ドローン - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1976年4月号
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1. SFマガジン 1976年4月号

「レーダーに反応なし」 うていうかがうことはできなかった。 「照明弾、つづいて投下 ! 」 「何か見えるか ? 」 新しい光点がつぎつぎと生れ、地上はさらに鮮明に浮き上った。 ティクッスネはほとんど一分おきにレーダー室に呼びかけた。 「いや。何も」 第十惑星『サイクロップス 1 』の表面は、ほとんど起伏のない、 『ダフネ 2 』のキムもいらいらしているらしく、そちらからも偵察圧延されたような平原だった。 「山も谷もないようだが : ドローンを出そうか、と言ってきた。しかし直径が四十七キロメー トルしかない小さな天体上で、二機の無人ドローンを操作するのは船長のティクッスネは舷窓からでものそくようにのび上った。主 席宙航士のクルス・プリートリーが、そのティクッスネをふりかえ 危険だった。 「まだ何も見えないか ? 」 「小惑星や惑星の小衛星でも岩石や氷塊でおおわれているのに、ど ティクッスネはとうとう、自分からレーダー室へ出向いた。 「はい。何も」 うしてここだけは、平らなのでしようね。まるで表面をそぎ取った レーダー観測班長はスクリーンに目を当てたまま肩をすくめた。 ように見える」 「照明弾投下」 「もっと高度を下げてみろ」 有視界偵察班長の声が、新しい何かを期待させた。 たしかにそれは溶融したガラス質でおおわれているように見え テレビ・スクリーンに強烈な光の点滴が湧いた。スクリーンが閃た。 高度を下げた偵察ドローンは、照明弾の光の下を、なめるように 光の壁となる。とたんに偵察ドローンが姿勢を変えたものとみえ、 ふたたび視野は暗黒となった。 平原をかすめて飛んだ。 はるか遠方の中空に、目のくらむ光輝が、時おり息をつくように 「あれは ! 」 明減しながらかかっていた。 その光輝がスクリーンの左上方へ移動してゆくと、急に画面の暗船橋に在る全員の口から、さけびがもれた。 スクリーンに一瞬、何か映って、後方の闇へ消え去った。 黒の奥底から、淡褐色の平原が、まぼろしのようにあらわれてき た。その表面の、掻き傷のような縞模様が、ぐんぐん目の前に迫っ「偵察ドローンをもどせ ! 今の地点をもう一度映すんだ ! 」 てきた。 偵察ドローンの操縦席のまわりに人がかけ集った。 偵察ドローンが高度を下げたらしい 照明弾の輝やきが画面の中をおそろしいス。ヒードで逆行した。 船橋の内部の人々の目が、それに集中した。 偵察ドローンの姿勢が変り、ふたたび平原が映りはじめた。 「もっと高度を下げろ」 条痕はさらに大きく回転した。 2 引

