考よ家たちは、それそれの麟質にの増刊号を、スペース・オペラ特集とした を収応じて、それに見合う作品をのも、これら一連の動きとつながりがあ 0 2 本号多彩に書きはじめたーーーそのる。それまで、ごく一部の懐古主義者たち 日月 有様は、アメー・ハーが四方八のあいだでしか人気を保っていなかったこ の 6 ~ 紀昨氏方に偽足をのばすさまにさえの一九三〇 ~ 四〇年代の素朴で野放図な宇 宙冒険小説が、近年じりじりと好調にな 一公似ていたのではないかと、 十ン部まにして思うのだ。 り、アメリカでリバイバル・プームが起こ くガの・ほくにとってこれは、またるや、わが国のヤング層の中に、爆発的に 『マ中 会談とない機会であったはすだっ愛好者の数をふやした。それも、このとこ 談対た。ぼくは、前述したようなろの、宇宙や未来や空想の領域の拡大と、 別る雑多で多忙な日夜のあいだに重要な関係があったのである。 , 特えり も、何とかしてこの機会を効 ~ 年は、こんな状況の中で、はげし また眉村卓の場合は、産業人ーーといって率より利用しようと腐心した。政府の「二く動いていった : も、産業を動かす側よりも、その体制内に十一世紀の日本のビジョン」募集の事大主 ある一般市民 ( サラリー マン ) の意識の側義を批評し、あわせて未来の問題を考えよ から、近未来の問題に、より慎重な手つきうというので行なった座談会『〈二十一世 でメスを入れようという試みをくりかえし紀の日本〉を考える』 ( 安部公房、小松左 ていた。 京、星新一、石川喬司、筆者 ) ただ、忘れてならないのは、が、こ なども、そうした努力の一環で「 あった。未来論の流行以来いっ うした未来学関連のものだけあったら、 わゆる繁栄への道をこの時期にたどりはじそう殺人的な多忙さに追いまく めることは難しかったろう、という事実られていた真鍋博を口説きおと である。読者は、未来プームの中で、もっしてもと版の未来白書よりさら と単純に面白いもの、笑えるもの、破天荒に大胆な『絵でみる二〇年後の なもの、ナンセンスなもの、従来はあまり日本』の誌上掲載を実現したの : に現実とかけはなれすぎているため興味をもやはり同じ趣旨の試みだった 持てなかったが、いまや新らしい興味の対といっていい。 象となるはすのものーーを、求めていた。 また、一見まったく無関係に一・ ~ そしては、それにもこたえた。作見えるかもしれないが、六六年第 ここ数年、世界的に未来論が盛んにな りとくに今年は一種のプーム現象をさえ 同 , 星新一氏
なして、ちょっと見渡しただけでも、海 ところで、この問題に関連 外のもの日本のものを合わせると十数冊して、最近興味ある論争が起 を数えるさまざまの未来論、ビジョン論 こった。例の、皇居前の堀ばた顰群懸物 が出版されている。それも今年は、従来の高層ビル是非論争である。 の未来論のほとんどが科学・技術の未来高層ビルが未来の美観をつ 予測だったのに対して、そうした科学・ くるか、それとも高さをそろ 技術の発展が、社会・文化・世界に対し えた標準ビルのシンメトリー てどんな影響を及ぼすかを問う綜合的未が永遠の美観の条件となるか 来論に変ってきたことに特徴がある。 をめぐ 0 て、喧《囂々の論争一 ( 中略 ) が展開されたのだが、その問鷙 最近の科学・技術の飛躍的な進歩が、 題の是非はとにかくとして、 もはやたんなる〈科学知識〉としてでな ぼくにとってもっとも興・味が く、また専門家のあいだの特殊な問題と あったのは、この論争がいわゆる未来派分はある。いや、たいていの人間が、意 してでもなく、一般市民のわれわれの社と現実派のあいだでたたかわれたことだ識的無意識的にこの種の心情に対するシ 会・生活に、大きなかかわりを持ちはじ った。現実派は采来派をーーある評論家ンパシーを持っているはずだ。だが・ほく めていることが意識されてきたからであ は同時に、これが、現実ーーーより正確に の言葉をかりれば・ーー「現在を確実に生 きよごう ろう。 いえば現状ーーーを、確固不動のものと き得ないで未来を論ずる倨傲の徒であ り、未来を楽観し現在に関心 み、未来を、はるか遠くにあって現在と の薄い啓蒙家である」ときめ は無関係なものとみようとする、日常感 つけた。 