太陽系 - みる会図書館


検索対象: SFマガジン 1980年6月号
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1. SFマガジン 1980年6月号

け ~ 太陽系 ルイテン 2 / 10 ー 3080 / M ( 19.07 光年 ) シンシナティ 377 / dM1 / や、つ / CO 、 , ( 18.75 光年 ) 第 / ルイテン 2 / 10 ー 2915 / 6 /DF ・ M ウォルフ 1453 / d , ・こいぬ座 YZ 星 /dM4e ( 22.97 光年 ) ( 19.19 光年 ) ( 1953 光年 ) ルイテン 2 / 10 ー 17888 / DKe ー / 8.98 光年 ( 19.65 光年 ) ロス 47/sdM4 \ ウォルフ 294 / dM4 ( 19. ・ 65 光年 ) \ ( 19.14 光年 ) 2.06 うし年 ロス 986 ム dM4 ( 19.30 光年 ) ノレイテン 961 ー 1 ( 28.99 光年 ) ロス 41 / M5 ロス 64 / M6 ( 28.36 光年 ) ( 27.88 光年 ) 図 9 光世紀・第 9 星域。 ( ) 内は太陽系からの距離。 置主矮 味る にか人よは あ惑 ロ オイる つか の背河 所のてキル三本第さ し系星参ち たひな な のう を る星 も で 後にだと り属 オフ乗章九 考がり文なち 年 星い て列を 。が い 、星 H の 、か つ大し域 ン一星の星 ュ 明 よが し っ る し、 ス と R たなニ て守らかこ調 きても S 域に を四人 ヒ。 る わ 冫こ 狙五は F でお い描 図めい 与 い り べな かく と 力、し、 日 め ク ) 第て星る こ的あ目 がら 。ク ド想と のかと いとし と る え て に 、をのスるに こ九ゆ域星て 星 い な るで像一 近 ナこ べし お、 な系おうそ経星ト が〇 域めてろ星く 。か わてて図 生影あ く いプ 8 、に 域こ こ由域ー 命響る で時 け を でにし の 0 まし 力、 あはるあはと でぜたと はき間 る り でしにリ と 力、 ロ に に太てあー り き 、は 、んの ツ光 思すがなし 星 よ り 回 の 冫こ 、わう 、太省個ぶでし 想く の ト世 ル る 々であて系 と異し紀 そめなそ ド昜田各 ロ 設 は がな イ て るあ 文テ て宙 のて形し 系しの 育 ス定 とな 、の 人し し 点重をてをよ星二 お域 。る 明 つだ惑工と 図 お場 ン四で る も所し だ要し太含うを あ のと星七は 9 てろ星 衛し か 、の 白 て 陽む 。ひる で対やや けな うにた し 、う の星う ら 。色 記 意 い系銀 、峙プウバ 。位 。住のの る と あ で ー 03 、 9.47 光年

2. SFマガジン 1980年6月号

太陽系 ルイテン 2 / 10 ー 1146 / M ( 29.38 光年 ) ルイテン 2 / 10 ー 1092 / dM0 、 ? ( 28.61 光年 ) 、 、さムエリダメス庠オミクロン 2 乗星 / dK1 ・ DA ・ dM4e ( 15.91 光年 ) ・ 88 、、ルイテン 2 / 10 ー 2151 / dM1 ・ ? ( 24.90 光年 ) 4 ・のさざ座ガンマ星 /dF6 ・ dK2 ・ ? ( 26.52 光年 ) GC3449 / dK0 ( 25.68 光年 ) 当 「そうですか : : : 」 ゲンは考えこんでしまった。 その時、壁ぎわのチャイムが鳴った。 タッは走り寄った。 どこかからのタキオン通信だった。 タッはゲンの存在を気にして応答してい るようだった。 物″汎太陽教団″という言葉が漏れたように 距思えた。しかしタッはその通信については らゲンに何も教えなかった。 系ここにはまだ、ゲンの知らないことがあ 年陽るらしい 光太 年 02 はゲンはそれから数地球日、この会社に滞 一 2 9 タ光 礙在して、いくつかのことを学んだ。 ーダクターは、もしそれが本当の ものであれば、随伴係数が現在の一千から 域一万にまで向上し、それを入手した再生ク やメ タ 四ローンのグループは、だれにも妨害される ことなく遠隔の地に楽園を建設し、そして や 00. 野 紀さらに銀河中心方向へと進出できる筈だっ / ′ 3 、ノ ー・イ年光た。 それが、ふつう人との見えない差別に苦 ーい .20 さ 図しむ再生クローンたちの、生きる希望につ ながる筈であった。 ゲンが見聞したことのもうひとつは、こ の惑星ニンギルスの地表の磁場が、なにも のかによってコントロールされているかの ような、奇妙な動きを示すことだった。 しかし、その理由はだれも知らないでい 9