2. SFマガジン 1976年4月号

()5 シートの基台の内部で低い回転音が聞え、 c.5 シートは水平に倒いにズームさせたら、あるいは続航するその姿を、直接、肉眼で見 れた。同時に、天井が開いて、円筒形を水平に断ち切ったような形ることができるかもしれない。 の透明なカプセルが降下してきた。水平になったシートを、上方《ダフネ 3 》は三十万キロメートル、つまり一光秒ほど遅れてい からびたりととらえると、カプセルの内部に青白い放電が走った。 プリッジ その《ダフネ 3 》からの通信が、今、《ダフネ 1 》の船橋に立っ 一瞬、すさまじい衝撃が、キヤノ。ヒーをつらぬいた。金属とプラているサイ・ティクッスネ船長のもとにとどいた。 スチック、ゴムとガラス。その他何千種類もの物質が固有の震動に サイ船長は高声機のスイッチを押した。 狂気のような悲鳴を上げた。 《・・ヴァルハラだ。人工惑星ダリア幻を調査に向った偵察ド シートは、カノン砲の砲身のような長大な油圧シリンダーの外筒ローンは原因不明の爆発によって失われた。そのさい、ダリア幻よ に、一面に高圧油を結露させた。 り高速で飛び去る物体を観測した。偵察ドローンの爆発事故はドロ 宇宙船《セファラスビス 1 》は、すでに人工惑星《ダリア幻》よ ーン自体の機構に起因するものとは考えられぬため、この物体が関 り二十八万キロメートルも離れた宇宙空間にあった。一秒の十分の係するのではないかと思われる。この物体は現在、レ 1 ダーで追跡 一ごとに加速されていった。 中だが、徹底的に調査してみてはどうか ? 》 星々の海の中に、冥王星が黒い汚点となって浮いていた。 宇宙空間での観測、というよりも、宇宙探検とよばれる原始的か 十五分後、宇宙船《セファラス。ヒス 1 》は、太陽系を遠くへだたっ素朴な作業に精通しているべテラン旅行者は、ティクッスネ隊長 る一光日の距離を、はるかな星々の海へ向って流星のように突進しの許可がありしだい、《ダフネ 3 》の船首をたちまち反転させる意 ていった。 気ごみだった。 だがティクッスネ隊長はひややかに答えた。 すでに休眠装置は完全にはたらいていた。それがはたらき出すの を、シンヤはかすかにおのれの感覚でとらえていた。カプセルの内「いかん ! ( ツアルハラ。今は前途に、総力を集中しなければなら 部を、最初の , 低温が波紋のようにひろがり、シンヤの心をしびれさん。それに、《ダフネ 3 》は少し遅れ過ぎているそ。もっと接近す せ、かぎりない平穏に閉じこめていった。 るように」 「だめか ! 今なら追いつくことができるのだが。それなら、 4 。しかし、やつらは何者だろう ? 廃棄された人工惑星でいった い何をやっていたのだろう ? 飛び出していったのは、これは本当 《ダフネ 1 》の後方三十キロメートルの位置に、《ダフネ 2 》がびだ。こちらの偵察ドローンを破壊したのは、あきらかにわれわれに 2 たりとついていた。《ダフネ 1 》の船橋の航法スクリーンをいつば見られたくないものを残してあるからなのだろう。《ダリア幻》と