覚独得の保守性をあらわすものであるこ とにも、気づかざるをえないのだ。 だが、作家であり従っ 現在は、いかに拒否しようとも、つね て未来派に分類されるだろう 左ぼくにとって、この言葉は、 に未来に向かって動いている。しかもそ 」いわゆる現実派の現状維持的のテンポは想像以上に急速なのだ。この 心情を、いじらしいほどによ否応ない技術革新の世界にあっては、現 同 く表わしたものとしかとれな在は流動的可変的にしか捉え得ないもの なのだ。そしてそれこそ、最近の未来論 いのである。確かに、こうし の過熱的な流行の真の理由なのである。 た心情は、日常感覚としてな ら、ぼく自身共感を覚える部既成の。ハランス感覚、とくに現状に固執 同 , 石川喬司氏 203
ヨーロッパに見られるような国際作家 会議は持たれたことがなかった。 しかし今日わが国の置かれた特殊な 立場と、わが国文化に対するヨーロッ 、アメリカ文化の複雑な影響等を考 えるとこうした国際的範囲での作家会 議の必要は、とくに昻まっているもの と思われる。 この意味で、そうした国際作家会議 の先駆的あるいは準備的行事として、 この国際作家会議を計画したもの である。 現代は科学・技術を除外しては理解 し得ない科学時代であり、あと三十数 年にして二十一世紀を迎えようとして いる。この時にあたって、文学の未来 を、すぐれた未来ビジョンを持つ一流 の作家たちと共に論することは、 きわめて有意義であるといってよいだ ろう。 この会議によって、ここ数年間とみ に上昇気運にあるの、文学ジャン ルでの確立をはかり、また、ひろい、 国際的視野に立った未来論の、より一 層の実り多い展開を期待することがで きるだろう。 また、東西両陣営の作家と、日本作 家とが一堂に会することによって、こ の会議を、平和問題の足がかりにする ことも、決して不可能ではなく、そうし たすべての点で、ジャーナリズムをふ くむマスコミに、大きな刺戟をあたえ るきっかけになることが予想される。 八月中 ( 下旬 ) 一、期日 一、行事 講演会一回 討論会二回 他に小規模な懇親会・テ レビ・ラジオのインター ビュー等 一、講演・討論のテーマ ( 例 ) 明日の文学としてのの 可能性 未来に対応する思想として の未来論 平和と未来について ー ( 招待者 ) 一、メン・ハ ート・ << ハインライン ( 米 ) アーサー・ 0 ・クラーク ( 英 ) アルカージイ・ストルガッキー ( ソ ) スタニスラフ・レム ( ポ ) ( 全員、出席可能の返あり ) ( 註 ) ート・・ハインラインは、現 〇ロ・ハ 在アメリカ界を代表する作家 で、その作品は読者のみならず 一般読書人にもアビールする。わが 8 っ 4 でもすでに十冊ちかい著書が翻訳 出版され、その知名度はかなり高い。 〇アーサー・ O ・クラークは同じくイ ギリス界の代表的作家であるば かりでなく、すぐれた科学解説者と して世界的に有名であり、その最近 の著書『未来のプロフィル』はわが 国の未来論の重要な資料として広く 読まれている。およびノン・フ イクション ( 未来技術論、天文学書ほ か ) 十冊ほどが翻訳出版されている。 〇アルカージイ・ストルガッキーは、 ソ連界の若い作家層を代表する 作家であるとともに、日本文学の研 究家・紹介者としてよく知られてい る。『源氏物語』などの古典、芥川 龍之介、野間宏、宮本百合子、安部 公房などの現代文学の翻訳がある。 またモスクワの国立出版社のファン タジー部問の編集顧問として、 の普及に努めている。 ホーランド 〇スタニスラフ・レムは、 : 作家というよりも、東独からバルカ ン諸国、ポーランド、ソ連をふくむ 共産圏全域で、現在もっとも高く評 価されている作家で、彼の作品 はつねにベストセラーにランクされ