3. SFマガジン 1980年6月号

三つの連星のうち二番めのが型スペ 太陽からの距離が二四・七一光年と比較 2 ひょっとすると、閃光星のフレアに関係クトルをもっ白色矮星である点がユ = ーク的はなれているので、名が知られていると 9 しているのだろうか : : : ゲンはそう推測し ・こといえよう。 はいえないが、単独の太陽型恒星のひとっ てみたが、解答は得られなかった。 ここからななめ右方へ一〇・八八光年へである。 ると、ルイテン一二五一がある。連星 ( 不可視伴星の記号がついているが、積極 太陽系をねらう宇宙獣 / パイ三乗 だが、一方のスペクトル型ははっきりして的な支持者はすくないので、いまのところ ーー第二三星域の星々 星人の謎 。絶対等級が一一・三たから、たぶ単独星ということにしておいてさしつかえ ん赤色矮星であろう。 ないだろう ) さらに右方に四・六九光年すすむと、う タッが述べた″パイ三乗星人″の本拠地 この恒星に文明をきずいた〈パイ三乗星 であるパイ三乗星は、第二三星域にある。 さぎ座ガンマ星というかなり明るい星があ人〉は、巨大な木ノ葉型をした、対話のし 第二三星域とは、前号図 6 の『光世紀航る。 にくい宇宙人で、前号の勢力分布図 ( 図 5 ) 可視星である。 宙図Ⅲ』の下部に描かれていた星域で、太 のように、とび石づたいに太陽系方面への 陽系を含む面よりも一五光年いじよう下部 また三重連星で、三つめの o は絶対等級進出を狙っており、現在 ( 二一世紀末 ) プ で、かっ銀河中心とは逆の側にある星域でが一六ととても暗い。さらに不可視伴星が ロキオンやルイテン星のあたりで、地球人 想像されている。 ある。 と拮抗状態にある。 詳細は図 4 ( 前頁 ) にしめされている。 ここから一〇・二七光年を翔んで最下部 かれらはシグマ星人とちがって、何を考 最上部からクロックワイズにたどってみに航路をのばすと、 Q50 六一二〇という平えているのかさつばり理解できない点が、 ることにしよう。 凡な型の矮星がある。 なにやら不気味である。 トツ。フがルイテン / ここから一〇・一二光年もどると、ラナ ー一一四六という 三乗星から紙面のななめ下方に一五・二 ( エリダスス座デルタ星 ) に達する。 六光年すすむと、この星域のもうひとつの 型の星である。スペクトル型は型とだ けわかっていて、主系列星なのかどうか、 ラナはスペクトル型 XO の準巨星で、絶太陽型恒星 to 三四四九にたどりつく。 のいくつかということははっきりして 対等級は太陽よりも上である。主系列星で スペクトル型が 0 というのは太陽にと はないということで、太陽類似の恒星としてもちかいということであり、地球人とし 紙面のななめ上部方向に一九・二八光年てはリストアツ。フしていないが、じっさい てはパイ三乗星人にとられたくない恒星だ すすむとエリダヌス座オミクロン二乗星が にはとても太陽にちかい星ということがでといえる。 ある。これは三重連星で、エリダヌス座四きるだろう。 さいごのルイテン一〇九二は平凡な明 〇番星とも呼ばれている。 そして、ここから一一・九五光年だけ再るい赤色矮星である。 太陽系からの距離は一五・九一光年で、 度さがったところに、問題の〈オリオン座 この第一一三星域は、太陽系を向く大きな この星域では最近距離星である。 ・ハイ三乗星〉がある。 矢印をすこしくずしたような形をしている

