一九三七年、日華事変の勃発した年。この年の 「白の病い」 "BiIaNemoc ・・は、カレル・チャベ ファンタジイ映画は、まずアメリカから見て行こ ックの戯曲の映画化で、人類を徐々に死減させて しまう流行病の治療法を発見した医師の物語。チ 「オリンビックのチャーリー ・チャン」 "CharIie ャベックのことだから、かなり寓意に満ちた話だ Chan at the OIympics" はロポット飛行機を遠 ろう。 隔操縦する装置が盗まれるというもの。同名主人 一九三八年。 公シリーズの一篇だ。 この年のアメリカ映画では、プルドック・ドラ 「スコットランドャードから来た娘」 "The Girl モンドというイギリス陸軍大尉が大活躍する。一 fro.m Scotland Yard" は、狂人が無線操縦の殺 九二〇年に創造されたこの主人公の映画化は、二 人光線を発明する。 一一年にイギリスで第一作が作られ、この年以前に 「失われた地平線」 "Lost Horizon" はヒルトン も何本かあるが、この年に作られた三本がファン の名作の第一回映画化で、名匠キャプラの監督 タジイ映画としてリストアツ。フされている。 作。 「・ドラモンドの冒険」 "BuIIdog Drummon ・ 「ラジオ・パ トロール」 "Radio Patrol" はコミ d's PeriI" は、人造ダイヤモンドをめぐる話。 ックスの原作の連続活劇で、催眠術による奴隷化 「・ドラモンドの逮捕」 "Arrest BuIIdog Dru ・ や、弾丸を防ぐやわらかい鋼などが登場する。 mmond" は、軍の殺人光線をめぐる話。 「空駆ける」 "Riding on Air" には、飛行機を 「アフリカの・ドラモンド」 "Bulldog Dru ・ 操縦するラジオ光線装置が登場。 mmond in Africa»は、ラジオ電波破壊器をめ 「 O TJ 沿岸警備隊」会 S. 0. S. Coast Guard" ぐる話だそうだ。 は、気違い科学者が新型の殺人ガスを外国に売ろ 「真夜中の脅迫」 "Midnight Menace" は、漫画 この他に同じ主人公の作品では一九二五年の うとする話。 家が無線操縦の飛行機でロンドンを攻撃しようと 「第三ラウンド」 "BuIIdog Drummond's Third 「シーツ ! タコだ」 "Sh! TheOctopus" は、するリ = ーリタニアの首相の計画を暴くというも Round" と、一九六九年の「少女達がやった」 これまた殺人光線を巡る話だが、他に機械仕掛けの。 "Some GirIs Do 当がファンタジイ映画らしい の大ダコが出てきたので、仲々面白そうだ。 「ノンストツ。フ、ニューヨーク」 "NonstopNew 前者は人造ダイヤモンド、後者は女の姿をしたロ ディズ = ーが「白雪姫」 "Snow White and イ日 k 当は、一九四〇年が舞台で、大西洋横断空ポットが登場する。 the Seven Dwarfs" を作ったのもこの年だ。 路などが登場する。 この他のアメリカ作品では、 続いてこの年のイギリス。 「不思議な実験」 "Strange Experiment" は、化 「闘う悪魔犬」 "Fighting DeviI Dog" は、電気 「ダイアモンドを作った男」 "The Man Who 学者が記憶喪失を装って、彼を利用して泥棒を働魚雷や、光線銃が登場する話で、特撮が仲々らし Made Diamonds" は、人造ダイヤの製造に成功こうとしたギャングを捕える話で、何がファンタ した科学者を助手が殺し、ダイヤを売ってしまう ジイなのかよく判らないが、原題は Two & r ・ 「火星、地球を攻撃す」 "Flash Gordon ・ s Trip 話で、ウエルズの "TheDiamondMaker" とは ld" と、ちょっと思わせぶりなタイトルだ。 to Mars" はフラッシュ・ゴードンの第二作。 無関係らしい 他の国ではチェコスロヴァキアから一本。 「名誉への飛行」 "Flight to Fame ・・は、飛行機 く連載〉 SF 映画講座 井口健ニ 第ロ回 円 37 年 ~ 円 39 年 失われた地平線 2