3. SFマガジン 1976年4月号

う人工惑星は、直径二十キロメートルぐらいしかない。表面はども、暗黒の空を埋める星々を背景に、それはほとんど動くとも言え うにもならないだろうから、内部に何か、基地のようなものを設けないような動きだった。時だけが音もなく動く。一秒、また一秒。 3 2 ているのかもしれない。もう一度、偵察ドローンを飛ばしてみよう」それにしたがって、十一万四千キロメートル、つぎの十一万四千キ 「ヴァルハラ。もうよせ ! あと七十二時間で本船の後方二百キロ ロメートルが背後になってゆく。そして、いっかは何光年もの空間 メートルの位置につけろ ! 」 をわたることができるのだった。 ティクッスネは、はげしい口調で、ヴァルハラの言葉をさえぎつ ヴァルハラはいかつい顔に、はげしい怒りを浮かべた。手にした スクリーンの上半部には星の海。下半分はその星の海をゆるやか マイクを部下の一人の手に投げると、さけんだ。 な陵線で区切って、さえぎるものもない平原がひろがっていた。 「両舷前進強速 ! 本隊を追え ! 星々のかがやきを受けて、平原はかすかな鉄錆色に光っていた。 ヴァル ( ラはこの遠征には深い疑惑を抱いていた。かりにクフ報の海は、スクリーンの上方へ急速に追いつめられ、視野はほと 告書が正しいとして、それを確認するのみで何ひとっ具体的な対策んど暗黒となった。 が立てられているわけではなかった。このような遠征は、科学調査「レーダー、感応なし。大気なし。肉眼による情況変化なし : : : 」 ではあるけれども、一方武力遠征の性格が強い。失敗したら、それ観測室から、唄うような声が流れてくる。 は悲惨な結果しかまねかない。クフ報告書が根も葉もないものであ「偵察ドローン、高度三〇〇〇。対地速度五〇五ノット : るならば、むしろその方がよい。人類の他天体生物あるいは他天体その無人偵察ドローンは、今、『惑星サイクロップス 1 』の平原 生命との最初の出会いの当事者になるのは、誰でもごめんだった。上空を、ロケットの長いほのほをひいてすべっていった。 ティクッスネもキム・トウルクシも、そのへんのところがわかって惑星『サイクロップス 1 』は、地球の十番目の惑星として古くか いないようだ。と、ヴァルハラは思っていた。かれの知る一連の事ら知られていた。それは今から五百年ほど前、辺境星域の無人観測 件の深奥には、ひどく、無機的なものが感じられた。わなと知っ船がこの天体の写真撮影に成功してから、それまで数値的にのみ存 て、そこへとびこんでゆく愚か者があろうか。 在が説かれていたものが、にわかに太陽系の一員に加えられた。 しかし、船団はやがて完全に太陽系空間を脱し、果しない星の海太陽からの距離、一二〇億キロメートル。直径四十七キロメート へと乗り出した。数名の要員を残し、船団は深い眠りに入った。 ルという微小な天体は、ポーデの法則を完全に立証していた。 『ダフネ 1 』と『ダフネ 2 』は、雁行の隊形をたもったまま、『サ 秒速十一万四千キロメートルといっても、広大な宇宙空間ではそ・イクロツ。フス 1 』を周回する衛星軌道を慣性飛行していた。直径の れは動いていないにひとしい。白熱の尾を曳いて飛ぶ三個の流星 小さな天体は、衛星軌道を保つに必要な距離からは、その表面はと

4. SFマガジン 1976年4月号

「わかりません」 「そいつはもうできてる。あとは・ハルフがはじいた数字をコンソー ・ハルフが沈黙したあとをリーミンが引き取った。 ルに突込んでやるたけでいい」 「ただの偵察艇でしよう。おそらく無人のドロ 1 ンだと思います三十秒が過ぎたと思われる頃、シンヤの前のエンジン・コントロ ール用のコッソールの片すみに緑色の小さな灯がともった。・ハルフ 「破壊できないのか ? 」 のあやつる航法用電子頭脳からデーターが流入しはじめたのだ。た 「こっちのことを知られたくないもの」 ちまち、・・ O ・がこの宇宙船《セファラス。ヒス 1 》を完全 「どうする気だ ? 」 に支配する。 「しかたがないわ。逃げ出しましよう」 デジタル表示の秒読みがはじまった。 最初の計画では、船団が完全に太陽系外に出てから追尾にかかる《 : 予定だった。しかし、偵察ロケットなどが飛んでくるようでは、ぐ その間に、 rs.5 シートをセットし、冬眠カプセルをオン・ウェイす ずぐずしてはいられない。 る。 この人工惑星《ダリア幻》は、五百年ほど前、太陽系外を航行す「励起装置を腕に巻いて ! 電極は水平に当るように「回路を開い る宇宙船のために作られた標位星だった。その後、船自体の航法装たら、スイッチをいったん切って : シグナル 置が発達するにつれて、この種の小型の標位星は用をなさなくなっ リーミンが早口に指示する。 た。やがて、内部に収められていた電子装置だけがとりはずされ、 「セット・よろしい。回路 0 。スイッチ・オフ。 0 : あとにはただ人工惑星の本体だけが暗黒の空間に放置された。 それを見のがすことなく、チェックしようとする探検隊の細心な 々と迫ってくる。こういうときに「、ちばんいやなのは、何か 注意と意気ごみは、さすがと言うべきだったが、シンヤたちにとつやり残したことがあったのではなかろうか ? という不安だ。それ て、これは予期しない危険だった。 は大圏航路を飛ぶ三万トンの定期貨物船でも、小さな観測ポートで 偵察ドローンは四十二時間後には、近傍に達するであろうと思わも同じことだ。 れた。 休眠カプセルは今さら点検する、というようなわけのものでもな 今なら、《ダリア幻》のエコーのかげにかくれて、星々のかがや いし、またその必要もない。シートをセットしてしまうと、事実 きの中にまぎれこむことも容易だった。 何もすることはないのだ。 -4 ワ 1 「・ハルフ。針路を算定してください。シンヤ、いつでも発進できる 百二十秒前で、キヤノビー内部の照明が消え、微光灯たけがかす かな星のように影を落した。 用意を」 228