4. SFマガジン 1980年6月号

が、また見ようによっては、 ' ・擬人化したクある。これは一七世紀末の著名な天文学者方向に暗くひかっていた。色は黄色にみえ マのようにも見える。 フラムスティ 1 ドによるもので、ひとつのた。 左上部が顔で、右下が脚部、そして左下星座の星に、赤経の順に一・ ナヴィゲイション・フロアでは、十数人 が腕である。 つけてゆく方法である。 のシグマ星人が会議をひらいていた。重要 こうみると、 。ハイ三乗星人に支配される 現在のふつうの星図では、・・ な議題があるらしい。シグマ星人の好む湿 この星域は、太陽系をねらう油断のできな ・ : を中心にして、それを番号星で補ってい った重い空気が、ビンと張りつめている。 い宇宙獸ーーーということができるだろう。 るようである。 身長三メートル、体重五〇〇キロはあろ さて、著名星には、明るい星の他に、変うかとおもわれる巨嶇の持ち主が、意見を ここで、ある読者からの質問にこたえて、光星がある。 述べた。 星座名を冠した星名の命名法について、記 これには、ローマ字の大文字がつけられ〈右側のスクリーンに太陽文明圏が映って しておくことにしよう。 る。ただしからあとが用いられている。 いる。かれらは一〇光年をこえて勢力をひ 星座名を冠した星名は、かなり明るい恒とかとか >-{ N とかとかいうのが ろげようとしている。この船と太陽文明圏 星につけられる。 それである。 との中間にある星々は、いままさに戦場に つまり、地球からみて最輝星の次ぐらい われわれの『光世紀航宙図』でも、このなろうとしている。あの歴史に名高い《テ》 までの明るさの星につけられるのである。 記号はかなりの数採用している。注意ぶか平原のように : まず、ケンタウルス座アルファ ( 夜 ) 星のく地図を見ていただけばおわかりになると スクリーンの下部の。ハネルに、両文明の ・ : という命名である思う。 拮抗をあらわす銀河地図があり、発言者の がこれは・・ ' ハイエルという一七世 赤い太い指がその一部分をさした。 そこには、地球人流にいえば〈はくちょ 紀初頭のアマチ = ア天文学者が創始したも光世紀船《オレーム号》の冒険 ので、・ハイエル符号と呼ばれている。 う座六一番星〉とそれにつらなる星々が明 ーー第二星域の星々 それは次のような命名法である。 示されていた。 あるひとつの星座の星を、明るいほうか 何人かのシグマ星人がこの発言に応じ さて、物語りにもどることにしよう。 ら順に、ギリシア文字の・・ た。どれも似た巨漢で、全身赤銅色だった。 宇宙人のなかでは比較的地球人に似てい によってあらわす。 ると考えられているのがシグマ星人である やがて、音域のすこしちがった声が喋り それでたりない場合には、ロ 1 マ字の小 だした。 が、その本拠地のシグマ星から、いま、一 〈太陽文明圏の向こうがわに、おそるべき 文字をつかい、さらにその次にはローマ字隻の巨大な紡錘型の宇宙船が、銀河の中心 の大文字をつかう ( ただし O まで ) 。 生命体の徴候が見出された。はやく対策を にちかい方角をめざして、疾駆していた。 もうひとつ、はくちょう座六一番星 こうずる必要がある〉 強引な航行法だった。 のような星座名プラス番号という命名法が 声の主は巨漢ではなかった。よく見る 宇宙船のプリッジからは、太陽系は右手 3 9