ンネルは大幅にふえ七〇〇〇のチャンネ 。そしてそのひずみは社会そのものを いう小冊子を書き大ベストセラーとして、 ルを全世界に放送できるだろう。ただし破綻に導くのかもしれないのだ。近未来すでに始まっていた未来論出版を・フーム化 この時代の人々はこれたけのチャンネル が、オプチミズムのような安易な精神のしたのも、この頃のことだった。海外国内 を要求するほど退屈しているかもしれな手に負えない、困難で複雑怪奇な怪物でものの未来技術予測、ビジョン論が、毎月 いのだ。 あることは、今のうちにはっきり認識し書店の店頭をにぎわわせた。 ておいたほうがいいだろう。 の繁栄が、こうした傾向に促されて このようにアシモフの予想する二十一 日記マガジン一九六六年六月号 ) 起こったのか、それとも、の流行その 世紀世界は、かならずしも、技術至上主 ものがこうした傾向の一部であったのか 義的な学者や、それをムード的に利用し は、にわかには決めがたい。しかし、その この年が日本界の飛躍の年であった ようとする政治家や、それと気づかすことは石川喬司の指摘する通りだが、それいずれであるにしろ、作家たちが、そ に無邪気に喜んでいる一般大衆が想像すが、未来論プームの始まった年でもあった うした時代背景を敏感に感じとって、直 るほど輝かしくも素晴しくもなさそう ことは、決して偶然ではない。じっさい、 接、間接的に、その要請に応えるーーーある いまふりかえってみると、わが国の いは、その動きに有機的な反応を示す活動 アシモフ自身も、十年ほど前には、こ は、文学ジャンルとしての成長を、未来論をしはじめたことが、マーケットの拡 れとは違う意見を持っていた。その頃彼プームに象徴される、高度経済成長ムー大にもつながったことは確かである。 は、新技術の開発・革新が、人間社会と 未来ムードの中で果したといって過言 その意味では、筒井康隆の路線も、未来 のかかわりあいにおいて、もっと前むきではないだろう。しかも折りから、米ソ小説でないにしても、彼自身の現実認識の の役割を果すだろうと信じていた。それは、月をめざす宇宙開発の最終ゴールに入メトーデという意味で今日的であり、すく が、この十年間に、多くの反証によってって、はげしいデッドヒートを展開してい なくとも、この時期のを、未来ムー 裏切られ、こうした結論に達したのだろた。 ( 事実六七年早々、アメリカのアポロ 非現実ムードの方向へおしやる一つの 1 号と、ソ連のソューズ 1 号が事故を起こ力となったことも、確かだ。もちろん、 科学・技術そのものは、確かに、予想し四人の宇宙飛行士の命が失われるという松左京や、眉村卓たちは、より直接的に、 この傾向に反応して : : : というより、先行 以上の急カープを描いて発達し、進歩し悲劇をさえ生んだのだ。 ) ていくだろう。だがそれが、かならずし政府は明治百年 ( 一九六七年 ) を記念すして、近未来を扱った小説を発表してい もー・ー、オプチミストたちが考えるほど明るため、二十一世紀の日本のビジョンづく た。この時期、小松左京がマガジンに るく輝かしい いわば準天国なみの未りの一環として、一般から賞金総額二〇 0 発表した『極冠作戦』や『計 来世界を創造するとは限らない。むし〇万円の小説・論文を募集するという〈劃画』その他、また他のメディアに書きまく ろ、その異様なまでの発達は、グロテス期的〉な企画を発表した。当時経済企画庁っていた戯画的文明批評コメディーの類は R クなアンパランスを生ずるかもしれな にいた林雄二郎氏が『二十年後の日本』とそれらの端的なあらわれである。
しがちな日常感覚では、とうてい把握で んかなコントロールなど排除しても、あ学そのものの提灯持ちをするもの書きで きない〈現在〉だからこそ、さまざまの くなき前進をつづけていくだろう、とい はないからである。 しいかえれば作 8 2 多角的な分析や認識が必要になったので うことなのだ。 家は、現実を、科学的に つまり膨大 ある。 - 少なくとも、十年二十年の時間的 そして、こうした、いわば自律的不可 な年月にわたる人類史の中の一時期とし な幅をもって、その幅の中で座標を移し避的な科学・技術の進歩と革新の中で築て、さらには途方もない時空の広がりの かえながら考えなければならない。現在かれていく明日の世界をどうみるか。地中の一点として捉えようと試みる作家だ はそうした時代美意識すら、科学的予測上の天国〈ユ ート。ヒア〉とみるか人間疎からである。