5. SFマガジン 1976年4月号

になったのは、ひょんなことからでした。 きれいな絵のたくさんはいった本だな、と アヴラム・デヴィッドスンが日本に来て いまず感想を。来日の理由については、天理協 。ようこそ、デヴィッドスン 2 るから会いに行く、その連絡が矢野徹氏か教教祖九十年祭のためとのことでしたが、 編集部 ら編集部にはいったので、本誌編集部もさ旅行が趣味ということで、安いパック・ツ っそく彼を訪れることにしたのです。 アーも魅力だったようです。 しばらく雑談のあった後でレストランで 日本ではあまり知られていなくとも、英 ' 最初は星新一氏も会いに行く予定でした ~ 米ではよく知られているという作家はが、作家クラ・フの旅行のためにとりやまず腹ごしらえ、そして、都合で斎藤氏が めとなり、結局、矢野徹氏、翻訳家の斎藤お帰りになった後でふたたび一同は彼の部 数多くいます。たとえばドーセイ・シリー ・ズなど、男のロマンとでもいうような伯好氏、ヴァーテックス誌にアーシ、ラ・屋へ戻りました。そこで、ヴァン・トロイ しくつかの質問に ・ル・グインのインタヴューを寄稿するヤー氏のメモをもとに、、 : 作品を発表しているゴードン・・ディク ( スン、冒険から前衛的な作品まで幅広他、本誌のスキャナーにも登場したジーン答えていただきました。 ・ヴァン・トロイヤー氏、それに編集部か ⅶいテリトリイを持っている・ハリイ・マルツ 0 、 あなたは、・ とんな小説から書き始めた ーグ、その他、未訳ながら多くの長篇をら早川浩編集部長と筆者が一月二十八日 0 のですか ? ~ ものしている人たち、・ 0 ・タ・フ、ケネタ方、銀座第一テルに彼を訪れました。 デヴィッドスンファンタジーから書き始 星氏が会う予定になっていたことについ マリオン・ジマー・プラッ ・・、ルマ ては、ちょっとしたいきさつがあります。めて、それからを書くようになり、ま ドリイ、ジョアンナ・ラス等々、作風は別 々ですがずいぶんといるものです。ところ & 誌一九六三年六月号に、氏の『ポたファンタジーに戻っています。 ッコちゃん』が掲載され、日本のが初 あなたの作品が冒険からファン で、これから御紹介するアヴラム・デヴィ めて海外に紹介されたのですが、当時編集タジーに変っていった理由はなんでしょ ッドスンもそうした作家のひとり、いや、 司ある意味ではより重要な作家かもしれませを担当していたのが、アヴラム・デヴィッ ん。たとえば、昨年亡くなったアナログ誌ドスン氏なのです。翻訳は当時英文和訳よデヴィッドスンそのほうがずっと自然に ・シラーなど りも和文英訳が得意だったという、斎藤伯思えるからです。つまり、冒険という “の名物書評子、スカイラー のはヒロイック・ファンタジーが科学でド は、「・ ()5 ・。 ( ラードやコードウ = イナ好氏でした。 さて、ホテルの部屋に私たちを迎え入れレス・アップしたものなんです。 ・スミスのようなスタイリストならとも ・かく、彼のように多彩で暖かい人間性に富てくれたデヴィッドスン氏は、豊かなヒゲ あなたの作品の多くは、過去の歴史上 み、比較的読みやすい作家が、なんで最近をたくわえた、初老の″おじさん″といつの世界にもとづいたファンタジー世界が巧 の人気投票で高いランクにいかないのかまた感じの人物でした。 みにちりばめられています。それらの作品 編集部より贈られた本誌とミステリ・ マを書くときに、な・せあれほど細部に気を配 冖ったくわからない」とさえいっています。 さて、このデヴィッドスンを訪れることガジンのページをばらばらと繰りながら、 っているのですか ?