5. SFマガジン 1980年6月号

「偽足があるのよ。それとロよ。びつくり返して、背中にのせて運「カワタマ星の文化使節団が、ちょうど訪問中だというニ、ース ぶのに、死ぬほど苦労したわ」 を、見なかったの ? 公式訪問なのよ。宙連ビルへいって太陽系連 「ええつ。背中にのせた。おれをか。おれはお前のイボイボにさわ邦首席と中華料理を食べたら、ナマコの料理があって大さわぎにな っちまったのか。もうダメだ。おれはナマコになっちまう」 ったわ」 にわかに、俺は、死ぬほどのかゆみにおそわれた。あわてて・ほり カワタマ星人はっき出た目をきよろきよろさせた。 ・ほりあちこちをかきむしりながら、俺はうめいた。 「悪意ではない、ということがわかっていたからよかったけど。大 「見ろ。アレルギーだ。ジンマシンが出てきた」 体地球の新聞やは、大国の使節でないと大きく報道しない。不 「まったく、野蛮たわね。そんなことで、よく異星生物と接触の多公平だわ」 いこの仕事がっとまるわね。国際人としての自覚がないわ」 「まあ、あれでいろいろ都合があるのさ」 「ナマコにそんなことを云われる覚えは・ーー、」 俺は、謹厳な連邦首席が、ビンク色の巨大ナマコに囲まれ、にこ 云い返そうとして、俺はふいに気づいた。 にこと話しあっている図を想像して、首席でなくてよかった、と考 「うう」 えながら答えた。 ・ほりぼり、なおもかきむしりながら俺はいやいや言葉使いをあら「だが、その使節団がどうしてー・ーー」 ためた。 「あちこち、太陽系の立派な文化施設を見せてもらって、さいごの 「どうも、大変失礼した。君は、高度の知性をもっ生命体だ。つい 日程が、イトカワ・シティの中継ステーショシを見ることだったの。、 その、地球の同一系統の生物とあまり似ているもので取り乱してョ昔の地球の英雄をイメージしたものだという、イトカーワ、という ー原始的な偏見を露呈して、申しわけない」 男役と、オーヤ・マサコ、という太った女役の演じる、・ハレエとか 「わかれば、しし 、のよ」 いう舞踊をみせてもらったわ。何だか、気持がわるい踊りだった」 「どうも、ど、つ、も」 ナマコに気味わるがられていれば世話はな、。 「君は、その使節団のーー」 俺とナマコ宇宙人は、丁寧に頭を下げあった。それから、俺は、 また態度をかえた 9 「通訳よ。そのステーションで、間もなくカペラ・シティ行きの長 「しかし、それと、このーー・密航の問題とは別だ。一体君はどこか距離カーゴが出発します、という放送をきいて、ついふらふらと帰 らもぐりこんだ」 りたくてたまらなくなってしまったの。悪かったと思うわ」 「だから、イトカワ・ポートよ」 「カワタマ星人というのは、カペラの近くから来たのか」 「なんで、そんなところにナマコ 「カペラからは、三百光年ほどね。カペラで乗りかえて、すぐよ・ その君がいたんだ」 しかも、使節団はこのあとプロクシマ・ケンタウりをまわって、あ いや、何星人と云ったつけ。