従って作家の姿勢に にもとづく現実認識と不可分のものとな外の〈反ュート。ヒア〉とみるか。人々の は、本来的には、オプチミズムも、ペシ った時代なのである。 関心の多くはこの点に集中し、議論の前 ミズムもありえないのだ。 もちろん、その科学的予測は、予測で に、その人が敵か味方かを識別しようと だからこそ、われわれは、未来の〈華 ある限りにおいて可変値である。それしているようである。 やかなイメージ〉を鼻で嗤う者が、じっ は、現在発表されているさまざまの予測 作家は、世間から、前者と見られ は未来に対して慎重なのでも、また、生 が、互いに食いちがい、大きな偏差を持がちである。それも、極端な楽観的ュー 来犀利なるがゆえに未来の可能性を信し っていて、 たとえばガン抑制の時期 トビア論者と見られているようだ。前述 ないのでもなく、じつは現実にがんじが とか核融合技術の完成の時期について の評論家なども、明らかにそれを意識し らめにされているために、たんに変化を は、予測は全くまちまちで、それをみな て発言している。事実、作家たちは恐れ、変革に辟易しているにすぎないこ 首肯すれば、二十年から五十年ほどの誤近頃、正月になると必すマスコミから動とを知っているのである。と同時にわれ 差を認めなければならなくなってしまう員されて明るい未来についての〈おめで われは、未来が、間違っても準天国風の 一般市民としては、むしろ未来ビジ たい話〉をさせられることが多くなって ュートビアではありえず、巨大で、複雑 ョンに混乱をきたすおそれがある、とい きた。だが、すこし熱心なの読者な で、一つ誤れば壮大な自壊作用を起こす う点を見てもわかる。 らばとっくに気がついているように、 怪物的エネルギーのかたまりでもあるこ だが、それは多分それでいいのだ。科クスリー とも、知っているのである。 オーウエルの時代から、英米 学・技術の分野にはつねに未知の領域が そして、あえていうなら、こうした および日本の現代作家たちの作品に モ / ストロシテ 広がっていて、だからこそ過去において は、そうしたマンガ的な科学的楽観主義独自の認識は、未来の怪物性を、コ も、予測しえない変数の発見から幾多の の、単純な肯定や謳歌はどこにも見あた ントロールして、社会的有用性へとフィ 科学的技術的突破が可能になったのであ らないはずなのである。 1 ド・ハックさせる作用をーーー未来の困難 る。それは今後も本質的には変わるま 奇妙なようだが奇妙でない。 さの中で、人間がよりよく自分の生を生 いずれにしろ、いま一番問題なの なぜなら、作家は、科学的方法を きていくためのビジョンを発明し創造し は、科学・技術が、もはや人間のなまは現実認識の手段として用いこそすれ、科ていくための作用をみちびきだす、一つ
「どうしても、そうでなければならないのですか、ジョン」 のものより優秀だが、すぐにこちらの計器でも観測できるようにな エヴァレットは、異星人の大きな緑色の瞳に目をやり、どうしよるはずだ」 うもない語義の差異をののしり声で説明しようとしたが、問題点は後列のどこからか、押しころしたすすり泣きの声が聞こえてき こ。残りの者の表情には、苦痛が浮かんでいた。未来ーーーもう未来 そう簡単に理解させることができなかった。とっ・せん、ショックとナ 無力感とが、純粋な恐怖に席をゆずった。親切なこの異星人にくどとも言えなくなった将来のことを考える苦痛であった。機関員のラ くどと人類と男性との二つのことばの意味のちがいを説明などしてティマ 1 ーー・皆にティップとよばれている若者が、身を屈して両手 いることに耐えられなくなった。今彼が知らされたことの : : : 知らに顔を埋めた。若い航宙士のツェンが、全員が心に抱いている疑問 されたことの : : : 窒息しそうな声でやっと言った。「言ったとおりを、ついにロにした。 「のこったのはーーーわたしたちだけなのですか」 の意味にうけとってください、フアヌー」だみ声になっていた。 「五十年後には、ホモ・サビエンスは、あなたの種族以上の程度に「我々だけだ」エヴァレットはそのまましばらく待ち、顔をそむ 減亡しているということです。わたしはもう行ってーーーみんなに伝け、そしてふりかえって全員を解散させた。