6. SFマガジン 1976年4月号

ードが渦を巻いちまうんだ。その上、登場人物が、 のウェザマンだの、年のシカゴ民 "ILLUMINATUS! PART III I 」 eviathan の表紙 ワザと矛盾した事ばっかり言うし、そのアイデンテ 主党大会 ( あのシカゴ・セヴン事件 イティがメチャなんだし、ここまで理解しただけで の舞台 ) だの、ディリー市長だのて も偉い偉いいい子いい子とほめてほしい位なんだか え固有名詞が出て来ると嬉しくなっ ら。 ちまう。 全体を通じて一一・ロえる事。著者のあの二人、年 もう一つ嬉しいのは、オカルト趣 代に学生だったのはほ・ほ確か。アビー・ホフマンが 味も一杯な事、もちろん教団自体が Revolution for the Hell of lt ( 邦訳題は「イツ 秘密結社でオカルティックなんだけ ! 」だったかな ) の中で、体制を突き崩すため ど、あの「ネクロノミコン」やあの いに非論理的な・ ( 力をやってやろうなんて言って、ペ 、、スカトニック大学や、カリオス ンタゴンを囲んで呪文をとなえたりしたけど、この トロや、エリファス・レヴィにアラ ( 一 ~ 本も、そんな雰囲気を持 0 てる。結局、この一一人 イスタ・クロウリまで関連して来る も、若い時分にや、身体使っていろいろやってみた となりや、 パプロフの大みたいにヨ 09 ・ : ・ 11 0 んだろうけど、文字で・ハ力やるしかなくなったんだ ダレが出て来らあ。じゃ、クトウル ー神話の一部かてえと、そうでもない。むしろ、クヨーロツ。 ( 地下のヴァルーシア海に向かうし ( もうよ。アメリカ建国二百年は、そんな年だし、年代 トウルーや、マッケンの諸作品が、この作品に包含イヤ ! ) 、教団はナチスの亡霊を操るし、リヴァイは、やつばり終わってるんだな。どうすりやいいの されてるてえ方が正確た。何しろ・・ラヴクラアサン ( 本の方しゃなく、伝説の巨獣の方 ) は出てか、判んないのはお九い様で、「時代閉塞の現状」 フトその人が、ちゃんと出て来たりするんだから来るし、アトランチス大陸の歴史は語られるし、宇とでも言って、寝てるべきなのかもしれない。 ( 昔懐し、ロックの・・ラヴクラフトてえグル宙生命と教団の神様と、何でも出て来てメチャクチでも俺、劣等感に悩まされてる。こういうやたら べ・タンチック 引用があって衒学的な本だと、大抵そうなんだけど ープもチラリと出て来るし ) ね。 第二巻以降は、最初のセッティングにあったフェ べ / ントリ ルナンド・。フーが教団の陰謀だったり、細菌は犠牲今、深く深く息を吸って吐いて考えたけど、こん団先輩、雑文でご免なさい。先輩みたいに衒学を 者を増やしたりの一方、舞台は、クライマックスてなエビソードの羅列じゃ、紹介になってないんだよ楽しむ所まで行けませんでした。冷汗三斗、 ッ ね。でも勘弁してよ。二、三行位で一つのエピソー えかアンチ・クライマックスてえか、ウッドストッ ドから別のエ。ヒソード へ移ったり、幻覚シーンがあ ク・ヨーロッパに向かうんだね。アナーキストは、 イエロー・ サブマリンならぬ黄金の巨大潜水艦で、ったりするだから、要するに、頭の中でエ。ヒソ 0 0 PART Ⅲ ー 25