6. SFマガジン 1980年6月号

うおどろくべき発見を物語るが、その話をかに非実視連星がある。ただし確定はされしてはつごうのよい星々だといえよう。 さてここですこし趣きをかえて、白色矮 するまえに、今回準備したあとふたつの星ておらず、光学重星かもしれない。 そのごく近くに、ルイテン博士が研究し星の周囲の地球型惑星について、すこし計 域地図について、ご説明しておくことにし よう。 たルイテン星がある。典型的な赤色矮星で算してみよう。 主系列星の計算データは、三月号にくわ あるが、暗黒伴星を伴っている可能性もあ しく述べたが、主系列星とはまったく性質 白色矮星にコロニーは可能か : る。ヴァン・ド・カンプの研究によると、 のことなる白色矮星についても、三月号の 主星の位置が〇・〇三秒ほど動揺するの ーー第三および九星域の星々 で、そう推測されるのだ。ただし惑星にし知識だけであるていどの計算は可能なの で、その例をお目にかけようというわけな 図 7 は太陽系の右下で一五光年以内にあては巨大すぎると考えられているようだ。 のだ。 ルイテン星から三・七〇光年さがると、 る星々のあつまった第三星域である。 ロス六一四に到着する。この星域の終点で 白色矮星のなかでもっとも有名な、いま このストーリー では、奇妙な宇宙人 述べたばかりのシリウスの伴星をとりあげ イ三乗星人″と太陽系人とが対峙しているある。 よう。 ロス六一四もまた有名な星である。 星域ーーという設定になっている。 この星はスペクトル型が << 5 、光度が 主星は一三・一等の赤色矮星で、平凡 最上部にある型の単独星力。フタイン星 一・二等である。 な恒星だが、一九五五年にはじめて望遠鏡一 は、オランダの天文学者カプタインによっ まず、三月号一〇四ページの式②によっ にとらえられた伴星のほうは、光度も一 て研究された高速度星 ( 固有運動の大きな 六・四等と小さいが、質量が太陽のわずかて、輻射等級を求めると、それは、 1 ナード星などと親類筋にあた 星 ) で、 る。 七パーセントしかなくて、可視星中の最小 ま。Ⅱ十 p Ⅱ 11.2 十 ( ー 0.4 ) Ⅱ 10.8 ここから七・四三光年左へとぶと、明る質量の星といわれている。スペクトル型は 王立天文台やカンプのデータの範囲では不 くュニークな星系として著名なシリウスが となる。これをもとに式③より輻射エネ ある。シリウスの伴星が白色矮星であるこ明である。 以外にもうひとっ非実視伴星があると ルギーの太陽との比を求めると、 とは、軌道図などとともに四月号で詳述し いう説が記されているが、はっきりしない。 たとおりである。 2 5 ス。ー。し もしあったとしたら、とても小さな星で 五・一八光年くだると、プロキオンに達 する。こいぬ座のアルファ星で、シリウスあろう。 以上が第三星域の星々であるが、いずれ ( おおいぬ座アルファ星 ) の前に昇ってく も最近距離にあるので、興味ぶかい性質が るので、″大の前に″の意味のプロキオン よく知られているし、ニックネームもほと なる個有名がつけられている。 んどにつけられているので、 ()n の舞台と これも連星の一方は白色矮星で、そのほ となる。これがわかると母星と地球型惑 ( 4.76 ー 10, 8 ) Ⅱ 2.51 Ⅱ 3.85X 10 ー 3 Ⅱ 2.51 ー 6.04