き、 シュミットが大声で「ヤプール、ヘア・カビテン」と奐いたとしてアフリカでは無数の・地域的連帯性に左右される分派・フロック を抱えているのが現実だった。これらのセクト社会は以前のように グワーン 種族や宗教上の理由でこそ争わなくなったものの、かえっていつも と全体が真っ二つに裂けるような響きとともに「シュ ーベルト」何かで利害や考え方を衝突さしながら、時によっては機動力のなか った昔なら立派な「戦争」とよべるような小競合いをやめることが 号は砲塔に被弾し、艇は瞬間にキリキリ舞いをしながら母星方向に そと 辷り落ちはじめた。輪のまだ外にいる相手が、すでにその内側にきできないのだった。 ている当方を撃ったからである。 ーベルト」号 欧州聯合の木星イオ基地所属艇「フランツ・シュ ゥニダ が、猶太単体が先有利権を主張しているアマルテア上空で北・フロッ ◇ クの巡空艦「オルロフ」の攻撃をうけたのは、複雑をきわめる地球 本国のそうしたプロック間の摩擦に推込まれた旅人のようなもの 「緊急事態発生」の赤色灯が、人員の。ハニックをふせぐため青が用で、まったくの「行違い」からと云ってよかった。 いられている「全員外装備着装」の表示灯にかわると、乗員の気持ォルロフが「貴艇が領空を侵犯していると当地管制塔が強く警告 はかえっていっそう動揺と不安にかきたてられ、宇宙軍将兵の名誉している。仲介するから速度と航須を修正し、当方と併航して理由 ーベルト」では誰ひと と誇りにかけて、ただ見苦しくうろたえ混乱におちいらず行動するを説明せよ」と呼びかけてきたとき、「シュ のが精一杯という状態になる。 りそんな無電を聴いてはいないような騒ぎが司令室でおこっていた というのは、赤の非常事態の報せはどうじに「戦闘準備」の合図のだーー尤も、どんな「領域」にせよ、衛星軌道を飛んでいる宇宙 でもあり、青い全員宇宙服着用の指示はつまり「総員退艦 ! 」の前機は「速度を落と」すことなんかできっこない。おとせば自分が落 提ともなるからである。 ちてしまうからだ。ォルロフはつまり「仲介」どころか、墜落して捕 もちろん今日の宇宙には大昔のような「戦争」などはない。この虜になるか、それが嫌ならさっと飛去れと云っているに等しいのだ ーベルトの無電係は外の騒ぎに気を 太陽系を我物顔にうごき廻っているのは吾々地球人だけで、地球はが、そのとき通信室にいたシュ こら とられどおしで、けつく堪えきれずに飛出して了ったのだった。オ 単一の国家だからだ。単一の社会体制の中にはそれまでのような、 たか 敵対感情にまで昻ぶる「愛国心」や人種的偏見は見出せない。が人ルロフの姿が視界にはいってでもいれば別だが、それはまだ探知盤 間の生活感情や欲と志向の精神医学的本質がかわらないかぎり、風上の点でしかなく、何もないふだんの盤面を絶え間なく睨みつづけ 俗・習慣や好みの地域的相違がいぜんとして利害関係と差別の念をる仕事にうんざりしている係り兵はとうの音に逸早く司令室めがけ 契機にして紛争をひき起す。地球は大きく三つの体制上の派閥にわて脱去していたからだ。ォルロフはいわば受付嬢がちょっと鼻をた かれ、聯邦はアジアに五つ、ヨーロッパとアメリカに三つづつ、そたきに出たところへ来た客のようなものだったが、この北方の不気 アスルス ( プル
1 内なる私 瀬尾裕訳 2 スタンプール特急 北村太郎訳 は戦場だ 3 丸谷才ー訳 4 英国が私をつくった 野崎孝訳 5 拳銃売ります 加島祥造訳 6 プライトン・ロック 丸谷才ー訳 使 7 密 青木雄造訳 8 権力 と栄光 斎藤数衛訳 省 野崎孝訳 1 0 事件 の本亥′む 小田島雄志訳 第三の男 / 落ちた偶像 / 負けた者がみな貰う 小津次郎 / 青木雄造 / 丸谷才ー訳 12 情事の終り 永川玲ニ訳 13 ニ十一の短篇 青木雄造 / 瀬尾裕訳 1 4 おとなしいアメリカ人 田中西ニ郎訳 1 5 ′、′くナの男 田中西ニ郎訳 16 燃えつきた人問 田中西ニ郎訳 17 コンゴ・ヴェトナム日記 田中西ニ郎訳 ・第 1 回配本 ( 第 1 1 巻 ) 1 8 現実 的感覚 高見幸郎訳 第三の男 / 落ちたイ禺像 1 9 喜劇 役者 / 負けた者カゞみな貰う 田中西ニ郎訳 まを拝借 20 旦那さ 田中西ニ郎 / 山口午良訳 闇商人ハリ ・ライムの死の謎を追う三つどもえ 21 工ッセイ集 ( 仮題 ) の追跡劇 ! 