7. SFマガジン 1976年4月号

々にあるだけのことなのである。はじめのー番組プロデ、ーサー、そのかたわら平和 Empty FieId" by Mo 「一 0 Kita ( 北杜夫 三日ほどは、文字通り西も東もわからない運動、女性解放運動、などの講演やイ「空地」 ) 。ほかに決定稿ができあがりかけ ているものとして、星新一「雪の女」、 状態で途方にくれていた・が、トロントの雰ンタビューのためにとびまわっている。 囲気になれるにつれ、自由行動のほうが多ところで、問題の日本アンソロジイ松左京「兇暴なロ」、半村良「虚空の男」、 だが、その内容はこれを書いている一九七福島正実「花の命は短くて」。もちろん、 くなり、その週の後半には、日本にいたと きと同じ生活。 ( ターン ( ただし、仕事ぬ六年一月末の時点では、まだはっきりときこれだけではとても一冊にはならないの まっていない。英訳が完成し、単行本に収で、今年春に予定されている彼女の三度目 き ) をつくりあげていた。 の来日を待って、残りを急いで仕上げるこ 八月十八日、・ほくは三年ぶりにジディ録されているのが二篇。フレデリック・ ス・メリルに再会した。すでにあちこちにポール編ご、 Science F 、 ~ 0 fo 、 1972 とになるだろう。 (Ace Books, 1972 ) 所載の "The Sunset, もっとも、以上のことがわかったのは、 書いてきたことだが、破女はもはやアメリ カ人ではない。ベトナム戦争が最悪の事態 2217AD こ bYRyuMitsuse ( 光瀬龍「落陽二度目にトロントに行ってからである。そ エルウッド編のときには彼女がいそがしく、・ほく自身、 をむかえていた一九七〇年、アメリカにあ一三一七年」 ) 。ロジャー いそをつかし、カナダに移住してしまった 0 ミ 4 (Walker' 1973 ) 所載の "The 外国に着いたばかりで浮かれていたことも あって、仕事の進みぐあいなどまったく聞 からだ。ベトナム戦争とそれにともなうア きだせなかった。十八日の昼すぎ、トロン メリカ社会の変化が、彼女にどんな影響を トの中心部にある O O のビルを訪ねる 与えたのか、くわしいことは・ほくは知らな と、にこにこしながら出てきた彼女は、・ほ 。しかし、その数年前から、作家・ くにむかってこういったものだ、「わたし 評論家・アンソロジストとしての活動がと がなぜ翻訳をやってないか、わかってくれ だえていたことはたしかで、来日した一九 るのはあなただけよ」そりや、そうだろ 七〇年の時点でも、すでには彼女の幅 カ 伝う。彼女とぼくのあいだに共通の欠点があ 広い関心のほんの一部になっていた。日本 るとすれば、それは仕事の締切りがどうし の短篇の英訳という。フロジェクトは、 1 0 & ・の カても守れないということなのである。・ほく 彼女にとっては、そうした大きな視野から の持っている『に何ができるか』の扉 をもう一度見なおそうとする試みの一 には、ジュディのこんな献辞が書かれてい つなのだ。このあたりのいきさつは、わが comrade in dead- る、 "For ・ ltoh-san 国だけで出版されている彼女の評論集『 line-horrors•• 00 おそるべぎ締切り破り に何ができるか』 ( 品文社 ) の「あとが き」をお読みいただくとして、現在ジュデ の同志、というところか。「これが矢野さ 9 。 05 イはカナダ O O ラジオのドキュメンタリ んだったら、ただじやすまないそ」そう言