7. SFマガジン 1980年6月号

1 を閉じてしまって一歩も外に出れないものだから、夜は新鮮な空を喪失してしまっている。今じゃ、このとおり機械仕掛だもので ね」 気を少しでも取入れようと思って : : : 」 私は合槌のつもりで頷きながら、椅子に腰をおろした。 そしてズボンの裾を、ちょいと上げてみせると、少女は申しわけ 「気になるようでしたら、閉めましようか」 なさそうな顔をした。その反応の素直さに私は好感を覚えていた。 少女の申し出に、私は大きくかぶりを振った。 「将校さんだそうですね。さっき、階下の者から、そう連絡を受け 「いや、そんなことはいい」 ていたのですが」 少女は乳濁した色の液体を前に置いた。 私は仕方なく頷いた。少女はつづけた。 「少し飲みすぎてらっしやるようです。これをお飲みになったら。 「前線司令官ツルギ将軍とは、親しくはありませんか」 アルコール分が中和されますわ。二十分ほどで効果が現れますか その質問に答えるかわりに、私も質問を投げかけることにした。 ら」 「なぜかね」 私はそれを一息であおり、そして言った。 「な・せって、今はどうなさっているのか心配だからですわ」 「この仕事を始めて何年くらいになるんだ」 そう言ってミウは、整理簟笥の上から数冊の / ートを取りだし まさしく無粋というしかない質問だったろう。なぜ、私はここへた。テー・フルの上に置かれたそれはスクラップ・・フックだった。プ 来てしまったのだ。 レセペ星系と太陽系との間の長い戦役の記録が、情報紙からコ。ヒイ 「さあ、何年になるかしら。数えてみたことはありませんでしたかされて何十種類も貼りつけられている。 ら」 私は、そのスクラツ。フ・・フックをめくっていった。アルタイル“ 微笑しながら少女はさらりと流して答えていた。 六十一番星間戦闘、太陽辺境域戦闘、くじら座タウ巫要塞攻防戦、 「あまり、誉められた職業とは言えないな。娘さん」 そのいずれもが、プレセペ星系の凶悪な知性との戦いの歴史を物語 「まあ、よほど、悪いお酒を飲まれたみたい。叱言ですか。娘さんっていた。 : じゃ呼びにくいでしよう。私、名前ミウというんです」 ふと私は気がついていた。これは銀河大戦のすべてを記録したも フウとついた私の溜息に、アルコール臭がかなり残っているのをのではない。そうだ、私が参加した戦闘の記録だけが、ここには残 自覚していた。 されていたのだ。 「すぐべッドに入りますか、それともしばらく休んでからに : ファクシミリからのコビーなのだろうか、一枚の記録には、写真 ミウという娘の申し出に私は手を振って否定の意を示した。 が添えられていた。地球上で撮られたものらしかった。 「いや、そんなつもりでここへやってきたんじゃない。ここで休息 プロクシマ日ケンタウリ戦線よりツルギ司令官凱旋 / プレセ させて頂ければ十分だ。それに私は過去の戦線で、腹部以下の肉体ペ軍前線基地を完全撃破 2