映画化された名作『第三の男』のは 前川祐ー訳 か中篇二作 ! 小津次郎 / 青木雄造 / 丸山才ー訳 との旅 22 叔母 ・第 2 回配本 ( 第 14 巻 ) 小倉多加志訳 23 グレアム・グリーン自伝 おとなしいアメリカ人 田中西ニ郎訳 24 名誉領事 英米仏ソ四つの勢力がせめぎあうインドシナ戦争 小田島雄志訳 国と己れの夢を賭け、現地に勇躍赴いた若い 25 ヒューマン・ファクター 宇野利泰訳 無邪気な米国人の悲喜劇を描く ! 田中西ニ郎訳 全 . 25 発売開始 ! 第 1 回、 2 回同時配本 ! 0 貶 00 Ⅱ 00
レヒ三ウ もあるクローンなどは、その典型であた関係に描かれていることである。単に る。クローンそれ自体について、一切の未来社会のテクノロジイにとどまらず、 くどい説明は省略されている。つまり、未来社会の人間たちの心理的ディティル この半世紀余りにわたる英米の本格までが描き出されていゑそして、人類 がインべーダーによって地球を追われる 的展開の過程において成し遂げられた、 的アイデアとシチュエーションの読生活を余儀なくされているという、 者への侵透を前提において作品が成立しの異常事態をジョン・ヴァーリイがある 川又千秋 ているのである。無論、こうした要素はリアリティを持って描きだすことに成功 大なり小なり、どの作家にも共通しし、また読者もそれに異和感を持たずに あっー な、なんだ ? なんだ たことかもしれないが、とりわけ、それ読んだという事態、恐らくべトナム以後この長篇を読み終った瞬間、あなたの を意識的に行い、かっ成功させているのの、アメリカの大国意識の崩壊現象と無頭はこう叫んでデングリ返る。そしてあ がヴァーリイとニーヴンの二人であると縁ではないだろう。 なたは、とるものもとりあえず頁を逆に いう気がする。 ともあれ、ジョン・ヴァーリイの登場辿りはじめ、描写のひとつひとつ、ある そして、この二人にも、相違点があは、アメリカ界の健全性の証明では いは気にもとめなかった主語の問題や、 る。ニーヴンの場合は「リング・ワールある。小児病的なアヴァンギャルド指向話者の細かい語り口をいちいち確かめ直 ド」をその典型とするように、従来あつにも走らず、幼児的なアイデア主義にもさずにはいられない衝動に駆られるだろ たアイデア・シチュエ 1 ションを、さら偏向せず、従来の英米の開拓した土う。 にエスカレートさせていくことに力点を壤に、七十年代に生きる人びとの感覚をワ ( 、ワ ( 、ワ ( ( , ( , : 置いたタイプであり、ヴァーリイの場合植えつけることに成功したヴァーリイのんなアイデアというものが、ショ 1 トシ は、それと比べると控え目で、→ ( ック・方法は、今後の界の王道たるべきもヨートでも短篇でもない、し 、や中篇でも グラウンドとして定着化させることに比のだと、私は思っている。 レッキとした重量級の長篇のラス 重を置いた作家である。 ( 『へびつかい座ホットライン』 / 著者トとして使われてもいいものたろうか。 1 ー・コ というより 第二に指摘できるのは ⅱジョン・ヴァ 1 リイ / 訳者日浅倉久志しかもこいつは御の字つきのハ ェイト 驚かされるのは、本書も含めて彼の〈八 / 四六判上製 / 339 頁 / 1300 / アなのである。 ・ワールド 緊密な構成、厳密な考証・ : : ・それを軽 世界〉シリーズの設定と、その世界に生早川書房 ) きる登場人物たちとが実に説得力を持っ 軽と手中のものとして動かしてゆくフレ フレデリック・ポール著 『マン・プラス』