8. SFマガジン 1976年4月号

ハヤカワ・ノヴェルズ / 最新刊 たちの姿を描く戦記冒険小 戦争の趨勢を決する極秘作戦に命を賭けた男 襄し首相の別荘へと接近していったが・ が英国の片田舎に降下した。彼らは英 ヒトラーの密命をうけた独軍落下傘部ド名 二次大戦さ期、 チャチルを暗殺せよ ! ジャック・ヒギンズ ~ 光訳¥ 1300 鷲は舞い降りた 月曜日の男 握る薬品をめぐる人々の愛と葛藤を描く。 フランス S F 界の第一人者が、人類の生死を 運ばれた。その島で彼女が見たものは・・ ンヌは機密に近づき、ひそかに北海の孤島に 機密 J L 3 とは ! 失踪した恋人を捜すジャ 全世界の五大国の最高権力者のみが知る最高 ルネ・パルジャヘル / 荒川浩充訳⑦¥ 1300 月曜日の男 不滅の孤島 早川・ 前中に彼女と密会、午後は分析医に通う奇妙 ・・かくて毎週月曜日の午 なアメリカ青年。かかりつけの精神分析医の ロスアンジェルスに住むミテルマン君は陽気 / 佐和誠訳¥ 800 な生活が始まった ! 奥さんに一目惚れ・・ ロニイ・ / ヾーノレマン

9. SFマガジン 1976年4月号

を地で兆円 ) が見込まれ、まさに天文学的金額である。 知識を教えてくれるかも知れない 行く大がかりな宇宙交信計画が、いまアメリカで毎年、六應ドル ( 千八百億円 ) の予算で、百基ず 着々と進んでいる。早ければ、この春から具体化つ、ゆっくりしたペースで望遠鏡を建設してい される。 き、完成までに十年から二十五年はかかる。 この計画、名付けてサイクロプス計画。サイク このような″宇宙交信計画″は、これが初めて ロプスとは、ギリシャ神話に登場する一つⅡの巨ではない。規模は小さかったが、十六年前に、有 か人の名前である。米国南部の気象条件のよい平原名な「オズマ計画」があった。ワシントン郊外の ー石だに直径百メートルのオワン型の電波遠鏡を千基グリーイ ( ンク天文台の当時としては最大級の直 きの あうから二千五百基並べる。全体としては、直径十キ径二十六メートルの。 ( ララアンテナを使用。ク 口から十五キロの超大型の″複眼″電波望遠鏡とジラ座のタウ星とエリダスス座のイ。フシロン星に アンテナを向けた。 たとなるわけた。 いま世界最大の電波望遠鏡は、西インド諸島プ 聞こえた ! とわき立っことが何回もあった らカ エルトリコ ( 国自治領 ) の米国立アレシポ天文が、よく調べてみると、無線タクシーの電波たっ 揚の たりで、結局、成果はなし。三カ月で体止。その 台の直径三百メートルのもの。わが国のは、直径 き船 二十六メートル。サイクロプス計画の電波望遠鏡後、、カナダ、ソ連などで同様な試みが行われ 引の 力いかにジャンポなもの ら洋 かがわかる。これで宇宙人ーゾ か東 沖の からのかすかな電波のささ ス昔 やきをキャッチしようとい ロ大 こ寸、、こ一」い うものだ。カ・ハーする電波 の周波数は、五〇〇メガへ 国の尊門家に送り、鑑定を依頼するという。 ルツから三〇〇〇メガヘル 石の風化状況から、五百年から千年ぐらい前のツまで幅広い。受信電波は ものとみられている。五百年前だとコロンプスのコン。ヒューターに人れ、雑 米大陸発見と同時代だが、千年前だとすると、コ 音を取り除き、処理される。 ロンプスよりはるかに早い。コロンプスより一に ざ 0 と地球から二万光年一 眼の 東洋人が太平洋を渡って貿易をしていたと世界ののかなたまで探ることが朝 複も 歴史が書き換えられることになるか。それとも、能。しかし、当面は一千光 のた この石は、全く別のスト丿 ーを秘めているのだ年の範囲までをねらう。昼 ろうか 夜体まず″科学の耳″をす ス拡 まし、一年間に一万五千個 プを の天体を探索する計画だ。 ■宇宙人との会話大作戦 ロ分 Z < ェイムス・リサ ク部 イの ーチ・センターとスタンフ はてしない宇宙のかなたに地球人に似た宇宙の サそ 隣人はいるのだろうか。ひょっとすると、われわオード大学を中心に二十一 れより進んだ技術文明を持っていて、うまく交信の大学のグループが推進 上下 できたら、新 = ネルギーの開発技術やガン繝圧の役。総費用はⅱ億ド ~ ( 三「 1