8. SFマガジン 1980年6月号

ホホホは音に敏感で、かつ意外に狂暴な すぐ近くにグルームプリッジ三四がある。 すると急激にシュリンクして地球の馬なみ グルーム・フリッジという名称についてに小さくなり、用がすむとまた膨張して巨動物だったのである。 「逃げろ、はやく ! 」 は、前号に記したとおりである。 大になるという性質をもっていた。 ゲンは必死でホホホの来襲をふせぎ、タ ホホホと呼ばれる食肉獣は、別名ミンク 赤色矮星の連星で、しかも片方は閃光星 ツやロウジイやネザ 1 を守った。 だから、けっして住みやすい星系ではない 蛇といい、蛇にも似た性質をもっていて、 ロポットのウィ 1 ナーも活躍した。 が、その位置からいって戦略的価値は大きそのふさふさとした毛皮を数年に一回脱皮 タッやロウジイが群れから逃がれたのを するのだった。人々はこの生物の遺伝子を いずれにせよ太陽系のワキ・ハラに相当す改良して、その体形を地球人の女性のそれたしかめて、ゲンが自分も走り去ろうとし たとき、群れの別の場所で、するどい女の るこの星域が、前号の勢力分布図に描いたに近づけた。 しかもシネスの一年はわずか一二日だっ悲鳴がきこえた。 ようにシグマ星人との抗争の場となってし 方角からいって、ゲンたちを迎えに出て まっているのは、まったく不幸なこととい たから、これはまったく能率の良い毛皮コ える。 きた再生クローンの仲間にちがいなかっ ートの製造生物だといえた。 ード・ダイヤはシネスでは はやくなんとかしなければいけない。ま 有名な・ハーナ ゲンはふたたび必死でホホホの群れをか ったくあせってしまう。 なくて巨大惑星のほうの特産だったから、 シネスの名物は、 ( いささか安易であるが ) きわけ、悲鳴のほうにむかった。 そこに見えたのは、ホホホに押しつぶさ 観光の面ではシネソースのちちむべニスと ーナード星の魔女 赤い巨大な母星であり、実益の面ではホホれそうになってもがいているリンダ・シャ イラーの姿だった。 ホの超高級毛皮コートであるということに その横手方向からは、あきらかに″汎太 なっていた。 ふたたび、ストーリーにもどろう。 さて、ゲンたちは地表でむかえてくれた陽教団〃のものと思われる罵声がとどろい ゲンたちが不時着した・ハーナード星の惑 てきた。 星シネスは、二〇三二年に『第二次光世紀ひとりの男に案内されてアジトへと向かっ あの、地球での悪夢が再現したのだ ! プロジェクト』の探査船が発見したものた。 罵声とともにホホホはますます狂暴にな で、同時にそれは太陽系外宇宙生物の最初 その途中で、平原にあそぶホホホの群れ り、さすがのゲンも身体の動きがにぶくな の発見でもあったーと記録されている。 に遭遇した。ゲンはロウジイの希望もあっ った。しかしロポットのウィーナーがおど ただし、のちに各所で見出されるようにて、ホホホの群れに近づいた。 ろくほどの力を発揮して、ホホホの群れを なった生命にくらべて、ユニークさはすく そのとき、とっぜん群れの反対がわで、 おそろしい囃し声がひびき、それにおどろかき分けた。そのすきまをぬってゲンはシ ない宇宙生物だった。 シネソースと呼ばれる馬類似生物は、オ いたホホホの大群が、津波のようにゲンた ャイラーに駆けより、抱きかかえた。かの 女は気を失っていた。 スの性器がメスの身体より大きいが、興奮ちを襲った。

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CLY> •-äZ ーコ望 3 ロ日望 <LY> ー白ーコ望ロ 3 望日 STA RT INPUT 図のスケール PLOT わく組み、文字 INPUT デカルト座標 or 極座標 INPUT データ数 INPUT 極座標 ト 座 標 立体視のため の座標変換 PLOT データのプロット 外のものはたんなるカタログ印刷時のミス なお、二〇九のウォルフ四六は主系列の で、銀河地図には関係がない。 なのに絶対等級が九・八と暗すぎるの 田】 79 ー 5 一 . 02 ↓十 5 一 . 02 ではないかーー・とのご質問があった。たし よ 180 、、十 40.30 ↓ー 40.30 かにそのとおりだが、観測者によっては に 日氏 182 、、 ー 11.19 ↓十 11019 2 だろうとの説もあるらしい。はっきりし ・町勝これらも印刷時のミスなので、図はす・ヘたことは不明である。 もうひとつ、ラナとヴァン・ビーズ・フロ 印野て正しく描かれている。 一〇〇番のロス七七五が、折り込み図の 1 ク星のスペルは、 RANA, VAN ・ BIES ・ 上 BROECK'S STAR である。 新瓦プロットで 3 度ほど下に描かれていた。 の にあげていただきたい。 同じく四月号で、奥田直紀氏による立体 用 視四七の c.50 三三〇五三の距離は一八・七表示の新提案をご紹介したところ、さっそ く、熱心な読者の野崎勝弘氏から、 田立五光年なので、順序からい 0 て七二のつぎ . ・のに並べなければならない。数値そのものは ナル・コンビュ 1 タを使っての作図例をお 5 域 送りいただいた。労作なので、お許しを得 印圧宙まちが 0 てはいないが : 以上が須賀氏が二一六星すべてについてて掲載させていただいた。 ・町光詳細に検算してくださ 0 た結果である。ど 図Ⅱがそれである。視点は銀河中心と逆 うもありがとうございました。 がわにあり、中心が太陽系である。左右を むすぶ線が銀河面に相当している。 ト換 なお、上部の数字は二分の一にしたもの ル変 カ標 がじっさいの光年である。たいへん楽しい デ座 試みということができるだろう。 おそくなってしまったが、新星座の命名 法に協力してくださった方や、貴重な提案 や資料をくださった方に、お礼として一〇 了 W 終月増刊号の折り込みの銀河地図の原図コビ 々′ ( 印刷されたものよりも詳しいデ 1 タが デ 記入されている ) をお送りしたいと思う。 お納めいただければ幸いである。 0