実現できませんでした。しかし、近いうち必ず 日本へ行きみなさまとお会いしたいと思いま す』というメッセージをいただいた。 お礼にホシヅルのぬいぐるみをプレゼントし 氏たら、「ペリー・グッド ! 」と大よろこびで、 ン そのぬいぐるみを抱いたまま食事をするほど。 ス ク このころになると、なんとかス。ヒーチができ るほどの度胸がついてきた。 るそこで、「日本沈没」にひっかけた冗談を言 せ ったら、・ほくの下手な英語が通じたのかみんな の ドッと笑ってくれた。 肩 それからおもむろにポケットからホシヅルの を ぬいぐるみをとり出し、「この日本界のシ ンポルとも言えるホシヅルを、キャプテンのリ シ ・・スホム・シリーズに登場させるよう、キャンペーン を張ろう」と好きかってなことを・フチあげた ら、笑い声と拍手がおこった。 するとキャプテンが立ち上り "I will try" ( よし、やってみよう ) とひとこと。 やった ! しんだ後、八月十日から四日間にわたって開か こんなにうまくいくとはー ーという役員のひとりが「アイザック・アシモ れたオーストラリア大会 (Syncon ・ 79 ) ともかくどのプログラムも、参加者の野次とフさ」と答えてくれた。 に参加した。 拍手と笑い声の絶えない楽しいものであった。 「飛行機ぎらいのアシモフをオーストラリアへ 出席者、約二五〇名。小じんまりとした大会オークションでフィンレイの原画をせり落とせ呼ぶために、まずキャ。フテンにアメリカへ行っ で、・ほくは野田昌宏さんからいただいた加藤直なかったのはくやしい思い出だけど、みんな気てもらい、そして彼の船でアシモフをつれてく 之氏デザインの「銀河辺境・ ( ッチ」を名刺がわ軽に話しかけてくれたし、・ほくにとってはすべるんだ。いい考えだろう」と = ッコリ笑ってみ りに配って歩いた。この・ ( ッチが大好評で、ホて面白く、すべておどろきで、そしてほんの少せた。その時には、ぼくももう一度オーストラ テルのフロントの女性までがよろこんでつけてしうろたえ気味の大会だった。 リアを訪れてみたいと思っている。豪日交流基 いた。 広大なその大地と同じように、さまざまな可金のみなさん、ありがとうございました。 この大会のゲストは、アメリカからやってき能性をひめたオーストラリアファンダム。 野田さん、柴野さん、キャプテン、本当にお たゴードン・・ディクスン氏。 数年後には、世界大会をオ 1 ストラリアで世話になりました。オーストラリアのファ 陽気できさくな人で、日本のファンあて開くべく、今着々と準備中ときいた。 ンのみなさん、いっか又お会いしましよう に『数年来、訪れたいとは思いながらなかなか「その時のゲストは誰 ~ 」ときいたら、ビータ日本が沈没してしまうまでにね。 チャンドラー夫妻。大会のディナーにて ロ 6
「ロンドンの黒い眼」 "DarkEyesof London は、べラ・ルゴシの主演で、盲目の殺し屋を使っ て犯罪をおかす話。六一年に再映画化されてい 「親切な病院」 "Hospital Hospitality" は、科 学者が不老不死の薬の入ったカ・ハンを置き忘れて ••AJ い、つコメ一アイ。 「 O 計画」 "Q Plans" は、飛行機のエンジンを 停める光線を使って、スパイがテスト飛行中の爆 撃機を盗むというもの。 他の国では、フランスから久しぶりに一本。 「世界が震える」 "Le monde tremblera" は、博 士が人間の寿命を測る器械を発明するが、そのた めに世界が混乱し、暗殺や、自殺や、経済恐怖が 起こる、というものだそうだ。 もう一つ、この年メキシコから初のリストアッ プがある。 「マカプーラの遺産」 "La Herencia Macabra" は、そっとするような怪物の話らしいが、内容は よくわからない。 そして、いよいよこの年のアメリカ映画に移ろ 「原子未来戦」 "Buck Rogers" は、フラッシュ ・ゴードンと並ぶ連続活劇の名作。 「赤い輪の勇者」 (l)aredevils of Red Circle" は、殺人光線や、毒ガスが登場する連続活劇。 球「ディック・トレーシーのメン」 "Dick Tra ・ cy's G-men" はマンガの映画化で死者を生き返 星えらせるシーンがある。 「ゴリラ」 "The Gorilla" は、三〇年で紹介した 作品の再映画化だが、この回ではゴリラの中がロ 于ットになっている。