10. SFマガジン 1976年4月号

〔エデン一三年一四八日〕 「たった、それだけで放射能に対応できる体質が作れるんですか そして、わたしはきみたちふたりを養育するために、ロポッ ト工学の粋を集めて作成された。世界で初めての〈物を考える〉ロ 「理論上は可能なのです。だが、これまでに試みたものはひとりもポ ' トとしてね。もちろん、シ = ルター全体が 0 ポ ' トにな 0 てい いません。あるいは失敗するかも : : : 」 るというのも初めてのことたった。わたしは〈アツ。フル〉と名付け 「そうですか : 。でも、きっと成功しますわ。失敗したら、なんられ、きみたちを育てはじめた。 のためにこの計画を試みたのかわかりませんもの」 しかし、計画は失敗した。耐放射能の体質を作るための薬物 「奥さん。ほんとうに申しわけありません。奥さんの辛いお気持は投与がガンを発生させてしま 0 たのだ。計画開始一年半でテ ' ドは よくわか 0 ています。だけど、この計画は必要なのです。ほかの人死んだ。きみは文字どおり地球最後の人間にな 0 たのだ。そして、 人はなんというかしりません。しかし、・ほくは信じています」 この時わたしは : 「もちろんですわ、ターナー博士。学者が自分のすることに自信が わたしは、きみの。 ハバ、クレメント博士の命令にそむいた。 持てなかったら、なにもできないし進歩はありません。特に科学者 〈エデン計画〉は、人類存続を目的としていた。したがって はね」 男女二名どちらか一方が死んだ場合、もうその目的を果たすことは 「ありがとう、奥さん : : : 」 できない。博士たちは、ひとりが死んだその時、残ったひとりを必 なことを : 。わたしが機能を停止したら、きみはひとりで生きて 「わたしたちね。赤ちゃんにキャサリンという名前をつけたんで いけないのに : す。いい名前でしよ」 そうか、そんなにしてまで外が見たかったのか。きみにとっ 「ん 、きっと、奥さんのような美人になりますよ」 て外の世界は〈夢の国〉なんだね。でも、キャサリン。外の世界は 「まあ、どうもありがとう。ところで、テッドのほうよ、 冫し力がです 死んでいるんだよ。地球は死んでいるんだ。緑の山も青い海も、 まはもうない。とっくの昔に消えてしまった。 「順調です。いま人工子宮で、すくすく育っていますよ。あなたの しいよ。全部話してあげよう。こうなっては隠しておいても赤ちゃん : : いや、キャサリンも、せめて月が満つるまではあなた しかたのないことだ。わたしの機能が停止してしまわないうちにのお腹に : ・ : こ ね。このうえ、きみに真相すら知らせないで、わたしが停止してし「そんな心配はいりませんわ。計画の成功のためには私情を混じえ ま 0 たら、わたしはきみにも、博士にも償いのしようがなくな 0 てている時ではありませんもの」 しまう。 0