訓示をおこなえるよう な類の話題ではなかった。最終的には、みな降参しなければならな えなければー、ーー」 い 9 全員が、それそれに。 盲人のようにあちこちにつまずきながらドアをまさぐったとき、 大きな緑色の目がずっと自分の背をあわれむように見つめているこ とを意識していた。 フアヌーの衣ずれの音が聞こえて、エヴァレットは歓迎の笑みを 平静に、静かな声で話そうと努力したが、一同は最前の彼とまっ浮かべた。一一人は丘の頂にならんで立ち、小さな谷間でたちはたら たくおなじに、ショックをうけ、まず恐怖に身をこわばらせて沈黙く隊員たちを見おろした。「何をつくっているのですか」フアヌー がしばらくしてたずねた。 し、そして仲間同士、団結心に心の平安をもとめるとでもいうよう 「あれはーー」と楽しい笑いをこらえられずにエヴァレットが言っ に、たがいに身を寄せあった。 た。「病院をつくっているのですーーーあなたと、薬剤師の助手のギ 「絶対に・・ーーまちがいだったということはないのですか、隊長」コ ードが、おずおずと質問した。そんなに大男であるにもそぐわず、ヤレットのために」 「それはそれは」フアヌーは笑い顔をすることがでぎなかったが、 彼はいつもおずおずとしゃべる。 その目は急速に喜びに輝いた。「それはご親切に、どうもありがと 「わたしが自分で図表をしらべ、座標もたしかめたのだ、コード。 それに、フアヌー あの異星人のことだが、彼のデータを疑うべう」 き理由は何一つない。知りえたかぎりでは、わたしたちの出発の六 「なんでもないことです。それでも、問題が一つ解決されるだけで カ月ばかりのちの出来事にちがいあるまい。フアヌーの計器は我々す。あなたがたは二人で、わたしたちの健康を保ってくれますね」
目された。 ネリズム化の兆しが見えはじめている。 からして、取りあげるにも価しないものだ 眉村卓は未来社会を舞台にして文明の わが世の春を歌ってはいても、作家陣のったが、その行間に陰火のように燃える 層の薄さは蔽いがたい。 画一化への警告を発した『幻影の構成』 ( 中略 ) をへの悪意と偏見と嫉妬の執念深さは、思 ( 早川書房 ) でそのユニークな資質を証何か珍奇なもの、オメデタいものとして いがけない根深いものを持っていた。これ 明した。経済史観によって未来世界を構しか受取ろうとしない世間の蒙をひらくを、黙過することは、とくに児童文学領域 には、まだまだ多くの作家群と長い時間 への良質の r-n 浸透を、普及の一つの 築しそれを疎外者の視点から描く眉村 には広くサラリーマン読者の共感を誘が必要なようだ。折からの〈未来論〉プ重要な課題として自らに課していたぼくに うものがある。 ームの中で安易にアグラをかいてもいらは、ぜったいにできなかった。しかも、た れない。 福島正実は第二短篇集の夜』 が〈未来学〉に貢献できるとえ個人署名の記事であるとはいえ、この ( 早川書房 ) アンソロジー『ェロチ分野は、かなり広いように思われるから文章は日本児童文学者協会が責任編集をし である。 ック・ミステリ』 ( 秋田書店 ) ジュニア ている同協会の機関誌である。編集担当者 が、彼の意見をよしとしたか、それともこ 版入門『未来の世界・の世界』 ここで、二、 三つけ加えておかなければの意見によって論争を喚起したかったか、 ( 少年画報社 ) などであいかわらず多彩 な動きをみせた。福島はこの秋児童ならない。その一つは、児童文学者協会のそのいずれかととられてもしかたがないは のあり方をめぐって児童文学者協会を相一部メイハーとの、心ならずものーーーしかずであった。 ぼくはさっそく、 co マガジン一九六六 手に論争を起こしたが、こんごの進展がし、必然的だった衝突にまつわる出来事で 注目される。 ( 中略 ) さらに豊田有恒もある。 年八月号に〈メモ〉を発表し、その中で、 処女短篇集『火星で最後の : : : 』 ( 早川 ことの起りは、日本児童文学者協会の機このエッセーの内容を紹介するとともに、 書房 ) で本格的な作家活動に入った。