールは軽蔑するように言った。 「おう、帰って来るにやそんなに悪い所でもねえぜ」男が言った。「一生しばりつけられ るのはご免だがな」 「ぼくもだ」ポールは同意した。「おじさんはこの辺の出かい ? 」 「もちろんさ」と男。「おれの名前はローデンブッシュ。 この辺で戸ーデンブッシュって やつを知ってる力し ~ 、、、・まうず ? 」 「ここにやたくさんいるからね」とポール。「ねえ、あんた、二十年前に家出したローデ ンブッシュ家のあの子供じゃ ? 」 「ズ・ハリそれよ」男が言った。「おれが出てってからどうなったい ? 」 「みんな今でもあんたのことを話してる : : : 」ポールは答えた。 「お袋さんは病気でなくなったし、親父さんはあんたが出てってからひと月後にみんなの 笋 0 0 ( 第第、 0 《グ前で、あんたを粗末に扱 0 た 0 てあやまるし , ー・・」 「あわれなおいれよ」と男。「そういう終わり方ってのは、ちょっとあと味が悪いな。 》第だが、そいつもやつの招いたことだぜ」 をお「きっとね」 「これはおれの女房だ」男が言った。 宀紀 ~ ' その女は、またポールにほほえんだ。何も言わなかった。ポールは彼女がどんな声をし まているか思いつけなかった。女は身をかがめ、小物入れを開いた。中はチョコレートをま ( 鬟飃誉を 4 ぶしたサクランボでい 0 ばいだ 0 た。 「子供のころからこれにや目がねえんだ」と男。「勝手に取りな。うしろにやもう十ポン 多ドあるからな」彼はレザーのクッションに身をかがめ、銀色のシガレットケ 1 スを取り出 、書滲〉編み、し、タ・ ( コを歯の間にはさむとライターをつけた。それは手の中で小さなかがり火のよう 第な炎を上げた。「そうとも」男は言った。「都会に帰りや、おれにはもう二台車がある うち 黐し、。ヒカピカの折襟のついたタキシードもある。株で大当りして、今じや鉄道王だ。家の 0

10. SFマガジン 1976年1月号

帰シ訳 ポールは家を出た。国道までは誰にも会わなかったし、何にも出くわさなかった。 国道は見張ヶ丘の傍の曲がり角から急に広がり、えんえんと続いてタウンシップ街道の を、端を横切り、地平線の彼方の一点へ、細まりながら消えていた。しばらくして、ポールは その車に気づいた。 それは新しい大きな車で、ドライ・ハーがプレーキを踏むと鼻先をきゅっと下げ、しなや かなスプリングが一度そっと揺れて、彼の傍に停止した。 、ツトをかぶり、折り ドライ・ハーは大男だった。・大きくぜいたくなグレイのカウポーイノ 目のつかない生地でできたグレイのトップコートをはおっていた。男の傍にいる女は、広 い額と尖った顎をしていた。肌の色は。ヒンクだ . ったが、・ひどく日焼けしていて、その髪は 鍛冶屋が炉を見て「わら色」と呼ぶような赤金色だった。彼女は男にほほえみ、同じよう にポールにほほえんだ。 「おい、ぼうず」男が声をかけた。「これは昔のタウンシップ街道だろ ? 」 「うん」ポ 1 ルは答えた。「まちがいないよ」 「特徴があるからな」と男。「誰も忘れやしねえ」 「おじさんもかい」