10. SFマガジン 1980年6月号

と四カ所ほど親善訪問して、まだ二、三百年はくにへは帰らない予の寿命より、使節団の旅程の方が長いから、このまま行けばとうと 定になってるんだもの」 うふるさとを見ずにおわることになるわ。もちろん、私から分裂生 「呆れたな。君たちは、そんなに寿命が長いのか」 殖した私の子孫が、私の記憶をもって故郷へ帰ることになるけど、 「そうでもないわね。百一一、三十年てとこよ。ただ、脱皮して分裂でも : : : 」 するので、生まれると同時に種族的記憶をうけついでいるの」 「そうか。それでは、ふらふらと故郷を見たくなってもむりもない よ。君は、まだ若いといってたね」 「ふうむ。ケイ素人間、植物人間、いろいろ会っては来たが、ナマオ コ型宇宙人というのははじめて見た。空気や重力は、地球人類と同「そうよ。あなたたちの年齢でいえばーーそうね。大体、十九歳に じで平気なのかい」 あたるはずよ。それに私は、私たちの仲間には、美しいと云われて いたわ」 「私たちは、あまり空気の組成や重力に影響をうけないの。よほど 重力が大きければ、ペシャンコのするめみたいになるし、あまり熱云うと同時に、宇宙ナマコの。ヒンク色の肌が、ポーツとボタン色 に染まった。それが、カワタマ星人の「ほほを染める」に相当する ければ中華料理の乾ナマコになるけれど、あとは大体どんな環境に も順応するのよ。あら、といっても宇宙空間に放り出されたら、破反応であるらしい 裂するけどね」 「なるほど、そう云われて見るせいか、君は何となく色つぼいね」 カワタマ星人は、俺の顔色をうかがいながら、あわててつけ加え俺はカなく云った。色つ。ほいナマコ。十九歳の、美しい宇宙ナマ コ。また、あちこちがむすむすとかゆくなって来た。 「ふーむ。時に、さっきから気になってたのだが、君はその使節団「嬉しいわ」 の通訳だということだったが、どうしてそんな女ことばでしゃべる カワタマ星人が俺を横目で見た。気のせいか、目つきがとろんと して、いやらしくなって来たような気がする。 んた。細胞分裂みたいにして繁殖するなら、単性生殖か、せいぜい 雌雄同体だろう」 「君の名をまだきいてなかったな」 「あら。それは、もっとこまかに私たちの生態を知ってもらわない 「 x x x x x というのよ」 と、説明のしようがないわ」 カワタマ星人が少しにじり寄ってきた。 カワタマ星人はまた俺の方をうかがうように見た。 「ただ、とにかく、私は一応女性形ということになってるのよ。そ「えーと、地球のことばだとうまく発音できないわ。正確にいう れにまだ若いの。今度の旅の途中でーーー太陽系に入る間際に分裂生と、◎ ! A となるんだけど」 殖したの。だから、私は、種族的記億としての故郷の記億はもって「何たって」 いるけれど、実際にふるさとを見たことはないのよーーーそれに、私俺は頭をかかえこんだ。ナマコに名前なんかきいたのがまちがい