さ関誌〈日本児童文学〉に掲載されたある児この評論家を、無知で不勉強な上に、ケチ らに平井和正、山野浩一らも着実に成長童文学評論家の「大衆児童文学の現況」とでズラで ( データのサンプリングがしし を示し、評論の野田宏一郎、斎藤守弘、 いう文章であった。この評論家は、日本の加減で行きあたりばったりだったため ) 伊藤典夫、絵画・アニメーションの手塚大衆児童文学が、ルポ記事とマンガの間にで、何よりも頭の悪い男だと書いた。彼の 治虫、真鍋博、翻訳の矢野徹、推理小説はさまって「消減寸前のみにくい姿を露呈文章はいわゆる大衆児童文学の中で着々隆 畑の生島治郎、佐野洋、三好徹、都筑道し、喘いで」いるとし、その原因はそれら盛をしめしつつあるあるいはその周辺 夫、純文学畑の安部公房らも界にい の大半が、「あまりにも愚劣」なミステリ的傾向の作品の進出への、そねみ憎みの呪 ろどりを添えた。 ーものとものによって占められている咀のうめきにすぎない、と書いた。 ( 中略 ) しかし昨年版の本欄でも指摘しためだと書いていた。 例によって例のごとしだといわれればそ このエッセーそのものは、そのデータれまでだが、しかし・ほくにいわせれば、す たように、界にも早くも需給のアン ・ハランス現象が現われ、量産によるマンや、分析方法のあまりのお粗末さ、杜撰さべては計算づくだった。に対して、不 円 0
アイザック・アシモフが 最近ニューヨーク科学アカ マガジン七周年記念増大号をお贈 紀予測の講演のニュースが りします。 届いた。ここにその大要を この七年間、界にも大きな変化が紹介しよう。 ありましたが、それを受け入れる側の意 1 宇宙開発について 識にもまたかなりの変化があったように 二〇〇〇年までには、月に 思います。社会全体が、未来を意識しは大規模な恒久的基地が建設な評、 ~ 餮靉・第 じめたことです。 され、火星には有人宇宙船 ( 一第 ~ 〔第 ~ 一第、 ~ 顳挙 それは去年から今年にかけて、科学・ が着陸している。 ) そのほか 技術の未来展望や、それによって否応な 多数の無人観測宇宙船が太 く影響を受ける社会と人間のありかたに 陽から冥王星にいたる全太陽系の探測を れる。また、精神障碍が二十一世紀病と ついてのビジョン論がにわかに盛んにな 行なっているだろう。 なるかもしれない。 ってきたことを見ても明らかです。社会 2 エネルギーについて 4 社会および個人生活について はいま〈現実〉を認識するためには〈未原子炉の建設がすすみ、石炭、石油、水人口増加のため大都会では地下の開発が 来〉という可変要素を組み入れなければ カその他すべての発電所の供給する電力かっての高層ビル建設のようなハイスビ ならないということに気づきつつある。 に匹敵する電気工ネルギーを生みだして 1 ドで進むだろう。日用品は増産とイノ いるだろう。 という、いわば可変要素の文学にた ーベーションによって使い棄てシステム ずさわっているわれわれにとってこれ 3 医学について がより普及するだろう。しかし進歩は同 は、のありかたについて再考するま 人工血管、人工心臓、人工肝臓などほと時に危険をともなう。過密化した大都会 たとない機会でもあるはずです。 んどあらゆる人工臓器が完成しその移植では停電のような事故によってする大災 ( 中略 ) はエンタティンメントでは 手術が実用化している。ただし癌につい 害を起こすかもしれない。また食料問題 ある。しかし、この際エンタティンメン てはまた根本的な治療あるいは予防の技もそうかんたんに解決できない二十一世 トの意味そのものについても、考えずに 術は完成していない。寿命も飛躍的な延紀の難問の一つとなるだろう。唯一の方 はいられないのです。 長はのそまれないが生理的な若さをたも法は人口増加を食いとめることである。 巻頭言 ( 一九六七年一一月号 ) っ期間がのびる結果、人生はより充実し 5 コミュニケーションの発達について たものになる。他方、世界はその当然の 二十一世紀はレーザー技術の開発によっ 帰結として現在以上の人口増加に悩まさ てテレビが飛躍的な発達を遂げる。チャ 眉村卓氏 円 2