光明日報掲載のこの作品は史の貴重な資料となるでしよう。 〈哲学幻想小説〉 宗教・理性・実践 厳家其 岩辺卓浩訳 イラストレーション・佐治嘉隆 な も ◎ ) Ⅵ ・解説・ この作品は昨年九月、科学記事の多いこ とで有名な中国の日刊紙〈光明日報〉に ″哲学幻想小説″として掲載されたもので ある。現実主義の傾向が強い中国の現代文 学の中でこのようにタイムマシンに乗って 過去や未来を自由に行き来するという設定 は異色のものと言える。 しかし中国のジャーナリズムは啓蒙的な 役割を果すことを重視しており、この作品 の内容もタイムマシンという小道具や科学 用語を使用してはいるものの、主眼はやは り現代中国で進められている四人組批判や 四つの近代化政策の教宣と言えるだろう。 そうは言うものの、ガリレイを登場させて 「それでも地球は回っている」と有名な言 葉をつぶやかせたりと仲々凝った作品であ ることは間違いない。 さてこの作品の筋書は〈光明日報〉紙の 記者が社の命令でタイムマシンに乗り過去 と未来の法廷を訪問し、現在中国で進めら れている″実践は真理を検証する唯一の基 準である″という〈実践法廷〉が中国の近 代化に大きな貢献をしていることを取材し てくるというものである。舞台は十七世紀 イタリア、十八世紀フランス、そして二十 世紀の中国であるが、ここに描かれている 中国の未来都市の光景がコンピュータによ って管理された社会であり、その点では日 本やアメリカのような資本主義国の現代と ちっとも変らないことには苦笑せざるを得 なお原文は新聞紙面で二ページあり邦訳 すると六十枚以上のものだが、ここに掲載 されているのはその抄訳である。 ( 訳者 ) 9
を撃ち落す電気殺人光線が登場 「闘士」 "The Gradiato 「 ' は・リ , プ・ ィリーの原作の映画化。 「野性のタカ」 "Hawk of the Wilderness" は、 ヨーロッパと北アメリカの間にかける長大橋の調 る査に大西洋の島に向った主人公達が、高温に保た 寄れている島の中で奇妙な怪獣に逢うというもの。 忍「宝島の秘密」 "The Secret of Treasure lsland" 力は、不思議な地底人を使って海賊の宝を探してい 幽る悪漢に、骸骨の頭の幽霊がからむ話。 「クモの巣」 "The Spider's ぶ b 当は、ス。ハイ ダーマンとは無関係の「ス。ハイダ—' マガジン」に 発表されたシリ ーズの映画化で、相かわらず殺人 光線銃などが登場する話。 この年のイギリスでは、 「幽霊物語、再話」 "Ghost Tales Retold" は、 有名な怪談を現代風にアレンジしたオムニ・ハス。 この映画にイアン・フレミングという人が出演し ているが、ジェイムス・ポンドの創造者とは同名 異人。 「オー、ポーイ」 OhB 。箋は、化学者が子供に 変身して、ギャングから王室の宝石を守るという もの。 この年は珍らしいインドから一本リストアップ される。 「ダブル・クロス」 "Double Cross" がその作品 だが、内容は人造ダイヤモンドの話。それにして も、どうしてこう人造ダイヤの話ばかり多いのだ ろう。 一九三九年。ドイツがポーランドに進攻して第 一一次世界大戦が始まる。 この年はまずイギリスから見て行こう。
レヒウ くつかあげることができそうで、ます、のが、それそれの経歴が刻んた彼ら自身移入することはむつかしいが、こういっ 「隠れた傑作」といった日本への紹介のへの傷であるらしいこと、つまり四人はた小説ではその方がいいのかもしれな コンプレックスを抱いた人間を主人 され方、作者がニュージーランドという自分の人生の檻の中に閉じ込められて逃 公とする神話を読んだような気がした。 アメリカ、ヨーロッパから離れた地に在れることができないのだという感覚が、 ぼっかりとした虚無感が残っている。 住しているということ、作品の主な舞台全工。ヒソードを貫くものとして存在して が〈非空間〉という得体の知れないとこ いることを挙げることができる。これが ( 『虚無の孔』 / 著者日・・ジョー ろであること、それに何よりもやはり、あるから本書は『虚無の孔』という長篇ゼフ / 訳者日黒丸尚 / 四六判上製 / 20 連続する悪夢とでもいうしかないようななのであって、単なるオムニ・ハス小説で 0 頁 / Y850 / 早川書房 ) 内容のせいなんでしようねえ。