各国の作家代表の顔触れについて ガッチリしていたのは、ハインラインだ りも、二社以上数社の、あるいは未来 は、私の意見では、あなたの撰択は正しった。 論に関心を持つ出版社が連合して事業にし いと存じます。同会議で、日本の作彼のエージェントは、ハインライン氏た方が、国際シンポジウムを開催すること 家とお目にかかれるのが、楽しみです。は、お申し越しの国際会議に出席すること によって得られるメリットがより大きいと ご返事をお待ちしています。 については全く異存がないが、その場合に考えた。つまりそれだけ、社会的に大きな スタニスラフ・レム は、旅費、ホテル代、その他の費用のすべ話題になり、新聞・テレビなどのマスコミ てを早川書房が支払ってくれることが条件も、より積極的に、本格的に取材を考える 他の人々の返信も、だいたい同じであつである。「 ( インライン氏夫妻は数年前貴であろう、と読んだわけである。 こういうアプローチの方が、一 国を訪れて十分に楽しんだので、自費で日第三に、 ストルガッキーは、安倍公房氏から、話本旅行をするつもりはない」のだというの般に潜在しているこの種の企画への反感や 反対の力を弱めることになるだろう、とい はだいたい聞いている、費用の点は、ソ連だった。 もちろん、ぼくとしては、旅費宿泊費をう読みもあった。 / ロフスクから日 。領内は間題ないから、 ~ 本までの交通費と日本での滞在費以外は当含めた出費は原則としてこちらで負担しな第四には、できるだけ大きな〈祭り〉に 方でまかなうことができる、ときわめて好ければならないだろうことは覚悟の上であするにも好都合だった っこ 0 こうして、・ほくは、つぎのような趣意書 Ⅲ意的なことまで書きそえてあった。 を書きあげた。 この返事をもらって、・ほくはただちに、 アーサー・ O ・クラークのエージェント から来た手紙の場合も、ほ・ほ同じだった。具体的なプランの作製と、こちらの受け入左に掲げるのは、その当時から、・ほくの デスクの中に眠りつづけてきた、その趣意 キューブリッれ体制づくりにとりかかった 彼はこの年にはスタンリー・ ぼくは最初からこれを、マガジン書のプリントである。 ) クと共作の映画『二〇〇一年宇宙の旅』の 、制作のためほとんどの時間をアメリカとイだけーーーというより早川書房だけの企画に 第一回国際作家会議 ギリスのスタジオの往復に費やさなければするつもりはなかった。少なくとも二社以 開催についての覚え書 一ならない関係で、六月から八月のあいだで上数社の合同事業にすることが、絶対に必 一、会議の名称 ・なければ日本を訪問できないが、もしその要だった。 第一回国際作家会議 ( 仮称 ) その理由は、第一に、費用がかなりの金 時期に会議が開催されるなら、彼はそのと きセイロンにいるはずだから、日本までの額になるだろうことでーー残念ながらその 一、会議の目的、および会議開催の効果 ⅶ旅も短くて済むのでおたがいに好都合では当時の早川書房が、一社でそれだけ金額を 捻出することは負担が多すぎると、・ほくは 7 なしかといってきた。 従来わが国では、海外作家の単独の R 彼も、具体的な。フランを、早急に知らせ考えたのだ。 訪日はしばしばあったが、アメリカ、 第二に、早川書房だけが単独に行なうよ てほしいと書いていた。 こ 0
奴隷狩りの惑星 ートラム・チャンドラー / 野田昌宏訳 星図からも消えこ謎の一 , を舞台に、われら、グライムズ 《 \ つ 8 0 艦長が 裸の女たちを相手に オラフ・ステープ丿トン 人間と同し知能を持「大一 , 一《が、綴る悲しい未来 の可能性を切り拓いた哲学者作家の代 . 表作。 \ 30 ノテクニカラー・タイムマシン 1 月 1 日ては遅すぎるフレッド・ホイル 〈宇宙英雄ローダン・シリーズの〉 金星の決闘 最 新 マール & シェール ロ 三ロ 銀河辺境への道 エル・ドラドの生贄 児連絡宇宙艦発進せよー 弭惑星スパルタの反乱 奴隷狩りの惑星 2 8 0 7 月発売予定 ^ 仮題〉 断たれた連鎖 監察宇宙軍士官ジョン・グライム ズの波乱に満ちた冒険の日々を、 酒落た文体でつづる異色のスペー ス・オペラ。新進 cn イラストレ ーター加藤直之のテクニカル・イ ラストロ絵はか挿画十数葉入り >- 2 6 0 >- 2 9 0 >- っ 4 0 ) O