明るい日はないのです。そして、長篇として成り 射しの中にあって晴れがましい顔をして立たせているもうひとつの理由を言え いるような小説じゃないものなあ、これば、各工。ヒソードが進行してゆくに従っ 。かといって、恐い棘や毒を持ってい て、遭難した四人の身の上に何かが起こ るというわけでもない。実に、〈虚無のっていることが窺えるということもそう 孔〉なのです。 である。例えば、大富豪クラアグは第 物語は、宇宙の果ての外側にある、 六章で砂漠に消えてゆ 空間、非時間、非法則、非可能性の〈無〉き、その後二度と登場 くつもしない。また、クラア の中で遭難した四人の男女が、い の奇怪な世界で繰り広げられるドラマのグの部下であり娘婿と 登場人物を次々と演じてゆく、というふなるはずのマーガンサル うに言えばいいのだろうが、それらの世ーも、第八章で老女にヴ 界を築き上げる奔放なイマジネーション抱かれて眠りに就く : が本書の決め手であることは間違いな い。ただ、この作品を、奇怪なイメージ文体は叙事的で、起 ( の羅列に終始するゲテ物になることからこったことを順に記し 救っているのは、遭難後、各登場人物がてゆくといったふうな 体験するドラマの筋立てをつくっているので、登場人物に感情 ◇ ◇ 一翻訳権独占 内宇宙のオデッセイ ! 通常の論理では計りしれない、いかなる ことでも起砂うる非字宙。その人知を超 、・えた世界で四人の男女が遣難した・・、を ! ■半川房第
: ・というわけなのである。 「信ングの手になるこの映画の 0 ケ , ト部分に は、アメリカの・・ゴダードと共に近 その頃、推進剤の主薬は、なンと、そこ いらの薬局でらくに入手できた。あんまり 代ロケットの父とされるヘルマン・オーベ せっせと買いに行くもので、店のおばさん ルトが参画しており、映画封切りに合わせ にヘンな顔をされたりしたものだが、ア 0 一て本物を打ちあげる計画もあ 0 て、これは ノ、お母アさんがウガイに使うから買って 、、無残な失敗におわ 0 たが、とにかくこのオ きてくれってたのまれたンですーー・としお & ーベルトと共に ( ロケットの仲間た らしく言えばそれ以上はなんにもいわれな 一」ち ) の一員だったのが、ウ = ルナー・フォ ン・プラウン。これが > 2 号産みの親であかった。 燃焼補助剤は硫黄である。 の」ることはいまさら言うまでもない。 これが戦後のどさくさ時代にはなかなか そんな訳だから、終戦間もなく、ロケッ 0 トを打ちあげる、ーーといえば、これはもう店では入手できなかった。そのへんが頭の 使いようである。その頃、電気の方はとっ くに復旧していたが、電話はまだまたで、 焼跡のど真ン中に焼け残った電柱だけが。ほ っンとおッ立ち、ちょン切れた電線がまる位では、通りがかりの大人は見向きもしな かった。 ( 大人の鼻先きにコロゲ落ちて死 で抜けそこなった髪の毛みたいにダラリと ・フラ下っていてーーーこれはこれでまた面白んだって、空腹でモーローとしてるおッさ ん達がはたして気づいたかどうか : : : ) い話があるのだが、それはまたいずれとし これをカチ割って中から硫黄をとり出す てーーとにかくそれを保持している碍子だ のがホネだったが、この二つさえ揃えば、 けがやたらと白く見えたものだが、これが つけ目なのである。今もそうなのか、あのあとは炭素だけで、これはもう当時の熱の 頃、陶製の碍子へ取付け用ポルトを固定す主力。納屋に行けばいくらも手に入る。 この三種を別々に微粉状に : るのには、ちょうど充填剤みたいな形で良 本当は、もっとくわしいことをちゃンと 質の硫黄が流しこまれていたのだ。 今と違って。 ( トロールのお巡りも一一〇教えてあげたいのである。何メッシ = 位の 号番も、投書ママももなんにもない頃こまかさがいちばんいいかとか、点火方式 だ。 ( 電々公社たってなかった ) 子供が焼はのと <O の 100V とどっちが しいかとか、噴射 / ズルの先はどんな形状 け残りの電柱によじ登って碍子をこッ外す △ △「月世界の女」より ー 25